(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の展示台にあっては、腕時計のバンドを環状にして保持体に巻回するために、腕時計の裏蓋が保持体や腕時計のバンドにより覆われてしまう。このため、特徴的な装飾が施された腕時計の裏蓋を視認するのが困難であった。さらに、腕時計の文字盤と腕時計の裏蓋とを同時に視認するためには、展示台から腕時計を取り外し、直接手で持って観察する必要があるが、展示品である腕時計に汚れが付着するおそれがあるため一般に好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、物品の正面と背面とを同時に観察することができ、効果的に物品を展示することができる展示台の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の展示台は、物品を展示するための展示台であって、光透過性を有する材料により
ブロック状に形成され、前記物品が設置される設置部と、前記設置部を支持する支持部と、を備え、前記設置部は、前記物品の背面と接触して前記物品を設置可能な設置面を備え、前記設置部と前記支持部との間には、前記物品の背面の像を反射する反射面を備え
、前記反射面は、前記設置部側の面上に形成され、前記反射面と前記支持部との間には、接着層が形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、設置部と支持部との間には、物品の背面の像を反射する反射面を備えているので、設置面に物品の背面を接触させて物品を設置したときに、物品の背面の像を反射面により反射して物品の背面の逆像とし、この物品の背面の逆像を展示台の外側に出射することができる。
また、設置部は、光透過性を有する材料により形成されているので、設置部と外部との境界面において、所定の入射角で入射した物品の背面の像を全反射することができる。したがって、設置面に物品の背面を接触させて物品を設置したときに、物品の背面の像を境界面により全反射して物品の背面の逆像とし、この物品の背面の逆像をさらに反射面により反射して物品の背面の正像とし、この物品の背面の正像を展示台の外側に出射することができる。
これにより、展示台の外側から、設置面に設置された物品の正面と、物品の背面の逆像と、物品の背面の正像とを視認できる。したがって、物品の正面と背面とを同時に観察することができ、効果的に物品を展示することができる。
また、反射面が設置部側の面上に形成され、反射面と支持部との間に接着層が形成されているので、反射面と設置部との間に接着層が介在することがない。したがって、設置面に設置された物品の背面の像が反射面により反射する際、接着層による散乱を防止できる。これにより、展示台の外側から、反射した物品の背面の像を良好に視認できる。
【0009】
また、前記反射面は、前記設置面の法線方向に対して所定角度で交差することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、反射面が設置面の法線方向に対して所定角度で交差しているので、反射面に対して設置面の法線方向に沿うように入射した物品の背面の像は、反射面により設置面の法線方向と交差する方向に反射する。これにより、展示台の外側であって、設置面の法線方向とは異なる方向から反射面により反射した物品の背面の逆像を視認できる。
【0011】
また、前記所定角度は40°以上50°以下であることを特徴としている。
【0012】
反射面が設置面の法線方向に対して40°以上50°以下、すなわち45°±5°の角度で交差することにより、展示台の外側から、反射面により反射した物品の背面の逆像と、設置部と外部との境界面および反射面により反射した物品の背面の正像とが、良好に視認できることが確認できた。
【0013】
また、前記所定角度は45°であることを特徴としている。
【0014】
反射面が設置面の法線方向に対して45°の角度で交差することにより、展示台の外側から、反射面により反射した物品の背面の逆像と、設置部と外部との境界面および反射面により反射した物品の背面の正像とが、特に良好に視認できることが確認された。
【0015】
また、前記物品の背面の像が偶数回反射して前記設置部の外側に出射するように構成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、物品の背面の像が偶数回反射して設置部の外側に出射することで、展示台の外側から、反射面により反射した物品の背面の正像を視認できる。
【0017】
また、前記設置面は、重力方向上方に面していることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、物品を設置面に載置するだけで、物品の自重により簡単に物品を設置面に設置できる。したがって、物品を設置面に固定するための固定手段が不要となるので、物品を設置面に簡単に設置できるとともに、展示台を低コストに形成できる。
