(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸光度計に接続された制御装置をさらに有し、前記制御装置には、検量線テーブルが記憶され、前記吸光度計からの信号と前記検量線テーブルに基づいて、フォトレジスト濃度を求めることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載されたフォトレジスト濃度測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を図面および実施例を示しながら説明を行うが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態は変更することができる。
【0017】
(実施形態1)
<測定対象>
本発明に係るフォトレジスト濃度測定装置1および測定方法で、好適に利用できるのは、フォトレジスト剥離液として、アミン化合物と、極性溶媒と水を含む剥離液である。また、対象となるフォトレジストは、ポジ型フォトレジストで、主として、ノボラック樹脂と感光剤であるジアゾナフトキノン(DNQ)の混合物である。フォトレジスト成分は、感光させられることで、構成物が化学変化を起こす。したがって、フォトレジスト濃度測定装置1が測定する剥離液中には、インデンカルボン酸といったフォトレジスト成分に由来する材料が含まれていてもよい。
【0018】
<主な構成部材>
図1に本発明のフォトレジスト濃度測定装置1の構成を示す。フォトレジスト濃度測定装置1は、混合撹拌槽10と、酸性溶液タンク14と、酸性溶液タンク14から混合撹拌槽10まで連通する酸性溶液配管15a、32、15bと、使用されたフォトレジスト剥離液(以後単に「使用済剥離液」とも呼ぶ。)が移送されてくる剥離液配管46bと、吸光度計20を含む。「使用されたフォトレジスト剥離液」とは、アミン化合物と、極性溶媒と水を含む剥離液中にフォトレジスト成分が混在されたものである。
【0019】
また、混合撹拌槽10中の溶液を撹拌するための撹拌手段として、マグネチックスターラー22aと撹拌子22bが設けられていても良い。また、混合撹拌槽10には、排出口10exが設けられ、排出口10exに連通する廃液タンク26が設けられていても良い。なお、排出口10exと廃液タンク26を連通する配管9には開閉バルブV9が設けられる。また、混合撹拌槽10には、後述する純水を供給する純水供給手段と洗浄液を供給する洗浄液供給手段が設けられていても良い。
【0020】
また、混合撹拌槽10には、バッファタンク12が併設されていてもよい。バッファタンク12が設けられる場合は、吸光度計20は、バッファタンク12に設けられる。また、フォトレジスト濃度測定装置1には、制御装置40が備えられていても良い。制御装置40は少なくとも吸光度計20および表示装置44と接続されている。
【0021】
<構成部材間の連結関係>
図1のフォトレジスト濃度測定装置1の詳細な構造を説明する。使用済剥離液は、剥離液を使用している工場50から剥離液配管46aで移送される。剥離液配管46aには、三方バルブV30a、三方バルブV30bに挟まれた剥離液計量管30が連結されている。三方バルブV30bには、剥離液配管46bが連結されており、混合撹拌槽10に連通する。剥離液配管46aには、移送のためのポンプP46が配設される。
【0022】
なお、三方バルブは、流体が流れる上流端と流体が流れる下流端および、上流端と下流端の間に流出入口を有する分岐端を有し、いずれの端末をも開閉できるものとする。図では、3つの三角形で表し、開状態の端末は白三角形で、また閉状態の端末は黒三角形で表す。また三方バルブは3つの流出入口を有し、上流端から下流端、上流端から分岐端、分岐端から下流端、全ての端末を閉じるという流路を選択することができれば、他の構成であってもよい。
【0023】
