(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切欠き部(10)は、該切欠き部(10)の底部(14)の角に切り込み(23)、(24)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の振動防止用のシート。
前記切欠き部(10)は、前記横の周辺部(4)から別の前記横の周辺部(5)に向かうにつれ幅が広く形成されている台形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動防止用のシート。
前記切欠き部(10a)、(10c)は、前記相対向する横の周辺部(4)、(5)に夫々設けられており、前記中央線部(8)と直交する線を境にして上下対称位置に少なくとも合計2箇所設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の振動防止用のシート。
前記切欠き部(10)を含むシート本体(2)が第1フィルム(25)および第2フィルム(26)で覆われ、前記第1フィルム(25)から前記第2フィルム(26)を切り離したときに第1フィルム(25)の中に粘性を有する前記シート本体(2)が設けられて、前記シート本体(2)が2つ折に重ねられたときに前記シート本体(2)同士が接着されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の振動防止用のシート。
前記切欠き部(10)を含む前記シート本体(2)が第1フィルム(25)および第2フィルム(26)で覆われ、前記第2フィルム(26)の外側に接着層(27)が設けられ、前記シート本体(2)が2つ折に重ねられたときに前記接着層(27)同士が接着されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の振動防止用のシート。
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の振動防止用のシート(1)を用い、前記切欠き部(10)を挟んで2本の配管(15)、(16)が延在しており、前記中央線部(8)で前記振動防止用のシート(1)が折り返されて前記振動防止用のシート(1)が前記2本の配管(15)、(16)を包みこんでおり、前記切欠き部(10)が前記2本の配管(15)、(16)の間に位置することを特徴とする配管防振構造。
前記2本の配管(15)、(16)は、U字状配管(156)からなり、前記U字状配管(156)のU字曲がり部(156e)が、前記折返された前記振動防止用のシート(1)に包まれていることを特徴とする請求項10または11に記載の配管防振構造。
前記切欠き部(10)は、前記相対向する横の周辺部(4)、(5)に夫々設けられており、前記中央線部(8)と直交する線を境にして天方向地方向の上下対称位置に少なくとも合計2箇所の前記切欠き部(10)が設けられいることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一項に記載の配管防振構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部を説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0015】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1ないし
図5を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を示す振動防止用のシート1を示す。
図2は、
図1の振動防止用のシート1を配管15、16に巻き付ける直前の状態を示す。また、
図3および
図4を用いて、
図1の振動防止用のシート1を配管15、16に巻き付ける様子が説明される。
【0017】
第1実施形態は、図示しない給湯機用圧縮機の近くに取り付けられる冷媒が流れる一対の配管15、16間に貼り付ける振動防止用のシート1および当該振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3(
図4)に関する。この振動防止用のシート1はブチルゴムを含む材料でシート本体2が形成され、粘性があり組成変形可能である。
【0018】
このように、シート本体2の構成材料にブチルゴムを含むことにより、充分な可塑性と重量を有する振動防止用のシート1(マスダンパー)を構成できる。つまり、ブチルゴムを含むことで、変形の自由度が増し、シート本体2相互が、貼り付け易くなる。また、給湯機など冷凍サイクルに用いる冷媒が内部を流れる配管15、16などに巻き易くなる。更に、配管15、16とシート本体2の接着面積が増すことからお互いの貼り合せ強度が得られ易い。
【0019】
振動防止用のシート1は
図2のように配管15、16の周りにあてがうことができる。この場合、振動防止用のシート1の粘性が高く粘着力の強い面を配管15、16と接するようにすることが好ましい。なお。矢印Uは天方向(上方とも言う)、Dは地方向(下方とも言う)である。そして