【0019】
また、
前記設置部と前記支持部との間には、反射層が設けられ、前記接着層は、前記反射層と前記支持部の上面との間に介在していることを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、反射面が設置部側の面上に形成され、反射面と支持部との間に接着層が形成されているので、反射面と設置部との間に接着層が介在することがない。したがって、設置面に設置された物品の背面の像が反射面により反射する際、接着層による散乱を防止できる。これにより、展示台の外側から、反射した物品の背面の像を良好に視認できる。
【0021】
また、前記物品は、腕時計であることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、文字板と裏蓋とに装飾を施した腕時計の展示に特に好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、設置部と支持部との間には、物品の背面の像を反射する反射面を備えているので、設置面に物品の背面を接触させて物品を設置したときに、物品の背面の像を反射面により反射して物品の背面の逆像とし、この物品の背面の逆像を展示台の外側に出射することができる。
また、設置部は、光透過性を有する材料により形成されているので、設置部と外部との境界面において、所定の入射角で入射した物品の背面の像を全反射することができる。したがって、設置面に物品の背面を接触させて物品を設置したときに、物品の背面の像を境界面により全反射して物品の背面の逆像とし、この物品の背面の逆像をさらに反射面により反射して物品の背面の正像として、この物品の背面の正像を展示台の外側に出射することができる。
これにより、展示台の外側から、設置面に設置された物品の正面と、物品の背面の逆像と、物品の背面の正像とを視認できる。したがって、物品の正面と背面とを同時に観察することができ、効果的に物品を展示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、腕時計50が設置された展示台1の斜視図である。
図2は、展示台1の分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の展示台1は、腕時計50(請求項の「物品」に相当。)を展示するためのものである。
腕時計50は、裏蓋51とカバーガラス53とにより形成された円盤状の時計ケース55内に、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板57と、駆動体である不図示のムーブメントと、を備えている。
時計ケース55の径方向の対向する位置からは、腕時計50を使用者の手首等に装着するための一対のベルト59a,59bが、径方向の外側に向かって延在している。
また、時計ケース55の側面には、径方向の外側に向かって突出する竜頭56が設けられている。竜頭56は、径方向における一対のベルト59a,59bの延在方向と直交する方向に沿うように設けられている。
腕時計50は、カバーガラス53を上方にして展示台1に展示される。以下の説明において、腕時計50が展示台1に展示されたとき、上方に面するカバーガラス53側を正面といい、裏蓋51側を背面という。
【0026】
展示台1は、水平面S上に載置されており、腕時計50が設置される設置部10と、設置部10を支持する支持部20と、設置部10と支持部20との間に設けられた反射層30と、設置部10と支持部20との間に設けられた接着層35と、を備えており、全体として直方体状に形成されている。なお、各図においては、反射層30および接着層35の厚さを誇張して表現している。
詳細は後述するが、展示台1は、各側面のうちの一の面から、展示される腕時計50の背面の裏蓋51が観察可能とされている。ここで、展示台1の各側面のうち、腕時計50の背面を観察可能な一の面を観察面1aと定義する。以下の説明では、展示台1の各側面のうち、
図1における紙面手前側の設置部10の主面を観察面1aとし、観察面1aと直交する方向を前後方向といい、観察面1a側を前方といい、観察面1aとは反対側を後方という。また、以下の説明では、「上下左右」は展示台1を前方から見たときの「上下左右」に相当する。さらに、「上下」は、重力方向上下に相当する。
【0027】
図2に示すように、設置部10は、例えばアクリル樹脂やポリカーボーネイト樹脂等の光透過性を有する樹脂材料や、光透過性を有するガラス材料等により、ブロック状に形成されている。設置部10は、側面視で前方に長辺を有し後方に短辺を有する台形状に形成され、設置部10の各側面はそれぞれ平坦に形成されている。
図1に示すように、設置部10の上面は、腕時計50の背面の裏蓋51と接触して腕時計50を設置可能な設置面11となっている。設置面11は、重力方向上方に面しており、かつ水平面Sと略平行となるように設けられている。これにより、腕時計50を設置面11に載置するだけで、腕時計50の自重により腕時計50を設置面11に設置できる。
