特許第6029097号(P6029097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧 ▶ 学校法人慶應義塾の特許一覧

特許6029097ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法
<>
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000022
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000023
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000024
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000025
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000026
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000027
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000028
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000029
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000030
  • 特許6029097-ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法 図000031
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029097
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A63B69/36 541P
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-223327(P2012-223327)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-73314(P2014-73314A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 和宏
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−614(JP,A)
【文献】 特開2009−5760(JP,A)
【文献】 特開2005−110850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00−69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファーの上半身の部位に取り付けられる第1慣性センサーと、
ゴルフクラブに取り付けられる第2慣性センサーと、
前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの出力に基づき前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの間で相対角度を算出する演算部と、
を備えることを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゴルフスイング解析装置において、
時間軸に沿って前記相対角度の変化を視覚化する画像データを生成する画像データ生成部をさらに備えることを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゴルフスイング解析装置において、
前記相対角度の算出にあたって三次元二重振子モデルを用い、前記上半身の前記部位は前記三次元二重振子モデルの第1リンクを形成し、前記ゴルフクラブは前記三次元二重振子モデルの第2リンクを形成することを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項4】
請求項3に記載のゴルフスイング解析装置において、
前記第1リンクの支点は前記ゴルファーの両肩を結ぶ線の中央に位置し、前記第1リンクおよび前記第2リンクの関節は前記ゴルフクラブのグリップに位置することを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフスイング解析装置において、
前記第1慣性センサーおよび第2慣性センサーは、複数の検出軸を備える加速度センサーと、複数の検出軸を備えるジャイロセンサーとを含むことを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフスイング解析装置において、
前記上半身の前記部位の総エネルギー変化率の正負のバランスを特定するエネルギー変化率反転検出部をさらに備えることを特徴とするゴルフスイング解析装置。
