特許第6028799号(P6028799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028799
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】二酸化炭素供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20161107BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20161107BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   A01G9/18
   A01G9/24 Q
   A01G7/02
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-524800(P2014-524800)
(86)(22)【出願日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2013068661
(87)【国際公開番号】WO2014010561
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-154593(P2012-154593)
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(72)【発明者】
【氏名】田中 攻明
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−220114(JP,A)
【文献】 特開2011−193765(JP,A)
【文献】 特開平03−236723(JP,A)
【文献】 特開平10−229763(JP,A)
【文献】 特開2005−341953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 − 9/26
A01G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(1)、冷凍機(3)、該冷凍機(3)の冷凍サイクルで冷却した流体が流れる吸熱用熱交換器(6)を具備する二酸化炭素供給装置において、
前記燃焼器(1)で燃焼した場合に二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ冷却し、施設園芸ハウス内に供給し、
前記冷凍機(3)が、熱駆動冷凍機であって、前記燃焼器(1)での燃焼で発生した熱エネルギによって前記冷凍機(3)の冷凍サイクルを駆動し、
前記供給装置は、さらに蓄熱タンク(5)を具備し、
前記蓄熱タンク(5)のタンク流体によって、前記燃焼器(1)での燃焼で発生する熱エネルギと前記熱駆動冷凍機(3)から発生する排熱とを回収したことを特徴とする二酸化炭素供給装置。
【請求項2】
前記冷凍機(3)の冷凍サイクルが、吸着式冷凍サイクル、又は、吸収式冷凍サイクルであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項3】
燃焼器(1)、冷凍機(3)、該冷凍機(3)の冷凍サイクルで冷却した流体が流れる吸熱用熱交換器(6)を具備する二酸化炭素供給装置において、
前記燃焼器(1)で燃焼した場合に二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ冷却し、施設園芸ハウス内に供給し、
前記供給装置は、さらに蓄熱タンク(5)を具備し、
前記供給装置は、前記蓄熱タンク(5)からのタンク流体により、乾燥剤が吸着している水分を脱離する調湿・蓄熱装置(110)を具備することを特徴とす二酸化炭素供給装置。
【請求項4】
燃焼器(1)、冷凍機(3)、該冷凍機(3)の冷凍サイクルで冷却した流体が流れる吸熱用熱交換器(6)を具備する二酸化炭素供給装置において、
前記燃焼器(1)で燃焼した場合に二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ冷却し、施設園芸ハウス内に供給し、
前記供給装置は、さらに蓄熱タンク(5)を具備し、
送風用ファン(8)で空気を通過させて前記施設園芸ハウス内に供給する放熱用熱交換器(7)をさらに設け、
駆動冷凍機(3)を前記蓄熱タンク(5)からのタンク流体により駆動できるようにし、かつ、前記熱駆動冷凍機(3)から発生する排熱を前記放熱用熱交換器(7)で放熱するようにする、切替弁(9a〜9d、10)を具備することを特徴とす二酸化炭素供給装置。
【請求項5】
