【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例に係る天然の羽毛に模した形態に人工製造した従来全く存在しない新規で斬新な羽毛状綿素材及びその製造方法について、
図1乃至
図24を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1(a)は本発明の実施例に係る羽毛に模した形態に人工製造したダウンボール状の塊を比較的大きくし、かつ、綿状の長繊維として形成されて完成した状態の羽毛状綿素材1を線図の形態で示す概念図である。
図1(b)は本発明の実施例に係る羽毛に模した形態に人工製造したダウンボール状の塊を
図1(a)のサイズよりも小さくし、かつ、綿状の長繊維として形成されて完成した状態の羽毛状綿素材1を線図の形態で示す概念図である。
【0015】
本実施例に係る羽毛状綿素材1は、後述する
図5、
図16に示すように、エアー交絡用ユニット21の内部で、軸糸2を芯として浮糸3がZ撚り、すなわち、Z文字方向にエアー交絡しながら撚られて
図1のようなダウンボール状の塊状態に形成され、当該Z撚りダウンボール状の塊状態の羽毛状綿素材1から間隔をもって、軸糸2を芯として3浮糸がS撚り、すなわち、S文字方向にエアー交絡されながら撚られて
図1のようなダウンボール状の塊状態の羽毛状綿素材1が形成される。
前記Z撚りのダウンボール状の塊状態と、S撚りのダウンボール状の塊状態とが間隔をもって連続的に形成されて、これが本実施例に係る羽毛状綿素材1となる。
【0016】
本実施例に係る羽毛状綿素材1は、
図1に示すように、軸糸2と、この軸糸2よりも長い浮糸3を含み、前記軸糸2と浮糸3は、羽毛状綿素材の製造工程におけるエアー交絡工程で用いるエアー交絡用ユニット21によるエアー交絡により、前記浮糸3は開繊して綿状繊維を形成しつつ軸糸2と浮糸3が絡み合い繋がって一体化、すなわち、前記Z撚りのダウンボール状の塊状態と、S撚りのダウンボール状の塊状態とが間隔をもって連続的に形成されて、かつ、綿状の長繊維を形成して、全体として羽毛に模して人工製造したものである。
【0017】
すなわち、羽毛状綿素材1は、前記軸糸2と浮糸3とが絡み合い繋がって詳細は後述する各ダウンボール状の塊と塊とが間隔を有しつつ配列され、かつ、全体として綿状の長繊維を形成しているものである。
【0018】
本実施例におけるダウンボール状の塊とは、
図1、後記する
図22に示すように、軸糸2、浮糸3のフィラメント同士が結束して絡み合い繋がって一体化され、一列に連なった形態の羽毛状綿素材1における軸糸2に対して、ほぼ1cm〜10cm以内、すなわち最大10cm程度以内の間隔をもって連続的に配列されて直径φがほぼ1.0〜3.5cmの浮糸3の塊状部分と定義して以下の説明を行う。
【0019】
前記浮糸3の形状としては、
図2に示すように、例えば軽量化のための中空率30〜40%の中空糸、C型断面糸、異形断面糸等を採用することができる。
【0020】
中空糸、C型断面糸の場合、同重量の円形状断面の糸に比較し表面積が広く、エアーの受面積が円形状断面の糸に比較し大きくなり、これに応じてエアー交絡時空気抵抗が大きくなり、当たったエアー流(空気流)により散乱し撹乱し易く、これにより、エアー交絡が促進される。同表面積の糸に比較し軽量になること等の利点がある。
【0021】
異形断面糸(断面が円形状ではなく、例えば断面が星形、菱形、凹凸を有する四角形状等)の場合、円形状断面の糸に比較して表面に凹凸を有するため、表面積が広い面が有りエアーの受面積が大きくなり、エアー交絡時の空気抵抗が一層大きくなるという利点がある。すなわち、円形状断面の糸に比較し表面積が大となるため、当たったエアー流(空気流)により散乱し撹乱し易く、これにより、エアー交絡が一層促進される。
【0022】
次に、本実施例に係る羽毛状綿素材1の材質、素材特性について詳述すると、本実施例における前記軸糸2、浮糸3としては、例えばポリエステル系の原糸を用い、無撚糸、インターレス加工無しのものを使用し、軸糸2、浮糸3の夫々のトータル繊度は30〜200D(デニール)、軸糸2、浮糸3の夫々のトータルフィラメント数は12〜96fのものを使用する。
【0023】
また、前記軸糸2と浮糸3の長さ量(エアー交絡用ユニット21へ送り込む長さ量)の比率は、1:10〜1:40の範囲内、好ましくは1:20〜1:30とする。すなわち、軸糸2に対して10〜40倍(好ましくは20〜30倍)の長さ量の浮糸3をエアー交絡用ユニット21へ送り込む。長さ量が1〜9倍では絡みつくための浮糸3の量が少なく、40倍を超えると浮糸3の量が多すぎて良好なダウンボール状の塊が形成できない。
なお、エアー交絡用ユニット21内のエアー圧とダウンボール状の塊の寸法との関係については後述する。