【請求項7】
ゴルファーの上半身の部位に取り付けられる第1慣性センサー、および、ゴルフクラブに取り付けられる第2慣性センサーの出力に基づき前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの間で相対角度を算出することを特徴とするゴルフスイング解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるようなゴルフスイング解析装置が一般に知られている。ゴルフスイング解析装置は光学式モーションキャプチャーシステムを利用し、当該システムではゴルファーのスイングの様子を撮影する。撮影にあたってゴルファーやゴルフクラブの特定位置にマーカーを固定し、マーカーの動きを撮影することで特定位置の移動軌跡が記録される。また、例えば特許文献2に開示されるように、加速度センサーを利用するゴルフスイング解析装置も一般に知られている。ゴルフクラブに加速度センサーが取り付けられ、加速度センサーで計測される加速度に応じてゴルフスイングのフォームが解析される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−11926号公報
【特許文献2】特開平11−169499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような光学式モーションキャプチャーシステムを利用し
たゴルフスイング解析では、設備が大掛かりでありフィールドでの計測が困難であるため、特許文献2に記載されているような加速度センサー等の慣性センサーを用いたゴルフスイング解析が近年利用されてきている。しかしながら、慣性センサーを用いたゴルフスイング解析において、腕とゴルフクラブとの相対角度を良好にユーザーに提示することはできていない。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様によれば、腕とゴルフクラブとの相対角度を効果的にユーザーに提示することができるゴルフスイング解析装置およびゴルフスイング解析方法等は提供されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、ゴルファーの上半身の部位に取り付けられる第1慣性センサーと、ゴルフクラブに取り付けられる第2慣性センサーと、前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの出力に基づき前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの間で相対角度を算出する演算部と、を備えるゴルフスイング解析装置に関する。
【0007】
ゴルフスイングではトップからの初期段階で腕とゴルフクラブとの間で相対角度は固定されることが望まれる。インパクトに先立って角度を固定する力は緩められ、腕に対してゴルフクラブの自然な回転が実現されると、ヘッドスピードは速められると考えられている。ゴルフスイング解析装置は腕とゴルフクラブとの相対角度をユーザーに提示することができる。こうして腕とゴルフクラブとの相対角度が観察されれば、ゴルフクラブに効率的にエネルギーを伝達することができるゴルフスイングのフォームは導き出されることができる。こうしてゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。
【0008】
(2)ゴルフスイング解析装置は、時間軸に沿って前記相対角度の変化を視覚化する画像データを生成する画像データ生成部をさらに備えることができる。ユーザーには視覚的に力を緩めるタイミングが提示されることができる。こうしてゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。
【0009】
(3)前記相対角度の算出にあたって三次元二重振子モデルを用い、前記上半身の前記部位は前記三次元二重振子モデルの第1リンクを形成することができ、前記ゴルフクラブは前記三次元二重振子モデルの第2リンクを形成することができる。こうしてゴルフスイングはモデル化される。三次元二重振子モデルは比較的に高い精度でゴルフスイングを動力学的に再現することができる。こうしてゴルフスイングは効果的に解析されることができる。
【0010】
(4)前記第1リンクの支点は前記ゴルファーの両肩を結ぶ線の中央に位置することができ、前記第1リンクおよび前記第2リンクの関節は前記ゴルフクラブのグリップに位置することができる。こうしてゴルフスイングは精度よく解析されることができる。
【0011】
(5)前記第1慣性センサーおよび第2慣性センサーは、複数の検出軸を備える加速度センサーと、複数の検出軸を備えるジャイロセンサーとを含むことができる。加速度センサーおよびジャイロセンサーによれば、相対角度の算出にあたって加速度および角速度の情報は正確に検出されることができる。
【0012】
