特許第6029228号(P6029228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6029228太陽電池モジュールパネルの取付治具、取付構造、及び取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029228
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールパネルの取付治具、取付構造、及び取付方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20140101AFI20161114BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20161114BHJP
【FI】
   E04D13/18
   H02S20/23 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-87871(P2012-87871)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-217084(P2013-217084A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391013162
【氏名又は名称】株式会社屋根技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡田 幸治
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−157761(JP,A)
【文献】 特開平10−169132(JP,A)
【文献】 特開2011−220110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04H 5/00
H02S 20/00、20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根に太陽電池モジュールパネルを取り付けるための太陽電池モジュールパネルの取付治具であって、
内部に中空部を有し、上面に該中空部と連通する長手方向に延びるスリット部が形成されていて、前記屋根に固定されるレール部材と、
前記レール部材の前記中空部に頭部が収納され前記スリット部に軸部が挿通された締結部材により前記レール部材に固定される固定基部と前記太陽電池モジュールパネルの端部を受ける受部とを有する固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記受部として、前記太陽電池モジュールパネルの端部の側面を受けために前記固定基部から立ち上げられた側面受部位と、前記太陽電池モジュールパネルの端部を上側から受ける上側受部位とを有しており、
前記上側受部位には、下向きに突出する下向突出片が設けられており、前記太陽電池モジュールパネルの端部に設けられた上向きに突出する上向突出片と係合可能とされているものであって、
前記上側受部位は、前記固定基部から立ち上げられた支持部で支持されており、前記下向突出片の下端部の内側面は、上方に向かうにつれて前記支持部との間が狭くなるテーパー形状又は面取り形状とされていることを特徴とする太陽電池モジュールパネルの取付治具。
【請求項2】
前記レール部材の前記中空部と前記締結部材の頭部との間及び前記レール部材のスリット部と前記締結部材の軸部との間には、遊びを有しており、前記締結部材を締結していない状態では、前記固定部材が前記レール部材の長手方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具。
【請求項3】
前記上側受部位は、前記レール部材の長手方向の両側に向くように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具。
【請求項4】
前記固定部材の前記固定基部は、前記締結部材取り外された状態では前記レール部材の一方の端部側の分割片と他方の端部側の分割片とに分割可能とされており、前記分割片のいずれか一方に前記上側受部位が設けられていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具。
【請求項5】
前記レール部材の前記中空部の端部には、前記締結部材の前記頭部の該中空部内での移動を制止するストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具を用いて前記太陽電池モジュールパネルが前記屋根に取り付けられていることを特徴とする太陽電池モジュールパネルの取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールパネルの取付治具を屋根の上面に固定し、該取付治具の前記固定部材の前記固定基部の上面に斜めに傾斜させた状態で持ち上げた太陽電池モジュールパネルの一方の端部の下側角部を載せ、持ち上げていた他方の端部を下ろすことにより、前記太陽電池モジュールパネルの一方の端部が回転して前記固定部材の前記受部に嵌り込み、前記太陽電池モジュールパネルが前記取付治具を介して前記屋根に取り付けられることを特徴とする太陽電池モジュールパネルの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に太陽電池モジュールパネルを取り付けるための取付治具、この取付治具を用いた太陽電池モジュールパネルの取付構造、及びこの取付治具を用いた太陽電池モジュールパネルの取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レール部材と固定部材とを用いて建物の屋根に太陽電池モジュールパネルを取り付けるための取付治具が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−271468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の太陽電池モジュールパネルの取付治具では、施工性を重視するあまり、太陽電池モジュールパネルの荷重を端部の固定部材のみで負担し、中間の固定部材は太陽電池モジュールパネル間の繋材の役目しか果たさない構成であった。
