特許第6028894号(P6028894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028894
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】画像読取装置および筐体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20161114BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20161114BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20161114BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H04N1/028 Z
   H04N1/04 101
   G06T1/00 420C
   G03B27/54 A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-86228(P2012-86228)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-219451(P2013-219451A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修
(72)【発明者】
【氏名】小林 英和
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−021983(JP,A)
【文献】 特開2000−349957(JP,A)
【文献】 特開2001−174934(JP,A)
【文献】 特開2010−103742(JP,A)
【文献】 特開平10−190959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
G03B27/50 −27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を読み取り対象物に導光する棒状の導光体を有し前記対象物を照明する照明手段と、
前記導光体に並設され、複数のレンズ面が前記導光体の長手方向と同方向に配列された入射面が設けられたレンズアレイを有し前記入射面に入射した前記対象物からの反射光を集光してセンサー上に正立等倍像を形成する結像光学素子と、
前記導光体および前記結像光学素子を保持する保持手段と、
を備え、
前記保持手段は、
前記導光体が挿入される挿入溝と、
前記長手方向と交差する一端面に形成され、前記挿入溝に連通して前記導光体を前記挿入溝に挿入する挿入口と、
前記挿入溝に並設され、前記レンズアレイに対して反射光が入射する入射方向側から当該結像光学素子が嵌挿される凹溝と、を備え、
前記凹溝に嵌挿された前記結像光学素子に対して、前記挿入口から前記挿入溝に挿入された前記導光体が、前記入射方向側からの平面視において一部重なって配置されることによって、前記結像光学素子の前記保持手段からの脱離を規制する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記保持手段は、
フレーム部材と、
前記フレーム部材の内部空間を第1の空間と第2の空間とに仕切る仕切部材と、を備え、
前記導光体および前記結像光学素子は、前記仕切部材の前記第1の空間側に保持され、
前記センサーは、前記第2の空間において前記第1の空間側の前記結像光学素子に対向する位置に配置され、
前記仕切部材は、前記第1の空間側の前記結像光学素子から出射される光が通過するスリットが形成されている請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記照明手段は、前記光源が実装された光源用基板をさらに有し、
前記挿入溝の一端側の前記挿入口から前記導光体前記光源用基板で抜け止めするように前記光源用基板の前記光源の実装面を当接させて押さえることにより、前記導光体の前記挿入溝からの脱離を規制して前記導光体を挿入状態に保持する請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記挿入溝の他端側に、前記導光体を前記挿入溝から脱離する方向に付勢する付勢手段が設けられている請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
光源からの光を導光体により導光して読み取り対象物に照射し、前記対象物からの反射光を結像光学素子によって集光して形成した正立等倍像をセンサーにより読み取る画像読取装置が備える筐体であって、フレーム部材の内部空間を、前記導光体および前記結像光学素子が配置される第1の空間と前記センサーが配置される第2の空間とに仕切って配設される仕切部材の前記第1の空間側である一方側に、挿入溝と、該挿入溝に並設される凹溝とを形成し、前記挿入溝に前記導光体を挿入し、前記凹溝に前記結像光学素子を嵌挿して、前記導光体および前記結像光学素子を保持する筐体の製造方法において、
前記仕切部材の一方側を形成する第1の金型と、前記仕切部材の他方側を形成する第2の金型とを対向配置して成型空間を形成し、前記成型空間に、複数の挿入溝形成用ダイを列状に配置する工程と、
前記成型空間に、前記仕切部材の材料となる液体を流し込んで硬化させる工程とを備え、
前記第1の金型には、前記挿入溝の底面の一部を形成する第1の底面形成面を有する複数の第1のダイが列状に突設されると共に、前記第1のダイに並設されて、前記凹溝を形成する第2のダイが突設され、
各前記挿入溝形成用ダイは、前記挿入溝の底面の残りの一部を形成する第2の底面形成面と、該第2の底面形成面に対向配置されて前記挿入溝に挿入される前記導光体を前記底面に押圧するための押圧面を形成する押圧面形成面とを有し、
前記成型空間内において、各前記第1のダイおよび各前記挿入溝形成用ダイが互いに隣り合うように密着配置される、
ことを特徴とする筐体の製造方法。
【請求項6】
前記結像光学素子は、前記導光体に対向する部分が前記レンズ面の配列方向に沿って面取りされた面取り部位を有し、
前記導光体は、前記結像光学素子に対向する部分が前記出射面に沿って前記長手方向に面取りされた面取り部位を有し、
