特許第6029260号(P6029260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029260
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】発光構成体
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20161114BHJP
   G09F 13/02 20060101ALI20161114BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20161114BHJP
   H05B 33/24 20060101ALI20161114BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H05B33/14 A
   G09F13/02
   H05B33/12
   H05B33/12 E
   H05B33/24
   H05B33/28
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-547952(P2010-547952)
(86)(22)【出願日】2009年2月25日
(65)【公表番号】特表2011-513958(P2011-513958A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】DE2009000279
(87)【国際公開番号】WO2009106067
(87)【国際公開日】20090903
【審査請求日】2011年12月14日
【審判番号】不服2014-19790(P2014-19790/J1)
【審判請求日】2014年10月2日
(31)【優先権主張番号】102008011239.9
(32)【優先日】2008年2月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102008023874.0
(32)【優先日】2008年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514272140
【氏名又は名称】オスラム オーエルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OSRAM OLED GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィン ラング
(72)【発明者】
【氏名】マルクス クライン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴィトマン
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ドバーティン
(72)【発明者】
【氏名】アルント イェーガー
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ディークマン
【合議体】
【審判長】 藤原 敬士
【審判官】 鉄 豊郎
【審判官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−310069(JP,A)
【文献】 特開平8−185984(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/031366(WO,A1)
【文献】 特開平3−20993(JP,A)
【文献】 特開2007−95627(JP,A)
【文献】 特開2005−174647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50 - 51/56
H05B 33/12 - 33/28
G09F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも部分的に不透明な主表面(10)を備える支持体素子(1)と、
・該支持体素子(1)の上に配置された有機発光構成素子(2)とを有する発光構成体であって、
該有機発光構成素子(2)は、透明な基板(20)を有し、
該基板上に、少なくとも部分的に透明な第1の電極(21)と少なくとも部分的に透明な第2の電極(22)との間に活性領域を備える有機層列(23)が配置されており、
前記支持体素子(1)と有機発光構成素子(2)との間には、1つの中間層(4)が配置されており、
該中間層は、透明なプラスチック材料のみから成り
・該活性領域(29)は、スイッチオンされた動作状態では電磁ビーム(91,93)を形成し、
・前記発光構成体は、有機発光構成素子(2)の支持体素子(1)とは反対側に、電磁ビーム(92,93)を放射するための光出射面(3)を有し、
・支持体素子(1)の少なくとも部分的に不透明な主表面(10)は、有機発光構成素子(2)のスイッチオフ動作状態では、外部観察者により光出射面(3)を通して知覚可能であり、
前記不透明な主表面(10)は、有機発光構成素子(2)がスイッチオンされている動作状態では照明され、知覚可能である発光構成体。
【請求項2】
前記支持体素子(1)の少なくとも部分的に不透明な主表面(10)は、前記有機発光構成素子(2)の反対側に配置されている、請求項1記載の発光構成体。
【請求項3】
前記支持体素子(1)は、前記有機発光構成素子(2)に向いた側に、ガラスおよび/またはプラスチックを含む透明材料を有する、請求項1または2記載の発光構成体。
【請求項4】
前記支持体素子(1)の少なくとも部分的に不透明な主表面(10)は、前記有機発光構成素子(2)に向いた側に配置されている、請求項1記載の発光構成体。
【請求項5】
前記支持体素子(1)は、少なくとも1つまたは複数の不透明材料からなる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【請求項6】
前記支持体素子(1)の少なくとも部分的に不透明な主表面(10)は、少なくとも1つまたは複数の不透明な材料によるコーティングを有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【請求項7】
少なくとも1つまたは複数の不透明材料は、石材、木材、プラスチック、繊維製品、金属、合金、紙、厚紙、塗装材料の群から選択される、請求項5または6記載の発光構成体。
【請求項8】
前記基板(20)は、前記支持体素子(1)と前記有機層列(23)との間に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【請求項9】
前記有機層列(23)は、前記支持体素子(1)と前記基板(20)との間に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【請求項10】
前記有機発光構成素子(2)は、薄膜カプセルの形態のカプセル(24)を有し、
該カプセルは前記基板(20)から見て前記有機層列(23)の上に配置されており、
前記有機発光構成素子は前記カプセル(24)とともに中間層(4)によって前記支持体素子(1)上に配置されている、請求項9に記載の発光構成体。
【請求項11】
前記有機発光構成素子(2)は、活性領域(29)で形成された電磁ビーム(91,93)を第1の強度で前記支持体素子(1)の方向に、第2の強度で前記光出射面(3)の方向に放射する放射特性を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【請求項12】