【0024】
前記羽毛状綿素材1の単位長重量としては、0.01〜3g/m、特に0.02〜1.5g/mが好ましい。番手或いはデニールに換算すると、90〜27000D(デニール)、特に180〜13500Dが好ましい。
【0025】
前記浮糸3におけるダウンボール状の塊部分の直径φは約1.0〜8cm位で、特に1.0〜3.5cm位、又は1.5〜4cm位が好ましい。
【0026】
前記浮糸3の単糸繊度は、例えば0.1〜300dtex(deci tex)、好ましくは1〜50dtex、特に2〜25dtexが一層好ましい。
【0027】
また、トータル繊度は、10〜600dtex、好ましくは20〜250dtex、特に30〜100dtexが一層好ましい。
【0028】
前記羽毛状綿素材1における軸糸2、浮糸3の重量に関しては、総重量(軸糸2+浮糸3)に対する浮糸3の割合として、例えば、100:51〜99wt%、100:80〜98wt%、100:85〜97wt%等の例を挙げることができる。
【0029】
前記軸糸2、浮糸3は、融着繊維と非融着繊維とを含んで構成している。融着繊維は、融点が異なる2以上のポリマー(高融点ポリマー、低融点ポリマー)で構成している。
【0030】
例えば、2以上のポリマーのうち、高融点ポリマーとしては、ポリエステルマルチフィラメント又はポリプロピレンポリマーを、低融点ポリマーとしてはポリエチレンポリマー又は低融点ポリプロピレンポリマーを用いたものである。
【0031】
また、融着温度としては80〜200℃が好ましく、融点温度差は10〜200℃のものが好ましい。
【0032】
前記軸糸2においては、低融点ポリマーを融着させるために、高融点ポリマーを芯とし、低融点ポリマーを鞘とする芯鞘構造が好ましい。
【0033】
特に、ダウンボール状の部分を一層確実に綿状に一体化するには、鞘繊維と低融点熱接着繊維糸の組み合わせが好ましい。
【0034】
前記ポリエステルマルチフィラメントは、ヘタリにくい利点を有するものである。
【0035】
融着繊維と非融着繊維の割合は、0〜90%:10〜100%の例を挙げることができる。
【0036】
一方、前記非融着繊維の具体例としては、例えばポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等が好ましい。
【0037】
更に、軸糸2と浮糸3に対しては、シリコーン処理剤が熱固定されていることが好ましい。この場合のシリコーン処理剤の好ましい付着量としては、軸糸2と浮糸3の総重量に対して、0.1〜5.0%、好ましくは0.5〜3.0%である。
【0038】
この他、前記軸糸2と浮糸3に対しては、硬さ調整のためアクリル樹脂、ウレタン樹脂を固定しても良い。
【0039】
更に、長繊維のエアー交絡糸の重量は、0.01〜3g/m、好ましくは0.02〜1.5g/mとする。
【0040】
次に、本実施例に係る羽毛状綿素材1の製造方法について、
図3に示すフローチャート、及び
図4乃至
図18を参照して説明する。
【0041】
本実施例に係る羽毛状綿素材1の製造方法は、
図3に示すように、軸糸2、浮糸3の供給工程、エアー交絡用ユニット21によるエアー交絡工程、巻取り工程、シリコーン樹脂加工工程、第1加熱工程、第2加熱工程及び冷まし工程からなるものである。
【0042】
前記エアー交絡用ユニット21の詳細については後述する。
【0043】
(1)(軸糸2、浮糸3の供給工程)
まず、
図4に示すように、軸糸2を送りローラ11を用いてエアー交絡用ユニット21内に送り込むとともに、クリルスタンド12により支持された供給ローラ13に予め巻き付けた浮糸3を図示例で示す一例のガイド筒14、送りローラ15を用いてエアー交絡用ユニット21内に送り込み、このとき、浮糸3がガイド筒14、送りローラ15を用いることで自然に捩れてエアー交絡用ユニット21内の空気抵抗を一層受け易くするために捩られなりながらエアー交絡用ユニット21内に送り込まれる。
なお、
図4の図示例では、前記ガイド筒14を用いた状態の実施例を示すが、本発明においては、当該ガイド筒14は必須のものではなく、これを用いることなく実施しても良い。
【0044】
この場合、浮糸3のエアー交絡用ユニット21に対する送り込み角度θは、軸糸2に対して30〜160度、好ましくは80〜120度とするものである。
当該浮糸3のエアー交絡用ユニット21に対する送り込み角度θは、前記エアー交絡用ユニット21内に入る前に軸糸2、浮糸3が絡み合わないようにするためであることは勿論、用いられる浮糸3、軸糸2の種類や形状、エアー交絡用ユニット21内の風量、エアー流(空気流)等に応じて当該角度θの調整が必要であり、この角度θ調整がひいては形成されるダウンボール状の塊形成にも影響する。
