特許第6028699号(P6028699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一精工株式会社の特許一覧

特許6028699コネクタ端子および電気コネクタ並びに電気コネクタの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028699
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】コネクタ端子および電気コネクタ並びに電気コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20161107BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20161107BHJP
   H01R 13/05 20060101ALI20161107BHJP
   H01R 43/24 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H01R12/58
   H01R13/405
   H01R13/05 Z
   H01R43/24
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-190824(P2013-190824)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-56367(P2015-56367A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2014年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓也
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−143345(JP,A)
【文献】 特開2006−216523(JP,A)
【文献】 実開昭62−109364(JP,U)
【文献】 実開昭61−173168(JP,U)
【文献】 特開2005−222771(JP,A)
【文献】 特開2000−150038(JP,A)
【文献】 特開2009−230947(JP,A)
【文献】 特開2013−065543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/58
H01R 13/05
H01R 13/405
H01R 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、
前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向へ、L字形状に曲げた第1折曲部と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部とを備えたクランク部により形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたコネクタ端子。
【請求項2】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、
前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向の一側へJ字形状に曲げた第1折曲部と、更に、厚み方向の他側へJ字形状に曲げた第2折曲部とを備えた蛇行部により形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたコネクタ端子。
【請求項3】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、
前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部の厚み方向における両面の中央部が盛り上がった隆起部に形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたコネクタ端子。
【請求項4】
前記軸太部の仮想中心線と、前記プレスフィット端子部の仮想中心線とを同軸に合わせるための軸合わせ部が形成されている請求項1からのいずれかの項に記載のコネクタ端子。
【請求項5】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と前記プレスフィット端子部より太い軸太部とが形成された前記請求項1からのいずれかの項に記載のコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されたハウジングと、を備えた電気コネクタ。
【請求項6】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、
前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向へL字形状に曲げた第1折曲部と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部とを備えたクランク部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形する電気コネクタの製造方法。
【請求項7】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、
前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向の一側へJ字形状に曲げた第1折曲部と、更に、厚み方向の他側へJ字形状に曲げた第2折曲部とを備えた蛇行部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形する電気コネクタの製造方法。
【請求項8】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、
前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部の長さ方向における両端部の肉厚を、前記拡幅部の両面の中央部にそれぞれ寄せることでできた両面の隆起部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形する電気コネクタの製造方法。
【請求項9】
