【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項である請求項1の特徴を有する発明により解決される。
【0006】
従属請求項に本発明の有利な実施形態および発展形態が記載されており、これらの実施形態および発展形態はまた、以下の詳細な説明および図面にも示されている。
【0007】
発光構成体は、少なくとも1つの実施形態によれば以下の構成を備える:
・少なくとも部分的に不透明な主表面を備える支持体素子と、
・該支持体素子の上に配置された有機発光構成素子とを有し、
該有機発光構成素子は、少なくとも部分的に透明な第1の電極と、少なくとも部分的に透明な第2の電極との間に活性領域を備える有機層列を有し、
・該活性領域は、スイッチオンされた動作状態では電磁ビームを形成し、
・前記発光構成体は、有機発光構成素子の支持体素子とは反対側に、電磁ビームを放射するための光出射面を有し、
・支持体素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、有機発光構成素子の動作が遮断された状態では、外部の観察者により光出射面を通して知覚可能である。
【0008】
ここで層または素子が別の層または別の素子の「上」または「上方」に、または2つの別の層または素子の間に配置または取り付けられているということは、それらの層または素子が別の層または別の素子に直接的に機械的および/または電気的に接触して配置されていることを意味する。さらに、これは次のことも意味する。すなわち、一方の層または素子が間接的に、他方の層または他方の素子の表面上にないし上方に配置されることも意味している。別の層および/または素子が一方の層と他方の層との間に配置されていても良い。
【0009】
「少なくとも部分的に不透明」であるとは、支持体素子の主表面との関連で、主表面が、有機発光構成素子の活性領域により形成される電磁ビームに対して不透明である部分領域を少なくとも1つまたは複数有することを意味する。とりわけ主表面の少なくとも1つまたは複数の部分領域は、可視電磁スペクトル全体に対して、またはそのうちの部分スペクトルに対して不透明でも良い。ここで主表面の少なくとも1つまたは複数の領域は、有機発光構成素子の活性領域により形成された電磁ビームの少なくとも1つの波長に対して、および/または可視電磁スペクトルの少なくとも1つの波長に対して吸収性または反射性とすることができる。
【0010】
ここで「外部の観察者」とは、以下、平均的視力と平均的視覚器官を有するヒトと理解すべきである。したがって「知覚可能」とはこの関連で、外部の観察者に対して、外部の観察者の視覚器官で視覚刺激を惹起するのに適した波長と強度を有する電磁ビームである。しかし第1の電磁ビームは外部観察者により、以下の説明の枠内で知覚できない場合がある。これは第1の電磁ビームが視覚認知が、外部観察者の視覚器官における第2の電磁ビームにより惹起される物理化学的および/または神経学的過程のため不可能であるほど弱い強度を第1の電磁ビームが有する場合である。このことはここおよび以下で、第2の電磁ビームによる第1の電磁ビームの「オーバーマスク」と称することができる。さらに第1の電磁ビームは外部観察者により以下の説明の枠内で知覚できないこともある。これは、第1の電磁ビームが第2の電磁ビームに対して小さな強度差および/または波長差および/または空間差を有しており、そのため第1の電磁ビームと第2の電磁ビームとが、平均的な人の視覚器官によって相互に分離して弁別できない場合である。このことはここおよび以下で、「過度に小さなコントラスト」と称することができる。したがって「外部観察者」ならびに特徴「知覚可能」は、一方では電磁ビームの波長領域と最小強度を量的に特徴付けるために用いられる。しかしこの種の特徴付けは他方では、視覚器官の生理学的および神経学的特性の観点で理解すべきである。
【0011】
表面は、本発明の装置の枠内で、表面に入射し、表面を照明し、表面から反射される電磁ビームの少なくとも一部が外部観察者により上記の意味で知覚可能である場合に「知覚可能」である。ここで表面が知覚可能であるとは、色変化および/または明度変動および/または形状変化により与えられる表面の表面構造が知覚可能であることを意味する。
【0012】
