【実施例】
【0045】
つぎに、本発明の実施例について、説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
1.エクソソーム特異的抗原に結合する抗体
前記エクソソーム特異的抗原に結合する抗体として、下記(1)〜(3)の抗体を準備した。
(1)Purified Mouse Anti-Human CD63(BD Biosciences社、Clone:H5C6)
(2)Purified Mouse Anti-Human CD9(BD Biosciences社、Clone:M-L13)
(3)Purified Mouse Anti-Human CD81(BD Biosciences社、Clone:JS-81)
【0047】
2.抗体のビオチン化
前記抗体を、下記(1)〜(7)の手順に基づいてビオチン化し、ビオチン化抗体を調製した。
(1)準備した抗体を、Zeba Spin Desalting columns 7K MWCO(Thermo社)を使用して、バッファーを置換した。1.5mLチューブにカラムをセットし、1500×g(14700m/s
2)で1分間遠心した。
(2)前記遠心後、前記カラムに、PBS 300μLを添加し、1500×g(14700m/s
2)で1分間遠心した。このPBS添加および遠心を、3回繰り返した。
(3)前記カラムを、新しい1.5mLチューブに移し、前記抗体を添加し、1500×g(14700m/s
2)で2分間遠心した。
(4)1mg/mL 抗体溶液(PBS) 100μLに、2mg/mL ChromaLink Biotin 354S(solulink社) 7.62μLを添加し、さらに、PBS 92.38μLを添加し、全量を200μLとした。
(5)この溶液を、23℃の恒温水槽で、2時間インキュベートして、前記抗体をビオチン化した。
(6)前記(1)および(2)を行った、新しいZeba Spin Desalting columnsを準備し、前記ビオチン化した抗体 100μLを、前記カラムに添加し、1500×g(14700m/s
2)で2分間遠心した。
(7)得られたビオチン化抗体を、濃度とラベル比を算出し、PBS中で終濃度500mM(500mmol/L)に調整した。
【0048】
3.抗体のビオチン化の確認
図2Aに示すように、AlphaLisa ImmunoAssay BufferにAlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)10μg/mLを加え、総量を50μLになるようにして測定した。AlphaLISA Immunoassay Bufferの組成は、
図2Aにも示したとおり、25mM HEPES、0.1% カゼイン、0.5% トリトンX-100、1mg/mL デキストラン-500、0.05%プロクリン-300(proclin-300)からなる。前記抗体のビオチン化は、Anti-mouse IgG AlphaLISA Acceptor Beads(PerkinElmer社)を使用し、下記(1)〜(5)の手順でアッセイして確認した。
(1)AlphaLISA Immunoassay Buffer(PerkinElmer社)を使用して、ビオチン化抗体を、1.5、5、15、50nM(nmol/L)に希釈した。同様に、5mg/mL Anti-mouse IgG AlphaLISA Acceptor Beadsを、AlphaLISA Immunoassay Bufferで、100倍に希釈した(濃度50μg/mL)。
(2)96ウェルホワイトプレート(PerkinElmer社、1/2 AreaPlate-96)の各ウェルに、AlphaLISA Immunoassay Buffer 5μLを添加し、さらに、前記(1)で希釈したビオチン化抗体 10μLを添加した。前記ビオチン化抗体の終濃度は、0.3、1、3、10nM(nmol/L)となる。また、コントロールとして、前記希釈したビオチン化抗体に代えて、PBS 10μLを添加した(ビオチン化抗体の終濃度:0nM(nmol/L))。
(3)さらに、前記(1)で希釈したAnti-mouse IgG AlphaLISA Acceptor Beads(50μg/mL) 10μLを添加し、室温・遮光条件下において、1時間インキュベートした。
(4)5mg/mL AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)(PerkinElmer社)を、AlphaLISA Immunoassay Bufferで、62.5倍に希釈した(濃度80μg/mL)。この希釈したAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead) 25μLを、前記インキュベート後の各ウェルに添加し、TopSeal-A(PerkinElmer社)を前記プレートに貼り、室温・遮光条件下において、30分間インキュベートした。
(5)前記インキュベート後、EnSpire(PerkinElmer社)による分析を行った。前記エクソソーム特異的抗原に結合する抗体は、Purified Mouse Anti-Human CD63(BD Biosciences社、Clone:H5C6)、Purified Mouse Anti-Human CD9(BD Biosciences社、Clone:M-L13)、Purified Mouse Anti-Human CD81の3種類である。これら3種類のそれぞれについて、前記ビオチン化抗体の濃度が1.5、5、15、50nM(nmol/L)であるサンプルに対してそれぞれEnSpireを用いてシグナルを分析し、前記抗体がビオチン化されていることを確認した。前記分析は、Measure Technology:AlphaScreenに設定(励起波長:680nm、検出波長:520〜620nm)して行った(以下、同様)。この結果、
図2Aに示すように、AlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)に結合した前記ビオチン化抗体及びAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合した前記ビオチン化抗体同士が結合していることが確認された。
【0049】
4.AlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)への抗体の結合
図2Bに示すように、AlphaLisa ImmunoAssay Bufferに1nM のBiotinylated AntiMouse IgG Anitibodyを加え、総量を50μLになるようにして測定した。AlphaLISA Immunoassay Bufferの組成は、
図2Bに示したとおりであり、すなわち、前記「3.抗体のビオチン化の確認」(
図2A)で用いたものと同じである。前記抗体を、下記(1)〜(9)の手順に基づいてAlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)に結合させた。
(1)前記「2.抗体のビオチン化」における前記(1)〜(3)を行った。