前記放熱用熱交換器(7)を、前記吸熱用熱交換器(6)の下流に設け、前記送風用ファン(8)で送風される空気は前記吸熱用熱交換器(6)を経て、前記放熱用熱交換器(7)へ流入することを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項6】
燃焼器(1)、冷凍機(3)、該冷凍機(3)の冷凍サイクルで冷却した流体が流れる吸熱用熱交換器(6)を具備する二酸化炭素供給装置において、
前記燃焼器(1)で燃焼した場合に二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ冷却し、施設園芸ハウス内に供給し、
前記供給装置は、さらに蓄熱タンク(5)を具備し、
前記吸熱用熱交換器(6)を、前記蓄熱タンク(5)からのタンク流体を流して放熱用熱交換器として機能させるようにする、切替弁(19a〜19d)を具備することを特徴とす二酸化炭素供給装置。
【請求項7】
前記供給装置を、施設園芸ハウスの屋内に設置したことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項8】
前記燃焼器(1)で燃焼した二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ、前記施設園芸ハウス内の植物に供給可能な温度まで冷却することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の二酸化炭素供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設園芸ハウス(horticultural green house)などにおいて、植物の光合成へ利用する二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の施設園芸ハウスでは、通常、ハウス内の温度、湿度を調整するためには、ハウス内外を繋げる開閉窓で行なうとともに、植物が光合成を行うために必要な光は、太陽光や人工光を利用したりしている。さらに、外気環境にかかわらず植物に適した環境を実現するために、暖房用ボイラー、湿度調整用の加湿器等を設置していることもある。そのような施設園芸ハウスでは、光合成時に消費される二酸化炭素(CO2)を確保するためには、外気導入を利用するか、土壌等に生息する微生物が発生するCO2を利用するか、工業的に生産されるCO2ガスを利用するか、燃料が燃焼する際や酸化反応後に発生するCO2を利用する等の方法がある。
【0003】
上述したCO2供給方法にはそれぞれ課題がある。外気導入に関しては、外気導入によるCO2の供給時にハウス内の環境に変化が起きる。このため、植物にストレスを与えたり、外気導入による環境調整のためのエネルギーロスが発生する。また、光合成が活発に行われる時に、CO2濃度を高めて多量にCO2を消費させることにより、より植物の成長促進が進む現象が、文献等で一般に知られている。しかしながら、外気のCO2量は400ppm程度であり、外気だけでは光合成が活発に行われる時にCO2濃度を高めることができない。土壌等の微生物が発生するCO2に関しては、供給元の微生物の活動次第でCO2量が左右され、安定的な供給が困難である。工業的に生産されるCO2ガスの利用に関しては、ハウス内の環境に左右される要因は無く所望のCO2量の供給が可能であるが、一般にCO2ガスをその生産所からハウスへ輸送するための輸送コストが含まれ、CO2ガスの単価は高く問題がある。しかも、輸送コストを低減するためには、ハウス側で大規模な貯蔵タンク等の設備を設置する必要があり、初期投資が高額となることや、入手先も限定されるなどの課題がある。
【0004】
一方、一般に普及している、燃料を燃焼させてCO2を発生させる方法としては、特許文献1に、燃焼ガスをファンでハウス内へ供給する機器が開示されている。このような機器では、燃焼時の熱も同時にハウス内へ供給される。太陽光を利用したハウスでは、日中、太陽熱も充分過ぎる程供給されている状況の中では、ハウス内に必要なCO2以外に、燃焼ガスの熱まで不要に供給されてハウス内の温度が上昇し、植物に適した環境を実現することができなくなってしまう。そこで、温度上昇を抑えるために、温度、湿度調整用の開閉窓が開放すれば、温度は低下するものの、燃焼によって供給されているCO2も同時に外部に放出されてしまい、CO2濃度を高めることができなくなる。
【0005】
また、供給されるCO2ガスは、燃焼熱を含んだCO2となるため、発生するCO2を、直接植物近傍へ供給することも困難となっている。この対策として、特許文献2には、排ガスと流体を熱交換して排ガス温度を低下させるシステムが開示されている。しかしながら、CO2と共に発生する熱を除去後は、冷却塔等で廃棄されるのみであり、燃料のもつエネルギーを有効に利用できていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−135639号公報