前記支持体素子(1)の少なくとも部分的に不透明な主表面(10)は、第1の強度の電磁ビーム(91)により照明され、該第1の強度の電磁ビーム(91)は少なくとも部分的に前記光出射面(3)の方向に反射される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の発光構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明により、発光構成体が提供される。
【背景技術】
【0002】
現代のアーキテクチャおよびクリエイティブなデザインでは、一方では所望の機能を保証し、他方では外側の形状付与に対応して所望の効率を付与するために材料選択が非常に重要になっている。照明を適切に選択することによって、例えば種々の材料の効率が対応して増強され、または表面特性が所期のように強調される。公知の適用では、照明は常に外部から行われ、対応する個所に所望の光が照射され、または照明される。しかし外部照明は多くの場合、不可能であったり、または無視できない程の技術的および経済的コストを必要とする。
【0003】
外部照明なしで発光する表面であって、表面の材料固有の外観像、例えば木目、金属光沢、色等を得ることのできる表面は現時点まで未知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、有機発光構成素子を備える発光構成体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項である請求項1の特徴を有する発明により解決される。
【0006】
従属請求項に本発明の有利な実施形態および発展形態が記載されており、これらの実施形態および発展形態はまた、以下の詳細な説明および図面にも示されている。
【0007】
発光構成体は、少なくとも1つの実施形態によれば以下の構成を備える:
・少なくとも部分的に不透明な主表面を備える支持体素子と、
・該支持体素子の上に配置された有機発光構成素子とを有し、
該有機発光構成素子は、少なくとも部分的に透明な第1の電極と、少なくとも部分的に透明な第2の電極との間に活性領域を備える有機層列を有し、
・該活性領域は、スイッチオンされた動作状態では電磁ビームを形成し、
・前記発光構成体は、有機発光構成素子の支持体素子とは反対側に、電磁ビームを放射するための光出射面を有し、
・支持体素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、有機発光構成素子の動作が遮断された状態では、外部の観察者により光出射面を通して知覚可能である。
【0008】
ここで層または素子が別の層または別の素子の「上」または「上方」に、または2つの別の層または素子の間に配置または取り付けられているということは、それらの層または素子が別の層または別の素子に直接的に機械的および/または電気的に接触して配置されていることを意味する。さらに、これは次のことも意味する。すなわち、一方の層または素子が間接的に、他方の層または他方の素子の表面上にないし上方に配置されることも意味している。別の層および/または素子が一方の層と他方の層との間に配置されていても良い。
【0009】
「少なくとも部分的に不透明」であるとは、支持体素子の主表面との関連で、主表面が、有機発光構成素子の活性領域により形成される電磁ビームに対して不透明である部分領域を少なくとも1つまたは複数有することを意味する。とりわけ主表面の少なくとも1つまたは複数の部分領域は、可視電磁スペクトル全体に対して、またはそのうちの部分スペクトルに対して不透明でも良い。ここで主表面の少なくとも1つまたは複数の領域は、有機発光構成素子の活性領域により形成された電磁ビームの少なくとも1つの波長に対して、および/または可視電磁スペクトルの少なくとも1つの波長に対して吸収性または反射性とすることができる。
【0010】
ここで「外部の観察者」とは、以下、平均的視力と平均的視覚器官を有するヒトと理解すべきである。したがって「知覚可能」とはこの関連で、外部の観察者に対して、外部の観察者の視覚器官で視覚刺激を惹起するのに適した波長と強度を有する電磁ビームである。しかし第1の電磁ビームは外部観察者により、以下の説明の枠内で知覚できない場合がある。これは第1の電磁ビームが視覚認知が、外部観察者の視覚器官における第2の電磁ビームにより惹起される物理化学的および/または神経学的過程のため不可能であるほど弱い強度を第1の電磁ビームが有する場合である。このことはここおよび以下で、第2の電磁ビームによる第1の電磁ビームの「オーバーマスク」と称することができる。さらに第1の電磁ビームは外部観察者により以下の説明の枠内で知覚できないこともある。これは、第1の電磁ビームが第2の電磁ビームに対して小さな強度差および/または波長差および/または空間差を有しており、そのため第1の電磁ビームと第2の電磁ビームとが、平均的な人の視覚器官によって相互に分離して弁別できない場合である。このことはここおよび以下で、「過度に小さなコントラスト」と称することができる。したがって「外部観察者」ならびに特徴「知覚可能」は、一方では電磁ビームの波長領域と最小強度を量的に特徴付けるために用いられる。しかしこの種の特徴付けは他方では、視覚器官の生理学的および神経学的特性の観点で理解すべきである。
【0011】
表面は、本発明の装置の枠内で、表面に入射し、表面を照明し、表面から反射される電磁ビームの少なくとも一部が外部観察者により上記の意味で知覚可能である場合に「知覚可能」である。ここで表面が知覚可能であるとは、色変化および/または明度変動および/または形状変化により与えられる表面の表面構造が知覚可能であることを意味する。
【0012】
前記の有機発光構成素子と、少なくとも部分的に不透明な主表面を備える支持素子との組合せによって、有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態においてはスイッチオフされた動作状態と比較して、少なくとも部分的に不透明な主表面の視覚形態を強調および/または変化させることができる。主表面の視覚形態は、例えば材料の性質および/または表面の性質に基づいて、色、明度および/または光沢に関して強調および/または変化させることができる。これはとりわけ、主表面を有機発光構成素子により所期のように照明することによって可能となり、外部照明を使用する必要がない。しかし第1の電極、有機層列および第2の電極が透明であることによって、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面も知覚可能および観察可能とすることができ、有機発光構成素子がスイッチオフされた状態でも、その特別な材料特性および視覚形態は維持される。さらに支持素子上の有機発光構成素子は、支持素子の脆弱な表面のための保護層としても付加的に用いることができる。
【0013】
少なくとも部分的に不透明な主表面は、有機発光構成素子とは反対側の支持素子の主表面とすることができる。これは、少なくとも部分的に不透明な主表面が、有機発光構成素子の反対側に配置されており、有機発光構成素子が少なくとも部分的に不透明な主表面に対向する支持素子の主表面上に配置されていることを意味する。ここで支持素子は、少なくとも部分的に不透明な主表面の、有機発光構成素子に向いた側に透明な材料を有する。ここで透明な材料は例えばガラスおよび/または透明なプラスチックを含むか、またはそれらの材料の少なくとも1つから作製することができる。したがって少なくとも部分的に不透明な主表面は、発光構成体の光出射面と支持素子の透明材料を通して、有機発光構成素子がスイッチオフされた動作状態でも知覚可能である。