前記保持手段によって保持された前記導光体の前記面取り部位と、前記保持手段によって保持された前記結像光学素子の前記面取り部位とが接するとともに、前記出射面が前記結像光学素子の前記入射面を延長した面から突出しないように配置される、ことで、前記結像光学素子の前記保持手段からの脱離を規制する、
ことを特徴とする請求項1から4に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、読み取りの対象物からの反射光を結像して正立等倍像を形成する結像光学素子を備える画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージスキャナー、ファクシミリ、複写機、金融端末装置等において、コンタクトイメージセンサー(Contact Image Sensor)モジュール(以下、「CISモジュール」と略する)が画像読取装置として用いられている。このCISモジュールは、読み取りの対象物を照明する照明手段と、読み取りの対象物の正立等倍像を結像する結像光学素子と、結像光学素子で結像された正立等倍像を読み取るセンサーとを備え、照明手段により照明された前記対象物からの反射光が結像光学素子により集光されてセンサー上に正立等倍像が形成される。例えば、特許文献1に開示された画像読取装置では、アクリル樹脂などの透明部材から成る棒状の導光体がケース内に収納されて、筐体の上面の左右に設けられた凹部にそれぞれ固定配置され、筐体の導光体の間に設けられた貫通穴にレンズアレイ(結像光学素子)が固定配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4145271号公報(段落0018〜0024、図1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、導光体および結像光学素子は、筐体等の保持手段の所定位置に接着剤により固着されているので、画像読取装置を廃棄する場合に、保持手段から導光体および結像光学素子を取り外して分解するのが困難であり、リサイクル性の観点から技術の改善が求められている。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、組み立てに接着剤等の固着手段を必要とせず、分解が容易でリサイクル性の向上が図られた画像読取装置を提供し、この画像読取装置が備える筐体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像読取装置は、上記目的を達成するために、光源からの光を読み取り対象物に導光する棒状の導光体を有し前記対象物を照明する照明手段と、前記導光体に並設され、複数のレンズ面が前記導光体の長手方向と同方向に配列された入射面が設けられたレンズアレイを有し前記入射面に入射した前記対象物からの反射光を集光してセンサー上に正立等倍像を形成する結像光学素子と、前記導光体および前記結像光学素子を保持する保持手段とを備え、前記保持手段によって保持された前記導光体は、前記保持手段によって保持された前記結像光学素子に一部重なって配置され、前記結像光学素子の前記保持手段からの脱離を規制することを特徴とする。
【0007】
このように構成された発明では、保持手段によって保持された導光体は、保持手段によって保持された結像光学素子に一部重なって配置されることによって、結像光学素子の保持手段からの脱離を規制するので、導光体および結像光学素子を所定位置に固定配置するのに接着剤等の固着手段を必要とせず、接着剤を用いずに組み立てることにより、廃棄の際に分解が容易でリサイクル性の向上が図られた画像読取装置を提供することができる。
【0008】
また、前記保持手段は、フレーム部材と、前記フレーム部材の内部空間を第1の空間と第2の空間とに仕切る仕切部材とを備え、前記導光体および前記結像光学素子は、前記仕切部材の前記第1の空間側に保持され、前記センサーは、前記第2の空間において前記第1の空間側の前記結像光学素子に対向する位置に配置され、前記仕切部材は、前記第1の空間側の前記結像光学素子から出射される光が通過するスリットが形成されているとよい。
【0009】
このように構成すると、フレーム部材の内部空間を第1の空間と第2の空間とに仕切る仕切部材の第1の空間側に導光体および結像光学素子が保持される。そして、センサーは、第2の空間において第1の空間側の結像光学素子に対向する位置に配置され、仕切部材は、第1の空間側の結像光学素子から出射される光が通過するスリットが形成されているので、結像光学素子により、読み取り対象物からの反射光を集光してスリットを介してセンサー上に正立等倍像を形成することができる。また、導光体が保持される第1の空間と、センサーが配置される第2の空間とは、仕切部材により隔離されているので、導光体の光が第2の空間に漏れるおそれが無く、導光体から漏洩した光のセンサーへの入射によるノイズの発生を防止することができる。
【0010】
また、前記照明手段は、前記光源が実装された光源用基板をさらに有し、前記保持手段は、前記導光体が前記保持手段の長手方向の一端側から挿入される挿入溝をさらに有し、前記挿入溝の一端側から前記導光体が挿入されてその一端側を前記光源用基板で抜け止めするように前記光源用基板の前記光源の実装面を当接させて押さえることにより、前記導光体の前記挿入溝からの脱離を規制して前記導光体を挿入状態に保持するとよい。
【0011】
このようにすると、挿入溝の一端側から挿入された導光体の一端側が、光源用基板で抜け止めするように光源用基板の光源の実装面を当接させて押さえられているので、導光体の一端側から光源の光を該導光体に確実に入射することができると共に、導光体の挿入溝から長手方向への脱離が光源用基板により規制されて導光体が挿入状態に保持されるので、光源と、導光体の挿入溝からの抜け止めを防止する部材とを個別に設けなくともよいため、装置を構成する部品の簡素化を図ることができる。
【0012】
また、前記挿入溝の他端側に、前記導光体を前記挿入溝から脱離する方向に付勢する付勢手段が設けられているとよい。
【0013】
