(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029270
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】高性能マイクログリッド
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20161114BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20161114BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/00
H02J3/46
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-210246(P2011-210246)
(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2012-85516(P2012-85516A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】12/897,664
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー. カラレロ
(72)【発明者】
【氏名】ジミー エム. キャンバオ
【審査官】
赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−104269(JP,A)
【文献】
特開2008−043170(JP,A)
【文献】
特開2008−271625(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0278000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高性能マイクログリッドシステムであって、
第1の切り換え可能な接続を経由して第1の入力電源へ接続可能な電力バスであって、前記第1の切り換え可能な接続は前記第1の入力電源へインターフェースを経由して接続され、前記インターフェースは前記第1の入力電源と前記電力バスとの間の電力条件づけを提供し、前記インターフェースは、スレーブとして稼働しているときは第1のモードで動作し、単独グリッド主電源モードで稼働しているときは第2のモードで動作する、インバータを含み、前記インバータは、前記インバータが前記第1のモードにおいて動作しているとき前記電力バスの電力振幅に基づいた出力振幅で出力波を生成する正弦波の発電機を含み、前記出力振幅は、前記インバータが前記第2のモードで動作しているとき、前記第1の入力電源からの電力の入力振幅に基づいている、電力バスと、
前記第1の入力電源に連結された通信ネットワークと、
前記通信ネットワークに連結されたコントローラとを含み、
該コントローラは、論理回路であって、
前記第1の入力電源による電力出力を監視して、利用できる電力を予測し、
前記電力バスに連結された一又は複数の電力負荷によって消費される電力を監視して前記一または複数の電力負荷の電力消費を予測し、
前記利用可能な電力を予測することと、前記電力消費を予測することに引きつづいて、前記第1の入力電源から引き出される電力を調整し、
第1の負荷に供給される電力の値を前記第1の負荷の優先度に基づいて、特定のゼロでない値に制限するように構成された論理回路を有し、
前記論理回路がさらに:
前記通信ネットワークを初期化し;
前記一つの入力電源と一または複数の電力負荷とのグリッド構成を決定し;
平均共有要求及び平均ローカル負荷要求を決定し;
前記第1の入力電源の健康状態のチェックルーティンを実施する
ように構成された、
高性能マイクログリッドシステム。
【請求項2】
前記論理回路は、前記電力バス、前記第1の入力電源、および前記コントローラに関連したネットワークノードのインターネットプロトコルアドレスを構成するようにさらに構成された、請求項1に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項3】
前記インターフェースは、
電力レギュレータと測定システムとを含む、請求項1に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項4】
前記インバータは前記第1の入力電源によって生成された直流電力を交流電力に変換するように構成され、前記電力レギュレータは前記第1の入力電源から流れる電力を前記インターフェースで調整する、請求項3に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項5】
前記測定システムは、
前記電力バスに連結された一又は複数の負荷の電力需要を監視し、
前記第1の入力電源からの特定の電力量を引き出すように前記電力レギュレータを管理するように構成された論理回路を有する、請求項3に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項6】
前記測定システムは、前記第1の入力電源に関連した、エネルギーの収集を含む電力データを監視するように構成された論理回路を有する、請求項3に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項7】
前記コントローラがさらに:
前記第1の入力電源を主電源として、割り当て、第2の入力電源を二次電源として前記一または複数の電力負荷のうちの特定の電力負荷のために割り当てるように構成された論理回路を含む、請求項1に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項8】
前記通信ネットワークがインターネットプロトコルLANである、請求項1に記載の高性能マイクログリッドシステム。
【請求項9】
ユーティリティグリッドに連結された一又は複数のマイクログリッドを管理する方法であって:
一又は複数のマイクログリッド上の一又は複数のローカル負荷を測定し;
ユーティリティグリッド上の一又は複数の共有負荷を測定し;
一又は複数のローカル負荷と一又は複数の共有負荷に優先順位決定スキームを割り当て;
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御する
ことを含む方法。
【請求項10】
一又は複数のマイクログリッドとユーティリティグリッドに連結されている通信ネットワークを初期化する
ことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御することが、負荷の優先順位にしたがってユーティリティグリッドから一又は複数のマイクログリッドを選択的に接続解除することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御することが、一又は複数のマイクログリッドから流れる電力の少なくとも一つの電気特性を変換することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御することが、:
ユーティリティグリッドに連結された一又は複数の負荷の電力の必要を測定し;
一又は複数のマイクログリッドから所定量の電力を使用するために、少なくとも一つの電力レギュレータを管理する
ことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御することが、少なくとも一つのマイクログリッドによって生成された電力の一又は複数の電気パラメータを、少なくとも一つの電力バス上の電気の電気パラメータに同期させる
ことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
負荷の優先順位にしたがって電源の出力やローカル負荷と共有負荷の接続遮断を制御することが、:
少なくとも一つのマイクログリッドのエネルギーの収集、予測されるローカル負荷、及び共有負荷を含む電力データを監視し;
電力データを少なくとも一つの電力レギュレータに送る
ことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
健康状態のチェックルーティンを実施することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は電力の分配に関し、さらに具体的には、電力を分配するための単独配備、又は連携配備が可能なインテリジェント・マイクログリッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存のマイクログリッド分配システムは基本的に、少なくとも一つの分散型電源及び接続された負荷を含む設備又は配電システムにおける非連結の島である。これらのマイクログリッドは広範囲のユーティリティグリッドに接続することができるが、停電の時などに、これらのマイクログリッドはバックアップ・モードに切り替わり、ユーティリティから接続解除され、特定の負荷に対して電気を送り続ける。
【0003】
上記マイクログリッドが適切に稼働するためには、アップストリーム状態においてスイッチが入り、エネルギー資源が負荷を島化した区域に送ることが可能でなくてはならない。これには、マイクログリッドによって供給される島の全ての負荷の電圧及び周波数レベルを適切に維持することが含まれる。用いるスイッチ技術によっては、グリッドが接続された状態から電力のバックアップ・モードへ移る間に、瞬間的な中断が起こる可能性がある。
【0004】
さらに最近の用途には、ハイブリッド島化したマイクログリッドが含まれ、このマイクログリッドは蓄電池あり又はなしの、再生可能エネルギー資源とディーゼル発電機を組み合わせたものである。しかしながら、再生可能エネルギー資源をディーゼル駆動の単独グリッドに注入しても、ディーゼル発電機は部分負荷において性能が低いため、大きなプラスの効果は得られない。ある代替方法は、再生可能エネルギー資源が、エネルギー貯蔵コンポーネントとともに、発電機を定期的に停止できるようにすることである。この方法により、費用と、発電機の環境への二酸化炭素排出量がいずれも大いに削減される。
【0005】
手短に言うと、既存のマイクログリッドは2つ以上のこれらの資源が並行使用され、これらの資源のうちの一つが主電源として作動する、単独グリッドアーキテクチャにおいて稼働するようには意図されていない。不利点は、負荷の共有、電力の質、及び供給電力の同期に関連する技術的に複雑な電力インターフェースである。
【0006】
