特許第6028767号(P6028767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028767
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】リング式紡機の糸継ぎ作業支援装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/16 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   D01H13/16 D
   D01H13/16 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-113935(P2014-113935)
(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-227520(P2015-227520A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水野 結介
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 豊
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−300730(JP,A)
【文献】 特開2013−067886(JP,A)
【文献】 実開平03−006473(JP,U)
【文献】 特開2008−311393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 31/00
D01H 13/14 〜 13/24
B65H 63/024 〜 63/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸切れ検出部を錘毎に備えたリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置であって、
糸継ぎ作業を行う作業員の位置を検出する位置検出部と、
糸切れ位置へ作業員を誘導する表示部と、
前記糸切れ位置と前記作業員の位置とに基づいて前記表示部の表示を制御する制御部とを備え
前記表示部は、錘毎に設けられる糸切れ表示ランプであり、前記糸切れ表示ランプは、作業員を糸切れ位置まで誘導する方向に順にフラッシュ点灯を行うことを特徴とするリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置。
【請求項2】
前記表示部は、糸切れ数の最も多い機台に前記作業員を優先誘導するように表示される請求項1に記載のリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置。
【請求項3】
前記表示部は、複数の機台において糸切れ数が同一の場合、前記作業員の位置に最も近い機台に前記作業員を優先誘導するように表示される請求項1に記載のリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング式紡機の糸継ぎ作業支援装置に係り、詳しくはリング精紡機やリング撚糸機等のリング式紡機において糸切れが発生した場合、作業員を糸継ぎ作業位置へ導くリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のリング式紡機が並設された紡績工場においては、糸切れが発生すると糸継ぎ作業員が糸継ぎ作業を行う。従来、糸切れ監視装置として、リング式巻取機の各錘に糸切れ信号に基づいて発光する発光素子を設けるとともに、全錘を複数のブロックに分けてブロック毎に表示ランプを設け、ブロックに属するいずれかの錘で糸切れが生じたときに当該ブロックの表示ランプを点灯させる装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、精紡機室の機台上方に、複数個が機台の長さ方向に沿って配置された作業用照明灯を設け、錘毎に設けた糸切れ検出装置の検出信号により糸切れ錘の位置を検出する糸切れ検出装置によって、糸切れが検出されない状態では該照明灯を消灯若しくは減光させ、糸切れを検出したとき点灯若しくは増光させるようにしたものが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−77166号公報
【特許文献2】特開昭56−159318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糸継ぎ作業員は複数の紡機を受け持っており、簡単な清掃作業も行いつつ糸継ぎ作業を行う。特許文献1の装置では、作業員は糸切れ錘で点灯中のランプにより、近傍の糸切れ箇所の認識は可能であるが、離れている他機台の糸切れ表示ランプは確認できない。このため作業員は巡回しながらランプを確認する必要があり、移動工数の無駄が発生し、また、確認の遅れにより糸切れが長時間放置される可能性があった。さらには、近年、精紡機の機台長が長くなってきており、同一の機台内にあっても遠くの錘の糸切れ表示ランプを確認することが困難となってきた。