【特許文献2】特開2004−344154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、CO2を供給する際に発生する熱を有効に利用した二酸化炭素供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、燃焼器(1)、冷凍機(3)、該冷凍機(3)の冷凍サイクルで冷却した流体が流れる吸熱用熱交換器(6)を具備する二酸化炭素供給装置において、前記燃焼器(1)で燃焼した場合に二酸化炭素を含む排気ガスを、前記吸熱用熱交換器(6)に通過させ冷却し、施設園芸ハウス内に供給し、前記冷凍機(3)が、熱駆動冷凍機であって、前記燃焼器(1)での燃焼で発生した熱エネルギによって前記冷凍機(3)の冷凍サイクルを駆動し、前記供給装置は、さらに蓄熱タンク(5)を具備し、前記蓄熱タンク(5)のタンク流体によって、前記燃焼器(1)での燃焼で発生する熱エネルギと前記熱駆動冷凍機(3)から発生する排熱とを回収したことを特徴とする二酸化炭素供給装置である。
【0009】
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態(燃焼器1がON)の概略構成図である。
図2A】本発明の第1実施形態の熱駆動冷凍機(吸着式冷凍サイクルの場合で第1吸着器101bが吸着)の概略構成図である。
図2B】本発明の第1実施形態の熱駆動冷凍機(吸着式冷凍サイクルの場合で第2吸着器101cが吸着)の概略構成図である。
図3】本発明の第1実施形態(燃焼器1がOFF)の概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態(燃焼器1がON)の概略構成図である。
図5】本発明の第2実施形態(燃焼器1がOFF)の概略構成図である。
図6】本発明の第3実施形態の熱駆動冷凍機(吸収式冷凍サイクルの場合)の概略構成図である。
図7】本発明の第3実施形態の熱駆動冷凍機(吸収式冷凍サイクルの場合)の概略構成図である。
図8】本発明の第4実施形態の概略構成図である。
図9】本発明の他の実施形態の概略構成図である。
図10】本発明の第5実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、施設園芸ハウス内で人口的にCO2を供給させるため、燃焼器1を燃焼させてCO2を含む排気ガスをハウス内に供給するものである。その際、燃焼器内では、燃焼時に発生する熱と熱交換して、温水を発生させるようになっており、その温水を熱駆動冷凍機3へ供給する。熱駆動冷凍機3は、供給された温水をエネルギにして冷水を発生させる。その発生した冷水を、今度は吸熱用熱交換器6へ供給して、CO2を含む排気ガスを冷却するものである。排気ガスの冷却は、ハウス内の植物に直接供給が可能な温度まで低下させるのが好適である。ただし、直接供給可能な温度まで冷却させなくてもよく、追加の冷却器などでさらに冷却してからハウス内の植物に供給することも可能である。上述した植物に直接供給可能な温度まで冷却する例は、あくまで一例である。
【0012】
燃焼器1としては、燃焼専用器や暖房・給湯用のボイラー等に限らず、排ガスが活用できるものであれば良く、内燃機関、外燃機関、炭素を含む燃料の水蒸気改質を使用した燃料電池など幅広く含むものとして定義される。本発明の第1実施形態の熱駆動冷凍機3は、吸着式冷凍サイクル(adsorption refrigeration cycle)を使用した実施形態で説明するが、これに限定されずに吸収式冷凍サイクル(absorption refrigeration cycle)や、圧縮機3を使用した通常の冷凍サイクルであっても良い。ここで冷凍機とはこれらを全て含んだものとして使用される。
【0013】
図1に示すように、本実施形態は、主に、燃焼器1と、その燃焼器1の熱エネルギを利用して吸熱できる熱駆動冷凍機3と、熱駆動冷凍機3から発生する吸熱用の冷水により、燃焼器1から放出される燃焼ガスを冷却・調湿する吸熱用熱交換器6とから構成されている。燃焼器1は、CO2を含んだ燃焼ガスを放出して施設園芸ハウス内でのCO2を供給するとともに、温水を発生させる。その燃焼器1によって昇温された温水は、ラインL1の配管回路を通じて熱駆動冷凍機3に入力され、燃焼器1の熱エネルギを無駄なく利用して、熱駆動冷凍機3の吸着式冷凍サイクル(後述)を作動させる。さらに、二次熱交換器2は、その燃焼器1で発生する燃焼ガスから熱を回収する。
【0014】
