特許第6028854号(P6028854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028854
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】信号を送信する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20161114BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161114BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20161114BHJP
【FI】
   H04W28/16
   H04W72/04
   H04W48/08
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-511461(P2015-511461)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-516776(P2015-516776A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013031568
(87)【国際公開番号】WO2013169373
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/645,484
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/645,309
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100192636
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ツゥー・チェンジー
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0038310(US,A1)
【文献】 Intel Corporation,Downlink control signaling for DL CoMP, 3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121517,2012年 3月26日,p.1-4,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121517.zip>
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Downlink Control Signalling and Transmission Modes for CoMP, 3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121244,2012年 3月26日,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121244.zip>
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,CoMP Operation and UE Mobility, 3GPP TSG-RAN WG1#68 R1-120496,2012年 2月 6日,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68/Docs/R1-120496.zip>
【文献】 Samsung,CoMP Feedback including preferred-TP indicator, 3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121622,2012年 3月26日,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121622.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおいて信号を送信する方法であって、
モバイル装置にデータを送信するために利用可能な送信ポイント群を特定するステップと、
前記送信ポイント群のインデックスリストを作成するステップと、
前記インデックスリストを前記モバイル装置に送信するステップと、
前記モバイル装置にデータを送信する特定の送信のために、前記送信ポイント群の中から複数の送信ポイントを選択するステップと、
前記複数の送信ポイントに対応するインデックスのインジケータを少なくとも含むダウンリンク制御信号を前記モバイル装置に送信するステップと
を有し、選択された複数の送信ポイントの各々が、リソースブロックの中で時間的に最初に共有チャネルを送信するリソースエレメントの位置は、
(a)選択された送信ポイントがサービングセルに含まれる場合には、PCFICHにより指定され、及び
(b)選択された送信ポイントがサービングセル以外の非サービングセルに含まれる場合には、PDCCH−DCIにより指定され、