【0014】
少なくとも部分的に不透明な主表面は、択一的に、有機発光構成素子に向いた側の支持素子の主表面とすることもできる。とりわけこの場合、支持素子は1つまたは複数の不透明な材料を含むか、またはその材料から作製することができる。
【0015】
さらに少なくとも部分的に不透明な主表面は、付加的にまたは択一的に少なくとも1つまたは複数の不透明な材料を含むか、またはその材料から作製することができる。ここではとりわけ、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、少なくとも1つまたは複数の不透明な材料によるコーティングを有することができる。ここでコーティングは、このコーティングとともに支持素子を形成することのできる、透明または不透明な材料に被覆することができる。ここおよび以下で「被覆する」とは、スパッタリング、蒸着、接着、ラミネート、またはそれらの組合せを意味することができる。
【0016】
少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、石材、木材、プラスチック、繊維製品、勤続、金属合金、紙、厚紙、色ガラス、およびそれら材料の複数の組合せから選択することができる。ここで支持素子は、少なくとも部分的に不透明な主表面の領域において前記材料の1つまたは複数からなる。
【0017】
とりわけ上に述べたコーティングの場合、少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、前記の材料の代わりにまたはそれに加えて、ペイントを有する、またはペイントとすることができる。ここでペイントは、表面に塗布されて固体の層を形成する、液状体からペースト状の物質および/または混合物を有することができる。ここでペイントは、例えば結合剤、着色剤および/または顔料、増量剤、溶剤、増粘剤、分散剤および/または防腐剤を有することができる。例えばペイントは、ラッカー、分散インキまたはプラスターとして構成することができる。結合剤は、例えば油性インキのオイル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、無水石灰、セメント、硬石膏および/またはケイ酸カリウムを有することができる。さらに少なくとも1つまたは複数の不透明な材料は、上に述べたようなコーティングの場合、例えば金属表面のアルマイト被覆を含むことができる。
【0018】
支持素子および発光構成体は、技術的装置、人工的装置または建築的装置の一部とすることができる。ここで単なる例として、壁、天井、棚、作業プレート、大理石プレート、木材プレート、階段、ガラス戸棚、床張り、機器のハウジング、車両、おもちゃ、デザインエレメント、建物のファサード、非常路、看板、交通標識、指示および情報板、道標、銘板、住所標、表札、および名札を挙げておく。
【0019】
有機発光構成素子は、支持素子に直接取り付けることができる。これは、有機発光構成素子の層が支持素子と直接、機械的に接触していることを意味する。ここでこの層は、下に説明するサブストレート、カプセル、またはそれらの一部、または第1の電極または第2の電極とすることができる。
【0020】
さらに発光構成体は中間層を、支持素子と有機発光構成素子との間に有する。これは、有機発光構成素子に向いた側の支持素子の主表面(この主表面は上に述べたように少なくとも部分的に不透明な主表面とすることができる)が、隆起部、凹部、先端部、機械的短絡粒子および/または粗部を有する場合にとりわけ有利である。ここで中間層は平面層として構成することができ、これにより有機発光構成素子のための平坦な取付け面が可能になる。
【0021】
ここで中間層は、アモルファスまたは結晶形状の透明の固体材料、例えばガラス、プラスチック、半導体、金属、またはそれら材料の組合せを含む。さらに中間層は透明な粘性材料または液状材料、例えばオイル、ゲル、樹脂、シリコンオイルまたはシリコンゲルを有することができる。
【0022】
中間層はさらにガスを含むか、またはガスにより形成することができ、例えば空気、希ガス、窒素、酸素、二酸化炭素および一酸化炭素から選択することができる。
【0023】
さらに中間層は、有機発光構成素子を支持層の上に機械的に固定するために用いることができ、そのために接着剤を有するか、または接着剤であって良い。ここで接着剤は付加的な層として取り付けることができ、または自己接着性フィルムの一部であっても良い。したがって中間層は、支持素子と有機発光構成素子との間の素材結合を可能にする。さらに中間層は、とりわけ平面層としての構成で結合を可能にする。
【0024】
支持素子と有機発光構成素子は例えば相互に別個に作製することができ、中間層によって互いに接合することができる。
【0025】
有機電子構成素子は、とりわけ有機発光ダイオード(OLED)を含むか、または有機発光ダイオードとして実施することができる。OLEDの場合、活性領域で電子と正孔が、電磁ビームを形成しながら再結合する。
【0026】
とりわけ有機発光構成素子は例えばサブストレートを有することができる。サブストレートの上には第1の電極を取付け、または配置することができる。この第1の電極上には、有機材料からなる複数の機能層または少なくとも1つの有機機能層を含む有機層列を被着することができる。少なくとも1つの有機機能層または複数の機能層は、例えば1つまたは複数の電子輸送層、エレクトロルミネッセント層、正孔輸送層、電子ブロック層および/または正孔ブロック層を有するか、またはこのような層として実施することが可能である。この有機層列の上には第2の電極が被着されても良い。
【0027】
例えば上記のサブストレートは、ガラス、石英、プラスチックシート、金属、金属シート、シリコンウェハまたは別の適当な基板材料を含むか、それらから作製することが可能である。ここでサブストレートは透明に実施されて良く、剛性または可撓性であって良い。とりわけ可撓性のサブストレートは、フレキシブルな有機発光構成素子を可能にし、このフレキシブルな有機発光構成素子は支持素子の形状に関係なく技術的に簡単に、これに取り付けることができ、その上に配置することができる。
【0028】
有機発光構成素子のサブストレートは直接、または上に述べたように中間層を介して間接的に支持素子に配置することができる。これはサブストレートが支持素子と有機層列の間に配置されていることを意味する。さらに有機発光構成素の、サブストレートとは反対側の表面を、直接または間接的に支持素子の上に配置することができる。これは有機層列がサブストレートと支持素子の間に配置されていることを意味する。サブストレートの、支持素子とは反対側の表面は、発光構成体の光出射面を形成することができる。
【0029】
さらに、支持素子をサブストレートとして構成することもできる。これは、支持素子の上に直接または中間層を介して間接的に、第1の電極、有機層列、および第2の電極が付加的なサブストレートなしで配置されていることを意味する。
【0030】
