(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関(10)の排気に含まれるNOxを還元触媒上で浄化するNOx浄化装置(15)が排気通路(10ex)に備えられた燃焼システムに設けられ、前記排気通路のうち前記還元触媒の上流側へ高活性物質を添加する高活性物質添加装置において、
液体の炭化水素を気化室(36a)へ供給する炭化水素供給手段(33)と、
前記気化室に供給された前記液体の炭化水素を加熱して気化させる加熱手段(34)と、
前記炭化水素供給手段および前記加熱手段を作動させることで、前記高活性物質としての改質還元剤を生成させる改質制御手段(S25、S26)と、
前記炭化水素供給手段の作動を停止させつつ前記加熱手段を作動させ、かつ、前記気化室に空気を流入させることで、前記液体の炭化水素のうち気化されずに前記気化室に堆積した成分を燃焼させて除去するクリーニング制御手段(S60)と、
少なくとも酸素を含んだ酸素ガスを放電により電離させる電極(21)を有し、前記加熱手段により気化された気体の炭化水素を、電離させた酸素ガスにより酸化させて前記高活性物質としての改質還元剤を生成させる放電リアクタ(20)と、
前記気化室を内部に形成する気化ケース(36)と、
を備え、
前記放電リアクタは、前記気体の炭化水素が前記気化室から前記放電リアクタへ供給されるように配置され、
前記気化ケースは、
前記改質制御手段の実行時に、気化した炭化水素を前記気化室から前記放電リアクタへ流出させる炭化水素流出口(36b)と、
前記クリーニング制御手段の実行時に、前記気化室へ空気を流入させる空気流入口(36d)と、
を有し、
前記空気流入口は、前記炭化水素流出口よりも下方に位置することを特徴とする高活性物質添加装置。
前記気体の炭化水素と前記放電リアクタへ供給する酸素ガスとを混合させる混合室(31a)を形成するとともに、混合した気体を前記放電リアクタへ供給する混合容器(31)を備え、
前記酸素ガスとして用いる空気を前記混合室へ導く空気通路(35a、30c、30a)から、前記気化室へ空気を導く分岐通路(35b、35c、35d)が分岐するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の高活性物質添加装置。
少なくとも酸素を含んだ酸素ガスを放電により電離させる電極(21)を有し、前記加熱手段により気化された気体の炭化水素を、電離させた酸素ガスにより酸化させて前記高活性物質としての改質還元剤を生成させる放電リアクタ(20)を備え、
前記放電リアクタは、前記気体の炭化水素が前記気化室から前記放電リアクタへ供給されるように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の高活性物質添加装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示す燃焼システムは、以下に詳述する内燃機関10、過給機11、微粒子捕集装置(DPF14)、NOx浄化装置15、還元剤浄化装置(DOC16)および高活性物質添加装置を備える。燃焼システムは車両に搭載されたものであり、当該車両は、内燃機関10の出力を駆動源として走行する。内燃機関10は、圧縮自着火式のディーゼルエンジンであり、燃焼に用いる燃料には軽油を用いている。
【0014】
過給機11は、タービン11a、回転軸11bおよびコンプレッサ11cを備える。タービン11aは、内燃機関10の排気通路10exに配置され、排気の運動エネルギにより回転する。回転軸11bは、タービン11aおよびコンプレッサ11cの各インペラを結合することで、タービン11aの回転力をコンプレッサ11cに伝達する。コンプレッサ11cは、内燃機関10の吸気通路10inに配置され、吸気を圧縮して内燃機関10へ過給する。
【0015】
吸気通路10inのうちコンプレッサ11cの下流側には、コンプレッサ11cで圧縮された吸気を冷却する冷却器12が配置されている。冷却器12により冷却された圧縮吸気は、スロットルバルブ13により流量調整された後、吸気マニホールドにより内燃機関10の複数の燃焼室へ分配される。
【0016】
複数の燃焼室から排出された排気は、排気マニホールド10mにより集合される。排気マニホールド10mには、排気の一部をEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスとして吸気通路10inへ還流させる還流配管10egrが取り付けられている。このようにEGRガスを吸気に混合させることで、燃焼室での燃焼温度を低下させてNOx低減が図られる。還流配管10egrには、EGRクーラ17およびEGRバルブ18が取り付けられている。EGRクーラ17は、EGRガスを冷却することで燃焼温度をさらに低下させてNOx低減を促進させる。EGRバルブ18は、ECU80により制御され内燃機関10の運転状態に応じてEGRガスの流量を制御する。
【0017】
排気通路10exのうちタービン11aの下流側には、DPF14(Diesel Particulate Filter)、NOx浄化装置15、DOC16(Diesel Oxidation Catalyst)が順に配置されている。DPF14は、排気に含まれている微粒子を捕集する。排気通路10exのうちDPF14の下流側かつNOx浄化装置15の上流側には、高活性物質添加装置の供給管24が接続されている。この供給管24から排気通路10exへ、高活性物質添加装置により生成された改質還元剤が添加される。改質還元剤とは、還元剤として用いる炭化水素(燃料)を部分的に酸化して部分酸化炭化水素に改質したものであり、
図5を用いて後に詳述する。
【0018】
NOx浄化装置15は、還元触媒を担持するハニカム状の担体15bと、担体15bを内部に収容するハウジング15aとを備える。NOx浄化装置15は、排気中のNOxを還元触媒上で改質還元剤と反応させてN
2に還元することで、排気に含まれているNOxを浄化する。なお、排気中にはNOxの他にO
2も含まれているが、改質還元剤はO
2存在下においてNOxと選択的に反応する。
【0019】
還元触媒には、NOxを吸着する機能を有したものが用いられている。詳細には、還元反応が可能となる活性化温度よりも触媒温度が低い場合には、還元触媒は排気中のNOxを吸着する機能を発揮する。そして、触媒温度が活性化温度以上の場合には、吸着されていたNOxは改質還元剤により還元されて、還元触媒から放出される。例えば、担体15bに担持された銀アルミナによる還元触媒により、NOx吸着機能を有したNOx浄化装置15が提供される。