したがって、当技術分野では、高レベルの柔軟性及び適合性を提供し、グリッド固定又は単独グリッドモードのいずれかにおいて操作可能である、高性能で頑丈なマイクログリッド・アーキテクチャのための革新的な電力インターフェース及び関連制御システムが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載されているのは、共有電気グリッドに連結することができるマイクログリッドの実施形態と、上記マイクログリッドを管理するシステム及び方法である。一実施形態では、高性能マイクログリッドシステムは、一又は複数の切り替え可能な接続部によって少なくとも一つの入力電源に接続可能な少なくとも一つの電力バスと、高性能マイクログリッドシステムに連結された通信ネットワークと、通信ネットワークに連結されたコントローラを含む。幾つかの実施形態では、コントローラは、少なくとも一つの入力電源からの電力出力を監視し、少なくとも一つの電力バスに連結された一又は複数の電力負荷を監視し、一又は複数の入力電源を選択的に少なくとも一つの電力バスに接続する論理回路を含む。
【0008】
別の実施形態では、共有電気グリッドに連結された一又は複数のマイクログリッドを管理する方法は、一又は複数のマイクログリッド上の一又は複数のローカル負荷を測定し、共有電気グリッド上の一又は複数の共有負荷を測定し、一又は複数のローカル負荷と一又は複数の共有負荷に優先順位決定スキームを割り当て、優先順位決定スキームにしたがって、一又は複数のマイクログリッドから共有電気グリッドへの電力の流れを調整することを含む。
【0009】
別の実施形態では、高性能グリッドシステムの操作を管理するコントローラは、少なくとも一つの入力電源からの電力出力を監視し、高性能グリッドシステムに連結された一又は複数の電力負荷を監視し、一又は複数の入力電源から高性能グリッドシステムへの電力の流れを調整するための論理回路を含む。
詳細説明は添付の図面を参照ながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は実施形態による、電力システムの様々なコンポーネントの配線図である。
【
図2】
図2は実施形態による、インターフェースの様々なコンポーネントの概略図である。
【
図3】
図3は実施形態による、電力システムの様々なコンポーネントの配線図である。
【
図4】
図4は実施形態による、共有電気グリッドに連結されたマイクログリッドを管理する方法における操作を示すフロー図である。
【
図5】
図5は実施形態による、電気装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載されているのは、マイクログリッド、システムの実施形態、並びに共有電力グリッドに連結されたマイクログリッドを管理する方法である。下記の説明及び/又は請求項において、「連結された」及び/又は「接続した」という用語はその派生語とともに使用される場合がある。特定の実施形態では、接続された、は2つ以上の要素が互いに直接物理的に及び/又は電気的に接触していることを示すために使用する場合がある。連結された、は、2つ以上の要素が直接物理的に及び/又は電気的に接触していることを意味し得る。しかしながら、連結された、は2つ以上の要素が互いに直接物理的に接触していない場合があるが、互いに連携又は作用しあっているということも意味する。例えば、「連結された」は、2つ以上の要素が互いに接触していないが、別の要素又は中間要素を介してたがいに間接的に接合されていることを意味する場合がある。
【0012】
図1は、実施形態による、電力システムの様々なコンポーネントの配線図である。
図1を参照すると、幾つかの実施形態では、電力システム100は、一又は複数の切替可能な接続部125を介して共有電力バス120に連結された一又は複数の電源110を含むことができる。インターフェース160を電源110及び接続部125の間に介在させることができる。一又は複数の負荷170は、これもまた切替可能な接続部125によって電力バス120に連結されている。通信ネットワークは、通信バス132を含み、一又は複数のルータ134が制御システム150と様々なインターフェース160及び負荷170の間の通信リンクを提供する。ルータ134は、通信ネットワーク130の様々な要素間の、例えば電力調整及び品質管理機能に関する等の通信メッセージを送る機能を果す。例として、ルータ134は、コントローラが各負荷のスイッチ及びインターフェースのスイッチを選択的にアドレス指定して、電力ネットワークを構成することができるネットワーク上の存在を提供することができる。システム100は切替可能な接続部125を介して外部ユーティリティグリッド180に接続可能である。
【0013】
電源110は、一又は複数のソーラー・パネル資源110A、複合熱/電源110B、一又は複数の風力発電機110C、一又は複数の発電機110D、及び一又は複数の電力貯蔵装置110Eを含むことができる。電源110A〜110Eは本明細書においてはまとめて参照番号110として呼ぶ場合がある。
【0014】
インターフェース160は、電力調整及び品質管理機能を提供する。
図2は、実施形態による、インターフェース160の様々なコンポーネントの概略図である。
図2を簡単に参照すると、幾つかの実施形態では、インターフェース160は電力インバータ162、電力レギュレータ164、及び測定システム166を含む。
【0015】
電力インバータ162は、直流(dc)電力を準正弦波又は純正弦波ジェネレータ交流(ac)電力に変換する。電力インバータへの入力は、電源110から取得した又は貯蔵された合計エネルギーを表す。例えば、dc入力は、100〜200Vdcの範囲であってよい電源110からの来る明確な信号であってよい。電力インバータは、出力周波数が電力の出力周波数に位相固定されている正弦波ジェネレータを含むことができるが、スレーブとして稼動しているときはこの正弦波ジェネレータの振幅は電力の出力に基づく。他の稼動モード、例えばインバータが単独グリッド主電源モードで稼動している時は、出力はdc固定電圧ジェネレータから参照される電源として設定され、出力周波数は準正弦波ジェネレータから参照される。
