(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なラップマシーンの構造を
図9に示す。
図9において、符号91は、円筒状に形成されたロールベール8を、水平な軸を中心として自転させるようにした自転機構である。また、符号92は、その自転するロールベール8に対してフィルムを巻き付ける巻付機構であって、自転するロールベール8に対してフィルムロールを公転させ、そこから繰り出されたフィルムを全体的に巻き付けられるようにしたものである。また、符号94や符号95は、保持機構および切断機構であって、ロールベールに巻き付けられたフィルムを切断して、その端部を保持できるようにしたものである。
【0003】
ところで、このような従来のラップマシーンでロールベールにフィルムを巻き付けて切断する場合、一般的に次のような方法を採用している。
【0004】
まず、第一の方法が、
図9に示すように、ロールベール8から延出させたフィルムにロッド93を傾倒させ、ロッド93の全体にフィルムを接触させて、その傾倒方向の下方に設けられた切断機構95でフィルムを切断する方法である(特許文献1の
図4など参照)。
【0005】
また、第二の方法が、ロールベールから延出させたフィルムの上辺に当接する山型ガイドをロッドの側方から突出させ、その山型ガイドを有するロッドを傾倒させることによってフィルムを上辺側から束ねていき、その下方に設けられたカッタユニットでフィルムを束ねて切断するようにしたものである(特許文献1の
図6〜
図10参照)。
【0006】
さらに、第三の方法が、フィルムを下辺からたくし上げるたくし上げ部材を設け、ロッドの傾倒動作に伴ってフィルムをそのたくし上げ部材によって下辺側からたくし上げ、フィルムを束ねた状態でカッタユニットを用いて切断できるようにしたものである(特許文献1の
図53等参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの方法を用いてフィルムを切断する場合、次のような問題を生ずる。
【0009】
すなわち、第一の方法のように、フィルム全体にロッドを接触させて傾倒させる場合、フィルムが非常に薄く構成されているため、ロッドを傾倒させる途中でフィルム全体に強いテンションがかかって端辺から破れてしまう可能性がある。
【0010】
これに対して、第二の方法や第三の方法では、フィルムを束ねながらロッドを傾倒させるため、束ねられた側の端辺からのフィルムの破れを防止できる。しかしながら、この方法では、束ねられた側とは反対側の端辺(第二の方法では下辺側、第三の方法では上辺側)は薄いフィルムの状態のままであるため、ロッドを傾倒させる途中でフィルムが破れてしまう可能性がある。特に、第二の方法では、フィルムを完全に束ねるまでに、上辺側を下辺側まで移動させなければならず、フィルムに強いテンションがかかって端辺から破れてしまう可能性がある。また、第三の方法でも同様に、フィルムを完全に束ねるまでには、下辺側をフィルムの幅に相当する上辺側まで移動させなければならず、フィルムに強いテンションがかかって端辺から破れてしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、フィルムを束ねて保持する場合に、フィルムの端辺から破れないようにしたラップマシーンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明のラップマシーンは、上記課題を解決するために、円筒状のロールベールを自転させる自転機構と、当該自転するロールベールの外周にフィルムロールを公転させ、当該フィルムロールからフィルムを繰り出してロールベールに巻き付ける巻付機構と、
フィルムの上辺側に上辺当接部材を当接させて、グリップロッドに沿ってフィルムの中央方向にフィルムを束ねるとともに、フィルムの下辺側から中央に向けてそれぞれフィルムを束ねていく束ね機構と、当該束ね機構によって束ねられたフィルムを保持する保持機構と、当該束ね手段によって束ねられたフィルムを切断する切断機構とを備えるようにする。
【0013】
このように構成すれば、フィルムを上辺側と下辺側から束ねていくので、両端辺が薄いフィルムの状態にならず、フィルムが端辺から破れていくようなことがなくなる。また、一方の端辺から他方の端辺側へフィルムを束ねていくのではなく、それぞれの端辺から中央に向かって束ねて行くので、端辺にかかるテンションを小さくすることができ、より端辺からの破れを防止することができるようになる。さらには、従来のように片側から束ねる場合は、薄い側のフィルムの切断が不確実で引きちぎられる場合もあるが、このように両側から束ねるようにすれば確実に切断をすることができるようになる。