前記浮糸3の軸糸2に対する送り込み角度θの変更は、
図4中の浮糸3のエアー交絡用ユニット21に対する送り込み角度θを自在に変更させることで可能となる。また、軸糸2と浮糸3との双方のエアー交絡用ユニット21に対する送り込み角度θを自在に変更させることでも、浮糸3の軸糸2に対する送り込み角度θの変更可能となる。
【0045】
また、エアー交絡用ユニット21の入口から上方に噴き出るエアーのエアー圧による影響を、軸糸2、浮糸3が避けるために上記送り込み角度θを採用し、エアーを上方に逃がすためでもある。
【0046】
前記各送りローラ11、15による搬送速度は、例えば10m/分〜1500m/分とする。
【0047】
本実施例に係る製造方法において、軸糸2用の送りローラ15により送られる軸糸2は低速で送られ、浮糸3用の送りローラ11より送られる浮糸3は高速で送られるようにする。すなわち、軸糸2側よりも浮糸3側の送り量を大きく設定する。
【0048】
具体的には、浮糸3は軸糸2の10〜40倍の長さ量(供給倍率)をもってエアー交絡用ユニット21内に送り込む。この場合、軸糸2側の送りローラ15に対して浮糸3側の送りローラ15の回転速度を20倍〜40倍とすることが良好なダウンボール状の塊を形成する上で好ましい。
【0049】
(2)(エアー交絡工程)
次に、
図4に示すように、エアー交絡用ユニット21により軸糸2、浮糸3に対するエアー交絡工程を実施する。
【0050】
ここで、前記エアー交絡用ユニット21について詳述する。
【0051】
前記エアー交絡用ユニット21は、
図4、
図6、
図7等に示すように、糸・エアー供給体31と、ユニット内筒体51と、ユニット外筒体61と、ユニット内筒体51内に内装した例えばセラミックス製のベンチュリー71と、前記ベンチュリー71の下端から所定間隔(約25cm)をもって下方に配置した平坦板状の衝突板81と、前記エアー交絡用ユニット21に設けたエアー受栓64にエアーパイプ92を介してエアー交絡用のエアー(圧縮空気)を送るエアー圧、風量を調整可能なエアー供給源91と、を有している。
【0052】
なお、本実例における前記エアー交絡用ユニット21は、図示例で示すような前記ベンチュリー71の下端から所定間隔(約25cm)をもって下方に配置される平坦板状の衝突板81は必須構成のものではない。
当該衝突板81を設けることなく、ベンチュリー71の下端から排出され長さ方向に所定間隔で形成されるダウンボール状の塊である羽毛状綿素材1を巻取り送りローラ16を介して巻取りローラ17に巻き取るようにしても良い。
【0053】
前記エアー交絡用ユニット21は、
図7、
図8及び
図9に示すように、金属製でほぼ円筒状のユニット外筒体61を具備し、このユニット外筒体61内の上部側で上方から装着される金属製でほぼ円筒状のユニット内筒体51の上部側を同心配置で固定保持するとともに、前記ユニット内筒体51の下方側をユニット外筒体61の下端面中央部から下方に突出させるように構成している。
【0054】
また、ユニット内筒体51の内部下側に詳細は後述するベンチュリー71を内装するとともに、このベンチュリー71の下端面をユニット内筒体51の下端面中央部から下方に突出させるように構成している。
【0055】
更に、ユニット外筒体61の上方からユニット内筒体51内に装着される糸・エアー供給体31の下部側に設けた金属製のノズル筒部32の下端中央から下方に向けて突出させた先端ノズル部33を前記ベンチュリー71内に臨ませ、この先端ノズル部33と後述するベンチュリー71のすり鉢状壁面部72との間の空間にエアーの散乱雰囲気状態を形成するように構成している。
【0056】
前記糸・エアー供給体31、ユニット内筒体51、ユニット外筒体61、ベンチュリー71について更に詳述する。
【0057】
前記糸・エアー供給体31は、
図6、
図7に示すように、ほぼ円筒状のノズル筒部32と、ノズル筒部32の下端中央から下方に向けて突出させた先端ノズル部33と、を具備している。
【0058】
前記ノズル筒部32の上端側には、ノズル受筒体部38aを介して円形ハンドル部38を一体的に取り付けている。円形ハンドル部38の底面側には、ユニット外筒体61の円形上部が進入する円形凹部38bを設けている。
【0059】
また、前記ノズル筒部32の上端側の中央部からノズル筒部32の下端中央部に至る貫通孔35を設けている。
【0060】
そして、前記貫通孔35の上部側には、例えば合成樹脂材からなり上部に突出円形状部37を有し、かつ、挿通孔36aを有するほぼ円筒状の入口筒部36を装着し、この入口筒部36の挿通孔36a内に軸糸2、浮糸3を送り込むように構成している。
【0061】
前記ノズル筒部32には、詳細は後述する位置決め締め付け機構部41を構成する大径筒部39を設け、更に、大径筒部39の下側から下端に至る部分を小径筒部40としている。