酸性溶液タンク14には、酸性溶液配管15aが連通されている。酸性溶液配管15aは三方バルブV32aと三方バルブV32bに挟まれた酸性溶液計量管32が連結されている。三方バルブV32bには、酸性溶液配管15bが連結されており、混合撹拌槽10に連通する。酸性溶液配管15aには、移送のためのポンプP15が配設される。
【0024】
三方バルブV30bと三方バルブV32bの分岐端にはそれぞれ配管30d、32dが連結され、廃液タンク26に連通する。
【0025】
洗浄液タンク16は、配管17によって、混合撹拌槽10と連通している。配管17には移送のためのポンプP17と三方バルブV17が配設されている。洗浄液タンク16と配管17とポンプP17で洗浄液供給手段が構成される。三方バルブV17の分岐端はバッファタンク12に連通している。
【0026】
また、同様に純水生成装置18は、配管19によって混合撹拌槽10に連通している。配管19には移送のための、ポンプP19と三方バルブV19が設けられる。純水生成装置18と配管19とポンプP19で純水供給手段が構成される。三方バルブV19の分岐端はバッファタンク12に連通している。
【0027】
混合撹拌槽10には、バッファタンク12が併設されている。混合撹拌槽10とバッファタンク12の間は配管11で連通されている。配管11には、バルブV11aとバルブV11bと、2つのバルブの間に移送のためのポンプP11が配設される。
【0028】
バッファタンク12には循環配管12cが配置される。循環配管12cには、バルブV12aとバルブV12bと、2つのバルブの間に、吸光度計20が設けられる。吸光度計20は、温度調節手段21が設けられている。また、既述したように、吸光度計20は制御装置40と電気的に接続されている。また制御装置40は表示装置44と電気的に接続している。なお、循環配管12cには流体を循環させるためのポンプP12cが配設されている。
【0029】
また、バッファタンク12は、洗浄液が通る配管17に設けられた三方バルブV17の分岐端、および純水が通る配管19に設けられた三方バルブV19の分岐端と連通している。さらに、バッファタンク12には排出口12exが設けられている。排出口12exには配管13が連結されており、廃液タンク26と連通している。なお、配管13にはバルブV13が配設されている。
【0030】
エア配管24には、図示しない空圧源から、エア若しくは窒素ガスが供給されている。エア配管24からは2つの配管48sと配管48aが分岐している。配管48sは、使用済剥離液が供給される配管46aの三方バルブV30aの分岐端に連通されている。また、配管48aは酸性溶液が流れる配管15aに接続されている三方バルブV32aの分岐端に連通されている。また、配管48sにはバルブV48sが配設され、配管48aにはバルブV48aが配設されている。
【0031】
使用済剥離液が流れる配管46aと、配管30dおよび酸性溶液が流れる配管15aと配管32dには、それぞれ光センサ34、36、35、37が配置されている。
【0032】
また、制御装置40は上記の全てのバルブの開閉および分岐制御と全てのポンプおよび撹拌手段の制御のために指示C*を出力することができる。指示C*は、「*」の部分にバルブ若しくはポンプの符号をつけることで、その部材の制御ができることを意味するものとする。また、吸光度計20の他に、4つの光センサからの信号も信号S*として受けることができるものとする。なお、制御装置40は内部のメモリ41に、検量線のテーブル若しくは換算式を有している。
【0033】
<各構成部材毎の説明>
混合撹拌槽10は、使用済剥離液と酸性溶液を混合し、生成物を析出させる容器である。使用済剥離液と酸性溶液が混合撹拌され、析出物が生じた溶液を混合撹拌溶液と呼ぶ。混合撹拌槽10は、耐腐食性を有する容器である。強酸の溶液が投入されるためである。また、混合撹拌槽10の底部には排出口10exが形成されている。測定若しくは混合が終了した混合撹拌溶液を排出するためである。排出口10exは配管9によって廃液タンク26と連通する。廃液は強酸性となるので、そのまま自然に放流できない。したがって、一度回収し、放流できるだけの処理を行うためである。