電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、
仮想中心線方向に肉厚を寄せることで、前記プレスフィット端子部より直径が大きい円柱状に形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形する電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続を行うプレスフィット端子部が形成されたコネクタ端子と、このプレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されたハウジングとを備えたコネクタ端子および電気コネクタ並びに電気コネクタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的接続を行う端子部を露出させた状態で、ハウジングを樹脂成形した電気コネクタとして、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
図44に示す特許文献1に記載のインサート成形用端子金具100は、金属板を両側縁が合わさるように折り重ねた突出部(二重部)101を形成し、この二重部101における合わせ目102の根元部分を、金属板から折り曲げられた折曲部103の端面104で塞いで、溶融樹脂が突出部101側の合わせ目102に侵入することを防止したものである。
【0003】
図45に示す特許文献2に記載のプレスフィットピン110は、金属板の長手方向一方に可撓部111(プレスフィット端子部)が、他方にモールドされる本体部112が形成され、本体部112を屈曲して可撓部111よりも金属板の厚さ方向に突出する樹脂止め部を形成したものである。この樹脂止め部は、第1樹脂止め部113が厚さ方向片側に向かって突出し、第2樹脂止め部114が厚さ方向他側に向かって突出するように打ち出し成形している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−150038号公報
【特許文献2】特開2005−11587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のインサート成形用端子金具100では、両側縁が合わさるように金属板を折り重ねることで、突出部101と埋設部105とが同じ厚みであるため、中央部が厚いプレスフィット端子部が形成されたコネクタ端子では、両側縁が合わさるように金属板を折り重ねて二重部を形成する方法は適用できない。
【0006】
また、特許文献2に記載のプレスフィットピン110では、本体部112を屈曲させて第1樹脂止め部113と第2樹脂止め部114とを形成しているため、充填される樹脂圧によって、開口側に位置する第1樹脂止め部113が押され、奥側に位置する第2樹脂止め部114を支点として第1樹脂止め部113が内壁面から離れ、樹脂が可撓部111に浸入するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、ハウジングを成形する樹脂の浸入を確実に防止することができるコネクタ端子および電気コネクタ並びに電気コネクタの製造方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のコネクタ端子は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向へ、L字形状に曲げた第1折曲部と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部とを備えたクランク部により形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたことを特徴とする。
(2)また、本発明のコネクタ端子は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向の一側へJ字形状に曲げた第1折曲部と、更に、厚み方向の他側へJ字形状に曲げた第2折曲部とを備えた蛇行部により形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたことを特徴とする。
(3)また、本発明のコネクタ端子は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部の根本部分に形成された前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備え、前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部の厚み方向における両面の中央部が盛り上がった隆起部に形成されていることで、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成されたことを特徴とする
(4)本発明の電気コネクタの製造方法は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向へL字形状に曲げた第1折曲部と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部とを備えたクランク部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形することを特徴とする。
)また、本発明の電気コネクタの製造方法は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部が、厚み方向の一側へJ字形状に曲げた第1折曲部と、更に、厚み方向の他側へJ字形状に曲げた第2折曲部とを備えた蛇行部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形することを特徴とする。
)また、本発明の電気コネクタの製造方法は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部の長さ方向における両端部の肉厚を、前記拡幅部の両面の中央部にそれぞれ寄せることでできた両面の隆起部により形成された前記軸太部であり、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚く形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形することを特徴とする。
