特許第6029275号(P6029275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6029275画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029275
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20161114BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20161114BHJP
   H04N 9/04 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H04N5/225 Z
   H04N5/232 Z
   H04N9/04 B
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-269480(P2011-269480)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2013-121147(P2013-121147A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】北野 貴久
(72)【発明者】
【氏名】本多 敏
(72)【発明者】
【氏名】舘 和岳
(72)【発明者】
【氏名】高木 薫
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−142309(JP,A)
【文献】 特開昭61−076970(JP,A)
【文献】 特開2011−196939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成する、撮像部と、
前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成する、合成画像生成部と、
前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記第2波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第2検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成する、目標検出処理部と、
前記第1検出データ、前記第2検出データ及び前記合成画像検出データを比較することにより、目標を抽出し、抽出結果を、目標検出結果データとして出力する目標抽出部と、
を具備する
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載された画像処理装置であって、
前記合成画像生成部は、前記第1波長画像と前記第2波長画像との差分画像を計算し、前記差分画像を示す差分画像データを生成する、差分処理画像生成部を備えている
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像処理装置であって、
前記合成画像生成部は、前記第1波長画像と前記第2波長画像との比例画像を計算し、前記比例画像を示す比例画像データを生成する、比例処理画像生成部を備えている
画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載された画像処理装置であって、
前記目標抽出部は、前記第1検出データ、前記第2検出データ及び前記合成画像検出データをAND処理することにより、前記目標検出結果データを生成する
画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載された画像処理装置であって、
前記目標抽出部は、前記第1検出データ、前記第2検出データ及び前記合成画像検出データをOR処理することにより、前記目標検出結果データを生成する
画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載された画像処理装置であって、
更に、
前記第1波長画像データ及び前記合成画像データを2値化し、2値化第1波長データ及び2値化合成画像データを生成する、2値化部と、
前記2値化第1波長データに基づいて、第1波長目標候補を選出し、選出結果を示す第1波長目標選出結果データを生成し、前記2値化合成画像データに基づいて、合成画像目標候補を選出し、選出結果を示す合成画像目標選出結果データを生成する、目標選出部と、
前記第1波長目標選出結果データに基づいて、前記第1波長目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、第1波長特徴量データを生成し、前記合成画像目標選出結果データに基づいて、前記合成画像目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、合成画像特徴量データを生成する、特徴量演算部と、
を具備し、
前記目標検出処理部は、前記第1波長特徴量データ及び前記合成画像特徴量データのそれぞれに基づいて、目標を検出する
画像処理装置。
【請求項7】
第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成する、撮像部と、
前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成する、合成画像生成部と、
