(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バルブは、バルブシートと、該バルブを通って前記カテーテル内部通路に連絡するバルブ通路と、前記バルブシートに位置するときに前記バルブ通路を閉じる可動バルブ要素と、を有している、
ことを特徴とする請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
前記可動バルブ要素が磁石を有し、前記バルブシートが磁性材料を有し、前記磁石及び前記磁性材料が、前記可動バルブ要素を引き付けて前記バルブシートへと付勢することで前記バルブ通路を閉じ、外部磁場に応答して前記可動バルブ要素を前記バルブシートから移動させて前記バルブ通路を開くように協働する、
ことを特徴とする請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
前記ツール/カテーテル固定要素は、前記ツール近位部分へと取り付けられて前記カテーテル末端部分へと伸張する先端部材と、前記先端部材に近接して前記カテーテル末端部分に配置されたリングとを有し、
前記先端部材及び前記リングが、前記ツール近位部分と前記カテーテル末端部分とを着脱可能に結合させるべく着脱可能に係合する、
ことを特徴とする請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
前記カテーテルは、外部表面と、管腔における前記カテーテルの移動を防ぎ、すなわち管腔における望ましくない軸方向の動きに対して該カテーテルを固定するための少なくとも1つの構造体と、を更に有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことに、尿道内装置の差し込み及び除去は複合的な操作であるので、尿道における装置の適切な配置を迅速に行うことは困難である。迅速な作業は、装置の誤留置又は人工器官を交換するための付加的な処置が原因となって、患者に合併症が生じてしまうのを避けるためにも望ましい。さらに、カテーテルは柔軟性を有しているので押し込むときに曲がってしまう場合もある。
【0005】
したがって、従来技術においては、カテーテル及び/又はステントを患者の尿道内部に容易に挿入させるための改良されたカテーテル、そしてそのシステム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明は挿入ツールを用いてカテーテルを差し込むための改良システム及び方法に関係しており、その挿入ツールは、押す力、引く力及びトルクがカテーテルの管腔又は通路内部へとツールから伝達されることを可能とする、及び、管状キャビティ又は中空組織にカテーテルを容易に位置決め及び配置できるように、したがってカテーテルが容易に差し込まれることが可能なように、押す力、引く力及びトルクがカテーテルの近位部分に末端部分からカテーテルの壁部を通して伝達されることを可能とする。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、カテーテルを挿入するためのシステム(“システム”)に向けられている。そのシステムは、カテーテル、ツール及び機構を有する。カテーテルは近位部分と末端部分を有している。また、カテーテルは、内部管腔又は通路の中に配置されたバルブを有している。ツールは、先端部材と、先端部材を通して伸張する伸張要素と、バルブと、カテーテルの近位部分に続く内部通路とを有している。要素は、ワイヤ、チューブ、チューブに内包されたワイヤ、又は他の適切な構造体であってよく、トルク及び軸方向の力(押す力及び引く力)を伝達することが可能な断面をしている。その要素は、カテーテルの一部に開放可能に設置されている。先端部材は、要素が先端部材及び内部通路を通過してカテーテルの近位部分の方に伸張することができるように、ツールをカテーテルに結合している。
【0008】
機構は、要素に伸張力及び戻り力をかけるためにツールに対して設置されており、軸方向の力をかけることが可能な従来技術において知られている機構であってよい。そのような既存の機構は、以下に限定されることはないが、例えば、押しボタン、カム、互いに固定しかつねじられるときに前進又は後退するねじ接続装置、回転連結部材、スプリング負荷ピン、ギア付き装置、スライド部、ラッチ、及びモータを有している。
【0009】
本発明の別の実施形態は、以下のようなカテーテルを挿入するためのシステムに向けられている。そのカテーテルは、近位部分、末端部分、内部通路又は管腔、通路の内部に配置されたバルブ、及びツールを有している。そのツールは、ツール先端部、内部通路を有する伸張要素、及びその内部通路の中に滑動可能に配置されかつ伸張要素の近位部分と末端部分を越えて伸張する固定フィラメントを有している。別様態では、そのフィラメントは伸張要素の近位及び末端部分を越えなくてもよい。固定フィラメントは、適切な材料から作られた、細い糸、繊維又はワイヤ、単一のよりひも、複数のよりひも、又は紡ぎ糸であってよい。カテーテルは近位部分にソケット先端部を有しており、そこにおいて、伸張要素をソケット先端部に開放可能に固定するために、伸張要素及び固定フィラメントを受け入れることが可能となっている。伸張要素をソケット先端部に固定することによって、伸張要素は、カテーテルの近位端部に、押す力、引く力及びトルクを加えることができる。ツール先端部は、ツール先端部及びバルブにおいて並んでいる穴を伸張要素が通過し、バルブにツール先端部を固定することができるようにされている。よって、バルブに固定されたツール先端部は、カテーテルの末端部分に、押す力、引く力、及びトルクを与えることが可能である。
【0010】
