(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の液晶表示装置1の概略図である。
【0020】
液晶表示装置1は、液晶パネル100と、液晶パネル100の端子部101aに接続されたフレキシブルプリント基板103と、を備えている。
【0021】
液晶パネル100は、第1基板101と、第1基板101と対向する第2基板102と、第1基板101と第2基板102との間に挟持された液晶層109と、を備えている。第1基板101と第2基板102との対向領域の中央部には、複数(
図1ではm×n個)の画素115からなる表示領域100Aが設けられている。表示領域100Aには、水平方向に延びる複数(
図1ではn本)のゲート線110と垂直方向に延びる複数(
図1ではm本)のデータ線111とが第1基板10上において平面視格子状に設けられている。ゲート線110とデータ線111との各交差部には、赤色、緑色又は青色のいずれかの色に対応した画素115が設けられている。第1基板10上には、複数の画素115が水平方向及び垂直方向にマトリクス状に配置されており、これら複数の画素115によって表示領域100Aが形成されている。
【0022】
各画素には、画素電極157とコモン電極155とが設けられている。画素電極157とコモン電極155は、いずれも第1基板101上に設けられている。液晶表示装置1は、画素電極157とコモン電極155との間に発生する電界(横電界)によって液晶層の配向を制御する横電界方式の液晶表示装置である。横電界方式としては、IPS(In-Plane Switching)方式やFFS(Fringe-Field Switching)方式などを採用することができる。本実施形態の場合、例えばFFS方式が採用されている。
【0023】
第1基板101と第2基板102との対向領域のうち表示領域100Aの周縁部には、ゲートドライバ104が設けられている。ゲートドライバ104には、シフトレジスタ130が含まれている。シフトレジスタ130には、複数のゲート線110が接続されている。シフトレジスタ130からゲート線110に出力されたゲート信号G1,G2,G3,…,Gnは、薄膜トランジスタ112を介して画素115に供給される。ゲートドライバ104には、多数の薄膜トランジスタや配線が含まれており、このような薄膜トランジスタや配線は画素115に形成される薄膜トランジスタ112や配線111,112と同時に、また同一の工程で形成される。液晶表示装置1は、ゲートドライバ104が第1基板101上に一体的(モノリシック)に形成されたGOA(Gate On Array)構造の液晶表示装置である。
【0024】
ゲートドライバ104には、複数の配線からなるゲート配線群116が接続されている。電源電圧VSSやクロック信号CK1、CK2などの各種制御信号がゲート配線群116の配線を介してそれぞれゲートドライバ104に供給される。ゲート配線群116は、フレキシブルプリント基板103を経由して図示略のゲートドライバ制御部及び電源部等に接続されている。ゲートドライバ104はこれらの信号を入力として、ゲート信号G1,G2,G3,…,Gnを所定のタイミングで所定のゲート線110に出力する。ゲート信号G1,G2,G3,…,Gnは、1本のゲート線110に接続された複数の画素115内の薄膜トランジスタ112を行単位で選択的にスイッチングするための信号である。
ゲートドライバ104からは、ゲート信号G1,G2,G3,…,Gnが、n本のゲート線110のそれぞれに一定時間ごとに順次供給される。画像信号に基づき表示に応じたデータ信号S1,S2,S3,…,Smは、データ線111を介して、ゲート信号G1,G2,G3,…,Gnによって選択された薄膜トランジスタ112に供給される。
【0025】
第1基板101において第2基板102の外側に張り出す張り出し部は、フレキシブルプリント基板103が接続される端子部101aとなっている。ゲート配線群116に含まれる各種配線の端部は、端子部101aに設けられた制御線外部端子120と接続されている。複数のデータ線111の各々の端部は、端子部101aに設けられたデータ線外部端子122と接続されている。各画素115のコモン電極155に接続されるコモン幹配線114の端部は、端子部101aに設けられたコモン幹配線外部端子121と接続されている。端子部101aには、各種配線に対応した複数の外部端子(制御線外部端子120、コモン幹配線外部端子121、データ線外部端子122)が第1基板101の1辺に沿って水平方向に配列している。
【0026】
フレキシブルプリント基板103は、第1基板101と図示略の制御基板とを中継する基板である。フレキシブルプリント基板103は、TAB又はCOF等の実装方法によって実装されたデータドライバ105を含んで構成されている。データドライバ105は、図示略のデータドライバ制御部等からデータ配線群118によって供給される画像信号、各種クロック信号及び各種制御信号等を入力とし、画像信号に対応するデータ信号S1,S2,S3,…,Smを所定のタイミングで所定のデータ線111に出力する。