設置部10の設置面11上において、腕時計50は、裏蓋51が設置面11に接触し、かつ竜頭56が前方を指向した状態で載置されている。腕時計50の裏蓋51が設置面11に接触することで、腕時計50の裏蓋51の像が光透過性を有する設置部10の内部に入射する。
図2に示すように、設置部10の下面13は、前方から後方に向かって漸次上方に傾斜する傾斜面となっている。設置部10の下面13の傾斜角度は、所定角度に設定される。本実施形態においては、設置部10の下面13の傾斜角度は、設置面11の法線方向H1に対して、例えば約45°程度とされている。
【0028】
支持部20は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属材料や、比較的高強度な樹脂材料等により、ブロック状に形成されている。支持部20は、設置部10と対称形状とされており、側面視で前方に短辺を有し後方に長辺を有する台形状に形成され、支持部20の各側面はそれぞれ平坦に形成されている。
支持部20の上面21は、反射層30と接着層35とを介して、設置部10の下面13の下方に配置されている。支持部20の上面21は、前方から後方に向かって漸次上方に傾斜する傾斜面となっている。支持部20の上面21の傾斜角度は、設置部10の下面13と同様に、設置面11の法線方向H1に対して、例えば約45°程度とされている。
【0029】
反射層30は、設置部10の下面13に対して、例えばアルミニウムや金、銀、チタン、クロム等の金属材料を、真空蒸着法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により成膜することにより形成されている。本実施形態では、設置部10の下面13に対して、アルミニウムを真空蒸着法により成膜することで反射層30を形成している。反射層30の厚さは、例えば0.1μmから500μm程度となっており、入射する可視光を高い反射率(例えば、80%以上)で反射可能なように形成されている。
【0030】
反射層30における設置部10の下面13との接触面は、反射面30aとなっている。反射面30aは、設置部10の下面13上において、設置部10の下面13に沿うように形成される。反射面30aは、設置面11の法線方向H1に対して所定角度で交差している。本実施形態の反射面30aは、設置部10の下面13と同様に、設置面11の法線方向H1に対して、例えば約45°程度で交差している。したがって、反射面30aは、反射面30aに入射する腕時計50の裏蓋51の像を、反射面30aの面する前方の観察面1aに向かって、腕時計50の裏蓋51の逆像として反射することができる。
【0031】
接着層35は、反射層30を介して設置部10と支持部20とを固定している。接着層35は、支持部20の上面21に塗布された接着剤が、設置部10の下面13上の反射層30と支持部20の上面21との間で硬化することにより形成されている。なお、接着層35を形成する接着剤としては、例えば嫌気性の接着剤が好適である。
接着層35は、反射層30と支持部20の上面21との間に介在しており、反射面30aと設置部10の下面13との間には介在していない。したがって、反射面30aに入射する腕時計50の裏蓋51の像は、接着層35によって散乱することがない。なお、接着層35は、嫌気性の接着剤により形成される態様に限定されない。例えば、粘着シート等により接着層35が形成されていてもよい。
【0032】
(実施形態の作用)
続いて、上述のように形成された展示台1の作用について説明する。
図3は、展示台1を右方から見たときの説明図であり、
図4は、展示台1の観察面1aを前方から見たときの説明図である。なお、以下の説明において、腕時計50の裏蓋51には、文字「G」が印刷されているものとする。また、腕時計50は、竜頭56が前方を指向するように設置面11上に設置されているものとする。また、
図3において、設置部10の内部を進行する腕時計50の裏蓋51の像F1(F1a,F1b)を破線で図示し、腕時計50の裏蓋51の逆像F2(F2a,F2b)を一点鎖線で図示し、腕時計50の裏蓋51の正像F3を二点鎖線で図示している。
【0033】
図3に示すように、設置部10の内部を進行する腕時計50の裏蓋51の像のうち、法線方向H1に沿って進行する腕時計50の裏蓋51の像F1aは、法線方向H1に対して45°で交差する反射面30aに入射する。続いて、反射面30aに入射した腕時計50の裏蓋51の像F1aは、反射面30aにより腕時計50の裏蓋51の逆像F2aとされて、前方の観察面1aに向かって反射する。これにより、腕時計50の裏蓋51の逆像F2aは、前方の観察面1aから出射する。したがって、
図4に示すように、観察者は、観察面1aを見たとき、竜頭56aが下方を指向し、文字「G」がミラー反転した腕時計50の裏蓋51の逆像F2aを視認できる。
【0034】
