(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の太陽電池セルを直列接続して構成される太陽電池モジュールが順次直列接続される前記太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、前記太陽電池モジュールの電力をそれぞれ検出する電力検出部と、
前記太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、対応する前記太陽電池モジュールの電力と隣接する他の前記太陽電池モジュールの電力とを相互比較し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に、対応する前記太陽電池モジュールの異常を検出する異常検出部と、
前記太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、対応する前記太陽電池モジュールの異常を告知する告知部とを有し、
前記異常検出部の各々が通信線を介して接続され、前記通信線を介して所要の電力を取得すると共に、
一の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部が、他の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から前記他の太陽電池モジュールの電力を取得できない状態、若しくは他の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から取得した前記他の太陽電池モジュールの電力が閾値以下の状態が、設定記憶されている所定条件の許容範囲外である場合に、前記他の太陽電池モジュールの異常を検出して、前記一の太陽電池モジュールに対応する前記告知部により、前記他の太陽電池モジュールの異常を前記一の太陽電池モジュールの異常と異なるパターンで告知することを特徴とする太陽電池モジュールの異常検出設備。
複数の太陽電池セルを直列接続して構成される太陽電池モジュールが順次直列接続される太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、前記太陽電池モジュールの電力をそれぞれ検出する電力検出部と、
前記太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、対応する前記太陽電池モジュールの電力と隣接する他の前記太陽電池モジュールの電力とを相互比較し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に、対応する前記太陽電池モジュールの異常を検出する異常検出部と、
前記太陽電池モジュールのそれぞれに対応し、対応する前記太陽電池モジュールの異常を告知する告知部とを有し、
前記異常検出部の各々が通信線を介して接続され、前記通信線を介して所要の電力を取得すると共に、
一の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部が、直列接続の上流側の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から前記上流側の太陽電池モジュールの電力を取得できない状態、若しくは直列接続の上流側の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から取得した前記上流側の太陽電池モジュールの電力が閾値以下の状態が、設定記憶されている所定条件の許容範囲外である場合に、前記上流側の太陽電池モジュールの異常を検出して、前記一の太陽電池モジュールに対応する前記告知部により、前記上流側の太陽電池モジュールの異常を前記一の太陽電池モジュールの異常と異なるパターンで告知し、
前記一の太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部が、直列接続の下流側の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から前記下流側の太陽電池モジュールの電力を取得できない状態、若しくは直接接続の下流側の前記太陽電池モジュールに対応する前記異常検出部から取得した前記下流側の太陽電池モジュールの電力が閾値以下の状態が、設定記憶されている所定条件の許容範囲外である場合に、前記下流側の太陽電池モジュールの異常を検出して、前記一の太陽電池モジュールに対応する前記告知部により、前記下流側の太陽電池モジュールの異常を前記一の太陽電池モジュールの異常及び前記上流側の太陽電池モジュールの異常と異なるパターンで告知することを特徴とする太陽電池モジュールの異常検出設備。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置及び異常検出方法〕
本発明の第1実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置について説明する。第1実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1は、
図1に示すように、太陽電池モジュール2を電力幹線MLで直列接続して構成される太陽光発電装置の一部として設けられるものである。太陽電池モジュール2は、図示例のように複数の太陽電池セル21を直列接続して構成されるものであり、その直列接続された太陽電池セル21にはバイパスダイオード3が並列接続されている。
【0013】
異常検出装置1は、太陽電池モジュール2の各々に対応して設けられている。異常検出装置1の相互は通信線CLで接続されており、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1が通信線CLを介して他の太陽電池モジュール2が発電している電力の値を取得可能になっている。第1実施形態においては、基本的に、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1が電力の値を取得する他の太陽電池モジュール2を、一の太陽電池モジュール2と隣接して直列接続されている他の太陽電池モジュール2とすると共に、太陽電池モジュール2を直列接続する電力幹線MLの両端部に位置する太陽電池モジュール2については、一方の端部に位置する一の太陽電池モジュール2の異常検出装置1が、他方の端部に位置する他の太陽電池モジュール2の電力の値を取得するようになっているが、電力を相互比較する太陽電池モジュール2・2は直列接続されている太陽電池モジュール2のうち、適宜の太陽電池モジュール2・2相互とすることも可能である。
【0014】
異常検出装置1には、制御電源線PLを介して制御電源が供給されるようになっており、第1実施形態における制御電源には、直列接続された太陽電池モジュール2で構成される太陽光発電装置の発電電力の一部が供給される。即ち、
図2に示すように、太陽光発電装置において直列接続された太陽電池モジュール2による発電電力は、電力幹線MLを介して中継ボックス4に送られ、中継ボックス4からパワーコンディショナー等に送られるようになっており、その中継ボックス4の分岐部41で電力幹線MLの電力から一部の電力を分岐する。そして、分岐された電力の電圧がDC−DCコンバータ等の電圧変換部42によって異常検出装置1に対応する電圧に変換され、変換後の電力が異常検出装置1の制御電源として制御電源線PLを介して供給される。
【0015】
異常検出装置1は、