【0034】
酸性溶液タンク14には、酸性溶液が貯留されている。酸性溶液としては特に限定されるものではないが、使用済剥離液との反応性を短時間で終わらせるために、2価の酸を用いるのが望ましい。また、取扱いが容易であることを考えると、硫酸を用いるのが望ましい。酸性溶液配管15a、32、15bは、酸性溶液タンク14と混合撹拌槽10を連通する。酸性溶液配管15aと15bの間には、酸性溶液計量管32が、三方バルブV32aと三方バルブV32bを介して挿入されている。酸性溶液計量管32は、内径が正確に規定された配管で、三方バルブV32aと三方バルブ32bで挟まれた内部空間の体積を正確に決めることができる。
【0035】
三方バルブV32aの分岐端は、エア配管24からの配管48aと連通している。エア配管48aには、バルブV48aが配設されている。また、三方バルブV32bの分岐端は配管32dによって廃液タンク26に連通している。なお、酸性溶液配管15aにはポンプP15と光センサ35が配設されている。また、配管32dには光センサ37が配設されている。
【0036】
この酸性溶液タンク14からの配管構造の動作について説明する。まず、三方バルブV32aの上流端と下流端を連通させ、三方バルブV32bの上流端と分岐端を連通させる。そして、ポンプP15を稼働させる。酸性溶液は酸性溶液タンク14から三方バルブV32aを上流端から下流端に抜け、三方バルブV32bを上流端から分岐端側に流れる。酸性溶液がこの経路で流れたことは酸性溶液配管15aの光センサ35で確認でき、配管32dに入ったことは、光センサ37によって確認することができる。
【0037】
次に三方バルブV32bの分岐端を閉じる。これで酸性溶液配管15bにも配管32dにも酸性溶液は流れない。さらに、三方バルブV32aの上流端を閉じる。ポンプP15はこの段階で停止してよい。これで、酸性溶液計量管32中に酸性溶液が気泡なく取り込まれたことになる。
【0038】
次に、三方バルブV32aの分岐端と、三方バルブV32bの下流端を開き、バルブV48aを開く。すると、エア配管24からの圧縮エアが配管48aを通って、流れる。この圧縮エアは、酸性溶液計量管32中の酸性溶液を混合撹拌槽10に向けて押し出す。この一連のバルブ動作によって、酸性溶液は、所定量が計量され、混合撹拌槽10中に投入される。
【0039】
同じ配管構成が工場50から使用済剥離液が移送されてくる配管46aにも施されている。具体的には、配管46aと剥離液計量管30と配管46bによって、使用済剥離液が工場50から混合撹拌槽10に移送される。剥離液計量管30は、三方バルブV30aと三方バルブV30bによって、配管46aと配管46bに連通されている。剥離液計量管30も酸性溶液計量管32同様に、三方バルブV30aと三方バルブV30bの間で、内部の体積を正確に決めることができる。
【0040】
三方バルブV30aの分岐端は、エア配管24に連通した配管48sに連通している。配管48sにはバルブV48sが配設されている。また三方バルブV30bの分岐端には配管30dが連結され、廃液タンク26に連通している。
【0041】
配管46aには、ポンプP46と光センサ34が配設されている。また、配管30dには光センサ36が配設されている。このような配管構成は、酸性溶液の場合と同じように三方バルブおよびバルブを操作することで、剥離液計量管30に確保しただけの量の使用済剥離液を、混合撹拌槽10に投入することができる。
【0042】
簡単に説明すると、三方バルブV30aと三方バルブV30bのバルブを、使用済剥離液が配管46a、剥離液計量管30、配管30dと流れる開閉パターンにし、ポンプP46を駆動する。剥離液計量管30中の使用済剥離液が配管46bに流れるように三方バルブV30aと三方バルブV30bのバルブパターンを設定し、エア配管24のバルブV48sを開く。この操作によって、剥離液計量管30中の使用済剥離液は、混合撹拌槽10に押し出される。