【0005】
このため、特に傾斜屋根などに用いて実施する場合には、端部の固定部材に過大な荷重がかかってしまうので、長期間の供用に耐え得るかについて不安要素があった。
【0006】
そこで、本発明は、太陽電池モジュールパネルを屋根に取り付けるための取付作業を容易に行えることは勿論、長期間の供用に耐え得る太陽電池モジュールパネルの取付治具、この取付治具を用いた太陽電池モジュールパネルの取付構造、及びこの取付治具を用いた太陽電池モジュールパネルの取付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具は、屋根に太陽電池モジュールパネルを取り付けるための太陽電池モジュールパネルの取付治具であって、内部に中空部を有し、上面に該中空部と連通する長手方向に延びるスリット部が形成され、前記屋根に固定されるレール部材と、前記レール部材の前記中空部に頭部が収納され前記スリット部に軸部が挿通された締結部材により前記レール部材に固定される固定基部と前記太陽電池モジュールパネルの端部を受ける受部とを有する固定部材とを備えていることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記レール部材の前記中空部と前記締結部材の頭部との間及び前記レール部材のスリット部と前記締結部材の軸部との間には、遊びを有しており、前記締結部材を締結していない状態では、前記固定部材が前記レール部材の長手方向に移動可能とされているとよい。
【0009】
また、前記固定部材は、前記受部として、前記太陽電池モジュールパネルの端部の側面を受ける側面受部位と、前記太陽電池モジュールパネルの端部を上側から受ける上側受部位とを有するとよい。
【0010】
さらに、前記上側受部位は、前記レール部材の長手方向の両側に向くように形成されているとよい。
【0011】
また、前記上側受部位には、下向きに突出する下向突出片が設けられており、前記太陽電池モジュールパネルの端部に設けられた上向きに突出する上向突出片と係合可能とされているとよい。
【0012】
また、前記上側受部位は、前記固定基部から立ち上がる支持部で支持されており、前記下向突出片の下端部の内側面は、上方に向かうにつれて前記支持部との間が狭くなるテーパー形状又は面取り形状とされているとよい。
【0013】
さらに、前記固定部材の前記固定基部は、前記締結部材の取り外しにより前記レール部材の一方の端部側の分割片と他方の端部側の分割片とに分割可能とされており、前記分割片のいずれか一方に前記上側受部位が設けられているとよい。
【0014】
また、前記レール部材の前記中空部の端部には、前記締結部材の前記頭部の該中空部内での移動を制止するストッパー部が形成されているとよい。
【0015】
本発明の太陽電池モジュールパネルの取付構造は、上記した本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具を用いて前記太陽電池モジュールパネルが前記屋根に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の太陽電池モジュールパネルの取付方法は、上記した本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具を屋根の上面に固定し、該取付治具の前記固定部材の前記固定基部の上面に斜めに傾斜させた状態で持ち上げた太陽電池モジュールパネルの一方の端部の下側角部を載せ、持ち上げていた他方の端部を下ろすことにより、前記太陽電池モジュールパネルの一方の端部が回転して前記固定部材の前記受部に嵌り込み、前記太陽電池モジュールパネルが前記取付治具を介して前記屋根に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具は、屋根に太陽電池モジュールパネルを取り付けるための太陽電池モジュールパネルの取付治具である。
【0018】
そして、内部に中空部を有し、上面に中空部と連通する長手方向に延びるスリット部が形成され、屋根に固定されるレール部材と、レール部材の中空部に頭部が収納されスリット部に軸部が挿通された締結部材によりレール部材に固定される固定基部と太陽電池モジュールパネルの端部を受ける受部とを有する固定部材とを備えた構成とされている。
【0019】
こうした構成なので、太陽電池モジュールパネルを屋根に取り付けるには、取付治具を屋根に固定する作業と、固定部材の締結部材を締結する作業と、太陽電池モジュールパネルのレール部材上への載置作業とを行えば済むため、大変容易である。
【0020】