図3に示すように、一の太陽電池モジュール2の電力を検出する電力検出部11と、所定処理を行う演算制御部やデータを記憶する記憶部等から構成され、一の太陽電池モジュール2と他の太陽電池モジュール2の双方の電力を相互比較し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する異常検出部12と、一の太陽電池モジュールの異常を告知する告知部13を備える。異常検出部12には、一の太陽電池モジュール2の電力が電力検出部11から入力されると共に、一の太陽電池モジュール2と直列接続される他の太陽電池モジュール2の電力検出部12で検出された電力が通信線CLを介して入力され、双方の電力を相互比較可能になっている。また、告知部13は、例えば後述のLED灯或いはスピーカー等で構成され、異常が検出された太陽電池モジュール2の近距離にいる保守管理員等が、異常検出の太陽電池モジュール2を認識可能な箇所、例えば太陽電池モジュール2の近傍等に設置される。
【0016】
第1実施形態の異常検出装置1の回路構成例としては、例えば
図4のように構成すると好適である。
図4の例における一の太陽電池モジュール2と対応する異常検出装置1は、電力検出部11として非接触電流センサー111と増幅器112と掛算器113を有し、異常検出部12として比較器121と判定検出器122を有し、告知部13としてLED灯を有する。尚、非接触電流センサー111、増幅器112、掛算器113、比較器121、判定検出器122、告知部13の各部には制御電源線PLから制御電源が供給されるが、
図4では制御電源線PLを省略している。
【0017】
電力検出部11の非接触電流センサー111は、例えば電力幹線MLを流れる電流によって発生する磁界をホール素子で検出するもの等であり、太陽電池モジュール2を直列接続する電力幹線MLに非接触で配置される。増幅器112は、非接触電流センサー111から入力される電流を増幅して掛算器113に出力するように接続される。掛算器113は、太陽電池モジュール2とバイパスダイオード3に並列に接続されており、太陽電池モジュール2の起電力の電圧と増幅器112から電流が入力され、入力された電圧と電流から太陽電池モジュール2の発電電力を演算取得し、取得した電力を後述する異常検出部12の比較部121に出力すると共に、隣接する他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1の比較器121に出力するようになっている。
【0018】
異常検出部12の比較器121は、掛算器113と接続されると共に、通信線CLを介して他の太陽電池モジュール1に対応する異常検出装置1の掛算器113と接続され、それぞれの掛算器113から一の太陽電池モジュールが発電している電力と他の太陽電池モジュール2が発電している電力が入力される。比較器121は、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較して電力差を取得し、取得した電力差を判定検出器122に出力する。
【0019】
判定検出器122は、所定の異常検出プログラムに従って動作する演算制御部や異常検出プログラムや各種データを記憶する記憶部等で構成され、比較器121の出力部と接続されており、比較器121から一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力の電力差が入力される。判定検出器122は、その記憶部に所定条件の許容範囲のデータを記憶しており、入力される電力差、或いはその電力差に対して所定の演算処理を施した値が、所定条件の許容範囲外の場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する。この記憶される所定条件は、例えば後述する異常検出処理の第1例における電力差の閾値と設定継続時間、或いは異常検出処理の第2例における電力差の閾値と設定判定回数と設定判定間隔、或いは異常検出処理の第3例における電力差の積算量の閾値と設定時間、若しくは設定回数及び設定間隔等とすると好適である。
【0020】
告知部13のLED灯は、判定検出器122と接続され、判定検出器122の制御により点灯・消灯するようになっており、判定検出器122は、一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、告知部13のLED灯を点灯するように制御する。
【0021】
そして、第1実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1で異常検出処理を行う際には、
図5〜
図7に示すように、一の太陽電池モジュール2に対応する電力検出部11で一の太陽電池モジュール2の電力を検出すると共に、一の太陽電池モジュール2と直列接続される他の太陽光発電モジュール2に対応する電力検出部11で検出された他の太陽電池モジュール2の電力を、通信線CLを介して入力されることで検出する(S101、S111、S121)。電力検出部11による電力の検出は、
図4の例では、非接触電流センサー111、増幅器112を介して入力される電流と太陽電池モジュール2の電圧とから太陽電池モジュール2の電力を掛算器113で演算取得する。
【0022】
次いで、一の太陽電池モジュールに対応する異常検出装置1の異常検出部12において、各々の電力検出部11から入力される一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較し、その比較結果を取得し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外であるか否かを判定し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する。
【0023】
この電力の相互比較から異常検出までの処理は、例えば所定条件として電力差の閾値と設定継続時間を記憶し、異常検出を行う判定検出器122を用いる第1例の場合、
図5に示すように、比較器121において、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較して電力差を取得し(S102)、判定検出器122において、その取得電力差と閾値を対比して取得電力差が閾値以上であるか否か判定する(S103)。この判定は、例えば200msec毎など適宜のタイミングで行うことが可能である。取得電力差が閾値以上である場合、判定検出器122は、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続しているか否かを判定し(S104)、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとして、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する(S105)。尚、取得電力差が閾値以上でない場合、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続していない場合には、S101〜S104の処理を繰り返す。
【0024】
判定検出器122は、一の太陽電池モジュール2の異常を検出した場合、LED灯を点灯するように制御するなど、告知部13が所定動作をするよう制御し、異常検出装置1は、告知部13で一の太陽電池モジュール2の異常を告知する(S106)。第1例では、閾値以上の状態が継続する場合に異常を検出することにより、検出する異常の精度を極めて高くすることが可能となる。
【0025】
また、例えば所定条件として電力差の閾値と設定判定回数と設定判定間隔とを記憶し、異常検出を行う判定検出器122を用いる第2例の場合、