前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成する、目標検出処理部と、
前記第1検出データ及び前記合成画像検出データに基づいて、目標を抽出し、抽出結果を、目標検出結果データとして出力する目標抽出部と、
前記第1波長画像データ及び前記合成画像データを2値化し、2値化第1波長データ及び2値化合成画像データを生成する、2値化部と、
前記2値化第1波長データに基づいて、第1波長目標候補を選出し、選出結果を示す第1波長目標選出結果データを生成し、前記2値化合成画像データに基づいて、合成画像目標候補を選出し、選出結果を示す合成画像目標選出結果データを生成する、目標選出部と、
前記第1波長目標選出結果データに基づいて、前記第1波長目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、第1波長特徴量データを生成し、前記合成画像目標選出結果データに基づいて、前記合成画像目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、合成画像特徴量データを生成する、特徴量演算部と、
を具備し、
前記目標検出処理部は、前記第1波長特徴量データ及び前記合成画像特徴量データのそれぞれに基づいて、目標を検出する
画像処理装置。
【請求項8】
第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成する、撮像部と、
前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成する、合成画像生成部と、
前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成する、目標検出処理部と、
前記第1検出データ及び前記合成画像検出データに基づいて、目標を抽出し、抽出結果を、目標検出結果データとして出力する目標抽出部と、
前記第1波長画像データに基づいて、第1波長目標候補を選出し、選出結果を示す第1波長目標候補データを生成し、前記第2波長画像データに基づいて、第2波長目標候補を選出し、選出結果を示す第2波長目標候補データを生成する、目標候補選出部と、
前記第1波長目標候補データに基づいて、前記第1波長目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、第1波長特徴量データを生成し、前記第2波長目標候補データに基づいて、前記第2波長目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す、第2波長特徴量データを生成する、目標候補特徴量演算部と、
を具備し、
前記合成画像生成部は、前記第1波長画像データ、前記第2波長画像データ、前記第1波長目標候補データ、及び前記第2波長目標候補データに基づいて、前記第1波長目標候補及び前記第2波長目標候補のそれぞれについて、前記第1波長画像と前記第2波長画像との輝度比を演算し、演算結果を前記輝度比の特徴量を有した目標候補データとして生成する、輝度比演算部を有している
画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された画像処理装置であって、
前記第1波長及び前記第2波長は、それぞれ、赤外線である
画像処理装置。
【請求項10】
第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成するステップと、
前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成するステップと、
前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記第2波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第2検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成するステップと、
前記第1検出データ、前記第2検出データ及び前記合成画像検出データを比較することにより、目標を抽出し、抽出結果を目標検出結果データとして出力するステップと、
を具備する
画像処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載された画像処理方法をコンピュータにより実現するための、画像処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
目標物を検出する為に、画像処理装置が用いられることがある。
【0003】
画像処理装置に関連する技術として、特許文献1(特開2008−241563号公報)には、2波長赤外線画像処理装置が開示されている。図1は、特許文献1に記載された2波長赤外線画像処理装置100を示す概略図である。この2波長赤外線画像処理装置100は、2波長赤外線カメラ101、A波長画像メモリ102−1、B波長画像メモリ102−2、差分画像生成部103、差分画像メモリ104、2値化処理部105、目標候補検出部106、目標候補特徴量演算部107、及び目標検出処理部108を有している。2波長赤外線カメラ101は、目標物のA波長画像、及び目標物のB波長画像を撮像し、それぞれ、A波長画像メモリ102−1及びB波長画像メモリ102−2に格納する。差分画像生成部103は、A波長画像とB波長画像の差分画像を生成し、差分画像メモリ104に格納する。2値化処理部105は、差分画像に対し、2値化処理を施す。目標候補選出部106は、2値化された差分画像から、目標候補を選出する。目標候補特徴量演算部107は、選出された目標候補の特徴量を演算する。目標検出処理部108は、演算された特徴量に基づいて、目標候補が目標であるか否かを判定することにより、目標を検出する。