本発明のまた別の実施形態では、伸張要素に一定の近位に向いた力を加えることによって意図的に除去されるまで、カテーテルのソケットに伸張要素を留まらせることを確実にしている。これは、ツールがカテーテルと結合されるとき、伸張要素を近位方向に移動させる機構に、例えば、伸張スプリングといったバイアス装置を配置することによって達成される。そのバイアス装置は、カテーテルを張力がかけられた状態にする。カテーテルの伸びはこのバイアス装置によって相殺されるであろう。これによって、ソケットに配置された伸張要素がそのまま維持される。
【0011】
本発明のまた別の実施形態では、ツール先端部にある少なくとも2つの並列した穴と、ツール先端部にあるその穴に並べて配置された、カテーテルにある少なくとも1つの穴とに、伸張要素を通過させることによって、カテーテルにツール先端部を固定している。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は、機構が要素を伸張させているとき、その要素は力がかけられた状態となり、及びカテーテルも力がかけられた状態となるシステムに関する。その要素は、直面した軸方向の引っ張り及び圧縮とその結果生じる力に対して、破壊や歪みを引き起こすことなく耐えるのに適した材料及び断面から構成されている。
【0013】
また、さらに別の実施形態は、機構が要素を引き戻すとき、その要素は弛緩した状態にあることを特徴とするシステムである。
【0014】
また、さらに別の実施形態は、ツールが、カテーテルの近位部分及び末端部分にねじり力をかけることによってカテーテルを回転させることが可能なように構成されていることを特徴とするシステムである。
【0015】
また、さらに別の実施形態は、ツールが、カテーテルの近位部分及び末端部分に押す力をかけることが可能なように構成されていることを特徴とするシステムである。
【0016】
また、さらに別の実施形態は、ツールが、カテーテルの末端部分にねじり力をかけることによってカテーテルに押す力を加えることが可能なように構成されていることを特徴とするシステムである。
【0017】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルの末端部分に伸張要素を確実かつ開放可能に固定し、よってカテーテルの末端部分に引く力をかけることが可能な固定機構を、ツールが有していることを特徴とするシステムである。
【0018】
また、さらに別の実施形態は、バルブが外部磁場に応答して操作可能であることを特徴とするシステムである。
【0019】
また、さらに別の実施形態は、前記バルブが、ハウジングと、該ハウジングに密封的に設置されかつ開口部を有しているバルブシート組立品を有することを特徴とするシステムである。そのバルブも、ハウジングの内部に全方位に移動可能に配された球体電磁バルブ要素と、流体が入るための入り口端部と、流体が出るための出口端部とを有している。その出口端部は、ツールの先端部材のための開口部を有している。
【0020】
また、さらに別の実施形態は、要素が近位部分を有しており、その部分がカテーテルの近位部分と開放可能に係合することが可能なように構成されていることを特徴とするシステムである。
【0021】
また、さらに別の実施形態は、伸張要素の近位端部とカテーテルの近位端部の係合を維持するために、カテーテルの近くに伸張要素を移動させるためのバイアス力を機構が維持していることを特徴とするシステムである。
【0022】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルの中を伸張している力を加えることのない第1の位置とカテーテルに力を加えるための第2の位置との間で前記要素を移動させるための手段をツールがさらに有していることを特徴とするシステムである。
【0023】
また、さらに別の実施形態は、第1の位置及び第2の位置の少なくともいずれかに要素を開放可能に固定するための手段をツールがさらに有していることを特徴とするシステムである。
【0024】
また、さらに別の実施形態は、挿入の間にカテーテルを通して、ツールが押す力、引く力、又はトルクのうち1つ以上を加える及び伝達することができることを特徴とするシステムである。
【0025】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルの近位部分にかけられるねじり力が、カテーテルの末端部分にかけられるねじり力と同時に加えられ、及びそれらの力は実質的に同じ大きさ及び方向であることを特徴とするシステムである。
【0026】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルの近位部分にかけられる押す力が、カテーテルの末端部分にかけられる押す力と同時に加えられ、及びそれらの力は実質的に同じ大きさ及び方向であることを特徴とするシステムである。
【0027】
また、さらに別の実施形態は、伸張要素が開けた場所にバルブを保持していることを特徴とするシステムである。
【0028】
また、さらに別の実施形態は、バルブに第1の開口部と、バルブにある該第1の開口部と並ぶようにツール先端部に配置されている、ツール先端部の第1の開口部と、を有することを特徴とするシステムである。また、バルブにある第1の開口部と並んでいる、ツール先端部の第2の開口部と、ツール先端部にある第1の開口部からバルブにある第1の開口部の中へと及びツール先端部にある第2の開口部の中へと進むことでツール先端部とバルブを1つに固定することができる伸張要素と、を有していてもよい。
【0029】
また、さらに別の実施形態は、伸張要素が、約0.01インチから0.20インチの間の外直径を有することを特徴とするシステムである。
【0030】
また、さらに別の実施形態は、固定フィラメントが、約0.002インチから0.020インチの間の外直径を有することを特徴とするシステムである。