【0027】
フレキシブルプリント基板103には、ゲートドライバ104にクロック信号などの各種制御信号を供給するためのゲート配線群117が設けられている。ゲート配線群117は、端子部101aにおいて、ACF(異方性導電体)等の導電部材123を介して制御線外部端子120と接続される。フレキシブルプリント基板103には、データドライバ105からデータ信号S1,S2,S3,…,Smが供給される複数の配線が設けられており、これらの配線も、端子部101aにおいて、導電部材123を介してデータ線外部端子122と接続されている。
【0028】
図2は、ゲートドライバに含まれるシフトレジスタ130の概略図である。
【0029】
シフトレジスタ130には、クロック信号CK1,CK2を供給するためのクロック信号配線131,132や、電源電圧VSSを供給するための電源線133などが接続されている。クロック信号配線131,132や電源線などによってゲート配線群116(
図1参照)が構成されている。ゲート配線群116には、シフトレジスタ130にゲートスタートパルスGSPを供給するための配線なども含まれる。シフトレジスタ130とゲート配線群によってGOA回路部125が構成されている。
【0030】
シフトレジスタ130は、互いにカスケード接続された複数のレジスタSR1,SR2,SR3,SR4,…を備えている。各レジスタSRk(kは1からnまでの自然数)は、セット端子SET、出力端子GOUT、リセット端子RESET、Low電源入力端子VSS、および、クロック入力端子CKA,CKBを備えている。各レジスタSRk(k≧2)において、セット端子SETには前段のレジスタSRk−1の出力信号GOUT(出力端子の符号で代用する)が入力される。初段のレジスタSR1のセット端子SETにはゲートスタートパルスGSPが入力される。出力端子GOUTは、対応するゲート線に出力信号Gkを出力する。リセット端子RESETには、次段のレジスタSRk+1の出力信号GOUTが入力される。Low電源入力端子VSSには、各段のレジスタSRkにおける低電位側の電源電圧VSSであるLow電源電圧(以下、VSSをLow電源電圧と称することがある)が入力される。クロック入力端子CKAとクロック入力端子CKBとのうちの一方にクロック信号CK1が入力されるとともに他方にクロック信号CK2が入力され、隣接するレジスタ間でクロック入力端子CKAに入力されるクロック信号とクロック入力端子CKBに入力されるクロック信号CK2とが交互に入れ替わるようになっている。
【0031】
クロック信号CK1とクロック信号CK2とは、
図3に示すような、アクティブなクロックパルス期間(ここではHighレベル期間)が互いに重ならない相補的な位相関係を有している。クロック信号CK1・CK2のHighレベル側(アクティブ側)の電圧はVGHで、Lowレベル側(非アクティブ側)の電圧はVGLである。Low電源電圧VSSはクロック信号CK1・CK2のLowレベル側の電圧VGLに等しい。この例ではクロック信号CK1とクロック信号CK2とが互いに逆相の関係にあるが、一方のクロック信号のアクティブなクロックパルス期間が、他方のクロック信号の非アクティブな期間内に包含される関係も可能である。
【0032】
図4は、シフトレジスタを構成する各段のレジスタSRkの等価回路図である。
【0033】
レジスタSRkは、5つの薄膜トランジスタT1,T2,T3,T4,T5および容量C1を備えている。薄膜トランジスタT1,T2,T3,T4,T5は例えばnチャネル型の薄膜トランジスタであるが、pチャネル型や相補型の薄膜トランジスタでもよい。薄膜トランジスの材料としては、アモルファスシリコン、ポリシリコン、酸化物半導体(例えばIGZO)などの公知の半導体材料が適用可能である。
【0034】
薄膜トランジスタT1において、ゲートおよびドレインはセット端子SETに、ソースは薄膜トランジスタT5のゲートに、それぞれ接続されている。レジスタSRkの出力トランジスタである薄膜トランジスタT5において、ドレインはクロック入力端子CKAに、ソースは出力端子GOUTに、それぞれ接続されている。すなわち、薄膜トランジスタT5は伝送ゲートとして、クロック入力端子CKAに入力されるクロック信号の通過および遮断を行う。容量C1は、薄膜トランジスタT5のゲートとソースとの間に接続されている。薄膜トランジスタT5のゲートと同電位のノードをnetAと称する。
【0035】
薄膜トランジスタT3において、ゲートはリセット端子RESETに、ドレインはノードnetAに、ソースはLow電源入力端子VSSに、それぞれ接続されている。薄膜トランジスタT4において、ゲートはリセット端子RESETに、ドレインは出力端子GOUTに、ソースはLow電源入力端子VSSに、それぞれ接続されている。薄膜トランジスタT2において、ゲートはクロック端子CKBに、ドレインは出力端子GOUTに、ソースはLow電源入力端子VSSに、それぞれ接続されている。