【0014】
また、このような発明において、束ね機構として、傾倒可能なグリップロッドと、当該グリップロッドに回転可能に連結される中間リンクとを設け、当該グリップロッドと中間リンクにフィルムを当接させることによってフィルムの略中央付近で屈曲させ、前記グリップロッドを傾倒させることによって前記グリップロッドと中間リンクの屈曲角度を鋭角にさせることによってフィルムの上辺側と下辺側を束ねていくようにする。
【0015】
このように構成すれば、フィルムの略中央付近を屈曲させた状態で上辺側と下辺側から束ねていくので、上辺からの束ね距離と下辺からの束ね距離がほぼ同じにすることができ、フィルムの上半分と下半分にかかるテンションの差を小さくすることができる。
【0016】
さらに、グリップロッドを傾倒させることによって、フィルムの上辺側に上辺当接部材を当接させて下辺側にスライドさせるスライド機構を設けるようにする。
【0017】
このように構成すれば、グリップロッドを傾倒させた際に、より確実に上辺側から束ねてフィルムを一カ所にまとめることができるようになる。
【0018】
加えて、別の発明では、束ね手段として、起立した状態でフィルム全体に当接するグリップロッドと、当該グリップロッドの軸方向に沿ってスライドし、フィルムの上辺側に当接してフィルムを略中央付近に向けて束ねていく上辺当接部材と、当該グリップロッドの軸方向に沿ってスライドし、フィルムの上辺側に当接してフィルムを略中央付近に向けて束ねていく上辺当接部材とを備えるようにする。
【0019】
このようにした場合であっても、フィルムを上辺側と下辺側から束ねていくので、両端辺が薄いフィルムの状態にならず、フィルムの端辺からの破れを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、円筒状のロールベールを自転させる自転機構と、当該自転するロールベールの外周にフィルムロールを公転させ、当該フィルムロールからフィルムを繰り出してロールベールに巻き付ける巻付機構と、
フィルムの上辺側に上辺当接部材を当接させて、グリップロッドに沿ってフィルムの中央方向にフィルムを束ねるとともに、フィルムの下辺側から中央に向けてそれぞれフィルムを束ねていく束ね機構と、当該束ね機構によって束ねられたフィルムを保持する保持機構と、当該束ね手段によって束ねられたフィルムを切断する切断機構とを備えるようにしたので、フィルムの端辺が薄い状態のままにならず、端辺からの破れを防止することができる。また、一方の端辺から他方の端辺側へフィルムを束ねるのではなく、それぞれの端辺から中央に向けて束ねて行くので、フィルムの端辺にかかるテンションを小さくすることができる。さらには、従来のように片側から束ねる場合は、薄い側のフィルムの切断が不確実で引きちぎられる場合もあるが、このように両側から束ねるようにすれば確実に切断をすることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本発明のラップマシーン1は、図示しないロールベーラーによって形成された円筒状のロールベールに対して薄いフィルム71を巻き付け、ロールベール8を内部から発酵させるようにしたものであって、
図1に示すように、ロールベール8を載置させた状態で自転させる自転機構2と、そのロールベール8に対してフィルム71を巻き付ける巻付機構3と、その巻き付けられたフィルム71から延出された部分を束ねる束ね機構4と、その束ねられたフィルム71を保持して切断するための保持機構5および切断機構6などを備えて構成される。そして、特徴的に、その束ね機構4として、ロールベール8から延出されたフィルム71を短手方向に両辺側から束ねる機構を用い、これによってグリップロッド41を傾倒させてフィルム71を保持・切断する際に、フィルム71の端辺から破れていかないようにしたものである。以下、本実施の形態における各構成について説明する。
【0024】
まず、自転機構2は、前後一対のローラ21と、その前後一対のローラ21に掛け渡されたベルト(図示せず)と、そのベルトの幅方向の両端近傍に設けられたサイドローラ22によって構成される。そして、その前後一対のローラ21およびベルトの上にロールベール8を載置させてローラ21を回転させ、これによって、円筒状のロールベール8を自転させるようにしている。なお、ここでは、自転機構2の駆動源として、このラップマシーン1を牽引する車両からの動力源を用いるようにしている。