図3のように振動防止用のシート1を矢印y3のように振動防止用のシート1の右端を左端に重ねて2つ折に重ねることが可能である。
【0020】
図1のように、振動防止用のシート1は、相対向する横の周辺部4、5と相対向する縦の周辺部6、7とを有する全体として矩形状の組成変形可能なシート本体2を有する。
【0021】
2つ折に重ねた場合の折部を成す中央線部8(
図3)から離れた位置に少なくとも横の周辺部4からの切欠き部10a、10b(総称して切欠き部10と言う、以下同じ)を有している。この切欠き部10は、横の周辺部4から互いに対向する別の横の周辺部5に向かって延在する相対向する一対の側部12a、13aおよび12b、13b(相対向する側部をまとめて言うときは側部12、13という)を有する。
【0022】
これによれば、2つ折に重ねることが可能なく全体として矩形状の組成変形可能なシート本体2を2本の配管15、16を挟んで折りたたんだ場合に、
図4のように、切欠き部10を配管15と配管16との間に位置させることができる。そして、底部14間の側部12、13を配管15、16の周囲に巻きつけることができる。
【0023】
それによって、隣接する2つの配管15、16に対し接着面を大きく確保できることから、強い結合力で2つ折れの振動防止用のシート1が配管15、16に固着でき、この振動防止用のシート1の重さで配管15、16の振動を抑制することができる。
【0024】
また、側部12、13を配管15、16の周囲に巻きつけることができるので、配管15、16から取り付け位置がずれ難い。更に、組成変形可能なシート状であるため、取付け位置または配管寸法の変動に対応し易い。
【0025】
切欠き部10は、中央線部8(
図3)を境にして左右対称位置に少なくとも合計2箇所設けられている。中央線部8とは配管15、16の延在方向と平行な、シート本体2を折りたたむ場合の折返し線に相当する。シート本体2を2本の配管15、16を挟んで折りたたんだ場合に、重ねられた切欠き部10を配管15と配管16の間に位置させることができる。
【0026】
なお、上記中心線部8(
図3)には何も加工されているわけではなく、説明上の中心線部8が存在するだけである。しかし、例えば、中心線部8の位置に破線状などの切込みまたは窪みを入れておくことで、配管15、16にシート本体2を貼り付ける際、作業者は容易にシート本体2を折り重ねることができる。
【0027】
図4は、
図1の振動防止用のシート1を配管15、16に巻き付け終えた状態を示す振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3を示している。重ねられた切欠き部10を配管15と配管16の間に位置させた上で、
図4のように、切欠き部10の両側のシート本体2部分(側部12、13付近)を手または治具で加圧してシート本体2部分を組成変形させ、配管15、16の周囲に巻き付けることができる。この場合、切欠き部10の底部14よりも入口部のほうが組成変形しやすいため、傾斜面12S、13Sが形成されることがある。
【0028】
図5は、
図4の矢印V方向から見た一部断面構造を示している。折り返された振動防止用のシート1は巻付け接着部17a、17b(総称して17と言う)で接着されている。また配管15と配管16の間には、シート本体2が接着されない不接着隙間18が形成されてしまうことがある。しかし、切欠き部10の両側が配管15、16の周囲に巻き付けられ、振動防止用のシート1と配管15、16との接着力が強化されている。
【0029】
なお、振動防止用のシート1が、配管15、16と接着され終えた状態では、
図3〜
図5において、側部12aと側部13b、側部13aと側部12bが重なって貼り付き、夫々接着部17a、17bと成って、
図4のように切欠き部10の辺(傾斜面12S、13S)が形成される。
【0030】
図6は比較例と成る従来の振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3を示し、
図5と対応する部分が示されている。この種の振動防止用のシート1は配管15、16の振動が最大になる箇所等に取付けられ、配管15、16の振動による金属疲労や騒音などを抑制するマスダンパーとして機能する。
【0031】
この比較例の振動防止用のシート1は、切欠き部10が無いため、折り返された振動防止用のシート1は両端部67で接着されても、配管15と配管16の間には、シート本体2が接着されない不接着隙間18が形成されてしまう。そのため、振動防止用のシート1と配管15、16との接着力が弱く、振動防止用のシート1が配管15、16上から脱落してダンパーとして振動防止機能が充分に成されなくなる。
【0032】
これに対し、第1実施形態においては、
図4および
図5に示すように、切欠き部10を挟んで2本の配管15、16が延在しており、
図3の中央線部8で振動防止用のシート1が折り返されて振動防止用のシート1が2本の配管15、16を包みこんでいる。その結果、切欠き部10が2本の配管15、16の間に位置している。また、切欠き部10の側部12、13が配管15、16の周囲に押し込まれ巻き付けられている。
【0033】
以上のように、第1実施形態においては、