【0062】
前記貫通孔35の上部は、深さ方向に小寸法であるテーパー状に形成されているとともに、テーパー状の部分の直下から前記大径筒部39の下端相当位置の範囲がストレート孔35aとされ、更にその直下から、小径筒部40内の下端近傍の範囲にわたって下方に至るに沿って縮径するテーパー孔35bとされている。
【0063】
更に、前記小径筒部40の下端側の中央部には下側円形段部42が設けられ、この下側円形段部42の中央位置に、前記先端ノズル部33の上端部が同心配置に装着固定されるように構成している。
【0064】
前記先端ノズル部33にも、
図9に示すように、ノズルテーパー孔33aが設けてあり、前記貫通孔35におけるテーパー孔35bの最下端の孔径とノズルテーパー孔33aの最上部の孔径とを同一に設定して段差を無くし、前記貫通孔35からノズルテーパー孔33aを経てベンチュリー71内に軸糸2、浮糸3を円滑に送るように構成している。
【0065】
前記小径筒部40には、更に、前記テーパー孔35bの外側に位置して中心の回りに例えば120度の範囲にわたるエアー受け凹部43が設けられ、更に、このエアー受け凹部43の下面と前記下側円形段部42とを連通しその下方に向けてエアーを噴出する例えば2個のエアー孔43aを設けている。
【0066】
前記ユニット内筒体51は、
図6、
図7に示すように、全体としてほぼ円筒状で、その上部に、側方に突出する平面視円形状の突出筒部52を設け、この突出筒部52から下方に前記突出筒部52より小径の挿通筒部53を同心配置に突設することにより構成している。
【0067】
前記ユニット内筒体51の突出筒部52の上面側には、前記糸・エアー供給体31の大径筒部39の下部側が装入される円形の大径筒部受段部54を設け、また、この大径筒部受段部54の中央部から挿通筒部53の内部を経てその下端に至るユニット内筒体貫通孔55を設けている。
【0068】
そして、ユニット内筒体貫通孔55の下端には、内径が前記ユニット内筒体貫通孔55の内径より小さい円形突部55aを設けてユニット内筒体貫通孔55の内方に突出させて、前記ベンチュリー71の下端を受けるように構成している。
【0069】
前記ユニット内筒体51の突出筒部52の側壁にはOリング56を取り付け、前記突出筒部52を前記ユニット外筒体61の円形受孔部62に装着したとき、前記Oリング56を円形受孔部62の内壁面に密接させるように構成している。
【0070】
前記ユニット内筒体51における挿通筒部53の側壁部には、ユニット内筒体51をユニット外筒体61に装着したとき前記エアー受栓64用の装着受孔65と対応配置となるようにエアー通過孔57を設けている。
【0071】
前記ユニット外筒体61は、
図6、
図7に示すように、ほぼ円筒状で、その円形上部61aの内周部には前記ユニット内筒体51の突出筒部52が装着される円形受孔部62を設け、更に、円形受孔部62の下側に下端に至るまで貫通状態の前記円形受孔部62より小径に形成され、ユニット内筒体51の挿通筒部53を貫通させる貫通挿通孔63を設けている。
【0072】
前記ユニット外筒体61の側壁部には、エアーパイプ92を介してエアー供給源91に連通させるエアー受栓64用の装着受孔65を設けている。
【0073】
また、前記ユニット外筒体61の円形上部61aの内周部には円形受孔部62側が開口した円形凹部61bを設け、この円形凹部61bに平坦なCリング102を装着するように構成している。
【0074】
前記ベンチュリー71は、
図8、
図9等に示すように、全体としてほぼ円筒状で、その内部中央の上側に軸糸2、浮糸3が夫々進入する上端面側から下方に至るほど縮径するすり鉢状壁面部72を設け、このすり鉢状壁面部72の最深部から下端面まで軸糸2、浮糸3が通過し得るように貫通させた下端側ほど拡径するテーパー形状のベンチュリー貫通孔73を設けている。
【0075】
前記先端ノズル部33は、
図9に示すように、全体としてほぼ円筒状で、上端面側から下端面に至るまで貫通する状態で、かつ、上端面側から下端面に至るほど縮径するノズルテーパー孔33aを設けている。
【0076】
次に、前記位置決め締め付け機構部41について、
図10乃至
図13を参照して詳細に説明する。
【0077】
前記位置決め締め付け機構部41は、糸・エアー供給体31の大径筒部39と、前記ユニット外筒体61内で前記ユニット内筒体51上に配置する止めリング101とにわたって構成している。
【0078】
前記止めリング101は、
図10に示すように、前記糸・エアー供給体31の大径筒部39の外径よりも僅かに大径の円形孔部103を有し、この円形孔部103の一部にその内方に向けて突出する半円形状又は台形状を呈する位置合わせ用及び当接受部として機能する小突起104を設けている。