)更に、本発明の電気コネクタの製造方法は、電気的接続を行うプレスフィット端子部と、前記プレスフィット端子部より太い軸太部とを備えたコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を金型の端子部収容室に収容して、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されるハウジングとを有する電気コネクタの製造方法であって、仮想中心線方向に肉厚を寄せることで、前記プレスフィット端子部より直径が大きい円柱部により形成された前記軸太部の周囲面を、前記端子部収容室の開口縁部に接触させ、前記金型に樹脂を充填して、前記ハウジングを成形することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電気コネクタは、電気的接続を行うプレスフィット端子部と前記プレスフィット端子部より太い軸太部とが形成された本発明のコネクタ端子と、前記プレスフィット端子部を露出させた状態で樹脂成形されたハウジングと、を備えことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、プレスフィット端子部が収容される金型の端子部収容室の開口縁部に、軸太部の全周に渡り連続して形成された閉鎖面が接触するので、充填される樹脂圧により軸太部が撓むことなく、端子部収容室を確実に閉鎖することができる。
【0012】
前記軸太部における前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部を、厚み方向に前記プレスフィット端子部より厚くしたものとしているため、軸太部の周囲面を閉鎖面とすることができる。
【0013】
前記拡幅部を厚み方向に折り曲げることで、厚みを厚くしているため、前記軸太部を折り曲げ加工で形成することができる。
【0014】
前記軸太部は、前記拡幅部を厚み方向へ、L字形状に曲げた第1折曲部と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部とにより形成されたクランク部であり、前記閉鎖面は、前記クランク部の仮想中心線回りの連続した周囲面により形成されている。
軸太部を、第1折曲部と第2折曲部とにより形成されたクランク部とすることで、閉鎖面を、クランク部の仮想中心線回りの連続した周囲面とすることができるので、簡単な加工でクランク部を形成することができる。
【0015】
前記軸太部は、前記拡幅部を厚み方向の一側へ、J字形状に曲げた第1折曲部と、更に、厚み方向の他側へ、J字形状に曲げた第2折曲部とにより形成された蛇行部であり、前記閉鎖面は、前記第1折曲部と前記第2折曲部との仮想中心線回りの連続した周囲面により形成されている。
軸太部を、第1折曲部と第2折曲部とにより形成された蛇行部とすることで、閉鎖面を、第1折曲部と前記第2折曲部との仮想中心線回りの連続した周囲面とすることができるので、簡単な加工で蛇行部を形成することができる。
【0016】
前記軸太部は、前記プレスフィット端子部より幅方向が広い拡幅部の肉厚の一部または全部の厚みを厚くして形成することができる。
【0017】
前記拡幅部の肉厚を一部分に寄せることで、厚みを厚くしているため、前記軸太部をプレス加工により形成することができる。
【0018】
前記軸太部は、前記拡幅部の長さ方向の両端部の肉厚を、前記拡幅部の両面の中央部にそれぞれ寄せることでできた両面の隆起部により形成され、前記閉鎖面は、前記両面の隆起部のそれぞれの頭頂面と、前記隆起部の側面とによる連続した周囲面により形成されている。
軸太部を、拡幅部の長さ方向の両端部の肉厚を、前記拡幅部の両面の中央部にそれぞれ寄せることでできた両面の隆起部とすることで、閉鎖面を、両面の隆起部のそれぞれの頭頂面と、前記隆起部の側面とによる連続した周囲面とすることができるので、簡単な加工で隆起部を形成することができる。
【0019】
前記軸太部を、仮想中心線方向に肉厚を寄せているため、前記プレスフィット端子部より直径を大きく形成することもできる。
【0020】
前記軸太部は、円柱部により形成され、前記閉鎖面は、前記円柱部の外周面である。軸太部を、仮想中心線方向に肉厚を寄せて円柱部としているため、閉鎖面円柱部の外周面とすることができるので、端子部収容室の開口縁部を円形状とすることができる。従って、端子部収容室の開口縁部と閉鎖面との隙間を発生させ難くすることができる。
前記軸太部の仮想中心線と、前記プレスフィット端子部の仮想中心線とを同軸に合わせるための軸合わせ部が形成されているのが望ましい。
軸太部の仮想中心線と、プレスフィット端子部の仮想中心線とが、同軸であれば、軸太部を、仮想中心線を中心に、プレスフィット端子部より太くすればよい。しかし、軸太部の仮想中心線と、プレスフィット端子部の仮想中心線とがずれていると、プレスフィット端子部を収容して、軸太部が接触する端子部収容室の開口を大きくする必要があり、軸太部を更に太くする必要がある。軸太部の仮想中心線と、プレスフィット端子部の仮想中心線とを、軸合わせ部により同軸に合わせることで、端子部収容室の開口や軸太部の太さを、プレスフィット端子部に合わせて形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、閉鎖面を有する軸太部により、充填される樹脂圧にもコネクタ端子が撓み隙間ができることがないため、プレスフィット端子部への成形樹脂の浸入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る電気コネクタを上方から見た斜視図である。
図2図1に示す電気コネクタを下方から見た斜視図である。
図3図1に示す電気コネクタを長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図4図1に示す電気コネクタを短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図5図1に示す電気コネクタのコネクタ端子の斜視図である。
図6図5に示すコネクタ端子の正面図である。
図7図5に示すコネクタ端子の右側面図である。
図8A図5に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の正面図である。
図8B図5に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の側面図である。
図8C図8Bに示す金属板からプレスフィット端子部を形成した状態の側面図である。