【0036】
図5を用いて、レジスタSRkの動作について説明する。
【0037】
セット端子SETにシフトパルスが入力されるまでは、薄膜トランジスタT4・T5がハイインピーダンス状態であるとともに、薄膜トランジスタT2がクロック入力端子CKBから入力されるクロック信号がHighレベルになるたびにON状態となり、出力端子GOUTはLowを保持する期間となる。
【0038】
セット端子SETにシフトパルスである前段の出力信号GOUTのゲート信号が入力されると、レジスタSRkは出力パルスを生成する期間となり、薄膜トランジスタT1がON状態となって容量C1を充電する。容量C1が充電されることにより、ゲート信号のHighレベルをVGH、薄膜トランジスタT1の閾値電圧をVthとして、ノードnetAの電位がVGH−Vthまで上昇する。この結果、薄膜トランジスタT5がON状態になり、クロック入力端子CKAから入力されたクロック信号が薄膜トランジスタT5のソースに現れるが、クロック入力端子CKAにクロックパルス(Highレベル)が入力された瞬間に容量C1のブートストラップ効果によってノードnetAの電位が突き上げられるので、薄膜トランジスタT5は大きなオーバドライブ電圧を得ることとなる。これにより、入力されたクロックパルスのVGHの電位レベルがレジスタSRkの出力端子GOUTに伝送されて出力され、ゲート信号Gk(出力信号GOUTのパルス)となる。
【0039】
セット端子SETへのゲート信号の入力が終了すると、薄膜トランジスタT1がOFF状態となる。そして、ノードnetAおよび段SRkの出力端子GOUTがフローティングとなることによる電荷の保持を解除するために、リセット端子RESETに入力されるリセットパルスとしての次段のレジスタSRk+1のゲート信号Gk+1によって薄膜トランジスタT3・T4をON状態とし、ノードnetAおよび出力端子GOUTをLow電源電圧VSSに接続する。これにより薄膜トランジスタT5がOFF状態となる。リセットパルスの入力が終了すると、レジスタSRkが出力パルスを生成する期間は終了し、出力端子GOUTは再びLowを保持する期間となる。
【0040】
このようにして、
図3に示すように、各ゲート線に順次ゲート信号Gkが出力される。
【0041】
ここで、GOA構造を備えた横電界方式の液晶表示装置では、GOA回路部から発生する電界によって、対向基板である第2基板の電位変動が生じ、表示領域の周縁部に光抜けが生じることがある。そのため、本実施形態では、
図6に示すように、第1基板においてGOA回路部125の上方(液晶層側)に、GOA回路部125から発生する電界を遮蔽するシールド電極135,136が設けられている。
【0042】
なお、GOA回路部125(ゲート配線群)には、クロック信号配線131,132や電源線133のほか、シフトレジスタ130にゲートスタートパルスGSPを入力する配線などが含まれる。問題となる光抜けは、表示領域100Aの1辺に沿ってストライプ状に延びる光抜けである。そのため、本実施形態では、シールド電極を設置する対象は、表示領域の1辺に沿って設けられるシフトレジスタ、クロック信号配線131,132および電源線133となっている。
【0043】
図6(a)は、シフトレジスタ130の近傍の構成を示す液晶表示装置1の平面図である。
図6(b)は、
図6(a)のA−A′線に沿う液晶表示装置1の断面図である。
なお、
図6(a)および
図6(b)において、符号100Bは、第1基板101と第2基板102とが対向する対向領域のうち表示領域100Aの外側に位置する部分(いわゆる額縁領域)を示している。
【0044】
第1基板101は、ガラスや石英、プラスチック等の透光性の基板本体150を基体としてなる。基板本体150の内面側(液晶層109側)には、第1配線層151が形成されている。第1配線層151を覆って、酸化シリコンなどの透明絶縁材料からなる第1絶縁層152が形成されている。
【0045】
第1配線層151には、表示領域100Aやシフトレジスタ130に含まれる薄膜トランジスタのゲートやゲート線などが含まれている。また、第1配線層151には、ゲート配線群を構成する第2クロック信号配線132、第1クロック信号配線131および電源線133などが含まれている。第2クロック信号配線132、第1クロック信号配線131および電源線133は、シフトレジスタ130を挟んで表示領域100Aとは反対側に配置されている。本実施形態の場合、第2クロック信号配線132、第1クロック信号配線131および電源線133は、シフトレジスタ130に近い側からこの順に配置されているが、これらの配線の並び順はこれに限定されない。
【0046】
