特許第6029084号(P6029084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029084
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】電源装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20161114BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161114BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H02M3/28 J
   H01L33/00 J
   H05B37/02 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-210226(P2012-210226)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-68425(P2014-68425A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100159709
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 惣一
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓道
(72)【発明者】
【氏名】坂井 健治
(72)【発明者】
【氏名】工藤 啓之
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 博志
(72)【発明者】
【氏名】甲佐 清輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】松本 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】小塚 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−036126(JP,A)
【文献】 実開平01−076184(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/065047(WO,A1)
【文献】 特開2009−232623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H01L 33/00
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した調光信号に応じて、発光素子に供給する出力電流を目標電流に制御する電流制御モードと前記発光素子に供給する出力電圧を目標電圧に制御する電圧制御モードとに切り替わり前記発光素子を調光する制御回路と、
前記出力電流および前記出力電圧を検出して、前記制御回路が前記電流制御モードと前記電圧制御モードとの間で切り替わるときの前記目標電圧を第1の電圧として設定する第1の回路と、
を備え
前記第1の回路は、検出した前記出力電流および前記出力電圧を、所定の電流値および電圧値と比較して、前記第1の電圧を補正するとともに、
前記制御回路は、補正後の第1の電圧で前記電流制御モードと前記電圧制御モードとが切り替わることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記電流制御モードにおいて目標電流に制御するための第1の基準信号と、
前記電圧制御モードにおいて目標電圧に制御するための第2の基準信号と、
を生成し、
前記第1の回路は、検出した前記出力電流および出力電圧に基づいて、前記第1の基準信号および前記第2の基準信号補正する請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の回路は、前記出力電流を定格電流まで変化させて、前記出力電圧に対する前記出力電流の特性を検出し、前記補正前の第1の電圧を設定する請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
発光素子と、
請求項1〜のいずれか1つに記載の電源装置と、
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置において、照明光源は白熱電球や蛍光灯から省エネルギー・長寿命の光源、例えば発光ダイオード(Light-emitting diode:LED)への置き換えが進んでいる。また、例えば、EL(Electro-Luminescence)や有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)など新たな照明光源も開発されている。これらの照明光源の光出力は流れる電流値に依存するため、照明光源を点灯・調光するためには供給する電流値の制御が可能な点灯装置が必要になる。例えば、発光ダイオードを点灯させる電源装置は、発光ダイオードを全点灯させる最大電流から消光時の最小値である電流値ゼロまで広範囲にわたって制御する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、消光に近い深調光時においては電流値が微小になり、検出誤差が増大する。また、発光ダイオードは、製造ばらつきや温度依存性などにより特性が変動するため、全光から深調光を経て消灯するまで、なめらかに調光できない場合がある。
