(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路のうち、前記高発熱体が実装されている部分に、前記高発熱体が発する熱を広い範囲に拡散させる高熱伝導率部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る発光装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態は、本発明に係る発光装置を
図1に示した交通信号灯200の各色(赤色、橙色、青緑色)にそれぞれ対応したLED光源ユニット100(発光装置)に適用した例である。なお、交通信号灯の色は、赤、黄、青と表現することがある。
【0015】
(構成)
図1に示した交通信号灯200は、中空角柱状の本体ケース150に、3つのLED光源ユニット100,100,100が鉛直方向に並んで配置され、各LED光源ユニット100の上縁に沿って庇160が設けられている。
【0016】
本実施形態の交通信号灯200は、
図1に示したように、灯火部である3つのLED光源ユニット100が縦に並んだものであるが、3つのLED光源ユニット100が横に並んだものであってもよい。
【0017】
ただし、積雪地向けの交通信号灯200としては、図示のように、LED光源ユニット100が縦に並んだ縦型のものの方が着雪は少なく、雪害対応の観点で有利である。
【0018】
各LED光源ユニット100は、
図2,3に示すように、略円板皿状に形成された保護カバー10(カバー)と、渦巻き状に形成された電気回路20(回路)と、断熱カバー70と、光を反射させるリフレクタ80(反射部材)と、ゴムパッキン90とを備えている。
【0019】
保護カバー10は、例えばポリカーボネートにより形成されていて、後述するLED素子22(発光体:
図5等参照)から出射された光Lを透過させる透光性を有している。
【0020】
この保護カバー10は、厚さが略均一で、外面10aが緩やかな凸の曲面(例えば球面)で形成され、内面10bは緩やかな凹の曲面に形成されている。
【0021】
外面10aが曲面で形成されていることにより、太陽光などの強い光が保護カバー10に照射されたときであっても、外面10aで反射した光が、平面の場合のように外面10aの全面に亘って反射し、その反射光の向きが特定の一方向に揃うのを防ぐことができる。
【0022】
この結果、どこから交通信号灯200を見ても、太陽光が映り込むことによる強い反射光の影響でLED光源ユニット100から発光した光Lの全てを視認できなくなるのを防止することができる。つまり、太陽光が映り込んでいない部分でLED光源ユニット100から発光した光Lを視認することができる。
【0023】
一方、保護カバー10自体の厚さは略均一であることが、後述する熱の伝達の観点から好ましいため、内面10bも緩やかな曲面となっているが、この内面10bには、後述の電気回路20の基板21が接して設けられるため、基板21が接する部分には、
図4に示すように、底が平面の溝10cが形成されている。
【0024】
この溝10cの底に、基板21が接して配置されることで、保護カバー10と基板21との密着性を高め、両者の接触を安定させることができる。
【0025】
電気回路20は、
図5に示すように、渦巻き状に形成された基板21の実装面21a(他方の面)に、36個のLED素子22(発光体)と、LED素子22を定電流で発光させるために駆動する3個の駆動部品25(高発熱体)とが実装されている。
【0026】
実装面21aに実装された36個のLED素子22は、それぞれLEDチップがパッケージ実装されたものであり、3個の駆動部品25は、例えばそれぞれトランジスタ(MOS−FET)である。なお、駆動部品25はLED素子22よりも、伝熱量が格段に大きい。
【0027】
これら36個のLED素子22および3個の駆動部品25は、渦巻き状の基板21が延びる方向に沿って一列に分布して設けられている。
【0028】
基板21の、実装面21aの裏面(一方の面)には、
図6に示すように、実装された駆動部品25に交流の商用電源で電力を供給する、銅箔等による電源配線26bが形成されている。以下、この電源配線26bが形成された面を配線面21bという。