第1絶縁層152上には、第2配線層153が形成されている。第2配線層153を覆って、酸化シリコンなどの透明絶縁材料からなる第2絶縁層154が形成されている。第2絶縁層154上には、ITOなどの透明導電材料からなるコモン電極155およびシールド電極135,136が形成されている。コモン電極155およびシールド電極135,136を覆って、酸化シリコンなどの透明絶縁材料からなる第3絶縁層156が形成されている。第3絶縁層156上には、ITOなどの透明導電材料からなる画素電極157が形成されている。
【0047】
第2配線層154には、表示領域100Aやシフトレジスタ130に含まれる薄膜トランジスタのソースおよびドレインやデータ線などが含まれている。コモン電極155とシールド電極135,136は、同一材料で形成されている。コモン電極155は、表示領域100Aの全面に形成されており、各画素に共通の共通電極となっている。コモン電極155とシールド電極135,136は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0048】
シールド電極135,136には、シフトレジスタ130の上方に設けられた第1のシールド電極部135と、電源線133の上方に設けられた第2のシールド電極部136と、が含まれている。本実施形態の場合、シールド電極135,136は、シフトレジスタ130と電源線133の上方のみに設けられ、クロック信号配線131,132の上方には設けられていない。シフトレジスタ130と電源線133は、クロック信号配線131,132を挟んで隣接しており、第1のシールド電極部135と第2のシールド電極部136とは、互いに分離されている。
【0049】
電界遮蔽の効果のみを考慮すれば、GOA回路部125の全てをシールド電極で覆うことが望ましい。しかし、シールド電極とシフトレジスタ130およびゲート配線群との間には、寄生容量が発生するため、シフトレジスタ130を制御する信号に遅延が発生したり、電圧降下が発生し、その結果、シフトレジスタ130の動作マージンの低下や消費電力アップなどの問題を生じる惧れがある。
【0050】
そのため、本実施形態では、クロック信号配線131,132の上方にはシールド電極を配置せず、低電位の直流電圧を供給する電源線133とシフトレジスタ130の上方に選択的にシールド電極135,136を配置している。これにより、信号遅延の影響が少なくなり、動作マージンの低下や消費電力アップという問題が抑制される。
【0051】
シールド電極135,136の電位は、表示領域100Aの平均電位の近傍に設定されることが好ましい。表示領域100Aの平均電位は、およそコモン電極155の電位の近傍である。そのため、シールド電極135,136には、コモン電極155と同電位となるような信号を供給することが好ましい。
【0052】
本実施形態の場合、第1のシールド電極部135は、表示領域100Aと隣接して形成されるため、第1のシールド電極部135は、表示領域100Aの周縁部に位置するコモン電極155およびコモン電極155にコモン信号を供給するコモン幹配線114(
図1参照)と接続されている。第2のシールド電極部136は、第1のシールド電極部135と分離されているため、第1のシールド電極部135とは別に、図示略のグラウンド電極に接続されている。
【0053】
クロック信号配線131,132の電位は常時振幅しているが、マクロ的にみると、その振幅の中間の電位をとる。この電位は、表示領域100Aの平均の電位と近い電位であることが一般的であるため、クロック信号配線131,132が原因の第2基板102の電位変動が表示に与える影響は少ない。
【0054】
第2基板102は、ガラスや石英、プラスチック等の透光性の基板本体160を基体としてなる。基板本体160の内面側(液晶層109側)には、ブラックマトリクス161とカラーフィルタ162とオーバーコート層163とが積層されている。第2基板102には、画素電極157や共通電極155が形成された第1基板101と異なり、電位を固定するための電極が形成されていない。そのため、第1基板101側の電位変動の影響を受けやすい。しかし、本実施形態では、第1基板101側にGOA回路部125の電界を遮蔽するシールド電極135,136が形成されているので、表示領域100A近傍の第2基板102の電位はそれほど大きく変化せず、表示への悪影響も少ない。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置1によれば、表示領域100Aの平均電位に対して電位が大きく異なるGOA回路部125の上方にシールド電極135,136が形成されているので、表示領域100Aの周縁部にストライプ状の光抜けが生じることを抑制することができる。