そのうえ、通常、1つの取付治具に対し、複数枚の太陽電池モジュールパネルが載置されるが、この際、太陽電池モジュールパネル間の固定部材も締結部材によりレール部材に固定されるので、特に傾斜屋根などに用いて実施しても、レール部材の端部の固定部材のみに過大な荷重がかかってしまうことはなく、長期間の供用に耐え得る。
【0021】
ここで、レール部材の中空部と締結部材の頭部との間及びレール部材のスリット部と締結部材の軸部との間には、遊びを有しており、締結部材を締結していない状態では、固定部材がレール部材の長手方向に移動可能とされている場合は、レール部材上の固定部材を所望の位置となるように容易に位置調整できるうえに、締結部材としてボルト及びナットを用いる際は、ボルトの軸部に上部からナットを螺合すると、初めはボルトの頭部が中空部の下側面に接するので、この下側面から受ける摩擦力によってナットを螺合することができ、途中からはボルトの頭部が中空部の上側面に接するので、この上側面から受ける摩擦力によってナットを螺合することができ、これにより、固定部材をレール部材にしっかりと固定することができる。
【0022】
また、固定部材は、受部として、太陽電池モジュールパネルの端部の側面を受ける側面受部位と、太陽電池モジュールパネルの端部を上側から受ける上側受部位とを有する場合は、固定部材は太陽電池モジュールパネルの端部を側面側からだけでなく上側からも拘束するので、太陽電池モジュールパネルをより安定的な固定状態とすることができる。
【0023】
さらに、上側受部位は、レール部材の長手方向の両側に向くように形成されている場合は、1つの取付治具に対し複数枚の太陽電池モジュールパネルを載置して実施する際、太陽電池モジュールパネル間の固定部材をそれぞれ1つずつとして実施することができる。
【0024】
また、上側受部位には、下向きに突出する下向突出片が設けられており、太陽電池モジュールパネルの端部に設けられた上向きに突出する上向突出片と係合可能とされている場合は、下向突出片と上向突出片との係合により、太陽電池モジュールパネルをさらにより安定的な固定状態とすることができる。
【0025】
また、上側受部位は、固定基部から立ち上がる支持部で支持されており、下向突出片の下端部の内側面は、上方に向かうにつれて支持部との間が狭くなるテーパー形状又は面取り形状とされている場合は、太陽電池モジュールパネルを取付治具に固定するに際し、太陽電池モジュールパネルの上向突出片の上端部が下向突出片のテーパー形状又は面取り形状の内側面にガイドされるので、下向突出片と上向突出片との係合を容易に行うことができる。
【0026】
さらに、固定部材の固定基部は、締結部材の取り外しによりレール部材の一方の端部側の分割片と他方の端部側の分割片とに分割可能とされており、これら分割片のいずれか一方に上側受部位が設けられている場合は、締結部材を取り外せば、上側受部位が設けられている分割片を取り外せるので、太陽電池モジュールパネルの一方の端部が拘束されていない状態となり、この太陽電池モジュールパネルを容易に取り外すことができ、太陽電池モジュールパネルの取外作業を容易に行える。
【0027】
また、レール部材の中空部の端部には、締結部材の頭部の中空部内での移動を制止するストッパー部が形成されている場合は、レール部材の端部の固定部材の締結部材が万一緩んだとしても頭部がストッパー部で制止されるので、より安全性を高めることができる。
【0028】
このような本発明の太陽電池モジュールパネルの取付構造は、上記した本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具を用いて太陽電池モジュールパネルが屋根に取り付けられた構成とされている。
【0029】
こうした構成なので、上記した本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具の効果を享受した太陽電池モジュールパネルの取付構造とすることができる。
【0030】
このような本発明の太陽電池モジュールパネルの取付方法は、上記した本発明の太陽電池モジュールパネルの取付治具を屋根の上面に固定し、取付治具の固定部材の固定基部の上面に斜めに傾斜させた状態で持ち上げた太陽電池モジュールパネルの一方の端部の下側角部を載せ、持ち上げていた他方の端部を下ろすことにより、太陽電池モジュールパネルの一方の端部が回転して固定部材の受部に嵌り込み、太陽電池モジュールパネルが取付治具を介して屋根に取り付けられる構成とされている。
【0031】
こうした構成なので、太陽電池モジュールパネルを簡易な取付作業で屋根に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具を用いた太陽電池モジュールパネルの取付構造の概略構成を説明する説明図である。
図2】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具の概略構成を示す斜視図である。
図3】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具を構成するレール部材の概略構成を示す斜視図である。
図4】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具を構成する固定部材の概略構成を示す図であって、(a)は分解した状態を示す斜視図であり、(b)は組み立てた状態を示す斜視図である。
図5】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具を構成する固定部材の上側受部位の部分を拡大して示す部分拡大図である。