熱駆動冷凍機3の蒸発器102(図2A参照)で冷却された冷水は、熱駆動冷凍機3の接続口eから、ラインL2の回路を通じて、燃焼器1から放出されるCO2を含んだ燃焼ガスの冷却・調湿のために利用される吸熱用熱交換器6に供給され、熱駆動冷凍機3の接続口dに帰還する。蓄熱タンク5の流体が流れるラインL3は、二次熱交換器2、熱駆動冷凍機3の接続口c、fを経由した後、蓄熱タンク5に帰還するよう接続される。途中、ラインL3には、液−液熱交換器4が設置され、熱駆動冷凍機3でラインL1を経由した後の温水と熱交換する。このように、ラインL1を経由した後の温水を、液−液熱交換器4でラインL3において熱回収して、蓄熱タンク5に保存する。本発明をシステム全体として構成する上では、熱回収上、蓄熱タンク5の存在は有効であるが、必ずしも蓄熱タンク5がなくても本実施形態は成立するものである。その場合には、熱駆動冷凍機3の接続口c、fのラインを放熱用ファンなどで冷却するラインにすると良い。
【0015】
燃焼器1によって発生したCO2を含んだ燃焼ガスは、吸熱用熱交換器6で冷却されて植物に適した適温となり、送風用ファン8により施設園芸ハウス内に送風される。吸熱用熱交換器6の下流には、放熱用熱交換器7が設置され、ファン8によって送風される空気は吸熱用熱交換器6を経て、放熱用熱交換器7へ流入する。
【0016】
熱駆動冷凍機3は、利用した温水の熱と吸着式冷凍サイクルが吸熱した熱を、冷凍機自体の排熱として排出する必要がある。そこで、蓄熱タンク5内にある流体を、ラインL3で冷却水として利用するものである。このラインL3の冷却水は、熱駆動冷凍機3へ投入する前に、燃焼器1で取りきれなかった熱を排気ガスより回収するために設置した二次熱交換器2に通水し、排気ガス温度を下げつつ熱回収も行う。排気ガスの熱を回収した後に熱駆動冷凍機3内の排熱を回収し、その後、熱駆動冷凍機3で利用後の温水と液−液熱交換器4を介して熱交換を行い、高温流体として蓄熱タンク5へ格納する。蓄熱タンク5の熱は、後述するように、暖房や調湿に利用するために放熱させるための放熱用熱交換器7において利用することができる。本実施形態は、吸熱+調湿+蓄熱のモードと、調湿+暖房のモードを切り替えるための三方弁9a〜9d、四方弁10を備えた構成となっている。三方弁9a〜9d、四方弁10は、複数の開閉弁で構成することも可能である。
【0017】
(吸着式冷凍サイクル)
本実施形態の熱駆動冷凍機3である吸着式冷凍サイクルを、図2A、2Bを参照して説明する。なお、この吸着式冷凍サイクルは、一例として例示するものであって、一般的な周知の吸着式冷凍サイクルであれば、本実施形態において適用可能である。
図2Aは、本実施形態の吸着式冷凍サイクルの第1吸着器101bが吸着工程、第2吸着器101cが脱着工程(desorbed process)として作動している図である。一方、図2Bは、四方弁105a、105bが90°切り替わって、第2吸着器101cが吸着工程、第1吸着器101bが脱着工程として作動している図である。
【0018】
この吸着式冷凍サイクルは、第1吸着器101b、凝縮器103、第2吸着器101c、及び、蒸発器102が順次環状に配管接続されて、冷媒を循環させる。106a〜106cは流体用ポンプである。この流体としては、一般的には水が使用されるが、水にエチレングリコール系の不凍液を混合した流体などを使用しても良い。第1吸着器101b、第2吸着器101cは、冷却されると気体状態の冷媒を吸着し、加熱されると冷媒を脱離する吸着剤が充填された第1吸着コア101a、第2吸着コア101dをそれぞれ収容している。吸着剤が周囲の蒸気を吸着し、それにより、蒸発器102内の液体状態の冷媒が蒸発し、この蒸発時に蒸発器102内部を流れるラインL2の流体から熱を奪い、冷水を発生するように構成されている。
【0019】
本冷凍サイクルは、蒸発器102の出口ポート111から、第1吸着器101bを経て、凝縮器103の入口ポート112まで延びる配管と、凝縮器103の出口ポート113から、第2吸着器101cを経て、蒸発器102の入口ポート114まで延びる配管とを備えている。蒸発器102の出口ポート111から、第1吸着器101bに至る途中には、第1吸着器101b側の圧力が、蒸発器102側の圧力より所定値以下に低下した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(逆止弁)104aが設置されている。この逆止弁104aは、蒸発器102から第1吸着器101bへ向かう冷媒の流通を許可すると共に、その反対方向の冷媒の逆流を阻止する。
【0020】
第1吸着器101bから、凝縮器103の入口ポート112に至る途中には、第1吸着器101b側の圧力が所定値(凝縮器103側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(逆止弁)104cが設置されている。この逆止弁104cは、第1吸着器101bから凝縮器103へ向かう冷媒の流通を許可すると共に、その反対方向の冷媒の逆流を阻止する。