図4のように2本の配管15、16をまたぐ形でブチルゴムを含む振動防止用のシート1を貼り付ける。この場合、振動防止用のシート1は配管15、16に対して、配管伸長方向と直交する方向(横方向)または配管伸長方向(縦方向)に沿って取り付けられる。例えば、下方から振動防止用のシート1を配管15、16に貼り付けることができる。
【0034】
その際、振動防止用のシート1が、
図3の自由に動き易い部分(遊び部分21)を切欠き部10の両側に持つから、この遊び部分21を組成変形させて配管15、16の周りに巻きつけることができる。従って、遊び部分21の端部を配管15、16の周りに巻き付けて、
図5の、巻き付け接着部17a、17bを形成することができる。
【0035】
(第1実施形態の作用効果)
上記第1実施形態においては、2つ折に重ねることが可能であり、相対向する横の周辺部4、5と相対向する縦の周辺部6、7とを有する全体として矩形状の組成変形可能なシート本体2が設けられている。シート本体2を2つ折に重ねた場合の折部を成す中央線部8から離れた位置に少なくとも横の周辺部4から延在する切欠き部10が設けられている。
【0036】
そして、切欠き部10は、横の周辺部4から互いに対向する別の横の周辺部5に向かって延在する相対向する一対の側部12a、13aおよび12b、13b(相対向する側部を12、13とも記す)を有している。
【0037】
これによれば、2つ折に重ねることが可能なく全体として矩形状の組成変形可能なシート本体2で2本の配管15、16を挟んで折りたたんだ場合に、切欠き部10を配管15と配管16との間に位置させている。それによって、側部12、13を配管15、16の周囲に巻きつけることができる。従って、隣接する2つの配管15、16に対しシート本体2の接着面を大きく確保できることから、強い結合力で振動防止用のシート1を配管15、16に固着させることができる。この振動防止用のシート1の重さで配管15、16の振動を抑制することができる。また、側部12、13を配管15、16の周囲に巻きつけることができるので、配管15、16から取り付け位置がずれ難い。更に、組成変形可能なシート状であるため、取付け位置または配管15、16における寸法の変動に対応し易い。
【0038】
また、切欠き部10は、中央線部8を境にして左右対称位置に、少なくとも合計2箇所設けられている。従って、シート本体2を、2本の配管15、16を挟んで折りたたんだ場合に、重ねられた切欠き部10を、配管15と配管16の間に位置させ、2箇所の切欠き部10a、10bの側部12、13を配管15、16の周囲に巻きつけることができる。
【0039】
更に、シート本体2の構成材料は、ブチルゴムを含んでいる。従って、充分な可塑性と重量とを有する振動防止用のシート1を構成できる。
【0040】
次に、切欠き部10を挟んで2本の配管15、16が延在しており、中央線部8で振動防止用のシート1が折り返されて、振動防止用のシート1が2本の配管15、16を包みこんでおり、切欠き部10が2本の配管15、16の間に位置している。
【0041】
これによれば、振動防止用のシート1が2本の配管15、16を包みこんでおり、切欠き部10が2本の配管15、16の間に位置する配管防振構造が得られる。そして、振動防止用のシート1がダンパーとして作用して、配管15、16の振動を抑制することができる。また、2本の配管15、16を強固に振動防止用のシート1で包みこむことができるため、配管15、16から振動防止用のシート1の取付け位置がずれ難い。更に、組成変形可能なシート状であるため、取付け位置または配管15、16における寸法の変動に対応し易い。
【0042】
また、切欠き部10の側部12、13が配管15、16の周囲に巻きつけられている。従って、2本の配管15、16をより強固に振動防止用のシート1で包みこむことができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。なお、第2実施形態以下については、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明が援用される。
【0044】
図7は、本発明の第2実施形態を示し、
図1の振動防止用のシート1を、U字に折り曲がったU字状配管156の端部156e(U字曲がり部156eとも言う)に巻き付け終えた状態を示す振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3を示している。
【0045】
図7において、配管はU字状配管156からなる。U字状配管156のU字曲がり部156eが折返された振動防止用のシート1に包まれている。この配管防振構造3は、特にU字状配管156のU字曲がり部156eの振動を抑制できる。このU字状配管156の場合、振動防止用のシート1を下から貼り付けるのではなく、
図3と同様に、切欠き部10を持った振動防止用のシート1を横方向から貼りつけることができる。勿論、下方向から貼り付けてもよい。
【0046】
(第2実施形態の変形例)
図8は第2実施形態の変形例を示し、