【0031】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルと共に挿入され、カテーテルの一部を取り巻くシールを形成するために拡張する拡張部材をさらに有することを特徴とするシステムである。
【0032】
また、さらに別の実施形態は、カテーテルの近位部分が第1のデュロメータを有する材料から製造され、カテーテルの末端部分が第2のデュロメータを有する材料から製造され、そして第1のデュロメータは第2のデュロメータよりも低いことを特徴とするシステムである。
【0033】
本発明の諸実施形態は、添付の図面とともに下記の記載を読むことによってより明瞭となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これより、「管腔(lumen)」という用語は管状キャビティ又は組織の内部開放空間のことを意味し、本明細書においては「通路(channel)」と同じ意味で使用されることを注意する。また、「バルブ(valve)」という用語は、カテーテル内部に適切に配置されることが可能な、電磁操作バルブ、他の遠隔操作バルブ又は手動操作バルブのことを意味していることを注意する。また、“マレコット(malecot)”という用語で参照されている固定装置は、ピグテール(pigtail)型、バルーン(balloons)型、スパイン(spines)型、アンブレラ(umbrellas)型、又は中空組織に配置されるカテーテルを固定するための既存の装置などの他の構成を含んでいることを注意する。説明のみを目的として、カテーテルは、本発明における多くの潜在的応用例の1つではあるが、尿道カテーテルに関するものとして明細書において記載されている。当業者は、カテーテルが有益に使用され得る他の応用例においても、本発明のカテーテルが使用されることが可能であることを認識するであろう。
【0036】
一般的に、本発明は、基本的に円筒形状をした体部と、近位部分(proximal portion)と、末端部分(distal portion)と、近位部分と末端部分の間にある少なくとも1つの内部通路と、を有するカテーテルに関する。例えば、電磁バルブが使用されるとき、それはカテーテルに配置されてよく、そして外部電磁場に反応して操作可能になっている。ツール(tool)は、カテーテルの端部にある開口部に向かって伸びて、バルブの端部と係合することが可能な先端部材を有している。別法では、その先端部材は平坦であり、カテーテルの端部内部まで伸びておらずともよく、その延伸可能な要素はカテーテルの近位部分を直接ロックすることができる。
【0037】
バルブの端部と係合されるとき、前記ツール先端部材はバルブとカテーテルを組み合わされる。別の実施形態では、その先端部材はカテーテルと直接に組み合わされることが可能である。1つの要素がそのツールから伸張し、ツール先端、バルブを通って、カテーテルの近位部分と末端部分の間に沿って、カテーテルの近位部分まで及んでいる。その要素を取り出すことによって、前記ツールは、管状キャビティ又は中空組織におけるカテーテルの差し込みを容易にするために、その長さに沿ってカテーテルが固くなるようにカテーテルに力を加えることが可能である。
【0038】
力をかけられたカテーテルを通過して伸張している前記要素は、押す力、引く力及びトルクが、ツール先端部材を通してカテーテルの近位部分に送られて、カテーテル壁部を通して近位部分へと伝達される間、少なくとも押す力及びトルクは、カテーテルを通したツールから、伸張要素を通して、カテーテルの近位部分まで伝達されることを可能とするので、これによって差し込みは容易となる。また、その要素は、差し込みを容易にするためにカテーテルに固く付けられている。選択的に、近位カテーテル端部は、差し込みを容易にすることを目的としている選択的ガイドワイヤ又はフィラメントが通るための通路をさらに有してもよい。バルブは円筒形のハウジングを有していてよく、バルブシートは開口部を有する前記ハウジングにシールによって組み立てられている。ハウジングの一端にある入り口はそこから流体が入ることを可能とし、ハウジングの出口端部は流体の出口を提供しており、そして該出口はハウジングのキャビティの内部にツール先端部材を受け入れるための開口部を有している。入り口端部及び出口端部は要素のための通路を提供するための開口部を有しており、それら端部の間には、ツール先端がバルブハウジングのキャビティに配置されるときに、バルブシート開口部及びツール先端部材を通過して伸張可能な要素が存在している。そのバルブの機能は下記にて説明する。
【0039】
カテーテルの近位端部は輪のケージ(これより、マレコットと呼ぶ)を有している。そして、それは、マレコットの末端端部において、カテーテルの末端端部へと伸張している柔軟性カテーテルの管腔に対する開口部を有し、マレコットの近位端部においては、バルブや管腔といったものを通過した要素の端部と係合するためのソケットを備えた先端部を有している。マレコットの輪は、マレコットの末端部分において円筒形の体部に結合された、複数の真っ直ぐ又は曲がったセグメントからなっていてよい。マレコットの末端端部では、そのセグメントは、概して円筒形又は円錐形の構造を形成するように結合される。カテーテルの近位端部と末端端部の間では、マレコットのセグメントが、カテーテルの円筒形状を越えて伸張するカテーテルを備えた同心構造を自然に形成する。また、カテーテルの近位端部は、例えば、ピグテール、バルーン、スパイン又はアンブレラ又は他の適切な形状をしていてもよい。
【0040】
カテーテルの近位
部分には、周辺組織に対して密閉するように隣接しているシーリング開口部が設けられていてもよい。そのシーリング開口部は、外側に対応した密封要素か、外側周囲を囲む軸側に対応した密封要素のどちらか又はその両方であってもよい。密封要素は、膀胱などの中空の臓器から出た全ての流体がカテーテルの管腔に向けて確実に流れるようにする。カテーテルがバルブなどによって密封されることで、失禁などの状態の原因となる膀胱からの尿漏れを減少させることができる。