ところで、設置部10は、光透過性を有するアクリル樹脂により形成されているため、設置部10の内部(アクリル樹脂)と外部(空気)とでは、屈折率が異なっている。したがって、設置部10の内部を進行する腕時計50の裏蓋51の像F1は、内部と外部との境界面である設置部10の各側面に対して、設置部10の内側から所定の入射角で入射したときに設置部10の内側に全反射する。
例えば、
図3に示すように、観察面1aに向かって設置部10の内部を進行する腕時計50の裏蓋51の像F1bは、所定の入射角で観察面1aに入射したとき、外部に出射されることなく所定の入射角で設置部10の内側に全反射する。このとき、腕時計50の裏蓋51の像F1bは、観察面1a内側での全反射によって、腕時計50の裏蓋51の逆像F2bとされる。続いて、腕時計50の裏蓋51の逆像F2bは、設置部10の内部を進行し、反射面30aに入射する。そして、反射面30aに入射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2bは、反射面30aにより腕時計50の裏蓋51の正像F3とされて、前方の観察面1aに向かって反射する。これにより、腕時計50の裏蓋51の正像F3は、腕時計50の裏蓋51の逆像F2a下方において、前方の観察面1aから出射する。したがって、
図1に示すように、展示台1を斜め上方から見下ろしたとき、観察者は、腕時計50の裏蓋51の逆像F2aに加えて、腕時計50の裏蓋51の逆像F2aの下方において、竜頭56bが上方を指向し、文字「G」がミラー反転していない腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認できる。
【0035】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、設置部10と支持部20との間には、腕時計50の裏蓋51の像を反射する反射面30aを備えているので、設置面11に腕時計50の裏蓋51を接触させて腕時計50を設置したときに、腕時計50の裏蓋51の像F1aを反射面30aにより反射して腕時計50の裏蓋51の逆像F2aとし、この腕時計50の裏蓋51の逆像F2aを展示台1の外側に出射することができる。
また、設置部10は、光透過性を有する材料により形成されているので、設置部10と外部との境界面において、所定の入射角で入射した腕時計50の裏蓋51の像F1bを全反射することができる。したがって、設置面11に腕時計50の裏蓋51を接触させて腕時計50を設置したときに、腕時計50の裏蓋51の像F1bを境界面により全反射して腕時計50の裏蓋51の逆像F2bとし、この腕時計50の裏蓋51の逆像F2bをさらに反射面30aにより反射して腕時計50の裏蓋51の正像F3とし、この腕時計50の裏蓋51の正像F3を展示台1の外側に出射することができる。
これにより、展示台1の外側から、設置面11に設置された腕時計50の正面と、腕時計50の裏蓋51の逆像F2aと、腕時計50の裏蓋51の正像F3とを視認できる。したがって、腕時計50の正面の文字板57と背面の裏蓋51とを同時に観察することができ、効果的に腕時計50を展示することができる。
【0036】
また、反射面30aが設置面11の法線方向H1に対して45°の角度で交差しているので、反射面30aに対して設置面11の法線方向H1に沿うように入射した腕時計50の裏蓋51の像F1aは、設置面11の法線方向H1と交差する方向(本実施形態では前方)に向かって反射する。これにより、展示台1の前方から反射面30aにより反射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2aを視認できる。
【0037】
また、反射面30aが設置面11の法線方向H1に対して45°の角度で交差することにより、展示台1の外側から、反射面30aにより反射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2aと、観察面1a内側で全反射し、さらに反射面30aにより反射した腕時計50の裏蓋51の正像F3とが、良好に視認できることが確認された。
【0038】
また、設置面11は、重力方向上方に面しているので、腕時計50を設置面11に載置するだけで、腕時計50の自重により簡単に腕時計50を設置面11に設置できる。したがって、腕時計50を設置面11に固定するための固定手段が不要となるので、腕時計50を設置面11に簡単に設置できるとともに、展示台1を低コストに形成できる。
【0039】
また、反射面30aが設置部10側の下面13上に形成され、反射面30aと支持部20との間に接着層35が形成されているので、反射面30aと設置部10との間に接着層35が介在することがない。したがって、設置面11に設置された腕時計50の裏蓋51の像が反射面30aにより反射する際、接着層35による散乱を防止できる。これにより、展示台1の外側から腕時計50の裏蓋51の像を良好に視認できる。
【0040】
(実施形態の変形例)
続いて、実施形態の変形例に係る展示台1について説明する。
図5は、実施形態の変形例に係る展示台1を右方から見たときの説明図であり、