このようすれば、導光体の挿入溝への挿入状態において、導光体は付勢手段により挿入溝から長手方向へ脱離する方向に付勢されるので、付勢手段の付勢力により導光体の一端側が光源用基板の光源の実装面に押し付けられて密着し、光源の光を導光体に入射する入射効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、この発明にかかる筐体の製造方法は、光源からの光を導光体により導光して読み取り対象物に照射し、前記対象物からの反射光を結像光学素子によって集光して形成した正立等倍像をセンサーにより読み取る画像読取装置が備える筐体であって、フレーム部材の内部空間を、前記導光体および前記結像光学素子が配置される第1の空間と前記センサーが配置される第2の空間とに仕切って配設される仕切部材の前記第1の空間側である一方側に、挿入溝と、該挿入溝に並設される凹溝とを形成し、前記挿入溝に前記導光体を挿入し、前記凹溝に前記結像光学素子を嵌挿して、前記導光体および前記結像光学素子を保持する筐体の製造方法において、前記仕切部材の一方側を形成する第1の金型と、前記仕切部材の他方側を形成する第2の金型とを対向配置して成型空間を形成し、前記成型空間に、複数の挿入溝形成用ダイを列状に配置する工程と、前記成型空間に、前記仕切部材の材料となる液体を流し込んで硬化させる工程とを備え、前記第1の金型には、前記挿入溝の底面の一部を形成する第1の底面形成面を有する複数の第1のダイが列状に突設されると共に、前記第1のダイに並設されて、前記凹溝を形成する第2のダイが突設され、各前記挿入溝形成用ダイは、前記挿入溝の底面の残りの一部を形成する第2の底面形成面と、該第2の底面形成面に対向配置されて前記挿入溝に挿入される前記導光体を前記底面に押圧するための押圧面を形成する押圧面形成面とを有し、前記成型空間内において、各前記第1のダイおよび各前記挿入溝形成用ダイが互いに隣り合うように密着配置されることを特徴としている。
【0015】
このように構成された発明では、フレーム部材の内部空間を、導光体および結像光学素子が配置される第1の空間とセンサーが配置される第2の空間とに仕切って配設される仕切部材の第1の空間側である一方側を形成する第1の金型と、仕切部材の他方側を形成する第2の金型とが対向配置されて成型空間が形成され、該形成空間に複数の挿入溝形成用ダイが列状に配置される。そして、成型空間に、仕切部材の材料となる液体が流し込まれて硬化されることにより画像読取装置の筐体が製造される。
【0016】
第1の金型には、挿入溝の底面の一部を形成する第1の底面形成面を有する複数の第1のダイが列状に突設されると共に、第1のダイに並設されて、凹溝を形成する第2のダイが突設され、各挿入溝形成用ダイは、挿入溝の底面の残りの一部を形成する第2の底面形成面と、該第2の底面形成面に対向配置されて挿入溝に挿入される導光体を底面に押圧するための押圧面を形成する押圧面形成面とを有し、成型空間内において、各第1のダイおよび各挿入溝形成用ダイが互いに隣り合うように密着配置されることにより、挿入溝の底面の形成型が形成されて、仕切部材の一方側に、底面および押圧面を備える挿入溝が形成されると共に、挿入溝に並設された凹溝が形成される。したがって、挿入溝形成用ダイにより挿入溝の押圧面が形成されるが、第2の金型に押圧面を形成する押圧面形成面を有するダイを突設して前記押圧面を形成する場合と異なり、挿入溝形成用ダイが成型物から引抜かれた際に形成される孔が、第2の金型により形成される仕切部材の他方側に連通するおそれがないので、第1の空間と第2の空間とが確実に隔離された状態で、仕切部材の一方側に挿入溝および凹溝が形成された筐体を製造することができる。また、製造された筐体の挿入溝に挿入して配置された導光体の光が、センサーが配置される第2の空間に漏れるおそれがないので、導光体から漏洩した光のセンサーへの入射によるノイズの発生を防止することができる。
また、この発明にかかる画像読取装置は、上記目的を達成するために、光源からの光を読み取り対象物に導光する導光体を有し前記対象物を照明する照明手段と、前記導光体に並設され、入射面に入射した前記対象物からの反射光を集光してセンサー上に正立等倍像を形成する結像光学素子と、前記導光体および前記結像光学素子を保持する保持手段と、を備え、前記結像光学素子は、前記導光体に対向する部分が面取りされた面取り部位を有し、前記保持手段によって保持された前記導光体は、前記保持手段によって保持された前記結像光学素子の前記面取り部位に接するように配置されることで、前記結像光学素子の前記保持手段からの脱離を規制することを特徴とする。
さらに、この発明にかかる画像読取装置は、上記目的を達成するために、光源からの光を読み取り対象物に導光する導光体を有し前記対象物を照明する照明手段と、前記導光体に並設され、入射面に入射した前記対象物からの反射光を集光してセンサー上に正立等倍像を形成する結像光学素子と、前記導光体および前記結像光学素子を保持する保持手段と、を備え、前記導光体は、前記結像光学素子に対向する部分が面取りされた面取り部位を有し、前記保持手段によって保持された前記導光体の前記面取り部位は、前記保持手段によって保持された前記結像光学素子に接するように配置されることで、前記結像光学素子の前記保持手段からの脱離を規制することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】画像読取装置の一実施形態であるCISモジュールを示す斜視図。
図2図1のA−A線における部分断面斜視図。
図3図1のB−B線における断面斜視図。
図4】CISモジュールが備えるフレームを示す斜視図。
図5】CISモジュールが備えるライトガイドを示す斜視図。
図6】CISモジュールの要部拡大図。
図7】CISモジュールの裏面図。
図8】ライトガイドによる原稿の照明状態を説明するための図。
図9】比較例における原稿の照明状態を説明するための図。
図10】フレームを成型するための金型を示す斜視図。
図11図2に示すフレームの断面に相当する位置における金型の断面図。
図12図3に示すフレームの断面に相当する位置における金型の断面図。
図13】金型と押さえ部材形成用ダイとの配置関係を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の画像読取装置の一実施形態であるCISモジュールについて図1図7を参照して説明する。図1は画像読取装置の一実施形態であるCISモジュールを示す斜視図、図2図1のA−A線における部分断面斜視図、図3図1のB−B線における断面斜視図である。図4はCISモジュールが備えるフレームを示す斜視図、図5はCISモジュールが備えるライトガイドを示す斜視図である。図6はCISモジュールの要部拡大図、図7はCISモジュールの裏面図である。
【0019】