【0041】
カテーテルの末端部分がツール先端部と組み合わされ、かつ伸張要素がマレコットの近位端部と係合されているとき、近位方向における伸張要素の軸方向変化は、カテーテルとマレコットに力を加えるであろう、すなわち、それらに張力を加えるのである。十分な張力はカテーテルとマレコットを引き延ばすであろう、すなわち、両者を変形させる。例えば、カテーテルの円筒形状体部部分に軸方向に加え
られた引張応力によって、カテーテルは加えられた力に比例して引き延ばされるであろう。また、フックの法則を適用することによって、同じ軸方向の力のもと、直径方向への力が減少することによって、半径方向に変形することは、当業者もわかるであろう。同様に、マレコットも軸方向の力のもとで変形する。マレコットの輪は伸びて内側に曲がり、そのとき、マレコットの直径はカテーテルの体部と同じ直径になる。さらに、マレコットに加えられた軸方向の力によって、マレコットは伸びて及び直径方向に減少するだろう。
【0042】
幾つかの応用例において、軸方向に負荷がかけられたカテーテルの歪みは望ましくないものであり、その一方で、例えばカテーテルを受け入れる構造に対する外傷を減少させるためにはマレコットの直径が伸張及び減少することは望ましい。他の応用では、カテーテルが変形することが望ましいのであるが、マレコットはその本来の形状を保つ。したがって、マレコットは、カテーテル体部の弾性特性とは異なる弾性特性を有する弾性材料から作られてよい。例えば、カテーテル体部の形状にほとんど影響を与えずにマレコットを変形させるために、マレコットは、カテーテルよりも低い力のもとで変形する弾性材料から作られていてもよい。当業者ならば、弾性材料を変形させることが困難である場合よりも、より低いデュロメータ、又はより大きなポワソン比を有するような、より容易に変形する弾性材料を知っているだろう。通常、マレコットがその本来の形状を保持したままカテーテルが軸方向の力によって変形することが望ましい場合、そのカテーテルはマレコットよりも低いデュロメータ材料から製造されてよい。それらの状況において、マレコット及びカテーテルは、加えられた力を除去することで本来の形状に復帰することが望ましい。
【0043】
電磁的に操作されるバルブは当業分野においては存在しており、例えば、特許文献1などが存在する。この文献はここにおいて本発明に組み込まれる。特許文献1では、本発明のバルブが、近位端部及び末端端部を備えた円筒形ハウジングと、そのハウジングの末端端部に密閉するように取り付けられた材料のバルブシートと、ハウジング及びハウジングの近位端部にある保持装置の内部に包含されている電磁バルブ要素と、からなっている。その材料は、例えば、ステンレス鋼又は望ましい特性を有している他の適切な材料である。バルブは、通常、バルブ要素と球形のバルブ要素の間において磁力によって閉じられている。外的な磁力が導入されることで、その球体の要素はバルブシートから動かされ、バルブを開く。バルブ構成要素の表面は、バルブの機能を向上させるための様々な方法にしたがって、部分的又は完全に処理又はコーティングされてよい。コーティング及び表面処理は、例えば、密閉特性、流体特性、又はバルブ構成要素の適合性を改善するであろう。
【0044】
本発明の実施形態の1つは、円筒形ハウジングの中心線とほとんど変わらない線と平行な、バルブシート開口部の中心線を有している。中心線を移すことによって、球形のバルブ要素は、バルブにおけるバルブシートに伸張要素を通過させることによって、バルブを閉じることが抑えられてよい。ガイド穴は、球形のバルブ要素に対する妨害を防いでいるバルブ中心線と平行である適切な配列をした伸張要素を保持している。幾つかの例では、カテーテルの挿入の間、例えば、流れの始まりがカテーテルの適切な配置を指示するために使用されてもよい状況においては、開放位置にバルブを維持することが望ましい。
【0045】
さらに、ハウジングの末端端部は、C型リングの末端部を備えたキャビティを形成するために拡張される。キャビティ及びC型リングは、ツール先端部材とC型リングの両方にある穴に要素を通過させることによってバルブに固定される挿入ツールの先端部材を受け入れる。したがって、本発明のバルブは、少なくともバルブを通してカテーテルに押す力、引く力、及びトルクを付与するために、ツールと共に操作するために構成される。別の実施形態では、押す力、引く力、及びトルクが直接カテーテルに付与されるように、そのツールがカテーテルと直接組み合わされている。
【0046】
カテーテルに固定されるとき、カテーテルの近位部分においてカテーテルと係合している伸張要素を保持している一方、カテーテル及びその要素のそれぞれにおいて力が加えられた状態と力が加えておられず緩んだ状態とを提供するために、伸張要素は伸縮自在となっている。そのような状態の間において要素を移動させるためにツールには引張機構が設けられており、その機構は力が加えられている及び力が加えられていない状態のそれぞれにおいて要素を開放可能なように固定することができる。プレ引張手段(pretension means)は、バルブの付いたカテーテルを上手く差し込む上で伸張要素及び挿入ツールが除去されることを可能とするように除去される引張機構に設けられていてよい。力が加えられた状態において、挿入ツールは、押す力、引く力及びトルクをカテーテルの末端端部を通じてカテーテルの近位端部へと伝える。少なくとも、押す力とトルクはその近位端部に伝えられる。
【0047】