図9図5に示すコネクタ端子の軸太部を加工する方法を説明するための図である。
図10図9に示す加工を施した状態の軸太部の拡大斜視図である。
図11図1に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図12図1に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図13】本発明の実施の形態2に係る電気コネクタを上方から見た斜視図である。
図14図13に示す電気コネクタを下方から見た斜視図である。
図15図13に示す電気コネクタを長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図16図13に示す電気コネクタを短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図17図13に示す電気コネクタのコネクタ端子の斜視図である。
図18図17に示すコネクタ端子の正面図である。
図19図17に示すコネクタ端子の右側面図である。
図20図17に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の正面図である。
図21図17に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の側面図である。
図22図17に示すコネクタ端子の軸太部を製造する工程を説明するための図である。
図23図13に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図24図13に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図25】本発明の実施の形態3に係る電気コネクタを上方から見た斜視図である。
図26図25に示す電気コネクタを下方から見た斜視図である。
図27図25に示す電気コネクタを長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図28図25に示す電気コネクタを短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図29図25に示す電気コネクタのコネクタ端子の斜視図である。
図30図29に示すコネクタ端子の正面図である。
図31図29に示すコネクタ端子の右側面図である。
図32図29に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の正面図である。
図33図29に示すコネクタ端子の材料である金属板を展開した状態の側面図である。
図34図29に示すコネクタ端子の軸太部を製造する工程を説明するための図である。
図35図25に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図36図25に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図37】本発明の実施の形態4に係る電気コネクタのコネクタ端子の斜視図である。
図38図37に示すコネクタ端子の正面図である。
図39図37に示すコネクタ端子の右側面図である。
図40図37に示すコネクタ端子の軸太部を製造する工程を説明するための図である。
図41図40にて軸太部が形成された後のプレスフィット端子部を加工する状態の図である。
図42図37に示すコネタク端子を用いてハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの長手方向に沿って切断したときの断面図である。
図43図37に示す電気コネクタのハウジングを成形するために、コネクタ端子を金型に収容して型締めした状態を電気コネクタの短手方向に沿って切断したときの断面図である。
図44】従来のコネタク端子を説明するための斜視図である。
図45】従来の他のコネタク端子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。
図1および図4に示す電気コネクタ10は、図示しないプリント基板に搭載される。電気コネクタ10は、6本が3本ずつ2列に配置されたコネクタ端子20と、インサート成形により樹脂成形されたハウジング30とを備えている。
【0024】
図5から図7に示すコネクタ端子20は、プリント基板に形成されたスルーホールに挿入されるプレスフィット端子部21と、プレスフィット端子部21より太く形成された軸太部22と、他の電気コネクタの雌側端子が嵌合するピン部23と、軸太部22とプレスフィット端子部21との間に形成された軸合わせ部24とを備えている。
【0025】
プレスフィット端子部21は、コネクタ端子20の一方の端部に形成され、半田付けなしにプリント基板と電気的に接続することができるプレスフィット形状に形成された端子である。プレスフィット端子部21は、横断面がU字形状をなす中軸部211(図8Aから図8C参照)と、く字形状をなす複数の接触片212の長手方向が中軸部211の長手方向に沿うように、かつ外に凸をなす状態で中軸部211を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部213とを備えている。中軸部211の周囲にて樽形状をなす接触部213は、弾性的に縮径・拡径可能な構造をなしている。また、接触部213を構成する複数の接触片212の先端側および基端側にはそれぞれ、中軸部211を包囲する断面C字形状の連設部214,215が設けられている。
【0026】
軸太部22は、プレスフィット端子部21とピン部23との間に形成されている。軸太部22は、プレスフィット端子部21より幅方向が広い拡幅部221を、厚み方向に折り曲げてプレスフィット端子部21より厚くしたものである。
ここで、「プレスフィット端子部21より幅方向が広い」とは、プレスフィット端子部21の樽形状をなす接触部213の直径より、拡幅部221が幅広いことを指す。また、「拡幅部221を、厚み方向に折り曲げてプレスフィット端子部21より厚くした」とは、プレスフィット端子部21の樽形状をなす接触部213の直径より、拡幅部221を厚み方向に折り曲げることで厚くなった状態を指す。
【0027】
図5から図7に示す例では、軸太部22は、拡幅部221を厚み方向へL字形状に曲げた第1折曲部2211と、更に、L字形状に曲げた第2折曲部2212とにより形成されたクランク部としている。この軸太部22(クランク部)の仮想中心線L12回りの連続した周囲面が閉鎖面22sとなる。