CISモジュール1(本発明の「画像読取装置」に相当)は、原稿ガラスGL上に載置された原稿OBを読み取り対象物として原稿OBに印刷された画像を読み取る装置であり、原稿ガラスGLの直下に配置されている。CISモジュール1は、X方向における原稿OBの読み取り範囲より長く延びる直方体状のフレーム2(本発明の「筐体」「保持手段」に相当)を有しており、フレーム2内に照明手段3、レンズユニット4(本発明の「結像光学素子」に相当)、センサー5、プリント回路基板6がフレーム2に保持されて配置されている。
【0020】
フレーム2は、フレーム部材21aおよび中間部材21b(本発明の「仕切部材」に相当)を備え、フレーム部材21aの内部空間は、中間部材21bにより、照明手段3(ライトガイド31)およびレンズユニット4を配置するための上方空間(本発明の「第1の空間」に相当)と、センサー5および照明手段3のLED基板32が設けられたプリント回路基板6を配置するための下方空間(本発明の「第2の空間」に相当)とに区分されて仕切られている。また、中間部材21bの上方空間側には、照明手段3が備えるライトガイド31が挿入されて配置されるための斜溝22と、斜溝22に並設され、レンズユニット4が嵌挿されて配置されるための凹溝23とがX方向に延設されている。凹溝23の底面には、レンズユニット4から出射されて、X方向に所定の読取幅を有する光が通過するためのスリット24がX方向に延設されており、スリット24により、フレーム2の上方空間と下方空間とが連通されている。
【0021】
斜溝22の底面の上方には、斜溝22に配置されたライトガイド31を上方から押圧するための複数の押さえ部材25がX方向において所定の間隔でフレーム2に設けられている。各押さえ部材25は、それぞれ、斜溝22に沿って隣接するフレーム2の側壁(フレーム部材21a)から内側に向けて突出して当該フレーム2と一体的に形成されている。また、押さえ部材25の下面側に配置されるライトガイド31を斜溝22の底面に押圧する押圧面は、押圧対象であるライトガイド31の上側の外周面形状とほぼ同一形状に形成されている。
【0022】
また、斜溝22の一端側(図1の紙面に向かって手前側)から該斜溝22に挿入されたライトガイド31は、平面視において凹溝23に嵌挿されたレンズユニット4にX方向に沿って一部重なって配置される。また、ライトガイド31が押さえ部材25により上方から押圧された状態で、ライトガイド31の出射面31bの下側の長手方向(X方向)に沿って面取りされた部分が、凹溝23に嵌挿された状態のレンズユニット4のケース体41の左上部の長手方向(X方向)に沿って面取りされた部分にX方向に沿って当接する。そして、レンズユニット4は、押さえ部材25によって押圧されるライトガイド31により凹溝23内に向かって押圧されることで、レンズユニット4の凹溝23からのZ矢印の向きと反対方向への脱離が規制されてレンズユニット4が当該凹溝23内に嵌挿状態に保持される。
【0023】
なお、押さえ部材25の押圧面の形状が、押圧対象であるライトガイド31の上側の外周面形状とほぼ同一形状に形成されているので、凹溝23にレンズユニット4が嵌挿され、斜溝22にライトガイド31が挿入された状態において、斜溝22へのライトガイド31の挿入方向(X方向)以外の方向へのライトガイド31の移動、すなわち、斜溝22からの抜けは押さえ部材25により規制されている。また、フレーム2の側壁(フレーム部材21a)の各押さえ部材25に対応する位置には、それぞれ、各押さえ部材の下方を通って斜溝22に連通する矩形状の孔25aが形成されている。この孔25aは、図10図13を参照して後で説明するように、フレーム2の上方空間に斜溝22および押さえ部材25を形成するための押さえ部材形成用ダイ203が斜めに配置されることにより形成されたものである。以上のように、斜溝22および押さえ部材25により本発明の「挿入溝」が構成されている。
【0024】
照明手段3は、プリント回路基板6に取り付けられたLED基板32(本発明の「光源用基板」に相当)に設けられたLED(Light Emitting Diode:図示省略)を光源とし、LEDの光を原稿ガラスGL上に載置された原稿OBに導光するライトガイド31(本発明の「導光体」に相当)を有し原稿OBを照明する。なお、図2中において、LED基板32はその上端部分の形状が点線で示されることにより、その一部が図示省略されている。
【0025】
ライトガイド31は、アクリル樹脂やガラス等の透明部材により形成され、CISモジュール1の読み取り範囲とほぼ同じ長さを有しており、中間部材21bの上面に設けられた斜溝22に挿入されることによりX方向に配設されている。また、ライトガイド31は、一端側の端面(図2の紙面に向かって手前側)からライトガイド31内に入射されたLEDの光を反射する反射構造が形成された反射面31aと、反射面31aにより反射された光を原稿OBに向けて出射する出射面31bとを有している。そして、反射面31aおよび出射面32bは、それぞれライトガイド31の外周面に長手方向に沿って形成されて透明部材を介して対向配置されている。そして、ライトガイド31の長手方向に直交する断面における出射面31bの幅が反射面31aよりも狭く形成されている。
【0026】
また、ライトガイド31の長手方向に直交する断面形状が、反射面31a側から出射面31b側に向けて先細りする六角形状を有し、ライトガイド31は、レンズユニット4に対向する部分が出射面31bに沿って長手方向に面取りされている。そして、ライトガイド31の面取りされた部分が、レンズユニット4の同様に面取りされた部分にX方向に沿って接触配置されることによって、出射面31bがレンズユニット4に近接配置されている。照明手段3は、図5に示すように、ライトガイド31の出射面31bを除く外周面を被覆する遮光フィルム33をさらに有しており、遮光フィルム33のライトガイド31(透明部材)に接する面には光を散乱させる散乱面が形成されている。なお、この実施形態では、遮光フィルム33の厚みは約125μmに形成されている。また、図5では反射面31aに被覆された遮光フィルム33の一部が図示省略されている。
【0027】