【0021】
同様に、蒸発器102の出口ポート114から、第2吸着器101cに至る途中には、第2吸着器101c側の圧力が、蒸発器102側の圧力より所定値以下に低下した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(逆止弁)104bが設置されている。この逆止弁104bは、蒸発器102から第2吸着器101cへ向かう冷媒の流通を許可すると共に、その反対方向の冷媒の逆流を阻止する。
【0022】
第2吸着器101cから、凝縮器103の入口ポート113に至る途中には、第2吸着器101c側の圧力が所定値(凝縮器103側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(逆止弁)104dが設置されている。この逆止弁104dは、第2吸着器101cから凝縮器103へ向かう冷媒の流通を許可すると共に、その反対方向の冷媒の逆流を阻止する。
【0023】
第1吸着コア101a、第2吸着コア101dは、周知の熱交換器と、この熱交換器のチューブおよびフィン等の熱交換部の表面に取り付けられた多数の吸着剤とによって構成されている。熱交換器は、加熱媒体または冷却媒体が流通する複数のチューブ、これらのチューブの一端が接合されて加熱媒体または冷却媒体の分配または集合を行うヘッダタンク、および、各チューブの表面に接合された多数のフィン等を有する。吸着剤は、冷却されることによって冷媒蒸気を捕捉(吸着)すると共に、加熱されることによって吸着していた冷媒を解離(脱着)する機能を備えている。
【0024】
本実施形態では、吸着剤として、例えば、主な骨組みとして、酸化アルミニウム、リン酸、酸化珪酸からなるものや、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭を採用している。ここで、第1吸着コア101a、第2吸着コア101dに加熱媒体を供給することで、第1、第2吸着コア101a、101dの吸着剤が吸着していた冷媒が脱離し、蒸気として放出される。
【0025】
凝縮器103の側部下方には、凝縮器103の側面で開口した出口ポート115が形成されており、蒸発器102の側部下方には、蒸発器102の側面で開口した入口ポート116が形成されており、凝縮器103の出口ポート115に配管107を介して接続されている。ラインL3からの冷却水で凝縮器103内の冷媒が凝縮し、凝縮器103の出口ポート115から重力や差圧で蒸発器102の入口ポート116に流入して帰還するようになっている。これにより、第1吸着器101b又は第2吸着器101cが、脱着工程として作動する場合に、放出された水蒸気が凝縮器103で液化し、配管107を経て蒸発器102に供給される。
【0026】
次に、本実施形態の吸着冷凍サイクルの作動を説明する。本実施形態の吸着冷凍サイクルは、図2Aのように、第1吸着器101bが吸着工程、第2吸着器101cが脱着工程として作動する。次に、図2Bのように、四方弁105a、105bの弁位置が図2Aに示す状態から90°切り替わって、第2吸着器101cが吸着工程、第1吸着器101bが脱着工程として作動する。四方弁105a、105bの弁位置は、電子制御装置(以下、ECUと呼称する)によって制御される。ECUは、熱駆動装置3の運転中に、所定の制御周期毎に、図2A図2Bに示す四方弁105a、105bの弁位置となるよう交互に切替え、その切替制御を繰り返し実行する。
【0027】
まず、図2Aにおいて、第1吸着器101bが吸着工程、第2吸着器101cが脱着工程として作動している。前工程で第1吸着コア101aの水蒸気が放出されて脱着が完了した状態から、接続口c、fに流れる冷却水で冷却されることで、第1吸着コア101aの水蒸気吸収が始まり、第1吸着器101b内は減圧される。やがて逆止弁104aが開となると、第1吸着コア101aの水蒸気の吸着につれ、蒸発器102内では冷媒の気化が進行するので、ラインL2の接続口dから流入する管内の水は急速に熱を奪われ冷却される。
【0028】
第1吸着コア101aの吸着が飽和する前に、ECUによって制御されて、四方弁105a、105bが90°切り替わり、図2Bの状態に切替えられる。今度は、第2吸着コア101dの脱着が完了しているので、第2吸着コア101dの水蒸気吸着が始まり、第2吸着器101c内は減圧される。やがて逆止弁104bが開となると、蒸発器102内では冷媒の気化が進行する。
【0029】