【0079】
そして、
図11に示すように、前記ユニット内筒体51をユニット外筒体61に装着した状態で、このユニット内筒体51の突出筒部52の上端面に平坦な円環状の止めリング101を当接し、更に、止めリング101上に配置したCリング102の外周部を前記円形凹部61bに装着することで、前記ユニット外筒体61内にユニット内筒体51を固定配置に内装するように構成している。
【0080】
前記糸・エアー供給体31には、
図12に示すように、大径筒部39に前記小突起104に位置合わせした状態で、この大径筒部39の下部側を小突起104により遮られることなくユニット内筒体51の大径筒部受段部54内に装入可能とする半円形状又は台形状の凹部44と、この凹部44の一端側から大径筒部39の円周方向で例えば180度離れた位置まで設けた前記ノズル受筒体部38aの下面外周部との間で傾斜溝部46を形成する傾斜外周部45とを設けている。
【0081】
前記傾斜外周部45は、凹部44側の肉厚が薄く凹部44から離れるほど肉厚が厚くなるように形成し、これにより、傾斜溝部46の下面が傾斜面を呈するように構成している。
【0082】
図13左欄は、前記糸・エアー供給体31のユニット外筒体61に対する締め付け前の状態を示し、また、
図13右欄は、前記糸・エアー供給体31の円形ハンドル部38を回転操作して、前記位置決め締め付け機構部41により前記糸・エアー供給体31をユニット外筒体61に締め付け固定状態した状態を示すものである。
【0083】
すなわち、前記ユニット内筒体51をユニット外筒体61内に装着し固定した後、
図13左欄に示すように糸・エアー供給体31を位置合わせしてユニット内筒体51内に装着し、次に前記円形ハンドル部38を回転操作することで、
図13右欄に示すように、前記位置決め締め付け機構部41の前記傾斜溝部46の下面が前記止めリング101の小突起104の下面に圧接し、この結果、糸・エアー供給体31をユニット外筒体61に締め付け固定できるようにしている。
【0084】
このとき、糸・エアー供給体31のエアー受凹部43は、前記ユニット内筒体51のエアー通過孔57の側面に対向するようにしている。
【0085】
なお、
図13においては、小突起104を想像線で示す。
【0086】
ここで、前記エアー交絡用ユニット21の各部の角度、寸法等の設定例について、
図14、
図15を参照して説明する。
【0087】
前記先端ノズル部33の突出長H1(
図14)は、例えば5.8mm〜6.5mmに設定している。
【0088】
前記ベンチュリー71は、前記すり鉢状壁面部72の開口部分が例えば直径φ12mm、高さ寸法15.5mm〜18mmに設定されて、前記すり鉢状壁面部72の傾斜面角度θ1は、例えば60度に設定している。
【0089】
前記すり鉢状壁面部72の傾斜面は、凹凸が10μm以下となるように研磨で仕上げてあり、浮糸3の旋回をスムーズにしてエアー交絡し易いように設定している。
【0090】
前記すり鉢状壁面部72の最深部から下端面までのベンチュリー貫通孔73の寸法H2(
図14)は、例えば10mmに設定している。
【0091】
前記先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72との隙間間隔は、2.0〜4.0mm(好ましくは2.5〜3.5mm)に設定している。
【0092】
前記隙間間隔が小さいとダウンボール状の塊の直径φは小さく、大きいとダウンボール状の塊の直径φは大きくなることが確認できた。
【0093】
また、前記隙間間隔が大きいと、浮糸3がエアー圧を受ける部分の長さ、時間が長くなり、より撹乱され軸糸2により多く絡みつくためダウンボール状の塊の直径φが大きくなる。
【0094】
前記先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のベンチュリー貫通孔73の出口までの寸法H3(
図15)は、例えば9〜12.2mmに設定している。但し、先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のベンチュリー貫通孔73の出口までの寸法H3は自在に変更できる。
【0095】
前記エアー交絡用ユニット21内に供給されるエアーのエアー圧は、例えば
0.35〜0.40MPaの例を挙げることができる。
【0096】
図4に示す前記エアー交絡用ユニット21の衝突板81は、前記エアー交絡用ユニット21の下端から例えば21〜29cm(好ましくは25cm)離して設置する。
【0097】
衝突板81を21cm以上離してあればダウンボール状の塊が形成されることに支障がなく、29cmを超えて離しすぎると、その後の巻取り工程に支障がでる。
【0098】
