(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室外ユニット(20)と複数の室内ユニット(40)とが連絡配管(71,72)で接続されて構成された冷媒回路(11)と、該冷媒回路(11)の動作を制御する運転制御部(80)とを備え、
上記連絡配管(71,72)が、室外ユニット(20)に接続されたガス側主配管(72a)及び液側主配管(71a)と、該ガス側主配管(72a)及び液側主配管(71a)のそれぞれから分岐して各室内ユニット(40)に接続されたガス側分岐配管(72b)及び液側分岐配管(71b)とを備え、
上記運転制御部(80)が、運転中に上記連絡配管(71,72)に滞留する冷凍機油の滞留量を所定時間ごとに算出して該所定時間ごとの算出値を積算し、その積算値が設定量を超えると上記冷媒回路(11)内の冷凍機油を圧縮機(21)に回収する油回収運転を行う油回収制御部(81)を備えた空気調和装置であって、
上記油回収制御部(81)は、上記ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が予め設定された主管流速下限値よりも遅いと判定されると該ガス側主配管(72a)に冷凍機油が滞留すると判断して、該ガス側主配管(72a)の冷凍機油の滞留量を主管内油滞留量として算出するとともに、上記ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値よりも速く、かつ該ガス側分岐配管(72b)のうちでガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)があると判定された場合には、該分岐管流速下限値よりも冷媒の流速が遅いガス側分岐配管(72b)に冷凍機油が滞留すると判断して、該ガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量を分岐管内油滞留量として算出し、これらの主管内油滞留量と分岐管内油滞留量から上記積算値を算出する油滞留量算出部(82)を有していることを特徴とする空気調和装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の空気調和装置では、室内ユニットの必要能力を求め、室内熱交換器の冷媒温度(蒸発温度または凝縮温度)がその必要能力に応じた温度になるように,圧縮機の運転容量や室内ファンの風量を制御することで、省エネルギー化を図ることが行われている。つまり、特許文献1の空気調和装置では、省エネルギー運転時に目標蒸発温度や目標凝縮温度を室内ユニットの必要能力に応じて所定時間ごとに変更しながら、冷凍サイクルがその目標蒸発温度や目標凝縮温度で動作するように圧縮機の運転容量などを制御している。
【0008】
しかしながら、省エネルギー運転を行うと、連絡配管の主配管では冷媒の流速が油回収に必要な流速の下限値を超えている場合でも、一部の分岐配管では冷媒の流速が油回収に必要な流速の下限値に満たない場合があり、その分岐配管に流入する冷凍機油が考慮されずに上記積算値が算出されてしまう。その結果、算出した積算値が実際に圧縮機から流出した冷凍機油の量よりも少なくなるので、冷凍機油の貯留量が少ない状態で圧縮機を運転することになり、圧縮機の潤滑不良が生じやすくなる。
【0009】
また、目標蒸発温度や目標凝縮温度を変更しながら行う省エネルギー運転でなく、目標蒸発温度や目標凝縮温度を固定して行う通常運転においても、上記の油回収運転では、主配管の冷媒の流速が油回収に必要な流速を満たしていない場合にのみ、その量(油上り量)を算出して積算していたため、主配管の冷媒の流速が油回収に必要な流速を満たしていても分岐配管の流速が満たされない場合に、分岐配管に滞留する油上り量が考慮されず、算出した冷凍機油の量が実際に圧縮機から流出した量よりも少なくなって油不足のまま圧縮機を運転するおそれがある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室外ユニットと複数の室内ユニットとが接続された空気調和装置において、油回収運転を適切なタイミングで行うことにより圧縮機の潤滑不良を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、室外ユニット(20)と複数の室内ユニット(40)とが連絡配管(71,72)で接続されて構成された冷媒回路(11)と、該冷媒回路(11)の動作を制御する運転制御部(80)とを備え、上記連絡配管(71,72)が、室外ユニット(20)に接続されたガス側主配管(72a)及び液側主配管(71a)と、該ガス側主配管(72a)及び液側主配管(71a)のそれぞれから分岐して各室内ユニット(40)に接続されたガス側分岐配管(72b)及び液側分岐配管(71b)とを備え、上記運転制御部(80)が、運転中に上記連絡配管(71,72)に滞留する冷凍機油の滞留量を所定時間ごとに算出して該所定時間ごとの算出値を積算し、その積算値が設定量を超えると上記冷媒回路(11)内の冷凍機油を圧縮機(21)に回収する油回収運転を行う油回収制御部(81)を備えた空気調和装置を前提としている。
【0012】
そして、この空気調和装置は、上記油回収制御部(81)が、上記ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が予め設定された主管流速下限値よりも遅いと判定されると該ガス側主配管(72a)に冷凍機油が滞留すると判断して、該ガス側主配管(72a)の冷凍機油の滞留量を主管内油滞留量として算出するとともに、上記ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値よりも速く、かつ該ガス側分岐配管(72b)のうちでガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)があると判定された場合には、該分岐管流速下限値よりも冷媒の流速が遅いガス側分岐配管(72b)に冷凍機油が滞留すると判断して、該ガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量を分岐管内油滞留量として算出し、これらの主管内油滞留量と分岐管内油滞留量から上記積算値を算出する油滞留量算出部(82)を有していることを特徴としている。
【0013】
この第1の発明では、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が予め設定された主管流速下限値よりも遅いと判断された場合は、該ガス側主配管(72a)の冷凍機油の滞留量が主管内油滞留量として算出される。また、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値より速くても、上記ガス側分岐配管(72b)におけるガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)がある場合は、該分岐管流速下限値よりも流速が遅いガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量が分岐管内滞留量として算出される。このようにして、油滞留量算出部(82)においてガス側主配管(72a)やガス側分岐配管(72b)の油の滞留量が算出され、それらの値から上記積算値が算出される。そして、算出された積算値が設定量を超えると油回収運転が行われ、上記冷媒回路(11)内の冷凍機油が上記圧縮機(21)に回収される。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記油回収制御部(81)が、上記ガス側分岐配管(72b)ごとに定められた上記分岐管流速下限値に対応する冷媒の状態を表す冷媒状態値を、ガス冷媒の流速を判定するための基準値として有する基準値格納部(83)を備え、上記油滞留量算出部(82)が、分岐管内油滞留量を算出する場合は、上記ガス側分岐配管(72b)ごとに冷媒状態値の現在値と基準値とを比較し、ガス冷媒の流速が上記分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)の油滞留量により、上記積算値を算出することを特徴としている。