図6】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具を構成する中間に用いる固定部材の概略構成を示す斜視図である。
図7】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具の組み立てを説明するための説明図である。
図8図2におけるA−A線矢視断面図である。
図9】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付方法を説明するための説明図である。
図10】実施例の太陽電池モジュールパネルの取付方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0034】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0035】
図1は、実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1を用いた太陽電池モジュールパネルの取付構造の概略構成を示している。
【0036】
この実施例の太陽電池モジュールパネルの取付構造では、建物Bの傾斜屋根Yの上に、取付治具1,・・・を介して、太陽電池モジュールパネル2,・・・が取り付けられている。
【0037】
なお、取付治具1,・・・の下側の端部には、化粧部材3が設けられ、意匠的美観を呈するようになっている。
【0038】
この実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1については、図2に、その概略構成を示した。
【0039】
この取付治具1は、レール部材11と固定部材12,・・・とから主に構成されている。
【0040】
レール部材11は、図3に示したように、概形が直方体を呈しており、内部に中空部11aを有し、上面には、この中空部11aと連通する長手方向に延びるスリット部11bが形成されている。
【0041】
なお、中空部11aの下方の部分も軽量化などを図るために中空となっている。
【0042】
固定部材12は、図4(a)及び図4(b)に示したように、分割片12Aと分割片12Bとが、締結部材としてのボルト120、ナット121、スプリングワッシャー122及び平ワッシャー123により、分割可能に一体化されている。
【0043】
より詳細には、分割片12Aは、固定部材12の固定基部12aの一部を形成し、上面に太陽電池モジュールパネル2の端部の側面を受ける受部12bの一部である側面受部位126Aが立ち上がるように形成された分割固定基部124Aと、分割片12Bと一体化するためのボルト孔125aを有する固定板125とから主に構成されている。
【0044】
また、分割片12Bは、固定部材12の固定基部12aの一部を形成し、下面に分割片12Aと一体化するためのボルト孔124aを有し、上面に太陽電池モジュールパネル2の端部の側面を受ける受部12bの一部である側面受部位126Bが立ち上がるように形成されるとともに、ナット121を締め付けたり緩めたりするための作業用孔124bを有する分割固定基部124Bと、支持板127に支持される太陽電池モジュールパネル2の端部を上側から受けて固定部として働く受部12bの一部である上側受部位128とから主に構成されている。
【0045】
ここで、上側受部位128は支持板127の上端部から両側に突出し、断面略T字形状となっている。
【0046】
さらに、上側受部位128の外側端部には、下向きに突出する下向突出片128a,128aが設けられており、後述する太陽電池モジュールパネル2の端部に設けられた上向きに突出する上向突出片2aと係合可能とされている。
【0047】
また、太陽電池モジュールパネル2の下側の端部側の上向突出片2aとの係合を容易に行えるように、図5に示したように、レール部材11の上側の端部側に配置された下向突出片128aの下端部の内側面128bは、上方に向かうにつれて支持板127との間が狭くなるテーパー形状とされている。
【0048】
さらに、太陽電池モジュールパネル2の上側の端部側の上向突出片2aとの係合を容易に行えるように、レール部材11の下側の端部側に配置された下向突出片128aの下端部の内側面128cは、上方に向かうにつれて支持板127との間が狭くなるアール形状に近い面取り形状とされている。
【0049】
なお、太陽電池モジュールパネル2,2間に挟まれる中間の固定部材12では、図6に示したように、太陽電池モジュールパネル2の絶縁対策が万一損なわれた場合における漏電の被害を回避するために分割固定基部124Aの部分にアース金具4が設けられている。
【0050】
そして、図7に示したように、ナット121を緩めた状態で、レール部材11の端部からその中空部11aに固定部材12のボルト120の頭部120aを挿入すると、図2に示したような取付治具1が完成する。
【0051】
なお、レール部材11の中空部11aとボルト120の頭部120aとの間及びレール部材11のスリット部11bとボルト120の軸部120bとの間には遊びを有しており、これにより、ボルト120を緩めた状態においては、固定部材12は、レール部材11の長手方向に移動可能とされている。
【0052】
また、レール部材11の中空部11aの端部の下側面には、図8に示したように、ビス5が螺合されており、このビス5の頭部5aは、ボルト120の頭部120aがそれ以上外側に移動しないように制止するストッパー部となっている。
【0053】
次に、実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1を用いた太陽電池モジュールパネルの取付方法について説明する。