【0016】
電力レギュレータ164は、線形及び非線形負荷に接続している時、及び過負荷及び不足負荷状態の間、インターフェースにおける出力を調整する。電力レギュレータ164はまた、リアクタンス素子及び過度状態の不安定化の影響のため、ラインのバランスの調整を助けるコンペンセータも含むことができる。
【0017】
システム100がユーティリティグリッド180に連結されている時は、測定システム166は「ネットメータリング」モジュールとして機能する。電力システム100がユーティリティグリッド180に連結されている時は、エネルギー資源は全てユーティリティグリッド180に追従している。したがって、電力インターフェース160は、無限負荷及び理想的な持続電源を扱う。この結果、各電源110は電力伝達の最大点(MPPT)において稼動する。しかしながら、単独グリッドにおいて稼動している時は、更に複雑な電力アルゴリズムを使用してMPPTを達成することができ、また、ローカル負荷を最初に的確に供給してから、その次に共有負荷に供給することができ、またこの逆も同様である。これらの能力全てを発揮するために、測定システム166は継続的に、システム100のエネルギーの収集、予測されるエネルギー、ローカル負荷、及び共有負荷の需要を監視し、測定を行う。全体的なシステムの虚血負荷の需要は、全体的に利用可能な利用可能共有電力とともにリアルタイムで決定され得る。必要な時に、又は利用可能な利用可能予測電力が全体的な負荷の需要よりも小さい場合に、電力システム100は負荷の相対的重要性によって負荷を優先順位付けすることができる。重要性の低い負荷は接続を解除することができる、又は利用可能な最大極限電力を有することができる。
【0018】
図1を再度参照すると、幾つかの実施形態では、通信ネットワーク130はローカルエリアネットワーク(LAN)であってよい。コントローラ150、各インターフェース160及び各負荷170はLAN130に連結されていてよく、例えば、インターネットプロトコル(IP)ネットワークにおいて各ノードに一つのIPアドレスを割り当てることができる等、それぞれに固有のネットワークノード識別子を割り当てることができる。幾つかの実施形態では、様々なネットワークノードのIPアドレスはシステム100以外のエンティティによって公的にアドレス指定することができる一方、他の実施形態では、様々なネットワークノードのIPアドレスはシステム100内に維持され得る。
【0019】
図3は実施形態による、電力システムの様々なコンポーネントの準地理的概略図である。
図3に示す実施形態には、共有電力バス120に直接連結された3つの負荷170と、送信回線122及び変圧器124を介して共有バス120に連結された4つ目の負荷170が図示されている。様々な入力電源が参照番号110によって表示されている。共有電力バス120に連結された30KW分布式エネルギー資源(DER)は、第1負荷170に物理的に近接して位置づけすることができる。同様に、第2及び第3負荷170と、第2及び第3の30KW DER170は、共有電力バス120に連結されている。エネルギー貯蔵装置110は、共有電力バス120に連結され、ディーゼル発電機110は切り替え可能な接続部125を介して共有電力バス120に選択的に接続可能である。
【0020】
共有ユーティリティ電力バス120は、切り替え可能な接続部125を介してユーティリティグリッド180に連結されている。一又は複数の変圧器124とPCC(共通接点)128は、切り替え可能な接続部125及びユーティリティグリッド180の間に介在させることができる。さらに、システム100によって使用される電力を測定するために、電力計127を含むことができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、コントローラ150及び測定システム166は協働して、高性能マイクログリッドシステム100の操作を管理する。コントローラ150は、管理プロセスの中央制御操作を提供する。
図4は、実施形態による、共有電気グリッドに連結されたマイクログリッドを管理する方法における操作を示すフロー図である。
図4を参照すると、コントローラ150は操作410において通信ネットワーク130を初期化する。幾つかの実施例では、コントローラ150はシステム100の様々な要素に使用されるネットワークノードのIPアドレスを構成することができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、システム100の全ての要素は通信ネットワーク130に連結されている。しかしながら、システム100の要素のネットワークノードは、LANによって制御される共通冗長ポートを介したアクセス以外のインターネットへのアクセスが可能である。加えて、要素は個々にアドレス指定されているため、単一要素の故障により、ネットワークの他の要素が操作不能になることはない。幾つかの実施形態では、LANへのインターネットアクセスを暗号化し保護して、制御要素がインターネットからアクセスされないようにして、ステータス及び測定値情報のみアクセス可能にすることができる。他の実施形態では、ステータス及び測定値情報も暗号化することができる。
【0023】