前記衝突板81を設けることで、羽毛状綿素材1が前記エアー交絡用ユニット21から出た後、このエアー交絡用ユニット21から外に噴き出るエアーで飛ばされてしまうことを緩和させることができる。羽毛状綿素材1が飛ばされすぎると、その後の巻取り工程とのリズムがズレたり、周辺の機械部品等に引っかかって製造工程に支障が生じてしまうことがある。前記衝突板81を設けることで、形成された羽毛状綿素材1の巻き取りを円滑にできる。
【0099】
更に付言すれば、衝突板81を近づけ跳ね返るエアー量が多くなると、先端ノズル部33の端部から糸進行方向に吹き出るエアーを衝突板81が跳ね返し過ぎてしまい、エアー交絡用ユニット21内の気流、エアー圧に影響を及ぼし、ダウンボール状の塊形成に支障したり、また、形成された羽毛状綿素材1の巻き取りに支障が生じる場合がある。
【0100】
また、衝突板81を近づけ跳ね返るエアー量が多くなると、ダウンボール状の塊形成に支障したりすることに加え、跳ね返ったエアーの圧力を受けて前記送りローラ11、15を経て送られてくる軸糸2、浮糸3がエアー交絡用ユニット21に入らずにその手前で上方に押し上げられとしまうという支障が生じる。
【0101】
なお、上述した角度、寸法等の設定例は一例であり、これらに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0102】
次に、上述したエアー交絡用ユニット21によるエアー交絡工程について
図5、
図16をも参照して詳述する。
【0103】
上述した軸糸2、浮糸3の供給工程を経てエアー交絡用ユニット21内に送り込まれた軸糸2、浮糸3は、糸・エアー供給体31の入口筒部36内、貫通孔35内、先端ノズル部33内を経てベンチュリー71内のすり鉢状壁面部72内に進入する。
【0104】
一方、前記エアー受栓64に供給されるエアーは、前記エアー交絡用ユニット21内の
エアー受凹部43内に至り、更に、エアー孔43aを経て前記すり鉢状壁面部72が形成する空間部に供給され、すり鉢状壁面部の傾斜面に吹き付けられて
図16に示すように散乱する。
【0105】
これにより、前記ベンチュリー71のすり鉢状壁面部72が形成する空間部内に進入した浮糸3は、前記空間部内で散乱状態となったエアーの流れを受けて撹乱され、軸糸2、浮糸3のフィラメント同士が結束して絡み合い(エアー交絡)繋がって一体化され、例えば、
図1(a)、
図1(b)に示すような一列に連なった形態のダウンボール状の塊を有し、かつ、綿状となった形態の羽毛状綿素材1が形成され、一列に連なった形態のダウンボール状の塊を有し、かつ、綿状となった形態の羽毛状綿素材1が形成される。
【0106】
すなわち、前記空間部内でのエアー交絡時には、
図5に示すように、軸糸2の回りに浮糸3のS撚り・Z撚りの部分が交互に繰り返す形態で浮糸3が絡まり繋がって、前記ダウンボール状の塊の直径φが約1.0〜8cm位で、特に1.5〜4cm位、好ましくは1.0〜3.5cmで、このダウンボール状の塊が軸糸の長さ方向に関してほぼ10cm程度以内の間隔D(
図22)をもって連続的に配列された綿状の形態の羽毛状綿素材1が形成される。
【0107】
この後、羽毛状綿素材1は、前記ベンチュリー71のベンチュリー貫通孔73内を通過し、前記エアー交絡用ユニット21の下方に放出され、衝突板81上に至り、また、前記ベンチュリー貫通孔73から衝突板81に向けてエアーが吹き付けられるので羽毛状綿素材1は衝突板81の近隣或いは周囲に飛散又は送られる。
【0108】
図17は、平坦な間隔調整リング(シムリング)105を用いて糸・エアー供給体31の下端とベンチュリー71の上端面との間に平坦な円環状形態の間隔調整リング105を介在させ、前記先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72との隙間間隔を調整する構成を示すものである。なお、本発明においては、前記間隔調整リング(シムリング)105部分の有無を問わず実施できることは勿論である。
【0109】
図17左欄は間隔調整リング105を使用しない場合で、先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72の最深部までの隙間間隔をd1とした例を、
図17右欄は間隔調整リング105を使用する場合で、先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72の最深部までの隙間間隔をd2(d2>d1)とした例を示している。
【0110】