【0043】
洗浄液タンク16に充填される洗浄液は、フォトレジスト剥離液の新液若しくは再生された新液を用いるのが望ましい。フォトレジスト成分を洗い落とすのは、フォトレジスト成分の含まれていない剥離液が好適であるからである。剥離液はアルカリ性を示すので、洗浄液タンク16は、耐アルカリ性の特徴を有するのが望ましい。
【0044】
純水生成装置18は、純水を得ることができる装置であれば、構成を限定するものではない。たとえば、通常の水を逆浸透膜などで不純物を除いたものでもよい。また、通常の水を蒸留することで得てもよい。また、純水は、剥離液の成分として使用できる程度の純水であれば足りる。
【0045】
吸光度計20は、分光光度計が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。光源は、赤外から紫外までの光を有する光源を利用する。循環配管12c中の分光光度計が配設されているバルブV12aとバルブV12bの間は、石英のセルになっている。光源と分光光度計は、石英セルを挟んで対向して配置される。
【0046】
光センサ34、35、36、37は、配管中に使用済剥離液若しくは酸性溶液が流れたことが分かればよい。例えば、LEDと光トランジスタの組み合わせの構造が例示できる。
【0047】
工場50は、特に限定されるものではないが、最も好適に利用できる態様の一例を示すと、循環配管52が設けられた剥離液槽51中に剥離液が貯留されており、ポンプP52によって、フィルタF52を通しながら、剥離液は循環される。循環配管52の一端にはノズル53が設けられており、シャワー状に剥離液が噴出される。剥離液が噴出している中をエッチングが終了した製品55が通過する。
【0048】
製品55上に残っていたフォトレジスト成分は、剥離液に洗い流され剥離液槽51に貯留する。この工程を見てわかるように、剥離液は何度も再利用されている。そして再利用されるうちに、フォトレジスト成分の濃度が上がってくる。従って、剥離液槽51に新液を満たした場合でなければ、循環配管52を通過する剥離液は使用済剥離液と考えてよい。
【0049】
本発明に係るフォトレジスト濃度測定装置1は、配管46aによって、工場設備から使用済剥離液をフォトレジスト濃度測定装置1に導入する。したがって、配管46a(若しくは配管46aと剥離液計量管30と配管46b)は、「使用済剥離液を他の設備から混合撹拌槽10まで移送する剥離液配管」と呼んでよい。
【0050】
なお、配管46aを有さず、使用済剥離液を手動で混合撹拌槽10に投入してもよい。フォトレジスト濃度測定装置1は、スタンドアロンでも使用することができるからである。
【0051】
<動作説明>
以下に本発明のフォトレジスト濃度測定装置1の動作を説明する。初期状態では、混合撹拌槽10およびバッファタンク12はともに空であるとする。また、バルブV30a、V30b、V32a、V32b、V48a、V48s、V17、V19、V13、V11a、V11b、V12a、V12bは全て閉じている状態とする。
【0052】
まず、
図2を参照して、三方バルブV30aの上流端と下流端を連通させ、三方バルブV30bの上流端と分岐端を連通させる。ポンプP46を稼働させ、工場50の設備から使用済剥離液を引き込む。この時配管46aから配管30d内へ使用済剥離液が流れた事は光センサ34および36からの信号S34、S36によって制御装置40に送られる。なお、液が流れた配管は太線で示した。
【0053】
図3を参照して、三方バルブV30aの上流端と三方バルブV30bの分岐端を閉じ、使用済剥離液を剥離液計量管30中に確保する。続いて、三方バルブV30aの分岐端と三方バルブV30bの下流端およびバルブV48sを開き、剥離液計量管30内の使用済剥離液Gを混合撹拌槽10中に投入する。
【0054】
次に同様の操作で記述したように、酸性溶液を酸性溶液計量管32中の酸性溶液Lを混合撹拌槽10中に投入する(