選択された2つ以上の送信ポイントが前記非サービングセルに含まれる場合には、リソースブロックの中で前記2つ以上の送信ポイントの各々が最初に共有チャネルを送信するリソースエレメントの位置のうち、時間的に最も遅いリソースエレメントの位置が、前記2つ以上の送信ポイントの各々から送信されるPDCCH−DCIにより指定される、方法。
【請求項2】
送信ポイント群を特定する前記ステップが、
複数の送信ポイントの各々からリファレンス信号を送信するステップと、
何れのリファレンス信号が前記モバイル装置により受信されたかを示す信号を前記モバイル装置から受信するステップと、
前記モバイル装置が受信した前記リファレンス信号各々に対応する送信ポイントを特定するステップと
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インデックスリストが、論理レイヤシグナリングにより前記モバイル装置に送信される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記インデックスリストが、
前記送信ポイント群に属する送信ポイント各々を示す事項と、
前記送信ポイント群に属する送信ポイント各々がセル固有のリファレンス信号を送信するように設定されているリソースエレメント群を示す事項と
を有する、請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の送信ポイントの各々により送信されるリファレンス信号が、チャネル状態情報リファレンス信号を含む、請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
無線通信ネットワークにおいて信号を送信するシステムであって、
複数の基地局と複数の送信ポイントとを有し、
前記複数の基地局のうちの何れかの基地局は、特定の送信に関するリード基地局として機能し、前記複数の送信ポイントの各々は前記複数の基地局のうちの何れかの基地局に関連付けられ、
前記リード基地局は、
モバイル装置にデータを送信するために利用可能な、前記複数の送信ポイントに属する送信ポイント群を特定する処理と、
前記送信ポイント群のインデックスリストを作成する処理と、
前記インデックスリストを前記モバイル装置に送信する処理と、
前記モバイル装置にデータを送信する特定の送信のために、前記送信ポイント群の中から複数の送信ポイントを選択する処理と、
前記複数の送信ポイントに対応するインデックスのインジケータを少なくとも含むダウンリンク制御信号を前記モバイル装置に送信する処理と
を実行し、選択された複数の送信ポイントの各々が、リソースブロックの中で時間的に最初に共有チャネルを送信するリソースエレメントの位置は、
(a)選択された送信ポイントがサービングセルに含まれる場合には、PCFICHにより指定され、及び
(b)選択された送信ポイントがサービングセル以外の非サービングセルに含まれる場合には、PDCCH−DCIにより指定され、
選択された2つ以上の送信ポイントが前記非サービングセルに含まれる場合には、リソースブロックの中で前記2つ以上の送信ポイントの各々が最初に共有チャネルを送信するリソースエレメントの位置のうち、時間的に最も遅いリソースエレメントの位置が、前記2つ以上の送信ポイントの各々から送信されるPDCCH−DCIにより指定される、システム。
【請求項7】
前記複数の送信ポイントの各々が、リファレンス信号を送信するように設定され、
前記リード基地局は、
何れのリファレンス信号が前記モバイル装置により受信されたかを示す信号を前記モバイル装置から受信する処理と、
前記モバイル装置が受信した前記リファレンス信号各々に対応する送信ポイントを特定する処理と
を実行する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記インデックスリストが、論理レイヤシグナリングにより前記モバイル装置に送信される、請求項又はに記載のシステム。
【請求項9】
前記インデックスリストが、
前記送信ポイント群に属する送信ポイント各々を示す事項と、
前記送信ポイント群に属する送信ポイント各々がセル固有のリファレンス信号を送信するように設定されているリソースエレメント群を示す事項と
を有する、請求項ないしのうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の送信ポイントの各々により送信されるリファレンス信号が、チャネル状態情報リファレンス信号を含む、請求項ないしのうち何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は一般に通信ネットワークに関連し、特に無線通信ネットワークに関連する。
【背景技術】
【0002】
ロングタームエボリューションアドバンスト(LTE-A)方式は第4世代(4G)無線技術にとって有力な標準規格になりつつある。LTE-Aの現在のバージョンはリリース11であり、リリース11の主な特徴はセル間協調処理又は協調マルチポイント処理(Coordinated Multipoint Processing:CoMP)である。ダウンリンク(DL)CoMPは、1つ以上の送信ポイントの複数の送信アンテナが、モバイル装置に備わる受信アンテナに対して送信を行う特殊な形式の送信であり、モバイル装置はユーザ装置(UE)と言及されてもよい。
