特許第6029204号(P6029204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029204
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】採光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20161114BHJP
   E04D 13/03 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   F21S11/00 320
   E04D13/03 R
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-238842(P2012-238842)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-89870(P2014-89870A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月23日に日本平ホテル(静岡県静岡市清水区馬走1500番地の2)の屋上に設置
(73)【特許権者】
【識別番号】596056678
【氏名又は名称】株式会社 マテリアルハウス
(73)【特許権者】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】海宝 幸一
(72)【発明者】
【氏名】加古藤 郁
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−112208(JP,A)
【文献】 実開平01−160607(JP,U)
【文献】 特開2007−095481(JP,A)
【文献】 特開平08−122094(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148963(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0073635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 11/00
F21S 19/00
E04D 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開いた建屋採光部における朝方太陽光および夕方太陽光の採光性能の向上化を図るための一対の光反射板を備えた採光装置において、
前記光反射板は、
前記建屋採光部の周縁部に対向状態で配設される朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板からなり、
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
それぞれ内側反射面を備え、
前記建屋採光部への配設後の同じ長手方向における高さの変化が互いに逆の関係となるように、一方の反射板の前記周縁部からの低い高さの低部分と、他方の反射板の前記周縁部からの高い高さの高部分とが対向する態様で設定され、
前記朝方太陽光は、
前記夕方太陽光反射板の前記低部分の上方を通過して前記朝方太陽光反射板の前記高部分の前記内側反射面へと進んで反射し、その反射光が前記建屋採光部に入射し、
前記夕方太陽光は、
前記朝方太陽光反射板の前記低部分の上方を通過して前記夕方太陽光反射板の前記高部分の前記内側反射面へと進んで反射し、その反射光が前記建屋採光部に入射する、
ことを特徴とする採光装置。
【請求項2】
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
対向状態に配設された同一平板形状の反射板である、
ことを特徴とする請求項1記載の採光装置。
【請求項3】
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
前記建屋採光部の対向周縁部に垂直状態で配設されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の採光装置。
【請求項4】
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
それぞれの全体が直角三角形の形状からなっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の採光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に開いた建屋採光部における朝夕の太陽高度が低い時間帯の採光性能の向上化を図るための採光装置に関する。
【0002】
特に、建屋採光部の対向周縁部に配設される朝方太陽光反射板(夕方太陽光位置側)および夕方太陽光反射板(朝方太陽光入射側)として、それぞれ内側反射面を備え、かつ、建屋採光部への配設後の長手方向における高さの変化が互いに逆の関係となる反射板を用いた採光装置に関する。
【0003】
これら朝方太陽光および夕方太陽光に対する各反射板の「長手方向における高さの変化が互いに逆の関係となる」とは、概略、例えば直角三角形状の朝方太陽光反射板が南側から北側の方向に沿って高くなり、かつ、同じく直角三角形状の夕方太陽光反射板が当該方向に沿って低くなっていることである。
【0004】
すなわち直角三角形状の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板が、それぞれの高さを決める斜辺部分がいわば互い違いとなるように対向配設されることである。
【0005】
このような直角三角形状を含む後述の各種形状からなる朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板の配設状況では、その一方の高部分と他方の低部分とが対向している。
【0006】
朝方太陽光の一部は夕方太陽光反射板の低い部分の上方からその対向側の朝方太陽光反射板の内側反射面へと進み、そこでの反射光が建屋採光部へ入射する。