本発明の実施形態は、発光素子を安定に調光可能な電源装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電源装置は、制御回路と、第1の回路と、を備える。前記制御回路は、入力した調光信号に応じて、発光素子に供給する出力電流を目標電流に制御する電流制御モードと前記発光素子に供給する出力電圧を目標電圧に制御する電圧制御モードとに切り替わり前記発光素子を調光する。前記第1の回路は、前記出力電流および前記出力電圧を検出して、前記制御回路が前記電流制御モードと前記電圧制御モードとの間で切り替わるときの前記目標電圧を第1の電圧として設定する。前記第1の回路は、検出した前記出力電流および前記出力電圧を、所定の電流値および電圧値と比較して、前記第1の電圧を補正するとともに、前記制御回路は、補正後の第1の電圧で電流制御モードと電圧制御モードとが切り替わる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、発光素子を安定に調光可能な電源装置および照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る電源装置を含む照明装置を例示する回路図である。
図2】第1の実施形態における基準信号を説明する特性図である。
図3】発光素子に供給される出力電圧VFに対する出力電流IFの特性図である。
図4】第2の実施形態における基準信号生成回路を例示する回路図である。
図5】第2の実施形態における基準信号を説明する特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、本願明細書においては、「調光度」とは、調光時の光出力の全点灯時の光出力に対する比をいい、調光度100%は全点灯に、調光度0%は消灯時の光出力に対応する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電源装置を含む照明装置を例示する回路図である。
第1の実施形態の照明装置24は、発光素子20と電源装置1とを備える。電源装置1は、直流電源回路19と、第1の回路21と、電流検出回路22と、電圧検出回路23と、制御回路33と、を備える。電源装置1は、制御信号CTLに応じて、発光素子20に供給される出力電流IF、出力電圧VFを制御して調光する電源装置である。
【0010】
直流電源回路19は、整流回路12と、コンデンサ13と、トランス14と、スイッチング素子15と、整流平滑回路18と、駆動回路30とを有する。直流電源回路19は、交流電源11から供給される交流電圧を、直流電圧に変換する。なお、交流電源11は、例えば商用電源である。
【0011】
整流回路12は、例えばダイオードブリッジであり、入力端子は交流電源11に接続される。コンデンサ13は、整流回路12の出力端子に接続され、コンデンサ13の両端には、交流電圧を平滑化した直流電圧が出力される。
【0012】
トランス14は、一次巻線141と二次巻線142とを有する。一次巻線141は、スイッチング素子15を介して、コンデンサ13の両端に接続される。
スイッチング素子15は、例えばFETである。スイッチング素子15の制御端子は、駆動回路30を介して制御回路33により制御される。
【0013】
二次巻線142は、整流素子16とコンデンサ17とで構成された整流平滑回路18に接続される。整流平滑回路18は、二次巻線142に誘起される交流電圧を直流電圧に変換する。
【0014】
発光素子20は、例えば発光ダイオード(LED)であり、電流検出回路22を介して、整流平滑回路18の出力、すなわちコンデンサ17の両端に接続される。発光素子20は、出力電流IF、出力電圧VFを供給されて発光する。なお、電源装置1においては、照明負荷として、発光素子20を用いた構成を例示しているが、発光素子の数および構成などは任意であり、光出力などに応じて構成することができる。
【0015】
電流検出回路22は、例えば抵抗221で構成され、発光素子20に直列に接続される。電流検出回路22は、発光素子20を流れる出力電流IFを検出し、出力電流IFに比例した電圧である検出値IDETとして出力する。
電圧検出回路23は、例えば分割抵抗231、232で構成され、発光素子20と接地間に接続される。電圧検出回路23は、発光素子20に供給される出力電圧VFを検出し、出力電圧VFに比例した電圧である検出値VDETとして出力する。
【0016】