【0006】
一方、特許文献2の装置では、作業員は作業用照明灯の点灯状態から糸切れが発生した精紡機の位置を確認するようになっている。しかし、この構成では、他の作業員が糸継ぎ以外の作業を行うために作業用照明灯を点灯した場合、糸継ぎ作業員が糸切れ発生と誤認して無駄に移動するため、作業効率が悪くなる。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、糸継ぎ作業員の移動工数の無駄を抑制するとともに、作業員が糸切れ錘の確認を確実に行うことができるリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置は、糸切れ検出部を錘毎に備えたリング式紡機の糸継ぎ作業支援装置であって、糸継ぎ作業を行う作業員の位置を検出する位置検出部と、糸切れ位置へ作業員を誘導する表示部と、前記糸切れ位置と前記作業員の位置とに基づいて前記表示部の表示を制御する制御部とを備え、前記表示部は、錘毎に設けられる糸切れ表示ランプであり、前記糸切れ表示ランプは、作業員を糸切れ位置まで誘導する方向に順にフラッシュ点灯を行う
【0009】
この構成によれば、制御部は、位置検出部の検出信号に基づいて、作業員の位置を認識する。また、糸切れが発生すると、制御部は、糸切れ検出部の検出信号に基づいて糸切れ位置を確認し、作業員を糸切れ位置へ誘導するように表示部を制御する。そして、作業員は表示部の表示に誘導されて糸切れ錘の糸切れ表示ランプの点灯を確認できる位置まで無駄なく移動することができる。したがって、糸継ぎ作業員の移動工数の無駄を抑制するとともに、作業員が糸切れ錘の確認を確実に行うことができる。
【0010】
また、紡機に装備されている糸切れ表示ランプを作業者を誘導するための表示部として利用するため、専用の表示部を新たに設ける必要がない。
【0011】
前記表示部は、糸切れ数の最も多い機台に前記作業員を優先誘導するように表示されることが好ましい。糸切れが複数の機台で発生し、機台によって糸切れ錘数が異なる場合があるが、糸切れ数の最も多い機台に作業員を優先誘導することにより、糸切れ錘が糸切れ状態で放置される平均時間が短くなる。
【0012】
前記表示部は、複数の機台において糸切れ数が同一の場合、前記作業員の位置に最も近い機台に前記作業員を優先誘導するように表示されることが好ましい。糸切れ数が同一の場合、遠い機台の糸継ぎを先に行うと、糸継ぎ位置までの作業員の移動時間が掛かり、近い位置の糸切れ錘を先に糸継ぎする場合に比べて、糸切れ錘が糸切れ状態で放置される平均時間が長くなる。しかし、この構成の場合は、表示部が作業員の位置に最も近い機台に作業員を優先誘導するように表示されるため、糸切れ錘が糸切れ状態で放置される平均時間が短くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、糸継ぎ作業員の移動工数の無駄を抑制するとともに、作業員が糸切れ錘の確認を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は一実施形態における精紡機及び位置検出部の配置状態を示す概略平面図、(b)は精紡機の錘、糸切れセンサ及び表示部の配置を示す概略平面図。
図2】従来装置の作用を説明する模式図。
図3】実施形態の作用を説明する模式図。
図4】別の実施形態の大型ランプの配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、リング式紡機としてのリング精紡機11は複数台並設されており、図1(b)に示すように、各リング精紡機11には錘12毎に糸切れ検出部としての糸切れセンサ13が設けられている。リング精紡機11には、錘12毎に糸切れ表示ランプ14が設けられている。糸切れ表示ランプ14としてLED(発光ダイオード)が使用されている。また、リング精紡機11の両端部には大型ランプ15が設けられている。この実施形態では、糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15は、糸切れ位置へ作業員を誘導する表示部としても機能する。
【0016】
各リング精紡機11の両端部には、左右両側に作業員の位置を検出する位置検出部としての2個の人感センサ16,17がそれぞれ設けられている。各人感センサ16,17は、リング精紡機11の長手方向における端部寄りに第1の人感センサ16が配置され、第1の人感センサ16よりリング精紡機11の長手方向の内側に第2の人感センサ17が配置されている。人感センサ16,17として赤外線センサが使用されている。
【0017】
各リング精紡機11の一端には制御装置18が設けられている。制御装置18は、図示しない信号線を介して糸切れセンサ13に接続され、糸切れセンサ13の検出信号が入力される。制御装置18は、図示しない信号線を介して人感センサ16,17に接続され、人感センサ16,17の検出信号が入力される。制御装置18は、第1の人感センサ16→第2の人感センサ17の順で検出信号が入力された場合は、作業者が進入したと判断する。また、逆に、第2の人感センサ17→第1の人感センサ16の順で検出信号が入力された場合は、作業者が退出したと判断する。