【0028】
ここで、軸太部22の仮想中心線L12とは、図10に示すように、拡幅部221を折り曲げることにより厚くなった第1折曲部2211と第2折曲部2212との間の中心を通る仮想線である。従って、軸太部22の仮想中心線L12は、ピン部23の仮想中心線とずれている。
図5から図7に示すように、ピン部23は、先端が針状に形成された接触端子である。
【0029】
軸合わせ部24は、軸太部22の第2折曲部2212側となる方向であって、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と直交する方向へ、プレスフィット端子部21をシフトさせて、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22の仮想中心線L12とを同軸に合わせるためのものである。
【0030】
図1から図4に示すように、ハウジング30は、ピン部23の前方が開口した直方体箱状のハウジング本体部31と、プリント基板に固定するために、対角となる2ヵ所の角部に形成された脚部32とを備えている。ハウジング30は、ピン部23が内部に突出し、プレスフィット端子部21を底面から突出して露出させている。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態1に係る電気コネクタ10の製造方法について、図面に基づいて説明する。まず、コネクタ端子20の製造方法について、図8A図8Cから図10に基づいて説明する。
まず、打ち抜き加工により形成した図8Aおよび図8Bに示す金属板は、中軸部211と接触部213とが、プレス加工によりピン部23および拡幅部221より薄く形成されている。
このような金属板から、図8Cに示すように、中軸部211と接触部213との間に位置する折り返し部25(図8A参照)を、横切る折り返し位置251を中心にして、U字形状をなした中軸部211を接触部213に向かって180度折り曲げる。
【0032】
この後、仮想中心線L13と交差する方向に位置する接触部213の辺縁部である連設部214,215がC字形状となるように曲げ加工を施し、仮想中心線L13と平行をなす接触片212がく字形状となるように曲げ加工を施し、接触部213が中軸部211を囲繞する樽形状をなすようにする。これによりプレスフィット端子部21が形成できる。
【0033】
次に、図9に示すように、拡幅部221を、ピン部23側の一端部を第1押圧型41により一方から押圧すると共に、プレスフィット端子部21側の他端部を第2押圧型42に他方から押圧して挟み込む。そうすることで、平板状の拡幅部221が、クランク状に折り曲げられる。
プレスフィット端子部21より幅方向が広い拡幅部221を、厚み方向にプレスフィット端子部21より厚くすることで、軸太部22の周囲面として、横断面の輪郭形状が矩形状の閉鎖面22sとすることができる。
【0034】
次に、図7に示すように、プレスフィット端子部21と軸太部22との位置関係を変更して、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22の仮想中心線L12とを同軸に合わせる。
本実施の形態1の軸太部22は、プレスフィット端子部21側の基端から一側へ折り曲げられたクランク状に形成されている。また、プレスフィット端子部21が連設部214,215を、軸太部22の折り曲げ側である一側へ円弧状に折り曲げて形成されている。そのため、プレスフィット端子部21を、軸太部22の第2折曲部2212側となる方向であって、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と直交する方向へ、シフトさせて、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22の仮想中心線L12とが同軸に合わせられている。
【0035】
そうすることで、図10に示すように、軸太部22側の直線状の一端辺241から、連設部215側の円弧状の他端辺242に向かって、平面がよじれて曲面となった軸合わせ部24が形成される。
このようにして、図5から図7に示すコネクタ端子20を製造することができる。
【0036】
次に、図11および図12に示すように、インサート成形によりハウジング30を樹脂成形するため金型(第1の金型43,第2の金型44)に、コネクタ端子20を収容して型締めする。第1の金型43と第2の金型44とにより、ハウジング30を成形するための樹脂が充填される空間Sが形成される。
【0037】
第1の金型43には、プレスフィット端子部21が収容される第1端子部収容室R1が形成されている。また、第2の金型44には、ピン部23が収容される第2端子部収容室R2が形成されている。第1端子部収容室R1の開口縁部R1aは、矩形状に形成され、コネクタ端子20の軸太部22の周囲面である閉鎖面22sに合わせて形成されている。
【0038】
コネクタ端子20のプレスフィット端子部21を、第1の金型43の第1端子部収容室R1に収容すると、閉鎖面22sが、第1端子部収容室R1の開口縁部R1aに接触する。第1端子部収容室R1と開口縁部R1aの開口形状と、閉鎖面22sの横断面の輪郭形状とが一致しているため、軸太部22が第1端子部収容室R1の蓋となって、第1端子部収容室R1が閉鎖された状態となる。従って、ハウジング30を樹脂成形するときに、空間Sに充填される樹脂が第1端子部収容室R1へ流れ込むことを防止することができる。
【0039】
このように、軸太部22はプレスフィット端子部21より太いため、接触片212が膨らんだプレスフィット端子部21が収容される第1端子部収容室R1を、軸太部22により閉鎖することができる。
【0040】
このとき、閉鎖面22sは軸太部22の全周に渡り連続して形成され、第1端子部収容室R1の開口縁部R1aに接触しているため、空間Sに充填される樹脂圧に、軸太部22が撓み、軸太部22と開口縁部R1aとの間に隙間ができることがない。従って、コネクタ端子20は、樹脂の第1端子部収容室R1への浸入を確実に防止することができるので、樹脂が第1端子部収容室R1に浸入することによってできるプレスフィット端子部21への樹脂バリの発生を防止することができる。
このようにして、第1の金型43と第2の金型44とによりできた空間Sに樹脂が充填されることで、コネクタ端子20を備えた空間S形状のハウジング30が成形される。
【0041】