【0020】
DOC16は、酸化触媒を担持する担体をハウジング内に収容して構成されている。DOC16は、還元触媒上にてNOx還元に用いられずにNOx浄化装置15から流出した還元剤を、酸化触媒上で酸化する。これにより、排気通路10exの出口から還元剤が大気に放出されることを防止する。なお、酸化触媒の活性化温度(例えば200℃)は、還元触媒の活性化温度(例えば250℃)よりも低い。
【0021】
次に、改質還元剤を生成して供給管24から排気通路10exへ添加する高活性物質添加装置について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0022】
高活性物質添加装置は、排気通路10exの外部に配置されており、以下に詳述する放電リアクタ20、燃料噴射弁33、電気ヒータ34、高温吸気配管10h、低温吸気配管10c、熱交換器10aおよび電子制御装置(ECU80)を備える。放電リアクタ20、燃料噴射弁33および電気ヒータ34への通電は、ECU80が備えるマイクロコンピュータ(マイコン81)により制御される。
【0023】
放電リアクタ20は、内部に流通路22aを形成するハウジング22を備え、流通路22aには複数の電極21が配置されている。これらの電極21は、互いに平行に対向するように配置された平板形状であり、高電圧が印加される電極と接地電圧の電極とが交互に配置されている。
【0024】
放電リアクタ20の上流側には、連結部材30が取り付けられており、連結部材30の内部空間30aには、混合室31aを内部に形成する筒状の混合容器31が配置されている。混合容器31の下流側開口部は、矩形形状であり、ハウジング22により形成される流通路22aに接続される。混合容器31の上流側開口部は、連結部材30に設けられた筒状部材30bの開口部と同一の矩形形状であり、混合容器31の上流側開口部と筒状部材30bの開口部とは対向する。
【0025】
したがって、混合容器31と筒状部材30bとの間に形成された隙間CLを介して、混合室31aと内部空間30aとは連通する。詳細には、流通路22aに連通する混合室31aの周囲には内部空間30aが存在する。そして、内部空間30aの空気が、環状の隙間CLを通じて混合室31aへ流入し、流通路22aおよび供給管24へと順に流れるように構成されている。
【0026】
連結部材30の上流側には、後に詳述する気化ケース36、燃料噴射弁33、電気ヒータ34および温度センサ37を保持する保持部材35が取り付けられている。保持部材35の下方部分には第1空気通路35aが形成されている。一方、連結部材30の下方部分には第2空気通路30cが形成されており、第2空気通路30cの下流端は内部空間30aと連通し、第2空気通路30cの上流端は第1空気通路35aと連通する。保持部材35には、高温吸気配管10hまたは低温吸気配管10cから導入された空気を第1空気通路35aへ流通させる空気配管32が接続されている。
【0027】
以上により、高温吸気配管10hまたは低温吸気配管10cから空気配管32へ導入された空気は、第1空気通路35a、第2空気通路30c、内部空間30aおよび隙間CLを順に流れて混合室31aへ流入する。酸素ガスとして用いる空気を混合室31aへ導く「空気通路」は、第1空気通路35a、第2空気通路30cおよび内部空間30aにより提供される。
【0028】
高温吸気配管10hおよび低温吸気配管10cは、コンプレッサ11cで圧縮された吸気の一部を、吸気通路10inから分岐させて空気配管32へ導入する。高温吸気配管10hは、吸気通路10inのうち冷却器12の上流部分から、冷却器12で冷却される前の高温の吸気を分岐させる。低温吸気配管10cは、吸気通路10inのうち冷却器12の下流部分から、冷却器12で冷却された後の低温の吸気を分岐させる。これらの高温吸気または低温吸気には酸素分子が含まれており、以下、このように少なくとも酸素を含むガスのことを単に酸素ガスと呼ぶ。
【0029】
図1に示すように、高温吸気配管10hには熱交換器10aが取り付けられている。熱交換器10aにより、還流配管10egr内を流通する高温のEGRガスと、熱交換器10a内を流通する高温吸気とが熱交換する。よって、高温吸気はEGRガスにより加熱される。つまり、熱交換器10aは、放電リアクタ20へ供給される酸素ガスを加熱する「酸素ガス加熱手段」を提供する。
【0030】
低温吸気配管10cおよび高温吸気配管10hは、切替バルブ32aを通じて空気配管32に接続されている。切替バルブ32aは、低温吸気配管10cおよび高温吸気配管10hのいずれか一方を空気配管32に連通させるよう、マイコン81により制御されて駆動する。
【0031】
気化ケース36は、断面円形の気化室36aを内部に形成する(
図3、
図4参照)。気化室36aには、気化室36aの軸方向(
図2の左右方向)に沿って棒状に延びる、電気ヒータ34の加熱面34aが配置されている。また、気化室36aのうち加熱面34aの上方には、温度センサ37の検出部37aが配置されており、温度センサ37は、気化室36aのうち加熱面34aの上方部分の温度を、電気ヒータ34による実際の加熱度合いとして検出する。
【0032】
気化ケース36の周壁の上方部分には開口部36cが形成されており、開口部36cの上方には燃料噴射弁33が配置されている。燃料噴射弁33の噴孔33a(
図4参照)から噴射された霧状の液体燃料は、開口部36cを通じて気化室36aへ流入し、加熱面34aに噴き付けられる。
【0033】
気化室36aに流入した液体燃料は、電気ヒータ34により加熱されて気化する。また、加熱面34aは、気化された燃料をさらに加熱することで、炭素数の少ない炭化水素に燃料を分解するクラッキングを生じさせる。例えば、軽油がクラッキングされる温度(350℃〜500℃)に燃料を加熱するよう、マイコン81が電気ヒータ34への通電を制御する。クラッキングされた燃料は沸点が低くなり凝縮しにくくなる。
【0034】
気化してクラッキングされた燃料は、気化ケース36の軸方向先端部分に形成された複数の噴出口36bから噴出する。噴出口36bから噴出した気体燃料は、空気配管32等により導入された空気(酸素ガス)と混合室31aで混合し、その後、放電リアクタ20へ流入する。気化した燃料である炭化水素を気化室36aから放電リアクタ20へ流出させる「炭化水素流出口」は、噴出口36bにより提供される。