前記間隔調整リング105を使用するか否かを問わないが、例えば間隔調整リング105を使用して、先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72の最深部までの隙間間隔を調整する(d1又はd2)ことで、羽毛状綿素材1のダウンボール状の塊の大きさ、各ダウンボール状の塊と塊との間隔、浮糸密度を適宜調整できることが判明した。図示しないが、前記間隔調整リング105の厚さを変更することによっても、先端ノズル部33の端部とベンチュリー71のすり鉢状壁面部72の最深部までの隙間間隔を調整できるので、ダウンボール状の塊の大きさ、各ダウンボール状の塊と塊との間隔、浮糸密度を適宜調整できることが判明した。
【0111】
以上説明した本実施例に係るダウンボール状の塊を備える羽毛状綿素材1の製造方法において、ダウンボール状の塊の大きさ、各ダウンボール状の塊と塊との間隔、浮糸密度を調整するパラメータとしては、軸糸2と浮糸3との供給倍率、エアー供給源91からのエアーの風量、エアー圧、ノズル部とベンチュリーとの間に配置する間隔調整リングの有無、厚さの変更による先端ノズル部とベンチュリーのすり鉢状壁面部との間の間隔調整等の種々の要因を挙げることができ、これらの要因を種々に組み合わせることにより、ダウンボール状の塊の大きさ、各ダウンボール状の塊と塊との間隔、浮糸密度を種々に変更させて所望の形態としたダウンボール状の塊を備える羽毛状綿素材1を製造することができる。
【0112】
(3)(巻取り工程)
上述したようにして衝突板81の側方に曲げられた羽毛状綿素材1は、
図4に示すように巻取り送りローラ16を経て、巻取りローラ17により巻き取られる。
【0113】
(4)(シリコーン樹脂加工工程)
次に、上述したようにして形成した羽毛状綿素材1を、
図18に示すように、容器111内のシリコーン剤にドブ浸けする。
【0114】
なお、シリコーン樹脂加工工程は、
図18に示すように、ダウンボール状、かつ、綿状の羽毛状綿素材1をドブ浸けする他、スプレー等の手段(図示せず)をもって散布により当該綿状の長繊維にシリコーン剤を付けるようにしても良い。本実施例においては、スプレー等の手段(図示せず)の散布により長繊維にシリコーン剤を付けることを主としている。
【0115】
前記羽毛状綿素材1を構成する軸糸2や浮糸3は、その表面が凹凸を有するために、シリコーン剤の量は、開繊される綿、すなわち、羽毛状綿素材1(軸糸2と浮糸3)の総量に対して、0.1〜5.0%、好ましくは0.5〜3.0%である。
【0116】
(5)(第1回加熱工程)
次に、シリコーン樹脂加工工程を終了した羽毛状綿素材1に対して第1回加熱工程を実施する。
【0117】
すなわち、図示しないが乾燥機を用い、加熱時間1分〜10分(3分〜5分が好ましい。)、加熱温度100〜149℃(特に130℃が好ましい。)の条件で第1回加熱工程を実施し、シリコーン剤を希釈した際の水分を飛ばす。シリコーン剤を希釈した際の水分を飛ばすためには、100℃以上の温度をかける必要がある。生産効率を上げるため短い時間で水分を飛ばすには100〜149℃が適温である。
【0118】
また、加熱時間が1分〜2分ではやや少なすぎ希釈した際の水分が十分に飛ばず、加熱時間が10分超えるとシリコーン剤が過熱により変色してしまうので3分〜5分が好適である。
【0119】
(6)(第2回加熱工程)
次に、第1回加熱工程を終了した羽毛状綿素材1に対して第2回加熱工程を実施する。
【0120】
すなわち、図示しないが乾燥機を用いて、加熱時間1分〜10分(3分〜5分が好ましい。)、加熱温度150〜200℃(特に180℃が好ましい。)の条件で、第2回加熱工程を実施し、羽毛状綿素材1に対するキュアリング(シリコーン剤定着)及び熱収縮を施す。これにより、シリコーン剤により羽毛状綿素材1に被膜ができすべりがよくなりぬめり感がでるとともに、隣り合う浮糸3同士がすべりによって絡まりにくくなり、また、ふんわり感がでる。
【0121】
更に、第2回加熱工程の実施により、羽毛状綿素材1を構成する軸糸2、浮糸3に熱収縮が生じ、
図19に示すように形状が変化して(縮んで)、熱収縮後の形状が安定して保持される。更に、径が太くなり固くなって嵩高がでるとともに、反発性が高まり、更には、耐洗濯性(洗濯しても形状が安定する)を持たせることもできる(防縮加工)。
【0122】
図20に第2回加熱工程を実施した羽毛状綿素材1(6本の糸A乃至糸F)に対して行った熱収縮試験の条件を示し、
図21に熱収縮試験の結果(テンション無しの場合とテンション有りの場合)である収縮率を示す。
【0123】
(7)(冷まし工程)
第2回加熱工程実施後の羽毛状綿素材1を、例えば乾燥機を用い、50〜90℃(特に70〜85℃が好ましい。)の温度で冷まし、製品とする。
【0124】
熱収縮した後、冷ますことでこの後の作業時に羽毛状綿素材1の形状が変わることを防止するものである。
【0125】
なお、本実施例に係る羽毛状綿素材1の製造方法において、上述したシリコーン樹脂加工工程を実施しない製造方法とすることもできる。