また、図6および図7に示すように、ライトガイド31を紙面に向かって手前側の一端側から出射面31bをレンズユニット4側に向けてX方向にフレーム2の中間部材21bの上面に形成された斜溝22に挿入することにより、ライトガイド31の手前側の端面の位置に、LED基板32を挿入するための挿入空間SPが形成される。そして、図1および図2に示すように、LED基板32が設けられたプリント回路基板6が、フレーム2の下方空間における所定位置に配設されてLED基板32が挿入空間SPに下方側から挿入されることによって、LED基板32の先端側の端面が押さえ部材25の押圧面に当接することにより位置決めされて、LED基板32に設けられたLEDがライトガイド31の長手方向の一端側である手前側の端面に対向配置される。
【0028】
LEDからの照明光がライトガイド31の一端側から入射すると、その照明光はライトガイド31の他端側に向けてライトガイド31内を伝播すると共に、反射面31aにより散乱する。反射面31aによって散乱した照明光は、ライトガイド31内において外周面(遮光フィルム33)により全反射されることで出射面31bに向かって集光される。そして、集光された照明光が出射面31bから原稿ガラスGLに向けて出射されて原稿ガラスGL上の原稿OBに集光された状態で照射される。こうして、X方向に延びる帯状の照明光が原稿OBに照射され、原稿OBで反射される。
【0029】
なお、LEDから照明が入射されるライトガイド31の一端側と反対の他方端側の端面が当接するフレーム2(フレーム部材21a)の内壁面には、スポンジやゴム、ばねなどの弾性部材により形成される付勢手段(図示省略)が設けられている。ライトガイド31は、付勢手段により斜溝22から脱出(脱離)する方向(X矢印の向きと反対方向)に付勢されてLED基板32に設けられたLEDに当接する。挿入空間SPに下方から挿入されたLED基板32は、弾性部材により付勢されたライトガイド31により押圧される方向において、付勢手段が設けられた内壁面に対向するフレーム2の内壁面に当接して位置決めされる。したがって、LED基板32のLEDの実装面に当接するライトガイド31の一端側が、LED基板32により抜け止めするように押さえられることにより、ライトガイド31の斜溝22からの脱離が規制されてライトガイド31の斜溝22への挿入状態が保持されるので、ライトガイド31は、斜溝22内において付勢手段とLED基板32との間に正確に位置決めされて固定される。
【0030】
すなわち、斜溝22の一端側から挿入されたライトガイド31の一端側が、LED基板32で抜け止めするようにLED基板32のLEDの実装面を当接させて押さえられているので、ライトガイド31の一端側からLEDの光をライトガイド31に確実に入射することができると共に、ライトガイド31の斜溝22からの脱離がLED基板32により規制されてライトガイド31が挿入状態に保持されるので、LEDと、ライトガイド31の斜溝22からの抜け止めを防止する部材とを個別に設けなくともよいため、CISモジュール1を構成する部品の簡素化を図ることができる。
【0031】
また、ライトガイド31の斜溝22への挿入状態において、ライトガイド31は付勢手段により斜溝22から脱離する方向に付勢されるので、付勢手段の付勢力によりライトガイド31の一端側がLED基板32のLEDの実装面に押し付けられて密着するので、LEDの光をライトガイド31に入射する入射効率の向上を図ることができる。
【0032】
また、照明手段3が配置されるフレーム2の上方空間と、センサー5(プリント回路基板6)が配置される下方空間とは、中間部材21bにより隔離されているため、照明手段3の光が下方空間に漏れるおそれが無く、照明手段3から漏洩した光のセンサー5への入射によるノイズの発生が防止される。
【0033】
照明手段3による照明光の照射位置の直下位置には、上記した凹溝23がX方向に設けられており、レンズユニット4は、凹溝23に嵌挿されることによりライトガイド31に並設されている。レンズユニット4は、複数のレンズの互いの光軸を平行にして各レンズ面がライトガイド31の長手方向と同じX方向に配列された入射面が設けられたレンズアレイ(図示省略)と、レンズアレイを収納するケース体41とを有し、入射面に入射した原稿OBからの反射光を集光してセンサー5上に原稿OBの正立等倍像を形成する。
【0034】
レンズアレイは、CSIモジュール1の読み取り範囲とほぼ同じ長さだけX方向に延設されており、照明光に対して光透過性を有する樹脂やガラスなどの透明媒体によって一体成形されている。また、レンズアレイの入射側のケース体41には各レンズそれぞれに対応する位置に穿設された複数の貫通孔(図示省略)がX方向に沿って形成されており、原稿OBから入射される反射光の入射方向が各貫通孔により規制される。また、レンズアレイの出射側のケース体41には各レンズそれぞれに対応する位置に穿設された複数の貫通孔(図示省略)がX方向に沿って形成されており、レンズアレイから出射する出射光の出射方向が各貫通孔により規制される。
【0035】
すなわち、レンズアレイの入射側および出射側において、それぞれ複数の貫通孔がX方向に沿って形成されたケース体41は、レンズアレイに対するアパーチャー部材として機能しており、センサー5への迷光の入射すが防止されている。なお、フレーム2の中間部材21bに設けられた凹溝23の底面にX方向に形成されたスリット24は、レンズアレイを構成する各レンズの出射側の各光軸がX方向に配列される位置に形成され、スリット24は、各レンズの出射側の各光軸のX方向における幅よりも多少幅広に形成されている。そして、レンズユニット4に入射した反射光は、スリット24を通過して該スリット24に対向する位置に配置されたセンサー5上に集光されて、該センサー5上に正立等倍像が形成される。
【0036】
ケース体41は、ライトガイド31に対向する部分がX方向に沿って面取りされており、上記したように、当該面取り部分にライトガイド31の面取りされた部分が当接して凹溝23内に向かってケース体41を押圧することにより、レンズユニット4(ケース体41)はフレーム2の凹溝23内に固定される。
【0037】
センサー5は、図2に示すように、LED基板32が搭載されたプリント回路基板6にX方向に取り付けられており、原稿OBの正立等倍像を読み取り、その正立等倍像に関連する信号を出力する。
【0038】
以上のように構成されたCISモジュール1は次のようにして組立てられる。すなわち、図6および図7に示すように、まず、フレーム2の上方空間側に設けられた凹溝23にレンズユニット4が嵌挿されて、ライトガイド31が、斜溝22内に挿入される。そして、図1および図2に示すように、挿入空間SPにLED基板32が下方側から挿入されるように、フレーム2の下方空間の所定位置にプリント回路基板6が配置されることによってCISモジュール1の組み立てが完了する。