【0029】
なお、実装面21aにも、LED素子22同士やLED素子22と駆動回路とを接続する銅箔等によるLED間信号線26cが形成されている。
【0030】
電気回路20は、その外径が保護カバー10の内面10bの直径よりもわずかに小さい程度に形成されていて、
図7に示すように、基板21の配線面21bが保護カバー10の内面10bに形成された溝10cの底に接して設けられている。保護カバー10に対する基板21の接着は、例えば、熱伝導性の良い接着剤や両面テープ等が用いられている。
【0031】
そして、電気回路20が保護カバー10に接着された状態で、36個のLED素子22は、保護カバー10の内面10bの全面に亘る領域(特定の領域)内で、おおよそ均一に分布した配置となる。
【0032】
一方、3個の駆動部品25は、36個のLED素子22が分布して配置された領域のうちの一部である、
図7における下部の領域10d(小領域)に集中して(纏められて)設けられている。ここで、駆動部品25は、スルーホールを介して、基板21の配線面21bに設けた信号線により駆動回路と接続されている。これによって駆動部品25は実装面21aの任意の場所に配置することができる。
【0033】
基板21の配線面21bが保護カバー10の内面10bに接着されていることで、実装面21aの各LED素子22から出射された光Lは、リフレクタ80に向かう方向に進む。
【0034】
基板21は、例えば、50〜400[μm]程度の厚さで形成され基材FR4(Flame Retardant Type 4)に銅箔で電源配線26bおよびLED間信号線26cを形成し、透明なレジストを塗布したガラスエポキシ基板であり、基材の部分は光Lを含めて可視光線をある程度透過するが、電源配線26bおよびLED間信号線26cの部分は光Lを透過しない。ここで、基板21の基材はガラスエポキシ基板に限定するものではなく、光学透過特性を有するものとして耐熱透明フィルム、例えば透明ポリイミドフィルムが望ましい。
【0035】
基板21に実装された36個のLED素子22と3個の駆動部品25および駆動回路と電源配線26bおよびLED間信号線26cとによって構成された電気回路は、
図8に示すものとなっている。
【0036】
基板21に実装された36個のLED素子22のうち、
図5に示した基板21の渦巻きの外周部分に配置されている17個のLED素子22は、
図8の回路図における1段目のLEDブロック22Aに対応し、残りの19個のLED素子22は、
図8の回路図における2段目のLEDブロック22Bに対応している。
【0037】
電気回路20の実装面21aのうち、各駆動部品25が実装されている部分には、
図9に示すように、LED間信号線26cに比べて広い面積の銅箔27(高熱伝導率部材)が貼られている。
【0038】
これらの銅箔27は、対応する駆動部品25の放熱電極が発する高熱を広い範囲に拡散させるものであり、熱伝導率の高い材質であれば、銅箔27に限らず、銀箔、金箔、アルミ箔等を種々のものを適用することができる。また、導電性銀ペーストをスクリーン印刷したパターンを適用することもできる。
【0039】
さらに、基板21のうち、駆動部品25の放熱電極に近接した部分には、銅箔27,28も含めて、実装面21aから配線面21bに貫通する複数のスルーホール29a(高熱伝導率部材)が形成されている。
【0040】
なお、基板21の実装面21aに貼られた銅箔27および配線面21bに貼られた銅箔28(
図10参照)には、互いに重なる位置に実装面21aの側から配線面21bの側に向けて光Lを透過させる透過孔29bが多数形成されている。
【0041】
本実施形態における電気回路20は、1段目のLEDブロック22Aと2段目のLEDブロック22Bとにグループ分けした構成としたことにより、配線面21bにおける電源配線26bは、1段目のLEDブロック22Aに属するLED素子22の部分では、
図11に示すように2本の配線となり、2段目のLEDブロック22Bに属するLED素子22の部分では、
図12に示すように1本の配線となる。
【0042】