【0035】
燃料噴射弁33、電気ヒータ34および温度センサ37は、図示しないシール材を介して気化ケース36に取り付けられている。したがって、気化室36aのうち空気流入口36dおよび噴出口36bを除く部分については、密閉された空間になっている。よって、改質制御時に燃料が気化すると気化室36aが高圧になる。
【0036】
なお、燃料タンク33t内の液体燃料は、ポンプ33pにより燃料噴射弁33に供給され、燃料噴射弁33の噴孔33aから噴射されて減圧することにより、微粒化された状態で気化室36aへ供給される。つまり、燃料噴射弁33は、液体の炭化水素を気化室36aへ供給する「炭化水素供給手段」を提供するとともに、液体燃料を微粒化する「微粒化手段」も提供しており、例えば、液体燃料の粒径を60μm以下の噴霧状態にして噴射する。
【0037】
燃料タンク33t内の燃料は、先述した燃焼用の燃料としても用いられており、内燃機関10の燃焼に用いる燃料と、還元剤として用いる燃料は共用される。燃料噴射弁33は、電磁ソレノイドによる電磁力により開弁作動させる構造であり、その電磁ソレノイドへの通電はマイコン81により制御される。
【0038】
気化ケース36内へ噴射される液体燃料の単位時間当たりの噴射量が、単位時間当たりに気化する気化量よりも多くなると、気化ケース36内に液体燃料が貯留されることとなる。この場合、気化ケース36は、噴射された液体燃料を気化するまで一時的に貯留する貯留槽を提供する。但し、貯留される燃料の液面が開口部36cの最下端部36eに達することのないよう、噴孔33aからの燃料噴射量は制御される。
【0039】
保持部材35には、第1空気通路35aから分岐する分岐通路が形成されている。この分岐通路は、第1分岐通路35b、第2分岐通路35cおよび第3分岐通路35dから構成されている。第1分岐通路35bは、第1空気通路35aから分岐して上下方向に延びる(
図2参照)。第2分岐通路35cは、第1分岐通路35bの上端から、気化ケース36の底面に沿って水平方向に延びる(
図2、
図3参照)。第3分岐通路35dは、第2分岐通路35cの下流端から、気化ケース36の外周面に沿って上方に延びる(
図2、
図4参照)。
【0040】
図4に示すように、第3分岐通路35dの上端(下流端)は、気化ケース36の開口部36cと連通する。よって、開口部36cのうち第3分岐通路35dと連通する部分が、空気流入口36dに相当する。また、気化ケース36の周壁のうち開口部36cを形成する端面が、空気流入口36dの最下端部36eに相当する。そして、空気流入口36dは噴出口36bよりも下方に位置する。より具体的には、空気流入口36dの最下端部36eが、噴出口36bの入口の最下端部よりも下方に位置する。
【0041】
また、空気流入口36dは、燃料噴射弁33の噴孔33aから噴射される範囲の外に配置されている。この噴射範囲は、加熱面34aのうち、
図2において噴孔33aから延びる2本の点線で囲まれる範囲である。要するに、第1分岐通路35bの直上位置から
図2の左側にずらした位置に、空気流入口36dを位置させている。
【0042】
第2空気通路30cには、空気の流量を減少させる絞り部30dが設けられている。そのため、第1空気通路35aの圧力よりも内部空間30aの圧力が低くなり、混合室31aの圧力は低下する。噴出口36bは混合室31aに位置するので、混合室31aの圧力が低下すると、気化室36a内の気体燃料は噴出口36bから噴出されやすくなる。
【0043】
気体燃料と空気とが混合室31aにて混合した混合気は、放電リアクタ20の電極21間の電極間通路21aを流通し、供給管24を通じて排気通路10exへ添加される。放電リアクタ20は、混合気に含まれる燃料(炭化水素)を酸化させて改質還元剤を生成する。以下、
図5を用いてその生成反応について説明する。
【0044】
先ず、
図5中の符号(1)に示すように、電極21から放出された電子が、混合気に含まれる酸素ガス(酸素分子)に衝突する。すると、酸素分子は電離して活性酸素の状態になる(符号(2)参照)。次に、活性酸素は、混合気に含まれる気体燃料(炭化水素)と反応して炭化水素を部分的に酸化する(符号(3)参照)。これにより、炭化水素が部分的に酸化された状態の改質還元剤が生成される(符号(4)参照)。改質還元剤の具体例としては、炭化水素の一部がヒドロキシ基(OH)、アルデヒド基(CHO)に酸化された状態の部分酸化物が挙げられる。
【0045】
さらに放電リアクタ20は、燃料噴射弁33による燃料噴射が停止されて燃料が流入していない状態では、
図6に示すようにオゾンを活発に生成するようになる。すなわち、先ず、電極21から放出された電子が、導入されてくる酸素ガス(酸素分子)に衝突する(符号(1)参照)。すると、酸素分子は電離して活性酸素の状態になる(符号(2)参照)。そして活性酸素は、送風されてくる酸素分子と反応して酸化する(符号(5)参照)。
【0046】
要するに、電極21に電圧を印加して酸素ガスが導入される状態にすれば、放電リアクタ20は、酸素ガスをグロー放電によりプラズマ状態にして、酸素分子を電離させて活性酸素にする。そして、この状態で噴出口36bから燃料が噴出されていれば、放電リアクタ20は活性酸素により燃料を部分的に酸化させて改質還元剤を生成する。一方、噴出口36bからの燃料噴出が停止されていれば、放電リアクタ20は活性酸素により酸素ガスからオゾンを生成する。生成された改質還元剤またはオゾンは、酸素ガスの供給圧力、つまりコンプレッサ11cによる圧力により、電極21間の電極間通路21aから流出し、供給管24を通じて排気通路10exへ添加される。
【0047】
ECU80が備えるマイコン81は、プログラムを記憶する記憶装置と、記憶されたプログラムにしたがって演算処理を実行する中央演算処理装置と、を備える。ECU80は、各種センサの検出値に基づき内燃機関10の作動を制御する。上記各種センサの具体例として、アクセルペダルセンサ(図示せず)、機関回転速度センサ(図示せず)、スロットル開度センサ(図示せず)、吸気圧センサ(図示せず)、吸気量センサ95、排気温度センサ96等が挙げられる。
【0048】
アクセルペダルセンサは、ユーザのアクセルペダル踏込量を検出する。機関回転速度センサは、内燃機関10の出力軸の回転速度を検出する。スロットル開度センサはスロットルバルブ13の開度を検出する。吸気圧センサは、吸気通路10inのうちスロットルバルブ13の下流側の圧力を検出する。吸気量センサ95は吸気の質量流量を検出する。