プレ引張手段は、伸張要素の近位先端と係合するのに十分な距離だけ伸張要素を近くに前進させ、付加的な距離だけ伸張要素を前進させることによって予め決められた量だけカテーテルに力を加える。プレ引張は、ツールがカテーテルと組み合わせるたびに、プレ引張手段を駆動させることによって得られる。他の実施形態では、プレ引張は、ツールの内部にあるプレ引張手段によってツールがカテーテルと組み合わされるときに得られる。
【0048】
緩んだ状態、つまりカテーテルに固定されているツールが長期保存を意図されている場合、要素はカテーテルの先端ソケットにおいて小さな力で保持されてよい。引張機構のアクチュエータが作動するとき、マレコット又は他の固定手段の幅が挿入を容易にするために狭くなるようカテーテル先端に負荷的な力を加えるために、その要素は力が加わった状態になるように前進する。その要素は、カテーテルの導入及び制御を容易にするために、カテーテルに適切な屈曲剛性を加えるように選択される。引張機構は、力が強く加えられる位置に要素を固定する装置を有している。カテーテルの近位端部、例えばマレコットが膀胱などに上手に配置されることをカテーテルを差し込む医師が望むとき、その装置を作動させることで、カテーテルの近位マレコットがツールと外れることがないように係合するように(それらの力を加えられている内側又は狭い位置から外側へとマレコットの輪を伸張させる)、加えられる力が小さい状態へとツールが開放される。それから、医師は、例えば尿道カテーテルの場合、拡張したマレコットが膀胱の首部に作用する場所であるか触って確認するためのツールを慎重に引き戻す。場所の確認において、医師は、要素の抜き出しが可能である伸張要素のための固定装置を外して除去してもよい。要素を除去することによってバルブからツールの先端部材が外れ、カテーテルから挿入ツールが抜き出され、カテーテル及びバルブが差し込まれたままとなる。装置を固定する伸張要素の機能は、要素がカテーテルの近位先端との係合から外れないように要素に最小の力を加え続けることと、カテーテルと挿入ツールの係合が時期尚早に外れるのを防ぐことにある。カテーテル先端から伸張要素があまりにも早く外れてしまうと、カテーテルを受け入れている構造体に穴があく原因となる。尿道カテーテルの例で言えば、尿道又は膀胱に穴があくのである。また、カテーテルと挿入ツールの早すぎる分離は差し込み失敗の原因にもなる。
【0049】
カテーテルの近位端部及び末端端部の両方をツールに結合することによって、使用者は、大きさとカテーテルの両端部の方向とが基本的に等しい押す力、引く力及びトルクを付与することができ、これによって挿入が補助される。他の実施形態では、伸張部材の近位先端が、前述した早期の外れを防止するために、スプリングといったバイアス手段を通してソケットの方に向かって代替的に付勢されている。
【0050】
本発明の設計における挿入ツールがカテーテルよりも小さい直径でカテーテルと同心の構造をしており、かつ伸張要素がバルブを通過してカテーテルの管腔から近位部分まで進むように、挿入ツールは差し込みの間においてカテーテルの体積を増加させることはない。よって、現在行われているように拡張マレコットを備えたバルブ付きカテーテルを押し込むやり方に比べて、本発明のカテーテルの挿入は周辺組織に外傷を与えにくい。また、そのカテーテルは、押しワイヤ(pushing wire)がカテーテルの近位端部に向かって拡張している前記カテーテル及びバルブの外観をしている場合と比べて、体積も剛性も小さい。
【0051】
ツールがカテーテルと組み合わされるとき、そのツールは、ツールからカテーテルを通って近位端部まで、押す力、引く力及びトルクのうちの1つ以上を伝達することができる。これによって、例えば尿道カテーテルの場合では、尿道に過度の力を加えることなくカテーテルを差し込み、そして適切に配置することが容易となるのであり、その際、そのツールは、そういった配置を容易にするために、自らの長さに沿って他の柔軟性カテーテルを硬化させるのである。配置の後、そのツールはカテーテル、例えば尿道カテーテルの除去の前にその近位部分を入れることができるようにカテーテルをゆるめる。その近位部分は、カテーテル及び尿道からツールを除去する前に膀胱内に入れられている。一度尿道内部に挿入されたカテーテルのバルブによって、バルブの活動に対応して流体の流出が制御される。
【0052】
図1及び2を参照すると、バルブ付きのカテーテル1は挿入ツール8に結合されている。バルブ付きのカテーテル1は、電磁近位バルブ5を保持する隆起部4を備えた末端端部1a及びマレコットの一端に隣接するカテーテルの近位先端部27上にマレコット3及びソケット7を有する近位端部1bを有する柔軟性カテーテル体部2と、バルブ5から伸張しているカテーテル内部壁及びマレコットを形成している輪の間のマレコット3の末端端部1cにあるギャップまで続く開口部によって規定されている管腔17と、中間隆起部6と、からなっている。挿入ツール8は、管腔17及びバルブ5を通ってカテーテル1の中を伸張している。これは、ソケット7、カテーテル1にツール8を結合させる先端部材10、及び引張機構8aと係合するために伸張している。この係合は、要素を前進及び後退させるために、及び、カテーテル1を力が加わった状態と弛緩した状態のそれぞれの状態にするために前記の前進した又は後退した状態の少なくとも一方の位置において要素を開放可能に固定するためになされる。前述の引張機構は、カテーテル区間11と、ラッチ体部12と、プランジャー13と、プレ引張手段14と、内部ラッチ15と、押しボタン16と、さらにバイアス装置62(
図14)を有しており、これについては後に詳述する。
【0053】
カテーテル1は、既存の製造方法を用いて、柔軟性と弾力性と好ましくは生体適合性とを有する材料から作られる。
図2に示されているような、力が加えられていない状態において、マレコット3は広がっており、これは適切なサイズの中空組織に配置される場合に到達するであろう形態である。この広がった形態によって、マレコット3の直径は、カテーテル体部2の直径よりもかなり大きくなる。