(6)ゴルフスイング解析装置は、前記上半身の前記部位の総エネルギー変化率の正負のバランスを特定するエネルギー変化率反転検出部をさらに備えることができる。こうして総エネルギー変化率のゼロクロスが観察されれば、ゴルフクラブに効率的にエネルギーを伝達することができるゴルフスイングのフォームは導き出されることができる。こうしてゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。特に、ゼロクロスのタイミングと相対角度の変化とが関連づけられると、ゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。
【0013】
(7)本発明の他の態様は、ゴルファーの上半身の部位に取り付けられる第1慣性センサー、および、ゴルフクラブに取り付けられる第2慣性センサーの出力に基づき前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの間で相対角度を算出するゴルフスイング解析方法に関する。
【0014】
ゴルフスイングではトップからの初期段階で腕とゴルフクラブとの間で相対角度は固定される。インパクトに先立って角度を固定する力は緩められ、腕に対してゴルフクラブの自然な回転が実現されると、ヘッドスピードは速められると考えられている。ゴルフスイング解析方法は腕とゴルフクラブとの相対角度をユーザーに提示することができる。こうして腕とゴルフクラブとの相対角度が観察されれば、ゴルフクラブに効率的にエネルギーを伝達することができるゴルフスイングのフォームは導き出されることができる。こうしてゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフスイング解析装置の構成を概略的に示す概念図である。
図2】三次元二重振子モデルとゴルファーおよびゴルフクラブとの関係を概略的に示す概念図である。
図3】演算処理回路の一部の構成を概略的に示すブロック図である。
図4】演算処理回路の構成を部分的に示すブロック図である。
図5】レッスンプロのスイング解析の結果であって下腕とゴルフクラブとの相対角度の時系列変化を示すグラフである。
図6】アマチュアゴルファーのスイング解析の結果であって下腕とゴルフクラブとの相対角度の時系列変化を示すグラフである。
図7】レッスンプロのスイング解析の結果であって総エネルギー変化率信号の時系列変化を示すグラフである。
図8】ゼロクロスのタイミングでレッスンプロおよびゴルフクラブの姿勢を示す概念図である。
図9】アマチュアゴルファーのスイング解析の結果であって総エネルギー変化率信号の時系列変化を示すグラフである。
図10】ゼロクロスのタイミングでアマチュアゴルファーおよびゴルフクラブの姿勢を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
(1)ゴルフスイング解析装置の構成
図1は本発明の一実施形態に係るゴルフスイング解析装置11の構成を概略的に示す。ゴルフスイング解析装置11は例えば第1慣性センサー12および第2慣性センサー13を備える。第1および第2慣性センサー12、13には加速度センサーおよびジャイロセンサーが組み込まれる。加速度センサーは直交三軸方向に個々に加速度を検出することができる。ジャイロセンサーは直交三軸の各軸回りに個別に角速度を検出することができる。第1および第2慣性センサー12、13は検出信号を出力する。検出信号で個々の軸ごとに加速度および角速度は特定される。加速度センサーおよびジャイロセンサーは比較的に精度よく加速度および角速度の情報を検出する。第1慣性センサー12はゴルファーの上肢(例えば右打ちなら左腕)15に取り付けられる。ここでは、第1慣性センサー12はゴルファーの前腕に取り付けられるものの、第1慣性センサー12はゴルファーの上腕に取り付けられてもよい。第2慣性センサー13はゴルフクラブ14に取り付けられる。望ましくは、第2慣性センサー13はゴルフクラブ14のグリップまたはシャフトに取り付けられる。第1および第2慣性センサー12、13は上肢15およびゴルフクラブ14にそれぞれ相対移動不能に固定されればよい。ここでは、第2慣性センサー13の取り付けにあたって第2慣性センサー13の検出軸の1つはゴルフクラブ14の長軸に平行に合わせ込まれる。なお、本実施形態では第1慣性センサー12は上肢15に取り付けられるものの、第1慣性センサー12は上半身(特に両肩)に装着されてもよい。
【0018】
ゴルフスイング解析装置11は演算処理回路16を備える。演算処理回路16には第1および第2慣性センサー12、13が接続される。接続にあたって演算処理回路16には所定のインターフェース回路17が接続される。このインターフェース回路17は有線で慣性センサー12、13に接続されてもよく無線で慣性センサー12、13に接続されてもよい。演算処理回路16には慣性センサー12、13から検出信号が入力される。
【0019】