一方、このとき、第1吸着コア101aには、ラインL1から接続口bを経て高温の温水が流入して、第1吸着コア101aを加熱する。これにより、第1吸着コア101aから水蒸気が放出され、その圧力で逆止弁104cが開となる。凝縮器103に水蒸気が凝縮されることにより、第1吸着コア101aの脱着が完了して、吸着工程での吸着容量が確保される。このようにして、図2Aの状態と図2Bの状態が、ECUによって、所定の制御周期毎に繰り返し実行されるよう制御される。この制御によって、ラインL2の接続口dから流入する管内の水は常時熱を奪われ冷却され、排気ガスの冷却のために利用される吸熱用熱交換器6に、継続的に冷水が供給され、燃焼器1で発生する排気ガスの温度を低下させる事が可能となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、施設園芸ハウス内で人口的にCO2を供給させるため、燃焼器1を燃焼させてCO2を含む排気ガスを、施設園芸ハウス内に供給する。その際、燃焼器1内では、燃焼時に発生する熱と熱交換して温水を発生させるようになっており、その温水を熱駆動冷凍機3へ供給する。熱駆動冷凍機は温水をエネルギにして冷水を発生させることが可能となり、その発生した冷水を吸熱用熱交換器6へ供給することが可能となる。
【0031】
以上のように、燃焼器1で発生する熱を回収、及び、利用しながら、熱駆動冷凍機3を作動させる。そして、発生するCO2を含む排気ガスを、自身が発生する熱エネルギを用いて冷却することで、植物に直接供給が可能な温度まで低下させることが可能となる。発生する熱は極力回収されて蓄熱される。このため、本実施形態を施設園芸用ハウスにおいて利用した場合は、日中の施設園芸ハウス内温度上昇を抑制することができるので、温度調節等で作動する換気窓の開閉が抑制される。その結果、通常の燃焼式CO2発生機と比較し、より少ない燃料で施設園芸ハウス内のCO2濃度を維持することが可能である。また、同等の燃料消費であっても、よりCO2濃度を高めることができる効果がある。
【0032】
本実施形態は、園芸に利用するため、上記工程は光合成が行われる時に作動し、その間に発生する熱は、熱駆動冷凍機3の駆動を行うとともに、蓄熱タンク5内にて保管される。蓄熱タンクに保管される熱は、冷凍機の能力によっては、燃焼器1が発生する熱以外にも、施設園芸ハウス内の熱も回収しながら蓄熱させることも可能である。
【0033】
次に、光合成が行われずCO2を供給しなくても植物の生育に支障が出ない場合に、ハウス内の暖房や除湿を行うモードについて、図3を参照して説明する(図3は、三方弁9a〜9dと四方弁10の設定位置以外、図1と同じ構成である。蓄熱タンク5の流出口は図面において上方となり、図1とは反対に変更されている。)。図3の実施形態においては、送風用ファン8から送風される空気は、吸熱用熱交換器6、放熱用熱交換器7の順に通過するように構成されているが、必ずしもこれに限定されずに、放熱用熱交換器7のみを任意の場所に設置して、除湿せずにハウス内に温風を送風することも可能である。
除湿暖房を行う場合には、図1の三方弁9a〜9dと四方弁10を切替えて図3のように設定し、通常は燃焼器1をOFFにする。蓄熱タンク5内の温水を、タンク上部から熱駆動冷凍機3の接続口bに供給し、吸着式冷凍サイクルを作動させる。
【0034】
これにより、熱駆動冷凍機3で発生した冷水を吸熱用熱交換器6に送り、送風用ファン8から送風される空気を冷却する。さらに、熱駆動冷凍機3で発生する排熱を含む冷却水(所定温度の温水)は、熱駆動冷凍機3の接続口fから流出して、放熱用熱交換器7へ供給される。これにより、蓄熱タンク5に蓄えられた熱量により、送風用ファン8で施設園芸ハウス内に送られる空気を、除湿暖房することが可能となる。温水熱量を使用した流体は、図上、蓄熱タンクの下部に戻り、蓄熱タンク5内の温水温度が低下していき、熱駆動冷凍機3が作動出来ない温度域になっていくが、放熱用熱交換器7には、熱駆動冷凍機3を介して蓄熱熱量を含む流体を供給することが可能であり、施設園芸ハウス内温度と流体が、同等温度になるまで暖房は可能となる。
なお、図10の第5実施形態に示すように、第1実施形態の流路を変更しても良い。この実施形態では、図3に示される蓄熱タンク5の上部開口から四方弁10を経由して熱駆動冷凍機3の開口部bに接続する流路を、図10の如く、四方弁10から燃焼器1の入口に接続させ、燃焼器1を経由して熱駆動冷凍機3の開口部bに接続する流路に変更した例である。それ以外は、第1実施形態と同様である。
この図10の第5実施形態の構成により、除湿暖房時、蓄熱タンク5内に蓄えられた熱量が低下した場合でも、燃焼器1をONにすることで、蓄熱タンク5内の蓄熱量を再び増大させることができる。従って、第1実施形態に比べ、より長時間の除湿暖房を可能とすることができる。
【0035】