なお、実装面21aに配線されるLED間信号線26cは、配線面21bの電源配線26bとそれぞれ重なるように配置されていて、基板21のうち電源配線26bおよびLED間信号線26cが貼られていない部分の領域を広くしている。
【0043】
各LED素子22にはダイヒートシンクが備えられていて、基板21のうち、LED素子22のダイヒートシンクの近傍には、実装面21aから配線面21bに貫通する複数のスルーホール29a(高熱伝導率部材)が形成されている。
【0044】
断熱カバー70は、保護カバー10と同様に光Lを透過する透光性を有し、基板21上のLED素子22に対向する、
図13に示したおもて面70aは、保護カバー10の内面10bの曲面に略沿うような曲面で形成されている。
【0045】
そして、このおもて面70aには、36個の凹んだ凹部71が形成されている。これら36個の凹部71は、保護カバー10に接着された電気回路20の36個のLED素子22の位置にそれぞれ対応した位置に形成されていて、
図14に示すように、各凹部71が対応するLED素子22の周囲を囲み、保護カバー10と断熱カバー70とによって、各LED素子22の周囲を小さい空間に仕切っている。
【0046】
また、断熱カバー70は、3個の駆動部品25が集中して配置されている領域(
図5における下部の領域10d)に対応した範囲を囲む、輪郭形状が例えば概略扇形状の凹み部72が形成されている。
【0047】
この凹み部72においては、断熱カバー70のおもて面70bが、他の部分におけるおもて面70aよりも低く形成されていて、下部の領域10dに集中して配置されている3個の駆動部品25を一体的に囲んでいる。
【0048】
また、凹み部72には、
図15に示すように、3個の駆動部品25の他に11個のLED素子22も含まれ、これら3個の駆動部品25および11個のLED素子22は、
図16に示すように、保護カバー10と断熱カバー70とによって囲まれ、保護カバー10の内面10bと断熱カバー70のおもて面70aとの間に形成された隙間73および11個の凹部71からなる単一の空間74内に閉じこめられている。
【0049】
リフレクタ80は、電気回路20および断熱カバー70を挟んで、保護カバー10とは反対の側に、電気回路20の実装面21aに対向して配置されている。
【0050】
リフレクタ80の、断熱カバー70に対向したおもて面80aには、
図17に示すように、36個の凹反射面81が形成されている。これら36個の凹反射面81は、保護カバー10に接着された電気回路20の36個のLED素子22の位置にそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0051】
各凹反射面81はそれぞれ、
図18に示すように、対応するLED素子22から出射され、断熱カバー70を透過して入射した光Lを、保護カバー10に向けて反射させる。
【0052】
凹反射面81で反射され、保護カバー10に向かった光Lは、その一部が、保護カバー10に接着された電気回路20の、駆動部品25や銅箔の電源配線26b、LED間信号線26cなどによって遮られるが、残りの大部分の光Lは電気回路20が接着されている部分以外の部分、基板21のスルーホール29aおよび透過孔29b、並びに基板21の電源配線26bやLED間信号線26cが貼られていない部分などを通って保護カバー10を透過し、外部に出射される。
【0053】
なお、この凹反射面81は、LED素子22の発光点を焦点とする略放物面で形成されていて、反射した光Lを略平行光にする。
【0054】
ここで、各凹反射面81の中心部分、すなわち、LED素子22の発光点の鉛直下方の部分は、略円錐状に盛り上がって形成されている。
【0055】
この盛り上がった円錐の斜面81aは、LED素子22の発光点から鉛直下方に出射した光LをLED素子22に反射させないように形成されている。
【0056】
つまり、凹反射面81が単なる放物面の場合、鉛直下方に出射し放物面で反射した光Lは、LED素子22にそのまま戻るため、反射した光LはLED素子22自体により遮光されて外部に出射されなくなる。
【0057】