本実施の形態1では、拡幅部221を厚み方向に折り曲げ、第1折曲部2211と第2折曲部2212とによりクランク部を形成して、軸太部22の厚みを厚くしているため、軸太部22を簡単な加工で形成することができる。
また、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と、軸太部22の仮想中心線L12とを同軸とする軸合わせ部24が、軸太部22とプレスフィット端子部21との間に形成されているため、軸太部22をクランク部としていても、軸太部22の太さを、仮想中心線L11を中心にプレスフィット端子部21より太くすればよい。従って、第1端子部収容室R1の開口を、プレスフィット端子部21に合わせて形成することができる。
【0042】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。なお、図13から図24においては、図1から図12と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施の形態2に係る電気コネクタでは、コネクタ端子の軸太部が、拡幅部の肉厚の一部の厚みを厚くしたことを特徴とするものである。
図13から図16に示すように、本実施の形態2に係る電気コネクタ10xは、実施の形態1に係る電気コネクタ10と同様に、6本のコネクタ端子20xが3本ずつ2列に、ハウジング30に配置されたものである。
【0044】
図17から図19に示すように、コネクタ端子20xは、プレスフィット端子部21と、ピン部23との間に、軸太部22xが形成されている。この軸太部22xは、プレスフィット端子部21より幅方向に広い拡幅部221の肉厚の一部の厚みを厚くしたものである。本実施の形態2では、拡幅部221の両端部の肉厚を中央部に寄せることで、厚みを厚くしている。
【0045】
ここで、コネクタ端子20xの製造方法について、図面に基づいて説明する。
図20および図21に示す金属板を、実施の形態1と同様に、中軸部211と接触部213との間に位置する折り返し部25を、横切る折り返し位置251を中心にして接触部213に向かって180度折り曲げ、更に、接触部213の辺縁部である連設部214,215がC字形状となるように曲げ加工を施して、接触部213が中軸部211を囲繞する樽形状をなすようにして、プレスフィット端子部21を形成する。
【0046】
次に、図22に示すように、拡幅部221を、両側から第1押圧型45,第2押圧型46にて挟み込む。第1押圧型45,第2押圧型46には、拡幅部221の端部221aの肉厚を中央部221bに寄せ集めるための凹部451,461が形成されている。この凹部451,461の縁部には、拡幅部221に進入して肉厚の盛り上がりを開始させるための突起部452,462が形成されている。
【0047】
このように形成された第1押圧型45,第2押圧型46により、拡幅部221を両側から挟み込み、圧力を加えることで、突起部452,462が拡幅部221に減り込む。突起部452,462が押し拡げた肉厚は凹部451,461内へ移動する。更なる第1押圧型45および第2押圧型46の押圧により、拡幅部221の端部221aの肉厚が、凹部451,461に充填され、凹部451,461内の空間形状に盛り上がり、拡幅部221の両面に隆起部2213ができる。このようにして、平板状で、プレスフィット端子部21より幅方向に広い拡幅部221を、厚み方向にプレスフィット端子部21より厚くした軸太部22xを形成することができる。閉鎖面22tは、両面の隆起部2213のそれぞれの頭頂面2213aと、隆起部2213の側面2213bとによる連続した周囲面により形成されている。
【0048】
次に、図19に示すように、プレスフィット端子部21と軸太部22xとの位置関係を変更して、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22xの仮想中心線L21とを、軸合わせ部24xにより同軸に合わせる。
本実施の形態2の軸太部22xは、仮想中心線L21を中心に一側と他側との両方に隆起させている。また、プレスフィット端子部21が連設部214,215を一側へ円弧状に折り曲げて形成されている。そのため、プレスフィット端子部21を、連設部214,215の折り曲げ側とは反対方向であって、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と直交する方向へ、シフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22xとが同軸に合わせられている。
【0049】
このように、軸太部22xの仮想中心線L21に合わせて、プレスフィット端子部21を一側とは反対側となる他側にシフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22xとを同軸とすることで、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11を、ピン部23の仮想中心線(図示せず)とも、一致させることができる。
【0050】
図23および図24に示すように、金型(第1の金型43,第2の金型44)によりコネクタ端子20xを収容して型締めする。
コネクタ端子20xのプレスフィット端子部21を、第1の金型43の第1端子部収容室R1に収容することで、軸太部22xの全周に渡り連続して形成された閉鎖面22tが、第1端子部収容室R1の開口縁部R1aに接触して、プレスフィット端子部21への樹脂の流れ込みを防止する。
【0051】
軸太部22xの幅方向がプレスフィット端子部21より広い拡幅部221を、折り曲げたりせずに、肉厚を寄せて厚くしても、軸太部22xの周囲面に閉鎖面22tを形成することができる。従って、充填される樹脂圧にコネクタ端子20xが撓み、第1端子部収容室R1の開口縁部R1aに隙間ができることがないので、プレスフィット端子部21への成形樹脂の浸入を確実に防止することができる。
このように、軸太部22xが形成されたコネクタ端子20により、樹脂バリが無いハウジング30を成形することができる。
【0052】
図19に示すように、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と、軸太部22xの仮想中心線L21とを同軸とする軸合わせ部24xが、軸太部22xとプレスフィット端子部21との間に形成されているため、肉厚を寄せて厚くして形成した軸太部22xとしていても、軸太部22xの太さを、仮想中心線L11を中心にプレスフィット端子部21より太くすればよい。従って、第1端子部収容室R1の開口を、プレスフィット端子部21に合わせて形成することができる。