図1の振動防止用のシート1をU字に折り曲がったU字状配管156の端部156e(U字曲がり部156eとも言う)に巻き付け終えた状態を示す振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3を示している。
【0047】
図8において、配管はU字状配管156と横方向に走る水平配管157とからなる。U字状配管156のU字曲がり部156eと水平配管157の一部とが折返された振動防止用のシート1に包まれている。この配管防振構造3は、特に、U字状配管156のU字曲がり部156eと水平配管157との振動を抑制できる。このU字状配管156の場合、振動防止用のシート1を下から貼り付けるのではなく、
図3と同様に、切欠き部10を持った振動防止用のシート1を横方向から貼りつけることができる。勿論、下方向から貼り付けてもよい。また折り返し部分となる中央線部(8)は、
図8の振動防止用のシート1の右端にあっても下端に有っても良い。
【0048】
(第2実施形態の作用効果)
上記第2実施形態においては、2本の配管15、16は、U字状配管156からなり、U字状配管156のU字曲がり部156eが、折返された振動防止用のシート1に包まれている。これによれば、U字状配管156のU字曲がり部156eの振動を、振動防止用のシート1によって抑制することができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図9は、本発明の第3実施形態を示す振動防止用のシートを示している。
図9において、切欠き部10で代表される左右の切欠き部10a、10bは、横の周辺部4から別の横の周辺部5に向かうにつれ幅が広く形成されている。従って、切欠き部10は台形状となる。この切欠き部10は、横の周辺部4から別の横の周辺部5に向かうにつれ幅が広く形成されているから、遊び部分21の材料が多く成りシート本体2を配管の周囲に容易に巻き付けることができる。
【0050】
(第3実施形態の作用効果)
上記第3実施形態においては、切欠き部10は、横の周辺部4から別の横の周辺部5に向かうにつれ幅が広く形成されている台形状である。よって、シート本体2を配管15、16の周囲に自由に巻き付けられる遊び部分21を大きくすることができ、容易に配管15、16の周囲にシート本体2を巻き付けることができる。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図10は、本発明の第4実施形態を示す振動防止用のシート1の正面図である。
図10において、切欠き部10で代表される左右の切欠き部10a、10bは、細い長方形のスリット状に形成されている。これによれば、切欠き部10は、スリット状の切欠き部10の両側に充分な材料の遊び部分21が形成でき、シート本体2を配管15、16の周囲に充分に巻き付けることができる。
【0052】
(第4実施形態の作用効果)
上記第4実施形態においては、切欠き部10は、スリット状に形成されている。従って、スリット状の切欠き部10の両側における充分な量のシート本体2を、配管15、16の周囲に巻き付けることができる。
【0053】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図11は、本発明の第5実施形態を示す振動防止用のシート1を示している。
図11において、切欠き部10で代表される左右の切欠き部10a〜10dは、該切欠き部10の底部14の角に切り込み23(23aまたは23b、以下同じ)、24が設けられている。この切り込み23、24は、切欠き部10の底部14の端部から延在すれば、どの方向に伸長していてもよい。
図11においては、切り込み23、24が周辺部4、5と平行に伸長している。
【0054】
これによれば、切欠き部10の底部14の角に切り込み23、24が設けられているから、切り込み23、24を利用してシート本体2を配管15、16の周囲に容易に巻き付けることができる。
【0055】
(第5実施形態の作用効果)
上記第5実施形態においては、切欠き部10の底部14の角に切り込み23、24が設けられている。従って、切り込み23、24を利用してシート本体2を配管15、16の周囲に容易に巻き付けることができる。
【0056】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図12は、本発明の第6実施形態を示す振動防止用のシート1を示している。また、
図13は、
図12の振動防止用のシート1を配管15、16に巻き付け終えた状態を示している。
【0057】
図12おいて、切欠き部10は、対向する横の周辺部4、5に夫々設けられており、後に折り返される中央線部8と直交する線を境にして天方向と地方向の上下対称位置に少なくとも合計4箇所の切欠き部10a〜10d設けられている。
【0058】
これによれば、左右上下対称位置に少なくとも合計4箇所設けられた切欠き部10により、
図13のように配管15、16に振動防止用のシート1を取り付けることができる。この結果、シート本体2と配管15、16との接着を強化することができる。
【0059】