シールド電極135,136は、表示への影響が比較的大きいシフトレジスタ130および電源線133の上方に選択的に配置され、表示への影響が比較的小さいクロック信号配線131,132の上方には配置されていないので、シールド電極135,136との間の寄生容量に起因した信号遅延や消費電力アップの問題を極力低減しながら、光抜けの問題を効果的に抑制することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、シールド電極135,136は、シフトレジスタ130と電源線133の上方のみに設けられ、クロック信号配線131,132の上方には設けられていないが、シールド電極の構成はこれに限定されない。クロック信号配線131,132の上方に、シールド電極が設けられない領域が存在すればよく、必ずしもクロック信号配線131,132の全てがシールド電極に覆われない構成である必要はない。
【0057】
また、本実施形態では、第1のシールド電極部135および第2のシールド電極部136の電位を表示領域100Aの平均電位に近づけるために、第1のシールド電極部135をコモン幹配線114と接続し、第2のシールド電極部136をグラウンド電極と接続した。しかし、第1のシールド電極部135および第2のシールド電極部136に信号を入力するための配線を、コモン幹配線114やグラウンド電極とは別個に設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、電源線133がクロック信号配線131,132の外側(表示領域100Aとは反対側)に配置されているが、他の位置、例えば、シフトレジスタ130と表示領域100Aとの間に配置されていてもよい。この場合、シフトレジスタ130の上方を覆う第1のシールド電極部135と電源線133の上方を覆う第2のシールド電極部136とを分離せずに一体に形成することができる。
【0059】
また、本実施形態では、クロック信号配線131,132が2本の例が示されているが、クロック信号配線の本数はこれに限定されない。クロック信号配線の本数は、4本、6本、8本などであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ゲートドライバ104が表示領域100Aの1辺のみに配置されているが、ゲートドライバ104は、表示領域100Aの左右2辺に配置されてもよい。
【0061】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の液晶表示装置2におけるシフトレジスタ130の近傍の構成を示す平面図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、第1基板においてシフトレジスタ130、クロック信号配線131,132および電源線133の上方にシールド電極135,136,139が設けられるとともに、クロック信号配線131,132の上方の少なくとも一部にはシールド電極が設けられていない領域が存在する点である。
【0063】
本実施形態のシールド電極には、シフトレジスタ130の上方に設けられた第1のシールド電極部135と、電源線133の上方に設けられた第2のシールド電極部136と、クロック信号配線131,132の上方に設けられた第3のシールド電極部139と、が含まれている。シフトレジスタ130と電源線133とは、クロック信号配線131,132を挟んで隣接しており、第1のシールド電極部135と第2のシールド電極部136とは、第3のシールド電極部139によって接続されている。
【0064】
シールド電極部135,136,139は、コモン電極155(
図1参照)およびコモン幹配線114(
図1参照)と接続されている。コモン電極155とシールド電極部135,136,139は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0065】
第3のシールド電極部139は、第1基板の法線方向から見て、クロック信号配線131,132とシフトレジスタ130とを接続する配線と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0066】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。第1実施形態と比較して、クロック信号配線131,132と第3のシールド電極部139との間に寄生容量が発生するため、信号遅延や消費電力アップという問題は生じやすくなるが、クロック信号配線131,132の上方の一部が第3のシールド電極部139覆われるため、電界遮蔽の効果は第1実施形態の構成よりも大きくなる。光抜けの発生状況と要求される性能(動作マージンや消費電力)に応じて、本実施形態の構成も可能である。
【0067】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の液晶表示装置3におけるシフトレジスタ130の近傍の構成を示す平面図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0068】
