特許第6029225号(P6029225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029225
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】組合せ印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 11/00 20060101AFI20161114BHJP
   B41F 9/00 20060101ALI20161114BHJP
   B41F 7/02 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B41F11/00 B
   B41F9/00 A
   B41F7/02 414
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-231267(P2011-231267)
(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2013-86437(P2013-86437A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230111796
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 忠敬
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 博美
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−127321(JP,A)
【文献】 特開平02−187337(JP,A)
【文献】 特開2004−034641(JP,A)
【文献】 特開2003−182031(JP,A)
【文献】 特開昭58−147364(JP,A)
【文献】 特開2000−062134(JP,A)
【文献】 特開2001−113676(JP,A)
【文献】 特開平08−132597(JP,A)
【文献】 特開平02−022057(JP,A)
【文献】 特開平10−291297(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/077350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 11/00
B41F 7/02
B41F 9/00
B41F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部分版胴とこれら複数の前記部分版胴が当接し当該部分版胴の2倍以上の直径を有する集合ゴム胴と前記集合ゴム胴に対接する集合版胴と前記集合版胴に対接するゴム胴と前記ゴム胴と対接する圧胴とを有するザンメル印刷ユニットと、複数の前記部分版胴のそれぞれに対応して設けられ前記部分版胴へインキを供給する複数のインキ装置を支持し、当該インキ装置が前記部分版胴に対して近接離反できるように移動可能に支持された移動インカーと、を備えたザンメル印刷部と、
前記ザンメル印刷部によりザンメル印刷が施されたシートに対してオフセット印刷を施すオフセット印刷部と、
を備えた組合せ印刷機において、
前記ザンメル印刷部は、前記移動インカーがシート搬送経路の下方に配設され、シートの下面にザンメル印刷を施し、
前記オフセット印刷部は、版胴と、前記版胴に対接するゴム胴と、前記ゴム胴に対接して前記版胴の2倍の直径を有する圧胴と、前記版胴へインキを供給するインキ供給装置とを有し、シートの下面にオフセット印刷を施す下面オフセット印刷ユニットを備え、
前記ザンメル印刷ユニットの前記圧胴と前記下面オフセット印刷ユニットの前記圧胴と1本の搬送胴で連結され
前記移動インカーは、前記集合ゴム胴の前記オフセット印刷部とは反対側に設けられている
ことを特徴とする組合せ印刷機。
【請求項2】
前記オフセット印刷部のシート搬送方向下流側に設けられ、シートに凹版印刷を施す凹版印刷部を設けた
ことを特徴とする請求項に記載の組合せ印刷機。
【請求項3】
前記下面オフセット印刷ユニットがモジュール化されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の組合せ印刷機。
【請求項4】
前記オフセット印刷部は、版胴と、前記版胴に対接するゴム胴と、前記ゴム胴に対接して前記版胴の2倍の直径を有する圧胴と、前記版胴へインキを供給するインキ供給装置とを有し、前記ザンメル印刷部によりザンメル印刷が施されたシートの下面とは反対側の上面にオフセット印刷を施す上面オフセット印刷ユニットを備え、