【0049】
概略、ECU80は、出力軸の回転速度および内燃機関10の負荷に応じて、図示しない燃料噴射弁から噴射される燃焼用燃料の噴射量および噴射時期を制御する。さらにECU80は、排気温度センサ96により検出された排気温度に基づき、高活性物質添加装置の作動を制御する。すなわち、マイコン81は、
図7および
図8に示す手順のプログラムを所定周期で繰り返し実行することで、改質還元剤の生成とオゾンの生成を切り替えるように制御する。これらのプログラムは、イグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして始動し、内燃機関10の運転期間中は常時実行される。
【0050】
先ず、
図7のステップS11において、電極21へ電圧を印加して放電リアクタ20での放電を実施する。続くステップS12では、NOx浄化装置15が有する還元触媒の温度(NOx触媒温度)が、活性化温度未満であるか否かを判定する。NOx触媒温度は、排気温度センサ96により検出された排気温度から推定される。ここで、還元触媒の活性化温度とは、改質還元剤によりNOxを還元浄化できる温度を示す。
【0051】
NOx触媒温度が活性化温度未満であると判定された場合には、ステップS13においてオゾン生成フラグをオンに設定する。このオゾン生成フラグは、
図4の如くオゾンを生成するように指令するものである。一方、NOx触媒温度が活性化温度未満でないと判定された場合には、ステップS14において改質フラグをオンに設定する。この改質フラグは、
図3の如く改質還元剤を生成するように指令するものである。
【0052】
また、ステップS13にてオゾン生成フラグをオンに設定した場合には、続くステップS15において、低温吸気配管10cから低温吸気を放電リアクタ20へ供給させるよう、切替バルブ32aを作動させる。一方、ステップS14にて改質フラグをオンに設定した場合には、続くステップS16において、高温吸気配管10hから高温吸気を放電リアクタ20へ供給させるよう、切替バルブ32aを作動させる。ステップS15、S16の処理を実行している時のマイコン81は「切替制御手段」を提供する。
【0053】
次に、
図8のステップS20では、改質フラグがオンに設定されているか否かを判定する。改質フラグがオンでないと判定されれば、続くステップS21にて電気ヒータ34への通電を停止させるとともに、ステップS22において、燃料噴射を停止させるように燃料噴射弁33を閉弁作動させる。ステップS22の処理を実行している時のマイコン81は「オゾン生成制御手段」を提供する。
【0054】
一方、改質フラグがオンであると判定されれば、続くステップS23にて、NOx浄化装置15が単位時間当りに必要とする改質還元剤の量(必要還元剤量)を算出する。このステップS23の処理を実行している時のマイコン81は「必要量算出手段」を提供する。以下、必要還元剤量を算出する具体例を説明する。
【0055】
先ず、内燃機関10の負荷、出力軸の回転速度および燃焼用の燃料の噴射量等、内燃機関10の運転状態に基づき、排気中のNOx濃度および排気量を算出する。次に、算出したNOx濃度および排気量に基づき排気中のNOx量(NOx排出量)を算出する。次に、算出したNOx排出量、供給した改質還元剤量およびNOx触媒温度等の履歴に基づき、NOx浄化装置15で吸着されているNOx量(NOx吸着量)を算出する。次に、算出したNOx吸着量に現時点でのNOx排出量を加算してNOx総量を算出する。次に、NOx総量を浄化するのに必要な改質還元剤の量を、必要還元剤量として算出する。
【0056】
以上の如くステップS23にて必要還元剤量を算出した後、続くステップS24では、算出した必要還元剤量に基づき目標ヒータ温度を算出する。具体的には、必要還元剤量が多いほど目標ヒータ温度を高く設定する。但し、目標ヒータ温度の下限値はクラッキング可能温度以上に設定される。
【0057】
続くステップS25では、目標ヒータ温度となるように電気ヒータ34への供給電力を制御する。例えば、電気ヒータ34へ印加する電圧のパルス幅をデューティ制御することで供給電力を制御する。燃料が気化する際に、気化潜熱によって加熱面34aから熱量を持ち去るため、気化潜熱による温度低下分を考慮して、目標ヒータ温度となるように電気ヒータ34へ電力供給する。続くステップS26では、単位時間当たりの燃料噴射量が必要還元剤量になるよう、燃料噴射弁33の開弁時間を制御して燃料噴射を実施する。ステップS26の処理を実行している時のマイコン81は「改質制御手段」を提供する。
【0058】
さて、燃料噴射弁33から噴射される液体燃料には、軽質燃料や重質燃料等の各種成分が含まれている。軽質燃料は加熱されると速やかに気化するのに対し、重質燃料は、加熱されると重合反応を起こして固形物を生成し、その固形物がデポジットとして気化室36aに堆積していく。そこで、上述した改質制御手段およびオゾン生成制御手段が実行されていない時に、以下に説明するクリーニング制御を実行して、デポジットを定期的に除去している。
【0059】
すなわち、マイコン81は、
図9に示す手順のプログラムを所定周期で繰り返し実行することで、燃料噴射弁33および電気ヒータ34の作動を制御してクリーニング制御を実行する。これらのプログラムは、イグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして始動し、内燃機関10の運転停止期間中であっても常時実行される。
【0060】
先ず、
図9のステップS30において、前回実施したクリーニングからの、電気ヒータ34の運転時間を算出する。続くステップS40では、ステップS30で算出したヒータ運転時間が所定時間(例えば20時間)を経過しているか否かを判定する。所定時間が経過していないと判定されれば、ステップS30にてヒータ運転時間が積算されていく。所定時間が経過していると判定されれば、続くステップS50において、クリーニング制御の実行条件を満たしている許可状態であるか否かを判定する。
【0061】
許可状態とは、内燃機関10からNOxが排出されておらず、NOx浄化装置15による浄化が要求されていない状態である。具体的には、内燃機関10を自動停止させているアイドルストップ状態、車両が減速走行していることに伴い内燃機関10への燃料噴射を停止させた燃料カット状態、内燃機関10を停止させて走行用モータにより車両を走行させている状態等である。
【0062】