図6は、実施形態の変形例に係る展示台1の観察面1aを前方から見たときの説明図である。なお、以下の説明において、腕時計50の裏蓋51には、文字「G」が印刷されているものとする。また、腕時計50は、竜頭56が前方を指向するように設置面11上に設置されている。また、
図5において、設置部10の内部を進行する腕時計50の裏蓋51の像F1(を破線で図示し、腕時計50の裏蓋51の逆像F2を一点鎖線で図示し、腕時計50の裏蓋51の正像F3を二点鎖線で図示している。
【0041】
実施形態に係る展示台1は、設置部10と支持部20との間に、腕時計50の裏蓋51の像を反射する反射面30aが形成されていた(
図2参照)。
これに対して、実施形態の変形例に係る展示台1は、
図5に示すように、設置部10と支持部20との間に第1反射面31aが形成され、設置部10の後面15に第2反射面32aが形成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、実施形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
図5に示すように、設置部10は、側面視で5角形状に形成されている。設置部10の下方端面は、第1下面16と第2下面17とによって、下方に凸のV字形状に形成されている。
設置部10の第1下面16は、前方に配置されており、前方から後方に向かって漸次下方に傾斜する傾斜面となっている。第1下面16は、設置面11の法線方向H1に対して交差するように形成されている。
設置部10の第2下面17は、第1下面16よりも後方に配置されており、前方から後方に向かって漸次上方に傾斜する傾斜面となっている。
設置部10の後面15は、前方から後方に向かって漸次下方に傾斜する傾斜面となっている。
【0043】
支持部20の上方端面は、第1上面26と第2上面27とにより、側面視で設置部10の下方端面の形状に対応した下方に凹のV字形状に形成されている。第1上面26は、設置部10の第1下面16に対して対向配置され、第2上面27は、設置部10の第2下面17に対して対向配置されている。
【0044】
第1反射層31は、設置部10の第1下面16上に、アルミニウムを真空蒸着法により成膜することで形成されている。第1反射層31における設置部10の第1下面16との接触面は、第1反射面31aとなっている。第1反射面31aは、後面15に面するように配置されている。これにより、第1反射面31aに入射した腕時計50の裏蓋51の像F1は、後面15に向かって腕時計50の裏蓋51の逆像F2として反射する。
【0045】
第2反射層32は、設置部10の後面15上に、アルミニウムを真空蒸着法により成膜することにより形成されている。第2反射層32における設置部10の後面15との接触面は、第2反射面32aとなっている。第2反射面32aは、第1反射面31aおよび観察面1aに面するように配置されている。これにより、第1反射面31aで反射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2は、第2反射面32aに入射するとともに、第2反射面32aに入射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2は、観察面1aに向かって腕時計50の裏蓋51の正像F3として反射する。
【0046】
接着層35は、支持部20の第1上面26および第2上面27に塗布された接着剤が、設置部10の第1下面16上の第1反射層31と支持部20の第1上面26との間、および設置部10の第2下面17と支持部20の第2上面27との間で硬化することにより形成されている。
接着層35は、第1反射層31と支持部20の第1上面26との間に介在しており、第1反射面31aと設置部10の第1下面16との間には介在していない。したがって、第1反射面31aに入射する腕時計50の裏蓋51の像F1は、接着層35によって散乱することがない。
【0047】
(実施形態の変形例の作用)
続いて、上述のように形成された実施形態の変形例に係る展示台1の作用について説明する。
図5に示すように、法線方向H1に沿って進行する腕時計50の裏蓋51の像F1は、第1反射面31aに入射する。続いて、第1反射面31aに入射した腕時計50の裏蓋51の像F1は、第1反射面31aにより腕時計50の裏蓋51の逆像F2とされて、後方の第2反射面32aに入射する。さらに、第2反射面32aに入射した腕時計50の裏蓋51の逆像F2は、第2反射面32aにより腕時計50の裏蓋51の正像F3とされて、前方の観察面1aに向かって反射する。これにより、腕時計50の裏蓋51の正像F3は、前方の観察面1aから出射する。したがって、
図6に示すように、観察者は、観察面1aを見たとき、竜頭56bが上方を指向し、文字「G」がミラー反転していない腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認できる。
【0048】