【0039】
次に、図8(a),(b)を参照してライトガイド31とレンズユニット4との配置関係の一例について説明する。図8はライトガイドによる原稿の照明状態を説明するための図であって、(a)はライトガイドおよびレンズユニットの配置関係を示し、(b)は原稿の照明状態を示す。また、図8(b)において、Y方向における原点Oの位置はX方向に直交する断面におけるレンズユニット4の光軸CLの位置に相当し、Y(+)方向はレンズユニット側を示し、Y(−)方向はライトガイド側を示し、原点O側がLEDにより照明光が入射されたライトガイド31の端面側を示す。また、図8(b)は、サイバネットシステム株式会社製の照明解析ソフト「LightTools」によるシミュレーションにより導出された光軸CLの位置のX方向における明るさを表している。
【0040】
この実施形態では、ライトガイド31の長手方向に直交する断面における反射面31aの幅が2mm、出射面31bの幅が0.8mm、反射面31aと出射面31bとの距離が4mmに設定されている。また、原稿ガラスGLは屈折率nが1.51の材質により形成されているので、ライトガイド31の出射面31bの法線と原稿ガラスGLとが成す角度がγであれば、原稿ガラスGLに入射して屈折した光の進行方向と原稿ガラスGLとが成す角度δはsinδ=(sinγ)/1.51となる。
【0041】
したがって、レンズユニット4の上端面と原稿ガラスGLの下面との距離をd1、原稿ガラスGLの厚みをdとすると、ライトガイド31から出射された光が原稿ガラスGLの上面とレンズユニット4の光軸CLとの交点に照射されるためには、ライトガイド31の長手方向に直交する断面における出射面31bの中心とレンズユニット4の光軸CLとの距離Lは、
L=d1/tan(γ)+d/tan(δ)
と表すことができる。この実施形態では、レンズユニット4の上端面と原稿ガラスGLの下面との距離d1が0.66mm、原稿ガラスGLの厚みdが2.8mmに設定されているため、例えば、ライトガイド31の出射面31bの法線と原稿ガラスGLとが成す角度γを40度とすれば、出射面31bの中心とレンズユニット4の光軸CLとの距離Lは約2.4mmとなる。したがって、上記した条件において、出射面31bの中心および光軸CL間の距離が2.4mmとなるように、ライトガイド31およびレンズユニット4が配置されれば、出射面31bから出射される照明光により、原稿OBの光軸CLの位置が適正にX方向に帯状に照明される。
【0042】
また、図8(a)に示すように、フレーム2の側壁および押さえ部材25の上面とレンズユニット4のケース体41の貫通孔が形成された上端面とがはほぼ同一の平面Sに配置されるように構成されており、ライトガイド31は平面Sを越えて原稿ガラスGLに突出しないように配置されている。
【0043】
なお、この実施形態では、ライトガイド31には、出射面31bとの角度αが100度〜140度となるように面取りが施されており、レンズユニット4には、上端面との角度βが100度〜140度となるように面取りが施されている。したがって、距離Lが2.4mm以内となるようにライトガイド31およびレンズユニット4の入射面が近接配置されると共に、上記したライトガイド31の面取り角度α、レンズユニット4の面取り角度β、光線の入射角度γの関係が、
α+β+γ=270度
となるように、ライトガイド31およびレンズユニット4が配置されることによって、ライトガイド31の出射面31bから出射された光が原稿ガラスGLの上面とレンズユニット4の光軸CLとが交わる部分に帯状に照射される。
【0044】
すなわち、図8(b)に示すように、照射中心が微小にライトガイド31側に寄った状態で、原稿ガラスGLの上面とレンズユニット4の光軸CLとが交わる部分に対してライトガイド31の出射面31bから出射された光が帯状に19.2%の光利用効率で適正に照射される。
【0045】
(比較例)
次に、図9(a),(b)を参照して比較例について説明する。図9は比較例における原稿の照明状態を説明するための図であって、(a)はライトガイドおよびレンズユニットの配置関係を示し、(b)は原稿の照明状態を示す。図9(a)に示すように、比較例では、ライトガイド131およびレンズユニット104は、それぞれ外周面に上記したような面取りが施されておらず、それぞれ長手方向(X方向)に直交する断面形状が矩形状に形成されている。また、長手方向に直交する断面におけるライトガイド131の出射面31bの幅は反射面31aと同じ幅に形成されている。その他の構成は上記した例と同様であるため、同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0046】
この比較例では、ライトガイド131およびレンズユニット104それぞれに面取りが施されておらず、ライトガイド131およびレンズユニット104を近接配置するとができない。さらに、ライトガイド131に入射されたLEDの照明光は出射面31bに向かって集光されない。したがって、図9(b)に示すように、照射中心が大幅にライトガイド131側に寄った状態となり、原稿ガラスGLの上面とレンズユニット4の光軸CLとが交わる部分がライトガイド131の出射面31bから出射された光によりほぼ照明されない状態となる。
【0047】
また、図9(b)に点線で示すように、原稿ガラスGLの上面とレンズユニット4の光軸CLとが交わる部分がライトガイド131の出射面31bから出射された光により照明されるためには、ライトガイド131を平面Sを大幅に越えて上方に配置しなければならないが、原稿ガラスGLがCISモジュール1の直上に配置されるため、事実上、同図(b)中の点線の位置にライトガイド131を配置するのは不可能である。
【0048】
(フレームの成型方法)
次に、図2および図3を参照しつつ図10図13を参照してフレームの成型方法(製造方法)の一例について説明する。図10はフレームを成型するための金型を示す斜視図、図11図2に示すフレームの断面に相当する位置における金型の断面図、図12図3に示すフレームの断面に相当する位置における金型の断面図である。また、図13は金型と押さえ部材形成用ダイとの配置関係を説明するための模式図であって、図11および図12のC−C線におけるX−Z平面に平行な断面図である。フレーム2を成型するための金型200は、中間部材21bの一方側を形成する上部金型201(本発明の「第1の金型」に相当)と、中間部材21bの他方側を形成する下部金型202(本発明の「第2の金型」に相当)と、斜溝22の底面および押さえ部材25の押圧面を形成する押さえ部材形成用ダイ203(本発明の「挿入溝形成用ダイ」に相当)とを備えている。