【0004】
ここで、図1には、更に、差分画像生成部103の処理方法を示す概念図が示されている。図1には、原画像として、A波長画像及びB波長画像が示されている。例えば、画像の背景が海面である場合、A波長画像及びB波長画像には、目標以外に、波等によるクラッタが存在する。差分画像生成部103は、そのようなクラッタの影響を排除する為に設けられている。すなわち、差分画像生成部103は、まず、A波長画像及びB波長画像の夫々について、輝度値のオフセットを除去する。オフセットの除去後、輝度値に関して、A波長画像とB波長画像の差分を計算し、差分画像を生成する。異なる波長画像間では、目標についての輝度値の差は比較的大きいが、波のクラッタの輝度値の差は、比較的小さい。従って、差分画像では、目標物の輝度値が相対的に大きくなり、波のクラッタの輝度値は相対的に小さくなる。これにより、クラッタを除去し、目標が検出され易くなる。
【0005】
他の関連技術として、特許文献2(特開平7−244145号公報)に記載された画像目標検出装置が挙げられる。図2は、特許文献2に記載された画像目標検出装置を示す概略図である。この画像目標検出装置は、2波長赤外線カメラ101、メモリ102(中波長画像メモリ102−1、長波長画像メモリ102−2)、2値化処理部105(A−D)、目標検出処理部106及び目標抽出部109を備えている。2波長赤外線カメラ101は、中波長画像及び長波長画像を撮像し、中波長画像メモリ102−1及び長波長画像メモリ102−2に格納する。2値化処理部105Aは、中波長画像に対し、背景ノイズ量を基準に設定された閾値で2値化処理を行う。2値化処理部105Bは、中波長画像に対し、より低い閾値で2値化処理を行う。同様に、2値化処理部105Cは、長波長画像に対し、背景ノイズ量を基準に設定された閾値で2値化処理を行う。2値化処理部105Dは、長波長画像に対し、より低い閾値で2値化処理を行う。目標検出処理部106は、得られた4つの2値化処理画像の夫々に基づいて、目標検出処理を行う。目標抽出部109は、4つの2値化処理画像に基づいて得られた4つの目標検出処理の結果に基づいて、目標の判定を行い、判定結果を目標検出結果として出力する。
【0006】
更に他の関連技術として、特許文献3(特開2011−179857号公報)には、赤外線目標検出装置が開示されている。この赤外線目標検出装置は、光学系により集光結像された赤外線放射を、3.5−4.0μm帯及び4.5−4.8μm帯に分離して夫々検出する2波長赤外線検知器と、検出され出力される2波長の出力画像信号を比較し、比較結果に基づいて目標を抽出するとともに、優先度の高い目標を抽出する目標決定回路とを備える。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−241563号公報
【特許文献2】特開平7−244145号公報
【特許文献3】特開2011−179857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される技術を用いれば、波のクラッタの輝度値を低減することが可能になる。しかしながら、差分画像などの合成画像を用いた場合、逆に、目標を検出し難くなる場合がある。例えば、差分画像を用いた場合、目標の輝度値は、波のクラッタに対して相対的には大きくなるものの、絶対的には小さくなる。そのため、背景に存在するクラッタが少ない場合、例えば、背景が青空である場合、逆に、目標が検出され難くなる、という問題点があった。
【0009】
尚、特許文献2、3には、2つの波長画像を用いて目標を検出する点が開示されているが、差分画像を用いた場合に目標の輝度値が小さくなり、目標が検出され難くなる、という点については、触れられていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成する、撮像部と、前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成する、合成画像生成部と、前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成する、目標検出処理部と、前記第1検出データ及び前記合成画像検出データに基づいて、目標を抽出し、週出結果を示す最終検出結果データを生成する、目標抽出部とを具備する。
【0011】
本発明に係る画像処理方法は、第1波長及び第2波長の各々の画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成するステップと、前記第1波長画像データと前記第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成するステップと、前記第1波長画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す第1検出データを生成し、前記合成画像データに基づいて目標を検出し、検出結果を示す合成画像検出データを生成するステップと、前記第1検出データ及び前記合成画像検出データに基づいて、目標を抽出し、抽出結果を示す最終検出結果データを生成するステップとを具備する。
