特許第6029170号(P6029170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029170
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】装飾パネル
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20161114BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20161114BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20161114BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G09F13/04 K
   G09F13/18 D
   H01H9/18 A
   B32B27/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-233422(P2012-233422)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-85456(P2014-85456A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】千葉 信也
(72)【発明者】
【氏名】田澤 良
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−002978(JP,U)
【文献】 特開2000−305495(JP,A)
【文献】 特開2009−229794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
B32B 27/00
G09F 13/18
H01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を導光して前面から出射させる平板状の導光部材と、
前記導光部材の前面に設けられ、前後方向に対して斜めに傾斜した傾斜面を後側に有する透光性の成形樹脂層と、
前記成形樹脂層の前記傾斜面に設けられ、金属調光沢を有する加飾フィルムと、
前記成形樹脂層の前面に設けられ、前記傾斜面の前方に透光孔を有する遮光層と、
を備えることを特徴とする装飾パネル。
【請求項2】
前記成形樹脂層と前記遮光層との間に設けられ、前方からの操作を検知する検知部を有する静電容量式の電極シートを備えることを特徴とする請求項1に記載の装飾パネル。
【請求項3】
前記加飾フィルムは、金属成分を含まない非金属フィルムであることを特徴とする請求項2に記載の装飾パネル。
【請求項4】
前記傾斜面は、後方に向けて狭窄する裁頭円錐面状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカーエアコンやカーオーディオの操作部などに用いられる装飾パネルとして、金属調の意匠部(デザイン部)を有するものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
この種の装飾パネルは、例えば図3に示すように、導光部材110の前面に、透光性の樹脂層120と、金属調光沢を有する加飾層130と、所定の意匠形状に形成された透光孔140aを有する遮光層140とが順次積層された構成となっている。そして、導光部材110の側端面に対向配置された光源150を発光させることにより、その光が、導光部材110内を導光して樹脂層120及び加飾層130を順次透過した後に遮光層140の透光孔140aを通じて前方へ出射され、この透光孔140a内が金属調光沢を伴って所定の意匠形状で発光するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−116219号公報
【特許文献2】特開2012−54109号公報
【特許文献3】特開2011−154451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の装飾パネルでは、金属調光沢を有する加飾層130が樹脂層120の前面に単純に積層されたものであるため、発光時か非発光時かに拘らず、金属調光沢を有する意匠部の見栄えが平面的でありふれたものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、金属調光沢を有する意匠部の見栄えを奥行き感のあるものとすることができる装飾パネルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、装飾パネルにおいて、
光源からの光を導光して前面から出射させる平板状の導光部材と、
前記導光部材の前面に設けられ、前後方向に対して斜めに傾斜した傾斜面を後側に有する透光性の成形樹脂層と、
前記成形樹脂層の前記傾斜面に設けられ、金属調光沢を有する加飾フィルムと、
前記成形樹脂層の前面に設けられ、前記傾斜面の前方に透光孔を有する遮光層と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の装飾パネルにおいて、