【0015】
この第2の発明では、ガス側分岐配管(72b)ごとの冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された基準値と比較することにより、冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうか判定される。そして、冷媒の流速が上記分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)における冷凍機油の滞留量が求められて上記積算値が算出され、積算値が設定量を超えると油回収運転が開始される。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、上記油回収制御部(81)は、上記室内ユニット(40)で設定可能な一つまたは複数の風量レベルに応じた上記分岐管流速下限値に対応する冷媒の状態を表す冷媒状態値を、ガス冷媒の流速を判定するための基準値として有する基準値格納部(83)を備え、上記油滞留量算出部(82)は、分岐管内油滞留量を算出する場合は、上記室内ユニット(40)のガス側分岐配管(72b)の冷媒状態値の現在値と風量レベルに応じた基準値とを比較し、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)の油滞留量により、上記積算値を算出することを特徴としている。
【0017】
第4の発明は、第2の発明において、上記基準値格納部(83)は、上記室内ユニット(40)ごとに設定可能な一つまたは複数の風量レベルに応じ
て基準値を有し、上記油滞留量算出部(82)は、上記室内ユニット(40)ごとにガス側分岐配管(72b)の冷媒状態値の現在値と風量レベルに応じた基準値とを比較し、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)の油滞留量により、上記積算値を算出することを特徴としている。
【0018】
この第3,第4の発明では、ガス側分岐配管(72b)の冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された風量レベルに応じた基準値と比較することにより、冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうか判定される。そして、冷媒の流速が上記分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)における冷凍機油の滞留量が求
められて上記積算値が算出され、積算値が設定量を超えると油回収運転が開始される。
【0019】
第5の発明は、第2,第3または第4の発明において、上記運転制御部(80)が、冷房運転中に蒸発温度を目標値(目標蒸発温度)に保つ制御を行うように構成され、上記基準値格納部(83)には、上
記基準値として蒸発温度の設定値が保存され、上記油滞留量算出部(82)が、蒸発温度の現在値(第2〜第4の発明の冷媒状態値の現在値)が設定値(基準値)よりも高いガス側分岐配管(72b)の油滞留量により上記積算値を算出することを特徴としている。上記構成において、設定値よりも高いかどうかが比較される「蒸発温度の現在値」には、蒸発温度目標値の現在値を用いるとよいが、蒸発温度の実際の現在値を用いることもできる。
【0020】
この第5の発明では、冷房運転時に蒸発温度を変更して省エネルギー運転を行う場合には、冷媒状態値の一つである蒸発温度の現在値と、上記基準値として保存された蒸発温度の設定値とが比較され、蒸発温度が高いと必要な能力が小さく、必要な冷媒循環量も少ないことから、蒸発温度の現在値が設定値よりも高いガス側分岐配管(72b)における冷凍機油の滞留量が算出されて、その滞留量の値から上記積算値が求められる。そして、積算値が設定量を超えると、油回収運転が開始される。
【0021】
第6の発明は、第2,第3または第4の発明において、上記運転制御部(80)が、暖房運転中に凝縮温度を目標値(目標凝縮温度)に保つ制御を行うように構成され、上記基準値格納部(83)には、上
記基準値として凝縮温度の設定値が保存され、上記油滞留量算出部(82)が、凝縮温度の現在値(第2〜第4の発明の冷媒状態値の現在値)が設定値(基準値)よりも低いガス側分岐配管(72b)の油滞留量により、上記積算値を算出することを特徴としている。上記構成において、設定値よりも低いかどうかが比較される「凝縮温度の現在値」には、凝縮温度目標値の現在値を用いるとよいが、凝縮温度の実際の現在値を用いることもできる。
【0022】
この第6の発明では、暖房運転時に凝縮温度を変更して省エネルギー運転を行う場合には、冷媒状態値の一つである凝縮温度の現在値と、上記基準値として保存された凝縮温度の設定値とが比較され、凝縮温度が低いと必要な能力が小さく、必要な冷媒循環量も少ないことから、凝縮温度の現在値が設定値よりも低いガス側分岐配管(72b)における冷凍機油の滞留量が算出されて、その滞留量の値から上記積算値が求められる。そして、積算値が設定量を超えると、油回収運転が開始される。
【0023】
なお、上記各発明において、「目標値」は、室内の空調負荷に応じて制御を行う場合に蒸発温度や凝縮温度の目標となる値、「基準値」は、ガス側分岐配管内の冷媒の流速が速いか遅いかを判定するための基準となる値、「設定値」は、上記基準値として用いられる蒸発温度や凝縮温度の値、そして「設定量」は、冷媒配管内に冷凍機油が溜まって油回収が必要になっているかどうかを判定するための値を表している。上記の各用語は、本明細書の全体を通じて上記の意味で用いるものとする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値よりも速くても、上記ガス側分岐配管(72b)におけるガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)がある場合は、該分岐管流速下限値よりも流速が遅いガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量を求めて上記積算値を算出するようにしているので、ほぼ正確な油滞留量の積算値を算出することが可能になる。したがって、算出した油滞留量が実際の油滞留量よりも少なくなるのを防止できるから、適切なタイミングで油回収運転を開始することが可能になり、その結果、冷凍機油の貯留量が少ない状態で圧縮機(21)を運転するのを防止でき、圧縮機(21)の潤滑不良が生じるのを抑えられる。
【0025】
上記第2の発明によれば、ガス側分岐配管(72b)ごとの冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された基準値と比較することにより、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを判定するようにしているので、冷媒流速センサを設けなくても、冷媒の温度などの状態値から、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを容易に判定でき、コスト削減にも寄与する。
【0026】