図4参照)。使用済剥離液と酸性溶液が投入された混合撹拌槽10で、マグネチックスターラー22aにより撹拌子22bを回転させ、使用済剥離液と酸性溶液を撹拌し反応を進める。この撹拌は所定時間行えばよい。使用済剥離液と酸性溶液が反応した溶液を混合撹拌溶液と呼ぶ。
【0055】
混合撹拌溶液は、少なくとも使用済剥離液:酸性溶液の比が1:19以上と酸性溶液がリッチになるように配合する。使用済剥離液中のフォトレジスト成分を全て析出させるためである。
【0056】
使用済剥離液と酸性溶液が十分に反応したら、バルブV11aとバルブV11bを開き、ポンプP11を稼働させて、混合撹拌槽10中の混合撹拌溶液をバッファタンク12中に移送させる(
図5参照)。バッファタンク12中の混合撹拌溶液は、ポンプP12cによって循環配管12c中を循環する。
【0057】
混合撹拌溶液がバッファタンク12中で循環されている間に、三方バルブV17の上流端と下流端を連通させ、ポンプP17を稼働させ、洗浄液を混合撹拌槽10中に所定量投入する(
図6参照)。撹拌子22bを回転させながら、混合撹拌槽10内を洗浄する。これは洗浄工程である。洗浄後の溶液は、排出口10exから配管9を通じて廃液タンク26に破棄される。この操作はバルブV9の上流端と下流端を連通させることで行われる(
図7参照)。
【0058】
また、洗浄工程は、純水による洗浄を加えてもよい。純水での洗浄は、三方バルブV19とポンプP19を操作することで、洗浄液の場合と同様に行うことができる。なお、洗浄工程は、洗浄液と純水のどちらか一方だけでおこなってもよく、また両方使用する場合は、どちらを先に行ってもよい。
【0059】
混合撹拌槽10の洗浄工程が終了したら、再び、使用済剥離液と酸性溶液を混合撹拌槽10中に投入する。
【0060】
さて、バッファタンク12中では、混合撹拌溶液の循環処理が継続されているが、所定時間経過後に、バルブV12aとバルブV12bを閉じる。両バルブを閉じてから所定時間保持していてもよい。両バルブ間には、温度調節手段21が設けられている。したがって、所定時間保持することで、吸光度を測定する混合撹拌溶液の温度を所定の温度とすることができる。この時に好ましい温度は20℃から40℃の間で、より好ましくは25℃から35℃の間である。
【0061】
そして、吸光度計20で混合撹拌溶液の吸光度を測定する(
図7参照)。測定した値は、吸光度信号S20として制御装置40に送られる。制御装置40は、メモリ41中の検量線に基づいて、フォトレジスト成分の濃度を算出し、表示装置44に表示する。
【0062】
吸光度の測定が終了したら、バッファタンク12中の混合撹拌溶液は配管13を介して廃液タンク26に破棄される。これには、バルブV13を開けばよい。混合撹拌溶液を廃棄したら、三方バルブV17および三方バルブV19の上流端と分岐端を連通させ、洗浄液若しくは純水をバッファタンク12中に導入する。ポンプP12cを駆動させて、溶液をバッファタンク12および循環配管12c中を循環させて洗浄する。洗浄工程には、バッファタンク12の洗浄工程を含めてもよい。
【0063】
バッファタンク12を用いて吸光度を測定し、バッファタンク12内を洗浄している間に、上述したように、混合撹拌槽10内は洗浄され、次の使用済剥離液と酸性溶液が投入され、撹拌されている。したがって、バッファタンク12の洗浄が終了したら、直ちに、次の混合撹拌溶液をバッファタンク12内に導入することができる。このようにバッファタンク12を併設することで、測定のスループットを上げることができる。
【0064】
(実施形態2)
図1乃至7では、吸光度計20は、バッファタンク12に配置したが、混合撹拌槽10に配置してもよい。本実施形態に係るフォトレジスト濃度測定装置2の構成を
図8に示す。
図8では、循環配管12cの一端を混合撹拌槽10の下方に取り付け、循環配管12cの他端を混合撹拌槽10の上方に連通させる。循環配管12c中の吸光度計20はそのまま循環配管12cの一部として混合撹拌槽10に設置される。