前記成形樹脂層と前記遮光層との間に設けられ、前方からの操作を検知する検知部を有する静電容量式の電極シートを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の装飾パネルにおいて、
前記加飾フィルムは、金属成分を含まない非金属フィルムであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾パネルにおいて、
前記傾斜面は、後方に向けて狭窄する裁頭円錐面状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光源から出射した光が導光部材を通じて成形樹脂層に入射し、この成形樹脂層で拡散されて、当該成形樹脂層の傾斜面に設けられた加飾フィルムで前方へ反射された後に、遮光層の透光孔を通じて前方へ照射される。このとき、遮光層の透光孔に向けて光を反射させる加飾フィルムが、前後方向に対して斜めに傾斜した傾斜面に設けられているので、当該装飾パネルを前方から見たときに、前後方向に対して斜めに傾斜した加飾フィルムが透光孔を通じて視認されることとなり、ひいては、金属調光沢を有する加飾フィルムが奥行き感(立体感)を伴って視認されることとなる。したがって、遮光層の透光孔を所定の意匠形状にデザインすることで、非発光時は勿論のこと、発光時においても、金属調光沢を有する意匠部の見栄えを奥行き感のあるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における装飾パネルの正面図である。
図2図1のII−II線での断面図である。
図3】従来の装飾パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における装飾パネル1の正面図であり、図2は、図1のII−II線での断面図である。
【0014】
図1に示すように、装飾パネル1は、カーエアコン用の操作パネルであり、例えば温度調節に用いられる円形状のスイッチSWを有している。このスイッチSWは、ユーザーからの接近操作又は接触操作を受けて、図示しないカーエアコン本体に所定の動作を行わせるように機能するタッチスイッチ(タッチパネル)である。また、スイッチSWには、その機能の内容を示す名称部Nが中央部に設けられるとともに、金属調光沢を有する円環状の意匠部Dが周縁部に設けられている。
【0015】
具体的には、装飾パネル1は、図2に示すように、導光部材2と、支持部材3と、成形樹脂層4と、遮光層5と、フロントプレート6とを主に備えている。
このうち、導光部材2は、装飾パネル1の前後方向と直交する平板状に形成されており、その側端面には、LED(発光ダイオード)6が対向配置されている。この導光部材2は、LED6から出射されて側端面から当該導光部材2内に入射した光を、前面のうち成形樹脂層4が設けられた部分から出射させるように導光する。なお、LED6は、導光部材2の幅方向(図2の紙面垂直方向)に沿って複数並設されていてもよい。
【0016】
支持部材3は、成形樹脂層4を導光部材2の前面に支持させるためのものであり、成形樹脂層4が積層される孔部を有する板状に形成され、導光部材2の前面に設けられている。成形樹脂層4が積層される孔部は、後方に向けて狭窄する裁頭円錐体状に形成されており、当該孔部から導光部材2の前面が露出している。なお、支持部材3は、導光部材2の一部として当該導光部材2と一体的に構成してもよい。
【0017】
成形樹脂層4は、透光性を有する樹脂からなり、支持部材3に形成された孔部内で導光部材2の前面に積層されている。より詳細には、成形樹脂層4は、後方に向けて狭窄する裁頭円錐体状に形成されており、その周面が裁頭円錐面状の傾斜面4aとなっている。また、成形樹脂層4は、正面視での形状及び大きさがスイッチSWの形状及び大きさと略対応しており、このうち傾斜面4aの正面視での形状及び大きさが、スイッチSWの意匠部Dの形状及び大きさと略対応している。なお、傾斜面4aは、前後方向に対して斜めに傾斜しつつ成形樹脂層4の後側に形成された面であればよく、裁頭円錐面状のものに限定されない。
【0018】
成形樹脂層4の傾斜面4aには、金属調光沢を有する加飾フィルム8がインサート成形されている。この加飾フィルム8は、ポリマー層が多層に積層されてなる多層ラミネートフィルムであり、金属成分を含まない非金属フィルムであるにも拘らず金属調光沢を有するものとなっている。このような金属調光沢を有する非金属フィルムとしては、例えば、東レ株式会社製の商品名「ピカサス」(PICASUS)などが挙げられる。また、加飾フィルム8は、見る方向によって色調が変化するものとなっている。
【0019】
成形樹脂層4の前面中央部には、装飾フィルム9がインサート成形されている。この装飾フィルム9には、加飾フィルム8と同様に、金属調光沢を有する非金属フィルム(多層ラミネートフィルム)が用いられている。
【0020】
また、支持部材3,成形樹脂層4及び装飾フィルム9の前面には、その略全域に亘って透明の電極シート10が設けられている。この電極シート10は、静電容量式のセンサとして機能するものであり、ユーザーによる前方からの接近操作又は接触操作を検知する図示しない検知部(電極部)を成形樹脂層4の前方に有している。