【0053】
なお、本実施の形態2に係るコネクタ端子20xでは、軸太部22xが、薄板の拡幅部221の肉厚を一部分に寄せることで、拡幅部221の一部分の厚みを厚くしているが、板厚が厚い金属板に対して、中軸部211、接触部213およびピン部23を薄くして、相対的に拡幅部の肉厚の一部または全部の厚みを厚くして、軸太部を形成してもよい。
【0054】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。なお、図25から図36においては、図13から図24と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施の形態3に係る電気コネクタでは、コネクタ端子の軸太部として、拡幅部が、厚み方向に、複数回、折り曲げられていることで厚みを厚くしたことを特徴とするものである。
図25から図28に示すように、本実施の形態3に係る電気コネクタ10yは、実施の形態1に係る電気コネクタ10と同様に、6本のコネクタ端子20yが3本ずつ2列に、ハウジング30に配置されたものである。
【0056】
図29から図31に示すように、コネクタ端子20yは、プレスフィット端子部21と、ピン部23との間に、軸太部22yが形成されている。この軸太部22yは、プレスフィット端子部21より幅方向に広い拡幅部221を、軸太部22yの仮想中心線L31と交差する方向へ、蛇行するように折り返しながら曲げることで、厚みを厚くしたものである。
本実施の形態3では、拡幅部221を、厚み方向の一側へ、J字形状に曲げた第1折曲部2214と、更に、厚み方向の他側へ、J字形状に曲げた第2折曲部2215とにより形成された蛇行部としている。
拡幅部221を蛇行させるようにして折り曲げることにより、全周に渡り連続した閉鎖面22uが、第1折曲部2214と第2折曲部2215との連結部分に形成される。
【0057】
ここで、コネクタ端子20yの製造方法について、図面に基づいて説明する。
まず、図32および図33に示す金属板を、実施の形態1,2と同様に折り曲げて、接触部213が、中軸部211を囲繞する樽形状をなす、プレスフィット端子部21を形成する。
次に、図34に示すように、拡幅部221を、両側から第1押圧型47,第2押圧型48にて挟み込む。第1押圧型47には第1折曲部2214の出っ張りを象るための凹部47aが形成されている。また、第1押圧型47には、第2折曲部2215の窪みを象るための突起部47bが形成されている。
第2押圧型48には、第2折曲部2215の出っ張りを象るための凹部48aが形成されている。また、第2押圧型48には、第1折曲部2214の窪みを象るための突起部48bが形成されている。
【0058】
このように形成された第1押圧型47,第2押圧型48により、拡幅部221を両側から挟み込み、圧力を加える。第1押圧型47の突起部47bと、第2押圧型48の突起部48bとが、拡幅部221を押圧することで、互いが反対方向に膨出する。そして、拡幅部221は、第1押圧型47の凹部47a内の空間形状、および第2押圧型48の凹部48a内の空間形状に合わせて折れ曲がる。このようにして、平板状で、プレスフィット端子部21より幅方向に広い拡幅部221を、厚み方向にプレスフィット端子部21より厚くした軸太部22yを形成することができる。
【0059】
次に、図31に示すように、プレスフィット端子部21と軸太部22yとの位置関係を変更して、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22yの仮想中心線L31とを、軸合わせ部24xにより同軸に合わせる。
本実施の形態3の軸太部22yは、仮想中心線L31を中心に、一側と他側との交互に、蛇行するように折り返しながら曲げられている。また、プレスフィット端子部21が連設部214,215を一側へ円弧状に折り曲げて形成されている。そのため、プレスフィット端子部21を、連設部214,215の折り曲げ側とは反対方向であって、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と直交する方向へ、シフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22yとが同軸に合わせられている。
【0060】
このように、軸太部22yの仮想中心線L31に合わせて、プレスフィット端子部21を一側とは反対側となる他側にシフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22yとを同軸とすることで、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11を、ピン部23の仮想中心線(図示せず)とも、一致させることができる。
【0061】
次に、図35および図36に示すように、金型(第1の金型43,第2の金型44)によりコネクタ端子20yを収容して型締めする。
コネクタ端子20yのプレスフィット端子部21を、第1の金型43の第1端子部収容室R1に収容することで、軸太部22yの全周に渡り連続して形成された閉鎖面22uが、第1端子部収容室R1の開口縁部R1aに接触して、プレスフィット端子部21への樹脂の流れ込みを防止する。
【0062】
軸太部22yの幅方向がプレスフィット端子部21より広い拡幅部221を、蛇行するように幅方向に折り曲げることで、軸太部22yの周囲面に閉鎖面22uを形成することができる。従って、コネクタ端子20yは、充填される樹脂圧にコネクタ端子20yが撓み、第1端子部収容室R1への連絡通路に隙間ができることがないので、プレスフィット端子部21への成形樹脂の浸入を確実に防止することができる。
このように、軸太部22yが形成されたコネクタ端子20により、樹脂バリが無いハウジング30を成形することができる。また、閉鎖面22u以外の部分に、突起部47b,48bにより形成された軸太部22yの凹部に樹脂が入り込むことで、コネクタ端子20とハウジング30とをより強固に一体化することができる。
【0063】
なお、本実施の形態3では、第1折曲部2214と第2折曲部2215とにより、閉鎖面22uが1箇所に形成されていたが、第3折曲部を形成したり、第4折曲部を形成したりすることで、閉鎖面を2箇所としたり、3箇所としたりして、閉鎖性を向上させて、第1端子部収容室R1への樹脂の浸入を防止するようにしてもよい。