(2)Anti-mouse IgG AlphaLISA Acceptor Beads 50μLを、前記カラムをセットした1.5mLチューブに移し、16000×g(156800m/s
2)で15分間遠心した。前記遠心後、上清を除去した。
(3)前記遠心後の沈殿したAlphaLISA Acceptor Beadsに、PBS 50μLを添加し、16000×g(156800m/s
2)で15分間遠心した。前記遠心後、上清を除去した。
(4)前記遠心後の沈殿したAlphaLISA Acceptor Beadsに、PBS 88.75μLを添加し、ボルテックスして再懸濁させた。
(5)前記懸濁液に、1mg/mL 抗体溶液(PBS) 100μLを添加し、さらに、10% Tween-20 1.25μLおよび25mg/mL NaBH
3CN溶液 10μLを添加し、37℃で24時間インキュベートした。
(6)前記インキュベート後の懸濁液に、65mg/mL カルボキシメチルアミン溶液(0.8M(mol/L) NaOH溶液) 10μLを添加し、37℃で1時間インキュベートした。
(7)前記インキュベート後の懸濁液を、16000×g(156800m/s
2)で15分間遠心した。前記遠心後、上清を除去し、沈殿に、0.1M(mol/L) Tris-HCl(pH8.0) 200μLを添加して懸濁させた。そして前記と同様に遠心した。この操作を2回繰り返して洗浄した。
(8)前記洗浄後の懸濁液を、16000×g(156800m/s
2)で15分間遠心し、上清を除去した。沈殿に、0.05% Proclin-300を含むPBS 200μLを添加して、再懸濁させた。このようにして、AlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)に結合させた抗体(以下、「アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体」ということがある。)を調製した(終濃度5mg/mL)。
(9)前記懸濁液を、ボルテックス後軽くスピンダウンし、ソニケーターを使用して、1秒20回のソニケーションを行った。これを、4℃・遮光条件下において保存した。
【0050】
5.抗体とアクセプタービーズ(Acceptor Beads)の結合との確認 前記抗体のAlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)への結合は、Biotin-SP-conjugated AffiniPure Goat Anti-Mouse IgG (H+L)(JacksonImmunoResearch社)を使用し、下記(1)〜(5)の手順でアッセイして確認した。
(1)AlphaLISA Immunoassay Bufferを使用して、前記アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体を、10、50μg/mLに希釈した。同様に、AlphaLISA Immunoassay Bufferを使用して、前記ビオチン化抗体を、5nM(nmol/L)に希釈した。
(2)前記96ウェルホワイトプレートの各ウェルに、AlphaLISA Immunoassay Buffer 5μLを添加し、さらに、前記(1)で希釈したビオチン化抗体 10μLを添加した。
(3)さらに、前記(1)で希釈したアクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体 10μLを添加し、室温・遮光条件下において、1時間インキュベートした。コントロールとして、前記希釈したアクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体に代えて、PBS 10μLを添加した。
(4)5mg/mL AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)を、AlphaLISA Immunoassay Bufferで、62.5倍に希釈した(濃度80μg/mL)。この希釈したAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead) 25μLを、前記インキュベート後の各ウェルに添加し、TopSeal-Aを前記プレートに貼り、室温・遮光条件下において、30分間インキュベートした。
(5)前記インキュベート後、EnSpireによる分析を行った。前記エクソソーム特異的抗原に結合する抗体は、Purified Mouse Anti-Human CD63(BD Biosciences社、Clone:H5C6)、Purified Mouse Anti-Human CD9(BD Biosciences社、Clone:M-L13)、Purified Mouse Anti-Human CD81の3種類である。これら3種類のそれぞれに対して前記AlphaLISA Acceptor Beads抗体濃度が0、2、10μg/mLであるサンプルを用意し、EnSpireでシグナルを分析した。この分析により、前記抗体がAlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)に結合していることを確認した。前記分析は、Measure Technology:AlphaScreenに設定して行った。この結果、
図2Bに示すように、AlphaLISAアクセプタービーズ(AlphaLISA Acceptor Beads)に結合した前記ビオチン化抗体(Biotinylated Anti-Mouse IgG Antibody)及びAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合した前記ビオチン抗体(Biotinylated Anti-Mouse IgG Antibody)同士が結合していることが確認された。なお、前記AlphaLISA Acceptor Beads抗体濃度が0μg/mLであるサンプルには、いずれにおいてもシグナルは、観測されなかった。
【0051】
6.エクソソームの定量
(エクソソームの調製)
がん細胞の培養上清から、超遠心法により、下記(1)〜(7)の手順に基づいてエクソソームを調製した。
(1)前立腺がん細胞株PC3(入手元:ATCC)を、15cmディッシュに播種し、培養した。
(2)前記播種の翌日、前記がん細胞をPBSで一度洗浄し、血清が含まれていないAdvanced PRMI1640(Invitrogen社)に培地を交換し、2日間培養した。
(3)前記培養後、培養上清を回収し、2000×g(19600m/s
2)で10分間遠心し、上清を回収した。
(4)前記上清を、フィルター(孔径:0.22μm)でろ過した。
(5)前記ろ液を、100000×g(980000m/s
2)で、4℃・70分間超遠心した。
(6)前記超遠心後、上清を除去し、沈殿にPBSを添加し、さらに、100000×g(980000m/s
2)で、4℃・70分間超遠心した。
(7)前記超遠心後、上清を除去し、沈殿にPBSを添加し、4℃で一晩置き、翌日にボルテックスして、エクソソームを回収した。
【0052】