演算処理回路16には記憶装置18が接続される。記憶装置18には例えばゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム19および関連するデータが格納される。演算処理回路16はゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム19を実行しゴルフスイング解析方法を実現する。記憶装置18にはDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリー)や大容量記憶装置ユニット、不揮発性メモリー等が含まれる。例えばDRAMには、ゴルフスイング解析方法の実施にあたって一時的にゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム19が保持される。ハードディスク駆動装置(HDD)といった大容量記憶装置ユニットにはゴルフスイング解析ソフトウェアプログラムおよびデータが保存される。不揮発性メモリーにはBIOS(基本入出力システム)といった比較的に小容量のプログラムやデータが格納される。
【0020】
演算処理回路16には画像処理回路21が接続される。演算処理回路16は画像処理回路21に所定の画像データを送る。画像処理回路21には表示装置22が接続される。接続にあたって画像処理回路21には所定のインターフェース回路(図示されず)が接続される。画像処理回路21は、入力される画像データに応じて表示装置22に画像信号を送る。表示装置22の画面には画像信号で特定される画像が表示される。表示装置22には液晶ディスプレイその他のフラットパネルディスプレイが利用される。ここでは、演算処理回路16、記憶装置18および画像処理回路21は例えばコンピューター装置として提供される。
【0021】
演算処理回路16には入力装置23が接続される。入力装置23は少なくともアルファベットキーおよびテンキーを備える。入力装置23から文字情報や数値情報が演算処理回路16に入力される。入力装置23は例えばキーボードで構成されればよい。
【0022】
(2)三次元二重振子モデル
演算処理回路16は仮想空間を規定する。仮想空間は三次元空間で形成される。図2に示されるように、三次元空間は絶対基準座標系Σxyzを有する。三次元空間には絶対基準座標系Σxyzに従って三次元二重振子モデル31が構築される。三次元二重振子モデル31は第1リンク32および第2リンク33を備える。第1リンク32は支点34(座標x)に点拘束される。したがって、第1リンク32は支点34回りで三次元的に振り子として動作する。支点34の位置は移動することができる。第2リンク33は第1リンク32に関節35(座標x)で点拘束される。したがって、第2リンク33は関節35回りで第1リンク32に対して振り子として動作することができる。この三次元二重振子モデル31では、第1および第2リンク32、33の質量m、m、第1リンク32の支点34回りの慣性テンソルJ、並びに、第2リンク33の関節35回りの慣性テンソルJを特定する必要がある。ここでは、絶対基準座標系Σxyzに従って、第1リンク32の重心36の位置は座標xg1で特定され、第2リンク33の重心37の位置は座標xg2で特定され、クラブヘッド38の位置は座標xh2で特定される。
【0023】
三次元二重振子モデル31はゴルファーGおよびゴルフクラブ14をモデル化したものに相当する。第1リンク32の支点34はゴルファーGの上半身のおよそ両肩の中心位置を投影する。関節35はグリップを投影する。第2リンク33はゴルフクラブ14を投影する。第1慣性センサー12はゴルファーの上肢15に固定される。両肩の中心位置は第1慣性センサー12に対して相対的に固定されることができる。絶対基準座標系Σxyzに従って第1慣性センサー12の位置は座標xs1で特定される。第2慣性センサー13は第2リンク33に固定される。絶対基準座標系Σxyzに従って第2慣性センサー13の位置は座標xs2で特定される。第1慣性センサー12および第2慣性センサー13はそれぞれ加速度信号および角速度信号を出力する。加速度信号では、重力加速度gの影響を含む加速度
【数1】
が特定され、角速度信号では角速度ω、ωが特定される。
【0024】
演算処理回路16は第1慣性センサー12に局所座標系Σs1を固定する。局所座標系Σs1の原点は第1慣性センサー12の検出軸の原点に設定される。局所座標系Σs1のy軸上に関節35が設定される。したがって、この局所座標系Σs1上の関節35の位置lsj1は(0,lsj1y,0)で特定される。同様に、この局所座標系Σs1上の支点34の位置ls0および重心36の位置lsg1はそれぞれ(ls0x,ls0y,ls0z)および(lsg1x,lsg1y,lsg1z)で特定される。
【0025】
演算処理回路16は同様に第2慣性センサー13に局所座標系Σs2を固定する。局所座標系Σs2の原点は第2慣性センサー13の検出軸の原点に設定される。局所座標系Σs2のy軸はゴルフクラブ14の軸心に一致する。したがって、この局所座標系Σs2に従って関節35の位置lsj2は(0,lsj2y,0)で特定される。同様に、この局所座標系Σs2上では重心37の位置lsg2は(0,lsg2y,0)で特定され、クラブヘッド38の位置は位置lsh2は(0,lsh2y,0)で特定される。