図6に示すように、比較器121において、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較して電力差を取得し(S112)、判定検出器122において、その取得電力差と閾値を対比して取得電力差が閾値以上であるか否か判定する(S113)。取得電力差が閾値以上である場合、判定検出器122は、取得電力差が閾値以上の状態が設定判定間隔毎に行われる設定判定回数以上継続しているか否かを判定し(S114)、取得電力差が閾値以上の状態が設定判定回数以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとして、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する(S115)。尚、取得電力差が閾値以上でない場合、取得電力差が閾値以上の状態が設定判定回数以上継続していない場合には、S111〜S114の処理を繰り返す。
【0026】
一の太陽電池モジュール2の異常を検出した場合、判定検出器122は、第1例と同様に告知部13が所定動作をするよう制御し、異常検出装置1は、告知部13で一の太陽電池モジュール2の異常を告知する(S116)。第2例では、断続的な閾値判定動作に基づき異常を検出することが可能となり、異常検出装置1の消費電力を抑制することが可能となる。
【0027】
また、例えば所定条件として電力差の積算量の閾値と設定時間、若しくは設定回数と設定間隔を記憶し、異常検出を行う判定検出器122を用いる第3例の場合、
図7に示すように、比較器121において、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較して電力差を取得し(S122)、判定検出器122において、取得電力差を設定時間に亘って、若しくは設定間隔毎の設定回数に亘って積算して積算量を取得する(S123)。
【0028】
次いで、判定検出器122は、取得積算量と電力差の積算量の閾値とを対比して取得積算量が閾値以上であるか否か判定する(S124)。取得電力差が閾値以上である場合、判定検出器122は、所定条件の許容範囲外であるとして、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する(S125)。尚、取得積算量が閾値以上でない場合には、S121〜S124の処理を繰り返す。
【0029】
一の太陽電池モジュール2の異常を検出した場合、判定検出器122は、第1例、第2例と同様に告知部13が所定動作をするよう制御し、異常検出装置1は、告知部13で一の太陽電池モジュール2の異常を告知する(S126)。第3例では、設定時間に亘って積算量を積算して判定する場合には、検出する異常の精度をより高めることが可能となり、又、設定間隔毎の設定回数に亘って積算量を積算して判定する場合には、断続的な積算動作で異常検出装置の消費電力を抑制することが可能となる。
【0030】
第1実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1或いは異常検出方法によれば、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較し、その比較結果が所定条件の許容範囲外である場合に異常を検出することにより、一時的に日陰になった場合など太陽電池モジュール2に対する太陽光が一時的に不足した場合に誤って異常検出することを回避することができ、例えば太陽電池モジュール2の内部破損、断線等の異常が現に発生している太陽電池モジュール2の異常を検出することができる。また、電力の相互比較に基づき太陽電池モジュール2の異常を検出することにより、太陽電池モジュール2が発電していない異常に加え、太陽電池モジュール2の発電電力が低下している異常も異常として検出することができる。また、現に異常が発生していない場合のLED灯の発光等の告知動作の無駄を無くすことができる。
【0031】
また、太陽電池モジュール2で構成される太陽光発電装置の発電電力の一部を制御電源として、異常検出装置1の制御電源を太陽光発電装置の内部で供給することができる。また、太陽光発電装置の全体から制御電源を供給することにより、個々の太陽電池モジュール2の状態如何に関わらずに安定して制御電源を供給することができる。
【0032】
また、隣接する太陽電池モジュール2の電力を相互比較する場合には、太陽光の受光状態が近い状態の太陽電池モジュール2の電力を相互比較し、相互電力比較に基づく異常検出の精度を高めることができると共に、異常検出装置1を太陽電池モジュール2の近傍に配置することができ、必要な配線をより短くコンパクトにすることができる。また、告知部13をLED灯にする場合には、低コストで、且つ、長寿命でメンテナンス性が高い告知部13を構成することができると共に、鮮明に発光するLED灯により、異常な太陽電池モジュール2に対する保守点検員の認識の確度や速さを高めることができ、保守点検作業の確実性、効率性を向上することができる。
【0033】
〔第2実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置及び異常検出方法〕
本発明の第2実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置について説明する。第2実施形態の異常検出装置1aは、
図8及び
図9に示すように、基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、異常検出部12aが第1実施形態と異なり、第1実施形態と同様の比較器121と第1実施形態とは異なる判定検出器122aとから構成される。更に、異常検出部12aの判定検出器122aには、異常信号伝送線SLが接続され、判定検出器122aから異常信号伝送線SLを介して外部に異常信号ESを送信可能になっている。
【0034】
判定検出器122aは、第1実施形態の判定検出器122と同様に、所定の異常検出プログラムに従って動作する演算制御部や異常検出プログラムや各種データを記憶する記憶部等で構成され、比較器121の出力部と接続されており、比較器121から一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力の電力差が入力される。判定検出器122aは、その記憶部に所定条件の許容範囲のデータを記憶しており、入力される電力差、或いはその電力差に対して所定の演算処理を施した値が、所定条件の許容範囲外の場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する。この記憶される所定条件は、第1実施形態における第1例〜第3例と同様の条件とすると好適である。
【0035】
更に、判定検出器122aは、一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、告知部13のLED灯を点灯するように制御すると共に、同一条件或いは異なる条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成し、外部へ送信制御するようになっている。ここで、異なる条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成して外部へ送信制御する場合には、判定検出器122aに、所定条件の許容範囲よりも許容範囲の広い別の所定条件の許容範囲が記憶部に記憶され、比較に基づく結果が別の所定条件の許容範囲外である場合に、一の太陽電池モジュールの異常信号ESの外部への送信制御が行われる。判定検出器122aの送信制御で送信される異常信号ESは異常信号伝送線SLを介して外部に送信される。