(検量線作成)
前記ビオチン化抗体、前記アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体により、下記(1)〜(5)の手順に基づいて前記回収したエクソソームの定量分析を行い、エクソソームの検量線を作成した。下記(1)〜(4)において、AlphaLISA Universal Buffer(PerkinElmer社)は、0.1% BSAおよび0.05% Proclin-300を含むPBSを使用した。
(1)ビオチン化抗体およびアクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体を、AlphaLISA Universal Buffer(PerkinElmer社)を使用して、それぞれ、5nM(nmol/L)および50μg/mLに希釈した。
(2)前記回収したエクソソームを、AlphaLISA Universal Bufferを使用して希釈し、所定濃度の希釈系列を作成した。
(3)前記96ウェルホワイトプレートの各ウェルに、前記希釈したエクソソーム 5μLを添加した。コントロールとして、AlphaLISA Universal Buffer 5μLを添加し、さらに、5nM(nmol/L) ビオチン化抗体 10μLおよび50μg/mL アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体 10μLを添加し、室温・遮光条件下において、1時間インキュベートした。
(4)5mg/mL AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)を、AlphaLISA Immunoassay Bufferで、62.5倍に希釈した(濃度80μg/mL)。この希釈したAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead) 25μLを、前記インキュベート後の各ウェルに添加し、TopSeal-Aを前記プレートに貼り、室温・遮光条件下において、30分間インキュベートした。なお、インキュベート時間は、特に制限されず、例えば、温度条件等の変更に応じて、1時間〜終夜の範囲とすることもできる。
(5)前記インキュベート後、EnSpireを使用して、シグナルを分析し、エクソソームを分析した。前記分析は、Measure Technology:AlphaScreenに設定して行った。そして、エクソソームの希釈系列から検量線を作成した。
【0053】
(検量線作成結果)
下記(1)〜(6)のビオチン化抗体およびアクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体の組み合わせについて、検量線を作成した。下記(1)〜(6)の抗体の組み合わせおよびその検量線を、それぞれ、
図2C〜
図2Hに示す。
【0054】
(1)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD63
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD63
y=0.0017x(R
2=0.9891)
(2)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD9
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD9
y=0.0201x(R
2=0.9826)
(3)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD81
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD81
y=0.0186x(R
2=0.9985)
(4)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD63
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD9
y=0.0141x(R
2=0.996)
(5)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD9
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD81
y=0.0037x(R
2=0.9998)
(6)ビオチン化抗体:Purified Mouse Anti-Human CD81
アクセプタービーズ(Acceptor Beads)結合抗体:Purified Mouse Anti-Human CD63
y=0.0031x(R
2=0.9998)
【0055】
図2C(前記(1))では、PBS溶液中、0.1%BSAと0.05%プロクリン‐300(proclin-300)からなるAlphaLisa Universal Bufferに1nMのBiotinylated AntiCD63 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD63-conjugated AlphaLISA アクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Cでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD63 Antibody及びAnti-CD63-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD63 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD63に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0017x(R
2=0.9891)という式を得た。
【0056】
図2D(前記(2))では、前記 AlphaLisa Universal Bufferに1nM のBiotinylated AntiCD9 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD9-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Dでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD9 Antibody及びAnti-CD9-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD9 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD9に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0201x(R
2=0.9826)という式を得た。
【0057】