前記上面オフセット印刷ユニットの前記圧胴と前記下面オフセット印刷ユニットの前記圧胴とが対接し、前記上面オフセット印刷ユニットと前記下面オフセット印刷ユニットとでモジュール化された両面印刷ユニットが構成される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ印刷機。
【請求項5】
前記オフセット印刷部の前記インキ供給装置は、ダブルダクト式の2つのインキツボを備えたものである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ印刷機。
【請求項6】
シートの印刷品質を検査する検査カメラを備えている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せ印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともザンメル印刷機が組み合わされてなる組合せ印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
証券類の印刷には、偽造防止などの目的から、凹版,凸版,平版の各印刷法が複雑に組み合わされた状態で用いられている。肖像や額面には繊細かつ鮮鋭な画線が得られる凹版印刷が、通し番号には読みやすいシャープな文字を印刷できる凸版印刷が、地紋には多色刷りに適した平版(オフセット)印刷がそれぞれ用いられる。そして更に、地紋の一部には特殊な印刷法であるザンメル印刷が採用されている。
【0003】
ザンメル印刷とは、複数の部分版胴に異なった色のインキをそれぞれ着け、次に、集合ゴム胴を介して各部分版胴上の画線を集合版胴に集合させ、それからゴム胴,圧胴間を通る紙に転写させる印刷法である。このザンメル印刷には画線の途中から色を変化させる場合にも刷合せの狂いが全く生じないという特徴があるため、偽造防止の効果が大きい。
【0004】
図5に示したものは、シート供給装置100とシート排出装置103との間にザンメル印刷部101とオフセット印刷部102とが組み合わされてなるオフセット・ザンメル印刷機である。このザンメル印刷部101では、3本の部分版胴(ザンメルパターン版胴)105と集合ゴム胴(ザンメル集合ゴム胴)106,集合版胴(ザンメル集合版胴)107,ゴム胴108,圧胴109がこの順に連接している。各部分版胴105上の画線は、集合ゴム胴106を介して、集合版胴107に転写一体化され、更にゴム胴108を介して、スウィング110よりゴム胴108と圧胴109との間に供給されたシートに印刷される。印刷されたシートは5本の渡胴111を経て一色目のオフセット印刷ユニットへ搬送される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−127321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されているザンメル印刷部では、3本の部分版胴105→集合ゴム胴106→集合版胴107→ゴム胴108とインキが転写される胴配列が、前記ゴム胴108と圧胴109との間に供給されるシートの搬送経路の上部に設けられていると共に、前記各部分版胴105にインキを供給する複数のインキ装置を備えた移動インカー112が当該胴配列の後方(シートの搬送経路下流側、オフセット印刷ユニット側)でかつシートの搬送経路の上方に設けられている。
【0007】
そのため、インキ等のシートへの落下汚れを管理する必要があると共に、各胴の操作に当たってはステップ等の上方からの操作となり操作性が悪いという問題点があった。また、ザンメル印刷部101とオフセット印刷部102とを多数本の渡胴111で連結する必要があり、シートのくわえ回数が多くなることから見当精度が悪いという問題点もあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、操作性と印刷品質の向上が図れる組合せ印刷機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る組合せ印刷機は、
複数の部分版胴とこれら複数の前記部分版胴が当接し当該部分版胴の2倍以上の直径を有する集合ゴム胴と前記集合ゴム胴に対接する集合版胴と前記集合版胴に対接するゴム胴と前記ゴム胴と対接する圧胴とを有するザンメル印刷ユニットと、複数の前記部分版胴のそれぞれに対応して設けられ前記部分版胴へインキを供給する複数のインキ装置を支持し、当該インキ装置が前記部分版胴に対して近接離反できるように移動可能に支持された移動インカーと、を備えたザンメル印刷部と、