【0036】
第2実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1で異常検出処理を行う際には、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュールの電力の検出、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力との相互比較、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外であるか否かの判定、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に一の太陽電池モジュール2の異常の検出の処理を第1実施形態と同様に行う。
【0037】
例えば
図10の例では、第1実施形態における第1例と同様に、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュールの電力の検出(S201)、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力との相互比較による電力差の取得(S202)、取得電力差と閾値との対比による取得電力差が閾値以上であるか否かの判定(S203)、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続しているか否かの判定(S204)、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとして一の太陽電池モジュール2の異常の検出(S205)、一の太陽電池モジュール2の異常の告知部13による告知(S206)を行う。
【0038】
更に、判定検出器122aは、同一条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、換言すれば取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続しているか否かの判定に基づく一の太陽電池モジュール2の異常の検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の位置を特定する情報を有する一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成し、外部へ送信制御する(S207)。尚、第1実施形態における第2例、第3例の場合も同様に、同一条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成して外部へ送信制御する構成とすることが可能である。
【0039】
また、異なる条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成して外部へ送信制御する例として、
図11の例では、第1実施形態における第1例と同様に、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュールの電力の検出(S211)、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力との相互比較による電力差の取得(S212)、取得電力差と閾値との対比による取得電力差が閾値以上であるか否かの判定(S213)、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間(第1の設定継続時間)以上継続しているか否かの判定(S214)、取得電力差が閾値以上の状態が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとして一の太陽電池モジュール2の異常の検出(S215)、一の太陽電池モジュール2の異常の告知部13による告知(S216)を行う。
【0040】
そして、判定検出器122aには、別の所定条件として第1の設定継続時間よりも長い第2の設定継続時間が記憶部に記憶されており、判定検出器122aは、取得電力差が閾値以上の状態が第2の設定継続時間以上継続しているか否かの判定を行う(S217)。その判定の結果、取得電力差が閾値以上の状態が第2の設定継続時間以上継続している場合には、判定検出器122aは、一の太陽電池モジュール2を特定する情報を有する一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成し、外部へ送信制御する(S218)。尚、取得電力差が閾値以上の状態が第2の設定継続時間以上継続していない場合には、S211〜S218の処理を繰り返す。
【0041】
また、第1実施形態における第2例、第3例の場合も同様に、異なる条件の一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、一の太陽電池モジュール2の異常信号ESを生成して外部へ送信制御する構成とすることが可能である。例えば第2例の場合には、電力差の閾値と設定判定回数と設定判定間隔の所定条件に加え、別の設定判定回数と別の設定判定間隔を別の所定条件として用い、第3例の場合には、電力差の積算量の閾値と設定時間、若しくは設定回数及び設定間隔の所定条件に加え、別の設定時間、若しくは別の設定回数と別の設定間隔を所定条件として用いて構成することが可能である。尚、所定条件と別の所定条件の対応する適宜の条件は必要に応じて同じ数値とすることが可能であるが、別の所定条件の方が所定条件よりも許容範囲が広くなるように各条件を規定することが好ましい。また、これらの所定条件と別の所定条件のうち、可能な範囲で適宜の条件を組み合わせて用いることも可能である。
【0042】
第2実施形態における異常検出処理で外部に送信される異常信号ESは、例えば
図12に示す保守管理システムで用いられる。
図12の保守管理システムでは、太陽電池モジュール2が直列接続され、異常検出装置1を備える太陽光発電装置100は、専用回線である異常信号伝送線SLを介して外部にある子局200の子局制御装置210に接続されている。子局200は、太陽光発電装置100の作動状況の管理、換気、非常設備の制御等が行われる電気室である。また、子局制御装置210は、CPU等の演算制御部と、記憶部と、ディスプレイ等の表示部と、ボタン等の入力部とを備える。
【0043】
更に、子局制御装置210は、専用回線である異常信号伝送線SL’を介して遠隔地に位置する外部の親局300の親局制御装置310に接続されている。親局300は、複数の子局200(電気室)から送られるデータを集中的に監視して制御すると共に、監視員が常駐する施設中央局である。また、親局制御装置310は、CPU等の演算制御部と、記憶部と、ディスプレイ等の表示部と、ボタン等の入力部とを備える。400は保守点検員が駐在する管理事務所、401は保守点検員が24時間常駐する管理事務所の制御室である。
【0044】
この保守管理システムにおいて、太陽光発電装置100の所定位置の太陽電池モジュール2で異常が検出された場合、判定検出器122aは、太陽電池モジュール2の位置を特定する情報を有する異常信号ESを生成して子局制御装置210に送信するように制御し、異常信号ESは異常信号伝送線SLを介して子局制御装置210に送信される。
【0045】