【0054】
まず、建物Bの傾斜屋根Yの上面に、取付治具1を、傾斜方向に向かって、図示省略の固定用金具で固定する。
【0055】
そして、その取付治具1に平行して略等間隔に複数の取付治具1,・・・を同じ要領で固定する。
【0056】
続いて、2つのレール部材11,11単位で、傾斜方向の1列の太陽電池モジュールパネル2,・・・を複数の固定部材12,・・・で固定する。
【0057】
具体的には、レール部材11の下側の端部において、図8に示した状態で、固定部材12を、ナット121をレンチなどの工具で締め付けることにより固定する。
【0058】
そして、レール部材11,・・・の下側の端部の固定部材12の外側に化粧部材3を取り付ける。
【0059】
続いて、図9に示したように、この下側の端部の固定部材12の分割固定基部124Bの上面に太陽電池モジュールパネル2の一方の端部の下側角部を載せ、持ち上げている他方の端部を下ろすと、矢印の方向に回転しながら、この太陽電池モジュールパネル2の上向突出片2aと固定部材12の上側受部位128の下向突出片128aとが係合するとともに、太陽電池モジュールパネル2の端部の側面は、側面受部位126Bで受けられる。
【0060】
そして、図10に示したように、この作業をレール部材11の上側の端部に向かって同じ要領で行っていくと、図1に示したようなこの実施例の太陽電池モジュールパネルの取付構造が完成する。
【0061】
なお、太陽電池モジュールパネル2,・・・の取外作業は、逆の要領で行えばよい。
【0062】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0063】
このような実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1は、傾斜屋根Yに太陽電池モジュールパネル2,・・・を取り付けるための太陽電池モジュールパネルの取付治具である。
【0064】
そして、内部に中空部11aを有し、上面に中空部11aと連通する長手方向に延びるスリット部11bが形成され、傾斜屋根Yに固定されるレール部材11と、レール部材11の中空部11aに頭部120aが収納されスリット部11bに軸部120bが挿通されたボルト120とナット121とによりレール部材11に固定される固定基部12aと太陽電池モジュールパネル2の端部を受ける受部12bとを有する固定部材12とを備えた構成とされている。
【0065】
こうした構成なので、太陽電池モジュールパネル2,・・・を傾斜屋根Yに取り付けるには、取付治具1,・・・を傾斜屋根Y上に固定する作業と、固定部材12のボルト120とナット121を螺合して締結する作業と、太陽電池モジュールパネル2,・・・のレール部材上への載置作業とを行えば済むため、大変容易である。
【0066】
そのうえ、太陽電池モジュールパネル2,2間の固定部材12もボルト120とナット121によりレール部材11に固定されるので、レール部材11の下側の端部の固定部材12のみに過大な荷重がかかってしまうことはなく、長期間の供用に耐え得る。
【0067】
ここで、レール部材11の中空部11aとボルト120の頭部120aとの間及びレール部材11のスリット部11bとボルト120の軸部120bとの間には、遊びを有しており、ナット121を緩めた状態では、固定部材12がレール部材11の長手方向に移動可能とされている。
【0068】
このため、レール部材11上の固定部材12を所望の位置となるように容易に位置調整できる。
【0069】
そのうえ、ボルト120の軸部120bに上部からナット121を螺合すると、初めはボルト120の頭部120aが中空部11aの下側面に接するので、この下側面から受ける摩擦力によってナット121を螺合することができ、途中からはボルト120の頭部120aが中空部11aの上側面に接するので、この上側面から受ける摩擦力によってナット121を螺合することができ、これにより、固定部材12をレール部材11にしっかりと固定することができる。
【0070】
また、固定部材12は、受部12bとして、太陽電池モジュールパネル2の端部の側面を受ける側面受部位126A,126Bと、太陽電池モジュールパネル2の端部を上側から受ける上側受部位128とを有する。
【0071】
このため、固定部材12は太陽電池モジュールパネル2の端部を側面側からだけでなく上側からも拘束するので、太陽電池モジュールパネル2をより安定的な固定状態とすることができる。
【0072】
さらに、上側受部位128は、レール部材11の長手方向の両側に向くように断面略T字形状に形成されている。
【0073】
このため、太陽電池モジュールパネル2,2間の固定部材12をそれぞれ1つずつとして実施することができる。
【0074】
また、上側受部位128には、下向きに突出する下向突出片128a,128aが設けられており、太陽電池モジュールパネル2の端部に設けられた上向きに突出する上向突出片2aと係合可能とされている。
【0075】
このため、下向突出片128aと上向突出片2aとの係合により、太陽電池モジュールパネル2をさらにより安定的な固定状態とすることができる。
【0076】
さらに、上側受部位128は、固定基部12aから立ち上がる支持板127で支持されており、レール部材11の上側の端部側に配置された下向突出片128aの下端部の内側面128bは、上方に向かうにつれて支持板127との間が狭くなるテーパー形状とされている。
【0077】