【0007】
また、夕方太陽光の一部は朝方太陽光反射板の低い部分の上方からその対向側の夕方太陽光反射板の内側反射面へと進み、そこでの反射光が建屋採光部へ入射する。
【0008】
例えばホテルの客室などでは、一般に日中の採光はさほど重要でなく、チェックイン後の午後の遅い時間帯およびチェックアウト前の午前の早い時間帯の採光性能が特に重要となってくる。
【0009】
本発明は、このように朝方太陽光および夕方太陽光それぞれを同様に、光ダクトやトップライトなどの建屋採光部へ入射させることを志向した採光装置である。
【0010】
本明細書における東西南北はそれぞれ、北半球において本件採光装置を配設するときの方角を示している。南半球においては勿論「南北」の関係が逆になる。
【背景技術】
【0011】
従来、上方に開いた長方形状の建屋採光部の周縁部分に太陽光反射板を設置した採光装置が提案されている(例えば特許文献1の図2参照)。
【0012】
この太陽光反射板は、同じ高さからなる起立平板形状のものであり建屋採光部の例えば南側周縁部分に設けられて、そこでの反射光が光ダクトに入射するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−203917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、太陽光反射板を建屋採光部の対向周縁部(夕方太陽光位置側および朝方太陽光位置側)のそれぞれに、当該反射板の長手方向における高さの変化が上述のごとく互いに逆の関係となる形で配設して、朝夕の太陽高度が低い時間帯にいわば特化した形の採光性能向上化を図ることを目的とする。
【0015】
すなわち、夕方太陽光反射板(朝方太陽光位置側)の低部分上方などから朝方太陽光反射板(夕方太陽光位置側)の内側反射面へと進んだ朝方太陽光の反射光を建屋採光部に入射させ、かつ、朝方太陽光反射板の低部分上方などから夕方太陽光反射板の内側反射面へと進んだ夕方太陽光の反射光を建屋採光部に入射させることにより、朝夕の採光性能向上化を図っている。
【0016】
また、朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板を同一平板形状に設定することにより、反射板全体の製造コストの低減化や管理の簡単化を図ることを目的とする。
【0017】
また、このような高さの変化からなる朝方太陽光反射板,夕方太陽光反射板およびそれが配設される建屋採光部など全体形状のシンメトリー性を確保して、採光装置全体のデザイン化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)上方に開いた建屋採光部(例えば後述の建屋採光部2)における朝方太陽光および夕方太陽光の採光性能の向上化を図るための一対の光反射板(例えば後述の朝方太陽光反射板4〜,夕方太陽光反射板4'〜9')を備えた採光装置において、
前記光反射板は、
前記建屋採光部の周縁部(例えば後述の北西側周縁部2a,東南側周縁部2d)に対向状態で配設される朝方太陽光反射板(例えば後述の朝方太陽光反射板4〜および夕方太陽光反射板(例えば後述の夕方太陽光反射板4'〜9')からなり、
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
それぞれ内側反射面(例えば後述の内側反射面4a〜9aおよび4a'〜9a')を備え、
前記建屋採光部への配設後の同じ長手方向における高さの変化が互いに逆の関係となるように、一方の反射板の前記周縁部からの低い高さの低部分と、他方の反射板の前記周縁部からの高い高さの高部分とが対向する態様で設定され、
前記朝方太陽光は、
前記夕方太陽光反射板の前記低部分の上方を通過して前記朝方太陽光反射板の前記高部分の前記内側反射面へと進んで反射し、その反射光が前記建屋採光部に入射し、
前記夕方太陽光は、
前記朝方太陽光反射板の前記低部分の上方を通過して前記夕方太陽光反射板の前記高部分の前記内側反射面へと進んで反射し、その反射光が前記建屋採光部に入射する、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
対向状態に配設された同一平板形状の反射板である、
構成態様のものを用いる。
(3)上記(1),(2)において、
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
前記建屋採光部の対向周縁部に垂直状態で配設されている、
構成態様のものを用いる。
(4)上記(1),(2),(3)において、
前記朝方太陽光反射板および前記夕方太陽光反射板は、
それぞれの全体が直角三角形(例えば後述の朝方太陽光反射板4および夕方太陽光反射板4')の形状からなっている、
構成態様のものを用いる。
【0019】
以上の構成からなる採光装置を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上の課題解決手段により、
(11)朝夕の太陽高度が低い時間帯にいわば特化した形の採光性能向上化を図る、
(12)朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板全体の製造コストの低減化や管理の簡単化を図る、
(13)採光装置全体のデザイン化を図る、
ことなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】建屋採光部に一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その1)を対向状態で二組設置した採光装置を示す説明図である。
図2図1で用いた、それぞれ直角三角形状の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板からなる採光装置を示す説明図である。
図3】一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その2)からなる採光装置を示す説明図である。