上記第3,第4の発明によれば、ガス側分岐配管(72b)ごとの冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された、風量レベルに応じた基準値と比較することにより、冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを判定するようにしているので、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかをより正確に判定できる。その理由は、冷媒状態値には例えば温度や圧力が含まれるが、冷媒状態値が蒸発温度や凝縮温度である場合だと、室内ユニット(40)の容量が同じであれば、油戻しの流速下限値から定まる蒸発温度は風量レベルが上がるほど高くなり、凝縮温度は風量レベルが上がるほど低くなるために、風量レベルに応じた基準値を定めて現在値と比較すれば、風量レベルに関係なく室内ユニット(40)ごとに平均値的な基準値を定めて現在値と比較するよりも判定の精度が上がるためである。
【0027】
上記第5の発明によれば、冷房運転時には、蒸発温度を変更して省エネルギー運転を行う場合に、蒸発温度の現在値と、上記基準値として保存された蒸発温度の設定値とを比較して上記積算値を求め、油回収運転を行うようにしているので、油回収運転の制御を容易に行うことができる。
【0028】
上記第6の発明によれば、暖房運転時には、凝縮温度を変更して省エネルギー運転を行う場合に、凝縮温度の現在値と、上記基準値として保存された凝縮温度の設定値とを比較して上記積算値を求め、油回収運転を行うようにしているので、油回収運転の制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<空気調和装置の構成>
図1は、本実施形態に係る空気調和装置(10)の冷媒回路図である。空気調和装置(10)は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置(10)は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット(20)と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では4台)の利用ユニットとしての室内ユニット(40)と、室外ユニット(20)と室内ユニット(40)とを接続する連絡配管としての液側連絡配管(71)及びガス側連絡配管(72)とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置(10)の蒸気圧縮式の冷媒回路(11)は、室外ユニット(20)と、室内ユニット(40)とが、液側連絡配管(71)及びガス側連絡配管(72)で接続されることによって構成されている。
【0032】
上記連絡配管(71,72)は、室外ユニット(20)に接続された液側主配管(71a)及びガス側主配管(72a)と、該液側主配管(71a)及びガス側主配管(72a)のそれぞれから分岐して各室内ユニット(40)に接続された液側分岐配管(71b)及びガス側分岐配管(72b)とを備えている。
【0033】
<室内ユニット>
室内ユニット(40)は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット(40)は、液側連絡配管(71)及びガス側連絡配管(72)を介して室外ユニット(20)に接続されており、冷媒回路(11)の一部を構成している。
【0034】
室内ユニット(40)は、冷媒回路(11)の一部を構成する室内側冷媒回路(11a)を有している。この室内側冷媒回路(11a)は、膨張機構としての室内膨張弁(41)と、利用側熱交換器としての室内熱交換器(42)とを有している。なお、本実施形態では、膨張機構として各室内ユニット(40)に室内膨張弁(41)を設けているが、これに限らずに、上記膨張機構は室外ユニット(20)に設けてもよいし、室内ユニット(40)や室外ユニット(20)とは独立した接続ユニットに設けてもよい。
【0035】
室内膨張弁(41)は、室内側冷媒回路(11a)内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器(42)の液側に接続された電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
【0036】
室内熱交換器(42)は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。なお、本実施形態において、室内熱交換器(42)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0037】
室内ユニット(40)は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器(42)において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風機としての室内ファン(43)を有している。室内ファン(43)は、室内熱交換器(42)に供給する空気の風量を所定風量範囲において調節することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータ等からなるモータ(43m)によって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
【0038】
本実施形態において、室内ファン(43)では、風量が最も小さい弱風、風量が最も大きい強風、及び弱風と強風との中間程度の中風の3種類の固定風量に設定する風量固定モードと、過熱度SHや過冷却度SCなどに応じて弱風から強風までの間において自動的に変更する風量自動モードとを、リモコン等の入力装置によって設定する風量設定モードを設定可能である。具体的には、利用者が例えば「弱風」、「中風」、及び「強風」のいずれかを選択した場合には、弱風で固定される風量固定モードとなり、「自動」を選択した場合には、運転状態に応じて自動的に風量が変更される風量自動モードとなる。なお、本実施形態では、室内ファン(43)の風量のファンタップは「弱風(L)」、「中風(M)」、及び「強風(H)」の3段階で切り換えられるが、3段階に限らずに、例えば10段階などであってもよい。
【0039】
また、室内ユニット(40)には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器(42)の液側には、冷媒の温度(暖房運転時における凝縮温度Tcまたは冷房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ(44)が設けられている。室内熱交換器(42)のガス側には、冷媒の温度を検出するガス側温度センサ(45)が設けられている。室内ユニット(40)の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(室内温度Tr)を検出する室内温度センサ(46)が設けられている。本実施形態において、液側温度センサ(44)、ガス側温度センサ(45)及び室内温度センサ(46)には、サーミスタが用いられている。
【0040】
また、室内ユニット(40)は、室内ユニット(40)を構成する各部の動作を制御する室内側制御部(47)を有している。室内側制御部(47)は、室内ユニット(40)における現在の空調能力等を演算する空調能力演算部(47a)と、現在の空調能力に基づいてその能力を発揮するのに必要な要求蒸発温度Terまたは要求凝縮温度Tcrを演算する要求温度演算部(47b)とを有している。そして、室内側制御部(47)は、室内ユニット(40)の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ(47c)等を有しており、室内ユニット(40)を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット(20)との間で伝送線(80a)を介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