【0018】
各制御装置18はローカルエリアネットワーク(LAN)19を介してホストコンピュータ20と接続されている。ホストコンピュータ20は、CPU21及びメモリ22を備えている。ホストコンピュータ20は、各制御装置18から各リング精紡機11の糸切れセンサ13の情報が入力され、常に糸切れ発生機台及び糸切れ錘の位置を把握する。ホストコンピュータ20は、各制御装置18から各リング精紡機11の人感センサ16,17の検出信号が入力され、作業員がどのリング精紡機11の機台長手方向に沿った位置にいるかを判断する。
【0019】
制御装置18及びホストコンピュータ20は、糸切れ位置と作業員の位置とに基づいて表示部としての糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の表示を制御する制御部を構成する。ホストコンピュータ20は、1台のリング精紡機11でのみ糸切れが発生している状態では、そのリング精紡機11の制御装置18に大型ランプ15の点灯指示と、糸切れ表示ランプ14を糸切れ位置へ作業員を誘導する表示部として後述するフラッシュ点灯をさせる指示とを行う。制御装置18はその指示に基づいて大型ランプ15及び糸切れ表示ランプ14を点灯させる。
【0020】
ホストコンピュータ20は、複数のリング精紡機11において糸切れが発生している状態で、かつ糸切れ数が機台によって異なる場合は、糸切れ数の最も多い機台に作業員を優先誘導するように、表示部即ち糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の表示を制御する指令を制御装置18に出力する。
【0021】
ホストコンピュータ20は、複数のリング精紡機11において糸切れが発生している状態で、複数の機台において糸切れ数が同一の場合、作業員の位置に最も近い機台に作業員を優先誘導するように、表示部即ち糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の表示を制御する指令を制御装置18に出力する。
【0022】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
紡績工場には多数のリング精紡機11が並設されており、作業員は決められた複数台を担当する。作業員が6台のリング精紡機11を担当する場合を例に説明する。
【0023】
図2に従来装置の作用を説明する模式図を示す。従来は、リング精紡機11が運転されると、各錘12の糸切れセンサ13が錘12の糸切れの有無を検出し、糸切れが発生すると糸切れ錘12aの糸切れ表示ランプ14が点灯され、糸切れが発生したリング精紡機11の大型ランプ15が点灯される。大型ランプ15は糸切れ錘の存在する機台では糸切れ数に関係なく点灯する。例えば、No.1〜No.6の6台の機台のうち、No.3〜No.5の3台のリング精紡機11で糸切れが発生し、No.3、No.4の2台のリング精紡機11では糸切れ数が1で、No.5のリング精紡機11では糸切れ数が2の状態の場合、糸切れ数に拘わらず、糸切れ錘12aが存在するNo.3〜No.5の大型ランプ15が点灯した状態になる。
【0024】
この状態で、例えば、作業員が△印の位置、即ちNo.2とNo.3の機台の間に居た場合、作業員はNo.3の機台の大型ランプ15の点灯に気付く。そして、No.3の機台の自分が居る側の糸切れ表示ランプ14が点灯していないか確かめながら移動する。そして、No.3の機台の端部まで移動した後、No.3とNo.4の機台の間に進入し、点灯している糸切れ表示ランプ14を探して、糸切れ錘12aで糸継ぎ作業を行う。そのため、No.5の機台では複数錘で糸切れが発生しているにも拘わらず、糸継ぎ作業が後回しになる。
【0025】
一方、図3に示すように、この実施形態の糸継ぎ作業支援装置においては、同じ状況、即ち、作業員が△印の位置、即ちNo.2とNo.3の機台の間に居り、No.3とNo.4の機台では糸切れ数が1で、No.5の機台では複数錘で糸切れが発生している状態であっても、糸切れ錘12aが存在する機台の大型ランプ15が同時に全て点灯することはない。ホストコンピュータ20は、リング精紡機11の運転中、各リング精紡機11の糸切れセンサ13の検出情報及び人感センサ16,17の検出情報に基づいて各リング精紡機11の糸切れ状態及び作業員の位置を把握している。そして、ホストコンピュータ20(CPU21)は、糸切れ錘12aをどのような順で作業員が糸継ぎ作業を行うと、全ての糸継ぎが完了するまでに、糸切れ錘12aが糸切れ状態で放置される平均時間が短くなるかを基準に、作業員が優先的に糸継ぎを行う機台及び糸切れ錘12aを決定する。そして、糸継ぎを行うべき糸切れ位置へ作業員を誘導するように糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の点灯を行うように、対応するリング精紡機11の制御装置18へ糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の点灯指令を行う。