【0025】
巻付機構3は、このように自転機構2によって自転するロールベール8の外周部分にフィルムロール7を公転させ、これによってフィルムロール7からフィルム71を繰り出してロールベール8全体にフィルム71を巻き付けるようにしている。この巻付機構3は、フレーム40の下方に位置する回転軸部31を中心に回転フレーム32を水平面内で回転させるとともに、その回転フレーム32の先端部分から支柱33を起立させ、その上端側にフィルムロール7を回転可能に保持させるように構成されている。このフィルムロール7は、支柱33の上端側に位置するブラケット34に対して自由回転できるように取り付けられており、この回転フレーム32を回転させることによって、ロールベール8の外側で公転させ、このロールベール8への巻き付けに伴ってフィルム71を繰り出して巻き付けるようにしていく。このとき、ロールベール8は自転機構2によって自転しているため、フィルムロール7の公転動作に伴って、ロールベール8の表面に全体的にフィルム71が巻き付けられることになる。なお、この自転機構2や巻付機構3は、図示しないボタン動作によって駆動や停止が行われ、ロールベール8に対してフィルム71を巻き付け終わった時点では、ロールベール8からフィルム71が延出された状態となっている。
【0026】
このような構成において、特徴となる束ね機構4は、ロールベール8から延出しているフィルム71を短手方向の両辺側からそれぞれ束ね、グリップロッド41を傾倒させることによって後述する保持機構5や切断機構6で保持して切断させるようになっている。
【0027】
このような束ね機構4としては種々の方法を用いることができるが、第一の実施の形態について
図1や
図2〜
図5などを用いて説明する。
【0028】
この束ね機構4は、フレーム40(
図1参照)と、このフレーム40に回転可能に取り付けられたグリップロッド41および下部リンク42と、この下部リンク42およびグリップロッド41に回転可能に連結された中間リンク43を有する四節回転リンク機構によって構成されており、このグリップロッド41を傾倒させることによってグリップロッド41と中間リンク43の間にフィルム71を挟み込んでフィルム71を束ねられるようにしたものである(
図2から
図5参照)。このうち、グリップロッド41は、フレーム40に設けられたロッド回転軸41aを中心に油圧シリンダー45の動作によって傾倒できるようになっており、また、下部リンク42は、フレーム40に設けられた下部リンク回転軸42aを中心に自由に回転できるようになっている。一方、この下部リンク42の上端側およびグリップロッド41の略中央部分に連結されている中間リンク43は、グリップロッド41の連結部43aから若干上端側を延出させ、グリップロッド41の先端側に向けてそこからL字状に屈曲させるようにしている。この中間リンク43の屈曲する上端側には、フィルム71の上辺側72に当接してフィルム71を束ねていくための上辺束ね機構4が設けられており、グリップロッド41の先端側に設けられた長穴44aに沿ってスライド部材44bをスライドさせることによって、そのスライド部材44bに取り付けられた下向きV字状の上辺当接部材44cにフィルム71を当接させて束ねられるようにしている。なお、このグリップロッド41の長さは、このグリップロッド41を起立させた際に(
図2の状態)、上端部分がフィルム71の上辺側72よりも上方に位置するような長さになっており、また、中間リンク43については、グリップロッド41を起立させた際に、グリップロッド41との連結部43aがフィルム71の略中央付近に位置し、かつ、その下端側が、フィルム71の下辺側73よりも下方に位置するような長さになっている。
【0029】
次に、この束ね機構4の動作について説明する。
【0030】
まず油圧シリンダー45の動作によってグリップロッド41を起立させると(
図2の状態)、連結部43aで連結された中間リンク43が上昇し、その中間リンク43の下端側が下部リンク42に引っ張られて、グリップロッド41と中間リンク43が「くの字状」に屈曲する。このとき、グリップロッド41との連結部43aから延出する中間リンク43の上端部分は、グリップロッド41の先端側に向けて回転し、それに伴って、スライド部材44bが長穴44aに沿ってグリップロッド41の先端側にスライドする。このとき、スライド部材44bに取り付けられた下向きV字状の上辺当接部材44cが、グリップロッド41の先端部分まで移動することになる。
【0031】