【0026】
(3)演算処理回路の構成
図3は演算処理回路16の構成を概略的に示す。演算処理回路16は要素演算部44を備える。要素演算部44には第1慣性センサー12および第2慣性センサー13から加速度信号および角速度信号が入力される。要素演算部44は、加速度および角速度に基づき、エネルギー変化率の演算に要求される成分値を算出する。算出にあたって要素演算部44は記憶装置18から様々な数値を取得する。
【0027】
要素演算部44は第1力演算部45を備える。第1力演算部45は第2リンク33に作用する第1関節間力Fを算出する。算出にあたって第1力演算部45は第2慣性センサー13の加速度信号およびゴルフクラブ14の第1質量データを取得する。第1質量データにはゴルフクラブ14の質量mが記述される。第1質量データは予め記憶装置18に格納されればよい。次式に従って第1関節間力Fは算出される。
【数2】
このとき、
【数3】
は第2リンク33の重心37の加速度を示す。定数gは重力加速度を示す。重心37の加速度は第2慣性センサー13の計測値から算出される。第1力演算部45は第1関節間力信号を出力する。第1関節間力信号で第1関節間力Fの値は特定される。
【0028】
要素演算部44は第2力演算部46を備える。第2力演算部46は第1リンク32に作用する第2関節間力Fを算出する。算出にあたって第2力演算部46は第1慣性センサー12の加速度信号、第2質量データおよび第1関節間力信号を取得する。第2質量データには上肢15の質量mが記述される。第2質量データは予め記憶装置18に格納されればよい。次式に従って第2関節間力Fは算出される。
【数4】
このとき、
【数5】
は第1リンク32の重心36の加速度を示す。重心36の加速度は第1慣性センサー12の計測値から算出される。第2力演算部46は第2関節間力信号を出力する。第2関節間力信号で第2関節間力Fの値は特定される。
【0029】
要素演算部44は第1トルク演算部47を備える。第1トルク演算部47は、関節35回りに第2リンク33に作用するトルクτを算出する。算出にあたって第1トルク演算部47は第2慣性センサー13の角速度信号、第1慣性テンソルデータ、第1位置データ、第2位置データおよび第1関節間力信号を取得する。第1慣性テンソルデータにはゴルフクラブ14の慣性テンソルJが記述される。第1位置データには局所座標系Σs2上の関節35の位置lsj2が記述される。第2位置データには局所座標系Σs2上の重心37の位置lsg2が記述される。第1慣性テンソルデータ、第1位置データおよび第2位置データは予め記憶装置18に格納されればよい。第1関節間力信号は第1力演算部45から送られればよい。次式に従ってトルクτは算出される。
【数6】
ここで、単位ベクトルel2はゴルフクラブ14のグリップエンドからクラブヘッドに向いた長軸方向を特定する。第1トルク演算部47は第1トルク信号を出力する。第1トルク信号でトルクτの値は特定される。
【0030】
要素演算部44は第2トルク演算部48を備える。第2トルク演算部48は支点34回りに第1リンク32に作用するトルクτを算出する。算出にあたって第2トルク演算部48は第1慣性センサー12の角速度信号、第2慣性テンソルデータ、第3位置データ、第4位置データ、第5位置データ、第1関節間力信号、第2関節間力信号および第1トルク信号を取得する。第2慣性テンソルデータには上肢15の慣性テンソルJが記述される。第3位置データには局所座標系Σs1上の支点34の位置ls0が記述される。第4位置データには局所座標系Σs1上の関節35の位置lsj1が記述される。第5位置データには局所座標系Σs1上の重心36の位置lsg1が記述される。第2慣性テンソルデータ並びに第3〜第5位置データは予め記憶装置18に格納されればよい。第1関節間力信号は第1力演算部45から送られればよい。第2関節間力信号は第2力演算部46から送られればよい。第1トルク信号は第1トルク演算部47から送られればよい。次式に従ってトルクτは算出される。
【数7】
ここで、単位ベクトルel1は第1リンク32の長軸方向を特定する。第2トルク演算部48は第2トルク信号を出力する。第2トルク信号でトルクτの値は特定される。
【0031】
要素演算部44は第1速度演算部49を備える。第1速度演算部49は支点34の移動速度を算出する。算出にあたって第1速度演算部49は第1慣性センサー12の加速度信号および角速度信号並びに第3位置データを取得する。第1速度演算部49は次式に従って支点34の加速度を算出する。
【数8】
算出された加速度は次式に従って積分される。
【数9】
その結果、支点34(座標x)の移動速度は算出される。ただし、初期速度はゼロとする。第1速度演算部49は第1速度信号を出力する。第1速度信号で支点34の移動速度が特定される。
【0032】
要素演算部44は第2速度演算部51を備える。第2速度演算部51は関節35の移動速度を算出する。算出にあたって第2速度演算部51は第1慣性センサー12の加速度信号および角速度信号並びに第4位置データを取得する。第2速度演算部51は次式に従って関節35の加速度を算出する。