操作415において、コントローラはグリッド構成を決定する。例として、コントローラ150は、直接に、又は負荷170に連結されたローカルコントローラと連通することによって各負荷170によって消費されたエネルギーを決定することができる。コントローラ150は操作420において、ローカル負荷、すなわち局部電源によって供給される負荷を、共有負荷、すなわちリモート電源によって、又は電力グリッド180から供給される負荷から区別することができる。コントローラ150はまた、それぞれの負荷170による電力の消費と、それぞれの電源110の電力生成能力を予測することもできる。
【0024】
操作425において、コントローラ150は様々な負荷170からの負荷需要に対する優先順位決定スキームを割り当てることができる。例として、幾つかの負荷170を重要なものとすることができ、別の負荷170に電力が送られ得る前に、最大電力入力を受ける権利を付与することができる。他の負荷は二次的なものとして指定し、利用可能な場合にのみ電力を得る権利を付与することができる。
【0025】
操作430において、コントローラは操作425において確立した(一又は複数の)優先順位決定スキームにしたがって電力の使用を調整する。例として、幾つかの実施形態では、コントローラモニタ150はインターフェース160と連通して、様々な入力電源110からの出力を監視することができる。同様に、コントローラ150は電力バス120に連結された電力負荷170を監視して、(一又は複数の)優先順位決定スキームにしたがって、一又は複数の入力電源から少なくとも一つの電力バス120への電力の流れを調整することができる。例として、幾つかの実施形態では、コントローラはネットワークから電力負荷170を選択的に接続解除する、及び/又は別の入力電源110をネットワークに追加することが可能である。
【0026】
幾つかの実施形態では、コントローラ150は、例えば少なくとも一つの入力電源110と少なくとも一つの電力バス120の間に電気的接続が確立されている第1状態と、少なくとも一つの入力電源110と少なくとも一つの電力バス120の間の電気的接続が切断されている第2状態の間で、切り替え可能な接続部125を切り替えることによって、電力バス120から電源110を完全に接続解除することができる。別の実施形態では、インターフェース160の測定システム166は、電力バス120に連結された一又は複数の負荷の電力の必要を監視して、少なくとも一つの入力電源110から所定量の電力が流れるように、少なくとも一つの電力レギュレータ164を管理する。
【0027】
電力管理に加えて、コントローラ150は、ネットワークの一つ一つの高性能要素を監視して、メンテナンスを補助し、システムの寿命期間の間、システムのリアルタイムの適切な劣化を補助するシステムの健康管理操作を含むことができる。また、命令及び制御ソフトを任意の電力インターフェース160にロードして、冗長性を提供することができる。
【0028】
図5はシステム100と合わせて使用することができるコンピュータシステム500の概略図である。幾つかの実施形態では、システム500は計算装置508と、画面504を有するディスプレイ502、一又は複数のスピーカ506、キーボード510、一又は複数の他のI/O装置512、及びマウス514を含む、付随の一又は複数の入力/出力装置を含む。他のI/O装置512は、タッチスクリーン、音声作動式の入力装置、トラックボール、及びシステム500がユーザから入力を受けることを可能にする任意の他の装置を含むことができる。
【0029】
計算装置508は、システムハードウェア520と、ランダムアクセスメモリ及び/又は読取専用メモリとして実行可能なメモリ530を含む。ファイル保存装置580は、計算装置508に通信可能に連結することができる。ファイル保存装置580は例えば、一又は複数のハードドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、又は他の種類の記憶装置等の、計算装置508内蔵のものであってよい。
【0030】
システムハードウェア520は一又は複数のプロセッサ522、ビデオコントローラ524、ネットワークインターフェース526、及びバス構造528を含むことができる。一実施形態では、プロセッサ522は、米国カリフォルニア州サンタクララのインテル社から入手可能なインテル(登録商標)ペンティアムIV(登録商標)プロセッサとして具現化することができる。本明細書に使用される用語「プロセッサ」は、例えば非限定的に、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は任意の他の種類のプロセッサ又はプロセッサ回路等の任意の種類の計算要素を意味する。
【0031】
グラフィックコントローラ524は、グラフィック及び/又はビデオ操作を管理する付加プロセッサとして機能することができる。グラフィックコントローラ524は、コンピュータシステム500のマザーボード上に統合することができる、又はマザーボード上の拡張スロットを介して連結させることができる。
【0032】
一実施形態では、ネットワークインターフェース526は例えばイーサネット(登録商標)インターフェース(例えば電気電子技術者協会/IEEE802.3−2002参照)等の有線インターフェースであってよく、又は例えばIEEE 802.11a、b又はg−対応インターフェース(システムLAN/MAN間のIT遠隔通信及び情報交換のIEEE基準−−パートII:無線LAN メディア・アクセス・コントロール(MAC)及び物理層(PHY)仕様書修正事項4:2.4GHz帯におけるさらに高いデータ速度伸長、802.11G−2003参照)等の無線インターフェースであってよい。無線インターフェースの別の実施例は、汎用パケット無線システム(GPRS)インターフェースである(例えば、GPRS送受信機の要件指針、モバイル通信/GSM(登録商標)接続のグローバルシステム、3.0.1版、2002年12月参照)。