【0049】
また、上部金型201の下面側には、第1の空間側に配置される中間部材21bの一方側(上面)に斜溝22の底面の一部を形成するための第1の底面形成面211を有する複数の第1のダイ201aがX方向に列状に突設されると共に、ダイ201aに並設されて、凹溝23を形成するための第2のダイ201bが突設されている。また、下部金型202の上面側には、第2の空間側に配置される中間部材21bの他方側(下面)の形状を形成するためのダイ202aおよびスリット24を形成するためのダイ202bが突設されている。また、下部金型202には、紙面に向かって左側の側面から上面に連通する複数の斜孔202cが長手方向(X方向)に沿って設けられており、各斜孔202cには、側面側から上面側にその先端が突出するように押さえ部材形成用ダイ203が挿入される。
【0050】
押さえ部材形成用ダイ203は、第1の空間側に配置される中間部材21bの一方側(上面)に斜溝22の底面の残りの一部を形成するための第2の底面形成面213と、底面形成面211に対向配置されて斜溝22に挿入されるライトガイド31を斜溝22の底面に押圧するための押さえ部材25の押圧面を形成するための押圧面形成面223とを有している。なお、下部金型202の上面から突出する各押さえ部材形成用ダイ203の先端の上面側の押圧面形成面223の形状は、フレーム2の斜溝22に挿入されるライトガイド31の上側の周側面の形状とほぼ同一の形状に形成されている。
【0051】
そして、各押さえ部材形成用ダイ203が下部金型202の各斜孔202cに挿入された状態で、下部金型202の上面に上部金型201の下面を密着して上部金型201および下部金型202が係合されることにより、上部金型201の下面と下部金型202の上面と間に、フレーム2を形成するための樹脂等の液体Rが充填される成型空間Gが形成される。なお、図13に示すように、上部金型201の下面に設けられた斜溝22を形成するためのダイ201aは、上部金型201および下部金型202が組み合わされた状態で、成型空間G内において、下部金型202の上面側に突出する各押さえ部材形成用ダイ203の間に隙間なくはまり込むように形成されている。すなわち、上部金型201のダイ201aおよび押さえ部材形成用ダイ203が長手方向(X方向)に密着して交互に配列されることによって、密着配置されたダイ201aおよび押さえ部材形成用ダイ203の下側の底面形成面211,213によりフレーム2の斜溝22の底面を形成するための型が形成され、押さえ部材形成用ダイ203の上側の押圧面形成面223により押さえ部材25の押圧面を形成するための型が形成される。
【0052】
このように構成された上部金型201、下部金型202および押さえ形成用ダイ203が組み合わされることによって、上部金型201と下部金型202とが対向配置されて成型空間Gが形成され、成型空間に複数の押さえ部材形成用ダイ203が配置される。そして、成型空間Gに溶融された樹脂等の液体Rが流し込まれ、液体Rが加熱や紫外線照射されることにより硬化されて、押さえ部材形成用ダイ203が抜き取られた後に、上部金型201および下部金型202が取り外されることによりフレーム2が完成する。
【0053】
以上のように、上記した実施形態では、斜溝22に挿入されたライトガイド31が、平面視において、斜溝22に並設された凹溝23に嵌挿されたレンズユニット4に一部重なって配置されることによって、ライトガイド31により、レンズユニット4の凹溝23からの脱離が規制されてレンズユニット4が嵌挿状態に保持されているので、ライトガイド31およびレンズユニット4をフレーム2の所定位置に固定配置するのに接着剤等の固着手段を必要とせず、接着剤を用いずにCISモジュール1を組み立てることにより、廃棄の際に分解が容易でリサイクル性の向上が図られたCISモジュール1を提供することができる。
【0054】
また、押さえ部材形成用ダイ203により押さえ部材25の押圧面が形成されるが、下部金型202に押圧面を形成する押圧面形成面を有するダイを突設して該押圧面を形成する場合と異なり、押さえ部材形成用ダイ203が成型物(フレーム2)から引抜かれた際に形成される孔が、下部金型202により形成される中間部材21bの他方側(下方空間)に連通するおそれがない。
【0055】
すなわち、押さえ部材形成用ダイ203が、中間部材21bに相当する位置よりも上方において、上部金型201および下部金型202が組み合わされた金型200内に側方から挿入されることによって、フレーム2の斜溝22の上方に配置される押さえ部材25が形成されるので、フレーム2が形成される際に、正立等倍像をセンサー5上に形成するためにレンズユニット4から出射される光が通過するためのスリット24の他に、上方空間と下方空間とを連通する孔(穴)が中間部材21bに形成されるおそれが無い。そのため、上方空間と下方空間とが確実に隔離された状態で、中間部材21bの一方側の上面に斜溝22(押さえ部材25)および凹溝23が形成されたフレーム2を成型することができる。したがって、成型されたフレーム2の斜溝22に挿入されて上方空間に配置されたライトガイド31の光が、センサー5が配置される下方空間に漏れるおそれが無いので、ライトガイド31から漏洩した光のセンサー5への入射によるノイズの発生を確実に防止することができる。また、照明手段3の光がセンサー5に漏洩するのを確実に防止することができるので、ライトガイド31を被覆する遮光フィルム33を省略することもできる。
【0056】
また、LEDの光を原稿OBに導光する棒状のライトガイド31は、透明部材により形成されている。また、ライトガイド31は、該ライトガイド31の少なくとも一方の端面から当該ライトガイド31内に入射されたLEDの光を反射する反射構造が形成された反射面31aと、反射面31aにより反射された光を原稿OBに向けて出射する出射面31bとを有しており、反射面31aおよび出射面31bは、それぞれ当該ライトガイド31の外周面に長手方向(X方向)に沿って形成されて透明部材を介して対向配置されている。そして、ライトガイド31の長手方向に直交する断面における出射面31bの幅が反射面31aよりも狭く形成されているので、ライトガイド31の端面から入射されて反射面31aにおいてその長手方向全体に渡って散乱したLEDの光が、透明部材の内部においてライトガイド31の外周面により全反射されて出射面31bに向かって集光されて該出射面31bから原稿OBに向けて帯状に出射される。