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、シフトレジスタ130と電源線133の上方の少なくとも一部に、シールド電極が設けられていない領域が存在する点である。
【0069】
第1のシールド電極部140および第2のシールド電極部141は、例えば、メッシュ状(格子状や穴あき状態)に形成された導電層によって構成されている。本実施形態では、第1のシールド電極部140と第2のシールド電極部141の双方が、メッシュ状(格子状や穴あき状態)に形成されているが、メッシュ状に形成されるシールド電極部は、第1のシールド電極部と第2のシールド電極部のいずれか一方のみでもよい。
【0070】
第1のシールド電極部140をメッシュ状に形成する場合には、第1基板の法線方向から見て、クロック信号配線131,132とシフトレジスタ130とを接続する配線と重なる位置や、フローティング状態にある電極部分と重なる位置に、選択的にシールド電極の開口部を設け、電源線133とシフトレジスタ130とを接続する配線と重なる位置にはシールド電極の開口部を設けないようにすることが好ましい。
【0071】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。第1実施形態と比較してシールド電極部140,141の面積が少なくなるので、電界遮蔽の効果は小さくなるが、シールド電極部140,141とGOA回路部125との間の寄生容量が少なくなるので、信号遅延や消費電力アップの問題は抑制される。光抜けの発生状況と要求される性能(動作マージンや消費電力)に応じて、本実施形態の構成も可能である。
【0072】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の液晶表示装置4におけるシフトレジスタ130の近傍の構成を示す平面図である。
なお、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
本実施形態において第2実施形態と異なる点は、シフトレジスタ130と電源線133の上方の少なくとも一部に、シールド電極が設けられていない領域が存在する点である。
【0074】
第1のシールド電極部142および第2のシールド電極部143は、例えば、メッシュ状(格子状や穴あき状態)に形成された導電層によって構成されている。本実施形態では、第1のシールド電極部142と第2のシールド電極部143の双方が、メッシュ状(格子状や穴あき状態)に形成されているが、メッシュ状に形成されるシールド電極部は、第1のシールド電極部と第2のシールド電極部のいずれか一方のみでもよい。
【0075】
第1のシールド電極部142をメッシュ状に形成する場合には、第1基板の法線方向から見て、クロック信号配線131,132とシフトレジスタ130とを接続する配線と重なる位置や、フローティング状態にある電極部分と重なる位置に、選択的にシールド電極の開口部を設け、電源線133とシフトレジスタ130とを接続する配線と重なる位置にはシールド電極の開口部を設けないようにすることが好ましい。
【0076】
本実施形態のシールド電極には、シフトレジスタ130の上方に設けられた第1のシールド電極部142と、電源線133の上方に設けられた第2のシールド電極部143と、クロック信号配線131,132の上方に設けられた第3のシールド電極部144と、が含まれている。シフトレジスタ130と電源線133とは、クロック信号配線131,132を挟んで隣接しており、第1のシールド電極部142と第2のシールド電極部143とは、第3のシールド電極部144によって接続されている。
【0077】
シールド電極部142,143,144は、コモン電極155(
図1参照)およびコモン幹配線114(
図1参照)と接続されている。コモン電極155とシールド電極部142,143,144は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0078】
第3のシールド電極部144は、第1基板の法線方向から見て、クロック信号配線131,132とシフトレジスタ130とを接続する配線と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0079】
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。第2実施形態と比較して、シールド電極部142,143の面積が少なくなるので、電界遮蔽の効果は小さくなるが、シールド電極部142,143とGOA回路部125との間の寄生容量が少なくなるので、信号遅延や消費電力アップの問題は抑制される。光抜けの発生状況と要求される性能(動作マージンや消費電力)に応じて、本実施形態の構成も可能である。
【0080】
[第5実施形態]