このような状態で、フィルムロール7を公転させてフィルム71をグリップロッド41および中間リンク43に当接させると、そのフィルム71が略中央付近で「くの字状」に屈曲する。
【0032】
そして、この状態で油圧シリンダー45を動作させてグリップロッド41を傾倒させると(
図3および
図4参照)、下部リンク42も同じ方向に傾倒し、これに伴って、中間リンク43が水平方向となるように回転していく。すなわち、グリップロッド41を傾倒させると、グリップロッド41と中間リンク43によってフィルム71が上下方向から挟み込まれるようになる。
【0033】
また、このようにグリップロッド41を傾倒させる際には、中間リンク43上端のL字状に屈曲する部分が下方側へと変位し、これに伴って、スライド部材44bに設けられた下向きV字状の上辺当接部材が長穴44aに沿って連結部43a側へと変位する。これによって、フィルム71の上辺側72が上辺当接部材44cによって連結部43a側へと束ねられていく。一方、フィルム71の下辺側73については、中間リンク43がほぼ水平な状態となりながら下方へと回動していくため、フィルムロール7側に引っ張られるテンションによって連結部43a側へと自然に束ねられていくようになる。
【0034】
そして、最終的にグリップロッド41をほぼ水平な状態に倒した状態で(
図5参照)、下向きV字状の上辺当接部材44cの間に収まるようにフィルム71を束ねる。
【0035】
このように束ねられたフィルム71は、保持機構5で保持され、その状態で、さらにグリップロッド41を更に下方へと押し込むことによって切断機構6で切断できるようにしている。
【0036】
この保持機構5は、
図6や
図7に示すように、グリップロッド41を載置する平板をV字状に折り曲げて形成された保持部材51を設け、この保持部材51にグリップロッド41を載置させてフィルム71を挟み込ませるようにしている。また、この保持機構5は、全体として上下方向にバネ52(
図1、
図6参照)で移動できるようになっており、そのバネ52の押圧力によって常時上方に位置させるようにしているとともに、グリップロッド41の傾倒に伴って、バネ52の押圧力に抗して、長穴53(
図6参照)に沿って下方へスライドできるようになっている。また、この保持部材51の近傍には、束ねられたフィルム71を保持する際に、確実に保持部材51の範囲内にフィルム71を収めるために、上向きV字状に屈曲するV字部材54を設けており、これと下向きV字状をなす上辺当接部材44cによって確実にフィルム71を保持部材51の幅内に収めて保持できるようにしている。
【0037】
一方、切断機構6は、保持部材51で保持されたフィルム71をカッター61で切断できるようにしたものであって、
図6や
図7に示すように、保持部材51の奥方(ロールベール8側)に設けられる。ところで、束ねられたフィルム71を切断する場合、単にフィルム71をカッター61に押圧させるだけでは確実にフィルム71を切断することができない。そのため、この実施の形態では、カッター61にフィルム71を当接させると同時に、カッター61を水平方向にスライドさせて確実にフィルム71を切断させるようにしている。
【0038】
このカッター61をスライドさせる切断機構6について説明すると、この切断機構6は、カッター61を取り付けたカッタープレート62を水平方向にスライドさせるようにしており、グリップロッド41から水平方向に突出するピン41b(
図6参照)をカッタープレート62の湾曲部63に当接させることよって、カッタープレート62を水平方向にスライドさせるようにしている。このとき、グリップロッド41が保持部材51に載置されると、グリップロッド41から突出するピン41bが、カッタープレート62の湾曲部63に当接し、そして、その状態からさらにグリップロッド41を下方へと押し下げることによって、保持機構5全体がバネ52の押圧力に抗して下方へと押し下げられる。そして、ピン41bによって湾曲部63が押圧され、カッタープレート62が、水平方向の長穴に沿ってスライドする。そして、そのカッタープレート62のスライドによって、束ねられたフィルム71が切断されるようになる。
【0039】
次に、このように構成されたラップマシーン1によってロールベールにフィルム71を巻き付ける際の動作について説明する。
【0040】
まず、ロールベール8にフィルム71を巻き付ける際には、グリップロッド41を傾倒させた状態にしておき、この状態で、自転機構2および巻付機構3を用いてロールベール8全体にフィルム71を巻き付けていく。
【0041】