前記の有機発光構成素子と、少なくとも部分的に不透明な主表面を備える支持素子との組合せによって、有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態においてはスイッチオフされた動作状態と比較して、少なくとも部分的に不透明な主表面の視覚形態を強調および/または変化させることができる。主表面の視覚形態は、例えば材料の性質および/または表面の性質に基づいて、色、明度および/または光沢に関して強調および/または変化させることができる。これはとりわけ、主表面を有機発光構成素子により所期のように照明することによって可能となり、外部照明を使用する必要がない。しかし第1の電極、有機層列および第2の電極が透明であることによって、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面も知覚可能および観察可能とすることができ、有機発光構成素子がスイッチオフされた状態でも、その特別な材料特性および視覚形態は維持される。さらに支持素子上の有機発光構成素子は、支持素子の脆弱な表面のための保護層としても付加的に用いることができる。
【0013】
少なくとも部分的に不透明な主表面は、有機発光構成素子とは反対側の支持素子の主表面とすることができる。これは、少なくとも部分的に不透明な主表面が、有機発光構成素子の反対側に配置されており、有機発光構成素子が少なくとも部分的に不透明な主表面に対向する支持素子の主表面上に配置されていることを意味する。ここで支持素子は、少なくとも部分的に不透明な主表面の、有機発光構成素子に向いた側に透明な材料を有する。ここで透明な材料は例えばガラスおよび/または透明なプラスチックを含むか、またはそれらの材料の少なくとも1つから作製することができる。したがって少なくとも部分的に不透明な主表面は、発光構成体の光出射面と支持素子の透明材料を通して、有機発光構成素子がスイッチオフされた動作状態でも知覚可能である。
【0014】
少なくとも部分的に不透明な主表面は、択一的に、有機発光構成素子に向いた側の支持素子の主表面とすることもできる。とりわけこの場合、支持素子は1つまたは複数の不透明な材料を含むか、またはその材料から作製することができる。
【0015】
さらに少なくとも部分的に不透明な主表面は、付加的にまたは択一的に少なくとも1つまたは複数の不透明な材料を含むか、またはその材料から作製することができる。ここではとりわけ、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、少なくとも1つまたは複数の不透明な材料によるコーティングを有することができる。ここでコーティングは、このコーティングとともに支持素子を形成することのできる、透明または不透明な材料に被覆することができる。ここおよび以下で「被覆する」とは、スパッタリング、蒸着、接着、ラミネート、またはそれらの組合せを意味することができる。
【0016】
少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、石材、木材、プラスチック、繊維製品、勤続、金属合金、紙、厚紙、色ガラス、およびそれら材料の複数の組合せから選択することができる。ここで支持素子は、少なくとも部分的に不透明な主表面の領域において前記材料の1つまたは複数からなる。
【0017】
とりわけ上に述べたコーティングの場合、少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、前記の材料の代わりにまたはそれに加えて、ペイントを有する、またはペイントとすることができる。ここでペイントは、表面に塗布されて固体の層を形成する、液状体からペースト状の物質および/または混合物を有することができる。ここでペイントは、例えば結合剤、着色剤および/または顔料、増量剤、溶剤、増粘剤、分散剤および/または防腐剤を有することができる。例えばペイントは、ラッカー、分散インキまたはプラスターとして構成することができる。結合剤は、例えば油性インキのオイル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、無水石灰、セメント、硬石膏および/またはケイ酸カリウムを有することができる。さらに少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、上に述べたようなコーティングの場合、例えば金属表面のアルマイト被覆を含むことができる。
【0018】