【0054】
挿入ツール8は少なくとも2つの安定した状態を有しており、それは、閉じられた状態(マレコット3に力がかけられている)と閉じられていない状態(マレコット3に力がかけられていない)とである。
図1ではカテーテル1には力がかけられおり、
図2ではかけられていない。図では真っ直ぐに描かれているのではあるが、カテーテル体部2は、例えば押し出し形成された熱可塑性材料又は他の柔軟な重合体材料といった、柔軟な生体適合性材料からなっており、例えば尿道にカテーテルを差し込む間に必要とされる伸張要素9に沿って曲げられることが可能である。挿入ツール8及びカテーテル1はそれぞれ、
図3と
図4に個別の構成が示されている。伸張要素9や先端部材10といったツール8の構成要素は、チタン、ステンレス鋼、プラスチック又は他の適切な材料から作られてよい。
【0055】
図5、5A、5B、5C及び10を参照すると、伸張要素9が、バルブに係合された先端部材10にある穴18aを通り、続けてバルブ5にあるC型リング19のガイド穴19aを通過している。それから続けて、伸張要素9は先端部材にC型リング19を固定するツール先端部材10にある穴18b(
図10)を通過する。先端部材10を通過したツールは、このようにしてカテーテルと係合することで固定され、C型リング19及び管腔17の壁部を通して近位部分に送られる、押す力、引く力及びトルクをバルブ付きカテーテル1に与えることが可能となる。伸張要素9は、バルブの強磁性体リング20と、スペーサリング21と、バルブシート22と、開口部31と、バルブハウジング23の近位端部とを続けて通過する。1つの実施形態において、バルブハウジング23の近位端部は、近位ガイド穴24(
図5A)を有している。別の実施形態におけるバルブ5の近位端部が
図5Bにて示されており、ここでは伸張要素9がスロット48を通過している。バルブ5の中を通過することによって、伸張要素9は、バルブが開放された状態で保持され及び差し込みの間に液体が通過することを可能とするように、シート22から球体の電磁バルブ要素25を動かす。身体構造学的湾曲及び挿入力にしたがって生じるカテーテルの屈曲とは関係なく、差し込みの間において、ガイド穴19aはバルブハウジング23の中心線に対してほぼ真っ直ぐかつ平行に伸張要素9を位置決めしている。伸張要素9がバルブ5を通過するように伸張要素の一部区間を真っ直ぐに保持することによって、伸張要素9とハウジング23の間の摩擦は、差し込みの後における伸張要素の取り出しの間で最小化される。また、伸張要素9の一部区間をハウジング23の中心線に対して真っ直ぐかつ平行に保持することによって、伸張要素9の取り出しを妨害するであろう、バルブ要素25に対する伸張要素9の引っかかりを防ぐこともできる。伸張要素9は、カテーテル2の管腔17の内部を続けて通過し、カテーテルの近位先端部のソケット7と係合する。バルブシート開口部31をバルブの中心線から動かすと、バルブ5を通る伸張要素9の通路において他の付加的な流体密封要素を用いる必要が無くなり、及び、ハウジングの直径に対する開口部の直径の比が可能な限り大きくすることができ、これによって、可能な限り低い労力でバルブを製造することができる。バルブハウジング23、バルブシート22、C型リング19及びスペーサ21は、非磁性の生体適合性材料から作られ、そしてバルブ5の密封性能又は流体流特性を向上させるために少なくとも一部分がコーティングされていてもよい。
【0056】
図8及び9に示されている1つ実施形態では、ソケット7が、伸張要素9のほぼ四角形の先端部26の近位端部を受け入れるための四角形のスロット45を有している。ほぼ四角形の先端部26は、接続スロット45とぴったり合うサイズで、平らに加工されている。したがって、先端部26は、カテーテルの近位端部1bに対して、ソケット7を通じてトルク及び押す力を与えることができる。カテーテルの近位端部1b(
図2)における引く力は、挿入ツールの先端部材10を通して与えられ、そしてバルブ5及びカテーテル体部2を通じて伝達される。1つの実施形態において、例えばバネといったバイアス装置62(
図14)が、伸張要素9の近位先端26がソケット7に確実に係合されたままにするために、伸張要素に少しだけバイアスをかけるために設けられる。バイアス装置62は力をかけられると伸びるように構成されている。したがって、カテーテルが摩擦によって拘束されたり、張力がツールにかけられたりするような場合でも、そのスプリングは、ソケット7において近位要素先端部が係合されたままの状態に維持するために、伸びるであろう。結果として、引く力がツール先端部を通して末端部分に加えられ、そしてカテーテル体部を通して近位部分へと伝達される間に、トルク及び押す力はカテーテルの近位部分に直接加えられる。カテーテルの近位先端部27に対するトルク、押す力及び引く力は全て、カテーテルの差し込みを成功させるために有益である。
【0057】
図11に示されている代替的な実施形態では、カテーテル1の近位先端部に位置しているキャビティが係合部材50を有している。伸張要素9は、固定フィラメント54が滑動可能に配置されている伸張要素の末端部分からその近位部分に向かって伸びている内部通路52を有している。固定要素54は、伸張要素の末端端部を越えて伸びている第1の端部56を有している(
図11に部分的に示されている)。内部通路52の近位端部52aは、少なくとも1つの開口部58を通じて外部環境に対し開かれている。固定フィラメント54の第2の端部60は、開口部58を通って内部通路52から出ており、係合部材50を係合し、そして、矢印A1又はA2にしたがう方向で1つ以上の開口部58を通って内部通路52に戻っている。1つの実施形態においては、フィラメント54が通路52に再導入されるときに、内部通路52で第2の端部が意図せず分割されないように、固定フィラメント54は十分に固い。代替的な実施形態では、固定フィラメント54の第2の端部60が伸張要素9の内部通路52に再入し、続けて矢印A1にしたがって進み、第2の端部60における破線54で示されているように、伸張要素の末端部分で通路から出る。記載の実施形態のいずれも、ソケット7に伸張要素9の近位部分を固定しており、よって、押す力、引く力及びトルクがカテーテル27の近位端部先端に加えられることを可能にしている。