このため、太陽電池モジュールパネル2を取付治具1に固定するに際し、太陽電池モジュールパネル2の上向突出片2aの上端部がこの下向突出片128aのテーパー形状の内側面128bにガイドされるので、下向突出片128aと上向突出片2aとの係合を容易に行うことができる。
【0078】
また、レール部材11の下側の端部側に配置された下向突出片128aの下端部の内側面128cは、上方に向かうにつれて支持板127との間が狭くなるアール形状に近い面取り形状とされている。
【0079】
このため、太陽電池モジュールパネル2を取付治具1に固定するに際し、太陽電池モジュールパネル2の上向突出片2aの上端部がこの下向突出片128aの面取り形状の内側面128cにガイドされるので、下向突出片128aと上向突出片2aとの係合を容易に行うことができる。
【0080】
さらに、固定部材12の固定基部12aは、ナット121の取り外しによりレール部材11の下側の端部側の分割片12Aと上側の端部側の分割片12Bとに分割可能とされており、上側の端部側の分割片12Bに上側受部位128が設けられている。
【0081】
このため、ナット121を取り外せば、上側受部位128が設けられている上側の端部側の分割片12Bを取り外せるので、太陽電池モジュールパネル2の上側の端部が拘束されていない状態となり、この太陽電池モジュールパネル2を容易に取り外すことができ、太陽電池モジュールパネル2の取外作業を容易に行える。
【0082】
また、レール部材11の中空部11aの下側の端部には、ボルト120の頭部120aの中空部11a内での移動を制止するストッパー部となるビス5の頭部5aが設けられている。
【0083】
このため、レール部材11の下側の端部の固定部材12のボルト120とナット121とが万一緩んだとしても頭部120aがストッパー部となるビス5の頭部5aで制止されるので、より安全性を高めることができる。
【0084】
このような実施例の太陽電池モジュールパネルの取付構造は、上記した実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1,・・・を用いて太陽電池モジュールパネル2,・・・が傾斜屋根Yに取り付けられた構成とされている。
【0085】
こうした構成なので、上記した実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1の作用効果を享受した太陽電池モジュールパネルの取付構造とすることができる。
【0086】
このような実施例の太陽電池モジュールパネルの取付方法は、上記した実施例の太陽電池モジュールパネルの取付治具1,・・・を傾斜屋根Yの上面に固定し、取付治具1,1の固定部材12の固定基部12aの分割片12Bの上面に斜めに傾斜させた状態で持ち上げた太陽電池モジュールパネル2の一方の端部の下側角部を載せ、持ち上げていた他方の端部を下ろすことにより、太陽電池モジュールパネル2の一方の端部が回転して固定部材12の受部12bに嵌り込み、これを繰り返して太陽電池モジュールパネル2,・・・が取付治具1,・・・を介して傾斜屋根Yに取り付けられる構成とされている。
【0087】
こうした構成なので、太陽電池モジュールパネル2,・・・を簡易な取付作業で傾斜屋根Yに取り付けることができる。
【0088】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0089】
例えば、上記した実施例では、取付治具1を傾斜屋根Yの上面に傾斜方向に向かって固定して実施したが、これに限定されず、取付治具1を傾斜屋根Yの上面に傾斜方向と直交する方向に向かって固定して実施してもよい。
【0090】
また、上記した実施例では、取付治具1を傾斜屋根Yに適用して実施したが、これに限定されず、平屋根などに適用して実施してもよい。
【0091】
また、上記した実施例では、2つのレール部材11,11単位で、傾斜方向の1列の太陽電池モジュールパネル2,・・・を複数の固定部材12,・・・で固定するようにして実施したが、これに限定されず、例えば、3つのレール部材11,11,11単位で、傾斜方向の1列の太陽電池モジュールパネル2,・・・を複数の固定部材12,・・・で固定するようにして実施してもよい。
【0092】
さらに、上記した実施例では、締結部材としてボルト120、ナット121、スプリングワッシャー122及び平ワッシャー123を用いて実施したが、これに限定されず、例えば、リベットなどを用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0093】
B 建物
Y 傾斜屋根(屋根)
1 取付治具
2 太陽電池モジュールパネル
2a 上向突出片
3 化粧部材
4 アース金具
5 ビス
5a 頭部(ストッパー部)
11 レール部材
11a 中空部
11b スリット部
12 固定部材
12a 固定基部
12b 受部
12A 分割片
12B 分割片
120 ボルト(締結部材)
120a 頭部
120b 軸部
121 ナット(締結部材)
122 スプリングワッシャー(締結部材)
123 平ワッシャー(締結部材)
124A 分割固定基部
124B 分割固定基部
124a ボルト孔
124b 作業用孔
125 固定板
125a ボルト孔
126A 側面受部位
126B 側面受部位
127 支持板(支持部)
128 上側受部位
128a 下向突出片
128b 下向突出片の内側面
128c 下向突出片の内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10