許可状態であると判定されれば、続くステップS60において、
図10に示すサブルーチン処理によりクリーニング制御を実行し、次のステップS70にて、ヒータ運転時間をゼロにリセットする。次に、
図10に示すクリーニング制御の処理手順を説明する。
【0063】
先ず、
図10のステップS61において、燃料噴射弁33の作動を停止させて噴孔33aからの燃料噴射を停止させる。続くステップS62では、空気流入口36dから気化室36aへ流入してくる空気の温度を取得する。具体的には、吸気通路10inに配置された吸気温度センサ(図示せず)の検出値を、気化室36aへ流入する空気の温度として取得する。
【0064】
続くステップS63では、取得した空気温度に応じた目標ヒータ温度を設定する。例えば、空気温度が低いほど目標ヒータ温度を高い値に設定する。なお、クリーニング時の目標ヒータ温度は、改質還元剤生成時の目標ヒータ温度よりも高い値に設定される。具体的には、ステップS63で設定される目標ヒータ温度の下限値は、
図8のステップS24で算出される目標ヒータ温度の上限値よりも高い。
【0065】
続くステップS64では、加熱面34aの実際の温度であるヒータ実温度(加熱度合い)を取得する。具体的には、温度センサ37の検出値をヒータ実温度として取得する。続くステップS65では、ステップS63で設定した目標ヒータ温度と、ステップS64で取得したヒータ実温度との偏差を算出し、その偏差に基づきヒータ加熱デューティ比を設定する。続くステップS66では、電気ヒータ34への通電を、設定したヒータ加熱デューティ比にしたがってデューティ制御する。
【0066】
例えば、ヒータ実温度が目標ヒータ温度よりも低い場合において、上記偏差が大きいほどヒータ加熱デューティ比を大きく設定することで、ヒータ実温度を迅速に上昇させて目標ヒータ温度にする。また、ヒータ実温度が目標ヒータ温度よりも高い場合には、ヒータ加熱デューティ比を小さく設定することで、ヒータ実温度を低下させて目標ヒータ温度にする。
【0067】
続くステップS67では、ヒータ実温度が上昇して目標ヒータ温度に達してから、所定時間(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していないと判定されれば、ステップS64、S65、S66の処理が繰り返し実行され、所定時間が経過していると判定されれば、
図10に示すクリーニング制御を終了する。
【0068】
以上に説明した通り、本実施形態に係る高活性物質添加装置は、液体の燃料を加熱して気化させる電気ヒータ34を備えるので、液体の燃料が電極21に付着する不具合を抑制しつつ改質還元剤を生成できる。それでいて、液体の燃料のうち気化されずに気化室に堆積した成分(デポジット)を、次のクリーニング制御により燃焼させて除去することができる。このクリーニング制御では、燃料供給を停止させつつ電気ヒータ34を作動させて空焚きし、かつ、気化室36aに空気を流入させることで、上記デポジットを燃焼させて除去できる。
【0069】
したがって、電気ヒータ34の加熱面34aにデポジットが付着することにより加熱面34aから燃料への伝熱性が悪化することを抑制でき、燃料の速やかな気化がデポジットにより阻害されることを抑制できる。また、噴出口36bがデポジットで詰まることにより混合室31aへの気体燃料の供給が阻害されることを抑制できる。
【0070】
さらに本実施形態では、気化ケース36に形成された空気流入口36dは、噴出口36bよりも下方に位置する。そのため、クリーニング制御時には以下に説明する対流が生じるようになる。すなわち、気化室36a内の高温ガスは、比重が小さく軽いので、上方に位置する噴出口36bからは排出されやすくなり、また、下方に位置する空気流入口36dからは排出されにくくなる。したがって、気化室36a内の高温ガスが噴出口36bから排出され、その排出分だけ、空気流入口36dから空気が気化室36aへ流入するといった対流が生じる。そのため、気化室36aへの空気流入を促進でき、酸素不足によりデポジットが十分に燃焼できなくなるおそれを抑制できる。
【0071】
特に、クリーニング制御時には内燃機関10が停止してコンプレッサ11cが停止している場合があるが、この場合であっても、上記対流により気化室36aへ空気を流入させることができ、上記対流の効果が顕著に発揮される。しかも、改質制御時には燃料の気化により気化室36aが高圧になるので、空気流入口36dからの空気の流入を抑制できる。なお、改質制御時には気体燃料が空気流入口36dから流出したとしても、その流出した気体燃料は、第2空気通路30c、内部空間30aおよび隙間CLを通じて混合室31aへ流入するだけであり、問題にならない。
【0072】
さらに本実施形態では、混合室31aへ空気を導くための空気通路(第1空気通路35a)から、気化室36aへ空気を導く分岐通路(第1分岐通路35b)が分岐する。そのため、分岐通路は混合室31aよりも上流側に位置することになるので、分岐通路内の圧力は混合室31aよりも高くなる。そのため、クリーニング制御時において、空気流入口36dから気化室36aへの空気流入を促進できる。
【0073】
さらに本実施形態では、第1空気通路35aのうち第1分岐通路35bよりも下流側の部分に、空気の流量を減少させる絞り部30dが設けられている。そのため、混合室31aと第1分岐通路35bとの圧力差が増大される。よって、クリーニング制御手段の実行時における空気の流れ、すなわち噴出口36bからの高温ガス排出と空気流入口36dからの低温空気流入を促進できる。
【0074】
さらに本実施形態では、気化室36aへ供給される燃料は、燃料噴射弁33から微粒化した状態で噴射される。そして、その噴射範囲の外に空気流入口36dは配置されている。そのため、噴孔33aから噴射された燃料が空気流入口36dから漏れ出ることを抑制できる。
【0075】
さらに本実施形態では、気化室36aに温度センサ37を設け、温度センサ37の検出値に基づいて目標ヒータ温度を設定することで、ヒータ実温度に応じてヒータ温度およびヒータ作動時間が制御される。
【0076】
さて、本実施形態に反して温度センサ37を廃止し、クリーニング制御時において、予め設定した所定温度で所定時間だけ電気ヒータ34を作動させるようにすると、次の問題が懸念される。すなわち、例えば外気温度が低い場合(例えば−35℃)、空気流入口36dから流入する空気の温度も低い状態になっている。そのため、上述の所定温度および所定時間で電気ヒータ34を作動させると、デポジットを十分に加熱できず、クリーニングが不十分になる問題が懸念される。これに対し本実施形態では、上述の如く温度センサ37の検出値に基づき電気ヒータ34を作動させるので、上記懸念を低減できる。