少なくとも部分的に透明な第1の電極はアノードとして構成することができ、したがって正孔注入材料として用いることができる。少なくとも部分的に透明な第2の電極はカソードとして構成することができ、したがって電子注入材料として用いることができる。択一的に第1の電極をカソードとして構成し、第2の電極をアノードとして構成することもできる。
【0031】
第1および/または第2の電極は例えば、透明導電性酸化物を有しているか、または透明導電性酸化物からなる。透明導電性酸化物(transparent conductive oxides、略して「TCO」)は、透明な導電性材料であり、ふつうは、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたはインジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物である。ZnO,SnOまたはInなどの2成分の金属酸素化合物のほか、例えばドープされた酸化亜鉛化合物、例えばアルミニウムドープされた酸化亜鉛、またはZnSnO,CdSnO,ZnSnO,MgIn,GaInO,ZnInまたはInSn12などの3成分の金属酸素化合物や、種々の透明導電性酸化物の混合物もTCO群の材料に属する。さらに、TCOは必ずしも化学量論的な組成に相応することはなく、p型ドーピングまたはn型ドーピングとすることもできる。
【0032】
その代わりにまたはそれに加えて、第1および/または第2の電極が、例えばアルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、銅、カルシウムまたはリチウムのような金属、またはそれらの加工物、混合物および合金を有するか、またはそれらから作製することができるとりわけ第1の電極または第2の電極は、前記の材料を1つまたは複数備える層であって、厚さが100nm未満、とりわけ50nm未満、とくに好ましくは30nm以下の層を有する。ここで第1および/または第2の電極は、薄ければ薄いほど電磁ビームに対して透過性である。
【0033】
その代わりまたはそれに加えて、第1および/または第2の電極は導電性の有機材料、例えばPEDOTまたは炭素ナノチューブを有することができる。
【0034】
例えば第1の電極および/または第2の電極は、上記材料製の複数の層を備える層積層体を有することができる。層積層体は例えば金属層を2つのTCO層の間に有することができる。
【0035】
さらに第1の電極および/または第2の電極は付加的に導体路として、またはグリッドとして構造化された導電層を、大面積の第1および/または第2の電極における横方向導電性を、透明性を格段に低減することなく高めるために有することができる。この導電層は例えば、厚さが数μmの構造化された金属層である。
【0036】
上記の有機機能層または複数の機能層は、有機ポリマ、有機オリゴマ、有機モノマ、有機非ポリマ小分子("small molecules")またはこれらの組合せを有することが可能である。とりわけ上記有機発光構成素子が正孔輸送層として実施された機能層を有し、これにより活性領域として構成されたエレクトロルミネッセント層またはエレクトロルミネッセント領域への効果的な正孔注入を可能にすると有利である。上記機能層の材料に応じ、活性領域に形成される電磁ビームは、青スペクトル領域から赤スペクトル領域までの個別の波長または範囲またはそれらの組合せを有することが可能である。とりわけ電磁ビームは混合色、とりわけ白色の照明印象を喚起することができる。さらに有機発光構成素子は可変の色放射が可能であり、この色放射は電圧、電流、温度、湿度、圧力またはそれらの組合せによって変化される。
【0037】
前記第1の電極および/または第2の電極を、それぞれ大面積に形成することができる。このことにより、活性領域で形成された電磁ビームを大面積で放射できるようになる。ここで「大面積」とは、有機発光構成素子が数mm以上の面積を有することを意味することができ、有利には1cm以上、特に有利には10cm以上の面積を有することを意味することができる。択一的または付加的に、第1の電極および/または第2の電極を少なくとも一部の領域において構造化して形成することができる。これにより、上記の活性領域に形成される電磁ビームの構造化した放射が可能になり、例えばピクセルまたはピクトグラムの形状で構造化された放射が可能になる。
【0038】
さらに、有機発光構成素子は透明のカプセルを有する。これによって例えば第1と第2の電極および有機層列に対し、湿気および/または例えば酸素等の酸化物質からの保護が実現される。この場合前記カプセルは1つまたは複数の層を含み得る。カプセルのこれらの層は例えばプレーナー層、バリア層、水および/または酸素吸収層、化合物層、もしくはそれらの組合せであってもよい。前記カプセルは、例えばキャップ、とりわけの片持ちキャップの形態のカバー、および/または層または層列を、薄膜カプセルの形態で電極および有機層列の上に有することができる。適切な材料は例えば、ガラス、プラスチック、金属、金属酸化物、例えばSiOxまたはSiNx等である非金属酸化物または非金属窒化物、セラミックまたはこれらの組合せを含むか、または、ガラス、プラスチック、金属、金属酸化物、例えばSiOxまたはSiNx等である非金属酸化物または非金属窒化物、セラミックまたはこれらの組合せである。ここでカプセルは例えばバリア層および/またはプレーナー層を有することができる。さらに、カバーを積層体として構成することもできる。
【0039】
カプセルは、第1および第2の電極、ならびに有機層列を全体で取り囲み、包囲することができる。さらにカプセルは上記のサブストレートを含むことができ、カプセルの一部をこのサブストレートにより形成することができる。とりわけカプセルは、発光構成体の光出射面も形成する。
【0040】
さらに有機発光構成素子はこのカプセルとともに直接、または中間層を介して間接的に支持素子上に配置することができる。
【0041】
付加的にカプセル内にはゲッター物質を取り込むことができる。ゲッター物質として好ましくは、酸化可能な材料が使用される。この酸化可能な材料は、酸素および湿気と反応してこれらの汚染物質を結合することができる。容易に酸化する酸化材料として、とりわけアルカリ金属およびアルカリ土類金属の群からの金属が使用される。例えばゲッター物質は、マグネシウムおよび/またはカルシウムおよび/またはバリウムおよび/またはセシウムを含む。さらに、例えばアルミニウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはタンタルおよび/またはチタン等である別の金属、または酸化可能な非金属材料も適している。さらにゲッター物質は、ゼオライト群に属する材料および/またはシリカゲルを含むこともできる。
【0042】
ゲッター物質は、このゲッター物質が、有機層列の活性領域で形成される電磁ビームに対して少なくとも部分的に透明であるような薄さにすることによって、透明に実施することができる。ここでゲッター物質は、例えば発光構成体の光出射面と支持素子との間に配置することができ、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面は、少なくとも有機発光構成素子がスイッチオフされた動作状態でゲッター物質を通して知覚可能である。択一的にまたは付加的に、ゲッター物質を光出射面に対して側方にずらして配置することができる。これによりゲッター物質は、外部の観察者の観察方向を基準にして、光出射面と支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面との間に配置されない。この場合、ゲッター物質は不透明に実施することもできる。