【数10】
算出された加速度は次式に従って積分される。
【数11】
その結果、関節35(座標x)の移動速度は算出される。ただし、初期速度はゼロとする。第2速度演算部51は第2速度信号を出力する。第2速度信号で関節35の移動速度は特定される。
【0033】
演算処理回路16はエネルギー変化率演算部52を備える。エネルギー変化率演算部52には第1慣性センサー12および第2慣性センサー13から角速度信号が供給される。エネルギー変化率演算部52には、同様に、要素演算部44から第1および第2関節間力信号、第1および第2トルク信号、並びに、第1および第2速度信号が入力される。エネルギー変化率演算部52は、これら信号に基づきいくつかのエネルギー変化率を算出する。
【0034】
エネルギー変化率演算部52は第1演算部53を備える。第1演算部53は、ゴルファーGの上肢15で生成される第1エネルギーのエネルギー変化率を算出する。算出にあたって第1演算部53は要素演算部44から第2トルク信号を取得し第1慣性センサー12から角速度信号を取得する。トルクτおよび角速度ωに基づき第1エネルギー量のエネルギー変化率は次式に従って算出される。
【数12】
第1エネルギーはゴルファーGのスイング動作で上肢15に流入するエネルギーに相当する。第1演算部53は第1エネルギー変化率信号を出力する。第1エネルギー変化率信号で第1エネルギー量のエネルギー変化率が特定される。
【0035】
エネルギー変化率演算部52は第2演算部55を備える。第2演算部55は、ゴルファーGの上肢15からゴルフクラブ14に伝達される第2エネルギー量のエネルギー変化率を算出する。算出にあたって第2演算部55は要素演算部44から第1関節間力信号および第2速度信号を取得する。第1関節間力Fおよび関節35の移動速度に基づき第2エネルギー量のエネルギー変化率は次式に従って算出される。
【数13】
第2演算部55は第2エネルギー変化率信号を出力する。第2エネルギー変化率信号で第2エネルギー量のエネルギー変化率が特定される。
【0036】
エネルギー変化率演算部52は第3演算部57を備える。第3演算部57はゴルファーGの上肢15すなわち第1リンク32の第2関節間力Fに由来する第3エネルギー量のエネルギー変化率を算出する。算出にあたって第3演算部57は要素演算部44から第2関節間力信号および第1速度信号を取得する。次式に従って第3エネルギー量のエネルギー変化率は算出される。
【数14】
第3演算部57は第3エネルギー変化率信号を出力する。第3エネルギー変化率信号で第3エネルギー量のエネルギー変化率が特定される。
【0037】
エネルギー変化率演算部52は第4演算部58を備える。第4演算部58は、ゴルフクラブ14に作用するトルクτに由来する第4エネルギー量のエネルギー変化率を算出する。算出にあたって第4演算部58は要素演算部44から第1トルク信号を取得し第1慣性センサー12から角速度信号を取得する。次式に従って第4エネルギー量のエネルギー変化率は算出される。
【数15】
第4演算部58は第4エネルギー変化率信号を出力する。第4エネルギー変化率信号で第4エネルギー量のエネルギー変化率が特定される。
【0038】
演算処理回路16はエネルギー変化率反転検出部61を備える。エネルギー変化率反転検出部61は総エネルギー変化率信号のゼロクロスのタイミングを特定する。ここで言うゼロクロスとは、総エネルギー変化率信号の値が「0(ゼロ)」を通過するタイミング、総エネルギー変化率信号の値がプラスからマイナスに転じるタイミング、または、総エネルギー変化率のプラスとマイナスのバランスを特定するタイミングを意味する。総エネルギー変化率は、次式に従って、第1エネルギー量のエネルギー変化率、第2エネルギー量のエネルギー変化率、第3エネルギー量のエネルギー変化率および第4エネルギー量のエネルギー変化率に基づき形成される。
【数16】
エネルギー変化率反転検出部61はゼロクロス信号を出力する。ゼロクロス信号で総エネルギー変化率の時系列変化が特定される。時系列変化に基づきゼロクロスのタイミングは特定される。
【0039】
演算処理回路16は画像データ生成部62を備える。画像データ生成部62はエネルギー変化率反転検出部61に接続される。画像データ生成部62にはエネルギー変化率反転検出部61からゼロクロス信号が入力される。画像データ生成部62は、ゼロクロス信号に基づき、総エネルギー変化率信号を時系列で視覚化する第1画像データを生成する。第1画像データは画像処理回路21に向かって出力される。
【0040】
図4に示されるように、演算処理回路16は第1姿勢演算部65および第2姿勢演算部66をさらに備える。第1姿勢演算部65は第1慣性センサー12の姿勢を算出する。算出にあたって第1姿勢演算部65には第1慣性センサー12から角速度信号が供給される。角速度信号の生成にあたって第1慣性センサー12には直交三軸のセンサー座標系に従って検出軸が確立される。角速度信号はセンサー座標系に従ってx軸回りの角速度ω、y軸回りの角速度ωおよびz軸回りの角速度ωを特定する。第1慣性センサー12は単位時間ごとに第1慣性センサー12の姿勢変化を回転行列として表現する。例えば時刻tの姿勢が回転行列Rで表されるとすると、次の時刻(t+1)の姿勢は次式に従って回転行列Rt+1で表現される。