【0012】
本発明に係る画像処理プログラムは、上述の画像処理方法をコンピュータにより実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、目標を検出し易くすることができる、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】特許文献1に記載された2波長赤外線画像処理装置を示す概略図である。
図2】特許文献2に記載された画像目標検出装置を示す概略図である。
図3】第1の実施形態に係る画像処理装置を示す機能ブロック図である。
図4】画像処理装置の動作方法を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図6】第3の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図7】第4の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図8】第5の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図9】第6の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図10】第7の実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る画像処理装置1を示す機能ブロック図である。この画像処理装置1は、例えば、図示しない飛翔体に搭載され、目標の位置を求める為に用いられる。
【0017】
図3に示されるように、画像処理装置1は、2波長赤外線カメラ2(撮像装置)、第1波長画像メモリ3−1、第2波長画像メモリ3−2、合成画像生成部4、合成画像メモリ5、2値化処理部6(6−1〜6−3)、目標候補選出部7(7−1〜7−3)、目標候補特徴量演算部8(8−1〜8−3)、目標検出処理部9(9−1〜9−3)、及び目標抽出部10を備えている。このうち、合成画像生成部4、2値化処理部6、目標候補選出部7、目標候補特徴量演算部8、目標検出処理部9、及び目標抽出部10は、例えば、図示しないCPUが、予めインストールされた画像処理プログラムを実行することにより、実現される。
【0018】
以下に、本実施形態に係る画像処理装置1の動作方法を説明する。図4は、画像処理装置1の動作方法を示すフローチャートである。
【0019】
ステップS1;撮像
まず、2波長赤外線カメラ2が、目標を含む画像を撮像する。2波長赤外線カメラ2は、第1波長画像及び第2波長画像を撮像し、第1波長画像を示す第1波長画像データ、及び第2波長画像を示す第2波長画像データを生成する。第1波長画像データ及び第2波長画像データは、それぞれ、第1波長画像メモリ3−1及び第2波長画像メモリ3−2に格納される。尚、第1波長及び第2波長は、いずれも、赤外線である。
【0020】
ステップS2;合成
次いで、合成画像生成部4が、第1波長画像データ及び第2波長画像データを合成し、合成画像を示す合成画像データを生成する。合成画像データは、合成画像メモリ5に格納される。
【0021】
ステップS3;2値化処理
次いで、2値化処理部6が、予め定められた閾値を用いて、2値化処理を行う。具体的には、2値化処理部6−1が、第1波長画像データを2値化し、2値化第1波長データを生成する。また、2値化処理部6−3は、合成画像データを2値化し、2値化合成画像データを生成する。更に、2値化処理部6ー2は、第2波長画像データを2値化し、2値化第2波長データを生成する。
【0022】
ステップS4;目標候補選出
次いで、目標候補選出部7が、目標候補を選出する。具体的には、目標候補選出部7−1は、2値化第1波長データに示される画像の中から、目標の候補となる部分を、第1目標候補として選出し、選出結果を示す第1目標候補データを生成する。同様に、目標候補選出部7−2は、2値化第2波長データに示される画像の中から、目標の候補となる部分を、第2目標候補として選出し、選出結果を示す第2目標候補データを生成する。更に、目標候補選出部7−3は、2値化合成画像データに示される画像の中から、目標の候補となる部分を、合成目標候補として選出し、選出結果を示す合成目標候補データを生成する。これらの目標の候補は、例えば、2値化処理において閾値を越えていた部分の面積等に基づいて、選出される。
【0023】
ステップS5;特徴量演算
次いで、特徴量演算部8−1が、第1目標候補データに基づいて、第1目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す第1特徴量データを生成する。また、特徴量演算部8−2は、第2目標候補データに基づいて、第2目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す第2特徴量データを生成する。更に、特徴量演算部8−3は、合成目標候補データに基づいて、合成目標候補の特徴量を演算し、演算結果を示す合成特徴量データを生成する。
【0024】