図4】一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その3)からなる採光装置を示す説明図である。
図5】一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その4)からなる採光装置を示す説明図である。
図6】一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その5)からなる採光装置を示す説明図である。
図7】一対の朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板(その6)からなる採光装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図7を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
図1図7で用いる「数字+アルファベット」参照番号の構成要素(例えば北西側周縁部2a)は当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば建屋採光部2)の一部である、ことを示している。
【0024】
図1において、
1は採光装置が配設される建物の屋上,
2は屋上1に設けられた長方形状の建屋採光部(図1図7で使用),
2aは当該建屋採光部の北西側周縁部,
2bは北西側周縁部2aの北東側端部分と中央部分とに設けられた反射板取付け用の高い支柱,
2cは北西側周縁部2aの南西側端部分に設けられた反射板取付け用の低い支柱,
2dは当該建屋採光部の東南側周縁部,
2eは東南側周縁部2dの南西側端部分と中央部分とに設けられた反射板取付け用の高い支柱,
2fは東南側周縁部2dの北東側端部分に設けられた反射板取付け用の低い支柱,
3は建屋採光部2から建物内部に延びる周知の光伝播用のダクト,
をそれぞれ示している。
【0025】
図1図7において、
4〜9は起立状態で建屋採光部2の支柱2b,2cなどに取り付けられる平板形状の朝方太陽光反射板,
4a〜9aは朝方太陽光反射板4〜9の内側(建屋採光部側)に形成された鏡面仕様の内側反射面,
4'〜9'は起立状態、すなわち朝方太陽光反射板4〜9との平行対向状態で建屋採光部2の支柱2e,2fなどに取り付けられる平板形状の夕方太陽光反射板,
4a'〜9a'は夕方太陽光反射板4'〜9'の内側(建屋採光部側)に形成された鏡面仕様の内側反射面,
をそれぞれ示している。
【0026】
また、
L1は、朝方太陽光が、夕方太陽光反射板4'〜9'それぞれの低部分の上方から朝方太陽光反射板4〜9の内側反射面4a〜9aへと進み、そこでの反射光が建屋採光部2に入射するときの朝方太陽光径路,
L2は、夕方太陽光が、朝方太陽光反射板4〜9それぞれの低部分の上方から夕方太陽光反射板4'〜9'の内側反射面4a'〜9'aへと進み、そこでの反射光が建屋採光部2に入射するときの夕方太陽光径路,
xは朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'それぞれの高さの変化を検証する際の基準方向としての長手方向,
をそれぞれ示している。
【0027】
図示の採光装置は、朝夕それぞれの採光性能をより向上させるため、朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'をその長手方向xが北東方向と略一致する形に配設したものである。
【0028】
このとき長手方向xは北方向および東方向からそれぞれ45度ほどずれている。また、朝方太陽光反射板4〜8は北西側に北側が高くなり、夕方太陽光反射板4'〜9'は南東側に南側が高くなっている。
【0029】
図示した長手方向xの方位関係は朝夕の採光性能にとって適例であるものの、本発明の採光装置の配設方位は勿論これに限定されるものではなく、採光装置の使用地域,使用建物の向きなどに応じて任意に変更可能である。
【0030】
図1図6の各組の朝方太陽光反射板4〜8および夕方太陽光反射板4'〜8'の外形自体はそれぞれ同じである。すなわち、これらの朝方太陽光反射板および夕方太陽光反射板はすべて同一平板形状からなっている。
【0031】
図1図2の朝方太陽光反射板4および夕方太陽光反射板4'は直角三角形の形状からなっている。
【0032】
本発明にかかる図示の採光装置の基本的特徴は、
(21)図2図7で示した各種形状からなる朝方太陽光反射板4〜9をそれぞれ建屋採光部2の北西側周縁部2aに起立状態で配設し、かつ、夕方太陽光反射板4'〜9'をそれぞれ建屋採光部2の東南側周縁部2dに当該朝方太陽光反射板と略平行な起立状態(図2図7の場合は略平行・対向状態)で配設し、
(22)配設された各一対の朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'の高さが、それぞれの長手方向xに沿って逆の関係で変化する、
ことである。
【0033】
上記(22)の高さ変化の関係を朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'の個々にみてみると、それぞれ長手方向xに沿って、
(31)図1図2の直角三角形の朝方太陽光反射板4は単一直線的に増加して、夕方太陽光反射板4'は単一直線的に減少し、
(32)図3の朝方太陽光反射板5は二次関数曲線的に増加して、夕方太陽光反射板5'は二次関数曲線的に減少し、
(33)図4の朝方太陽光反射板6は「y=arctan(x)」の曲線的に増加して、夕方太陽光反射板6'は「y=arctan(x)」の曲線的に減少し、
(34)図5の朝方太陽光反射板7は「低水平線分−上り傾斜線分−高水平線分」の複数直線的に増加して、夕方太陽光反射板7'は「高水平線分−下り傾斜線分−低水平線分」の複数直線的に減少し、
(35)図6の朝方太陽光反射板8は「低水平線分−高水平線分」の複数直線的に増加して、夕方太陽光反射板8'は「高水平線分−低水平線分」の複数直線的に減少し、
(36)図7の朝方太陽光反射板9は「下り傾斜線分−上り傾斜線分」の複数直線的に「減少→増加」して、夕方太陽光反射板9'は「上り傾斜線分−下り傾斜線分」の複数直線的に「増加→減少」する、