【0077】
さらに本実施形態では、空気配管32から流入させる空気を加熱する熱交換器10aを備える。そのため、放電リアクタ20へ供給される酸素ガスが加熱されて温度上昇する。よって、燃料噴射弁33から噴射されて電気ヒータ34により気化された燃料が、混合室31aで酸素ガスにより冷却され、凝縮して電極21に付着することを抑制できる。よって、改質還元剤が低排気温時に意図に反して添加されたり、改質還元剤の添加が遅れたりする等の不具合、つまり、改質還元剤を排気通路10exへ添加するタイミングを意図通りに制御できなくなる不具合を抑制できる。
【0078】
さらに本実施形態では、熱交換器10aは、内燃機関10で生じた熱を利用して酸素ガスを加熱する。そのため、内燃機関10の廃熱が有効に利用されるので、例えば電気ヒータを用いて酸素ガスを加熱する場合に生じるエネルギ消費を不要にできる。
【0079】
さらに本実施形態では、熱交換器10aは、還流配管10egrに取り付けられており、EGRガスの熱を利用して酸素ガスを加熱する。ここで、還流配管10egrは、排気マニホールド10mの外側に張り出して配置される。そのため、例えば排気マニホールド10mに熱交換器10aを取り付ける場合に比べて、還流配管10egrに取り付ける本実施形態によればその取り付け作業性を良好にでき、熱交換器10aの搭載スペースを容易に確保できる。また、EGRガスは、燃焼室から排出された直後の排気であるため高温である。よって、高温のEGRガスを酸素ガスの加熱に利用する本実施形態によれば、酸素ガスを効率的に加熱できる。
【0080】
さらに本実施形態では、供給された酸素ガスを放電により電離させて活性酸素にする放電リアクタ20と、放電リアクタ20へ燃料を供給する燃料噴射弁33とを備える。そして、
図8のステップS22によるオゾン生成制御手段、およびステップS26による改質制御手段がマイコン81により提供される。そのため、オゾン生成制御手段により燃料噴射を停止させれば、活性酸素によりオゾンが生成され、改質制御手段により燃料を噴射させれば、活性酸素により燃料が酸化(改質)されて改質還元剤が生成される。よって、1つの放電リアクタ20で、還元剤の改質とオゾン生成の両方を実現できる。
【0081】
ここで、液体燃料が電極21に付着すると、改質還元剤の生成からオゾンの生成に切り替えた場合に、燃料供給を停止させているにも拘わらず、付着していた燃料が気化して電極間通路21a内に燃料が存在することとなる。すると、放電により生成された活性酸素は、燃料を酸化させて改質還元剤を生成してしまい、酸素分子を酸化させてオゾンを生成する量が少なくなる。これに対し本実施形態によれば、上述の如く電極21への燃料付着を抑制できるので、オゾン生成フラグオン時に改質還元剤が生成されるといった不具合を抑制できる。
【0082】
さらに本実施形態では、冷却器12で冷却された後の低温吸気を放電リアクタ20へ供給する低温吸気配管10c、および熱交換器10aにより加熱された酸素ガスを放電リアクタ20へ供給する高温吸気配管10hを備える。そして、オゾン生成時には低温吸気配管10cを放電リアクタ20と連通させ、改質還元剤生成時には高温吸気配管10hを放電リアクタ20と連通させるよう、
図7のステップS15、S16により切替バルブ32aの作動を制御する。これによれば、オゾン生成時には低温吸気が供給されるので、生成したオゾンが吸気の熱で破壊されることを抑制できる。
【0083】
さらに本実施形態では、高温吸気配管10hは、過給機11により過給された吸気のうち冷却器12で冷却される前の高温吸気を放電リアクタ20へ供給する。そのため、改質還元剤生成時には、コンプレッサ11cの圧縮により温度上昇した吸気であって、冷却器12で冷却される前の高温吸気が供給される。よって、改質還元剤生成時には酸素ガスを高温にすることを促進でき、気体燃料が凝縮して電極21に付着することの抑制を促進できる。
【0084】
さらに本実施形態では、電気ヒータ34によりクラッキングされた燃料を放電リアクタ20へ供給することで、該燃料を、放電リアクタ20により電離された酸素ガスで部分的に酸化させて改質還元剤を生成する。そのため、燃料の沸点がクラッキングされることにより低下するので、気化した燃料が酸素ガスによって冷却されて温度低下する際に、燃料が再度液化することが抑制される。その結果、気体燃料が凝縮して電極21に付着することの抑制を促進できる。
【0085】
さらに本実施形態では、液体燃料を微粒化した状態で電気ヒータ34へ供給する燃料噴射弁33を備える。そのため、電気ヒータ34にて液体燃料を気化してクラッキングするのに要する時間が短縮される。よって、必要還元剤量に対する改質還元剤の添加の応答性を速くできる。
【0086】
さらに本実施形態では、還元触媒がNOxを吸着する機能を有している。そのため、放電リアクタ20にて生成されたオゾンを排気通路10exに添加すると、排気中のNOがNO
2に酸化され、還元触媒に吸着されやすくなる。よって、生成したオゾンを、還元触媒でのNOx吸着性向上に利用することができる。
【0087】
さらに本実施形態では、還元触媒が活性化温度未満であることを条件としてオゾンを生成させ、還元触媒が活性化温度以上であることを条件として改質還元剤を生成させる。そのため、還元触媒が還元能力を発揮できない低温時に改質還元剤が排気通路10exに添加されることを回避できる。そして、上記低温時には排気通路10exにオゾンを添加してNOをNO
2に酸化させ、NOx吸着性を向上させるので、低温時にNOxが浄化されないままNOx浄化装置15から流出することを抑制できる。また、オゾンは高温であるほど熱分解しやすくなるが、本実施形態では、上記低温時にオゾンが排気通路10exに添加され、低温時以外では添加されない。よって、添加したオゾンが排気熱で熱分解するおそれを低減できる。
【0088】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、コンプレッサ11cにより圧縮された吸気の一部を、空気配管32へ導入している。これに対し本実施形態では、