【0003】
<関連出願>
本願は2012年5月10日付で出願された「Signaling Scheme For Downlink Coordinated Multi-Point Processing」と題する米国仮特許出願第61/645,484号に関するU.S.C.§119(e)に基づく利益を享受し、その内容全体は本願のリファレンスに組み入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一側面の実施形態の課題は、CoMPによる信号を送信する方法及びシステム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による方法は、
無線通信ネットワークにおいて信号を送信する方法であって、
モバイル装置にデータを送信するために利用可能な送信ポイント群を特定するステップと、
前記送信ポイント群のインデックスリストを作成するステップと、
前記インデックスリストを前記モバイル装置に送信するステップと、
前記モバイル装置にデータを送信する特定の送信のために、前記送信ポイント群の中から少なくとも1つの送信ポイントを選択するステップと、
前記少なくとも1つの送信ポイントに対応するインデックスのインジケータを前記モバイル装置に送信するステップと
を有する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークの一例を示す図。
図2】本願により開示される一実施形態による無線フレームのリソースエレメントの例示的な割り当て方を示す図。
図3】本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークにおける信号送信方法例のフローチャート。
図4】本願により開示される一実施形態による制御シンボル及びデータシンボル間のリソースエレメントの例示的な割り当て方を示す図。
図5】本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークにおける信号送信方法例のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<実施の形態の概要>
本願により開示される実施形態による方法は、
無線通信ネットワークにおいて信号を送信する方法であって、
モバイル装置にデータを送信するために利用可能な送信ポイント群を特定するステップと、
前記送信ポイント群のインデックスリストを作成するステップと、
前記インデックスリストを前記モバイル装置に送信するステップと、
前記モバイル装置にデータを送信する特定の送信のために、前記送信ポイント群の中から少なくとも1つの送信ポイントを選択するステップと、
前記少なくとも1つの送信ポイントに対応するインデックスのインジケータを前記モバイル装置に送信するステップと
を有する方法である。
【0008】
本願により開示される別の実施形態によるシステムは、
無線通信ネットワークにおいて信号を送信するシステムであって、
複数の基地局と複数の送信ポイントとを有し、
前記複数の基地局のうちの何れかの基地局は、特定の送信に関するリード基地局として機能し、前記複数の送信ポイントの各々は前記複数の基地局のうちの何れかの基地局に関連付けられ、
前記リード基地局は、
モバイル装置にデータを送信するために利用可能な、前記複数の送信ポイントに属する送信ポイント群を特定する処理と、
前記送信ポイント群のインデックスリストを作成する処理と、
前記インデックスリストを前記モバイル装置に送信する処理と、
前記モバイル装置にデータを送信する特定の送信のために、前記送信ポイント群の中から少なくとも1つの送信ポイントを選択する処理と、
前記少なくとも1つの送信ポイントに対応するインデックスのインジケータを前記モバイル装置に送信する処理と
を実行する、システムである。
【0009】
本願により開示される更に別の実施形態による方法は、
無線通信ネットワークにおいて信号を送信する方法であって、
モバイル装置に対する特定の送信に使用されるべき送信ポイントを選択するステップと、
前記送信ポイントが前記モバイル装置のサービングセル内に位置しているか否かを判断するステップと、
前記送信ポイントが前記モバイル装置の前記サービングセル内に位置していなかった場合に、前記特定の送信の信号パターンのインジケータを前記モバイル装置に送信するステップと
を有する方法である。
【0010】
本願により開示される更に別の実施形態によるシステムは、
無線通信ネットワークにおいて信号を送信するシステムであって、
複数の基地局と複数の送信ポイントとを有し、
前記複数の基地局のうちの何れかの基地局は、特定の送信に関するリード基地局として機能し、前記複数の送信ポイントの各々は前記複数の基地局のうちの何れかの基地局に関連付けられ、
前記リード基地局は、
モバイル装置に対する特定の送信に使用されるべき、前記複数の送信ポイントに属する特定の送信ポイントを選択する処理と、
前記特定の送信ポイントが前記モバイル装置のサービングセル内に位置しているか否かを判断する処理と、
前記特定の送信ポイントが前記モバイル装置の前記サービングセル内に位置していなかった場合に、前記特定の送信の信号パターンのインジケータを前記モバイル装置に送信するように、前記特定の送信ポイントに指示する処理と