【0058】
ソケット7及び固定要素54のさらなる実施形態が
図12及び13に示されており、そこでは、ソケット7がその外部表面64及び内部表面(不図示)に通じる少なくとも1つの開口部68を有している。
図12では、伸張要素9が、少なくとも1つのソケット開口部68と少なくとも部分的に並んでいる、少なくとも1つの開口部66を有している。固定フィラメント54は、伸張要素9の内部通路52内に滑動可能に配置されている。1つの実施形態において、固定フィラメント54の1つの端部60は、ソケット7の外側へと伸張要素9から開口部66を通って出ており、少なくとも1つのソケット穴68及び伸張要素9における少なくとも1つの開口部66を通って伸張要素9の内部通路52に再入している。端部60は、内部通路52の中を、伸張要素9の末端端部に向かって進んでいる。
【0059】
図12のものと類似した、もう1つ別の実施形態が
図13に示されており、そこでは、伸張要素9が、少なくとも1つのソケット開口部68と少なくとも部分的に並んでいる、少なくとも1つの開口部66を有している。固定フィラメント54は、伸張要素9の内部通路52内に滑動可能に配置されている。固定フィラメント54の一端60(
図13では不図示)は、ソケット7の外側へと伸張要素9から開口部66を通って出ており、少なくとも1つのソケット穴68及び伸張要素9における少なくとも1つの開口部66を通って伸張要素9の内部通路52に再入している。端部60は内部通路52の中を伸張要素9の近位部分に向かって進んでおり、そして、その近位部分では摩擦力又は機械的閉じこめによって内部通路の中に固定フィラメントが保持される。
【0060】
さらに、ソケット7は、
図1に示されているような差し込みのための力が加えられるときに、伸張要素9の近位端部がカテーテルの近位端部先端27に穴を開けることを防ぐ。ソケット7は、カテーテル先端27に押す力を付与するために伸張要素9に軸方向の圧縮力を加えるときに伸張要素9がカテーテルの端部先端27に穴を開けるのを防ぐための、耐穿孔材料から作られてよい。また、
図12に最も良く示されているように、ソケット先端7は近位端部7aを有していてもよく、その近位端部は、圧縮力を散逸させかつ穿孔を防ぐために伸張要素9の端部表面の厚さを約2.25から3倍にした保護領域となっている。差し込みの間、マレコット3は、周辺組織を傷つけないように、
図1に示されるように力を加えられて幅が狭くなっている。
【0061】
図6及び7を参照すると、伸張要素9にかかる圧縮力が、プレ引張手段14と、ソケット7を通して伝達された、カテーテル体部2のわずかな弾性伸張とによって、長期の間最小のレベルで維持される。
図6に示されているのは弛緩した状態である。プレ引張手段14は、スロット30によって規定される行程へと内部ラッチ29を抑制することによって、伸張要素9の運動を制限する。伸張要素9は、押しボタン16によって内部ラッチ29に固定される。プレ引張手段14は伸張された位置に伸張ワイヤを維持するためのラッチ及びスロットとして示されているのではあるが、伸張要素9に伸張力を維持してカテーテルに最小の力を付与するための既存の方法が用いられてもよい。そのような手段としては、押しボタン、カム、ギア、ねじ接続装置、ボール・戻り止め装置及び同様のものを用いてよい。
【0062】
カテーテルに力がかけられている状態が
図1で示され、
図7ではツール8がカテーテル2に力を加えるための構成をしている。カテーテルのマレコット3を伸ばすために、1つの実施形態では、プランジャー13の戻り止め(detent)33が圧縮スプリング35の影響で内部ラッチ15のスロット34と係合するまで、押しボタン16は前進させられる。スプリング35はプランジャー13に保持されており、及びプレ引張手段14の通路の中心線に沿って中空にされているソケットスクリュー36によって予め力をかけられている。指による力がプランジャー13のスプリング端部38に加えられて、内部ラッチ15のスロット34が戻り止め33から開放されるとき、圧縮スプリング37は押しボタン16及び内部ラッチ15を弛緩した状態に戻す。マレコット構造3が適切な位置にある、例えば尿道カテーテルが膀胱内にあると作業を行っている医師が判断することで、そのツールは弛緩状態に戻され、静かに引っぱられる。この状態において、広がったマレコット構造3は、尿道カテーテルの場合、医師に膀胱の首部に触れて確認することを可能とさせ、よってカテーテルが適切な位置にあることを保証することができる。アダプタ39は、挿入ツールのカテーテルの一部区間40を挿入ラッチ体部12の圧縮スプリング37に合わせる。挿入ツールのカテーテルの一部区間40は、挿入ツール先端部10を、カテーテル1の意図した適用のための適切な長さでラッチ機構と結合させる。図においては、説明を容易にするために、任意の長さが描かれている。実際、例えば尿道カテーテルの場合、カテーテルの一部区間40は、体部の外にラッチ機構8aを保持するのに十分なほど長く作られている。そのように、機構8aは、ツール8によってカテーテル1を手動で位置決める又は操作するために、医師にハンドルを提供する。適切な配置に関する付加的な確認は、伸張要素9がバルブを開いたままにしているときに、流体の流れによって与えられるのであり、そのとき指定の位置にある流体が管腔17及びバルブ5を通過する。また、ここでは機構8aが記載されてきたのではあるが、力を加えられたカテーテルの状態や弛緩したカテーテルの状態になるように伸張要素9を伸張させたり引っ込めたりするために、伸張要素9と組み合わされた、例えばボタン16や他の伸張装置に関する既存の装置といった可動要素を有する他のハンドルがツール8において使用されてもよい。