図11に示すように、低温吸気配管10c、高温吸気配管10hおよび切替バルブ32aを廃止し、エアポンプ32pを備えている。エアポンプ32pにより送風された空気は、空気配管32を通じて混合室31aに流入する。エアポンプ32pが送風する空気は、高活性物質添加装置の周囲に存在する常温常圧の大気である。空気には酸素分子が含まれているので、エアポンプ32pが送風する空気は先述した酸素ガスに相当する。
【0089】
先述した熱交換器10aは、本実施形態では空気配管32に取り付けられている。なお、熱交換器10aをバイパスする通路を設け、熱交換器10aで空気を加熱する場合と、熱交換器10aをバイパスして非加熱にする場合とを切り替え可能に構成してもよい。
【0090】
エアポンプ32pは電動モータにより駆動し、その電動モータはマイコン81により制御される。マイコン81は、
図8のステップS26による改質制御時、およびステップS22によるオゾン生成制御時に加え、
図9のステップS60によるクリーニング制御時にもエアポンプ32pを作動させる。
【0091】
また、
図12に示すように、ステップS67においてヒータ実温度が上昇して目標ヒータ温度に達してから所定時間が経過していると判定された場合、続くステップS68にて、ステップS66による電気ヒータ34のデューティ制御を終了させる。また、エアポンプ32pを一定時間(例えば3秒)作動させる。この作動時には、ステップS66によるデューティ制御時に比べて送風量を増大させる。
【0092】
以上に説明した通り、本実施形態に係る高活性物質添加装置では、改質還元剤の生成に用いる空気の混合室31aへの送風をエアポンプ32pで実施しており、クリーニング制御時にもエアポンプ32pを作動させる。そのため、改質制御に用いるエアポンプ32pをクリーニング制御でも利用するので、気化室36aへ空気を送風する専用のエアポンプを不要にできる。
【0093】
さらに本実施形態では、ステップS66によるクリーニング制御の実行終了後に、クリーニング制御の実行時よりも多い送風量でエアポンプ32pを作動させる。そのため、クリーニング制御による燃焼で生じた灰が噴出口36bから排出され、気化室36aに灰が堆積することを抑制できる。また、エアポンプ32pによる送風で、加熱面34a上に残った灰を吹き飛ばすことができる。よって、加熱面34aに付着した液体燃料の気化が灰で妨げられることを抑制できる。
【0094】
さらに本実施形態では、
図1に示す低温吸気配管10cおよび高温吸気配管10hを廃止できる。よって、スロットルバルブ13により吸気量を調整するにあたり、空気配管32へ分岐する吸気分を補正することが不要になるので、燃焼室へ吸入される吸気量を精度良く調整できる。
【0095】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、放電リアクタ20は、電気ヒータ34より空気流れ下流側に設置されている。これに対し本実施形態では、
図13に示すように、オゾン生成器20Aとして機能する放電リアクタは、電気ヒータ34より空気流れ上流側に設置されている。エアポンプ32pにより送風された空気はオゾン生成器20Aに流入する。オゾン生成器20Aは、
図1および
図2に示す放電リアクタ20と同じ構造であり、電極21間で放電させると、空気中の酸素からオゾンが生成される。このように生成されたオゾンは、空気とともに空気配管32bを通って気化室36aへ供給される。
【0096】
さて、上記第2実施形態では、放電リアクタ20の内部で燃料を部分酸化させて改質させている。これに対し本実施形態では、燃料噴射弁33から噴射された燃料を、気化室36aで加熱することにより、空気に含まれる酸素で部分酸化させる。そして、オゾンを生成して気化室36aへ流入させることにより、上記部分酸化の反応を促進させることができる。このように改質された燃料(還元剤)は供給管24を通じて排気通路10exに添加される。
【0097】
なお、還元触媒の温度が低温であり還元剤を添加してもNOx還元率が低い場合には、以下に説明するオゾン供給制御を実施する。すなわち、オゾン供給制御では、エアポンプ32pを作動させつつオゾン生成器20Aで放電させてオゾンを生成し、かつ、燃料噴射弁33による燃料噴射および電気ヒータ34による加熱を停止させる。これにより、生成されたオゾンが供給管24を通じて排気通路10exに添加されることとなる。その結果、排気中のNOがオゾンによりNO
2に酸化される。このようにNOを酸化させればNOx吸着量を向上できるので、NOx浄化装置15で浄化されずに大気に放出されるNOx量を低減できる。
【0098】
エアポンプ32pは電動モータにより駆動し、その電動モータはマイコン81により制御される。マイコン81は、
図8のステップS26による改質制御時、およびステップS22によるオゾン生成制御時に加え、
図9のステップS60によるクリーニング制御時にもエアポンプ32pを作動させる。
【0099】
また、
図12に示すように、ステップS67においてヒータ実温度が上昇して目標ヒータ温度に達してから所定時間が経過していると判定された場合、続くステップS68にて、ステップS66による電気ヒータ34のデューティ制御を終了させる。また、エアポンプ32pを一定時間(例えば3秒)作動させる。この作動時には、ステップS66によるデューティ制御時に比べて送風量を増大させる。要するに、本実施形態においても、
図12と同様にして、改質制御手段の実行時に加えクリーニング制御手段の実行時にもエアポンプ32pを作動させる。また、クリーニング制御手段の実行終了後に、クリーニング制御手段の実行時よりも多い送風量でエアポンプ32pを作動させる。
【0100】
以上に説明した通り、本実施形態に係る高活性物質添加装置では、液体の燃料のうち気化されずに生成されたデポジットは放電リアクタ20に付着しにくくなるとともに、クリーニング制御は第2実施形態と同様に作動させることができる。
【0101】
さらに本実施形態では、空気中の酸素からオゾンを生成するオゾン生成器20Aを備え、オゾン生成器20Aにより生成されたオゾンを気化室36aへ供給する。このように、オゾンを気化室36aへ供給する構成であっても、改質還元剤を生成して添加することができる。
【0102】
本実施形態に反して電気ヒータ34およびクリーニング制御手段を備えない場合、オゾン生成器20Aの内部に燃料が付着する可能性は低いものの、気化室36aや供給管24等の各種通路等に付着することが懸念される。この懸念に対し、本実施形態では電気ヒータ34を備えて燃料を気化させるので、液体の燃料が気化室36aや供給管24等に付着する不具合を抑制しつつ、改質制御手段の制御により改質還元剤を生成できる。それでいて、液体の燃料のうち気化されずに気化室36aに堆積したデポジットを、クリーニング制御手段の制御により燃焼させて除去することができる。つまり、電気ヒータ34を備えることで生じるデポジットの堆積といった新たな問題を抑制できる。 (他の実施形態)