【0043】
さらに有機発光構成素子は、活性領域で形成される電磁ビームに対する光学的な空洞として構成することができる。ここおよび以下で「光学的な空洞」とは、有機発光構成素子が光学的共振器を形成し、この共振器では、1つまたは複数の特定の波長および/または1つまたは複数の特定の放射方向を備える電磁ビームを形成することができることを意味し、これは共振またはモードとも称される。このために例えば第1の電極、有機層列、および第2の電極を、光学的な空洞として構成することができる。これは、少なくとも部分的に透明な第1の電極と、少なくとも部分的に透明な第2の電極が、活性領域で形成される電磁ビームに対して反射性を有することができることを意味する。択一的にまたは付加的に、第1の電極、有機層列、および第2の電極は、部分的に反射性であり付加的に部分的に透明である層の間に配置することができる。光学的な空洞の以下の説明は、部分的に反射性の電極に対する純粋な例としての実施であり、当業者には択一的な構成も容易である。
【0044】
第1の電極および/または第2の電極は反射度RないしはR’を有することができ、有機層列は電磁ビームに対して屈折率nを有することができる。第1と第2の電極は部分的に透明であるから、ここではR<1かつR’<1が当てはまる。屈折率nは、有機層列にわたって一定とすることができる。または少なくとも部分領域で、例えば種々の機能層で一定することができる。さらに屈折率nは、有機層列にわたっても変化することができる。有機層列の活性領域は厚さdを有することができ、平均間隔Lで第1の電極から、平均間隔L’で第2の電極から間隔を置いて配置することができる。ここで、平均間隔Lと平均間隔L’は、活性層の厚さdにわたって平均された、第1の電極または第2の電極までの間隔である。ここでパラメータR,R’,n,d,LおよびL’は、有機層列が特定の放射特性を有するように選択することができる。例えば第1と第2の電極の反射度RとR’、および有機層列の屈折率nは、それぞれの材料選択に基づいて、平均間隔LとL’および活性領域の厚さdの選択によって所望の放射特性が可能となるように設定することができる。これとは択一的に、有機層列と活性領域の寸法、すなわち平均間隔LとL’および厚さdを、例えば有機発光構成素子の構造または製造方法により設定することもできる。この場合、第1と第2の電極に対する材料を、それらの反射度RとR’に関して選択することにより、所望の放射特性を可能にすることができる。
【0045】
例えば平均間隔LとL’を、活性領域で形成される電磁ビームの波長のオーダーにまたはそれより小さくすることができる。電磁ビームが複数の波長および/または波長領域のスペクトル分布を有していれば、電磁ビームを平均波長により特徴付けることができ、有機層列の寸法を、以下では電磁ビームの平均波長を基準にすることができる。さらに平均間隔は、電磁ビームの半波長より小さいかまたは等しくても良く、または電磁ビームの波長の四分の一より小さいかまたは等しくても良く、または電磁ビームの波長の八分の一より小さいかまたは等しくても良い。さらにまたは付加的に、平均間隔LとL’は、電磁ビームの波長の1/20より大きいかまたは等しくても良く、または1/10より大きいかまたは等しくても良い。
【0046】
このような平均間隔LとL’は、部分的に反射性の第1および第2の電極と関連して、発光層列にある、少なくとも表面の半分で反射性の空洞の形成に作用する。ここで励起状態(エキシトン)から活性領域で放射される光子または波束は、第1の電極および第2の電極で反射することができる。平均間隔LとL’が電磁ビームの波長のオーダーにあるか、またはそれより小さくすることができることによって、簡単に言えば、放射された励起状態にある波束のフィードバックが、波束の放射中にも可能となり、これにより励起状態を波束の放射中に、その「固有の」反射された波束の電磁界によって調整することができる。したがって反射された波束の位相に応じて、励起状態の放射を増幅または減衰することができる。ここで位相は、有機層列の屈折率、電磁ビームの第1および第2の電極への浸入深度に関連する第1および第2の電極の反射度、ならびに励起状態と、波束の放射方向に関連する、第1と第2の電極との間隔に依存することができる。これにより有機層列中にモード構造を形成することができ、このモード構造は電磁ビームの照射が特定の方向になるよう促進し、または作用することができる。さらに活性領域の厚さも放射モードの形成に影響することができる。
【0047】
有機構成素子は、活性領域で形成された電磁ビームに放射特性を有することができ、これにより支持素子の方向で電磁ビームが第1の強度により、光出射面の方向で第2の強度により放射される。ここで第1の強度と第2の強度は、有機発光構成素子の外面に規定することができる。すなわち第1または第2の電極、サブストレートまたはカプセルの、例えば有機層列とは反対の表面に規定することができる。ここで第2の強度は、発光構成体の光出射面にも規定することができる。支持素子または光出射面の「方向の強度」により、第1の強度と第2の強度について、有機発光構成素子の、支持素子に向いた側または反対側での半空間へのそれぞれの全体強度を表すことができる。
【0048】
支持素子の方向に有機発光構成素子から第1の強度で放射される電磁ビームは、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面を照明することができる。主表面が少なくとも部分的に不透明であることによって、電磁ビームの少なくとも一部が第1の強度で光出射面の方向に反射することができ、光出射面を通して外部観察者により知覚可能である。言い替えるとこのことは、外部観察者に対しては支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面が照明され、これにより有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態で知覚可能であることを意味する。このことはとりわけ、第1の強度が第2の強度より大きい場合である。
【0049】
この種の放射特性は例えば、上に述べたような光学的な空洞により可能となる。択一的にまたは付加的に、第1と第2の電極は相互に異なる透過性、すなわち透過率を有することができる。例えば第1の電極が、有機層列の支持素子に向いた側に配置されていて、第2の電極よりも大きな透過率を有していれば、活性領域で形成された電磁ビームが、第2の強度よりも大きな第1の強度で支持素子の方向に放射される。
【0050】
これとは択一的に、第2の強度が第1の強度よりも大きくて良い。この種の放射特性は例えば、光学的な空洞により可能となる。その代わりにまたは追加で、例えば第2の電極が、有機層列の、支持素子とは反対の側に配置されており、第1の電極よりも大きな透過率を有しても良い。この場合は、支持素子の少なくとも部分的に不透明な主表面が、有機発光構成素子のスイッチオフ状態と比較してさほど顕著でなく知覚可能であっても良い。なぜなら外部観察者は、少なくとも部分的に不透明な主表面から反射された第1の強度の電磁ビームと、発光構成体の光出射面を介して第2の強度により直接放射された電磁ビームを重ね合わせて知覚できるからである。さらにスイッチオンされた動作状態では、少なくとも部分的に不透明な主表面で反射された第1の強度の電磁ビームが、第2の強度の電磁ビームにより上記の意味で目立たなくされる場合、少なくとも部分的に不透明な主表面がまったく知覚することができなくても良い。