子局制御装置210は、異常信号ESの受信に応じて、異常検出の太陽電池モジュール2の位置情報を有する異常信号ES’を生成して親局制御装置410に送信するように制御し、異常信号ES’は異常信号伝送線SL’を介して親局制御装置310に送信される。親局制御装置310は、子局制御装置210からの異常信号ES’の受信に応じて、異常検出の太陽電池モジュール2の位置情報で特定される太陽電池モジュール2の点検を促す出力を表示部等で行う。その出力を認識した親局300の監視員は、図示一点鎖線矢印の如く管理事務所400の保守点検員或いは制御室401に常駐する保守点検員に連絡を取り、図示太線矢印の如く保守点検員が子局200、太陽光発電装置100の異常検出の太陽電池モジュール2に向かって点検、保守を行う。
【0046】
上記保守管理システムなど第2実施形態の異常検出装置1a或いは異常検出方法によれば、遠隔地など太陽光発電装置100と離れた位置で太陽光発電装置100の太陽電池モジュール2の異常を認識することが可能であり、保守点検員に点検するよう促し、保守点検員が異常検出の太陽電池モジュール2の交換、修理等の必要な保守管理を確実に行うことができる。また、告知する異常と外部へ送信する異常を区別することにより、例えば緊急性の高い異常のみ送信して外部で異常を認識できるようにすることで、緊急性の高い異常に優先的に対処することが可能となり、太陽電池モジュールに対する保守管理作業の全体的な効率化を図ることができる。その他、第2実施形態は第1実施形態と対応する構成から第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
〔第3実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置及び異常検出方法〕
本発明の第3実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置について説明する。第3実施形態の異常検出装置1bは、
図13に示すように、基本的な構成は第1実施形態と同一であるが、異常検出装置1bに太陽光発電装置の全体の発電電力の一部が制御電源線PLを介して供給される構成に代え、異常検出装置1bに対応する太陽電池モジュール2が発電している電力と、この太陽電池モジュール2が発電していない場合に、太陽電池モジュール2に並列接続されているバイパスダイオード3の電流の流れにおける上流側と下流側(図示例のバイパスダイオード3が1つの場合はアノード側とカソード側、バイパスダイオード3が複数のダイオードを直接接続して構成されている場合には、その直列接続全体におけるアノード側とカソード側)から電圧を極性反転して得られる電力とからなる内部電力IPが、異常検出装置1bの制御電源として供給される点で相違する。即ち、異常検出装置1bに対応する太陽電池モジュール2が発電している場合には、その電力が異常検出装置1bの制御電源として供給され、この太陽電池モジュール2が異常によって発電できない場合には、この太陽電池モジュール2に並列接続されているバイパスダイオード3に流れる電流、つまりはこの太陽電池モジュール2に直列接続されている他の太陽電池モジュール2のバイパス電流によってバイパスダイオード3に生ずる順方向電圧を、極性反転して得られる電力が、異常検出装置1bの制御電源として供給される。
【0048】
内部電力IPが制御電源として供給される異常検出装置1bの回路構成例は、例えば
図14のように構成すると好適である。
図14における一の太陽電池モジュール2と対応する異常検出装置1bは、電力検出部11である非接触電流センサー111と増幅器112と掛算器113、異常検出部12である比較器121と判定検出器122、LED灯等の告知部13を第1実施形態と同様に備える。更に、整流回路51が、一の太陽電池モジュール2とバイパスダイオード3のそれぞれに並列になるように接続され、整流回路51から出力される電力がDC−DCコンバータやレギュレーター等の電圧変換部52を介して異常検出装置1bに供給されるようになっている。尚、図示例では電力検出部11に対する電力の供給線を省略している。
【0049】
整流回路51は、一の太陽電池モジュール2の発電時には、入力される電力の電圧極性でのプラスとマイナスをそのまま出力し、正極性の直流電圧による電力を出力すると共に、一の太陽電池モジュール2の発電停止時には、他の発電している太陽電池モジュール2からの発電電流が流れるバイパスダイオード3の両端に発生する電圧、つまり前述の発電時の電圧とは反対極性の電圧で供給される電力を、電圧の極性を反転して出力する構成である。即ち、整流回路51は、バイパスダイオード3の負極性入力を正に反転して電圧変換部52に出力し、入力電圧が正負にかかわらず正極性の直流電圧による電力を出力するものであり、これにより、異常検出装置1bを駆動する正極性の直流電圧の電力として利用可能にしている。尚、整流回路51は、必要に応じて、入力される電力の一部を分岐使用して駆動させてもよい。
【0050】
整流回路51の構成は適宜であり、例えば
図15のダイオードブリッジ回路とすると簡易化することができて好ましい。
図15の整流回路51は、バイパスダイオード3よりかなり低い順方向電圧降下特性をもつダイオード511、512、513、514が組み合わせて接続され、電力幹線MLで接続されている一の太陽電池モジュール2の発電時には、太陽電池モジュール2を直列接続している電力幹線MLの電流の流れにおける下流側のプラスと上流側のマイナスの電圧極性をそのままにして電力を出力し(
図15(a)参照)、一の太陽電池モジュール2の内部故障、断線などのような発電停止時には、バイパスダイオード3の電流の流れにおける上流側のマイナスと下流側のプラスの電圧の極性を反転して、電力を出力するようになっている(
図15(b)参照)。
【0051】
電圧変換部52は、整流回路51から出力される電力の電圧を必要に応じて昇圧或いは降圧して異常検出装置1bの規格電圧に合わせ、異常検出装置1bに供給するものである。電圧変換部52は、例えば出力電圧を一定とする定電圧制御により一の太陽電池モジュール2の発電時と発電停止時の双方で電圧変換を行うもの、或いは一の太陽電池モジュール2の発電時にはそのままの電圧で異常検出装置1bに供給し、一の太陽電池モジュール2の発電停止時にのみ昇圧等の電圧変換を行って異常検出装置1bに供給するもの等とすることが可能である。尚、電圧変換部52は、必要に応じて、入力される電力の一部を分岐使用して駆動させてもよい。
【0052】
電圧変換部52の構成は適宜であり、例えば
図16のような構成とすると好ましい。
図16の例の電圧変換部52は、コンパレータ等で構成され、入力される電力の電圧Vinの検出と判定を行って切り替えを行う電圧判定切替回路521と、入力される電力の電圧を降圧して出力する降圧型DC/DC回路522と、入力される電力の電圧を昇圧して出力する昇圧型DC/DC回路523とを有し、一定の電圧Voutの電力を出力するようになっている。
【0053】
例えば一の太陽電池モジュール2の発電時に高い電圧の電力が入力された場合には、電圧変換部52の電圧判定切替回路521が降圧型DC/DC回路522に切替を行い、降圧型DC/DC回路522で降圧して定電圧にされた電力が制御電源として異常検出装置1bに供給され、又、一の太陽電池モジュール2の発電停止時にバイパスダイオード3の順方向電圧降下に基づく低い電圧の電力が入力された場合には、電圧判定切替回路521が昇圧型DC/DC回路523に切替を行い、昇圧型DC/DC回路523で昇圧して定電圧にされた電力が制御電源として異常検出装置1bに供給される。これにより、例えば異常検出装置1bが、一の太陽電池モジュール2の発電時の高電圧と、発電停止時のバイパスダイオード3の電圧降下に基づく低電圧との間の所定電圧で駆動する異常検出装置1bを良好に駆動することができる。尚、消費電力低減や、バイパスダイオード3の電圧降下に基づく低電圧から電圧を昇圧して使用される電力との適合性の観点から、異常検出装置1bは可能な限り低い電圧で駆動するものが好ましい。