【0033】
バス構造528は、システムハードウェア528の様々なコンポーネントを接続する。一実施形態では、バス構造528は、任意の多様な利用可能なバスアーキテクチャを使用するメモリバス、周辺機器のバス、又は外部バス、及び/又はローカルバスを含む幾つかの種類のバス構造のうちの一又は複数のバス構造であってよく、これには例えば非限定的に、11ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周囲構成要素の相互接続(PCI)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスド・グラフィックス・ポート(AGP)、PCメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、及び小型コンピュータ用周辺機器インターフェース(SCSI)が含まれる。
【0034】
メモリ530は、計算装置508の操作を管理するオペレーティングシステム540を含むことができる。一実施形態では、オペレーティングシステム540は、システムハードウェア520にインターフェースを提供するハードウェア用インターフェースモジュール554を含む。加えて、オペレーティングシステム540は、計算装置508の操作において使用されるファイルを管理するファイルシステム550と、計算装置508上で実行されるプロセスを管理するプロセス制御サブシステム552を含むことができる。さらに、メモリモジュール530は、
図4を参照して説明した電力管理操作を実行するためのシステム管理モジュール562と、健康管理機能を実行するための健康管理モジュール564を含むことができる。
【0035】
オペレーティングシステム540は、システムハードウェア520と合わせて操作して、リモート・ソースからデータパケット及び/又はデータストリームを送受信することができる一又は複数の通信インターフェース544を含む(又は管理する)ことができる。オペレーティングシステム540はさらに、オペレーティングシステム540と、メモリ530に常駐する一又は複数のアプリケーションモジュールとの間のインターフェースを提供するシステムコールインターフェースモジュール542を含むことができる。オペレーティングシステム540は、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム又はその任意の派生物(例えば、Linux(登録商標)、Solaris等)、又はWindows(登録商標)商標のオペレーティングシステム、又は他のオペレーティングシステムとして具現化することができる。
【0036】
この時点では未請求であるが、下記段落に示すように追加の実施形態を請求することができる。
【0037】
A21.高性能グリッドシステムの操作を管理するコントローラであって、このコントローラは:少なくとも一つの入力電源からの電力出力を監視し;高性能グリッドシステムに連結された一又は複数の電力負荷を監視し;一又は複数の入力電源から高性能グリッドシステムへの電力の流れを調整する論理回路を含む。
【0038】
A22.請求項A21のコントローラであって、このコントローラはさらに:一又は複数の切り替え可能な接続部によって少なくとも一つの入力電源に接続可能な少なくとも一つの電力バス;及び、高性能マイクログリッドシステムに連結された通信ネットワークを含む。
【0039】
A23.請求項A22のコントローラであって、このコントローラにおいて、通信ネットワークは少なくとも一つのルータを含み、コントローラがルータの一又は複数の操作を管理する。
【0040】
A24.請求項A23のコントローラであって、このコントローラはさらに:高性能マイクログリッドシステムに連結された通信ネットワークを初期化し;少なくとも一つの入力電源のグリッド構成を決定し;平均共有負荷及び平均ローカル負荷を決定し;少なくとも一つの入力電源の健康状態のチェックルーティンを実施する論理回路を含む。
【0041】
したがって、本明細書に記載されたのは、高圧環境、例えば水中において使用可能なディスプレイの実施形態である。さらに記載されたのは、例えば上記ディスプレイを連結させることができるコンピュータシステム等の電子機器である。本明細書において参照される「一実施形態」又は「幾つかの実施形態」は、実施形態に関連して記載された具体的な機構、構造、又は特徴が少なくとも一つの実行形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所に出てくる表現「一実施形態では」は、すべてが同じ実施形態を指す場合もあり、そうでない場合もある。
【0042】
実施形態を、構造的機構及び/又は方法論的活動に特定した言語において説明してきたが、当然ながら請求される主題は記載された特定の機構又は活動に限定するものではない。むしろ、特定の機構及び活動は、請求される主題を実行するための例示形態として開示されている。
【符号の説明】
【0043】
110 一又は複数の電源
120 電力バス
122 送信回線
124 変圧器
125 切替可能な接続部
130 通信ネットワーク
132 通信バス
134 一又は複数のルータ
150 制御システム
500 コンピュータシステム
502 ディスプレイ
504 画面
506 一又は複数のスピーカ
508 計算装置