切欠き部10が相対向して配管15、16相互間に位置し、一方の切欠き部10a、10bは天方向に位置して振動防止用のシート1を吊り下げて落下を防止し、他方の切欠き部10c、10dは地方向に位置して振動防止用のシート1を下から支える。従って、配管15、16と振動防止用のシート1との接着力を一層強化することができる。なお、配管によっては取り付け方向は天地方向でなくてもよい。例えば、配管が水平方向に延在している場合は、水平方向に切欠き部10b、10d同士が対向していてもよい。
【0060】
(第6実施形態の作用効果)
上記第6実施形態においては、切欠き部10a、10cは、相対向する横の周辺部4、5に夫々設けられており、中央線部8と直交する線を境にして上下対称位置に少なくとも合計2箇所設けられている。
図12では4箇所設けられている。従って、上下対称位置に少なくとも合計2箇所設けられた切欠き部10a、10cにより、配管15、16とシート本体2との接着を強化することができる。
【0061】
また、切欠き部10は、対向する横の周辺部4、5に夫々設けられており、中央線部8と直交する線を境にして天方向地方向の上下対称位置に少なくとも合計2箇所切欠き部10が設けられている。
【0062】
これによれば、合計2箇所の切欠き部10が相対向して配管15、16相互間に位置し、一方の切欠き部10は、天方向に位置して振動防止用のシート1を吊り下げて落下を防止できる。また、他方の切欠き部10は、地方向に位置して振動防止用のシート1を下から支えるから、配管15、16と振動防止用のシート1との接着力を一層強化することができる。
【0063】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図14は、本発明の第7実施形態を示す振動防止用のシート1を示している。また、
図15は、
図14の振動防止用のシート1を矢印XV方向から見た振動防止用のシート1を示している。
【0064】
図14において、切欠き部10a、10bを含むシート本体2が柔軟性に富む夫々一枚のプラスチックフィルム25、26(単にフィルム25、26とも言う)で覆われている。フィルムは着色されているが透明であっても良い。フィルム25は
図15のように少なくとも左右に縁を持つ帽子形の断面を持ち、一枚のフィルム25の凹部内にブチルゴムから成るシート本体2を収納している。そして、この凹部の上を一枚のフィルム26でカバーしている。つまり、振動防止用のシート1はブチルゴムを含むシート本体2とフィルム25、26を重ねたラミネート構造を有している。
【0065】
シート本体2が2つ折に重ねられる前に、
図15の左端からフィルム25とフィルム26とを分離する。つまりフィルム26を剥がして廃棄する。こうすることで、フィルム25の凹部内において、シート本体2のブチルゴムが露出する。そして折り返したときにブチルゴム同士が接着される。
【0066】
この場合、フィルム25、26が接着されているときは、ブチルゴムがフィルムに隠れる部分があるため、手に付着したり、他の配管15、16等の構造物に不用意に付着したりすることを抑制できるので、取り扱いが容易になる。
【0067】
換言すれば、
図14において、第1フィルム25と第2フィルム26との2枚のフィルム25、26で、シート本体2が挟まれている。第1フィルム25と第2フィルム26とは、端部において超音波等を用いて脱着可能に融合または重ねられて接着され一体化している。これにより、第1フィルム25と第2フィルム26との間に、シート本体2が封止されている。
【0068】
振動防止用のシート1を使用するときは、第1フィルム25から第2フィルム26を切り離す。このため端部の角に、融合または重ねられて接着されていない部分を残して、第1フィルム25と第2フィルム26とを切り離し易いようにしておくことが望ましい。
【0069】
また、シート本体2と第1フィルム25の接着強度を、シート本体2と第2フィルム26の接着強度よりも強くしておくことが好ましい。これにより、第1フィルム25と第2フィルム26を切り離すと、シート本体2と第1フィルム25が接着されたままで残り、第2フィルム26を容易に廃棄することができる。
【0070】
これにより、シート本体2の粘性のあるブチルゴム表面が露出し、配管15、16に巻き付けることが容易となる。なお、第1フィルム25と第2フィルム26は、同じ材料である必要はない。例えば、第2フィルム26を紙(例えば剥離紙)で構成してもよい。
【0071】
また、
図14では、切欠き部10a、10bをフィルム25、26が覆っているが、切欠き部10a、10bの夫々の少なくとも一部をフィルム25で覆わないようにフィルム25自体にも切欠き部を設けても良い。
【0072】
(第7実施形態の作用効果)
上記第7実施形態においては、切欠き部10を含むシート本体2が第1フィルム25および第2フィルム26で覆われ、第1フィルム25から第2フィルム26を切り離したときに、第1フィルム25の中に粘性を有するシート本体2が設けられている。そして、シート本体2が2つ折に重ねられたときに、シート本体2同士が接着される。
【0073】
これによれば、シート本体2が2つ折に重ねられたときに粘性を有するシート本体2同士が接着される。そして、シート本体2の外側が第1フィルム25で覆われているから、粘性を有するシート本体2の外側が第1フィルム25の中に隠れるため、取り扱いが容易になる。