かたちの高さに設定されている。
【0034】
なお、上記(36)の朝方太陽光反射板9と夕方太陽光反射板9'との上り傾斜線分および下り傾斜線分はそれぞれ同一角度である。
【0035】
なお、朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'は、
(41)夕方太陽光反射板4'〜9'の低部分と朝方太陽光反射板4〜9の高部分とがそれぞれ対向し,
(42)朝方太陽光反射板4〜9の低部分と夕方太陽光反射板4'〜9'の高部分とがそれぞれ対向する、
態様で配設されている。
【0036】
このように図1図6それぞれにおける一対の朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'の形状は建屋採光部2を含めたシンメトリーに設定され、採光装置全体が優れたデザイン性のものとなっている。
【0037】
ここで朝方太陽光反射板4〜9の鏡面仕様の内側反射面4a〜9aおよび夕方太陽光反射板4'〜9'の鏡面仕様の内側反射面4a'〜9a'は、ガラス,ステンレス,アルミニウム,樹脂などによって形成される。
【0038】
なお、内側反射面4a〜9aおよび内側反射面4a'〜9a'を拡散反射面としてもよく、その場合はグレー塗装や樹脂フィルム貼りなどによって形成される。
【0039】
朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'の外側の面部分はそれぞれ光吸収面,拡散反射面,鏡面などの任意の仕様でよい。
【0040】
朝方太陽光が、図2図7それぞれの採光装置における建屋採光部2へ反射入射するときの朝方太陽光径路L1は、概略、
(51)夕方太陽光反射板4'〜9'の低部分の上方から朝方太陽光反射板4〜9の鏡面仕様の内側反射面4a〜9aへと進み、
(52)この内側反射面で反射した光が建屋採光部2へ入射する、
形になっている(図1参照)。
【0041】
また、夕方太陽光が、図2図7それぞれの採光装置における建屋採光部2へ反射入射するときの夕方太陽光径路L2は、概略、
(61)朝方太陽光反射板4〜9の低部分の上方から夕方太陽光反射板4'〜9'の鏡面仕様の内側反射面4a'〜9a'へと進み、
(62)この内側反射面で反射した光が建屋採光部2へ入射する、
形になっている(図1参照)。
【0042】
本発明では、このように建屋採光部2の北西側周縁部2aと東南側周縁部2dとに朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'を、それぞれの高さが当該反射板の同じ長手方向(図示x方向)に対して上記逆の関係で変化する形に平行設定することにより、朝方太陽光および夕方太陽光の当該反射板からの各反射光をいわば分け隔てなく同じように建屋採光部2に入射させようとしている。
【0043】
北西側周縁部2aの朝方太陽光反射板4〜9は、その外面で夕方太陽光が東南側周縁部2dの方に進むのを阻止し、その内側反射面4a〜9aで朝方太陽光への反射作用を呈している。
【0044】
一方、東南側周縁部2dの夕方太陽光反射板4'〜9'は、その外面で朝方太陽光が北西側周縁部2aの方に進むのを阻止し、その内側反射面4a'〜9a'で夕方太陽光の反射作用を呈している。
【0045】
すなわち、図2図7の建屋採光部2には、
朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'それぞれに関する上記(31)〜(36)の高さ状況に応じて、
(71)夕方太陽光反射板4'〜9'で阻止されることなしに朝方太陽光反射板4〜9の内側反射面4a〜9aへと進んだ朝方太陽光の反射光が入射し、
(72)朝方太陽光反射板4〜9で阻止されることなしに夕方太陽光反射板4'〜9'の内側反射面4a'〜9a'へと進んだ夕方太陽光の反射光が入射する。
【0046】
朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'をそれぞれに対応した高さの支柱2b,2c,2e,2fに取り付ける場合、ネジ止め,リベット止め,接着などの各種固定手段を適宜用いる。
【0047】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば、
(81)平板形状の朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'に代えて曲板形状のもの、例えば長手方向や高さ方向における外側へと湾曲した曲板形状のものを用いる、
(82)朝方太陽光反射板4〜9と夕方太陽光反射板4'〜9'とを平行状態からずらして配設する、
(83)朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'を内側(建屋採光部2の側)またはその反対の外側に傾けて配設する、
(84)朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'それぞれの一組の高さを「同じ長手方向における高さの変化が互いに逆の関係となる」範囲内で図示以外の形状に設定する、
(85)建屋採光部2の長手方向を図示以外の所定範囲(朝方太陽光反射板4〜9および夕方太陽光反射板4'〜9'での反射光が当該建屋採光部に入射可能な範囲)における任意の方向、例えば南北方向などに設定する、
ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1:建物の屋上
2:建屋採光部
2a:北西側周縁部
2b:高い支柱
2c:低い支柱
2d:東南側周縁部
2e:高い支柱
2f:低い支柱
3:光伝播用のダクト
【0049】
4〜9:平板形状の朝方太陽光反射板
4a〜9a:鏡面仕様の内側反射面
4'〜9':平板形状の夕方太陽光反射板
4a'〜9a':内側反射面
L1:朝方太陽光径路
L2:夕方太陽光径路
x:長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7