(実施形態の変形例の効果)
実施形態の変形例によれば、展示台1は、第1反射面31aおよび第2反射面32aを備え、腕時計50の裏蓋51の像F1が2回反射して設置部10の外側に出射するので、展示台1の外側から、第1反射面31aおよび第2反射面32aにより反射した腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認できる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
展示台1および展示台1を構成する設置部10や支持部20等の形状は、実施形態および実施形態の変形例に限定されない。例えば、実施形態の展示台1は、全体として直方体状に形成されていたが、円柱状であってもよい。また、設置部10や支持部20等を形成する材料は、実施形態および実施形態の変形例に限定されない。例えば、支持部20は、木材等により形成されていてもよい。また、支持部20は、中実のブロック状に形成されていたが、設置部10を支持可能であれば、形状は実施形態および実施形態の変形例に限定されない。例えば、支持部20は、枠体により中空に形成されていてもよい。
【0051】
実施形態の展示台1は、反射面30aが設置面11の法線方向H1に対して約45°程度で交差していたが、30aの設置面11の法線方向H1に対する反射面30aの交差角度は45°に限定されない。ただし、反射面30aが設置面11の法線方向H1に対して40°以上50°以下、すなわち45°±5°の角度で交差することにより、展示台1の外側から腕時計50の裏蓋51の逆像F2aと、腕時計50の裏蓋51の正像F3とが、良好に視認できることが確認できた。さらに、反射面30aが設置面11の法線方向H1に対して45°の角度で交差することにより、展示台1の外側から腕時計50の裏蓋51の逆像F2aと、腕時計50の裏蓋51の正像F3とが、特に良好に視認できることが確認できた。
【0052】
実施形態および実施形態の変形例では、反射面30aおよび第1反射面31aをそれぞれ設置部10側に設けていたが、支持部20側に設けてもよい。また、実施形態の反射面30aは、設置部10側の下面13に対して、アルミニウムを真空蒸着法により成膜することで形成されていたが、例えば支持部20を金属材料により形成し、支持部20の上面21を鏡面仕上げ等することにより、支持部20の上面21自体を反射面として形成してもよい。
【0053】
実施形態および実施形態の変形例では、設置面11を重力方向上方に設け、観察面1aを展示台1の側方に設けていたが、例えば設置面11を展示台1の側方に設け、観察面1aを重力方向上方に設けてもよい。ただし、観察面1aを展示台1の側方に設けた場合には、腕時計50を固定するための固定手段が必要となる。したがって、実施形態および実施形態の変形例にかかる展示台1は、固定手段を必要とせず、腕時計50を設置面11に簡単に設置できるとともに、展示台1を低コストに形成できる点で優位性がある。
【0054】
実施形態および実施形態の変形例に係る展示台1は、設置面11に腕時計50を設置することにより腕時計50を展示していたが、展示される物品は腕時計50に限定されることはなく、例えばブローチや指輪、ネクタイピン、メガネフレーム等の装飾品や、彫刻等の美術品等であってもよい。本発明の展示台1は、展示される物品の正面および背面を同時に観察したい場合に好適に用いることができる。とりわけ、展示される物品を腕時計50とした場合においては、ベルト59a,59bを環状にして展示する必要がない。したがって、ベルト59a,59bが例えば皮革により形成されている場合には、ベルト59a,59bの劣化を抑制できる。このように、本発明の展示台1は、腕時計50の展示に特に好適である。
【0055】
実施形態および実施形態の変形例に係る展示台1は、設置部10と支持部20との間に接着層35が設けられており、設置部10と支持部20とが接着層35により固定されていたが、例えば、支持部20上に設置部10を載置可能な場合等、支持部20の形状により設置部10を支持できる場合には、接着層35を設けなくてもよい。
【0056】
実施形態の変形例に係る展示台1は、第1反射面31aおよび第2反射面32aを備え、腕時計50の裏蓋51の像F1が2回反射して設置部10の外側に出射することで、腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認できるようにしていたが、腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認するための反射回数は2回に限定されることはなく、偶数回であればよい。腕時計50の裏蓋51の像F1が偶数回反射して設置部10の外側に出射するように構成されることで、観察面1aから腕時計50の裏蓋51の正像F3を視認でき、実施形態の変形例と同じ作用効果を奏することができる。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。