しかし、本実施形態における凹反射面81のように、略円錐状に突出した部分が形成されていると、LED素子22の発光点から鉛直下方に出射した光Lは、その円錐の斜面81aで反射し、凹反射面81の他の部分でさらに反射して、LED素子22に戻らず、外部に出射される。
【0058】
したがって、LED素子22自体による遮光を減らすことができる。
【0059】
また、リフレクタ80の周縁の枠部82には、電気回路20に外部の制御機器から商用電源等の電力を供給するための電力線が接続されるコネクタ88が形成されている。
【0060】
コネクタ88と電気回路20の電極26a,26aとは、図示を省略した電線によって接続されていて、その電線は、リフレクタ80および断熱カバー70を貫いて配線されている。
【0061】
ゴムパッキン90は、保護カバー10、断熱カバー70およびリフレクタ80の周縁に密着して、これら保護カバー10、断熱カバー70およびリフレクタ80を、
図2に示すように一体化して保持し、保護カバー10とリフレクタ80とで仕切られた内部の空間に雨や雪などが侵入するのを阻止している。
【0062】
(作用、効果)
以上のように構成された本実施形態のLED光源ユニット100によれば、コネクタ88を通じて供給された電力により、電気回路20の各駆動部品25が駆動され、各駆動部品25の駆動によって、各LED素子22から、リフレクタ80に向けて光Lが出射される。
【0063】
各LED素子22から出射した光Lは、断熱カバー70を透過してリフレクタ80の、各LED素子22に対応する凹反射面81で反射され、この凹反射面81で平行光とされ、断熱カバー70および保護カバー10を透過して、外部に出射される。
【0064】
外部に出射された光Lは、自動車等の運転者や歩行者などによって視認され、交通信号灯200のLED光源ユニット100としての機能を発揮する。
【0065】
なお、既述したように、保護カバー10に太陽光などの強い光が照射されていても、保護カバー10の外面10aは曲面であるため、外部において、LED光源ユニット100から出射した光Lの全てが、強い光の反射光によって遮られることはなく、光Lの少なくとも一部は視認可能となっている。
【0066】
保護カバー10には電気回路20が接着されているが、電気回路20の各駆動部品25は、定電流駆動のためのトランジスタであり、そのトランジスタによる伝熱量が大きいため、非常に高温となる。
【0067】
この駆動部品25が発した熱は、基板21を介して保護カバー30に熱伝導により直接伝達し、保護カバー10を温める。
【0068】
これにより、保護カバー10の外面10aに雪や氷などが付着した場合であっても、この駆動部品25から保護カバー10に伝達された熱によって、付着した雪や氷を溶かすことができ、付着した雪や氷によって光Lが遮られるのを防止することができる。
【0069】
しかも、本実施形態のLED光源ユニット100は、3個の駆動部品25が、LED素子22が略均一に分布している、保護カバー10の内面10bの全体領域(特定の領域)よりも小さい、
図7における下部の領域10d(小領域)に纏められて配置されているため、個々の駆動部品25によって雪や氷などがそれぞれ溶かされた領域同士が繋がり、溶かされた領域は一つの大きな領域となる。
【0070】
つまり、3個の駆動部品25が分散して配置されているものでは、個々の駆動部品25の発熱によって、駆動部品25のそれぞれに対応した領域において雪や氷などは溶かされるが、その溶かされる個々の領域は極めて小さい。
【0071】
したがって、雪や氷が溶かされた個々の領域から外部に出射される光Lは、外部への出射領域がそれぞれ狭いため、外部からその光Lを視認する場合、小さな面積で発光するものとなり、視認性は必ずしも高くはない。
【0072】
特に、LED光源ユニット100からの距離が遠く離れた外部から視認する場合には、小さい面積で発光する光Lと、この光L以外の自然光や高い建物等からの光などとの識別が困難になったり、場合によっては、光Lそのものを視認できないことも起こり得る。
【0073】
これに対して、本実施形態のLED光源ユニット100によれば、3個の駆動部品25が、36個のLED素子22が分散して配置されている範囲よりも狭い領域に纏められて配置されていることにより、その一つに纏まった領域に対応する雪や氷等を溶かすことができ、雪や氷等で遮光されずに外部に出射する光Lの出射面の面積が大きくなる。