前記ザンメル印刷部によりザンメル印刷が施されたシートに対してオフセット印刷を施すオフセット印刷部と、
を備えた組合せ印刷機において、
前記ザンメル印刷部は、前記移動インカーがシート搬送経路の下方に配設され、シートの下面にザンメル印刷を施し、
前記オフセット印刷部は、版胴と、前記版胴に対接するゴム胴と、前記ゴム胴に対接して前記版胴の2倍の直径を有する圧胴と、前記版胴へインキを供給するインキ供給装置とを有し、シートの下面にオフセット印刷を施す下面オフセット印刷ユニットを備え、
前記ザンメル印刷ユニットの前記圧胴と前記下面オフセット印刷ユニットの前記圧胴と1本の搬送胴で連結され
前記移動インカーは、前記集合ゴム胴の前記オフセット印刷部とは反対側に設けられている
ことを特徴とする。
【0011】
また、
前記オフセット印刷部のシート搬送方向下流側に設けられ、シートに凹版印刷を施す凹版印刷部を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、
前記下面オフセット印刷ユニットがモジュール化されていることを特徴とする。
【0013】
また、
前記オフセット印刷部は、版胴と、前記版胴に対接するゴム胴と、前記ゴム胴に対接して前記版胴の2倍の直径を有する圧胴と、前記版胴へインキを供給するインキ供給装置とを有し、前記ザンメル印刷部によりザンメル印刷が施されたシートの下面とは反対側の上面にオフセット印刷を施す上面オフセット印刷ユニットを備え、
前記上面オフセット印刷ユニットの前記圧胴と前記下面オフセット印刷ユニットの前記圧胴とが対接し、前記上面オフセット印刷ユニットと前記下面オフセット印刷ユニットとでモジュール化された両面印刷ユニットが構成される、
ことを特徴とする。
また、
前記オフセット印刷部の前記インキ供給装置は、ダブルダクト式の2つのインキツボを備えたものである
ことを特徴とする。
また、
シートの印刷品質を検査する検査カメラを備えている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る組合せ印刷機によれば、インラインでザンメル印刷部によるザンメル印刷とオフセット印刷部によるオフセット印刷とを行うことができる。
【0015】
この際、ザンメル印刷部の移動インカーがシート搬送経路の下方に配設されているので、インキ等のシートへの落下汚れを管理する必要がないと共に、ザンメル印刷部の各胴の操作がフロア上から行える。また、ザンメル印刷ユニットの圧胴と下面オフセット印刷ユニットの圧胴とが1本の搬送胴で連結されているので、シートのくわえ回数が削減される。
【0016】
これらの結果、操作性と印刷品質の向上が図れる組合せ印刷機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
図2】本発明の実施例2を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
図3】本発明の実施例3を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
図4】本発明の実施例4を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
図5】従来のオフセット・ザンメル印刷機の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る組合せ印刷機を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
【0020】
図1に示すように、右から順に紙(シート)を供給する給紙部(シート供給装置)1,ザンメル印刷部2,オフセット印刷部3及び紙を排出する排紙部(シート排出装置)4と配設され、先ず、給紙部1からの紙が一枚ずつスウィング10により4本の渡胴11を介してザンメル印刷部2の圧胴16に渡され、当該ザンメル印刷部2の圧胴16とゴム胴15の間に供給されるようになっている。
【0021】
前記ザンメル印刷部2は、3本の部分版胴12とこれら3本の部分版胴12が当接し当該部分版胴12の2倍以上(図示例では3倍)の直径を有する集合ゴム胴13とこの集合ゴム胴13に対接する集合版胴14とこの集合版胴14に対接するゴム胴15とこのゴム胴15と対接する圧胴16とを有するザンメル印刷ユニット17と、3本の部分版胴12のそれぞれに対応して設けられ当該部分版胴12へインキを供給する3つのインキ装置18を支持し、当該インキ装置18が前記部分版胴12に対して近接離反できるように移動可能に支持された移動インカー19と、を備える。