【0054】
第3実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1bで異常検出処理を行う際には、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュールの電力の検出、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力との相互比較、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外であるか否かの判定、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に一の太陽電池モジュール2の異常の検出の処理を第1実施形態と同様に行い、例えば第1実施形態における第1例〜第3例と同様の処理を行うことが可能である。
【0055】
また、第3実施形態の変形例として、異常検出装置1bに、一の太陽電池モジュール2の発電時の電力と、一の太陽電池モジュール2の発電停止時に電圧の極性反転をして得られる電力とが、電圧変換部52を介して制御電源として供給される場合に、異常検出部12が、電圧変換部52で変換される前の電圧を取得し、電圧変換部52による変換後の電圧から生成される基準電圧若しくは異常検出部12に記憶されている基準電圧と、電圧変換部52で変換される前の電圧とを比較し、変換前の取得電圧が、基準電圧で規定される許容範囲外である場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出し、この検出による異常と前述の電力比較で検出される異常のいずれかの異常が検出された場合に、一の太陽電池モジュール2の異常をLED灯等の告知部で告知するようにしてもよい。
【0056】
この変形例の回路構成例を
図17に示す。
図17の例では、異常検出部12の構成部分として、基準電圧発生回路123と、比較器124が設けられており、基準電圧発生回路123と比較器124は、電圧変換部52の変換後の電圧で供給される電力を制御電源として動作するようになっている。基準電圧発生回路123には、DC−DCコンバータ等の電圧変換部52で変換された変換後の電圧が入力され、この変換後電圧に基づき基準電圧を発生させ、比較器124に出力するようになっている。また、比較器124には、基準電圧が入力されると共に、整流回路51と電圧変換部52との間の接続線から分岐されて電圧変換部52で変換される前の電圧が入力されるようになっている。
【0057】
そして、
図18に示すように、比較器124は、電圧変換部52で変換される前の電圧を取得し(S3−1)、電圧変換部52による変換後の電圧から生成される基準電圧と取得した変換前の電圧とを比較し、変換前の取得電圧が基準電圧より低いか否かなど変換前の取得電圧が基準電圧で規定される許容範囲外であるか否かを判定し(S3−2)、変換前の取得電圧が基準電圧より低い場合など変換前の取得電圧が基準電圧で規定される許容範囲外である場合に、その許容範囲外である旨の信号を判定検出器122に送る。判定検出器122は、この信号に基づき一の太陽電池モジュール2の異常を検出し(S3−3)、一の太陽電池モジュール2の異常をLED灯の点灯等で告知する(S3−4)。変換前の取得電圧が基準電圧以上など取得電圧が許容範囲内である場合には、S3−1〜S3−2の処理を繰り返す。
【0058】
尚、基準電圧で規定される許容範囲の規定の仕方は、前述の例以外にも適宜であり、例えば基準電圧に所定の係数を乗算した所定電圧以下や未満の場合に許容範囲外とする等としてもよい。また、基準電圧を比較器124の記憶部等に設定記憶した設定値とし、これと変換前の取得電圧を比較するようにしてもよい。
【0059】
第3実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1b或いは異常検出方法によれば、異常検出装置1bの制御電源を対応する太陽電池モジュール2とバイパスダイオード3から内部供給することができる。また、太陽電池モジュール2が発電せずに異常になっている場合にも、バイパスダイオード3に流れる電流で発生する順方向電圧を極性反転して利用することができ、太陽電池モジュールの発電時と故障時に関わらずに、異常検出装置1bを安定して動作させることができる。またこれは、バイパスダイオード3の熱損失の一部を制御電源として利用するという事でもあるため、バイパスダイオード3の発熱による太陽電池モジュール2近傍の温度上昇の抑制やそれに伴う発電効率低下の防止を図ることができる。また、各太陽電池モジュール2と対応するバイパスダイオード3の内部で制御電源を生成することが出来るため、異常検出装置1bに対する外部設備からの長い制御電源線PLが不要となり、ケーブル全体をコンパクトにすることができる。
【0060】
また、電圧変換部52の変換前の電圧が許容範囲外の場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する構成を設ける場合には、一の太陽電池モジュールと他の太陽電池モジュールの双方が異常で電力比較による異常検出ができない場合にも、一の太陽電池モジュールの発電電力低下等の異常を検出することができ、太陽電池モジュールの異常検出をより確実に行うことができる。その他、第3実施形態は第1実施形態と対応する構成から第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0061】
〔第4実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置及び異常検出方法並びに異常検出設備〕
本発明の第4実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置について説明する。第4実施形態の異常検出装置1cは、
図19に示すように、基本的な構成は第1実施形態と同一であるが、異常検出装置1cに太陽光発電装置の全体の発電電力の一部が制御電源線PLを介して供給される構成に代え、異常検出装置1cに対応する太陽電池モジュール2が発電している電力からなる内部電力IP’が、異常検出装置1cの制御電源として供給される。尚、内部電力IP’ではなく、太陽光発電装置の発電電力の一部を異常検出装置1cに制御電源として供給するようにすることも可能である。
【0062】
異常検出装置1cの回路例は、例えば
図20のようにして構成される。
図20における一の太陽電池モジュール2と対応する異常検出装置1cは、電力検出部11である非接触電流センサー111と増幅器112と掛算器113、異常検出部12c、LED灯等の告知部13を備え、電力検出部11、告知部13は第1実施形態と同様である。異常検出部12cは、所定処理を行う演算制御部、異常検出プログラムや許容範囲のデータ、LED灯の点灯パターンのデータなどの各種データを記憶する記憶部等から構成され、記憶部の一部に記憶されている異常検出プログラムに従って所定動作を行うようになっており、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cと、その隣の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cは通信線CLを介して接続されている。
【0063】