【0065】
この場合、バルブV17およびバルブV19は、三方バルブでなくてよい。洗浄液および純水を供給するバッファタンク12がないからである。また、排水用の配管13およびバルブV13、混合撹拌槽10からバッファタンク12への移送用の配管11とバルブV11a、V11bも不要である。
【0066】
図8に示したフォトレジスト濃度測定装置2の動作は実施形態1で示したフォトレジスト濃度測定装置2と、ほぼ同じ動作を行う。ただし、バッファタンク12に混合撹拌溶液を移送して吸光度を測定するのではなく、混合撹拌槽10内で混合撹拌溶液を得たら、循環配管12cおよび吸光度計20を用いて吸光度を測定する。
【実施例】
【0067】
<吸光度の経時変化>
剥離液として、モノエタノールアミンを19質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを60質量%、水を21質量%の配合で混合したものを用意した。
【0068】
フォトレジスト粉末は、ノボラック樹脂を用いたポジ型レジストを乾燥させ、粉末にしたものを用意した。なお、フォトレジスト粉末は粉末にする前に、所定の波長の光で感光処理を行なった。
【0069】
剥離液中にフォトレジスト粉末を混入させ、それぞれ濃度違いのサンプルを作成し、吸光度を測定した。濃度違いのサンプルは使用されたレジスト剥離液を模倣するものである。吸光度は650nmと550nmの2つの波長を測定した。
図9にその結果を表す。
図9を参照して、横軸はフォトレジスト濃度(ppm)で、縦軸は吸光度(無単位)である。650nmの波長では、フォトレジスト濃度と吸光度は直線的な関係であった。一方、550nmの波長では、フォトレジスト濃度が2000ppmまでは直線的な関係があったが、それ以上の濃度では飽和した。
【0070】
一方、同じサンプルを密閉し、常温常湿環境中で1週間放置した後に吸光度を測定した結果を
図10に示す。縦軸および横軸は
図9と同じである。650nmにおける吸光度も550nmにおける吸光度も
図9の場合と比較して低下しているのがわかる。より具体的には、650nmでの吸光度で、フォトレジスト濃度が2000ppmの点を見ると、
図9では、吸光度が1.25程度あるのに対して、1週間放置したサンプルでは
図10に示すように0.6程度に低下していた。なお、それぞれの点はグラフ中に矢印で示した。このように、フォトレジスト成分を含有する使用済剥離液の吸光度は、経時変化する。したがって、直接使用済剥離液の吸光度を測定しても、フォトレジスト濃度を測定できているとは限らない。
【0071】
<混合撹拌溶液の吸光度>
次にフォトレジスト成分を含有する使用済剥離液に酸性溶液を加えた場合の吸光度について調べた。剥離液は、<吸光度の経時変化>で用いた剥離液であり、フォトレジスト粉末も<吸光度の経時変化>で用いたものと同様のものを用いた。剥離液中にフォトレジスト粉末を溶解させ、異なるフォトレジスト濃度の使用済剥離液を作製した。それぞれの使用済剥離液から適量をサンプリングし、サンプリングされた使用済剥離液と1Mの硫酸を1:20の割合で混合し、15分静置した後に、波長500nmの吸光度を測定した。
【0072】
図11のラインA(実線)にその結果を示す。横軸はフォトレジスト濃度(ppm)であり、縦軸は規格化した吸光度(無単位)である。規格化した吸光度も吸光度と呼んでもよい。フォトレジスト濃度と吸光度は直線関係を示した。次に密閉容器に入れ、常温常湿の環境下で1週間保存した使用済剥離液の吸光度を測定した。その結果を
図11のラインB(点線)に示す。ラインAとラインBはほぼ一致した。すなわち、酸性溶液と反応させた使用済剥離液の吸光度は、フォトレジスト濃度に比例し、経時的にほとんど変化しないことが分かった。このラインA若しくはラインBを検量線テーブルとして制御装置40のメモリ41に記憶させることで、測定した吸光度からフォトレジスト濃度を求めることができる。