【0022】
そして、本実施例では、前記ザンメル印刷部2は、ザンメル印刷ユニット17の3本の部分版胴12、集合ゴム胴13、集合版胴14及びゴム胴15と、移動インカー19とが紙の搬送経路(シート搬送経路)の下方に配設され、紙の下面にザンメル印刷を施すようになっている。また、前記移動インカー19は、前記集合ゴム胴13と給紙部1との間、即ち前記集合ゴム胴13のオフセット印刷部3とは反対側に位置して水平方向に移動可能になっている。
【0023】
次に、ザンメル印刷された紙は、前記圧胴16から1本の渡胴(搬送胴)20を通り、前記オフセット印刷部3の1色目(最上流側オフセット印刷部)の下面(裏面)オフセット印刷ユニット3aのゴム胴21と圧胴22との間に供給されるようになっている。
【0024】
前記オフセット印刷部3は、2つのインキツボ23a,23bを備えたダブルダクト式インキ供給装置23と版胴24と前記ゴム胴21及び圧胴22とを備えた4つの下面オフセット印刷ユニット3a〜3dから構成されており、それぞれのゴム胴21と圧胴22との間に供給された紙の下面に各版胴24から転写された所定の色の画線による印刷が行われるようになっている。即ち、隣接する下面オフセット印刷ユニット3a〜3dの圧胴22間にはそれぞれ1本の渡胴25が介装されているのである。
【0025】
そして、本実施例では、前記下面オフセット印刷ユニット3a〜3dは各色毎にモジュール化され、インキの色数の増減に容易に対応可能になっていると共に、製造・組立時の取扱いが容易になっている。また、各下面オフセット印刷ユニット3a〜3dは湿し水装置を用いないドライオフセット印刷を行うようになっている。
【0026】
最後に、オフセット印刷された紙は、4色目の下面オフセット印刷ユニット3dの圧胴22から2本の渡胴26を介して排紙部4のデリバリー胴27に受け渡され、排紙チェーン28により順次搬送されて、後述するパイル上に積載されるようになっている。
【0027】
尚、前記4色目の下面オフセット印刷ユニット3dの圧胴22に向けて下面(裏面)用検査カメラ29Aが設けられており、紙は下面オフセット印刷ユニット3dの圧胴22による搬送中に下面の印刷品質が検査される。そして、検査カメラ29Aによる検査の結果、正常と判断された紙は、例えば、排紙部4の正紙パイル4a,4bの何れかに排出され、不良と判断された紙は、例えば、排紙部4の不良紙パイル4cに排出されるようになっている。また、図中30はUV光(紫外線)を照射することでUV光インキを瞬時に硬化・乾燥させるランプ方式のUV乾燥装置(UVランプ)である。
【0028】
このように構成されるため、ザンメル印刷部2による3色のザンメル印刷後に、インラインでオフセット印刷部3による下面4色のオフセット印刷が行われ、1台の印刷機で2種類の組合せ印刷をワンパスで行うことが可能となる。
【0029】
この際、ザンメル印刷ユニット17の3本の部分版胴12、集合ゴム胴13、集合版胴14及びゴム胴15と、移動インカー19とが紙の搬送経路の下方に配設され、紙の下面にザンメル印刷を施すようになっているので、インキ等の紙への落下汚れを管理する必要がないと共に、ザンメル印刷部2の各胴12〜16の操作がフロア上から行える。
【0030】
また、前記移動インカー19は、前記集合ゴム胴13と給紙部1との間、即ち前記集合ゴム胴13の反オフセット印刷部3側に位置して水平方向に移動可能になっているので、ザンメル印刷ユニット17の圧胴16と1色目の下面オフセット印刷ユニット3aの圧胴22とを1本の渡胴20で連結でき、紙のくわえ回数が削減されて見当精度が高まる。尚、本実施例のように、オフセット印刷部の最上流側オフセット印刷ユニットが下面オフセット印刷ユニットの場合、この下面オフセット印刷ユニットの圧胴とザンメル印刷ユニットの圧胴との間にある渡胴が本発明の搬送胴として機能する。
【0031】
これらの結果、操作性と印刷品質の向上が図れる組合せ印刷機が実現される。また、前記下面オフセット印刷ユニット3a〜3dがモジュール化されたことにより、汎用性の高い組合せ印刷機も実現される。
【実施例2】
【0032】
図2は本発明の実施例2を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
【0033】
この実施例は、実施例1における組合せ印刷機に凹版印刷部を追加したものであり、その他の構成は実施例1と同じ構成であるため、その詳細説明は省略する。
【0034】