【0041】
<室外ユニット>
室外ユニット(20)は、ビル等の室外に設置されており、液側連絡配管(71)及びガス側連絡配管(72)を介して室内ユニット(40)に接続されており、室内ユニット(40)とともに冷媒回路(11)を構成している。
【0042】
室外ユニット(20)は、冷媒回路(11)の一部を構成する室外側冷媒回路(11b)を有している。この室外側冷媒回路(11b)は、圧縮機(21)と、四路切換弁(22)と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器(23)と、膨張機構としての室外膨張弁(38)と、アキュムレータ(24)と、液側閉鎖弁(26)と、ガス側閉鎖弁(27)とを有している。
【0043】
圧縮機(21)は、運転容量を調整することが可能な圧縮機であり、本実施形態において、インバータにより回転数が制御されるモータ(21m)によって駆動される容積式圧縮機である。なお、本実施形態において、圧縮機(21)は1台のみを図示しているが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて2台以上の圧縮機を並列に接続してもよい。
【0044】
四路切換弁(22)は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器(23)を圧縮機(21)によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器(42)を室外熱交換器(23)において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(23)のガス側とを接続するとともに圧縮機(21)の吸入側(具体的には、アキュムレータ(24))とガス側連絡配管(72)側とを接続する(冷房運転状態:
図1の四路切換弁(22)の実線を参照)。また、四路切換弁(22)は、暖房運転時には、室内熱交換器(42)を圧縮機(21)によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器(23)を室内熱交換器(42)において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機(21)の吐出側とガス側連絡配管(72)側とを接続するとともに圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(23)のガス側とを接続することが可能である(暖房運転状態:
図1の四路切換弁(22)の破線を参照)。
【0045】
室外熱交換器(23)はクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換させるための機器である。室外熱交換器(23)は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器(23)は、そのガス側が四路切換弁(22)に接続され、その液側が室外膨張弁(38)に接続されている。なお、本実施形態において、室外熱交換器(23)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0046】
室外膨張弁(38)は、室外側冷媒回路(11b)内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、冷房運転を行う際の冷媒回路(11)における冷媒の流れ方向において室外熱交換器(23)の下流側に配置された(本実施形態においては、室外熱交換器(23)の液側に接続されている)電動膨張弁である。
【0047】
室外ユニット(20)は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器(23)において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風機としての室外ファン(28)を有している。この室外ファン(28)は、室外熱交換器(23)に供給する空気の風量を調節することが可能なファンであり、DCファンモータ等からなるモータ(28m)によって駆動されるプロペラファンを用いることができる。
【0048】
液側閉鎖弁(26)及びガス側閉鎖弁(27)は、外部の機器・配管(具体的には、液側連絡配管(71)及びガス側連絡配管(72))との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁(26)は、冷房運転を行う際の冷媒回路(11)における冷媒の流れ方向において室外膨張弁(38)の下流側であって液側連絡配管(71)の上流側に配置されており、冷媒の通過を遮断することが可能である。ガス側閉鎖弁(27)は四路切換弁(22)に接続されている。
【0049】
また、室外ユニット(20)には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット(20)には、圧縮機(21)の吸入圧力(すなわち、冷房運転時における蒸発圧力Peに対応する冷媒圧力)を検出する吸入圧力センサ(29)と、圧縮機(21)の吐出圧力(すなわち、暖房運転時における凝縮圧力Pcに対応する冷媒圧力)を検出する吐出圧力センサ(30)と、圧縮機(21)の吸入温度を検出する吸入温度センサ(31)と、圧縮機(21)の吐出温度を検出する吐出温度センサ(32)とが設けられている。室外ユニット(20)の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度)を検出する室外温度センサ(36)が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ(31)、吐出温度センサ(32)、及び室外温度センサ(36)には、サーミスタが用いられている。
【0050】
また、室外ユニット(20)は、室外ユニット(20)を構成する各部の動作を制御する室外側制御部(37)を有している。室外側制御部(37)は、
図2に示すように、圧縮機(21)の運転容量を制御するための目標蒸発温度Tetまたは目標凝縮温度Tctを所定時間ごとに変更する目標値決定部(37a)を有し、省エネルギー運転を行えるように構成されている。そして、室外側制御部(37)は、室外ユニット(20)の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリ(37b)やモータ(21m)を制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット(40)の室内側制御部(47)との間で伝送線(80a)を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、各室内側制御部(47)と、室外側制御部(37)と、各室内側制御部(47)と室外側制御部(37)の間を接続する伝送線(80a)とによって、空気調和装置(10)全体の運転制御を行うコントローラ(運転制御部)(80)が構成されている。
【0051】
冷房運転時の省エネルギー制御は以下のようにして行われる。まず、各室内ユニット(40)の室内側制御部(47)において、吸込み温度と設定温度の温度差等から要求蒸発温度Terが演算され、室外側制御部(37)に送信される。次に、室外ユニット(20)の室外側制御部(37)は、各室内ユニット(40)から送信された要求蒸発温度Terの中から、最も要求蒸発温度の小さい値を採用し、制御の目標値として目標蒸発温度Tetを決定する。ここで決定された目標蒸発温度-Tetを蒸発温度の現在値(冷媒状態値の現在値)とする。そして、この目標蒸発温度決定のプロセスを所定時間ごと(例えば3分ごと)に行うことにより、省エネルギーで安定した運転を行う。なお、暖房運転時には、各室内ユニット(40)にて演算され送信された要求凝縮温度の中から、最も要求凝縮温度の大きい値を採用し、目標凝縮温度Tctを決定する。ここで決定された目標凝縮温度Tctを凝縮温度の現在値(冷媒状態値の現在値)とする。