【0057】
したがって、ライトガイド31の内部において出射面31bに向かって集光された状態の光が該出射面31bから原稿OBに向かって帯状に出射されるので、原稿OBとレンズユニット4が備えるレンズアレイの光軸CLとが交わる部分を照明手段3により帯状に効率よく照明することが可能な照明手段3を備えるCISモジュール1を提供することができる。
【0058】
また、ライトガイド31の長手方向に直交する断面形状が反射面31a側から出射面31b側に向けて先細りする形状であるので、反射面31aにおいてその長手方向全体に渡って散乱したLEDの光を、ライトガイド31の外周面によって全反射させることによりさらに効率よく出射面31bに向かって集光することができる。したがって、出射面31bから原稿OBに向けて帯状に出射される光によって原稿OBをさらに効率よく照明することができる。また、ライトガイド31の長手方向に直交する断面形状が反射面31a側から出射面31b側に向けて先細りする形状であるため、長手方向(X方向)に直交する断面における出射面31bの中心と、各レンズ面の配列方向(X方向)に直交する断面におけるレンズアレイの光軸CLとをより近接して配置することができる。
【0059】
また、ライトガイド31は、レンズユニット4に対向する部分が出射面31bに沿って長手方向に面取りされているので、長手方向に直交する断面における出射面31bの中心と、各レンズ面の配列方向に直交する断面におけるレンズユニット4の光軸CLとをより近接配置して、該光軸CL上のレンズユニットの4の複数の貫通孔が形成された上端面により近い位置を照明手段3により帯状に照明することができる。また、ライトガイド31の出射面31bとレンズユニット4の入射面とが近接配置されることによってCISモジュールの小型化を図ることができる。
【0060】
また、レンズアレイを収納するケース体41のライトガイド31に対向する部分がレンズ面の配列方向に沿って面取りされているので、ライトガイド31の長手方向に直交する断面における出射面31bの中心と、各レンズ面の配列方向に直交する断面におけるレンズユニット4の光軸CLとをさらに近接配置することができる。
【0061】
また、ライトガイド31を形成する透明部材内において反射面31aにより反射された光を、遮光フィルム33の散乱面によってより効率よく全反射させることでさらに効率よく出射面31bに向かって集光することができる。また、遮光フィルム33により、ライトガイド31に入射されたLEDの光がライトガイド31の外周面から外部に漏れるのを防止することができる。また、従来では、光の漏洩を防止するためにライトガイド31はケースに収納されてフレーム2に設けられていたが、上記したようにライトガイド31を、ケースと比較すると非常に薄い遮光フィルム33で被覆することによって光の漏洩を防止することで、ライトガイド31およびレンズユニット4をより近接して配置することができる。
【0062】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ライトガイド31またはレンズユニット4に施される面取りの態様は上記した例に限るものではなく、斜溝22に挿入されたライトガイド31により、凹溝23に嵌挿されたレンズユニット4を確実に押圧することができれば、ライトガイド31またはレンズユニット4にどのように面取りが施されていてもよい。また、ライトガイド31によりレンズユニット4を凹溝23に押圧することができれば、ライトガイド31またはレンズユニット4に必ずしも面取りが施されている必要はないが、ライトガイド31およびレンズユニット4を近接配置して、ライトガイド31の出射面31bから出射された光がレンズユニット4の光軸CL上に適切に照射されるように、ライトガイド31またはレンズユニット4に面取りを施すのが好ましい。
【0063】
また、レンズユニット4(結像光学素子)の構成は、センサー5上に適正に正立等倍像を形成することができるものであればどのようなものであってもよく、1列のレンズ列により構成されたレンズアレイや複数のレンズ列が配列された構成のレンズアレイなどを採用することができる。また、レンズアレイの入射側および出射側にそれぞれアパーチャー部材が配置された結像光学素子や、複数のレンズアレイが光軸方向に配列され、入射側、レンズアレイ間、出射側にそれぞれアパーチャー部材が配置されて構成された結像光学素子などを採用することができる。また、SLA(セルフォック(登録商標)レンズアレイ)により結像光学素子が構成されていてもよい。
【0064】
また、上記した実施形態では、押さえ部材形成用ダイ203を利用してフレーム2に押さえ部材25を一体的に成型したが、押さえ部材形成用ダイ203の換わりに、下部金型202の上面に、押さえ部材25の押圧面と同一の先端面形状を有するダイを突設することにより、フレーム2に押さえ部材25を形成してもよい。
【0065】
また、ライトガイド31の長手方向に直交する断面形状は、上記した六角形状に限らず、台形や長方形、五角形状など、どのような形状であってもよい。
【0066】
そして、読み取りの対象物からの反射光を結像して正立等倍像を形成する結像光学素子を備える画像読取装置に本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…CISモジュール(画像読取装置)、 2…フレーム(筐体、保持手段)、 21a…フレーム部材、 21b…中間部材(仕切部材)、 22…斜溝(挿入溝)、 23…凹溝、 24…スリット、 25…押さえ部材(挿入溝)、 3…照明手段、 31…ライトガイド(導光体)、 32…LED基板(光源用基板)、 4…レンズユニット(結像光学素子)、 5…センサー、 201…上部金型(第1の金型)、 201a…第1のダイ、 201b…第2のダイ、 211…第1の底面形成面、 202…下部金型(第2の金型)、 203…押さえ部材形成用ダイ(挿入溝形成用ダイ)、 213…第2の底面形成面、 223…押圧面形成面、 G…成型空間、 R…液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13