を実行する、システムである。
【0011】
<図面>
開示される実施形態及び利点に関する更なる完全な理解は、添付図面に関連する以下の詳細な説明を参照することにより促され、図中、同様な番号は同様な特徴を示す。
【0012】
図1は、本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークの一例を示す。
【0013】
図2は、本願により開示される一実施形態による無線フレームのリソースエレメントの例示的な割り当て方を示す。
【0014】
図3は、本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークにおける信号送信方法例のフローチャートを示す。
【0015】
図4は、本願により開示される一実施形態による制御シンボル及びデータシンボル間のリソースエレメントの例示的な割り当て方を示す。
【0016】
図5は、本願により開示される一実施形態による無線通信ネットワークにおける信号送信方法例のフローチャートを示す。
【0017】
<実施の形態の詳細な説明>
具体的な実施形態及びそれらの利点は、図1図5を参照することにより最良に理解することができ、図中、同様な及び対応する部分を示すために同様な番号が使用されている。
【0018】
本願は無線ネットワークにおける送信品質(より一般的には、通信品質)を改善するための方法及びシステム等を開示する。例えば、本願により開示される方法及びシステムは、ロングタームエボリューションアドバンスト(LTE-A)ダウンリンク(DL)協調マルチポイント処理(CoMP)ジョイント送信において、特定の送信に関わる送信ポイント(群)の識別子と物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)のためのリソースエレメントとを通知するために使用されてよい。
【0019】
図1は、本願により開示される無線通信ネットワーク100の一例を示す。無線通信ネットワーク100は、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、LTE-Aネットワーク又はそのようなネットワークの組み合わせであってもよい。無線通信ネットワーク100は基地局110a、110b、110c及びモバイル装置120を含んでもよい。「モバイル装置」は「移動局」、「移動端末」等と言及されてもよい。図1は3つの基地局110a、110b、110cを示しているが、無線通信ネットワーク100は適切な任意の数の基地局110を含んでいてよい。同様に無線通信ネットワーク100は、基地局110と通信する適切な任意の数のモバイル装置120を含んでいてよい。
【0020】
基地局110は、第3世代(3G)セルラネットワークの場合にはノードB(NodeB)と言及されてもよく、LTEネットワークの場合にはエボルブドノードB(evolved NodeB、eNodeB又はeNB)と言及されてもよい。図1に示されているように、基地局110a、110b、110cはそれぞれ隣接するセル130a、130b、130cの中に位置している。セル130は、基地局と基地局ではない送信ポイントとの双方を含んでもよいが、後者は図1では示されていない。セル130のうちの1つは、無線通信ネットワーク100により、モバイル装置120のサービングセルとして指定されているかもしれない。
【0021】
基地局110は、ハードウェア、コンピュータ記憶媒体に含まれるソフトウェア、及び/又はエンコードされた論理装置のうちの単独又は複数個の任意の組み合わせを含み、論理装置は、ハードウェアに組み込まれてもよいし或いは保存されてもよく、無線通信ネットワーク100において有線又は無線によるパケット送受信を可能にする任意数の通信プロトコルを実行する。基地局110は、1つ以上のアンテナを含み、「送信ポイント(transmission point)」と言及されてもよい。送信ポイントは、データ又は信号を無線により送信及び受信することが可能な適切な任意のタイプのアンテナであってよい。例えば、送信ポイントは、例えば2GHz及び66GHzの範囲内のような適切な何らかの周波数で無線信号を送信/受信するように動作するオムニ指向アンテナ(又はセクタアンテナ又はパネルアンテナ)を含んでもよい。各々の送信ポイントは、特定の建物、街区、都市ブロック、近隣領域、又は適切な他の地理的な領域に対する無線カバレッジを提供する。「無線カバレッジ」は、無線による信号の送受信が可能な範囲を意味する。一実施形態において、送信ポイントは、基地局110から隔たって位置してよいが、それでも基地局110の拡張部として機能してもよい。
【0022】
基地局110は、1つ以上の送信ポイントを経由してモバイル装置と無線通信により通信してよい。基地局110は多種多様な無線技術を利用してモバイル装置120と通信してもよく、そのような無線技術は、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)リリース10又はそれ以上で規定されているような直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)及びLTE-Aプロトコルであるがこれに限定されない。一実施形態において、LTE-Aネットワークは、物理レイヤ(PHY)及び論理レイヤ(例えば、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ等)の双方を含む複数のプロトコルレイヤを含んでもよい。データは、サービス品質条件(QoS)に基づいて特定のレイヤにマッピングされる。「マッピングされる」は、「対応付けられる」、「関連付けられる」、「配置される」、「設定される」等と言及されてもよい。