【0063】
上手な差し込みにおいては、挿入ツール8がバルブ付きカテーテル1と接続されておらず、差し込まれたカテーテルを動かすことなしに除去される(抜かれる)。これを実行するために、押しボタン16が弛緩した状態へと開放される。プレ引張手段9、内部ラッチ15及び押しボタン16は、押しボタン16を引っ張ることによって取り出される。伸張要素9を除去することによって、ツール先端部10及びバルブ5の分離を可能とし、カテーテルの末端位置から取り出されることができるC型リング19から、ツール先端部10を外すことができる。
【0064】
固定フィラメント54を用いることによるカテーテルの上手な差し込みにおいては、上述したものと同様の挿入ツール除去プロセスを行う。伸張している伸張要素9及び力が加えられている状態のカテーテルによって、固定フィラメント54の端部56は伸張要素9bの末端端部に把持されている。フィラメント54、内部通路52及びソケット7の間で生じた抵抗力に打ち勝つための、遠方に向けられた張力をフィラメント54に適用することによって、ソケット7との係合から固定フィラメント54を引っぱり出すことができる。一度固定フィラメント54がソケットとの係合から離れたら、伸張要素9の近位端部26はソケット7から自由に外される。押しボタン16は弛緩した状態に開放される。プレ引張手段14は開放され、プランジャー13から抜き出される。伸張要素9、内部ラッチ15及び押しボタン16は、押しボタン16を引っ張ることで抜き出される。伸張要素9を除去することによって、C型リング19からツール先端部10が外され、これによってツール先端部10及びバルブ5が分離され、かつツール8がカテーテル1の末端部分から抜き出される。
【0065】
図5Aを参照すると、バルブハウジング23の近位端部にあるスロット48は、バルブ要素25の静止位置にあるにも関わらず、その球体バルブ要素25によって完全に塞がれることがない入り口開口部を提供する。1つの実施形態では、ガイド穴24は、バルブ5を通過させて伸張要素9を案内するために、及び伸張ガイド要素9をバルブ5の中心線と平行に維持するために設けられていてよい。この入り口開口部の四角形状スロット48によって、入り口が球体バルブ要素によって栓をされる可能性がなくなる。
図5bに示されているように、スロット48は、流体流を増加させるため、及び流体抗力を減少させるために拡張されてもよい。また、バルブ5においては、スペーサリング21(
図5)は、バルブシート22と強磁性引きつけリング20の間に設けられてもよい。このリング21は、バルブ5が組み立てられるとき、強磁性引きつけリング20と球体磁性バルブ要素25の間の間隔を変えることによって、バブルの閉まる力を調節することができるように、様々な長さで構成されていてもよい。また、バルブ5において、C型リング19の穴43(
図5C)は、バルブ付きカテーテル1を抜き出すために使用される選択的な縫合糸又はつなぎ帯(不図示)のための固定点として、選択的に設けられてよい。
【0066】
図8を参照すると、選択的な穴(又は通路)44がカテーテルの近位先端部27の長手を通過し、標準的なガイドワイヤ(不図示)のための通路を提供している。そのワイヤによって、差し込みを行う医師は困難な差し込み作業を選択的に容易にすることができる。
【0067】
カテーテル1が、例えば男性用尿道カテーテルとして使用されるよう意図されているとき、そのカテーテル1には、カテーテル1を固定するための2つの隆起部が設けられていてもよい:1つ目は、末端に移動するのを防ぐためにマレコット3によって与えられた、膀胱首部に触れる隆起部であり、2つ目は、外部括約筋を通した近位運動に対する抵抗力をもたらす隆起部6であり、3つ目は、バルブを保持するための隆起部4である。隆起部4及び6は、バルブ5を適切に配置することができるように、個々の患者に対してカテーテル体部に沿って、互いに適切な間隔が設けられている。
図2、15及び16に示されているように、隆起部6は固い構造をしているか、又は別法として複数の要素70から形成されていてもよい。力がかけられていない状態において、要素70は、ホスト生体システム(host biological system)の壁部を越えて伸張し、ホストシステムの寸法にしたがうために離脱する。そのように、要素70のたわみは、要素を力のかかる状態に配置し、前記壁部と開口部の間に一定の張力を作り出す。隆起部6の近位端部6aは、カテーテル1の近位における動きを防ぐために、外部括約筋と隣接するような形状にされる。隆起部6の末端部分6bは、カテーテルの除去が要求されるときに、末端の運動を容易にするであろう形状ならばいかなるものであってもよく、例えば、
図15及び16に示されている円錐形状が挙げられる。
【0068】
カテーテルを別様に用いる場合には、異なる固定構造が指定されてよい。
【0069】
構造的に同一ではないが、差し込まれたバルブ付きカテーテル1は、これまでに記載したバルブ5を使用している特許文献1である、
図3に示されているものと類似していてよい。
【0070】
以上記載したように、バルブを有するカテーテルを差し込むための改良システム及び方法、特には、尿道にバルブ付きカテーテルを差し込むための改良システム及び方法が、改良挿入ツール及び尿道内バルブと共に提供されることが明瞭になった。本発明にしたがう、これまでに記載してきたシステム、方法、挿入ツール及びバルブの別様態及び修正態は、当業者にとっては明らかなことであろう。したがって、これまでの記載は説明のためのものであって、その意味を限定するものではない。