【0021】
遮光層5は、電極シート10の前面に設けられた黒色の層であり、より詳細には、フロントプレート6の後面に設けられた黒色の印刷層である。この遮光層5には、第一透光孔5a及び第二透光孔5bが形成されている。このうち、第一透光孔5aは、スイッチSWの名称部Nと対応した形状(アルファベットで「VOL」)に形成され、装飾フィルム9の前方に設けられている。一方、第二透光孔5bは、スイッチSWの意匠部Dと対応した円環状に形成され、成形樹脂層4の傾斜面4aの前方に設けられている。
【0022】
フロントプレート6は、透光性の板状部材であり、第一透光孔5a及び第二透光孔5bを含む遮光層5の前面全域に亘って設けられている。但し、より詳細には、上述したように、遮光層5が当該フロントプレート6の後面に印刷されている。
【0023】
以上の構成を具備する装飾パネル1では、LED7が発光すると、当該LED7から出射した光が導光部材2内を導光して成形樹脂層4に後面から入射する。
成形樹脂層4に入射した光のうち、成形樹脂層4の前面中央部から前方へ出射したものは、装飾フィルム9を前方へ透過した後に、遮光層5の第一透光孔5aを通るものだけが当該遮光層5を通過し、フロントプレート6から前方へ照射される。これにより、スイッチSW中央部の名称部Nが、装飾フィルム9の金属調光沢を伴いつつ、遮光層5の第一透光孔5aの形状(アルファベットで「VOL」)で発光する。
【0024】
また、成形樹脂層4に入射した光のうちの一部は、当該成形樹脂層4によってその周面に向けて広く拡散される。この光は、成形樹脂層4の傾斜面4aに設けられた加飾フィルム8によって前方へ反射された後に、遮光層5の第二透光孔5bを通るものだけが当該遮光層5を通過し、フロントプレート6から前方へ照射される。これにより、スイッチSW周縁部の意匠部Dが、加飾フィルム8の金属調光沢を伴いつつ、遮光層5の第二透光孔5bの形状である円環状に発光する。
【0025】
ここで、意匠部Dでは、金属調光沢を有する加飾フィルム8が、前後方向に対して斜めに傾斜した傾斜面4aに設けられているので、当該意匠部Dを前方から見たときに、発光時か非発光時かに拘らず、前後方向に対して斜めに傾斜した加飾フィルム8が第二透光孔5bを通じて視認される。これにより、金属調光沢を有する加飾フィルム8が奥行き感(立体感)を伴って視認されることとなり、ひいては、金属調光沢を有する意匠部Dが奥行き感のある見栄えのものとなる。
【0026】
以上のように、本実施形態の装飾パネル1によれば、LED7から出射した光が導光部材2を通じて成形樹脂層4に入射し、この成形樹脂層4で拡散されて、当該成形樹脂層4の傾斜面4aに設けられた加飾フィルム8で前方へ反射された後に、遮光層5の第二透光孔5bを通じて前方へ照射される。このとき、遮光層5の第二透光孔5bに向けて光を反射させる加飾フィルム8が、前後方向に対して斜めに傾斜した傾斜面4aに設けられているので、当該装飾パネル1を前方から見たときに、前後方向に対して斜めに傾斜した加飾フィルム8が第二透光孔5bを通じて視認されることとなり、ひいては、金属調光沢を有する当該加飾フィルム8が奥行き感(立体感)を伴って視認されることとなる。したがって、非発光時は勿論のこと、発光時においても、金属調光沢を有する意匠部Dの見栄えを奥行き感のあるものとすることができる。
【0027】
また、加飾フィルム8が金属成分を含まない非金属フィルムであるので、当該加飾フィルム8は静電容量式の電極シート10の動作に殆ど影響を及ぼさない。したがって、スイッチSWの感度に殆ど影響を及ぼすことなく、金属調光沢を有する意匠部Dを設けることができる。
【0028】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0029】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る装飾パネルとして、カーエアコン用の操作パネルを例に挙げて説明したが、本発明は、金属調光沢を有する意匠部が設けられる装飾パネルであれば、特に限定されることなく、好適に適用することができる。
【0030】
また、成形樹脂層4は、透光性を有するものであれば、無色透明のものあってもよいし、スモーク状のものや有色のものであってもよい。
また、フロントプレート6に印刷される遮光層5は、前面側のデザインが、加飾フィルム8及び装飾フィルム9のものとは異なる金属調や、木目調などであってもよい。
【0031】
また、LED7が導光部材2の側端面に対向配置されることとしたが、当該LED7は、導光部材2を通じて当該導光部材2の前面から光を出射可能な構成であれば、例えば導光部材2の後方に配置されていてもよい。
また、本発明に係る光源は、LED(発光ダイオード)以外の光源であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 装飾パネル
2 導光部材
4 成形樹脂層
4a 傾斜面
5 遮光層
5a 第一透光孔
5b 第二透光孔
6 フロントプレート
7 LED(光源)
8 加飾フィルム
9 装飾フィルム
10 電極シート
SW スイッチ
D 意匠部
N 名称部
図1
図2
図3