【0051】
これにより有機発光構成素子と光出射面が、スイッチオフされた動作状態では透明に見えることができ、スイッチオンされた動作状態では第1の強度と第2の強度の比に応じて不透明であるか、または同様に少なくとも部分的に透明に見えることができる。
【0052】
有機発光構成素子は例えば、有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態で、光出射面の第1の領域を通して少なくとも部分的に不透明な主表面が知覚可能であり、第2の領域を通しては知覚できないように構造化して形成することができる。この場合、有機発光構成素子は例えば部分領域でだけ電磁ビームを放射することができ、または大面積で電磁ビームを放射することができる。主表面がこのようにセグメント化されて照明されることにより、および/または電磁ビームが外部観察者の方向にセグメント化されて放射されることにより、種々異なる照明パターンを形成し、または一時的に指示または情報をスーパーインポーズすることができる。スイッチオフされた動作状態では、このパターン、指示および/または情報が不可視であり、出現形態を妨害せず、少なくとも部分的に不透明な主表面の知覚可能性を損なわない。
【0053】
さらに発光構成体は、支持素子の有機発光構成素子に向いた側に配置されたフィルタ層を有することができる。ここでフィルタ層は、有機発光構成素子と支持素子との間、または有機発光構成素子と光出射面との間に配置することができる。後者の場合、フィルタ層が発光構成体の光出射面も形成する。
【0054】
フィルタ層は、波長に依存する透過係数および/または強度に依存する透過係数を有することができる。例えばフィルタ層は、吸収性の色素、波長変換物質、飽和可能な吸収物質、またはそれらの組合わせを有することができる。さらにフィルタ層は、例えば電圧に依存する透過係数を有することができる。このためにフィルタ層は電圧に依存して吸収性の材料および/または電圧に依存して散乱性の材料、例えばエレクトロクロミズム材料またはポリママトリクスの液晶を有することができ、これらは、例えばTCO製の2つの透明な電極の間に配置される。フィルタ層は、いわゆる「スマートガラス」として実施することもできる。
【0055】
フィルタ層は付加的に構造化し、異なる部分領域に異なる機能性を有することができる。フィルタ層によって、少なくとも部分的に不透明な主表面の出現形態を、有機発光構成素子のスイッチオンおよび/またはスイッチオフされた動作状態で変更または変化することができる。
【0056】
本発明のさらなる利点、有利な実施形態および発展形態は、図1Aから8Bに関連して以下で説明する実施例から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図2】別の実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図3】別の実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図4】別の実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図5】別の実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図6】別の実施例による発光構成体の概略的断面図である。
図7】別の実施例による発光構成体の概略的平面図である。
図8】別の実施例による発光構成体の概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
実施例および図面において、同じ構成要素または同機能の構成要素にはそれぞれ同じ参照符号を付してある。ここに図示された要素および該要素相互間のサイズ比は、基本的に縮尺どおりであると見なすべきではない。むしろ、例えば層、構成部分、構成要素および領域等は、より良好に見やすくし、かつ/または理解しやすくするため、過度に厚く、ないしは過度に大きく図示されていることがある。
【0059】
図1Aと1Bには、発光構成体100に対する実施例が示されている。図1Aはスイッチオフされた動作状態を示し、図1Bはスイッチオンされた動作状態を示す。下記の説明は、明確に特記しない限り、図1Aと1Bに同様に関連する。
【0060】
発光構成体100は支持素子1を有し、この支持素子の上には有機発光構成素子2が配置されている。
【0061】
支持素子1は少なくとも部分的に不透明な主表面10を有し、この主表面10の上に有機発光構成素子2が配置される。図示の実施例では、支持素子1は純粋に例として、色付きの不透明なプラスチックから作製され、例えばカバープレートまたはカッヘルまたはフリースの一部とすることができる。ここで主表面10も同様に、色付きであり不透明である。ここで主表面10は図示の実施例では、人工的に構成された色構造を有し、この色構造は日光または周囲光とは異なるスペクトル成分を反射することができる。これは図1Aに電磁ビーム90により示されている。主表面10の色構造は、見やすくするため図1Aおよび1Bには図示されていない。
【0062】
外部観察者に向いた発光構成体100の光出射面3を通して、少なくとも部分的に不透明な主表面10は外部観察者に対して、有機発光構成素子2がスイッチオフされた動作状態で図1Aに示すよう知覚可能である。このために支持素子1は、上に説明したカバープレート、フリース、またはカッヘルの形で壁、例えば内壁に固定することができる。または壁の一部として実施することができる。
【0063】
有機発光構成素子2は、支持素子1の上に第1の電極21を有し、この第1の電極21の上には有機層列23が、そしてその上に第2の電極22が配置されている。第1の電極21と第2の電極22は少なくとも部分的に透明であり、図1Aに示すよう、周囲光90の少なくとも一部が有機発光構成素子2を横断することができ、主表面10で光出射面3の方向に反射される。これにより上に説明したように主表面10は外部観察者に対して知覚可能となる。光出射面3は図示の実施例では、第2の電極22の、有機層列23とは反対側の表面によって形成される。
【0064】
少なくとも部分に透明な第1の電極21と少なくとも部分的に透明な第2の電極22との間にある有機層列23は活性層29を有し、この活性層は図1Bのスイッチオンされた動作状態で電磁ビーム91,93を形成することができる。有機発光構成素子2は、有機発光ダイオード(OLED)として実施されており、一般的部分で説明したように、正孔および電子の輸送のための機能層ならびに活性領域29として構成された発光層を有する電磁ビーム91,93は、図示の実施例では白色の照明印象を喚起する。
【0065】
支持素子1は適切な電気制御ユニットを、有機発光構成素子2の電圧および電流供給のために有し、有機発光構成素子2は電気接点または延長部としての接点路を介して、電極12および22に接続されている(図示せず)。活性領域29と電気制御ユニットは、活性領域29により形成された電磁ビーム91,93が調光可能、および/または色温度または色印象に関して変化可能に構成されている。その種の構成は当業者に周知であるので、したがってここでは詳細には説明しない。さらに発光面、すなわち光出射面3の大きさは、当業者には公知のように効率および電流消費の観点で任意に選択することができる。