以上、発明の好ましい実施形態について説明したが、発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、以下に例示するように種々変形して実施することが可能である。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0103】
図1に示す実施形態では、還流配管10egrに熱交換器10aを取り付けている。これに対し、以下に説明する下流排気管に熱交換器10aを取り付けてもよい。この下流排気管は、排気マニホールド10mの下流側における排気通路10exを形成するものであり、詳細には、DPF14の下流側かつNOx浄化装置15の上流側に位置する排気通路10exを形成する。
【0104】
ここで、下流排気管は、排気マニホールド10mの外側に張り出して配置される。そのため、例えば排気マニホールド10mに熱交換器10aを取り付ける場合に比べて、下流排気管に取り付ける本実施形態によれば、その取り付け作業性を良好にできる。また、熱交換器10aの搭載スペース確保を容易にできる。
【0105】
また、放電リアクタ20および混合容器31はNOx浄化装置15の近傍に配置することが望ましく、このような配置にすると、混合容器31の近傍に下流排気管が位置する蓋然性が高い。よって、上述の如く下流排気管に熱交換器10aを取り付けると、熱交換器10aを混合容器31の近傍に配置することを容易に実現でき、ひいては高温吸気配管10hの配管長を短くできる。
【0106】
或いは、排気マニホールド10mに熱交換器10aを取り付けてもよい。排気マニホールド10mは、燃焼室から排出された直後の排気が流通するため高温であるため、酸素ガスを効率的に加熱できる。
【0107】
図1に示す実施形態では、内燃機関10で生じた熱を利用して酸素ガスを加熱している。これに対し、インバータや内燃機関10を冷却する冷却水を熱源として酸素ガスを加熱してもよいし、電気ヒータを用いて酸素ガスを加熱してもよい。
【0108】
図1に示す実施形態では、燃料噴射弁33の噴孔33aから液体燃料を噴射して微粒化させている。これに対し、燃料噴射弁33を電磁バルブに置き換えて、ポンプ33pから供給された燃料を微粒化させることなく気化ケース36へ流出させ、気化ケース36内に一旦貯留させるようにしてもよい。
【0109】
図1に示す実施形態では、液体の炭化水素を加熱して気化させる加熱手段として電気ヒータ34を採用しているが、内燃機関10の廃熱を利用した熱交換器を加熱手段として採用してもよい。また、
図1に示す実施形態では、燃料噴射弁33から混合室31aへ液体燃料を供給しているが、混合室31aの外部で液体燃料を加熱して気化させておき、気体燃料を混合室31aへ供給するようにしてもよい。
【0110】
図1に示す実施形態では、液体の炭化水素を微粒化して加熱手段へ供給する微粒化手段として、燃料噴射弁33を採用している。これに対し、超音波等の高周波数で振動する振動板に液体燃料を接触させることで、液体燃料を振動させて微粒化させる振動装置を、微粒化手段として採用してもよい。
【0111】
オゾンの生成および改質還元剤の生成をともに停止させている完全停止の場合には、放電リアクタ20による放電を停止させて、無駄な電力消費の抑制を図るようにしてもよい。上記完全停止させるケースの具体例としては、NOx触媒温度が活性化温度未満であり、かつ、NOx吸着量が飽和状態になっているケースや、NOx触媒温度が還元可能範囲を超えて高温になっているケースが挙げられる。また、上記完全停止の場合には、エアポンプ32pの作動を停止して酸素ガスの供給を停止させることで、電力消費の低減を図ってもよい。
【0112】
図1に示す上記実施形態では、NOxを物理的に捕捉(つまり吸着)する還元触媒が採用されているが、NOxを化学的結合により捕捉(つまり吸蔵)する還元触媒が採用された燃焼システムに、高活性物質添加装置を適用させてもよい。
【0113】
内燃機関10が理論空燃比よりもリーンな状態で燃焼させている時に、NOx浄化装置15がNOxを吸着し、リーン燃焼以外の時にNOxを還元させる燃焼システムに、高活性物質添加装置を適用させてもよい。この場合、リーン燃焼時にはオゾンを生成し、リーン燃焼以外の時に改質還元剤を生成させればよい。このようにリーン燃焼時にNOxを捕捉する触媒の具体例としては、担体に担持された白金とバリウムによる吸蔵還元触媒が挙げられる。
【0114】
吸着または吸蔵の機能を有しないNOx浄化装置15が採用された燃焼システムに、高活性物質添加装置を適用させてもよい。この場合、放電リアクタ20で生成されたオゾンをDPF14の再生に用いればよい。すなわち、DPF14の上流へオゾンを添加することで、排気中のNOをNO
2に酸化してDPF14へ流入させる。すると、DPF14で捕集されて堆積した微粒子の炭素成分が、NO
2と反応して酸化される。これにより、DPF14に堆積した微粒子が除去されて、DPF14が再生される。
【0115】
上記第1実施形態では、
図7のステップS12で用いるNOx触媒温度を、排気温度センサ96により検出された排気温度から推定している。これに対し、NOx浄化装置15に温度センサを取り付けて、NOx触媒温度を直接計測してもよい。或いは、出力軸の回転速度および内燃機関10の負荷等に基づき、NOx触媒温度を推定してもよい。
【0116】
図1に示す実施形態では、放電リアクタ20は、平板形状の電極21を互いに平行に対向するように配置して構成されている。これに対し、放電リアクタは、針状に突出した形状の針状電極と、針状電極を環状に取り囲む環状電極とから構成されていてもよい。
【0117】
図1に示す実施形態では、車両に搭載された燃焼システムに高活性物質添加装置を適用させている。これに対し、定置式の燃焼システムに高活性物質添加装置を適用させてもよい。
図1に示す実施形態では、圧縮自着火式のディーゼルエンジンに高活性物質添加装置を適用させており、燃焼用の燃料として用いる軽油を還元剤として用いている。これに対し、点火着火式のガソリンエンジンに高活性物質添加装置を適用させて、燃焼用の燃料として用いるガソリンを還元剤として用いてもよい。