【0052】
コントローラ(80)は、空気調和装置(10)の制御ブロック図である
図2に示されるように、各種センサ(29〜32,36,44〜46)の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁(21,22,28,38,41,43)を制御することができるように接続されている。また、コントローラ(80)のメモリ(37b,47c)には、各種データが格納されている。
【0053】
コントローラ(80)は油回収制御部(81)を備えている。また、油回収制御部(81)は、油滞留量算出部(82)と基準値格納部(83)とを有している。油回収制御部(81)は、運転中に連絡配管(71,72)に滞留する冷凍機油の滞留量を所定時間ごとに算出して該所定時間ごとの算出値を積算し、その積算値が設定量を超えると上記冷媒回路(11)内の冷凍機油を上記圧縮機(21)に回収する油回収運転を行うように構成されている。
【0054】
油滞留量算出部(82)は、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が予め設定された主管流速下限値よりも遅いと判定されると該ガス側主配管(72a)に冷凍機油が滞留していると判断して、該ガス側主配管(72a)の冷凍機油の滞留量を主管内油滞留量として算出するとともに、上記ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値よりも速く、かつ該ガス側分岐配管(72b)のうちでガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)があると判定された場合には、該分岐管流速下限値よりも冷媒の流速が遅いガス側分岐配管(72b)に冷凍機油が滞留していると判断して、該ガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量を分岐管内油滞留量として算出する。そして、これらの主管内油滞留量と分岐管内油滞留量から上記積算値を算出する。なお、本実施形態では、油滞留量算出部による所定時間ごとの油滞留量の算出は、蒸発温度決定のプロセスより多くのタイミングで算出し、積算している。たとえ目標蒸発温度を所定値に決定して圧縮機(21)の運転容量制御を行っている間であっても、圧縮機(21)の運転容量は可変することがあるため、このようにより多くのタイミングで油滞留量の演算を行うことにより、より正確な油滞留量を算出することが可能となる。しかしながら、油滞留量算出部による所定時間ごとの油滞留量の算出を、蒸発温度決定のプロセスの算出タイミングと同じ、あるいは少ないタイミングにしてもよい。算出タイミングを同じ、あるいは少なくすると、処理回数が少なくて済むため、室外制御部や室内制御部に用いるマイクロコンピュータをより安価なものを使用することが可能となる。
【0055】
基準値格納部(83)は、ガス側分岐配管(72b)ごとに定められた分岐管流速下限値に対応する冷媒の状態を表す冷媒状態値を、ガス冷媒の流速を判定するための基準値として有している。また、室外ユニット(20)は、空気調和装置の試運転等の際に、接続されている各室内ユニット(40)の機種情報を受信して各室内ユニット(40)の容量を記憶する。この時点で、室外ユニット(20)は、各室内ユニット(40)の機種情報と、それに接続されているガス側分岐配管(72b)ごとの情報(分岐管流速下限値を表す冷媒状態値)を有している。そして、油滞留量算出部(82)は、分岐管内油滞留量を算出する場合に、これらの記憶した情報に基づいて、ガス側分岐配管(72b)ごとに冷媒状態値の現在値と基準値とを比較してガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうか、つまり油が滞留するかどうかを判別し、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)の油滞留量を求めて上記積算値を算出する。
【0056】
また、基準値格納部(83)は、
図3,
図4に示すように、室内ユニット(40)ごとに設定可能な3つの風量レベルに応じ
て、基準値を有している。そして、油滞留量算出部(82)は、室内ユニット(40)ごとにガス側分岐配管(72b)の冷媒状態値の現在値と風量レベルに応じた基準値とを比較し、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いと判定されたガス側分岐配管(72b)の油滞留量により、上記積算値を算出する。
【0057】
上述したように、コントローラ(80)は、冷房運転中に蒸発温度を目標値に保つ制御を行うように構成されている。そして、基準値格納部(83)に
は、基準値として蒸発温度の設定値が保存されている。また、油滞留量算出部(82)は、蒸発温度目標値の現在値(冷媒状態値の現在値)が設定値(基準値)よりも高いガス側分岐配管(72b)の油滞留量により上記積算値を算出する。冷房運転時に蒸発温度が設定値よりも高いと、ガス側分岐配管(72b)の冷媒の流速が遅いと判断されるからである。なお、この制御では、蒸発温度目標値の現在値を設定値(基準値)と比較しているが、蒸発温度目標値を用いているのは実際の蒸発温度がいずれ目標値に収束するからであり、場合によっては蒸発温度目標値の代わりに実際の蒸発温度を用いてもよい。
【0058】
また、コントローラ(80)は、暖房運転中に凝縮温度を目標値に保つ制御を行うように構成されている。そして、基準値格納部(83)に
は、基準値として凝縮温度の設定値が保存されている。また、油滞留量算出部(82)は、凝縮温度目標値の現在値(冷媒状態値の現在値)が設定値(基準値)よりも低いガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量により上記積算値を算出する。暖房運転時に凝縮温度が設定値よりも低いと、ガス側分岐配管(72b)の冷媒の流速が遅いと判断されるからである。この場合も、凝縮温度目標値を設定値と比較しているが、冷房運転時と同様の理由により、凝縮温度目標値の代わりに実際の凝縮温度を用いてもよい。
【0059】
<連絡配管>
連絡配管(71,72)は、空気調和装置(10)をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や、室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや配管径を有するものが使用される。そして、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、空気調和装置(10)には、連絡配管(71,72)の長さや管径等の設置条件に応じた適正な量の冷媒を充填する必要がある。
【0060】
以上のように、室内側冷媒回路(11a)と、室外側冷媒回路(11b)と、連絡配管(71,72)とが接続されて、空気調和装置(10)の冷媒回路(11)が構成されている。そして、本実施形態の空気調和装置(10)は、室内側制御部(47)と室外側制御部(37)とから構成されるコントローラ(80)によって四路切換弁(22)を制御して冷房運転及び暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット(40)の運転負荷に応じて室外ユニット(20)及び室内ユニット(40)の各機器の制御を行い、油回収運転も行うようになっている。
【0061】