図10(a)ないし
図10(c)は、シールド電極の断面構造のバリエーションを示す図である。これらのバリエーションは、第1実施形態ないし第4実施形態の液晶表示装置に適用可能である。
なお、本実施形態において第1実施形態ないし第4実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0081】
図10(a)は、シールド電極(第1のシールド電極部180、第2のシールド電極部181)が、画素電極157と同一材料で形成されている液晶表示装置5の構成例である。
図10(a)には、第3のシールド電極部が図示されていないが、第3のシールド電極部が存在する場合には、第3のシールド電極部も画素電極157と同一材料で形成される。画素電極157とこれらのシールド電極部は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0082】
図10(b)は、シールド電極(第1のシールド電極部182、第2のシールド電極部183)が、画素電極157と同一材料で形成された第1の層と、コモン電極155と同一材料で形成された第2の層と、により構成されている液晶表示装置6の構成例である。
【0083】
図10(b)では、第1のシールド電極部182は、コモン電極155と同一材料で形成された電極部171,172,176と、画素電極157と同一材料で形成された電極部174,175と、により構成されている。第2のシールド電極部183は、コモン電極155と同一材料で形成された電極部170と、画素電極157と同一材料で形成された電極部173と、により構成されている。
図10(b)において、電極部173,174,175はシールド電極の第1の層であり、電極部170,171,172,176はシールド電極の第2の層である。コモン電極155と電極部170,171,172,176は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。画素電極157と電極部173,174,175は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0084】
図10(b)には、第3のシールド電極部が図示されていないが、第3のシールド電極部が存在する場合には、第3のシールド電極部も画素電極157と同一材料で形成された第1の層と、コモン電極155と同一材料で形成された第2の層と、により構成される。第3のシールド電極部の第1の層は、第1のシールド電極部182の第1の層および第2のシールド電極183の第1の層および画素電極157と同時に形成される。第3のシールド電極部の第2の層は、第1のシールド電極部182の第2の層および第2のシールド電極183の第2の層およびコモン電極155と同時に形成される。
【0085】
図10(c)は、画素電極とコモン電極が櫛歯状に形成されたIPS構造の液晶表示装置7の構成例である。
図10(c)の符号158は、画素電極およびコモン電極が有する櫛歯電極を示している。シールド電極(第1のシールド電極部184、第2のシールド電極部185)は、画素電極およびコモン電極と同一材料で形成されている。
図10(c)には、第3のシールド電極部が図示されていないが、第3のシールド電極部が存在する場合には、第3のシールド電極部も画素電極およびコモン電極と同一材料で形成される。画素電極とコモン電極とこれらのシールド電極部は、ITOなどの透明導電材料を基板全面に形成し、これをパターニングすることにより、同時に形成される。
【0086】
図10(a)ないし
図10(c)のバリエーションにおいては、シールド電極の少なくとも一部が、画素電極またはコモン電極と同一材料で形成されている。そのため、シールド電極と画素電極または共通電極とを共通のプロセスで形成することができる。
【実施例】
【0087】
図11は、13,3型ワイドパネルにてGOA回路部の消費電力の検討を行った結果を示す図である。
図11(a)は、GOA回路部にシールド電極を設けない例(比較例)であり、
図11(b)は、GOA回路部にシールド電極を設けた例(実施例)である。
なお、
図11(a)および
図11(b)の液晶表示装置の基本構成は、第1実施形態と同じであるが、GOA回路部は表示領域の左右2辺に設けられており、クロック信号配線の本数は4本となっている。シフトレジスタを覆う第1のシールド電極部はコモン幹配線と接続され、電源線を覆う第2のシールド電極部はグラウンド電極と接続されている。
【0088】
図11(a)に示すように、比較例の構成では、GOA回路部が形成された左右の辺にストライプ状の光抜けが発生している。それに対して、
図11(b)の実施例の構成では、そのような光抜けが殆ど発生していない。比較例のGOA回路部の消費電力は241mWであり、実施例のGOA回路部の消費電力は225mWであった。実施例のほうが比較例よりも7%消費電力が低減された。