太陽電池モジュール2には、DC−DCコンバータやレギュレーター等の電圧変換部52cが並列接続され、太陽電池モジュール2の発電する電力が電圧変換部52cを介して電圧を降圧する等の電圧変換を施され、異常検出装置1cに内部電力IP’として供給されるようになっている。尚、図示例では電力検出部11に対する電力の供給線を省略している。また、電圧変換部52cは、必要に応じて、入力される電力の一部を分岐使用して駆動させてもよい。
【0064】
異常検出部12cには、一の太陽電池モジュール2の電力検出部11の掛算器113から一の太陽電池モジュール2の電力が入力され、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cは、その電力を取得すると共に、取得した電力を、電力幹線MLの電流の流れの下流側、或いは上流側、或いは下流側と上流側の双方の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cに通信線CLを介して出力するようになっている。即ち、一の太陽電池モジュール2の異常検出部12cにも、電力幹線MLの電流の流れの上流側、或いは下流側、或いは上流側と下流側の双方の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cから通信線CLを介して各々対応する電力が入力されるようになっている。尚、太陽電池モジュール2を直列接続する電力幹線MLの両端部に位置する太陽電池モジュール2については、一方の端部に位置する一の太陽電池モジュール2の異常検出部12cと、他方の端部に位置する他の太陽電池モジュール2の異常検出部12cを通信線CLを介して接続してもよい。
【0065】
そして、異常検出部12cは、対応する一の太陽電池モジュール2の電力検出部11から入力される電力と、一の太陽電池モジュール2と直列接続される他の太陽電池モジュール2の電力検出部12で検出されて、他の太陽電池モジュール2の異常検出部12cから通信線CLを介して入力される電力とを相互比較し、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出し、一の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、告知部13のLED灯を常時点灯など所定パターンで点灯するように制御する。例えば異常検出部12cは、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力とを相互比較して電力差を取得し、その電力差、或いはその電力差に対して所定の演算処理を施した値が、設定記憶されている所定条件の許容範囲外の場合に、一の太陽電池モジュール2の異常を検出する。この所定条件は、第1実施形態と同様のもの等を適宜用いることができる。
【0066】
更に、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cは、上流側或いは下流側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cからの通信線CLを介しての電力の入力おいて、入力される電力が記憶されている所定条件の許容範囲外の場合、又は無応答など電力の不入力が記憶されている所定条件の許容範囲外の場合、又はその双方の構成を設けていずれかが該当する場合には、他の太陽電池モジュール2の異常を検出し、他の太陽電池モジュール2の異常検出に応じて、告知部13のLED灯を点滅など一の太陽電池モジュール2の異常の場合と異なる所定パターンで点灯するように制御する。
【0067】
この入力される電力が所定条件の許容範囲外とする場合には、例えば異常検出部12cが、電力の閾値と設定継続時間とを記憶し、入力される電力と閾値とを対比して入力電力が閾値以下であるか判定し、この状態が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとする構成、又は、異常検出部12cが、電力の閾値と設定判定回数と設定判定間隔とを記憶し、入力される電力と閾値とを対比して入力電力が閾値以下であるか判定し、この状態が設定判定間隔毎に行われる設定判定回数以上である場合に、所定条件の許容範囲外であるとする構成、異常検出部12cが、電力の積算量の閾値と設定時間、若しくは設定回数及び設定間隔とを記憶し、入力される電力を設定時間、若しくは設定間隔毎の設定回数に亘って積算して積算量を取得し、その積算量と閾値とを対比して積算量が閾値以下であるか判定し、積算量が閾値以下の場合に所定条件の許容範囲外であるとする構成等とすることが可能である。
【0068】
また、無応答など電力の不入力が所定条件の許容範囲外とする場合には、例えば異常検出部12cが、設定継続時間を記憶し、電力の不入力が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとする構成、又は、異常検出部12cが、設定判定回数を記憶し、電力の不入力が設定継続時間以上継続した場合に、所定条件の許容範囲外であるとする構成等とすることが可能である。
【0069】
更に、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cが、電力幹線MLの電流の流れにおける上流側と下流側の双方の他の太陽電池モジュール2の異常を検出する場合、上流側の他の太陽電池モジュール2の異常を所定条件の許容範囲外として検出した際には、その異常検出に応じて、告知部13のLED灯を第1のパターンで点滅するなど、一の太陽電池モジュール2の異常の場合と異なる所定パターンで点灯するように制御すると共に、下流側の他の太陽電池モジュール2の異常を所定条件の許容範囲外として検出した際には、その異常検出に応じて、告知部13のLED灯を第1のパターンより遅い周期の点滅等の第2のパターンで点滅するなど、一の太陽電池モジュール2の異常及び上流側の他の太陽電池モジュールの異常の場合と異なる所定パターンで点灯するように制御するとよい。尚、LED灯以外の告知部13の場合も同様の異なるパターンで告知するとよい。
【0070】
このように一の太陽電池モジュール2の上流側と下流側の他の太陽電池モジュール2の異常を異なるパターンで示すことにより、例えば下流側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1cのLED灯が第1のパターンで点滅し、上流側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1cのLED灯が第2のパターンで点滅している場合、その間に挟まれて隣接する一の太陽電池モジュール2の異常検出装置1cのLED灯が点灯していない場合にも、その一の太陽電池モジュール2の異常を検出することができる。
【0071】
第4実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1cで異常検出処理を行う際には、例えば
図21に示すように、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cに、一の太陽電池モジュール2の電力が検出されて入力されると共に(S401)、その異常検出部12cが、電力幹線MLの電流の流れの上流側或いは下流側で隣接する他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cから、通信線CLを介して他の太陽電池モジュール2で検出される電力が入力されたか否かの判定を行う(S402)。
【0072】