【0074】
したがって、交通信号灯200の外部からその光Lを視認する場合、光Lの視認性を向上させることができるとともに、その光Lが交通信号灯200によるものであることも認識させ易くなる。
【0075】
また、交通信号灯200からの距離が遠く離れている場合であっても、LED光源ユニット100から出射した光Lとその他の光との識別性も向上させることができる。
【0076】
本実施形態のLED光源ユニット100は、3つの駆動部品25が、保護カバー10および断熱カバー70によって、断熱カバー70の凹み部72に対応した単一の空間74内に閉じこめられている。
【0077】
各駆動部品25から発せられた熱の一部は、前述したように、駆動部品25が接している保護カバー10に熱伝導により直接伝達するが、その熱伝達形式以外でも、空間74内の空気等を介した対流熱伝達によって保護カバー10に熱伝達される。勿論、熱放射により断熱カバー70に熱伝達し、さらに空間74内の空気等を介した対流熱伝達によって保護カバー10に熱伝達される。
【0078】
そして、本実施形態のLED光源ユニット100においては、3個の駆動部品25から発せられた熱は、周囲の空気に熱が伝達されるが、3個の駆動部品25は単一の空間74内に閉じこめられているため、その単一の空間74に閉じこめられている空気の熱は単一の空間74の外部に拡散することがない。
【0079】
つまり、単一の空間74に閉じ込められた空気は、その単一の空間74内だけで対流するため、単一の空間74に閉じ込められた空気の熱は外部に拡散せず、単一の空間74を仕切っている保護カバー10や断熱カバー70にのみ伝達され、熱を保護カバー10に効率よく伝達することができる。
【0080】
このように、保護カバー10は、接触による熱の伝達に加えて、空気の対流による熱の伝達も受けることで、保護カバー10の温度はより一層高められ、保護カバー10における、凹み部72に対応した領域の雪や氷等を溶かす性能を向上させることができる。
【0081】
なお、各LED素子22は、駆動部品25よりも伝熱量は小さいものの、熱は発するため、本実施形態のLED光源ユニット100は、各LED素子22の設置されている位置に対応した保護カバー10の部分についても、LED素子22が発する熱は、接触する保護カバー30に熱伝導により直接伝達して、雪や氷等を溶かすことができる。
【0082】
また、各LED素子22もそれぞれ、断熱カバー70の凹部71に閉じ込められているため、LED素子22から発せられた熱が、凹部71に閉じ込められている空気に対流熱伝達され、この閉じこめられている空気を介して対流熱伝達により、保護カバー10や断熱カバー70に伝えられる。
【0083】
したがって、保護カバー10は、熱伝達に加えて、対流による熱の伝達も受けることで、保護カバー10の温度をより一層高めることができ、雪や氷等を溶かす性能を向上させることができる。
【0084】
なお、断熱カバー70に形成された凹部71はLED素子22を個別に仕切って、LED素子22からの対流熱伝達により温められた空気の拡散を抑制するものであるが、凹み部72においては、3個の駆動部品25とともに含まれるように単一の空間74で一体的に仕切っていて、LED素子22を個別に仕切っていないため、凹部71を必ずしも形成する必要はない。
【0085】
しかし、凹み部72において凹部71が形成されていないものでは、凹部71が無いことで、おもて面70bが滑らかな曲面または平面となり、LED素子22から出射した光Lが、その平滑なおもて面70bで反射され易くなって、光Lがリフレクタ80へ適切に導かれないおそれがある。
【0086】
これに対して、本実施形態のLED光源ユニット100は、
図19に示すように、凹み部72においても各LED素子22に対応する凹部71がそれぞれ形成されていることで、LED素子22から出射した光Lを、リフレクタ80へ適切に導くことができる。
【0087】
また、電気回路20の実装面21aに、広い面積で貼られた銅箔27が、駆動部品25が発する高熱を広い範囲に拡散させることで、各駆動部品25の発熱によって雪や氷等を溶かすことのできる領域を拡げることができる。
