技術分野
煙道内における測定対象ガスの有無や濃度を分析するレーザ式ガス分析計
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
近年では、半導体レーザの一種であり、室温で連続発振可能な量子カスケードレーザ(以下、Quantum cascade laserの略称であるQCLと称する)が実用化された。QCLは従来の半導体レーザでは実現不可能であった中赤外領域(4〜10μm)という広範囲な領域の波長を発光することができる。このQCLを用いることにより、NH
3 (アンモニア)ガス以外でも、SO
2 ,NO,NO
2 等のように中赤外領域レーザ光に吸収波長が含まれるガス成分を測定することが可能となり、従来技術では不可能であった吸収波長を有するガスの分析を可能とするレーザ式ガス分析計を実現することができる。
また、受光素子として、同じく中赤外領域に感度を有する赤外線検出素子、例えばMCT(Mercury Cadmium Tellurium)光導電素子(以下、MCTと表記する)を用いることが好ましい。
ここで、一例として図12にSO
2 ガスの吸収スペクトラム例を示す。SO
2 濃度測定を行う場合、QCLの波長は7.2〜7.4μmが好ましい。そして、図13に、周波数変調方式のレーザ式ガス分析計によるSO
2 ガスの濃度測定時の検出信号を示す。これは後述する同期検波回路から出力された信号である。SO
2 ガスの吸収がある場合は、レーザ式ガス分析計は図13に示すようなガスの吸収波形を検出する。このピーク値がガス濃度となるため、この出力のピーク振幅を計測することにより、SO
2 ガスの濃度測定が可能となる。また、信号変化を積分してもよい。
しかしながら、このようなQCL,MCTを用いるレーザ式ガス分析計では測定安定性が得られない場合があった。この測定安定性について説明する。具体例として図14に時間−SO
2 濃度の測定特性図を示す。QCL,MCTを用いるレーザ式ガス分析計で一定値のガス濃度であるSO
2 濃度を検出しても、図14でも明らかなように、時間経過により変動して検出されるという事象が確認されている。本願発明者は鋭意原因を追求し、受光部における受光光量の変化により測定安定性が変動することを知見した。この受光光量の変化の原因として以下(1)〜(3)が挙げられる。
(1)MCTの熱特性による受光光量の変化
MCTは感熱性素子であるため、300Kの背景放射によるノイズを受けることや周囲温度の変化により感度が変動し、受光光量が変化する。これは、図14における受光部温度変化(下側グラフ)と同じ傾向でガス濃度が(上側グラフ)が変動することからも明らかである。
(2)外乱による受光光量の変化
測定対象ガスにはダストや測定波長領域に吸収を持つ他のガス成分という外乱が含まれており、これら外乱により受光光量が変動する。
(3)オフセット吸収による受光光量の変化
先に説明した図12に示すように、SO
2 ガスは前述の温度測定に適した波長範囲において、所定の波長で観察される吸収ピーク以外にも、波長に明確に依存しないオフセット的な吸収(以下、オフセット吸収と表記)を有することが特徴である。そのため、MCTの受光光量信号は、煙道内のダスト濃度に加えて、測定対象ガス濃度によっても受光光量が変動する。
これらのように(1)〜(3)の要因により受光光量が変動する。前述した従来のレーザ式ガス分析計の光量補正方法を用いた場合、受光光量信号の変動には、煙道内のダスト等の外乱やレーザ光量変動のみによる受光光量の変動には対応できるが、オフセット吸収分とMCTの感度変動分とによる受光光量の変動については考慮されていないため、前述した従来のレーザ式ガス分析計の光量補正方法を単純に適用することができず、正確な光量補正ができない、という問題があった。少なくともオフセット吸収分を、そして可能であるならばMCTに特有のMCTの感度変動分も除去したいという要請があった。
そこで、本発明はの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オフセット吸収による受光光量の変動に対応するように正確な光量補正を行い、濃度をより正確に算出できるようにしたレーザ式ガス分析計を提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明の請求項1に係るレーザ式ガス分析計は、
周波数変調された中赤外領域レーザ光を出射する光源部と、この光源部からの出射光をコリメートする光源側光学系と、この光源側光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された透過光を集光する受光側光学系と、この受光側光学系により集光された光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路と、処理された信号に基づいて測定対象ガスの濃・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明によれば、オフセット吸収による受光光量の変動に対応するように正確な光量補正を行い、濃度をより正確に算出できるようにしたレーザ式ガス分析計を提供することができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計を示す全体構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計の光源部の構成図である。
【図3】 波長走査駆動信号発生部からの出力信号図である。
【図4】 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計のレーザ素子の波長走査駆動信号波形、SO2 ガスの吸収波形、同期検波回路のガス吸収波形を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計の受光部、信号処理回路および中央処理部の構成図である。
【図6】 周波数変調方式の原理図である。
【図7】 SO2 濃度−スパン特性およびSO2 濃度−オフセット吸収量特性を示す特性図である。
【図8】 受光光量−スパン吸収係数特性を 示す特性図である。
【図9】 NH3 ガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。
【図10】 従来技術のレーザ式ガス分析計の説明図である。
【図11】 受光光量によるスパンの変動を示す特性図である。
【図12】 SO2 ガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。
【図13】 周波数変調方式のレーザ式ガス分析計によるSO2 ガスの濃度測定時の検出信号を示す図である。
【図14】 受光光量変動があるときのSO2 濃度測定結果例を示す特性図である。
201,202:壁
101a,101b:フランジ
101c:出射窓
101d:入射窓
102a,102b:取付座
103a,103b:カバー
104:光源部
104a:波長走査駆動信号発生部
104b:高周波変調信号発生部
104c:電流制御部
104d:温度制御部
104e:レーザ素子
104f:サーミスタ
104g:ペルチェ素子
104s:レーザ駆動信号発生部
105:コリメートレンズ
106:集光レンズ
107:受光部
107a:受光素子
107b:サーミスタ
107c:ペルチェ素子
107d:温度制御部
108:信号処理回路
108a:I/V変換回路
108b:同期検波回路
108c:発振器
108d:フィルタ
108e:抽出手段(フィルタ)
109:中央処理部
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