【0074】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図16は、本発明の第8実施形態の振動防止用のシート1を援用する
図14の矢印XV方向から見た形状を示している。
【0075】
図16において、切欠き部10a、10bを含むシート本体2が、夫々一枚の第1と第2のプラスチックフィルム25、26(単にフィルム25、26とも言う)で覆われている。第1フィルム25は
図16と同様に少なくとも左右に縁を持つ帽子形の断面形状を有し。凹部の中にブチルゴム製のシート本体2が収納されている。
【0076】
第2フィルム26は、第1フィルム25に、周囲の端部が重ねられて強く溶着されており、
図16の下方に破線で示したように接着層27を有している。第3フィルム28を成す紙フィルム28は、接着層27の上をカバーしており、容易に剥がすことが可能である。紙フィルム28は剥離紙を使用できる。つまり、振動防止用のシート1は、ブチルゴムを含むシート本体2とフィルム25、26と紙フィルム28を重ねたラミネート構造を有している。
【0077】
シート本体2が2つ折に重ねられる前に紙フィルム28が除去され、シート本体2が2つ折に重ねられたときに、第2フィルム26の接着層27同士が接着される。この場合、接着層27が設けられていない第1フィルム25がシート本体2の外側になり、接着層27が隠れるため、手に接着剤が付着したり、他の配管15、16等の構造物に不用意に付着したりすることがないので、取り扱いが容易になる。
【0078】
換言すれば、
図16において、第1フィルム25と第2フィルム26との2枚のフィルム25、26で、シート本体2が挟まれている。第1フィルム25と第2フィルム26とは端部にて超音波等で融合または重ねられて接着され一体化している。これにより、第1フィルム25と第2フィルム26との間に、シート本体2が封止されている。
【0079】
振動防止用のシート1を使用するときは、第2フィルム26から第3フィルム28を剥がす。第3フィルム28(紙フィルム28)が第2フィルム26に接着されているが、容易に手で第2フィルム26から第3フィルム28を剥がすことができる。
【0080】
これにより、第2フィルム26と第3フィルム28を切り離すと、第2フィルム26の接着層27が露出する。第3フィルム28は廃棄される。第2フィルム26の接着層27が配管15、16にまきつけられる。なお、第1フィルム25と第2フィルム26は同じ材料である必要はない。
【0081】
また、
図14および
図16では、切欠き部10a、10bをフィルム25、26が覆っているが、切欠き部10a、10bの夫々の少なくとも一部をフィルム25または26で覆わないようにしても良い。この場合、フィルム25,26にも切欠き部を設けて、切欠き部10a、10bの少なくとも一部をフィルム25または26で覆わないようにしても良い。
【0082】
(第8実施形態の作用効果)
上記第8実施形態においては、切欠き部10を含むシート本体2が第1フィルム25および第2フィルム26で覆われ、第2フィルム26の外側に接着層27が設けられ、シート本体2が2つ折に重ねられたときに接着層27同士が接着される。
【0083】
これによれば、シート本体2が2つ折に重ねられたときに接着層27同士が接着され、接着層27が設けられていない第1フィルム25が外側になり、接着層27が隠れるため、振動防止用のシート1の取り扱いが容易になる。
【0084】
(第8実施形態の変形例)
図16においては、切欠き部10a、10b内においては、
図16における上下の第1フィルム25同士は離れている。しかし、切欠き部10a、10b内において、上下の第1フィルム25に余裕を持たせ、上下の第1フィルム25同士を貼り合わせるようにしても良い。このようにすれば、振動防止用のシート1のブチルゴム自体が直接的に配管に触れないようにすることができる。
【0085】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図17は、本発明の第9実施形態を示す振動防止用のシート1を配管15、16に巻き付け終えた状態を示す振動防止用のシート1を用いた配管防振構造3を示している。
図17において、切欠き部10は、地方向に設けられている。このように、切欠き部10は天地方向のどちら側にあってもよい。
【0086】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【0087】
なお、切欠き部10を配管15、16と配管15、16との間の地方向の一箇所に
図17のように設けてもよいが、天方向地方向の両方に設けるか、どちらか一方に設けるかは、施工の容易性、ダンパーとしての性能(防振性、耐久性)で決定すればよい。また、シート本体2は、組成変形し、比較的重量のある材料であればよく、ブチルゴムに限らない。
【0088】
また、
図15および
図16のシート本体2の平面部2hおよびその反対側の底面部は、フィルムに覆われておらず露出していても良い。これにより、切欠き部10a、10bが露出するので、フィルムを一部破る必要が無く、配管に巻きつける作業が容易になる。