他の太陽電池モジュール2の電力が入力されない場合には、その電力が入力されない状態が所定条件の許容範囲内であるか否かの判定を行い(S403)、その状態が例えば設定継続時間未満の場合など所定条件の許容範囲内である場合には、S401、S402の処理を継続して行う。他方で、その電力が入力されない状態が所定条件の許容範囲外である場合には、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cは、他の太陽電池モジュール2の異常を検出し(S404)、LED灯を所定パターンで点滅するように制御し、告知部13であるLED灯の所定パターンの点滅で他の太陽電池モジュール2の異常を告知する(S405)。
【0073】
また、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cが、他の太陽電池モジュール2の電力が入力されたと判定した場合には、第1実施形態等と同様に、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力比較による異常検出の処理及び告知の処理(S406)、即ち、一の太陽電池モジュール2の電力と他の太陽電池モジュール2の電力との相互比較、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外であるか否かの判定、その比較に基づく結果が所定条件の許容範囲外である場合に一の太陽電池モジュール2の異常の検出、一の太陽電池モジュール2の異常の告知を行う。
【0074】
第4実施形態の太陽電池モジュールの異常検出装置1cによる異常検出処理の別例として、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cが、電力幹線MLの電流の流れの上流側及び下流側で隣接する両側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cからの電力の入力を判定して異常検出の処理を行う場合には、上流側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cとの関係、下流側の他の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cとの関係において、S401〜S406の処理を並行して行い、上流側の他の太陽電池モジュール2の異常を検出した場合には、LED灯の第1のパターンの点滅で上流側の他の太陽電池モジュール2の異常を告知し、下流側の他の太陽電池モジュール2の異常を検出した場合には、第1のパターンより遅い周期の点滅などLED灯の第2のパターンの点滅で下流側の他の太陽電池モジュール2の異常を告知する。
【0075】
更に、上流側と下流側の他の太陽電池モジュール2の双方から電力が入力されない状態が所定条件の許容範囲外になった場合には、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cは、上流側と下流側の双方の他の太陽電池モジュール2の異常を検出し、第1のパターン、第2のパターンの双方より早い周期の点滅などLED灯を第3のパターンで点滅するように制御し、告知部13であるLED灯の第3のパターンの点滅で上流側及び下流側の他の太陽電池モジュール2の異常を告知するようにするとよく、それぞれの異常の内容に応じて異なる告知パターンで告知するようにLED灯等を制御するとよい。
【0076】
また、一の太陽電池モジュール2に対応する異常検出部12cにおいて、上流側と下流側の他の太陽電池モジュール2のいずれかからは電力が入力され、他方からは電力が入力されず、電力が入力されない方の他の太陽電池モジュール2の異常を検出すると共に、電力比較に基づき一の太陽電池モジュール2自体の異常も検出した場合には、異常検出部12cに設定記憶されている優先順位に応じて、LED灯の点滅等で他の太陽電池モジュール2の異常を告知するように制御する、又は、LED灯の常時点灯等で一の太陽電池モジュール2の異常を告知するように制御するとよい。
【0077】
第4実施形態によれば、上流側や下流側の太陽電池モジュールに対応する異常検出部に異常が生じて対応する告知部で異常を告知できない場合や、断線等で上流側や下流側の太陽電池モジュールの異常を対応する告知部で告知できない場合等にも、一の太陽電池モジュールに対応する告知部により、上流側や下流側の太陽電池モジュールの異常を検出、告知することができる。更には、一の太陽電池モジュールの異常と、上流側の太陽電池モジュールの異常と、下流側の太陽電池モジュールの異常の告知のパターンを異なるものとすることにより、いずれの太陽電池モジュールの異常であるかを特定することが可能となり、例えば遅い点滅のLED灯と早い点滅のLED灯の間に挟まれた異常の太陽電池モジュールを容易且つ正確に特定することができる。その他、第4実施形態は第1実施形態と対応する構成から第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、各実施形態、各例の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを包含する。そして、下記変形例等も含む。
【0079】
例えば第3、第4実施形態の異常検出装置1b、1cでは、第2実施形態の構成を組み合わせ、外部への異常信号ESを送信するようにしてもよい。そして、一の太陽電池モジュール2と他の太陽電池モジュール2の電力の相互比較に基づく異常検出に加え、電圧変換部52の出力から取得する電圧に基づく異常検出、他の太陽電池モジュール2の異常検出の場合にも、外部へ異常信号ESを送信するようにすることも可能である。この場合にも、異常告知に対応する許容範囲と、異常検出の外部への送信に対応する許容範囲を別の条件で規定してもよい。
【0080】
また、上記第1〜第4実施形態やその変形例における回路構成は例示であり、異常検出装置1、1a、1b、1cの電力検出部11、異常検出部12、12a、12c、告知部13は、本発明の趣旨の範囲内で適宜の構成とすることが可能である。特に、所定の制御プログラムで動作する演算制御部と記憶部等で異常検出部12、12c或いは判定検出器122、122aを構成する場合に、本発明の趣旨の範囲内で適宜のデータを記憶させ、適宜の処理手順を行うことが可能である。
【0081】
また、異常検出部12、12aの比較器121や異常検出部12cに電力検出部11から入力される電力は、その電力自体とする他、電力の数値データのみとすることも可能であり、これに対応して通信線CLは電力自体或いは電力値のデータを伝送し、又、電力検出部11は、電力自体或いは電力値のデータを出力する構成とすることが可能である。また、電力検出部11には、必要に応じて所定のプログラムで動作する演算制御部と各種データを記憶する記憶部等を設け、電力自体或いは電力値のデータを出力するように構成してもよい。また、電流センサーには上記非接触電流センサー111以外の適宜のセンサーを用いることが可能である。
【0082】
また、第4実施形態のDC−DCコンバータ等の電圧変換部52等は、一つの太陽電池モジュール2に対応して設ける構成の他、直列接続された複数の太陽電池モジュール2に対して並列接続し、直列接続された複数の太陽電池モジュール2の発電電力の一部を利用するように電圧変換部52で電圧変換し、変換後の電圧の電力を、入力駆動電圧の範囲にある程度幅がある異常検出装置1cの各々等に分配するようにしてもよい。この構成によれば、直列接続された複数の太陽電池モジュール2のいずれかが発電停止状態になった場合にも、各太陽電池モジュール2に対応する異常検出装置1cの各々等の動作を確保することができる。また、複数の太陽電池モジュール2の各々に対応する異常検出部12等を一体的なユニットとして構成することも可能である。