支持素子および発光構成体は、技術的装置、人工的装置または建築的装置の一部とすることができる。ここで単なる例として、壁、天井、棚、作業プレート、大理石プレート、木材プレート、階段、ガラス戸棚、床張り、機器のハウジング、車両、おもちゃ、デザインエレメント、建物のファサード、非常路、看板、交通標識、指示および情報板、道標、銘板、住所標、表札、および名札を挙げておく。
【0019】
有機発光構成素子は、支持素子に直接取り付けることができる。これは、有機発光構成素子の層が支持素子と直接、機械的に接触していることを意味する。ここでこの層は、下に説明するサブストレート、カプセル、またはそれらの一部、または第1の電極または第2の電極とすることができる。
【0020】
さらに発光構成体は中間層を、支持素子と有機発光構成素子との間に有する。これは、有機発光構成素子に向いた側の支持素子の主表面(この主表面は上に述べたように少なくとも部分的に不透明な主表面とすることができる)が、隆起部、凹部、先端部、機械的短絡粒子および/または粗部を有する場合にとりわけ有利である。ここで中間層は平面層として構成することができ、これにより有機発光構成素子のための平坦な取付け面が可能になる。
【0021】
ここで中間層は、アモルファスまたは結晶形状の透明の固体材料、例えばガラス、プラスチック、半導体、金属、またはそれら材料の組合せを含む。さらに中間層は透明な粘性材料または液状材料、例えばオイル、ゲル、樹脂、シリコンオイルまたはシリコンゲルを有することができる。
【0022】
中間層はさらにガスを含むか、またはガスにより形成することができ、例えば空気、希ガス、窒素、酸素、二酸化炭素および一酸化炭素から選択することができる。
【0023】
さらに中間層は、有機発光構成素子を支持層の上に機械的に固定するために用いることができ、そのために接着剤を有するか、または接着剤であって良い。ここで接着剤は付加的な層として取り付けることができ、または自己接着性フィルムの一部であっても良い。したがって中間層は、支持素子と有機発光構成素子との間の
素材結合を可能にする。さらに中間層は、とりわけ平面層としての構成で結合を可能にする。
【0024】
支持素子と有機発光構成素子は例えば相互に別個に作製することができ、中間層によって互いに接合することができる。
【0025】
有機電子構成素子は、とりわけ有機発光ダイオード(OLED)を含むか、または有機発光ダイオードとして実施することができる。OLEDの場合、活性領域で電子と正孔が、電磁ビームを形成しながら再結合する。
【0026】
とりわけ有機発光構成素子は例えばサブストレートを有することができる。サブストレートの上には第1の電極を取付け、または配置することができる。この第1の電極上には、有機材料からなる複数の機能層または少なくとも1つの有機機能層を含む有機層列を被着することができる。少なくとも1つの有機機能層または複数の機能層は、例えば1つまたは複数の電子輸送層、エレクトロルミネッセント層、正孔輸送層、電子ブロック層および/または正孔ブロック層を有するか、またはこのような層として実施することが可能である。この有機層列の上には第2の電極が被着されても良い。
【0027】
例えば上記のサブストレートは、ガラス、石英、プラスチックシート、金属、金属シート、シリコンウェハまたは別の適当な基板材料を含むか、それらから作製することが可能である。ここでサブストレートは透明に実施されて良く、剛性または可撓性であって良い。とりわけ可撓性のサブストレートは、フレキシブルな有機発光構成素子を可能にし、このフレキシブルな有機発光構成素子は支持素子の形状に関係なく技術的に簡単に、これに取り付けることができ、その上に配置することができる。
【0028】
有機発光構成素子のサブストレートは直接、または上に述べたように中間層を介して間接的に支持素子に配置することができる。これはサブストレートが支持素子と有機層列の間に配置されていることを意味する。さらに有機発光構成素の、サブストレートとは反対側の表面を、直接または間接的に支持素子の上に配置することができる。これは有機層列がサブストレートと支持素子の間に配置されていることを意味する。サブストレートの、支持素子とは反対側の表面は、発光構成体の光出射面を形成することができる。
【0029】
さらに、支持素子をサブストレートとして構成することもできる。これは、支持素子の上に直接または中間層を介して間接的に、第1の電極、有機層列、および第2の電極が付加的なサブストレートなしで配置されていることを意味する。
【0030】