本実施形態によれば、CO2供給のために発生する熱は有効に利用されることになる。そして、施設園芸ハウス内に別に設置されている暖房機器や除湿機器の消費エネルギを削減することが可能となり、施設園芸ハウスで利用するエネルギを有効に利用することが可能となる。また、施設園芸ハウス内を密閉した状態で調湿することで、除湿が可能となる。従って、外気導入と暖房を併用しながら除湿する方式に比較して、暖房エネルギを低減することができる。しかも、外気導入等で植物に害のある昆虫の侵入する確率も低減が可能となる。
CO2及び熱を施設園芸ハウス内で利用するためには、システム全体は、施設園芸ハウス内に設置することが望ましく、特に蓄熱タンク5を屋内に設置することで、タンク外壁からの放熱、例えば、夜間等の気温低下時に徐々にタンク外部へ放熱される熱も、施設園芸ハウス内の加温に寄与させることができる。燃焼器1に関しては燃焼時に光も放出しているため、CO2を含む排気ガスと光を同時に利用するようにしても良い。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態は、図4、5に示すように、施設園芸ハウスへ、日中でも加湿を行うことを可能とするため、調湿・蓄熱装置110を付設した実施形態である。温水が調湿・蓄熱装置110内に流れると、乾燥剤が水分を脱離するようにしている。以下、図4、5を参照して第2実施形態を説明する。図4では、施設園芸ハウスに供給する冷却したCO2を含む排気ガスを供給するために、図1の第1実施形態と同じく、燃焼器1をONとし、熱駆動冷凍機3を作動させる。図5では、燃焼器1、熱駆動冷凍機3をOFFにした場合を示している。
【0037】
図4では、図1の第1実施形態と同じく、燃焼器1をONとし、蓄熱タンク5から出た流体は、図1と同じく二次熱交換器2を通りながら、接続口cから熱駆動冷凍機3を通る。熱駆動冷凍機3内の回路構成は、図2、3と同じである。その後、熱駆動冷凍機3の接続口dから流出した流体は、液−液熱交換器4で熱交換しながら温度上昇し、後述する調湿・蓄熱装置110を通り、蓄熱タンク5に戻る。施設園芸ハウスに、冷却したCO2を含む排気ガスを供給する場合は、図1の第1実施形態と同様である。効果についても同様である。
【0038】
第2実施形態は、上述したように、施設園芸ハウスに日中の加湿を行うための調湿・蓄熱装置110を付設している。調湿・蓄熱装置110は、水分を吸着脱離する乾燥剤を利用しており、温水が装置110内に流れると乾燥剤が加熱され、乾燥剤は吸着していた水分を脱離して行く。この脱離した水分を、送風ファン8bで供給することで、ハウス内を加湿することが可能となる。
次に、調湿・蓄熱装置110での水分の脱離が完了し、蓄熱タンク5にも蓄熱が完了した状態では、三方弁19a〜dの位置を、図4(燃焼器1:ON)から図5(燃焼器1:OFF)に示すように切替えて使用することができる。
【0039】
図5において、吸熱用熱交換器6は、放熱用ポンプ17が作動することによって、蓄熱タンク5の上部(図上)から流出される温水が供給される。すると、この熱交換器6は、図4での吸熱機能ではなく、放熱用熱交換器として機能する。そして、送風ファン8aから送風される空気は、熱交換器6を通過することとで温風となってハウス内に供給される。このような温風暖房が、蓄熱タンク5の蓄熱分可能となる。なお、図5の場合には、放熱用ポンプ17が作動しないと熱交換器6に流体が巡回しない。一方、図4の場合には、熱駆動冷凍機3内のポンプ106c(図2A)によって、熱交換器6に流体が巡回可能である。さらに、図5において、調湿・蓄熱装置110に送風ファン8bを作動させることで、装置110自体の熱容量、乾燥剤自体の熱容量、吸湿時に発生する吸着熱を利用した暖房も可能となる。
【0040】
また、調湿・蓄熱装置110は、乾燥剤に送風することで以下の効果がある。一般的に、乾燥剤は、乾燥剤に供給される気体の水分を吸着しながら発熱するが、発熱状態では乾燥剤の水分吸着量が低下してしまう。そこで、送風ファン8bを駆動して、空気を乾燥剤に流入させるよう送風する。この送風により、乾燥剤の吸着時に発生する熱は放熱されるため、乾燥剤の水分吸着容量を確保することができる。従って、乾燥剤の水分吸着容量を確保しながら乾燥温風を送出し、しかも、調湿する場合には、ハウス内の除湿が可能となる。上記乾燥剤の特性から、送風量を調整することで、温風温度や除湿速度の調整は可能となる。乾燥剤は、シリカゲル、ゼオライト活性炭、アルミナ、金属酸化物、生石灰、塩化カルシウム、臭化リチウム、合成樹脂等、無機系、有機系の物質を利用すると良い。
【0041】
(第3実施形態)
図6、7の第3実施形態は、熱駆動冷凍機3を吸収式冷凍サイクルにした実施形態である。その他は、第1、2実施形態と同様である。すなわち、図1、3〜5における熱駆動冷凍機3の接続口a〜fは、図6、7の接続口a〜fに連結している。図6、7において、熱駆動冷凍機3内の接続口c−fのラインを、並列にしたものが図6であり、直列にしたものが図7である。吸収式冷凍サイクルは、周知の吸収力の高い液体(吸収液、水−臭化リチウム、アンモニア−水など)に吸収器201で冷媒を吸収させて発生する低圧によって、蒸発器202の冷媒を気化させて低温をつくる冷凍機である。