【数17】
ここで、
【数18】
は(t+1)時点での角速度を示し、dtは第1慣性センサー12のサンプリング間隔に該当する。第1姿勢演算部65は第1姿勢データを出力する。第1姿勢データは絶対基準座標系Σxyzに従って第1慣性センサー12の姿勢を記述する回転行列RS1を特定する。
【0041】
第1慣性センサー12の姿勢の算出にあたって第1姿勢演算部65には初期姿勢データが供給される。初期姿勢データは記憶装置18に格納されることができる。初期姿勢データは初期姿勢の回転行列Rを特定する。この回転行列Rは第1慣性センサー12の初期姿勢を表す。回転行列Rは絶対基準座標系Σxyzとセンサー座標系との関係を記述する。回転行列Rの働きでセンサー座標系の座標値は絶対基準座標系Σxyzの座標値に変換されることができる。初期姿勢の回転行列Rと(t+1)時点の回転行列Rt+1との積で絶対基準座標系Σxyzに従って第1慣性センサー12の姿勢は時系列で特定されることができる。初期姿勢の回転行列Rはスイング開始時の第1慣性センサー12の姿勢から決定される。ここでは、初期姿勢の回転行列Rには規定の設定値が当てはめられる。その他、第1慣性センサー12の初期姿勢は仰角および方位角に基づき決定されてもよい。仰角は例えば加速度センサーの出力に基づき決定されることができ、方位角は例えば磁気センサーの出力に基づき決定されることができる。
【0042】
第2姿勢演算部66は、第1姿勢演算部65と同様に、第2慣性センサー13の姿勢を算出する。第2姿勢演算部66は第2姿勢データを出力する。第2姿勢データは絶対基準座標系Σxyzに従って第2慣性センサー13の姿勢を記述する回転行列RS2を特定する。
【0043】
演算処理回路16は第1ベクトル演算部67および第2ベクトル演算部68を備える。第1ベクトル演算67部には第1姿勢演算部65の出力が供給される。第2ベクトル演算部68には第2姿勢演算部66の出力が供給される。第1および第2ベクトル演算部67、68はそれぞれ回転行列RS1、RS2に基づき次式に従って第1および第2慣性センサー12、13のy軸方向のベクトルr、rを算出する。
【数19】
第1および第2ベクトル演算部67、68はそれぞれベクトルデータを出力する。ベクトルデータは第1および第2慣性センサー12、13のy軸方向のベクトルr、rを特定する。
【0044】
演算処理回路16は相対角度演算部69を備える。相対角度演算部69には第1および第2ベクトル演算部67、68からベクトルデータが供給される。相対角度演算部69はベクトルr、rに基づき次式に従ってベクトルrおよびベクトルrの間で相対角度θを特定する。
【数20】
相対角度演算部69は相対角度データを出力する。相対角度データは絶対基準座標系Σxyzに従って相対角度θを特定する。相対角度データは画像処理部61に供給される。画像処理部61は、時間軸に沿って相対角度θの変化を視覚化する第2画像データを生成する。
【0045】
(4)ゴルフスイング解析装置の動作
ゴルフスイング解析装置11の動作を簡単に説明する。まず、ゴルファーGのゴルフスイングは計測される。計測に先立って必要な情報が入力装置23から演算処理回路16に入力される。ここでは、三次元二重振子モデル31に従って、第1および第2リンク32、33の質量m、m、第1リンク32の支点x回りの慣性テンソルJ、第2リンク33の関節x回りの慣性テンソルJ、第1リンク32の長さ(支点xから関節xまで)l、第1リンク32の支点xから重心xg1までの長さlg1、第1リンク32および第2リンク33の間の関節xから重心xg2までの長さlg2、l軸方向の単位ベクトルel1、l軸方向の単位ベクトルel2、局所座標系Σs1に従った支点34の位置ls0、局所座標系Σs1に従った関節35の位置lsj1、第1慣性センサー12の初期姿勢の回転行列R、並びに、第2慣性センサー13の初期姿勢の回転行列Rの入力が促される。入力された情報は例えば特定の識別子の下で管理される。識別子は特定のゴルファーGを識別すればよい。
【0046】
計測に先立って第1および第2慣性センサー12、13がゴルフクラブ14およびゴルファーの上肢15に取り付けられる。上肢15は右打ちなら左腕が選ばれればよい。左腕であれば、ゴルフスイングの開始からインパクトまで肘の曲がりが少ないからである。第1および第2慣性センサー12、13はゴルフクラブ14および上肢15に相対変位不能に固定される。
【0047】