【0088】
さらに、配線面21bに広い面積で貼られた銅箔28も、配線面21bの側で、各駆動部品25で発生した熱を広く拡散させることができる。
【0089】
しかも、実装面21aから配線面21bに貫通して形成された複数のスルーホール29aは、実装面21aと配線面21bとの間での熱の伝達性を高めることになるため、実装面21aの側に配設されている各駆動部品25の放熱電極で発せられた熱を、スルーホール29aを通じて、配線面21bの側に、効率よく伝達させることができ、電気回路20から保護カバー10への熱の伝達性を一層向上させることができる。
【0090】
なお、リフレクタ80で反射した光Lが銅箔27,28に照射されても、その照射された光Lの一部は、銅箔27,28に形成されている透過孔29bを透過するため、銅箔27,28によって駆動部品25の発熱の拡散性を向上させるとともに、透過孔29bによって、外部に出射される光Lの光量が低下するのを抑制することができる。
【0091】
また、電気回路20における2段目のLEDブロック22Bは、1段目のLEDブロック22Aよりも電源配線26bの数が少ないため、2段目のLEDブロック22Bにおける基板21の幅Wを、1段目のLEDブロック22Aにおける基板21の幅Wよりも細くすることができる。
【0092】
したがって、2段目のLEDブロック22Bでは、1段目のLEDブロック22Aよりも、電源配線26bによる遮光量を低減することができる。
【0093】
なお、実装面21aに配線されるLED間信号線26cは、配線面21bの電源配線26bに重なるように配置されることにより、基板21のうち電源配線26bおよびLED間信号線26cが貼られていない部分を広く確保することができ、この電源配線26bおよびLED間信号線26cが貼られていない部分に光Lを透過させることで、光Lの透過光量が低下するのを抑制することができる。
【0094】
また、LED素子22のダイヒートシンクの近傍に形成されたスルーホール29aは、実装面21aと配線面21bとの間での熱の伝達性を高めることになるため、実装面21aの側に配設されている各LED素子22のダイヒートシンクに伝達された熱を、スルーホール29aを通じて、配線面21bの側に、効率よく伝達させることができ、電気回路20から保護カバー10への熱の伝達性を向上させることができる。
【0095】
本実施形態のLED光源ユニット100は、渦巻き状の基板21にLED素子22や駆動部品25を実装したものであるが、本発明に係る発光装置における回路は、この実施形態のものに限定されるものではなく、少なくとも、LED素子22が実装される部分と駆動部品25が実装される部分とについてのみ基板21を有し、電源配線26bおよびLED間信号線26cに形成される部分については基板21を有しないものであってもよい。
【0096】
この場合、電源配線26bおよびLED間信号線26cを、保護カバー10の内面10bに直接接着することで、保護カバー10を基板21の代わりに利用することができる。
【0097】
また、基板21の形状は、渦巻き状のものに限定されるものではなく、複数のLED素子22を、保護カバー10の内面10bの全面に亘って略均一に分布して配置するとともに、複数の駆動部品25を、保護カバー10の内面10bの一部範囲72に纏めて配置するように、これら複数のLED素子22や複数の駆動部品25を実装するものであれば、いかなる形状のものであってもよい。
【0098】
さらにまた、電気回路20のLED素子22の数や駆動部品25の数は、それぞれ、少なくとも2個以上であれば何個であってもよく、本実施形態のものに限定されるものではない。
【0099】
3個の駆動部品25が纏められて配置された小領域は、本実施形態においては、36個のLED素子22が分布して配置された領域のうち下部の領域10dであるが、この小領域としては、下部の領域10dに限らず、36個のLED素子22が分布して配置された領域のうち中央部の領域や、外周縁の領域などであってもよい。
【0100】