【0126】
この場合には、上述したようにして形成した羽毛状綿素材1を加熱時間1分〜10分(3分〜5分が好ましい。)、加熱温度150〜200℃(特に180℃好ましい。)の条件で1回のみ加熱し、この後、例えば乾燥機を用い、50〜90℃(特に70〜85℃が好ましい。)の温度で冷まし工程を実施し、製品とするものである。
【0127】
図22は、本実施例に係る軸糸2と一体となったダウンボール状の塊の寸法、各ダウンボール状の塊と塊との間隔を概念的に示すものであり、軸糸2、浮糸3のフィラメント同士が結束して絡み合い繋がって一体化され、一列に連なった形態の羽毛状綿素材1における前記軸糸2に対して、間隔Dが10cm程度以内で、直径φがほぼ1.0〜3.5cmの浮糸3の塊が形成されたものである。
【0128】
図23は本実施例に係るダウンボール状の塊の形状サイズとエアー交絡工程時のエアー圧との関係を定性的に示すものであり、エアー圧が高圧から低圧に変化するに沿ってダウンボール状の塊の形状サイズが大きくなることが判明した。
【0129】
図24は本実施例に係るダウンボール状の塊の密度と軸糸2、浮糸3の供給倍率との関係を定性的に示す。軸糸2、浮糸3の供給倍率が高まるほど(軸糸2に対して浮糸3の供給量が高ければ高いほど)ダウンボール状の塊の密度が濃くなることが判明した。すなわち、軸糸2に対して浮糸3の供給が多ければ多いほどダウンボール状の塊の密度が濃くなることが判明した。
【0130】
以上説明した本実施例のダウンボール状の塊を有する羽毛状綿素材1によれば、ダウンボール状の塊は、先行文献のようなものをはじめとする従来の綿素材とは全く相違するもので、従来のこれらの綿素材(従来存在する綿素材においてはせいぜい厚さを変えることが出来るくらいのもの)では発揮できない特有の作用・効果を発揮することができる。
【0131】
すなわち、本実施例の羽毛状綿素材1におけるダウンボール状の塊は、このダウンボール状の塊が一定間隔をもって形成されるので、羽毛状綿素材1として吸湿性があり、発汗性・発散性も良い。
【0132】
本実施例の羽毛状綿素材1を老人、病人、妊婦、子供等々の掛け布団使用者の変化により、素材の密度を変化させた掛け布団等を形成することができる。また、本実施例の羽毛状綿素材1は、従来のタスラン加工等々からできるようなものとはまったく相違するものである。
【0133】
なお、上述した場合の他、前記羽毛状綿素材1を竿等に掛け、風を当て更に余分な水分を飛ばすようにしても良い。この場合の風は冷風でも良いし、温風でも良い。
【0134】
また、羽毛状綿素材1中の水分がしっかりと飛ぶようにするため、まんべんなく風が当たるように手等で羽毛状綿素材を広げるようにほぐすことが好ましい。
【0135】
その際、ダウンボール形状の塊である浮糸3がより一層開いて嵩が出るように手で揉んでも良い。
【0136】
このような手揉み作業は、ダウンボール形状の塊である浮糸3が開繊しボリューム感(嵩高)を一層出すための作業である。
【0137】
また、ハンドドライヤーのような表面の水分を風圧で飛ばす機械を使用し、余分な水分を加熱・冷却機に入れる前にできる限り落とすことを工程に入れても良い。この場合の風は冷風でも温風でも良い。
【0138】
更に、上述したような処理が終了した羽毛状綿素材1を手でほぐし空気を含ませるようにしても良い。この際、より一層ダウンボール状の塊の部分が開繊するように手で揉んでも良い。このようにすることにより、多数の羽毛状綿素材1を並べた際、羽毛状綿素材1間の隙間がなくなり保温性向上が期待できる。
【0139】
以上説明した本実施例に係る羽毛状綿素材1によれば、羽毛材ではないポリマーで構成した軸糸2、浮糸3を原糸とし、当該軸糸2と、浮糸3とが前記すり鉢状壁面部72が形成する空間部内のエアー散乱雰囲気中でのエアー交絡により綿状に一体化されて、前記軸糸2と浮糸3とが絡み合い繋がって、
図1等に示すようなダウンボール状の塊を備え、かつ、綿状の長繊維として形成しているので、従来の羽毛布団用の羽毛のような前記問題が生ずることなく、特有のダウンボール状の塊を備えて十分なボリューム感、嵩高を有し、動物特有の臭気を伴うことがなく、また、洗濯性、保温性、断熱性にも優れ、従来全く存在しない新規で斬新な羽毛に模した形態に人工製造した新規な綿素材を実現することができる。
【0140】
また、本実施例に係る製造方法によれば、軸糸2、浮糸3のエアー交絡用ユニット21内への供給工程、エアー交絡用ユニット21内におけるエアーの散乱雰囲気中でのエアー交絡工程、巻取り工程でもって、簡略に製造することができ、上記効果を奏する羽毛に模した形態に人工製造した羽毛状綿素材1を得ることができる製造法方法を実現し提供することができる。