図2E(前記(3))では、前記 AlphaLisa Universal Bufferに1nMのBiotinylated AntiCD81 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD81-conjugated AlphaLISA アクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Eでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD81 Antibody及びAnti-CD81-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD81 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD81に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0186x(R
2=0.9985)という式を得た。
【0058】
図2F(前記(4))では、前記AlphaLisa Universal Bufferに1nMのBiotinylated AntiCD63 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD9-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Fでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD63 Antibody及びAnti-CD9-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD63 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD63及び抗原CD9に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0141x(R
2=0.996)という式を得た。
【0059】
図2G(前記(5))では、前記AlphaLisa Universal Bufferに1nMのBiotinylated AntiCD9 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD81-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Gでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD9 Antibody及びAnti-CD81-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD81 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD9及び抗原CD81に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0037x(R
2=0.9998)という式を得た。
【0060】
図2H(前記(6))では、前記AlphaLisa Universal Bufferに1nMのBiotinylated AntiCD81 Antibodyおよび10μg/mLのAnti-CD63-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)を加え、総量を50μLになるようにして測定した。なお、
図2Hでは、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin-coated Alpha Donor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD81 Antibody及びAnti-CD63-conjugated AlphaLISAアクセプタービーズ(Acceptor Bead)に結合したBiotinylated AntiCD63 Antibodyが、それぞれPC3エクソソーム内の抗原CD81及び抗原CD63に結合している様子を示した。シグナルを横軸に、タンパク質濃度(μg/ml)を縦軸にプロットし、検量線を作成したところ、y=0.0031x(R
2=0.9998)という式を得た。
【0061】
[実施例1]
本実施例では、前立腺がん患者の血清および健常者の血清を使用して、血清中のエクソソームを分析し、前立腺がん患者の血清および健常者の血清中のエクソソーム量の差を確認した。
【0062】
(1)血清の準備
前立腺がん患者(ステージ4、n=4)および健常者(n=4)から全血を採取し、前記全血から血清を調製した。下記エクソソーム分析に使用する血清量は、4μLとした。
【0063】
(2)エクソソーム分析
下記表1に示す組成の反応液となるように、前記「6.エクソソームの定量」における「検量線作成」の前記(1)〜(4)と同様の操作を行い、前記(5)と同様にして、シグナルを分析し、得られたシグナル値を血清に含まれるエクソソーム量として分析した。
【0064】
【表1】
【0065】
図3のグラフに、前記両血清中のエクソソームの分析結果を示す。
図3に示すように、前立腺がん患者の血清中には、健常者の血清中よりも、有意に多くのエクソソームが含まれることが確認された。この結果から、血清中のエクソソームを分析することで、分析対象が、がん患者であるか、健常者であるかを区別できることが確認された。したがって、本発明によれば、血液中のエクソソームを簡易に分析でき、例えば、血液試料提供者が、健常者であるか、がん患者であるかを診断できるといえる。
【0066】
[実施例2]
本実施例では、肝がん患者のがんの切除手術直後の血清および再発後の同患者の血清を使用して、血清中のエクソソームを分析し、がんの切除手術直後および再発後の血清中のエクソソーム量の差を確認した。
【0067】
(1)血清の準備
がんの切除手術直後の肝がん患者の全血、および再発後の同患者の全血を採取し、前記全血から血清を調製した(n=12)。下記エクソソーム分析に使用する血清量は、4μLとした。
【0068】
(2)エクソソーム分析
前記(1)で調製した血清を使用した以外は、前記実施例1と同様にして、がんの切除手術直後の肝がん患者の血清、および再発後の同患者の血清に含まれるエクソソーム量を分析した。
【0069】
図4のグラフに、前記両血清中のエクソソームの分析を示す。
図4に示すように、がんの切除手術直後の肝がん患者の血清中よりも、再発後の同患者の血清の方が、多くのエクソソームが含まれることが確認された。この結果から、血清中のエクソソームを分析することで、がんの切除手術を行った患者について、切除手術後にがんが再発しているかを判別できることが確認された。したがって、本発明によれば、例えば、血液中のエクソソームを分析することで、がん患者におけるがん切除手術後の再発の有無を診断できるといえる。
【0070】
以上のように、本発明によれば、試料中のエクソソームを簡易に分析できる。このため、例えば、本発明のエクソソームの分析方法は、がんの発症の有無、がんの再発の有無等のがんの診断等に極めて有用であり、臨床検査への適用が大いに期待される。