−運転動作−
次に、本実施形態の空気調和装置(10)の運転動作について説明する。
【0062】
空気調和装置(10)では、下記の冷房運転及び暖房運転において、利用者がリモコン等の入力装置により設定している設定温度Tsに室内温度Trを近づける室内温度制御を、各室内ユニット(40)に対して行っている。この室内温度制御では、室内ファン(43)が風量自動モードに設定されている場合には、設定温度Tsに、室内温度Trが収束するように、各室内ファン(43)の風量、及び、各室内膨張弁(41)の開度が調整される。また、室内ファン(43)が風量固定モードに設定されている場合には、設定温度Tsに、室内温度Trが収束するように、各室内膨張弁(41)の開度が調整される。なお、ここでいう「各室内膨張弁(41)の開度の調整」とは、冷房運転の場合には各室内熱交換器(42)の出口の過熱度の制御のことであり、暖房運転の場合には各室内熱交換器(42)の出口の過冷却度の制御のことである。
【0063】
<冷房運転>
まず、冷房運転について、
図1を用いて説明する。
【0064】
冷房運転時は、四路切換弁(22)が
図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機(21)の吐出側が室外熱交換器(23)のガス側に接続され、かつ、圧縮機(21)の吸入側がガス側閉鎖弁(27)及びガス側連絡配管(72)を介して室内熱交換器(42)のガス側に接続された状態となっている。ここで、室外膨張弁(38)は、全開状態にされている。液側閉鎖弁(26)及びガス側閉鎖弁(27)は、開状態にされている。各室内膨張弁(41)は、室内熱交換器(42)の出口(すなわち、室内熱交換器(42)のガス側)における冷媒の過熱度SHが目標過熱度SHtとなるように開度調節されるようになっている。なお、目標過熱度SHtは、所定の過熱度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な温度値に設定される。本実施形態において、各室内熱交換器(42)の出口における冷媒の過熱度SHは、ガス側温度センサ(45)により検出される冷媒温度値から液側温度センサ(44)により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出される。ただし、各室内熱交換器(42)の出口における冷媒の過熱度SHは、上述の方法で検出することに限らずに、吸入圧力センサ(29)により検出される圧縮機(21)の吸入圧力を蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ(45)により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出してもよい。
【0065】
この冷媒回路(11)の状態で、圧縮機(21)、室外ファン(28)及び室内ファン(43)を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を経由して室外熱交換器(23)に送られて、室外ファン(28)によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁(26)及び液側連絡配管(71)を経由して、室内ユニット(40)に送られる。
【0066】
この室内ユニット(40)に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁(41)によって圧縮機(21)の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器(42)に送られ、室内熱交換器(42)において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
【0067】
この低圧のガス冷媒は、ガス側連絡配管(72)を経由して室外ユニット(20)に送られ、ガス側閉鎖弁(27)及び四路切換弁(22)を経由して、アキュムレータ(24)に流入する。そして、アキュムレータ(24)に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機(21)に吸入される。このように、空気調和装置(10)では、室外熱交換器(23)を圧縮機(21)において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器(42)を室外熱交換器(23)において凝縮された後に液側連絡配管(71)及び室内膨張弁(41)を通じて送られる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転が行われる。なお、空気調和装置(10)では、室内熱交換器(42)のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器(42)における蒸発圧力Peが共通の圧力となる。逆に言うと、室内熱交換器(42)のガス側に冷媒の圧力を調整する機構を設けると、室内熱交換器(42)における蒸発圧力を任意に変更することができる。
【0068】
本実施形態の空気調和装置(10)では、この冷房運転において、省エネルギー制御を行うことができる。省エネルギー制御では、各室内ユニット(40)の室内側制御部(47)の空調能力演算部(47a)が、室内ユニット(40)におけるその時点の空調能力を演算する。また、空調能力演算部(47a)は、設定温度に基づいて要求能力を演算する。そして、コントローラ(80)により、圧縮機(21)の運転容量と各室内膨張弁(41)の開度と各室内ファン(43)の風量を調整し、上述したように各室内ユニット(40)から送信された要求蒸発温度Terの中から、最も要求蒸発温度の小さい値を採用し、制御の目標値として目標蒸発温度Tetを決定する。この目標蒸発温度決定のプロセスを所定時間ごと(例えば3分ごと)に行うことにより、蒸発温度を高めに抑えながら必要以上の能力が出ないように運転が行われる。
【0069】
<暖房運転>
次に、暖房運転について、
図1を用いて説明する。
【0070】
暖房運転時は、四路切換弁(22)が
図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機(21)の吐出側がガス側閉鎖弁(27)及びガス側連絡配管(72)を介して室内熱交換器(42)のガス側に接続され、かつ、圧縮機(21)の吸入側が室外熱交換器(23)のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁(38)は、室外熱交換器(23)に流入する冷媒を室外熱交換器(23)において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁(26)及びガス側閉鎖弁(27)は、開状態にされている。室内膨張弁(41)は、室内熱交換器(42)の出口における冷媒の過冷却度SCが目標過冷却度SCtとなるように開度調節されるようになっている。なお、目標過冷却度SCtは、その時の運転状態に応じて特定される過冷却度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な温度値に設定される。本実施形態において、室内熱交換器(42)の出口における冷媒の過冷却度SCは、吐出圧力センサ(30)により検出される圧縮機(21)の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ(44)により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。
【0071】
この冷媒回路(11)の状態で、圧縮機(21)、室外ファン(28)及び室内ファン(43)を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁(22)、ガス側閉鎖弁(27)及びガス側連絡配管(72)を経由して、室内ユニット(40)に送られる。