【0064】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。なお、図37から図43においては、図17から図24と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態4に係る電気コネクタでは、コネクタ端子の軸太部として、拡幅部が、仮想中心線方向に肉厚を寄せることで、プレスフィット端子部より直径を大きくしたことを特徴とするものである。
【0065】
図37から図39に示すように、コネクタ端子20zは、プレスフィット端子部21と、ピン部23との間に、軸太部22zが形成されている。この軸太部22zは、円柱状に形成されている。
【0066】
ここで、コネクタ端子20zの製造方法について、図40および図41に基づいて説明する。
まず、プレスフィット端子部21が形成される側(図40においては軸棒20Aの下側の軸棒20L)を第1押圧型49の収容室49aに挿入する。また、ピン部23が形成される側(図40においては軸棒20Aの上側の軸棒20U)に第2押圧型50の収容室50aを被せる。そして、第2押圧型50を第1押圧型49に接近させるように、軸棒20Uに沿って押圧する。
【0067】
第1押圧型49の収容室49aは、横断面が軸棒20Lと同形状に形成されている。第2押圧型50の収容室50aは、横断面が軸棒20Uより小さく形成されている。また、収容室49a,50aは、突き合わせたときに軸太部22zとなる円柱状の空間ができるように、円形空間部49b,50bが形成されることで、開口部が拡がっている。
【0068】
このように第1押圧型49と第2押圧型50とが形成されているため、第2押圧型50を第1押圧型49に接近させるように、軸棒20Uに沿って押圧すると、軸棒20Uの肉厚が第2押圧型50の押圧と共に寄せられて、円形空間部49b,50bに円柱状の軸太部22zが形成される。また、肉厚が削られた軸棒20Uはピン部23となる。
【0069】
次に、軸棒20Lをプレス加工して薄く圧延して薄板状の平板を形成する。この平板を打ち抜き加工することで、図41に示すように、中軸部211と、接触片212と、連設部214,215とを形成する。
次に、中軸部211と、連設部214,215とを、折り曲げ加工することで、プレスフィット端子部21を形成する。
【0070】
次に、図39に示すように、プレスフィット端子部21と軸太部22zとの位置関係を変更して、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と軸太部22zの仮想中心線L41とを、軸合わせ部24xにより同軸に合わせる。
【0071】
本実施の形態4の軸太部22zは、仮想中心線L41を中心とした円柱状に形成されている。また、プレスフィット端子部21が連設部214,215を一側へ円弧状に折り曲げて形成されている。そのため、プレスフィット端子部21を、連設部214,215の折り曲げ側とは反対方向であって、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11と直交する方向へ、シフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22zとが同軸に合わせられている。
【0072】
このように、軸太部22zの仮想中心線L41に合わせて、プレスフィット端子部21を一側とは反対側となる他側にシフトさせて、プレスフィット端子部21と軸太部22zとを同軸とすることで、プレスフィット端子部21の仮想中心線L11を、ピン部23の仮想中心線(図示せず)とも、一致させることができる。
【0073】
このようにして、図37から図39に示すコネクタ端子20zが形成できる。
軸太部22zが円柱状であるため、軸太部22zの外周面が閉鎖面22vとすることができる。
【0074】
次に、図42および図43に示すように、金型(第1の金型51,第2の金型52)によりコネクタ端子20zを収容して型締めする。
コネクタ端子20zのプレスフィット端子部21を、第1の金型51の第1端子部収容室R1に収容することで、軸太部22yの全周に渡り連続して形成された閉鎖面22vが、第1端子部収容室R1の円形状の開口縁部R1aに接触して、プレスフィット端子部21への樹脂の流れ込みを防止する。
【0075】
第1端子部収容室R1の開口縁部R1aが円形状に形成され、軸太部22zが円柱状に形成されていることで、角部ができないため、隙間なく、閉鎖面22vが開口縁部R1aに接触するため、良好な閉鎖性を得ることができる。従って、空間Sに充填される樹脂が第1端子部収容室R1へ流れ込むことを、しっかりと防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、プリント基板に実装される部材として、電気・電子機器産業や自動車産業などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10,10x,10y 電気コネクタ
20,20x,20y,20z コネクタ端子
21 プレスフィット端子部
211 中軸部
212 接触片
213 接触部
214,215 連設部
22,22x,22y,22z 軸太部
22s,22t,22u,22v 閉鎖面
22a〜22d 第1の閉鎖面〜第4の閉鎖面
221 拡幅部
2211 第1折曲部
2212 第2折曲部
2213 隆起部
2213a 頭頂面
2213b 側面
2214 第1折曲部
2215 第2折曲部
221a 端部
221b 中央部
23 ピン部
24,24x 軸合わせ部
241 一端辺
242 他端辺
25 折り返し部
251 折り返し位置
30 ハウジング
31 ハウジング本体部
32 脚部
41 第1押圧型
42 第2押圧型
43 第1の金型
44 第2の金型
45 第1押圧型
46 第2押圧型
451,461 凹部
452,462 突起部
47 第1押圧型
48 第2押圧型
47a,48a 凹部
47b,48b 突起部
49 第1押圧型
49a 収容室
49b 円形空間部
50 第2押圧型
50a 収容室
50b 円形空間部
20A,20U,20L 軸棒
51 第1の金型
52 第2の金型
R1 第1端子部収容室
R1a 開口縁部
R2 第2端子部収容室
S 空間
L11,L12,L13,L21,L31,L41 仮想中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45