制御回路33は、比較回路34、35と、ダイオード37、38と、基準信号生成回路36と、を有する。制御回路33は、検出値IDET、VDETと、調光信号ICTL、SCTL、第1の電圧V1を入力して、制御信号CTLを出力し、駆動回路30を介してスイッチング素子15を制御する。
【0017】
ここで、第1の電圧V1は、制御回路33が電流モードと電圧モードとの間で切り替わるときの、発光素子20に供給する出力電圧VFの目標電圧であり、第1の回路21で生成される。
【0018】
比較回路34は、検出値IDETを第1の基準信号REF1と比較する。比較回路34は、検出値IDETが第1の基準信号REF1よりも大きいときハイレベルを出力し、検出値IDETが第1の基準信号REF1よりも小さいときローレベルを出力する。
【0019】
比較回路35は、検出値VDETを第2の基準信号REF2と比較する。比較回路35は、検出値VDETが第2の基準信号REF2よりも大きいときハイレベルを出力し、検出値VDETが第2の基準信号REF2よりも小さいときローレベルを出力する。
【0020】
ダイオード37のアノードは、比較回路34の出力に接続される。ダイオード38のアノードは、比較回路35の出力に接続される。ダイオード37のカソードとダイオード38のカソードとは、互いに接続され、駆動回路30に接続される。
【0021】
基準信号生成回路36は、調光操作部31から調光信号ICTLを入力し、第1の回路21から調光信号SCTLおよび第1の電圧V1を入力し、第1の基準信号REF1、第2の基準信号REF2を出力する。
【0022】
図2は、第1の実施形態における基準信号を説明する特性図である。
第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2は、調光度Kを表す調光信号ICTLに応じて、それぞれ変化する信号である。第1の基準信号REF1は、例えば調光度Kに比例する信号として生成される。また、調光度Kが0%(消灯時)のときに出力電圧VFが有限値になるのに対応して、第2の基準信号REF2は、調光度Kが0%のときに有限値を取り、調光度の変化に比例して変化する信号として生成される。
【0023】
したがって、調光度Kが所定値K1のとき、第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とは等しくなる。調光度Kが所定値K1よりも小さいときは、第2の基準信号REF2が第1の基準信号REF1よりも大きくなり、調光度Kが所定値K1よりも大きいときは、第1の基準信号REF1が第2の基準信号REF2よりも大きくなる。
【0024】
なお、図2においては、第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2として、P点、Q点、R点を通る3つの信号を例示している。これらは、図3を参照して説明するように、所定の基準となる発光素子20に対応した信号(例えばP点を通る)と、第1の回路21により補正された信号(例えばQ点、R点を通る)とを表している。
【0025】
図3は、発光素子20に供給される出力電圧VFに対する出力電流IFの特性図である。
発光素子20が例えばLEDの場合は、出力電圧VFに対して出力電流IFが下に凸の非線形な特性を有する。そのため、例えば動作点Pにおいて第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とが等しくなるように設定した場合、動作点Pよりも出力電圧VFが大きい領域(電流制御領域)では、出力電圧VFの変化よりも出力電流IFの変化の方が大きくなる。また、動作点Pよりも出力電圧VFが小さい領域(電圧制御領域)では、出力電流IFの変化よりも出力電圧VFの変化の方が大きくなる。
【0026】
したがって、動作点Pよりも出力電圧VFが大きい領域では、電流検出回路22から出力される検出値IDETの方が、電圧検出回路23から出力される検出値VDETよりも大きくなる。制御回路33は、比較回路34の出力を比較回路35の出力よりも優先して、制御信号CTLとして出力する。その結果、制御回路33は、駆動回路30を介してスイッチング素子15をオンまたはオフして、検出値IDETを第1の基準信号REF1に基づいた一定の目標電流に制御する電流制御モードとなる。
【0027】
また、動作点Pよりも出力電圧VFが小さい領域では、電圧検出回路23から出力される検出値VDETの方が、電流検出回路22から出力される検出値IDETよりも大きくなる。制御回路33は、比較回路35の出力を比較回路34の出力よりも優先して、制御信号CTLとして出力する。その結果、制御回路33は、駆動回路30を介してスイッチング素子15をオンまたはオフして、検出値VDETを第2の基準信号REF2に基づいた一定の目標電圧に制御する電圧制御モードになる。
【0028】
このように、制御回路33は、出力電流IFが相対的に小さく、出力電流IFの変動よりも出力電圧VFの変動が大きい領域においては、第2の基準信号REF2を基準信号として、出力電圧VFを一定の目標電圧に制御する。また、出力電流IFが相対的に大きく、出力電圧VFの変動よりも出力電流IFの変動が大きい領域においては、第1の基準信号REF1を基準信号として、出力電流IFを一定の目標電流に制御する。