ステップS6;目標検出
次いで、目標検出処理部9−1が、第1特徴量データを予め定められた閾値と比較することにより、第1目標候補が目標であるか否かを判定し、第1目標候補が目標であると判定した場合、第1目標候補を検出結果として示す第1検出データを生成する。また、目標検出処理部9−2は、第2特徴量データを予め定められた閾値と比較することにより、第2目標候補が目標であるか否かを判定し、第2目標候補が目標であると判定した場合、第2目標候補を検出結果として示す第2検出データを生成する。更に、目標検出処理部9−3は、合成特徴量データを予め定められた閾値と比較することにより、合成目標候補が目標であるか否かを判定し、合成目標候補が目標であると判定した場合、合成目標候補を検出結果として示す合成検出データを生成する。
【0025】
ステップS7;目標抽出
次いで、目標抽出部10が、第1検出データ、第2検出データ及び合成検出データに基づいて、目標を最終的に抽出し、抽出結果を目標検出結果データとして出力する。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、目標抽出部10が、合成画像データを用いた検出結果である合成検出データだけではなく、第1波長画像データおよび第2波長画像データを用いた検出結果である第1検出データ及び第2検出データを用いて、目標を抽出し、最終的な検出結果として出力する。従って、合成画像を用いることにより目標が検出され難くなる場合であっても、第1検出データ及び第2検出データを用いることにより、目標を検出し易くすることができる。逆に、第1検出データ及び第2検出データを用いると目標が検出され難くなる場合であっても、目標検出データを用いることにより、目標を検出され易くすることができる。
【0027】
尚、本実施形態では、目標抽出部10が、第1検出データ、第2検出データ及び合成検出データに基づいて、目標を抽出する場合について説明した。但し、必ずしも、第1検出データ及び第2検出データの両方が用いられる必要はなく、例えば、目標抽出部10は、第1検出データ及び合成検出データだけに基づいて、目標を抽出してもよい。
【0028】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。本実施形態では、合成画像生成部4として、差分処理画像生成部41が用いられ、合成画像メモリ5として、差分処理画像メモリ51が用いられる。また、第1の実施形態と比較して、目標抽出部10の動作が更に工夫されている。その他の点については、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施形態では、差分処理画像生成部41が、輝度値に関して、第1波長画像データと第2波長画像データとの間の差分を計算し、計算結果である差分画像を示す差分画像データを生成する。差分画像データは、差分処理画像メモリ51に格納される。そして、この差分画像データを用いて、2値化処理部6による2値化、目標候補選出部7による目標候補の選出、目標候補特徴量演算部8による特徴量の演算、及び目標検出処理部9による目標検出が行われる。
【0030】
また、目標抽出部10は、第1検出データ、第2検出データ及び合成検出データをOR処理することにより、目標を抽出し、抽出結果を目標検出結果データとして出力する。すなわち、目標抽出部10は、第1検出データ、第2検出データ、及び合成検出データのいずれかで検出された目標を抽出し、目標検出結果データを出力する。
【0031】
続いて、本実施形態の作用効果を説明する。
【0032】
本実施形態によれば、差分画像を用いて、目標の検出が行なわれる。画像中に雲などに基づくクラッタが多数存在する場合、クラッタの影響で、目標だけを検出することが困難になる。これに対し、既述のように、異なる波長画像間では、目標の輝度差(輝度比)とクラッタの輝度差(輝度比)は大きく異なる。本実施形態では、目標検出処理部9が、差分画像を用いて目標を検出するので、クラッタが存在する場合にであっても、目標を検出し易くすることができる。一方で、背景にクラッタが存在しない場合(例えば、背景が青空である場合)、差分画像を用いると、絶対的な目標の輝度値が小さくなり、目標が検出され難くなってしまう。これに対して、本実施形態では、目標検出処理部9が、単波長画像(第1波長画像データ、第2波長画像データ)を用いて目標を検出する。従って、単波長画像中では、絶対的な目標の輝度値は小さくならないので、目標の検出性能が低下しない。目標抽出部10がOR処理を行うので、背景にクラッタが存在するか否かに関わらず、目標検出性能を高めることが可能になる。
【0033】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。第2の実施形態とは異なり、本実施形態では、目標抽出部10が、OR処理ではなく、AND処理により、目標を抽出する。すなわち、目標抽出部10は、第1検出データ、第2検出データ、及び合成検出データの全てで検出された目標を抽出し、目標検出結果データを出力する。その他の点については、第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態によれば、AND処理により目標が抽出されるので、目標検出処理部9において、第1検出データ、第2検出データ、及び合成検出データの何れかにおいてノイズが目標として誤検出されていた場合であっても、目標抽出部10において、目標を正しく検出することが可能になる。従って、クラッタの存在の有無に関わらず、目標の検出精度を向上させることが可能になる。