【0066】
活性領域29により形成された電磁ビームは、第1の強度で支持素子1の主表面10の方向に放射される。これは電磁ビーム91により示されている。少なくともその一部は、電磁ビーム92により示されているように、光出射面3へと反射され、外部観察者により知覚される。外部観察者はこれにより、主表面10が照明されているかの視角的印象を受ける。
【0067】
活性領域29により形成された電磁ビームはさらに、第2の強度で光出射面3の方向に放射される。これは電磁ビーム93により示されている。第1の強度と第2の強度との比は、一般的部分で述べたように、光学的な空洞または第1の電極と第2の電極21,22鋸となる透明度により調整または選択することができる。
【0068】
電磁ビーム92および/または93に加えて、基本的に外部観察者は図1Aに示した、主表面10で反射される周囲光を知覚することができる。しかし主表面10で反射された周囲光90が、活性領域29により形成され、主表面10により反射された電磁ビーム92により目立たなくされることがあり、これにより外部観察者は反射された周囲光90を上記のように知覚することができない。
【0069】
有機発光構成素子2を透明に実施することにより、その後ろにある支持素子1の主表面10が、スイッチオフされた動作状態ではその元々の形状および色で出現し、したがって外部観察者に対してはその特徴的な材料特性を維持する。前方放射と後方後者との放射比、すなわち第2の強度による光出射面3への放射、または第1の強度による支持素子1への放射の調整に応じて、スイッチオンされた動作状態では種々異なる作用を達成することができる。もっぱら支持素子1の方向に放射されれば、すなわち第2の強度が第1の強度より小さければ、その下にある材料、すなわち主表面10を効率的にスペースを節約して照明することができる。照明強度を選択することにより材料特性が所期のように強調され、これにより透明な有機発光構成素子2を通して、その下にある材料を、スイッチオンされた動作状態でも観察することができる。これに対して、光出射面3の方向、すなわち外部観察者の方向への放射が行われれば、スイッチオンされた動作状態で発光面を観察することができ、その下にある材料、すなわち主表面10はコントラスト比に応じて不可視となる。これによりとりわけ、有機発光構成素子2が対応して構造化されていれば、指示または情報を光出射面3にスーパーインポーズすることができる。
【0070】
したがって電磁ビーム91,93の波長、強度、および放射方向を適切に選択することにより、有機発光構成素子がスイッチオンされた動作状態での主表面10の出現形状を調整することができ、例えば主表面10の色構造を有利に際立たせることができる。さらに発光構成体100を照明素子として使用することができる。
【0071】
支持素子1は、図示の実施例とは択一的に、複数の有機発光構成素子を有することができ、これらは並置されるか、または上下に積層され、並列または直列に、または互いに独立して電気接続することができる。ここで支持素子1の主表面10全体は、1つまたは複数の発光構成素子のための支持面として用いることができ、光出射面3の形状は任意に選択することができる。ここで支持素子1は、セグメント化した発光カッヘルとして実施することもできる。
【0072】
以下の図面には、図1Aと1Bに示した実施例の変更および変形が示されている。以下の説明は、主に上記実施例と比較した相違および改善形態についてのものである。
【0073】
図2には発光構成体200に対する実施例が示されており、ここでは少なくとも部分的に不透明な主表面10が、有機発光構成素子2とは反対の側に配置されている。このために支持素子1は、主表面10の有機発光構成素子2に向いた側に透明な材料を有する。図示の実施例で、支持素子1はガラス製であり、少なくとも部分的に不透明な主表面10としてラッカー製の不透明な被覆を有する。この被覆は、有機発光構成素子2を支持素子1に取り付ける前に取り付けることができる。
【0074】
図3には、発光構成体300に対する実施例が示されており、ここでは支持素子1と有機発光構成素子2との間に、強度および波長に依存するフィルタ層5が配置されている。フィルタ層5は、飽和可能な波長変換物質により部分的に透明に構成されている。ここでスイッチオフされた動作状態では、周囲光90の一部がフィルタ層5により吸収され、別の波長に変化され、散乱される。これにより支持素子1の主表面10はカラーで出現し、外部観察者には乳白ガラスのような視覚的印象を喚起することができる。
【0075】
スイッチオンされた動作状態(図示せず)では、第1の強度、すなわち活性領域29で形成され、支持素子1の方向に放射される電磁ビームの強度が、フィルタ層5を飽和させるのに十分な大きさであり、したがって第1の強度の電磁ビームの大部分は、主表面10を外部観察者が直接知覚するために使用され、フィルタ層5の色印象は生じない。活性領域29により形成された電磁ビームは、白色光の照明印象を喚起する。したがって少なくとも部分的に不透明な主表面10は、スイッチオンされた動作状態で色なしで明りょうに知覚することができる。
【0076】
ここに図示した実施例とは択一的に、フィルタ層5は、有機発光構成素子2の支持素子1とは反対の側に配置することができる。これによりフィルタ層5は光出射面3を形成することができる。
【0077】
図4Aと4Bには、発光構成体400の実施例が、スイッチオフされた動作状態(図4A)とスイッチオンされた動作状態(図4B)で示されている。
【0078】
発光構成体400は、有機発光構成素子2の支持素子1とは反対の側にフィルタ層5を有する。
【0079】
フィルタ層5は、電圧に依存する透過係数を有する、電圧に依存するフィルタ層として構成されており、ポリマーマトリクスに液晶材料を有する。ポリマーマトリクスは、TCO製の2つの透明な電極(図示せず)間に配置されている。
【0080】
フィルタ層5に電圧が印加されないと、ポリマーマトリクス内の液晶は不整列となり、したがって図4Aに示すように周囲光を散乱することができる。これにより少なくとも部分的に不透明な主表面10は乳白ガラス効果により、ぼやけて知覚される。
【0081】
フィルタ層5は、有機発光構成素子2がスイッチオンされた動作状態で電圧50が印加されるように構成されている。これは図4Bに示されている。電圧50をフィルタ層5に印加することにより、液晶は、活性領域29により形成された第2の強度の電磁ビーム93と、主表面10から反射された電磁ビーム91である電磁ビーム92が散乱されないように配向され、したがって外部観察者は主表面10を明りょうに知覚することができる。
【0082】
図5には、発光構成体500の実施例が示されている。
【0083】
支持素子1の上には、図示の実施例では透明な基板20を有する有機発光構成素子2が配置されている。フレキシブルなプラスチックフィルムとして実施されている基板20上には、第1の電極21、有機層列23および第2の電極22が取り付けられている。さらに、多数のバリア層とプレーナー層を備える多層の薄膜カプセルとして構成されたカプセル24が配置されている。したがって有機発光構成素子はフレキシブルに実施されており、図示の実施例とは択一的に、平坦ではなく例えば湾曲した支持素子の上に配置することもできる。カプセル24は、発光構成体500の光出射面3を形成する。