【0023】
モバイル装置120は、ネットワークを介して通信する機能を含む携帯用コンピュータ又はコンピュータ装置であってよい。例えば、モバイル装置120は、移動電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯用ゲームコンソール、電子書籍リーダ、又は他の適切な携帯装置であってよい。モバイル装置120はユーザ装置(UE)と言及されてもよい。モバイル装置120は、無線通信ネットワーク100の1つ以上の基地局110を介して無線通信ネットワーク100に接続してもよい。モバイル装置120と無線通信ネットワーク100との間の通信は、シングルポイント対シングルポイントであってもよい(例えば、1つの基地局110の1つ以上のアンテナとモバイル装置120の1つ以上のアンテナとの間で通信が行われてもよい)。或いは、モバイル装置120と無線通信ネットワーク100との間の通信は、マルチポイント対シングルポイントであってもよい(例えば、複数の基地局110の1つ以上のアンテナとモバイル装置120の1つ以上のアンテナとの間で通信が行われてもよい)。
【0024】
マルチポイントからシングルポイントへの送信は、ダウンリンク協調マルチポイント処理(DL-CoMP)において行われ、地理的に離れた複数の場所に複数の送信アンテナが位置している。例えば、モバイル装置120のためのデータが、無線通信ネットワーク100における地理的に離れた複数のポイントで利用可能である。複数の送信ポイント間の協調又は協力により、データはモバイル装置120に同時に送信される。例えば、3つの基地局110を含むジョイント送信(joint transmission)の場合、同じ物理リソースブロックで同時にモバイル装置120に送信する複数の送信ポイントが存在してよい。ジョイント送信の各々において、何れかの基地局110が、リード基地局110として指定され、「リード基地局(lead base station」は、「制御基地局(controlling base station)」、「集中基地局」等と言及されてもよい。例えば、リード基地局110は、ジョイント送信に参加する基地局(群)110からの送信を制御し、モバイル装置120に送信されるデータをエンコードし、エンコードされたデータを、ジョイント送信に関わる送信ポイントに送信する。別の例として、リード基地局110は、モバイル装置120に対する送信を行う特定の基地局110を選択し、エンコードされたデータをその特定の基地局110に送信する。
【0025】
図2は、本願による物理リソースブロック200の一例を示す。物理リソースブロック200は無線ヘッド(radio head)の複数のリソースエレメント210を含み、基地局110の部分であってもよいし、或いは他の非基地局の送信ポイントの部分であってもよい。LTE-A通信ネットワークでは、物理リソースブロックは12個の連続したサブキャリア周波数を含み、サブキャリアの各々は6個又は7個のシンボルを送信し、シンボルはOFDMシンボル(直交周波数分割多重シンボル)と言及され、所定の期間を占める。OFDMシンボルは、実部成分及び虚部成分を有する複素数で表現されてもよく、あるビットグループを、特定のサブキャリア周波数で送信される搬送波の1つ以上の変調方式に対応付ける。
【0026】
様々なタイプの情報が、物理リソースブロック200のリソースエレメント210によりモバイル装置120に送信されてよい。例えば、1つ以上の基地局の各々は少なくとも1つの送信ポイントを有し、1つ以上の基地局は、無線通信ネットワーク100の物理レイヤを利用してデータトラフィック及び制御トラフィックをモバイル装置120に送信してもよい。物理レイヤは、例えば、LTE-Aプロトコルで規定されているように、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)及び/又は物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を含んでもよい。データトラフィックは、例えば、基地局110が無線通信ネットワーク100から又は他の基地局110から受信する情報を含んでもよい。一例として、データトラフィックはPDSCHを介してモバイル装置120に送信されてもよい。
【0027】
一方、制御トラフィックは、1つ以上の送信ポイントとモバイル装置120との間のコネクション(接続)を設定及び維持するために使用されてもよい。制御トラフィックは、基地局110から送信された送信信号の中から、モバイル装置120が、関連するデータトラフィックを取り出すことができるようにする情報を含んでいてもよい。一例として、制御トラフィックはPDCCHを介してモバイル装置120に送信されてもよい。
【0028】