【0029】
したがって、所定の特性を有する発光素子20に対しては、出力電流IFをゼロ近傍の小さい領域から定格値まで、安定に変化させることができ、調光度Kを0%から100%まで、安定に調光することができる。
【0030】
一方、発光素子20には製造ばらつきなどがあり、出力電圧VFに対する出力電流IFの特性には素子間でばらつきが生じる。例えば図3に表したように、動作点Pを通る特性を中心値とすると、動作点Q、Rをそれぞれ通る特性の範囲でばらつきが生じる。なお、動作点P、Q、Rは、それぞれの発光素子の出力電流IFがI1になる動作点であり、そのときの出力電圧VFは、それぞれVP、VQ、VR(VQ<VP<VR)になっている。
【0031】
したがって、動作点Pにおける出力電圧VF=VPを、制御回路33が電流制御モードと電圧制御モードとの間で切り替わるときの目標電圧である第1の電圧V1として固定すると、発光素子20の特性が動作点Pと通る特性と異なる場合に、安定に調光できない可能性が生じる。
【0032】
例えば、動作点Qを通る特性の発光素子の場合に、出力電圧VF=VPで電流制御モードと電圧制御モードとを切り替えると、出力電流が所定の目標電流よりも大きく、調光度Kが所定値よりも大きい動作点で切り替わることになる。そのため、制御回路33は、出力電流IFが大きい領域において電圧制御モードになり、発光素子を安定に調光することができない可能性が生じる。
【0033】
また、例えば、動作点Rを通る特性の発光素子の場合に、出力電圧VF=VPで電流制御モードと電圧制御モードとを切り替えると、出力電流が所定の目標電流よりも小さく、調光度Kが所定値よりも小さい動作点で切り替わることになる。そのため、制御回路33は、出力電流IFが小さい領域において電流制御モードになり、発光素子を安定に調光することができない可能性が生じる。
【0034】
そこで、本実施形態においては、第1の回路21により、発光素子20に対して、所定の調光度K=K1に対応した出力電流IF=I1と出力電圧VFを検出して、制御回路33における第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2を設定する。
【0035】
第1の回路21は、例えばマイクロコンピュータで構成され、調光信号SCTLを制御回路33に出力して、検出値IDET、VDETを入力して出力電流IFおよび出力電圧VFを検出することにより、発光素子20の電流・電圧特性を検出する。また、検出した特性から、制御回路33が電流モードと電圧モードとの間で切り替わるときの、発光素子20に供給する出力電圧VFの目標電圧を求めて、第1の電圧V1として出力する。
【0036】
例えば、図3に表したように、動作点Qを通る特性の発光素子の場合には、第1の回路21は、動作点Pにおける出力電流IF=I1と等しい出力電流IFになる出力電圧VF=VQを、電流制御モードと電圧制御モードとの間で切り替わる目標電圧である第1の電圧V1として設定する。
【0037】
また、例えば、図3に表したように、動作点Rを通る特性の発光素子の場合には、第1の回路21は、動作点Pにおける出力電流IFと等しい出力電流IFになる出力電圧VF=VRを、電流制御モードと電圧制御モードとの間で切り替わる目標電圧である第1の電圧V1として設定する。
【0038】
制御回路33は、第1の回路21により設定された第1の電圧V1で、電流制御モードと電圧制御モードとに切り替わって発光素子20を調光する。
例えば、第1の電圧がVQに設定された場合、制御回路33は、図2に表したように、所定の調光度K=K1(動作点Q)で第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とが等しくなるような第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2を生成する。
【0039】
また、例えば動作点Pを通る第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2を所定の基準信号として、第1の回路21により設定された第1の電圧VQにより補正することもできる。
【0040】
なお、図2においては、第1の電圧V1に応じて、第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2の両方が、補正または設定により変化しているが、いずれか一方のみが変化するように構成することもできる。例えば、電流制御モードと電圧制御モードとの間で切り替わる調光度KがK1から多少ずれるが、第2の基準信号REF2のみを変化させる構成とすることもできる。
【0041】