【0072】
そして、室内ユニット(40)に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器(42)において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁(41)を通過する際に、室内膨張弁(41)の弁開度に応じて減圧される。
【0073】
この室内膨張弁(41)を通過した冷媒は、液側連絡配管(71)を経由して室外ユニット(20)に送られ、液側閉鎖弁(26)及び室外膨張弁(38)を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器(23)に流入する。そして、室外熱交換器(23)に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン(28)によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁(22)を経由してアキュムレータ(24)に流入する。そして、アキュムレータ(24)に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機(21)に吸入される。なお、空気調和装置(10)では、室内熱交換器(42)のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器(42)における凝縮圧力Pcが共通の圧力となる。
【0074】
本実施形態の空気調和装置(10)では、この暖房運転において、省エネルギー制御を行うことができる。省エネルギー制御では、各室内ユニット(40)の室内側制御部(47)の空調能力演算部(47a)が、室内ユニット(40)におけるその時点の空調能力を演算する。また、空調能力演算部(47a)は、設定温度に基づいて要求能力を演算する。そして、コントローラ(80)により、圧縮機(21)の運転容量と各室内膨張弁(41)の開度と各室内ファン(43)の風量を調整し、冷房運転時と同様の制御で凝縮温度を低めに抑えながら必要以上の能力が出ないように運転が行われる。
【0075】
<油回収運転>
冷房運転時の油回収運転は以下のようにして行われる。
【0076】
まず、圧縮機(21)を起動して運転を行っているときには、油回収運転の開始条件が成立するかどうかが常に判断されている。具体的には、上述したように、ガス側連絡配管(72)に滞留する冷凍機油の滞留量を所定時間ごとに算出して該所定時間ごとの算出値を積算し、その滞留量の積算値が設定量を超えると、油回収運転の開始条件が成立したとして上記冷媒回路(11)内の冷凍機油を上記圧縮機(21)に回収する油回収運転を行う。本実施形態では、その際に、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速だけでなく、各ガス側分岐配管(72b)におけるガス冷媒の流速も蒸発温度に基づいて推定され、その流速が油回収に必要な流速の下限値を満たしていない場合に、ガス側主配管(72a)とガス側分岐配管(72b)の油の滞留量から上記積算値が求められる。
【0077】
上記の算出結果を油回収の開始条件にしているのは、ガス側連絡配管(72)の冷凍機油の滞留量が設定量を超えると圧縮機(21)の油上がり量が所定値よりも多くなり、圧縮機(21)内の冷凍機油の貯留量が所定レベルよりも少なくなっていると判断されるからである。なお、圧縮機(21)が複数台である場合は、何れかの圧縮機(21)で開始条件が成立すれば油回収運転が行われる。また、油回収運転の開始条件は、タイマーの設定時間が経過したときも成立するようになっている。例えば、電源投入後に油回収運転が行われていないまま圧縮機(21)の運転が2時間以上継続していたり、前回の油回収から圧縮機(21)の運転が8時間以上継続していたりするような場合に、上記開始条件が成立するようになっている。
【0078】
上記開始条件が成立すると、サーモオンになっている室内ユニット(40)の台数とサーモオフになっている室内ユニット(40)の台数を確認したうえで、ガス側分岐配管(72b)とガス側主配管(72a)の冷媒の流速が所定の速い流速になる運転を所定時間続け、ガス冷媒によって油を押し流して圧縮機(21)に回収する。また、場合によっては蒸発器である室内熱交換器(42)で冷媒が蒸発しきらないような湿り運転制御をすることにより、液冷媒で冷凍機油を圧縮機に回収する。そして、油回収運転が終了すると通常運転に戻る。
【0079】
ここで、冷房運転時の油回収制御中の油滞留量の算出について、
図3を参照して具体的に説明する。
図3は、容量が異なる4つの室内ユニット(40)において、油回収の下限流速に対応する基準値としての蒸発温度Teの値を示す表であり、この表の値が基準値格納部(83)に保存されている。
【0080】
まず、サーモオンの室内ユニット(40)において、油回収の下限流速に対応する蒸発温度Teを
図3の表から求める。そして、その中の最小値を油回収の下限流速とする。例えば、サーモオンの室内ユニットが、容量Q1の室内ユニット、容量Q2の室内ユニット、容量Q3の室内ユニット、容量Q4の室内ユニット(Q1<Q2<Q3<Q4とする)である場合に、容量Q1の室内ユニットのファンタップがL、容量Q2の室内ユニットのファンタップがM、容量Q3の室内ユニットのファンタップがH、容量Q4の室内ユニットのファンタップがMであったとすると、油回収下限流速
に対応する基準値となる蒸発温度Teの最小値は11℃である。なお、各室内ユニットのファンタップに関する情報は、油滞留量の算出を行うときに、その都度、室内ユニットから受信するものとする。
【0081】
次に、油回収の下限流速を満たしていない室内ユニット(40)について、ガス側分岐配管(72b)を流れる油の流量(滞留量)を算出する。滞留量は、単位時間ΔTあたりの冷媒循環量、圧縮機の油上がり率、冷媒溶解度などに値Aを乗じることで求められる。ここで、値Aは、全サーモオン室内ユニットの合計容量に対する油回収下限流速が満たされていないサーモオン室内ユニットの割合を示す値であり、
A=油回収下限流速サーモオン室内ユニット合計容量/サーモオン室内ユニット合計容量で求められる。ガス側主配管(72a)で流速不足が生じている場合は、すべての室内ユニットで流速不足になっているので、A=1となる。
【0082】
また、例えば、サーモオンの室内ユニット(40)のファンタップが(Q1(L)、Q2(M)、Q3(H)、Q4(H))に設定された状態で蒸発温度の目標値Tetが14.5℃の場合、サーモオン室内ユニットに対する蒸発温度目標値Tetが14.5℃以下のサーモオン室内ユニットの割合Aは、
A=(Q1+Q2)/(Q1+Q2+Q3+Q4)
となる。また、積算を20秒ごとに行うとすると、ΔT=20であるので、これらの数値から油の滞留量を求めて積算値を算出する。このように、本実施形態では、各ガス側分岐配管(72b)について蒸発温度目標値の現在値(冷媒状態値の現在値)と基準値を比較して油の滞留量を求め、そこから積算値を求めるようにしている。
【0083】
その際、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が予め設定された主管流速下限値よりも遅いと判断された場合は、該ガス側主配管(72a)の冷凍機油の滞留量が主管内油滞留量として算出される。また、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値より速くても、上記ガス側分岐配管(72b)におけるガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)がある場合は、該分岐管流速下限値よりも流速が遅いガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量が分岐管内滞留量として算出される。このようにして、油滞留量算出部(82)においてガス側主配管(72a)やガス側分岐配管(72b)の油の滞留量が算出され、それらの値から上記積算値が算出される。そして、算出された積算値が設定量を超えると油回収運転が行われ、上記冷媒回路(11)内の冷凍機油が上記圧縮機(21)に回収される。