少なくとも部分的に透明な第1の電極はアノードとして構成することができ、したがって正孔注入材料として用いることができる。少なくとも部分的に透明な第2の電極はカソードとして構成することができ、したがって電子注入材料として用いることができる。択一的に第1の電極をカソードとして構成し、第2の電極をアノードとして構成することもできる。
【0031】
第1および/または第2の電極は例えば、透明導電性酸化物を有しているか、または透明導電性酸化物からなる。透明導電性酸化物(transparent conductive oxides、略して「TCO」)は、透明な導電性材料であり、ふつうは、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたはインジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物である。ZnO,SnO
2またはIn
2O
3などの2成分の金属酸素化合物のほか、例えばドープされた酸化亜鉛化合物、例えばアルミニウムドープされた酸化亜鉛、またはZn
2SnO
4,CdSnO
3,ZnSnO
3,MgIn
2O
4,GaInO
3,Zn
2In
2O
5またはIn
4Sn
3O
12などの3成分の金属酸素化合物や、種々の透明導電性酸化物の混合物もTCO群の材料に属する。さらに、TCOは必ずしも化学量論的な組成に相応することはなく、p型ドーピングまたはn型ドーピングとすることもできる。
【0032】
その代わりにまたはそれに加えて、第1および/または第2の電極が、例えばアルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、銅、カルシウムまたはリチウムのような金属、またはそれらの加工物、混合物および合金を有するか、またはそれらから作製することができるとりわけ第1の電極または第2の電極は、前記の材料を1つまたは複数備える層であって、厚さが100nm未満、とりわけ50nm未満、とくに好ましくは30nm以下の層を有する。ここで第1および/または第2の電極は、薄ければ薄いほど電磁ビームに対して透過性である。
【0033】
その代わりまたはそれに加えて、第1および/または第2の電極は導電性の有機材料、例えばPEDOTまたは炭素ナノチューブを有することができる。
【0034】
例えば第1の電極および/または第2の電極は、上記材料製の複数の層を備える層積層体を有することができる。層積層体は例えば金属層を2つのTCO層の間に有することができる。
【0035】
さらに第1の電極および/または第2の電極は付加的に導体路として、またはグリッドとして構造化された導電層を、大面積の第1および/または第2の電極における横方向導電性を、透明性を格段に低減することなく高めるために有することができる。この導電層は例えば、厚さが数μmの構造化された金属層である。
【0036】
上記の有機機能層または複数の機能層は、有機ポリマ、有機オリゴマ、有機モノマ、有機非ポリマ小分子("small molecules")またはこれらの組合せを有することが可能である。とりわけ上記有機発光構成素子が正孔輸送層として実施された機能層を有し、これにより活性領域として構成されたエレクトロルミネッセント層またはエレクトロルミネッセント領域への効果的な正孔注入を可能にすると有利である。上記機能層の材料に応じ、活性領域に形成される電磁ビームは、青スペクトル領域から赤スペクトル領域までの個別の波長または範囲またはそれらの組合せを有することが可能である。とりわけ電磁ビームは混合色、とりわけ白色の照明印象を喚起することができる。さらに有機発光構成素子は可変の色放射が可能であり、この色放射は電圧、電流、温度、湿度、圧力またはそれらの組合せによって変化される。
【0037】
前記第1の電極および/または第2の電極を、それぞれ大面積に形成することができる。このことにより、活性領域で形成された電磁ビームを大面積で放射できるようになる。ここで「大面積」とは、有機発光構成素子が数mm
2以上の面積を有することを意味することができ、有利には1cm
2以上、特に有利には10cm
2以上の面積を有することを意味することができる。択一的または付加的に、第1の電極および/または第2の電極を少なくとも一部の領域において構造化して形成することができる。これにより、上記の活性領域に形成される電磁ビームの構造化した放射が可能になり、例えばピクセルまたはピクトグラムの形状で構造化された放射が可能になる。
【0038】