例えば、制御トラフィックは、チャネル状態情報リファレンス信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)を含んでいてもよく、CSI-RSは各々の基地局に関連する送信ポイントから周期的に送信されてもよい。例えば、基地局110a、110b、110cはそれぞれ送信ポイントTP1、TP2、TP3を含み、それらの各々がCSI-RSを送信する。CSI-RSはチャネル状態情報を取得するためにモバイル装置120により使用される(例えば、そのような情報は、モバイル装置が送信信号を受信することが可能なチャネルに関連する)。モバイル装置120は、受信したCSI-RSが何れのCSI-RSであるかをリード基地局110に報告してもよい。その情報に基づいて、リード基地局は、モバイル装置120にデータを送信するために何れの送信ポイントが使用されてよいかを決定する。
【0029】
更に、制御トラフィックはセル固有のリファレンス信号(cell-specific reference signal:CRS)を含んでもよく、各々の基地局に関連する送信ポイントから送信される。各々の基地局110a、110b、110cはそれぞれ送信ポイントTP1、TP2、TP3を含み、それらは各自自身のCRSを送信する。各々の送信ポイントがCRSを送信する特定のリソースエレメント群は、固定されていてもよい。例えば、TP1は第1のCRS(CRS1)をリソースエレメント210aで送信し、TP2は第2のCRS(CRS2)をリソースエレメント210bで送信し、TP3は第3のCRS(CRS3)をリソースエレメント210cで送信してもよい。
【0030】
制御トラフィックは、復調リファレンス信号(demodulation reference signal:DM-RS)を含んでもよい。一実施形態において、ジョイント送信に関わる送信ポイントの各々がDM-RSを送信してもよい。ジョイント送信における送信ポイントの各々から送信されるDM-RSは、同じDM-RSシーケンスであってもよい。モバイル装置120はDM-RSを利用して、モバイル装置120に対するデータが送信されている実際の有効なチャネルを求めてもよい。3つの送信ポイントによるジョイント送信の場合、有効なチャネルは以下の数式により表現できる:
【数1】
ここで、Hは送信ポイント各々に対する推定されたチャネルであり、Wは送信ポイント各々に対するプリコーディングマトリクスである。
【0031】
モバイル装置120がジョイント送信に含まれている全ての送信ポイントを把握していなかった場合、データを受信及び/又はデコードする際にエラーを被ってしまうことが懸念される。例えば、モバイル装置120は、未知の送信ポイントにCRS送信用に割り当てられているリソースエレメントにマッピングされているシンボルを、データとして取り扱ってデコードしようとしてしまうことが懸念される。これは、デコードエラー及びデータ欠落となってしまう。このような問題は或るシグナリング方式を実現することで緩和され、そのシグナリング方式は、特定の送信に含まれている送信ポイントと、CRSの送信のために個々の送信ポイントに割り当てられているリソースエレメントとの双方を、モバイル装置120に通知できるようにする。「シグナリング」は「通知」等と言及されてもよい。
【0032】
ジョイント送信に関与している送信ポイントをモバイル装置120に通知する方法の1つは、例えば、送信ポイント(又は送信ポイント群)のインジケータを、その送信のダウンリンク制御情報(DCI)に含める処理を包含する。しかしながらこの方法はDCIオーバーヘッドの増大を招いてしまう。DCIオーバーヘッドを削減するため、論理レイヤシグナリングとDCIシグナリングとを合成するシグナリング方式が実行されてもよい。そのようなシグナリングについては、図3に関連して詳細に説明される。
【0033】
特定の送信に関わる送信ポイント各々の最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置が通知されない場合、モバイル装置120はデータ損失を経験してしまうことが懸念される。この問題を回避するため、最初のPDSCHシンボルの位置のインジケータが、その特定の送信のための制御信号に付加されてもよい。この方法については、図4及び図5に関連して詳細に説明される。
【0034】
図3は、(特定の送信に含まれる送信ポイント)及び(CRSの送信のために送信ポイントに割り当てられているリソースエレメント)をモバイル装置120に通知する方法例300を示す。ステップ310において、リード基地局は、特定のモバイル装置にデータを送信するために使用されてよい送信ポイント群(一群の送信ポイント)を特定する。上述したように、各々の送信ポイントは、CSI-RSを周期的に送信する。「周期的に」は「定期的に」又は「一定頻度で」等と言及されてもよい。モバイル装置は、何れのCSI-RSを受信したかをリード基地局に報告し、その情報に基づいて、リード基地局は、そのモバイル装置にデータを送信するために何れの送信ポイントが使用可能であるかを決定してもよい。ステップ320において、リード基地局は、ジョイント送信においてモバイル装置にデータを送信するために使用されてよい全ての送信ポイントのインデックスリストを構築する。一実施形態において、インデックスリストは、潜在的に可能性のある送信ポイント各々の身元(又は識別子)に加えて、それら潜在的な送信ポイントにCRS送信用に指定されているリソースエレメントに関する情報を含んでもよい。ステップ330において、潜在的に可能性のある送信ポイントのインデックスリストは、論理レイヤシグナリングによりモバイル装置に送信される。論理レイヤシグナリングは、DCIオーバーヘッドを削減するために使用されてよい。