【0026】
ホストコンピュータ20は、複数の機台で糸切れが発生している状態では、糸切れ数の最も多い機台に作業員を優先誘導するように表示部を駆動させるため、糸切れ数が最も多いNo.5の機台の大型ランプ15を点灯させるように、No.5の機台の制御装置18に大型ランプ15の点灯指令を出力する。また、ホストコンピュータ20は、No.5の機台の糸切れ錘12aの位置まで作業員を誘導するため、糸切れ錘12aの糸切れ表示ランプ14は連続点灯させ、糸切れ錘12a以外の錘12の糸切れ表示ランプ14は、図3に白抜き矢印で示す方向に、各糸切れ表示ランプ14を順にフラッシュ点灯させる点灯指令をNo.5の機台の制御装置18に出力する。また、作業員をNo.2とNo.3の機台の間から退出させるために、ホストコンピュータ20は、No.2及びNo.3の機台の糸切れ表示ランプ14を作業員の位置と推定される位置の近くを境に2グループに分け、各グループの糸切れ表示ランプ14を図3に白抜き矢印で示す方向に、順にフラッシュ点灯させる点灯指令をNo.2とNo.3の機台の制御装置18に出力する。
【0027】
その結果、No.5の機台の大型ランプ15が点灯され、No.2とNo.3の機台の糸切れ表示ランプ14及びNo.5の機台の糸切れ表示ランプ14は、フラッシュ点灯される状態になる。そして、作業員は、No.2とNo.3の機台の糸切れ表示ランプ14のフラッシュ点灯に誘導されて機台間から退出し、No.5の機台の大型ランプ15の点灯に導かれてNo.5の機台の端部まで移動した後、No.5の機台の糸切れ表示ランプ14のフラッシュ点灯に誘導されて糸切れ作業を行う糸切れ錘12aまで移動する。
【0028】
No.5の機台の糸切れ錘12aの糸継ぎ作業が完了すると、糸切れ数が1で同じのNo.3とNo.4の機台が存在する状態になる。ホストコンピュータ20は、複数の機台において糸切れ数が同一の場合、作業員の位置に最も近い機台に作業員を優先誘導するように表示部の表示を行う。作業員はNo.4とNo.5の機台の間に居るため、ホストコンピュータ20は作業員をNo.4の機台の糸切れ錘12aが存在する側、即ちNo.3とNo.4の機台の間に誘導するように、糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15の点灯を制御する制御指令をNo.4の機台の制御装置18に出力する。また、No.5の機台の制御装置18には作業員を機台の外へ誘導する方向に糸切れ表示ランプ14を順にフラッシュ点灯させる点灯指令を出力する。作業員は糸切れ表示ランプ14のフラッシュ点灯に誘導されてNo.4とNo.5の機台の間から退出し、No.4の機台の大型ランプ15の点灯を確認して、No.4とNo.3の機台の間を見る。そして、No.4の機台の糸切れ表示ランプ14のフラッシュ点灯に誘導されて、糸切れ作業を行う糸切れ錘12aまで移動する。
【0029】
そして、作業員によるNo.4の機台の糸継ぎ作業が終了すると、ホストコンピュータ20は、No.3の機台の糸切れ錘12aへ作業員を誘導するように表示部の表示を行う。図3に示すように、No.3の機台の糸切れ錘12aの位置は、No.3とNo.4の機台の間であり、No.4の機台の糸継ぎ作業が終了した時点では、ホストコンピュータ20は作業員がNo.3とNo.4の機台の間に居ることを認識している。そのため、ホストコンピュータ20は、No.3の機台の制御装置18に対して、大型ランプ15と糸切れ錘12aの糸切れ表示ランプ14は連続点灯させ、糸切れ錘12a以外の錘12の糸切れ表示ランプ14は作業員を糸切れ錘12aまで誘導する方向に順にフラッシュ点灯を行わせる制御指令を出力する。作業員は糸切れ表示ランプ14のフラッシュ点灯に誘導されて、糸切れ作業を行う糸切れ錘12aまで移動する。
【0030】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)糸継ぎ作業支援装置は、糸切れ検出部(糸切れセンサ13)を錘12毎に備えたリング精紡機11の糸継ぎ作業支援装置である。そして、糸継ぎ作業を行う作業員の位置を検出する位置検出部(人感センサ16,17)と、糸切れ位置へ作業員を誘導する表示部(糸切れ表示ランプ14及び大型ランプ15)と、糸切れ位置と作業員の位置とに基づいて表示部の表示を制御する制御部(ホストコンピュータ20及び制御装置18)とを備える。
【0031】
この構成によれば、制御部は、位置検出部の検出信号に基づいて、作業員の位置を認識する。また、糸切れが発生すると、制御部は、糸切れ検出部の検出信号に基づいて糸切れ位置を確認し、作業員を糸切れ位置へ誘導するように表示部を制御する。そのため、作業員は表示部の表示に誘導されて糸切れ錘12aの糸切れ表示ランプ14の点灯を確認できる位置まで無駄なく移動することができる。したがって、糸継ぎ作業員の移動工数の無駄を抑制するとともに、作業員が糸切れ錘12aの確認を確実に行うことができる。