さらに、有機発光構成素子は透明のカプセルを有する。これによって例えば第1と第2の電極および有機層列に対し、湿気および/または例えば酸素等の酸化物質からの保護が実現される。この場合前記カプセルは1つまたは複数の層を含み得る。カプセルのこれらの層は例えばプレーナー層、バリア層、水および/または酸素吸収層、化合物層、もしくはそれらの組合せであってもよい。前記カプセルは、例えばキャップ、とりわけの片持ちキャップの形態のカバー、および/または層または層列を、薄膜カプセルの形態で電極および有機層列の上に有することができる。適切な材料は例えば、ガラス、プラスチック、金属、金属酸化物、例えばSiOxまたはSiNx等である非金属酸化物または非金属窒化物、セラミックまたはこれらの組合せを含むか、または、ガラス、プラスチック、金属、金属酸化物、例えばSiOxまたはSiNx等である非金属酸化物または非金属窒化物、セラミックまたはこれらの組合せである。ここでカプセルは例えばバリア層および/またはプレーナー層を有することができる。さらに、カバーを積層体として構成することもできる。
【0039】
カプセルは、第1および第2の電極、ならびに有機層列を全体で取り囲み、包囲することができる。さらにカプセルは上記のサブストレートを含むことができ、カプセルの一部をこのサブストレートにより形成することができる。とりわけカプセルは、発光構成体の光出射面も形成する。
【0040】
さらに有機発光構成素子はこのカプセルとともに直接、または中間層を介して間接的に支持素子上に配置することができる。
【0041】
付加的にカプセル内にはゲッター物質を取り込むことができる。ゲッター物質として好ましくは、酸化可能な材料が使用される。この酸化可能な材料は、酸素および湿気と反応してこれらの汚染物質を結合することができる。容易に酸化する酸化材料として、とりわけアルカリ金属およびアルカリ土類金属の群からの金属が使用される。例えばゲッター物質は、マグネシウムおよび/またはカルシウムおよび/またはバリウムおよび/またはセシウムを含む。さらに、例えばアルミニウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはタンタルおよび/またはチタン等である別の金属、または酸化可能な非金属材料も適している。さらにゲッター物質は、ゼオライト群に属する材料および/またはシリカゲルを含むこともできる。
【0042】
ゲッター物質は、このゲッター物質が、有機層列の活性領域で形成される電磁ビームに対して少なくとも部分的に透明であるような薄さにすることによって、透明に実施することができる。ここでゲッター物質は、例えば発光構成体の光出射面と支持素子との間に配置することができ、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、少なくとも有機発光構成素子がスイッチオフされた動作状態でゲッター物質を通して知覚可能である。択一的にまたは付加的に、ゲッター物質を光出射面に対して側方にずらして配置することができる。これによりゲッター物質は、外部の観察者の観察方向を基準にして、光出射面と支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面との間に配置されない。この場合、ゲッター物質は不透明に実施することもできる。
【0043】
さらに有機発光構成素子は、活性領域で形成される電磁ビームに対する光学的な空洞として構成することができる。ここおよび以下で「光学的な空洞」とは、有機発光構成素子が光学的共振器を形成し、この共振器では、1つまたは複数の特定の波長および/または1つまたは複数の特定の放射方向を備える電磁ビームを形成することができることを意味し、これは共振またはモードとも称される。このために例えば第1の電極、有機層列、および第2の電極を、光学的な空洞として構成することができる。これは、少なくとも部分的に透明な第1の電極と、少なくとも部分的に透明な第2の電極が、活性領域で形成される電磁ビームに対して反射性を有することができることを意味する。択一的にまたは付加的に、第1の電極、有機層列、および第2の電極は、部分的に反射性であり付加的に部分的に透明である層の間に配置することができる。光学的な空洞の以下の説明は、部分的に反射性の電極に対する純粋な例としての実施であり、当業者には択一的な構成も容易である。
【0044】