図2に示すように、本実施例の組合せ印刷機は、凹版印刷部5がオフセット印刷部3と排紙部4との間に設けられており、ザンメル印刷部2によりザンメル印刷が施され、オフセット印刷部3により下面(片面)にオフセット印刷が施された紙に対して凹版印刷を施して排紙部4に排紙するものである。勿論、オフセット印刷部3における下面オフセット印刷ユニット3a〜3dの各ゴム胴21を圧胴22および版胴24から離間させる(脱させる)ことによりオフセット印刷を省略することもできる。
【0035】
凹版印刷部5は、オフセット印刷部3から渡胴31を介して受け渡された紙を保持して搬送する圧胴32と、周面に凹版が装着された凹版胴33と、前記凹版胴33にインキを供給するインキ集合胴34と、前記インキ集合胴34により凹版胴33の凹版に転写されたインキのうち余剰インキを除去するワイピングローラ36aを備えたワイピング装置36と、前記インキ集合胴34にインキを供給する5本のシャブロン胴35と、前記5本のシャブロン胴35に対応して5つ設けられ当該シャブロン胴35にインキを供給するインキ供給装置37aと、5つのインキ供給装置37aを支持する凹版移動インカー37と、を備えており、圧胴32と凹版胴33間に供給された紙に凹版印刷するようになっている。
【0036】
凹版印刷部5の圧胴32は、オフセット印刷部3の最終圧胴である下面オフセット印刷ユニット3dの圧胴22から3本の渡胴26,26,31を介して紙を受取り、凹版胴33との間で凹版印刷を施したのち、デリバリー胴27にこの紙を受け渡すようになっている。尚、図中41はオフセット印刷部3でオフセット印刷が施された紙の下面に熱風等を吹き付けてインキを乾燥させる乾燥装置である。
【0037】
5つのインキ供給装置37aを支持する凹版移動インカー37が、前記5本のシャブロン胴35,インキ集合胴34,凹版胴33,圧胴32を軸支した凹版印刷ユニット40に対して進退(着脱)し得るようになっている。
【0038】
そして、本実施例では、前記インキ集合胴34の洗浄作業やブランケット交換作業などのメンテナンス時に、前記シャブロン胴35を取り外すことなしに前記インキ集合胴34へのアクセスを可能とする作業空間Scが隣接するシャブロン胴35間に形成される。
【0039】
図示例では、5つのシャブロン胴35のうち最も上方に位置するシャブロン胴とその直下のシャブロン胴との間隔が他のシャブロン胴間における間隔より大きくなるように各シャブロン胴が配列されている。そして、凹版移動インカー37の離間位置(図中二点鎖線位置)において、インキ供給装置37aとシャブロン胴35との間に形成される空間Sdに位置したオペレータは、作業空間Scを介してインキ集合胴34へアクセスすることができるようになっている。
【0040】
即ち、インキ供給装置37aとシャブロン胴35との間に形成される空間Sdから作業空間Scを介してインキ集合胴34へのアクセスが可能となるのである。これにより、インキ集合胴34の洗浄作業やブランケット交換作業などのメンテナンス時には、シャブロン胴35の取付け/取外しを行うことなく、隣接する前記シャブロン胴35の間に形成された作業空間Scを利用してインキ集合胴34へアクセスすることが可能となり、インキ集合胴34に対するメンテナンス作業を容易に行うことができるのである。
【0041】
本実施例によれば、ザンメル印刷、下面オフセット印刷、凹版印刷の任意の組合せ印刷が可能となり、さらに多様な印刷要求に対応することが出来ると共に、実施例1と同様に見当精度が高い高品質の印刷を行うことができる。
【実施例3】
【0042】
図3は本発明の実施例3を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
【0043】
この実施例は、実施例1における組合せ印刷機のオフセット印刷部3において、ユニット数を1つ減らして1色目〜3色目の下面(裏面)オフセット印刷ユニット3a〜3cを設けると共に、これらの上方に、1色目〜3色目の下面オフセット印刷ユニット3a〜3cと同一構成の1色目〜3色目の上面(表面)オフセット印刷ユニット3e〜3gを設けて両面オフセット印刷を可能にした例である。
【0044】
この実施例では、紙の搬送方向にジグザグに隣接する各ユニットの圧胴22同士が接触するように連結されており、1色目の上面オフセット印刷ユニット3eで紙の上面(表面)にオフセット印刷を施すと、1色目の上面オフセット印刷ユニット3eの圧胴(搬送胴)22から1色目の下面オフセット印刷ユニット3aの圧胴22にこの紙を受け渡し、1色目のオフセット印刷ユニット3aにおいて紙の下面(裏面)にオフセット印刷を施すのである。このように、隣接する各ユニットの圧胴22を渡胴を介在させずに接触させることにより紙の上面(表面)印刷と下面(裏面)印刷とを交互に行うよう構成されている。この実施例のように、オフセット印刷部の最上流側オフセット印刷ユニットが上面オフセット印刷ユニットの場合、この上面オフセット印刷ユニットの圧胴が本発明の搬送胴として機能するのである。