本実施形態においては、発光素子を電流制御モードと電圧制御モードとで切替えて制御し、制御モードを切替える目標電圧である第1の電圧が、発光素子の特性を検出して基準信号を設定または補正される。その結果、発光素子の製造ばらつきにより動作点がずれて制御が不安定になることがなく、発光素子を安定に調光することができる。また、定格電流が異なる場合など、異なる規格の発光素子を安定に調光することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態における基準信号生成回路を例示する回路図である。
第2の実施形態の電源装置は、第1の実施形態における基準信号生成回路36を基準信号生成回路36aに置き換えて構成されている。第2の実施形態の基準信号生成回路36a以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
【0043】
基準信号生成回路36aは、第1の基準信号REF1を生成する第1の信号生成回路361と、第2の基準信号REF2を生成する第2の信号生成回路362と、ダイオード39、40と、を有する。
【0044】
第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2は、第1の実施形態におけるものと同様であり、第1の回路21により設定または補正される。なお、図4においては、第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とを補正する構成を例示しているが、第1の基準信号REF1および第2の基準信号REF2の少なくともいずれかを補正する構成とすることができる。
【0045】
第1の信号生成回路361は、ダイオード39を介して、比較回路34、35の反転入力端子に接続される。第2の信号生成回路362は、ダイオード40を介して、比較回路34、35の反転入力端子に接続される。
基準信号生成回路36aは、第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とのうちの大きい信号を基準信号REFとして出力する。
【0046】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態における基準信号を説明する特性図である。
図5に表したように、本実施形態は、第1の実施形態と比較して、基準信号生成回路36の構成が異なっており、本実施形態においては、第1の実施形態における基準信号生成回路36の替わりに、基準信号生成回路36aが設けられている。本実施形態に係る電源装置および照明装置の基準信号生成回路以外の構成は、図1に示す構成と同様である。
発光素子20の出力電圧VFに対する出力電流IFの特性が、図3の動作点Qを通る場合を例示している。第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とは、調光度K=K1における動作点Qで交差するように設定または補正されている。
【0047】
基準信号生成回路36aは、第1の基準信号REF1と第2の基準信号REF2とのうち大きい信号を選択して出力するため、基準信号REFは、図5の実線で表したようになる。
【0048】
本実施形態における制御回路33は、出力電圧VFが、調光度K=K1に相当する第1の電圧V1=VQよりも小さい領域において、出力電圧VFを一定の目標電圧に制御する。このとき、比較回路34の反転入力端子には、基準信号REFとして、第1の基準信号REF1よりも大きい第2の基準信号REF2が入力されている。その結果、ノイズなどによる比較回路34のハイレベルの出力が抑制され、制御回路33は比較回路35の出力による電圧制御モードで、安定に発光素子20を調光することができる。
【0049】
また、本実施形態における制御回路33は、出力電圧VFが、第1の電圧V1よりも大きい領域において、出力電流IFを一定の目標電流に制御する。このとき、比較回路35の反転入力端子には、基準信号REFとして、第2の基準信号REF2よりも大きい第1の基準信号REF1が入力されている。その結果、ノイズなどによる比較回路35のハイレベルの出力が抑制され、制御回路33は比較回路34の出力による電流制御モードで、安定に発光素子20を調光することができる。
【0050】
本実施形態においては、第1の実施形態の効果の他に、ノイズなどによる影響を抑制して、さらに安定に発光素子20を調光することができる。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、発光素子20は、OLEDなどでもよく、発光素子20は、複数個の発光素子が直列又は並列に接続されていてもよい。
【0052】
また、第1の回路21は、例えば調光度Kが0〜100%に変化する調光信号SCTLを制御回路33に出力して、検出値IDET、VDETを入力して出力電流IFおよび出力電圧VFを検出することにより、発光素子20の出力電圧VFに対する出力電流IFの特性および第1の電圧V1を検出することができる。
【0053】
このとき、第1の回路21は、調光度Kを0%から徐々に増加させて、出力電流IFがゼロから徐々に上昇するように制御して、そのときの出力電圧VFを検出して、第1の電圧V1を検出することができる。
【0054】