第1の電極および/または第2の電極は反射度RないしはR’を有することができ、有機層列は電磁ビームに対して屈折率nを有することができる。第1と第2の電極は部分的に透明であるから、ここではR<1かつR’<1が当てはまる。屈折率nは、有機層列にわたって一定とすることができる。または少なくとも部分領域で、例えば種々の機能層で一定することができる。さらに屈折率nは、有機層列にわたっても変化することができる。有機層列の活性領域は厚さdを有することができ、平均間隔Lで第1の電極から、平均間隔L’で第2の電極から間隔を置いて配置することができる。ここで、平均間隔Lと平均間隔L’は、活性層の厚さdにわたって平均された、第1の電極または第2の電極までの間隔である。ここでパラメータR,R’,n,d,LおよびL’は、有機層列が特定の放射特性を有するように選択することができる。例えば第1と第2の電極の反射度RとR’、および有機層列の屈折率nは、それぞれの材料選択に基づいて、平均間隔LとL’および活性領域の厚さdの選択によって所望の放射特性が可能となるように設定することができる。これとは択一的に、有機層列と活性領域の寸法、すなわち平均間隔LとL’および厚さdを、例えば有機発光構成素子の構造または製造方法により設定することもできる。この場合、第1と第2の電極に対する材料を、それらの反射度RとR’に関して選択することにより、所望の放射特性を可能にすることができる。
【0045】
例えば平均間隔LとL’を、活性領域で形成される電磁ビームの波長のオーダーにまたはそれより小さくすることができる。電磁ビームが複数の波長および/または波長領域のスペクトル分布を有していれば、電磁ビームを平均波長により特徴付けることができ、有機層列の寸法を、以下では電磁ビームの平均波長を基準にすることができる。さらに平均間隔は、電磁ビームの半波長より小さいかまたは等しくても良く、または電磁ビームの波長の四分の一より小さいかまたは等しくても良く、または電磁ビームの波長の八分の一より小さいかまたは等しくても良い。さらにまたは付加的に、平均間隔LとL’は、電磁ビームの波長の1/20より大きいかまたは等しくても良く、または1/10より大きいかまたは等しくても良い。
【0046】
このような平均間隔LとL’は、部分的に反射性の第1および第2の電極と関連して、発光層列にある、少なくとも表面の半分で反射性の空洞の形成に作用する。ここで励起状態(エキシトン)から活性領域で放射される光子または波束は、第1の電極および第2の電極で反射することができる。平均間隔LとL’が電磁ビームの波長のオーダーにあるか、またはそれより小さくすることができることによって、簡単に言えば、放射された励起状態にある波束のフィードバックが、波束の放射中にも可能となり、これにより励起状態を波束の放射中に、その「固有の」反射された波束の電磁界によって調整することができる。したがって反射された波束の位相に応じて、励起状態の放射を増幅または減衰することができる。ここで位相は、有機層列の屈折率、電磁ビームの第1および第2の電極への浸入深度に関連する第1および第2の電極の反射度、ならびに励起状態と、波束の放射方向に関連する、第1と第2の電極との間隔に依存することができる。これにより有機層列中にモード構造を形成することができ、このモード構造は電磁ビームの照射が特定の方向になるよう促進し、または作用することができる。さらに活性領域の厚さも放射モードの形成に影響することができる。
【0047】
有機構成素子は、活性領域で形成された電磁ビームに放射特性を有することができ、これにより支持素子の方向で電磁ビームが第1の強度により、光出射面の方向で第2の強度により放射される。ここで第1の強度と第2の強度は、有機発光構成素子の外面に規定することができる。すなわち第1または第2の電極、サブストレートまたはカプセルの、例えば有機層列とは反対の表面に規定することができる。ここで第2の強度は、発光構成体の光出射面にも規定することができる。支持素子または光出射面の「方向の強度」により、第1の強度と第2の強度について、有機発光構成素子の、支持素子に向いた側または反対側での半空間へのそれぞれの全体強度を表すことができる。
【0048】
支持素子の方向に有機発光構成素子から第1の強度で放射される電磁ビームは、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面を照明することができる。主表面が少なくとも部分的に不透明であることによって、電磁ビームの少なくとも一部が第1の強度で光出射面の方向に反射することができ、光出射面を通して外部観察者により知覚可能である。言い替えるとこのことは、外部観察者に対しては支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面が照明され、これにより有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態で知覚可能であることを意味する。このことはとりわけ、第1の強度が第2の強度より大きい場合である。