【0035】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。本実施形態では、合成画像生成部4として、比例処理画像生成部42が用いられる。また、合成画像メモリ5として、比例処理画像メモリ52が用いられる。また、目標抽出部10は、第2の実施形態と同様に、OR処理を行う。その他の点については、第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
比例処理画像生成部42は、第1波長画像データ及び第2波長画像データに基づいて、全画面について、第1波長画像の輝度値と第2波長画像の輝度値とについて比例処理を行い、輝度値の比率を計算する。計算結果を示す比例処理画像は、比例処理画像データとして、比例処理画像メモリ52に格納する。
【0037】
本実施形態によれば、合成画像として、比例処理画像が用いられる。既述のように、異なる波長画像間では、目標の輝度差(輝度比)とクラッタの輝度差(輝度比)は大きく異なり、比例処理を用いることによっても、差分画像を用いた場合と同様、クラッタの影響を低減することができ、第2の実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0038】
(第5の実施形態)
続いて、第5の実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。本実施形態では、目標抽出部10がAND処理を行う。その他の点については、第4の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0039】
本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、クラッタの存在の有無に関わらず、目標の検出精度を向上させることが可能になる。
【0040】
(第6の実施形態)
続いて、第6の実施形態について説明する。図9は、第6の実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。本実施形態では、合成画像生成部4として、輝度比演算部11が用いられる。また、第1の実施形態と異なり、合成画像メモリ5は設けられていない。また、目標抽出部10は、第2の実施形態と同様に、OR処理を行う。
【0041】
輝度比演算部11は、第1波長画像データ、第2波長画像データ、第1目標候補データ、及び第2目標候補データを取得し、第1目標候補及び第2目標候補のそれぞれについて、第1波長画像と第2波長画像の輝度比を算出する。算出結果は、輝度比の特徴量を有した目標候補データとして、目標検出処理部9に送られる。その他の点については、第2の実施形態と同様である。
【0042】
本実施形態では、第4、第5の実施形態と同様に、差分画像として、第1画像における輝度値と第2画像における輝度値との比が用いられる。但し、本実施形態では、第1目標候補及び第2目標候補のそれぞれについて、輝度比が求められ、全画面についての輝度比は求められる必要がない。従って、第4、5の実施形態と比較して、演算量を抑えることが可能になる。また、既述の実施形態の手法で目標を検出し、更に、本実施形態の手法により目標を検出し、これらの検出結果に基づいて目標を抽出してもよい。
【0043】
(第7の実施形態)
続いて、第7の実施形態について説明する。図10は、第7の実施形態に係る画像処理装置1を示すブロック図である。本実施形態では、目標抽出部10が、第3の実施形態と同様に、AND処理を行うように構成されている。その他の点については、第6の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態によれば、第6の実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、本実施形態によれば、AND処理が利用されるので、第3の実施形態と同様に、クラッタの存在の有無に関わらず、目標の検出精度を向上させることが可能になる。
【0045】
以上、本発明について、第1乃至第7の実施形態を用いて説明した。尚、これらの実施形態は互いに独立するものではなく、矛盾のない範囲内で組み合わせて用いることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 2波長赤外線画像処理装置
2 2波長赤外線カメラ
3 画像メモリ
4 合成画像生成部
5 合成画像メモリ
6 2値化処理部
7 目標候補選出部
8 目標候補毎特徴量演算部
9 目標検出処理部
10 目標抽出部
41 差分処理画像生成部
42 比例処理画像生成部
51 差分処理画像メモリ
52 比例処理画像メモリ
100 2波長赤外線画像処理装置
101 2波長赤外線カメラ
102−1 A波長画像メモリ
102−2 B波長画像メモリ
103 差分画像生成部
104 差分画像メモリ
105 2値化処理部
106 目標候補選出部
107 目標候補特徴量演算部
108 目標検出部
109 目標抽出部
図1
図2
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