なお、発光素子20に、調光度Kが100%のときの出力電流IFに相当する定格電流に関する情報を保持させておき、第1の回路21は、保持された情報を取得して、発光素子20の定格電流を設定することもできる。また、定格電流は、電源装置1に固有の所定値として、予め設定しておくこともできる。
【0055】
また、発光素子20に定格電流に関する情報が保持されている場合など、第1の回路21が、定格電流を検知できる場合は、消灯時に調光度Kが100%の定格電流に相当する出力電流IFから徐々に出力電流IFを減少させ、定格電流の50%から出力電圧VFを検出して、調光度Kに対する出力電流IFおよび出力電圧VFの少なくともいずれかを調光カーブとして求め、求めた調光カーブに基づいて第1の電圧V1を検出することができる。
【0056】
また、第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、定格出力よりも小さい低出力で発光素子20を点灯させたときの出力電圧VF、出力電流IFを検出することにより、第1の電圧V1を検出することができる。
【0057】
また、第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、任意の出力で発光素子20を点灯させたときの出力電圧VF,出力電流IFを検出することにより、第1の電圧V1を検出することができる。
【0058】
また、第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、入力されている調光信号ICTLの調光度Kに応じた出力で発光素子20を点灯させたときの出力電圧VF、出力電流IFを検出することにより、第1の電圧V1を検出することができる。
【0059】
また、第1の回路21は、製造時に行われる検査で発光素子20を点灯させたときの出力電圧VF,出力電流IFを検出することにより、第1の電圧V1を検出することができる。
【0060】
また、第1の回路21は、検出した発光素子20の出力電圧VFに対する出力電流IFの特性、および検出した第1の電圧V1を記憶し、その後変更しないようにすることができる。また、記憶した特性および第1の電圧V1は、消灯時に初期化して、所定の基準の値に設定することもできる。また、検出した特性および第1の電圧V1は、所定時間ごとに更新することもできる。
【0061】
また、発光素子20に電流・電圧の特性および第1の電圧V1に関する情報を保持させておき、第1の回路21は、保持された情報を取得して、発光素子20の特性および第1の電圧V1を設定することもできる。
【0062】
また、発光素子20が保持する情報として、調光度Kが100%のときの出力電流IFに相当する発光素子20の定格電流を含めることができる。また、定格電流は、電源装置1に固有の所定値として、予め設定しておくこともできる。
【0063】
また、第1の回路21は、発光素子20の出力電圧VFに対する出力電流IFの特性を1回だけ検出するように構成することができ、また任意回数検出するように構成することもできる。
【0064】
また、発光素子20の出力電圧VFに対する出力電流IFの特性は、発光素子20の温度、または周囲温度により変化するため、温度を検出して補正することができる。
第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、定格出力よりも小さい低出力で発光素子20を点灯させたときの発光素子20の温度および周囲温度の少なくともいずれかを検出することにより、第1の電圧V1を補正することができる。
【0065】
また、第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、任意の出力で発光素子20を点灯させたときの発光素子20の温度および周囲温度の少なくともいずれかを検出することにより、第1の電圧V1を補正することができる。
【0066】
また、第1の回路21は、電源オン時に、または調光度が0%から解除されて点灯する際に、所定期間、入力されている調光信号ICTLの調光度Kに応じた出力で発光素子20を点灯させたときの発光素子20の温度および周囲温度の少なくともいずれかを検出することにより、第1の電圧V1を補正することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…電源装置、 11…交流電源、 12…整流回路、 13、17…コンデンサ、 14…トランス、 15…スイッチング素子、 16…整流素子、 18…整流平滑回路、 19…直流電源回路、 20…発光素子、 21…第1の回路、 22…電流検出回路、 23…電圧検出回路、 24…照明装置、 30…駆動回路、 31…調光操作部、 33…制御回路、 34、35…比較回路、 36、36a…基準信号生成回路、 37、38、39、40…ダイオード、 141…一次巻線、 142…二次巻線、 221…抵抗、 231、232…分割抵抗、 361…第1の信号生成回路、 362…第2の信号生成回路
図1
図2
図3
図4
図5