そして、巻き付けが終わった状態で、グリップロッド41を起立させ、その状態でフィルムロール7を公転させて、グリップロッド41と中間リンク43にフィルム71を当接させる。すると、そのフィルム71は、連結部43aを中心にグリップロッド41や中間リンク43によって「くの字状」に折り曲げられる。
【0042】
この状態で、油圧シリンダー45を動作させてグリップロッド41を傾倒させると(
図3〜
図5)、グリップロッド41の上端側に設けられた上辺当接部材が長穴44aに沿って下方へとスライドし、これに伴ってフィルム71の上辺側72が束ねられていく。
【0043】
一方、フィルム71の下辺側73については、グリップロッド41の傾倒に伴って中間リンク43が水平な状態に近づいていき、フィルムロール7側に引っ張られるテンションによって下辺側73が束ねられていく。
【0044】
このように、上辺側72と下辺側73を束ねながらグリップロッド41を傾倒させ、そのグリップロッド41を保持部材51に当接させると、その保持部材51とグリップロッド41との間に束ねられたフィルム71が保持されることになる。
【0045】
この状態で、さらにグリップロッド41を下方へ押し込むと、今度は、保持部材51が全体的にバネ52の押圧力に抗して下方へスライドするとともに、グリップロッド41の側方から突出するピン41bがカッタープレート62の湾曲部63に当接し、カッタープレート62を長穴65(
図7参照)に沿って水平方向へスライドさせることができる。このとき、保持部材51が下方に移動しているため、束ねられたフィルム71がカッター61に当接し、しかも、カッター61が水平方向にスライドするため、フィルム71を確実に切断することができる。
【0046】
そして、このようにフィルム71を巻き付けたロールベールを、フレーム40を後方に向けて傾倒させることによって、ラップマシーン1の後方へと落下させる。
【0047】
そして、このラップマシーン1を用いて次のロールベール8に対してフィルム71を巻き付ける場合は、同様に、自転機構2の上にロールベール8を載置し、その状態で巻付機構3を動作させて、フィルムロール7を公転させる。このとき、先の切断によって束ねられたフィルム71の端部は保持部材51で保持された状態となっているため、その状態でフィルム71を一周だけ巻き付けるようにする。そして、このようにフィルム71を巻き付けた後、グリップロッド41の押し込み状態を解除すると、グリップロッド41が保持機構5のバネ52の押圧力に反発して保持状態が解除され、フィルム71の端部が保持部材51から解き放されるようになる。そして、このような状態にした後、ロールベール8を自転させるとともに、フィルムロール7を公転させて、同様に、巻き付けやグリップロッド41の起立、傾倒、保持、切断などを行うようにする。
【0048】
<第二の実施の形態>
次に、第二の実施の形態における束ね機構4について説明する。上記実施の形態では、四節回転リンク機構を用いてグリップロッド41と中間リンク43を屈曲させ、これによりフィルム71の上辺側72と下辺側73を束ねるようにしたが、この実施の形態では、
図8に示すように、グリップロッド41上でスライドする上辺当接部材44dと下辺当接部材44eを設け、グリップロッド41全体にフィルム71を当接させた状態でこれらの上辺当接部材44dや下辺当接部材44eをスライドさせて束ねるようにしたものである。以下、第二の実施の形態における原理を示す。
【0049】
このグリップロッド41には、上端から下端にわたって長穴44fが設けられており、その長穴44fに沿ってスライドする上辺当接部材44dや下辺当接部材44eが設けられている。この上辺当接部材44dや下辺当接部材44eには、その長穴44fに沿ってスライドさせるためのピン(図示せず)が設けられ、また、グリップロッド41の上端や下端に設けられたプーリー46に周回するワイヤーとそのピンを連結させることによって、グリップロッド41の軸方向にスライドさせられるようになっている。このプーリー46に周回させたワイヤーを用いて上辺当接部材44dや下辺当接部材44eをスライドさせる際には、例えば、一方のワイヤーに上辺当接部材44dを設け、他方のワイヤーに下辺当接部材44eを設けるようにする。そして、プーリー46をモーターなどで回転させることによって、それぞれの上辺当接部材44dと下辺当接部材44eを互いに接離させるようにしている。
【0050】