【0049】
この種の放射特性は例えば、上に述べたような光学的な空洞により可能となる。択一的にまたは付加的に、第1と第2の電極は相互に異なる透過性、すなわち透過率を有することができる。例えば第1の電極が、有機層列の支持素子に向いた側に配置されていて、第2の電極よりも大きな透過率を有していれば、活性領域で形成された電磁ビームが、第2の強度よりも大きな第1の強度で支持素子の方向に放射される。
【0050】
これとは択一的に、第2の強度が第1の強度よりも大きくて良い。この種の放射特性は例えば、光学的な空洞により可能となる。その代わりにまたは追加で、例えば第2の電極が、有機層列の、支持素子とは反対の側に配置されており、第1の電極よりも大きな透過率を有しても良い。この場合は、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面が、有機発光構成素子のスイッチオフ状態と比較してさほど顕著でなく知覚可能であっても良い。なぜなら外部観察者は、少なくとも部分的に不透明な主表面から反射された第1の強度の電磁ビームと、発光構成体の光出射面を介して第2の強度により直接放射された電磁ビームを重ね合わせて知覚できるからである。さらにスイッチオンされた動作状態では、少なくとも部分的に不透明な主表面で反射された第1の強度の電磁ビームが、第2の強度の電磁ビームにより上記の意味で目立たなくされる場合、少なくとも部分的に不透明な主表面がまったく知覚することができなくても良い。
【0051】
これにより有機発光構成素子と光出射面が、スイッチオフされた動作状態では透明に見えることができ、スイッチオンされた動作状態では第1の強度と第2の強度の比に応じて不透明であるか、または同様に少なくとも部分的に透明に見えることができる。
【0052】
有機発光構成素子は例えば、有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態で、光出射面の第1の領域を通して少なくとも部分的に不透明な主表面が知覚可能であり、第2の領域を通しては知覚できないように構造化して形成することができる。この場合、有機発光構成素子は例えば部分領域でだけ電磁ビームを放射することができ、または大面積で電磁ビームを放射することができる。主表面がこのようにセグメント化されて照明されることにより、および/または電磁ビームが外部観察者の方向にセグメント化されて放射されることにより、種々異なる照明パターンを形成し、または一時的に指示または情報をスーパーインポーズすることができる。スイッチオフされた動作状態では、このパターン、指示および/または情報が不可視であり、出現形態を妨害せず、少なくとも部分的に不透明な主表面の知覚可能性を損なわない。
【0053】
さらに発光構成体は、支持素子の有機発光構成素子に向いた側に配置されたフィルタ層を有することができる。ここでフィルタ層は、有機発光構成素子と支持素子との間、または有機発光構成素子と光出射面との間に配置することができる。後者の場合、フィルタ層が発光構成体の光出射面も形成する。
【0054】
フィルタ層は、波長に依存する透過係数および/または強度に依存する透過係数を有することができる。例えばフィルタ層は、吸収性の色素、波長変換物質、飽和可能な吸収物質、またはそれらの組合わせを有することができる。さらにフィルタ層は、例えば電圧に依存する透過係数を有することができる。このためにフィルタ層は電圧に依存して吸収性の材料および/または電圧に依存して散乱性の材料、例えばエレクトロクロミズム材料またはポリママトリクスの液晶を有することができ、これらは、例えばTCO製の2つの透明な電極の間に配置される。フィルタ層は、いわゆる「スマートガラス」として実施することもできる。
【0055】
フィルタ層は付加的に構造化し、異なる部分領域に異なる機能性を有することができる。フィルタ層によって、少なくとも部分的に不透明な主表面の出現形態を、有機発光構成素子のスイッチオンおよび/またはスイッチオフされた動作状態で変更または変化することができる。
【0056】
本発明のさらなる利点、有利な実施形態および発展形態は、
図1Aから8Bに関連して以下で説明する実施例から明らかとなる。