【0084】
なお、圧縮機が2台である場合は、上記油滞留量を各圧縮機について算出し、それらの滞留量から合計の滞留量を求めて油回収運転を行うとよい。
【0085】
また、油回収運転の終了後には油滞留量の積算値をリセットして通常運転を行いながら、新たにガス側連絡配管(72)における油の滞留量を算出/積算し、次の油回収運転に備える。
【0086】
また、暖房運転時には、ガス側連絡配管(72)における油の滞留量を
図4の表に基づいて算出し、その値を所定時間ΔTごとに積算して油滞留量の積算値を求める。暖房運転時には、凝縮温度目標値Tctが表4の基準値よりも低いとガス冷媒の流速が遅くて冷凍機油が圧縮機(21)に回収されないと判断する点が冷房運転時と異なるが、他は冷凍運転時と同様にして上記積算値が求められる。
【0087】
また、暖房運転時は、冷媒がガス側連絡配管(72)を室内熱交換器(42)に向かって流れ、そのままの冷凍サイクルでは油を圧縮機(21)に回収するのが容易ではないので、冷房サイクルに切り換えてガス冷媒が圧縮機(21)へ吸入されるようにして油回収運転を行う。このようにすることにより、暖房運転時であってもガス側連絡配管に溜まった油を容易に回収できる。
【0088】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、ガス側主配管(72a)におけるガス冷媒の流速が上記主管流速下限値よりも速くても、上記ガス側分岐配管(72b)におけるガス冷媒の流速が予め設定された分岐管流速下限値よりも速いガス側分岐配管(72b)と遅いガス側分岐配管(72b)がある場合は、該分岐管流速下限値よりも流速が遅いガス側分岐配管(72b)の冷凍機油の滞留量を求めて上記積算値を算出するようにしているので、ほぼ正確な油滞留量の積算値を算出することが可能になる。したがって、算出した油滞留量が実際の油滞留量よりも少なくなるのを防止できるから、適切なタイミングで油回収運転を開始することが可能になり、その結果、冷凍機油の貯留量が少ない状態で圧縮機(21)を運転するのを防止でき、圧縮機(21)の潤滑不良が生じるのを抑えられる。
【0089】
また、上記実施形態によれば、ガス側分岐配管(72b)ごとの冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された基準値と比較することにより、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを判定するようにしているので、冷媒流速センサを設けなくても、冷媒の温度などの状態値から、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを容易に判定できるし、センサが不要であるから構成が簡単でコスト削減の効果もある。
【0090】
また、上記実施形態によれば、ガス側分岐配管(72b)ごとの冷媒状態値の現在値を、基準値格納部(83)に保存された複数の風量レベルに応じた基準値と比較することにより、冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかを判定するようにしているので、ガス冷媒の流速が分岐管流速下限値よりも遅いかどうかをより正確に判定できる。複数の風量レベルに応じた基準値を用いると判定が正確になるのは、室内ユニット(40)の容量が同じであれば、油回収の流速下限値から定まる蒸発温度や凝縮温度は風量レベルに伴って変化するので、風量レベルごとに基準値を設定しておけば、1つの平均値を基準値として定めるよりも、油回収の要否判定の精度が上がるためである。
【0091】
また、上記実施形態によれば、冷房運転時には、蒸発温度を変更して省エネルギー運転を行う場合に、冷媒状態値の一つである蒸発温度の目標値の現在値と、上記基準値として保存された蒸発温度の設定値とを比較して上記積算値を求め、油回収運転を行うようにしているので、油回収運転の制御を容易に行うことができる。
【0092】
また、上記実施形態によれば、暖房運転時には、凝縮温度を変更して省エネルギー運転を行う場合に、冷媒状態値の一つである凝縮温度の目標値の現在値と、上記基準値として保存された凝縮温度の設定値とを比較して上記積算値を求め、油回収運転を行うようにしているので、油回収運転の制御を容易に行うことができる。
【0093】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0094】
例えば、上記実施形態では、蒸発温度や凝縮温度の目標値が可変で省エネルギー運転が可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、上記目標値が固定の装置であっても本発明を適用して分岐管内油滞留量を算出すれば、油回収運転を正確なタイミングで行うことが可能である。例えば、現地で空調機を設置した後、冷房時の目標蒸発温度を、5、7、9、11、13度の中から選択可能な空気調和装置において、目標蒸発温度を13度となるように選択した場合、本発明を適用して分岐管内油滞留量を算出すれば、油回収運転を正確なタイミングで行うことが可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、油滞留量を求めるための冷媒状態値として冷媒の温度を用いているが、冷媒の圧力で代用してもよい。
【0096】
また、冷房時の油回収運転では、油回収中のサーモオフの室内ユニット(40)は、室外からの強制サーモオン指示でサーモオンし、サーモオンの室内ユニット(40)と同じ動作をするが、凍結防止モードによりサーモオフになっている室内ユニット(40)は室外からの強制サーモオン指示を受け付けないため、サーモオフのまま(EV=0pls)にするとよい。全室内ユニット(40)が凍結防止モードに入った状態で油回収運転を行う制御に入った場合は、室内閉塞状態で油回収運転をすることになるため、油回収を中断し、再起動待機(凍結防止モード解除)後に油回収を行うとよい。
【0097】
また、油回収中に凍結防止モードに入ることを防止するため、油回収中は凍結防止カウントの積算を行わず、油回収運転の制御を優先するとよい。
【0098】
また、上記実施形態では1台の室外ユニット(20)と4台の室内ユニット(40)を備えた空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、室外ユニット(20)や室内ユニット(40)の台数は適宜変更してもよい。
【0099】
また、
図3に示した蒸発温度や
図4に示した凝縮温度の基準値は一例に過ぎず、空気調和装置の構成に応じて適宜変更すればよい。また、
図3や
図4では3種類のファンタップを設定する例を示したが、例えば10種類にするなどの変更をしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、風量レベルに応じて定められる流速下限値
に対応した基準値(蒸発温度又は凝縮温度)をガス側分岐配管(72b)ごとに異なる値にしているが、構成や制御を簡易化するのであれば、風量レベルごとの基準値を各ガス側分岐配管で同じ値にしてもよい。
【0101】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。