そして、このような機構を用いてフィルム71を束ねる場合、同様に、ロールベール8にフィルム71を巻き付け、その巻き付け作業が終わった状態でグリップロッド41を起立させる。そして、そこからフィルムロール7を公転させてグリップロッド41にフィルム71を当接させる。このときには、上辺当接部材44dと下辺当接部材44eを離間させておき、そこからプーリー46を回転させて、上辺当接部材44dと下辺当接部材44eを近づける。すると、フィルム71が上辺側72と下辺側73から束ねられ、略中央付近で上辺当接部材44dと下辺当接部材44eに挟み込まれて保持される。そして、その状態でグリップロッド41を傾倒させ、第一の実施の形態における切断機構6などを用いてフィルム71を切断させる。
【0051】
なお、この切断機構6としては、上述のような切断機構6を用いるようにしてもよく、あるいは、グリップロッド41の傾倒させた際に、束ねられたフィルム71を斜めに当接させるようにカッター61を配置しておき、グリップロッド41の傾倒動作によって、刃を長めに使ってフィルム71を切断するようにしてもよい。
【0052】
このように上記実施の形態によれば、円筒状のロールベール8を自転させる自転機構2と、当該自転するロールベール8の外周にフィルムロール7を公転させ、当該フィルムロール7からフィルム71を繰り出してロールベール8に巻き付ける巻付機構3と、
フィルム71の上辺側に上辺当接部材44cを当接させて、グリップロッド41に沿ってフィルム71の中央方向にフィルム71を束ねるとともに、フィルム71の下辺側から中央に向けてそれぞれフィルム41を束ねていく束ね機構4と、当該束ね機構4によって束ねられたフィルム71を保持する保持機構5と、当該束ね手段によって束ねられたフィルム71を切断する切断機構6とを備えるようにしたので、フィルム71の端辺が薄い状態のままにならず、端辺からの破れを防止することができる。また、一方の端辺から他方の端辺側へフィルム71を束ねるのではなく、それぞれの端辺から中央に向けて束ねて行くので、フィルム71の端辺にかかるテンションを小さくすることができる。
【0053】
また、束ね機構4として、傾倒可能なグリップロッド41と、当該グリップロッド41に回転可能に連結される中間リンク43とを設け、当該グリップロッド41と中間リンク43にフィルム71を当接させることによってフィルム71の略中央付近で屈曲させ、前記グリップロッド41を傾倒させることによって前記グリップロッド41と中間リンク43の屈曲角度を鋭角にさせることによってフィルム71の上辺側72と下辺側73を束ねていくようにしたものを用いることによって、上辺から束ね距離と下辺からの束ね距離がほぼ同じにすることができ、フィルム71の上半分と下半分にかかるテンションの差を小さくすることができる。
【0054】
さらに、グリップロッド41を傾倒させることによって、フィルム71の上辺側72に上辺当接部材
44cを当接させて下辺側73にスライドさせるスライド機構44を設けるようにしたので、グリップロッド41を傾倒させた際に、より確実に上辺側72から束ねてフィルム71を一カ所にまとめることができるようになる。
【0055】
また、第二の実施の形態のように、束ね手段として、起立した状態でフィルム71全体に当接するグリップロッド41と、当該グリップロッド41の軸方向に沿ってスライドし、フィルム71の上辺側72に当接してフィルム71を略中央付近に向けて束ねていく上辺当接部材と、当該グリップロッド41の軸方向に沿ってスライドし、フィルム71の上辺側72に当接してフィルム71を略中央付近に向けて束ねていく上辺当接部材とを備えるようにした場合であっても、フィルム71を上辺側72と下辺側73から束ねていくので、両端辺が薄いフィルム71の状態にならず、フィルム71の端辺からの破れを防止することができるようになる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施の形態では、中間リンク43でフィルム71の下辺側73を束ねる場合、フィルム71のテンションによって束ねるようにしたが、グリップロッド41で上辺側72を束ねる場合と同様に、下辺当接部材44eをスライドさせて下辺側73を束ねるようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、四節回転リンク機構や、第二の実施の形態のように上辺当接部材44dや下辺当接部材44eなどをスライドさせて束ねるようにしたが、これ以外の方法でそれぞれの端辺側から束ねるようにすることもできる。
【0059】
また、上記実施の形態では、保持機構5や切断機構6をフレーム40側に設けるようにしたが、グリップロッド41側に保持機構5や切断機構6などを設けるようにしてもよい。