ゴルフスイングの実行に先立って第1および第2慣性センサー12、13の計測は開始される。計測の開始時に第1および第2慣性センサー12、13は所定の位置および姿勢に設定される。これらの位置および姿勢は初期姿勢の回転行列Rで特定されるものに相当する。計測中、第1および第2慣性センサー12、13の間では同期が確保される。第1および第2慣性センサー12、13は特定のサンプリング間隔で継続的に加速度および角速度を計測する。サンプリング間隔は計測の解像度を規定する。第1および第2慣性センサー12、13の検出信号はリアルタイムで演算処理回路16に送り込まれてもよく一時的に慣性センサー12、13に内蔵の記憶装置に格納されてもよい。後者の場合には、ゴルフスイングの終了後に検出信号は有線または無線で演算処理回路16に送られればよい。
【0048】
検出信号の受領に応じて演算処理回路16はゴルフスイングの解析を実行する。解析はゴルフスイングの開始から終了までの間で実施されてもよくゴルフスイングの開始からインパクトまでの間で実施されてもよい。その結果、演算処理回路16は、相対角度θや総エネルギー変化率を算出する。これら相対角度θや総エネルギー変化率の算出に応じて画像データ部62は第1および第2画像データを生成する。第1および第2画像データは表示処理回路21に供給される。その結果、表示装置22の画面上には所望の画像が表示される。
【0049】
本発明者はゴルフスイング解析装置11の動作を検証した。レッスンプロのスイングとアマチュアゴルファーのスイングとが比較された。本発明者はレッスンプロの相対角度θを観察した。図5に示されるように、レッスンプロのスイングではトップからインパクトまで緩やかに相対角度θが低下することが確認された。特に、相対角度θ=100°を過ぎる頃から低下の勾配が増大することが確認された。その一方で、図6に示されるように、アマチュアゴルファーのスイングでは、ある時刻まで相対角度θ=80°が維持され、その後、急激に相対角度θが低下することが確認された。こうして上肢15とゴルフクラブ14との相対角度θが観察されると、ゴルフクラブに効率的にエネルギーを伝達することができるゴルフスイングのフォームは導き出されることができる。ゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。
【0050】
本発明者はレッスンプロの総エネルギー変化率信号を観察した。図7に示されるように、レッスンプロのスイングでは比較的に早い段階で上肢15の総エネルギー変化率のゼロポイント(図中のゼロクロス)が確認された。図8に示されるように、ゴルフクラブ14がダウンスイング中の比較的に高い位置で上肢15の総エネルギー変化率がプラスからマイナスに転じることが確認された。スイングの比較的に早い段階で関節35回りにゴルフクラブ14の振子運動が開始されることが確認された。その一方で、図9に示されるように、アマチュアゴルファーのスイングではインパクトの直前で上肢15の総エネルギー変化率のゼロポイント(図中のゼロクロス)が確認された。図10に示されるように、ゴルフクラブ14がダウンスイング中の比較的に低い位置で上肢15の総エネルギー変化率がプラスからマイナスに転じることが確認された。関節35回りのゴルフクラブ14の振子運動が伝達率ηの向上に寄与することが予測されることができる。こうして総エネルギー変化率のゼロクロスが観察されれば、ゴルフクラブに効率的にエネルギーを伝達することができるゴルフスイングのフォームは導き出されることができる。ゴルフスイングのフォームに関して指標は提供されることができる。例えばフォームの変更と観察とが繰り返されることで、試行錯誤を通じてゴルフスイングのフォームには良好な改良が加えられることができる。加えて、図5および図6に示されるように、ゼロクロスのタイミングが上肢15およびゴルフクラブ14の相対角度θに関連づけられると、さらに良好なフォームの解析は実現されることができる。
【0051】
ゴルフスイング解析装置11ではゴルファーGの上半身の特定部位すなわち上肢15が三次元二重振子モデル31の第1リンク32を形成し、ゴルフクラブ14は三次元二重振子モデル31の第2リンク33を形成する。こうしてゴルフスイングはモデル化される。三次元二重振子モデル31は比較的に高い精度でゴルフスイングを動力学的に再現することができる。こうしてゴルフスイングは効果的に解析される。加えて、第1リンク32の支点34はゴルファーGの両肩を結ぶ直線の中央に位置する。第1リンク32および第2リンク33の関節35はゴルフクラブ14のグリップに位置する。こうしてゴルフスイングは精度よく解析される。
【0052】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、ゴルフスイング解析装置11、第1および第2慣性センサー12、13、演算処理回路16等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
11 ゴルフスイング解析装置、12 第1慣性センサー、13 第2慣性センサー、14 ゴルフクラブ、15 上半身の部位(上肢)、31 三次元二重振子モデル、32 第1リンク、33 第2リンク、34 支点、35 関節、61 エネルギー変化率反転検出部、69 演算部(相対角度演算部)、G ゴルファー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10