【0045】
尚、3色目の上面オフセット印刷ユニット3gの圧胴22および3色目の下面オフセット印刷ユニット3cの圧胴22に向けて上面(表面)用検査カメラ29B,下面(裏面)用検査カメラ29Aが設けられている。その他の構成は実施例1と同じ構成であるため、その詳細説明は省略する。
【0046】
本実施例によれば、実施例1と同様の作用効果に加えて、3色のザンメル印刷後にインラインで上面(表面)3色,下面(裏面)3色のオフセット印刷が行われ、例えば、上面オフセット印刷ユニット3e〜3gのゴム胴21を圧胴22および版胴24から離間させる(脱させる)ことにより、下面のみのオフセット印刷を行うことができ、両面および任意の面のみの片面オフセット印刷を行うことができるという利点が得られる。
【実施例4】
【0047】
図4は本発明の実施例4を示す、組合せ印刷機の全体構成図である。
【0048】
この実施例は、実施例2における組合せ印刷機のオフセット印刷部3において、1色目〜4色目の下面(裏面)オフセット印刷ユニット3a〜3dを設けると共に、これらの上方に、1色目〜4色目の下面オフセット印刷ユニット3a〜3dと同一構成の1色目〜4色目の上面(表面)オフセット印刷ユニット3e〜3hを設けて両面オフセット印刷を可能にした例である。
【0049】
この実施例では、紙の搬送方向にジグザグに隣接する各ユニットの圧胴22同士が接触するように連結されており、1色目の上面オフセット印刷ユニット3eで紙の上面(表面)にオフセット印刷を施すと、1色目の上面オフセット印刷ユニット3eの圧胴22から1色目の下面オフセット印刷ユニット3aの圧胴22にこの紙を受け渡し、1色目のオフセット印刷ユニット3aにおいて紙の下面(裏面)にオフセット印刷を施すのである。このように、隣接する各ユニットの圧胴22を渡胴を介在させずに接触させることにより紙の上面(表面)印刷と下面(裏面)印刷とを交互に行うよう構成されている。
【0050】
尚、4色目の下面オフセット印刷ユニット3dと同様に、4色目の上面オフセット印刷ユニット3hの圧胴22に向けて上面(表面)用検査カメラ29Bが設けられている。その他の構成は実施例2と同じ構成であるため、その詳細説明は省略する。
【0051】
本実施例によれば、実施例2と同様の作用効果に加えて、3色のザンメル印刷後にインラインで上面(表面)4色,下面(裏面)4色のオフセット印刷が行われ、例えば、上面オフセット印刷ユニット3e〜3hのゴム胴21を圧胴22および版胴24から離間させる(脱させる)ことにより、下面のみのオフセット印刷を行うことができ、両面および任意の面のみの片面オフセット印刷を行うことができるという利点が得られる。
【0052】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で渡胴、部分版胴、シャブロン胴の胴数変更やオフセット印刷部におけるユニット数変更等各種変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る組合せ印刷機は、操作性と印刷品質の向上が図れると共に汎用性も高められるので、証券印刷等に有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 給紙部
2 ザンメル印刷部
3 オフセット印刷部
3a〜3d 下面(裏面)オフセット印刷ユニット
3e〜3h 上面(表面)オフセット印刷ユニット
4 排紙部
4a,4b 正紙パイル
4c 不良紙パイル
5 凹版印刷部
10 スウィング
11 渡胴
12 部分版胴
13 集合ゴム胴
14 集合版胴
15 ゴム胴
16 圧胴
17 ザンメル印刷ユニット
18 インキ装置
19 移動インカー
20 渡胴
21 ゴム胴
22 圧胴
23 インキ供給装置
23a,23b インキツボ
24 版胴
25 渡胴
26 渡胴
27 デリバリー胴
28 排紙チェーン
29A 下面(裏面)用検査カメラ
29B 上面(表面)用検査カメラ
30 UV乾燥装置(UVランプ)
31 渡胴
32 圧胴
33 凹版胴
34 インキ集合胴
35 シャブロン胴
37 凹版移動インカー
37a インキ供給装置
38 渡胴
39 凹版印刷ユニット
40 凹版印刷ユニット
41 乾燥装置
Sc 作業空間
Sd 空間
図1
図2
図3
図4
図5