【0084】
さらに発光構成体500は中間層4を、支持素子1と有機発光構成素子2との間に有する。ここで基板20は支持素子1に向いており、少なくとも部分的に不透明な主表面10の上に中間層4によって配置されている。
【0085】
図示の実施例で、中間層は透明樹脂、例えばシリコーン樹脂またはエポキシ樹脂を有し、この透明樹脂は一方では少なくとも部分的に不透明な主表面10を平坦化し、他方では支持素子1と有機発光構成素子2との間で素材結合を行う。択一的に中間層4は、上記の一般的部分で述べた材料の1つを有することができる。
【0086】
図6には、発光構成体600の実施例が示されている。前の実施例と同じように、発光構成体600は、基板20とカプセル24を備える有機発光構成素子2を有する。先行の実施例とは異なり、発光構成体600では、カプセル24を備える有機発光構成素子2が中間層4によって支持素子1の上に配置されている。
【0087】
基板20は発光構成体600の出射面3を形成し、同時にその下のある支持素子1に対する保護層として用いられる。
【0088】
ここに図示した実施例では、発光構成体を多数の適用のために使用することができる。以下では具体的な適用および実施例を純粋に例として挙げておく。ここで有機発光構成素子2として少なくともOLEDが前提とされる。
【0089】
設計分野では、観察者の注意が例えば特定の個所または表面に向けられること、または相当数の表面および材料が所期のように強調されることが非常に望まれる。これは例えば、可変の表面または表面が照明されるデザイン要素および建築物または人工的な側面の場合である。これは、前記の有機発光構成素子2、所望のオブジェクト、対象物または支持素子1の形の表面を、主表面10と前記のように組合わせることによって達成される。この原理は、例えば木材、大理石、石材、プラスチック等の表面を有する既存のすべての対象物および表面に対して適用することができる。フレキシブルで透明な基板をOLEDに使用することにより、支持素子1の特定の表面形状に制限がなくなる。これは、家屋の棚、作業プレート、壁、点状、階段、陳列ケースの表面、種々の機器、車両、玩具、デザイン要素、建築物のファサード等とすることができる。スイッチオフされた状態では、使用される材料の自然の作用を発揮することができる。これに対して発光構成素子を特定の個所でまたは表面全体でスイッチオンすることにより、特定の材料印象を強化または変化することができる。
【0090】
さらなる適用例および実施例では、上方が制限された時間だけ表示される。残りの時間では、対象物またはオブジェクトに向けられる観察者の視線が影響を受けず、または妨げられない。任意の表面に取り付けられる透明なOLEDに使用と組み合わせることにより、基本的にどこにでも指示板または情報を取付け、必要に応じて可視とすることができる。このようにして時間的に変化する避難路、指示板、道路標識またはレタリングを発生することができる。
【0091】
下にある主表面10をセグメント化して照明することにより、基本的に同形の表面に、「無」からレタリングまたはパターンを形成することができる。これによって、例えば支持素子1としての黒大理石板または統一のある木板の任意の表面に、OLEDセグメントのスイッチオンによってチェス盤パターンを形成することができる。これは発光構成体700の実施例では、図7Aにスイッチオフされた動作状態が、図7Bにスイッチオンされた動作状態が平面図で示されている。ここで有機構成素子2は構造化されて実施されており、光出射面3の部分領域でだけ、外部観察者に照明印象を喚起することができる。
【0092】
これまでの適用ではこのようなパターンは表面に埋め込んでおかなければならなかった。例えばセグメント化された透明OLEDとして実施された有機発光構成素子2は、図7Aと7Bの実施例に示すようにテーブルまたは床張りの表面に取り付けられており、このようにして切り替え可能なパターン、すなわちスイッチオンされた状態では付加的な機能性を得ることができる。
【0093】
有機発光構成素子2は透明なOLEDとして実施されており、これは支持素子1としてのフレームまたは対象物の任意の表面に取り付けられ、照明素子としても用いられる。OLEDがスイッチオフされた状態では、支持素子1の主表面10の元の印象が通常のように維持され、スイッチオンされた状態では、支持素子1として実施された対象物またはフレームが初めから照明されているような印象を形成することができる。これは例えば、心地よいムード光を形成するのに利用することができる。印象はこの場合、使用される背景材料の選択によって大きく影響される。
【0094】
市街地においては近い将来、例えば住所表示を照明しなければならない、またはこれが発光しなければならないという義務が課されるであろう。このことはここに説明した原理により非常に簡単に実現される。
【0095】
図8Aと8Bの平面図には、発光構成体800の実施例が、スイッチオフされた動作状態(図8A)とスイッチオンされた動作状態(図8B)で示されている。図示の実施例では、典型的には住所表示板が、例えば白色および青色に、支持素子1として透明なOLEDとして実施された有機発光構成素子2の後方に取り付けられている。この住所表示板は、有機発光構成素子2がスイッチオフされた動作状態でも明確に識別される。
【0096】
暗くなると、住所表示板は非常に簡単に均質に照明される。これは図8Bに示すように主表面10が、光出射面3を通して放射された電磁ビーム92,93により知覚されることにより行われる。自己発光する住所表示板に対する利点は、これを各住所ごとに個々に特別に作製する必要がなく、有機発光構成素子2の後方に配置された支持素子1を、住所番号または指示板の形で非常に簡単に交換できることである。
【0097】
同じ原理が非常に良好に、ドア板または名札の照明にも当てはまる。名札は日光の下で、照明なしで良好に読み取ることができ、薄暗くなると、または暗くなると、名札またはドア板は有機発光構成素子2によって照明され、同時に所望の情報を読み取ることができる。
【0098】
同じことが表示板、交通標識等のすべての形式に当てはまる。
【0099】
しかしこれらすべての場合で、有機発光構成素子2の活性領域29で形成された電磁ビームがもっぱら後方へ、すなわち支持素子の方向へ放射され、できるだけ高いコントラスト比を達成することに制限されるものではない。
【0100】
本願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102008011239.9号および第102008023874.0号の優先権を主張するものであり、それらの開示内容は参照により本願に含まれるものとする。
【0101】
本発明は実施例に基づく上記の説明によってそれらの実施例に限定されるものではない。むしろ本発明にはあらゆる新たな特徴ならびに特徴のあらゆる組合せが含まれるのであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴のあらゆる組合せが含まれる。またこのことは上記の特徴または上記の組合せそのものが特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていない場合であっても当てはまるものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B