【0035】
ステップ340において、リード基地局は、潜在的に可能性のある送信ポイント群の中から、モバイル装置に対する特定の送信に使用される送信ポイントを選択する。潜在的な送信ポイントのインデックスリストに登場している送信ポイントのみが、モバイル装置にデータを送信するために使用されるように、無線通信ネットワークが形成されてもよい。ステップ350において、特定の送信に使用される送信ポイントのインジケータが、その送信のためのDCI(ダウンリンク制御情報)に付加されてもよい。インジケータは、例えば、その特定の送信に使用される送信ポイントに対応するインデックス番号を含んでもよい。このようにして、モバイル装置120は、(特定のデータ送信に含まれる送信ポイント)及び(CRSの送信のためにそれらの送信ポイント各々に割り当てられているリソースエレメント)の通知を受ける。
【0036】
上述したように、特定の送信に含まれる送信ポイントの各々について、最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知がなされない場合、モバイル装置120はデータ欠落を体験してしまうかもしれない。特定の送信ポイントに割り当てられるリソースエレメントの各々は、PDCCHシンボルのような制御シンボル、及び/又は、PDSCHシンボルのようなデータシンボルを含む。PDCCHシンボル及びPDSCHシンボルは、送信ポイントが配置されているセルに依存する特定のパターンで配置される。例えば、同じセルに属する複数の送信ポイントは、PDCCHシンボル及びPDSCHシンボルの同じパターンを使用するかもしれないが、異なるセルに属する送信ポイントは異なるパターンを使用するかもしれない。
【0037】
図4は、第1のセルに配置される第1の送信ポイント(TP1)に割り当てられるリソースエレメントを含む物理リソースブロック410の部分と、第2のセルに配置される第2の送信ポイント(TP2)に割り当てられるリソースエレメントを含む物理リソースブロック440の部分とを示す。TP1に割り当てられるリソースエレメントは、PDCCHシンボル420の後にいくつものPDSCHシンボル430が続くようにシンボルを含んでいる。一方、TP2に割り当てられるリソースエレメントは、いくつかのPDSCHシンボル430の間に挟まれるようにPDCCHシンボル420を含む。
【0038】
各々の送信ポイントは、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)により、送信ポイントが配置される特定のセルに関する最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置のインジケータを送信してよい。モバイル装置120は、モバイル装置120のサービングセル内に位置する送信ポイントからPCFICH送信(信号)を受信するが、サービングセル以外の場所の送信ポイントからはPCFICH送信(信号)を受信しないかもしれない。すなわち、モバイル装置120のサービングセル内の送信ポイントが送信に含まれている(関わっている)場所では、モバイル装置120は、PCFICH送信(信号)により最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受ける。サービングセル以外の場所の送信ポイントが送信関わっている場所では、モバイル装置120は、最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受けないかもしれない。
【0039】
モバイル装置120のサービングセル以外の場所にある1つの送信ポイントが送信を行う具体例を考察する。モバイル装置120は、自身のサービングセル以外の場所にある送信ポイントからはPCFICH送信を受けないので、モバイル装置120は、その送信ポイントの最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受けない。この問題を避けるため、その送信ポイントの最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置のインジケータが、送信ポイントのPDCCHのDCI(PDCCH-DCI)に含められる。このインジケータは、例えば、送信ポイントがPCFICHで送信しているのと同様に2ビットのインジケータであってもよい。
【0040】