交通信号灯200は、運転者や歩行者の目の位置よりも高い位置に設置されているのが一般的であるため、運転者等は交通信号灯200を見上げる姿勢となる。
【0101】
このため、保護カバー10の内面10bの全面のうち、運転者等の目の位置に相対的に近いのは、下部の領域10dであり、この下部の領域10dは、運転者等から見て相対的に大きく見える。
【0102】
よって、そのように大きく見える下部の領域10dを、光Lが遮られない領域とすることで、運転者等からの視認性を向上させることができる。
【0103】
一方、小領域として、保護カバー10の内面10bの全面のうち外周縁の領域を適用したものでは、その外周縁の雪等が溶かされることになるため、各LED光源ユニット100から発せられる光Lは、それぞれ円環(リング)状の輪郭を有するものとなる。
【0104】
交通信号灯200の光は一般的に円形であるが、円環状の光Lは、円形である交通信号灯200の光を連想させるため、自然光や他の光との識別性を高めることができる。
【0105】
また、小領域として、保護カバー10の内面10bの全面のうち中央部の領域を適用したものでは、保護カバー10の全面に雪等が付着しているときであっても、その中央部の領域の雪等が溶かされることになり、中央部の光Lが外部に出射されるが、それだけでなく、雪等が溶けて発生した水は下方に流れるため、その水によって、中央部よりも下方の領域に付着した雪等が流し落とされ、下部の領域の雪等も排除することが期待できる。
【0106】
上述した実施形態は、本発明に係る発光装置を交通信号灯200のLED光源ユニット100に適用した例であるが、本発明に係る発光装置は、この実施形態に限定されるものではなく、街路灯や照明器具、電光看板等に適用することができる。
【0107】
また、反射型の発光装置である本実施形態のLED光源ユニット100は、LED素子22からの出射光Lを高い効率で外部に出射することができるため、従来の非反射型LEDの交通信号灯の灯火部に比べて、LED素子22の数量を大幅に低減することができ、コストを低減することができる。
【0108】
例えば、従来の、非反射型の交通信号灯のLED光源ユニットは、百数十個から四百数十個のLED素子を用いているが、本実施形態のLED光源ユニット100は、わずか36個のLED素子22によって、従来の非反射型のLED光源ユニットと同程度またはそれ以上の視認性を得ることができる。
【0109】
しかも、まぶしさ(グレア)を軽減させることができるため、車両の運転者が直視するものである交通信号灯200のLED光源ユニット100として好適なものとなる。
【0110】
また、非反射型のLED光源ユニットを用いた従来の交通信号灯では、LED素子による粒状感が顕著であり、一方、LED素子の数を減らして粒状感を緩和する場合であっても、本実施形態のもののように、LED素子の数を数十個程度まで減らすと、交通信号灯の光として必要な円形状を表せなくなるが、本実施形態のLED光源ユニット100は粒状感を軽減しつつ、略面発光を実現できるので、わずかな数のLED素子22を用いて、従来の発光装置と同程度またはそれ以上の視認性を得ることができる。
【0111】
本実施形態のLED光源ユニット100は、駆動部品25からの発熱を対流による伝達としても有効に利用するために、断熱カバー70を備えたものであるが、本発明に係る発光装置は、この実施形態のものに限定されるものでなく、断熱カバーを備えないものであってもよい。
【0112】
本実施形態のLED光源ユニット100は、本発明に係る発光装置における高発熱体として、LED素子22の駆動部品25、具体的にはMOS−FETを適用したものであるが、本発明における高発熱体としては、この実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、LED素子22に対して直列に接続される順電圧調整用の抵抗などを適用することもできる。
【0113】
また、本実施形態のLED光源ユニット100は、電源配線26bおよびLED間信号線26cも基板21に形成されたものであるが、LED素子22や駆動部品25が実装される部分にのみ基板21を備え、電源配線26bおよびLED間信号線26cについては基板21を備えないものであってもよい。