【0042】
図6を参照して説明すると、冷媒を低圧の蒸発器202で蒸発させ、ラインL2(d〜e)において冷水・冷液をつくり、蒸発冷媒は吸収器201で吸収液に吸収させる。冷媒を吸収した吸収液は、再生器(regenerator)203で熱を加え冷媒を蒸発分離して、その濃溶液は減圧弁205を経て再び吸収器201に戻す。一方、蒸発分離した冷媒は、凝縮器204で冷却して液化し、減圧弁206を経て再び蒸発器202で吸熱に使用する。図6の実施形態は、熱駆動冷凍機3内の接続口c−fのラインを、凝縮器204と吸収器201に流れるように並列に分岐したものであり、図7の実施形態は凝縮器204と吸収器201に直列に流れるように連結したものである。各構成要素を流れる冷却水の温度等により適宜選択すればよい。効果についても第1実施形態と同様である。
【0043】
以上説明したように、熱駆動冷凍機3は、吸着式冷凍サイクルでも吸収式冷凍サイクルでもよく、吸着式冷凍サイクルの場合には、作動熱源温度をより低くすることができる。
【0044】
(第4実施形態)
図8の第4実施形態は、エンジン駆動式冷凍機(エンジンの回転によりベルト伝動で圧縮機を駆動)を使用した実施形態である。CO2を発生する燃焼器としてのエンジン1と、そのエンジンにより駆動される圧縮機22を有する実施形態である。この圧縮機22により、冷凍サイクルを形成するように凝縮器25と膨張弁24と吸熱用熱交換器(蒸発器)6が配管で接続されている。この冷凍サイクルの凝縮器25と熱交換するために熱交換器23が設置されている。一例として、蓄熱タンク5、エンジン排気ガスから熱回収する二次熱交換器2、熱交換器23、エンジン1の冷却部、調湿・蓄熱装置110とは、この順序で、流体回路Fで繋がれており、三方弁29a〜29dにて流路を切替えている。これらの接続順序は、二次熱交換器2、熱交換器23、エンジン1の冷却部等の温度を考慮して適宜設定すればよく、図8の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
本実施形態ではエンジン1から得られる動力で圧縮機22を回し、蒸気圧縮式冷凍サイクルを作動させることで冷熱を得る。エンジン1からは燃料が燃焼した時に発生するCO2を含んだ排気ガスが発生する。その排気ガスに含まれた熱は、排気熱回収器(二次熱交換器2)で回収されるとともに、熱交換器2の下流側の吸熱用熱交換器(蒸発器)6でも、上記冷凍サイクルで発生する吸熱を利用して回収される。これにより、排気ガスは冷却される。蓄熱タンク5の流体は、流体回路Fにおいて、二次熱交換器2で熱回収するとともに、その下流側で、冷凍サイクルの凝縮器25で冷凍サイクルから放熱される熱を熱交換器23で回収し、その後、エンジン冷却水としてエンジン内部に流され熱回収する。
【0046】
調湿・蓄熱装置110では、第2実施形態と同様に加湿(除湿)を行い、蓄熱タンク5へ帰還する。図8の状態では、調湿・蓄熱装置110は、タンク5へ帰還する流体の熱によって、装置110が備える乾燥剤が加熱され、吸着していた水分を放出される。そして、送風ファン8bからの空気を加湿する。
蓄熱タンク5の蓄熱、及びハウス内へ所望のCO2量の供給が完了している場合には、三方弁29a、29bを切替え(90°右回り)、蓄熱タンク5と放熱用熱交換器7とを連結して、蓄熱タンク5内の温水を流すことで暖房を行うことが可能となる。上記回路では図4、5の第2実施形態と同様に、別途調湿・蓄熱装置110が取り付けてあるので、タンク5の温水流路が装置110をバイパスするよう三方弁29c、29dを切替え、送風ファン8bで送風することによって、除湿も行う。
なお、動力源は内燃機関、外燃機関を問わず、また炭素を含む燃料を使用する燃料電池でも可能である。
図9の実施形態では、蓄熱タンク5に高温の温水を蓄熱して、それによって熱駆動冷凍機3を作動させる。熱駆動冷凍機3の接続口c、fのラインは、施設園芸ハウス内で放熱用熱交換器をファン8cで冷却している(ハウス外で冷却しても良い)。それ以外においては、第1、2実施形態と同様である。この実施形態では、燃焼器1で発生した熱(すなわち熱エネルギ)を蓄熱タンク5に温水という形態で蓄熱させたものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 燃焼器
3 冷凍機
5 蓄熱タンク
6 吸熱用熱交換器
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10