【0032】
(2)表示部は、糸切れ表示ランプ14である。糸切れ表示ランプ14は、作業員を糸切れ錘12aまで誘導する方向に順にフラッシュ点灯を行う。この構成によれば、リング精紡機11に装備されている糸切れ表示ランプ14を誘導のための表示部として利用するため、専用の表示部を新たに設ける必要がない。
【0033】
(3)表示部は、糸切れ数の最も多い機台に作業員を優先誘導するように表示される。糸切れが複数の機台で発生し、機台によって糸切れ数が異なる場合があるが、糸切れ数の最も多い機台に作業員を優先誘導することにより、糸切れ錘12aが糸切れ状態で放置される平均時間が短くなる。
【0034】
(4)表示部は、複数の機台において糸切れ数が同一の場合、作業員の位置に最も近い機台に作業員を優先誘導するように表示される。糸切れ数が同一の場合、遠い機台の糸継ぎを先に行うと、糸継ぎ位置までの作業員の移動時間が掛かり、近い位置を先に糸継ぎする場合に比べて、糸切れ錘12aが糸切れ状態で放置される平均時間が長くなる。しかし、表示部が作業員の位置に最も近い機台に作業員を優先誘導するように表示されるため、糸切れ錘12aが糸切れ状態で放置される平均時間が短くなる。
【0035】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 各リング精紡機11の制御装置18をホストコンピュータ20と接続する代わりに、各制御装置18を通信装置で接続し、1台の制御装置18をホストコンピュータとして機能させてもよい。
【0036】
○ 粗糸交換などの他の作業を行う作業員と糸継ぎ作業員とを判別するため、RFIDシステム(Radio Frequency Identification System )を各リング精紡機11の機台端に搭載し、糸継ぎ作業員のみにRFIDタグをもたせることで、糸継ぎ作業員と他の作業員とを間違わずに認識できるようにしてもよい。
【0037】
○ 作業員をリング精紡機11の機台長手方向に沿って誘導する表示部として、糸切れ表示ランプ14を利用せずに、専用の表示部を設けてもよい。専用の表示部として、例えば、矢印の表示ランプを設けてもよい。
【0038】
○ 作業員をリング精紡機11の機台長手方向に沿って誘導する専用の表示部として普通(矢印などの表示のない)の表示ランプを糸切れ表示ランプ14とは別に複数設け、作業員を糸切れ錘12aまで誘導する方向に順にフラッシュ点灯を行わせてもよい。表示ランプの配置間隔は、錘12の間隔より広くてもよい。
【0039】
図4に示すように、リング精紡機11の両端部に、それぞれ2個の大型ランプ15を機台の幅方向に沿って設けてもよい。この場合、各リング精紡機11において糸切れ錘12aが発生している側の大型ランプ15を点灯させることにより、作業員は大型ランプ15の点灯状態から機台のいずれの側で糸切れが発生した状態にあるのかを容易に確認することができる。
【0040】
○ GPS(Global Positioning System )を使用して作業員の位置を把握してもよい。
○ ホストコンピュータ20は、人感センサ16,17の検出信号に基づいて作業員が糸切れ錘12aが存在するリング精紡機11の長手方向に沿った位置に進入したことを確認した時点から、作業員の位置の推定を行ってもよい。即ち、予め設定されている作業員の移動速度と経過時間とから、作業員の位置を推定する。そして、機台長が長いリング精紡機11の長手方向に沿って作業員を誘導する表示部(例えば、糸切れ表示ランプ14)をフラッシュ点灯させる場合、糸切れ錘12a以外の錘12の糸切れ表示ランプ14を全て駆動する代わりに、作業者の近くの糸切れ表示ランプ14を順次選択的に駆動するように、制御装置18に制御指令を出力する。この構成では、糸切れ表示ランプ14を表示部として駆動する場合の電力消費が少なくなる。
【0041】
○ 人感センサは赤外線センサに限らず、例えば、静電容量センサであってもよい。
○ リング式紡機はリング精紡機11に限らず、例えば、リング撚糸機であってもよい。
【0042】
○ 2個の人感センサ16,17の検出信号に基づいて作業員の進入又は退出を判断するのに代えて、人感センサの数はリング精紡機11の両端に1つずつとし、ホストコンピュータ20が人感センサの入力順から作業員の進入又は退出を判断するようにしてもよい。例えば、最初に人感センサから検出信号が出力されたら作業者が進入したと判断し、その後、再び人感センサから検出信号が出力されたら作業者が退出したと判断する。
【符号の説明】
【0043】
11…リング式紡機としてのリング精紡機、12…錘、13…糸切れ検出部としての糸切れセンサ、14…表示部を構成する糸切れ表示ランプ、15…表示部を構成する大型ランプ、16,17…位置検出部としての人感センサ、18…制御部を構成する制御装置、20…制御部を構成するホストコンピュータ。
図1
図2
図3
図4