別の例として、モバイル装置120のサービングセル以外の場所にある複数の送信ポイントが送信する具体例を考察する。モバイル装置120は、自身のサービングセル以外の場所にある送信ポイントからはPCFICH送信を受けないので、モバイル装置120は、その送信ポイントの最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受けない。この問題を避けるため、送信に関わる送信ポイント各々のPDCCH-DCIにインジケータが含められてもよい。インジケータは、例えば、送信に関与している送信ポイントのうち最初のPDSCHシンボルが最も遅れて始まる送信ポイントについての、最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置を示す。例えば、図4に関連して説明した2つの送信ポイント(TP1及びTP2)を考察する。TP1の最初のPDSCHシンボルは3番目のリソースエレメントから始まり、TP2の最初のPDSCHシンボルは2番目のリソースエレメントから始まると仮定する。この場合、TP1の最初のPDSCHシンボルは、TP2の最初のPDSCHシンボルよりも遅れて始まる。そこで、TP1の最初のPDSCHシンボルの位置のインジケータが、TP1及びTP2双方のPDCCH-DCIに含められる。
【0041】
一方、送信が、モバイル装置120のサービングセル内の送信ポイントに関わっている場合、送信ポイント各々からのPCFICH送信は、サービングセル内の全ての送信ポイントに対する最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置を、モバイル装置120に通知する。その結果、更なるシグナリングは不要である。
【0042】
図5は、特定の送信ポイントについての最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置を、モバイル装置に通知する方法例500を示す。ステップ510において、リード基地局は、モバイル装置に対する特定の送信に使用される送信ポイントを選択する。上述したように、潜在的に可能性のある送信ポイントのインデックスリストに掲載されている送信ポイントのみが、モバイル装置にデータを送信するために使用されるように、無線通信ネットワークが形成されてもよい。ステップ520において、リード基地局は、特定の送信に関わる送信ポイントが、モバイル装置のサービングセル内に位置しているか否かを判断する。送信ポイントがモバイル装置のサービングセル内に位置している場合、追加的なシグナリングは不要であり、本方法は終了する。一方、送信に関わる1つ以上の送信ポイントがモバイル装置のサービングセル内に含まれていない場合、本方法はステップ530に進む。ステップ530において、基地局は、特定の送信が単独の送信ポイントによるものであるか否かを判断する。「イエス」であった場合、本方法はステップ540に進む。ステップ540において、送信ポイントの最初のPDSCHのリソースエレメント位置のインジケータが、送信のためのPDCCH DCIに付加される。上述したように、このステップが必要である理由は、モバイル装置が、モバイル装置のサービングセル以外の場所の送信ポイントからはPCFICH送信を受信せず、従って、送信ポイントの最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受けないからである。ステップ540の後、本方法は終了する。
【0043】
一方、ステップ530において、リード基地局が、その特定の送信は複数の送信ポイントに関わっていると判断した場合、本方法はステップ550に進む。ステップ550において、リード基地局は、特定の送信に含まれている送信ポイントが同一セルに属しているか否かを判断する。同一セルに属していた場合、本方法はステップ560に進む。ステップ560において、セル内の送信ポイントの最初のPDSCHのリソースエレメント位置のインジケータが、特定の送信に含まれている各々の送信ポイントのPDCCH DCIに付加される。上述したように、このステップが必要である理由は、モバイル装置が、モバイル装置のサービングセル以外の場所の送信ポイントからはPCFICH送信を受信せず、従って、送信ポイントの最初のPDSCHシンボルのリソースエレメント位置の通知を受けないからである。ステップ560の後、本方法は終了する。
【0044】
一方、ステップ550において、リード基地局が、その特定の送信に関わる送信ポイントが同一セルに属していないと判断した場合、本方法はステップ570に進む。ステップ570において、リード基地局は、その特定の送信に関わる他の送信ポイントと比較して、最初のPDSCHシンボルが最も遅く始まる送信ポイントを特定する。ステップ580において、ステップ570で特定された送信ポイントの最初のPDSCHのリソースエレメント位置のインジケータが、特定の送信に関わる各々の送信ポイントのPDCCH DCIに付加される。ステップ580の後、本方法は終了する。
【0045】
本願で使用されている全ての具体例及び限定的な文言は、教示の目的を意図しており、従来技術に対する発明者等の貢献した概念及び実施形態の読者の理解を促すためのものであるにすぎず、実施形態は、そのような具体的に言及された具体例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。実施形態が詳細に説明されたが、様々な変形、置換及び代替が本願の精神及び範囲から逸脱することなく可能であることが理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5