(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)
室温で液状であり、1分子内に少なくとも1つのアクリル基またはメタクリル基を有し、数平均分子量500以上30000以下で、
かつ分子骨格中に二重結合を有する炭化水素化合物またはその誘導体、(B)エチレン性不飽和基を有する重合性モノマー、(C)ラジカル重合触媒、(D)下記一般式(1)で示されるチアジアゾリルジスルフィド化合物
【化1】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ炭素数1〜20の2価の有機残基を表し、X
1およびX
2はそれぞれラジカル重合性不飽和結合を有する1価の有機基を表し、Y
1およびY
2はそれぞれ硫黄原子、窒素原子又はNH基を表し、nは1〜3の整数、mは前記Y
1が硫黄原子またはNH基であるときは1を、窒素原子であるときは2を表し、oは前記Y
2が硫黄原子またはNH基であるときは1を、窒素原子であるときは2を表す。)および(E)充填剤を含有することを特徴とする半導体接着用熱硬化型樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物に使用される(A)成分は、分子骨格中に二重結合を有する炭化水素化合物またはその誘導体であり、例えば、ブチルゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、あるいはその水素添加型等の誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、可とう性を付与するために、(A)成分である炭化水素化合物またはその誘導体は、数平均分子量が500以上30000以下であり、好ましくは500以上20000以下であり、より好ましくは500以上15000以下である。数平均分子量が500未満では、可とう性が低下し、また耐熱性も低下する。一方、30000を超えると、組成物調製時の作業性や使用時の塗布作業性が不良となる傾向にある。(A)成分としては、特に、室温で液状であり、かつ1分子内に少なくとも1つのアクリル基もしくはメタクリル基を有するものが好ましい。(A)成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0013】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物に使用される(B)成分の重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を有するものであり、例えば、脂環式(メタ)アクリル酸エステル、脂肪族(メタ)アクリル酸エステル、芳香族(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールジメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート等が使用される。(B)成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
この(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計質量中の割合が10〜90質量%となる範囲、つまり、(A)成分と(B)成分の質量比が10:90〜90:10となる範囲が好ましい。(B)成分の割合が10質量%未満では、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の粘度が高くなり作業性が低下する。また、90質量%を越えると接着性に問題が生ずるおそれがある。より好ましくは(A)成分と(B)成分の質量比が20:80〜80:20となる範囲である。
【0015】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物に使用される(C)成分のラジカル重合触媒は、ラジカル重合に一般に用いられている触媒であれば特に限定されることなく使用することができるが、好ましくは、急速加熱試験における分解温度(試料1gを電熱板の上に乗せ、4℃/分で昇温したときの分解開始温度)が40〜140℃となるものである。分解温度が40℃未満であると、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の常温における保存性が不良となり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるおそれがある。
【0016】
上記条件を満たすラジカル重合触媒の例としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、あるいは硬化性を制御するために2種以上を混合して使用してもよい。
【0017】
なお、本発明においては、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の保存性の低下を防止するために、重合禁止剤をラジカル重合触媒を添加する前に予め添加しておいてもよい。そのような重合禁止剤の例としては、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0018】
この(C)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計質量100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。0.1質量部未満では、硬化性が著しく低下するおそれがあり、10質量部を越えると、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の粘度の経時変化が大きくなり、作業性が低下するおそれがある。
【0019】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物に使用される(D)成分は、下記一般式(1)で示されるチアジアゾリルジスルフィド化合物
【化2】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ炭素数1〜20の2価の有機残基を表し、X
1およびX
2はそれぞれラジカル重合性不飽和結合を有する1価の有機基を表し、Y
1およびY
2はそれぞれ硫黄原子、窒素原子又はNH基を表し、nは1〜3の整数、mは前記Y
1が硫黄原子またはNH基であるときは1を、窒素原子であるときは2を表し、oは前記Y
2が硫黄原子またはNH基であるときは1を、窒素原子であるときは2を表す。)であり、このような特定の構造を有する化合物を含有するプライマーまたは接着剤は、上記課題を解決するのに適し、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属およびそれらの合金に対し、スズ電析や酸化処理等の煩雑な処理を施すことなく、強力かつ耐久的な接着性を発現できるだけでなく、優れた可とう性を有する。また、この(D)成分は上記(B)成分には含まれない。
【0020】
ここで、R
1およびR
2は、炭素数1〜20の2価の有機残基を表すが、具体的には、直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基、該アルキレン基の主鎖に酸素が含まれるオキシアルキレン基、上記アルキレン基の主鎖にカルボキシル基が含まれる基が挙げられる。さらに具体的には、次の化学式で表わされる基が挙げられる。
【0021】
【化3】
(式中、hは1〜20の整数、iは1〜9の整数、jは1〜5の整数、kは1〜4の整数、lは1〜4の整数をそれぞれ表す。)
【0022】
また、X
1およびX
2は、ラジカル重合性不飽和結合を有する1価の有機基を表すが、具体的には、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、4−ビニルベンジルオキシ基が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる(D)成分であるチアジアゾリルジスルフィド化合物としては、具体的には、次の化合物が例示できる。
【0029】
この(D)成分としては、特に、下記一般式(2)に示すチアジアゾリルジスルフィド化合物が、接着力、溶解性及び合成の容易さの点で好ましく採用される。
【0030】
【化9】
(式中、Wはメタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、4−ビニルベンジルオキシ基を表し、pは6〜11の整数を表す。)
【0031】
この(D)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計質量100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。0.01質量部未満では、密着性が十分に得られないおそれがあり、20質量部を越えると、硬化物の耐熱性が低下するおそれがある。また、この(D)成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
本発明において、チアジアゾリルジスルフィドは、例えば、Y
1及びY
2が硫黄である場合には、窒素雰囲気下で、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのメタノール溶液の入った3つ口フラスコに、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を滴下ロートを用いて室温でゆっくり滴下し、さらに、X
1−R
1−Br、X
2−R
2−Br等の末端にラジカル重合性不飽和結合を有するハロゲン化物(X
1,X
2,R
1,R
2は上記と同じである。)のメタノール溶液をゆっくり滴下した後、3時間加熱還流させた後、室温まで放冷し、次いで反応混合物に水を加えて反応を停止し、反応系からメタノールを減圧留去することで得られる。
【0033】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物に使用される(E)成分の充填材は、無機系および有機系のいずれであってもよく、従来公知の充填材が使用できる。無機系充填材としては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉等の金属粉や、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの無機系充填材のうち、金属粉は主に導電性や熱伝導性を付与するために用いられる。また、有機系充填材としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ベンゾグアナミンやメラミンとホルムアルデヒドとの架橋物等が挙げられる。さらに、シリカとアクリル樹脂との複合材や、有機系充填材表面に金属コーティングを施したもの等、有機化合物と無機化合物を複合した充填材等も使用される。これらの充填材は、分散性等を高めるため、アルコキシシラン、アシロキシシラン、シラザン、オルガノアミノシラン等のシランカップリング材等により表面処理が施されていてもよい。これらの充填剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
(E)成分の充填剤としては、導電性の用途には、特に銀粉が、入手が容易で、形状、粒径の種類が多く、導電性が良好で、かつ加熱しても導電性が変化しないことから好ましい。また、絶縁用途には、特にシリカが、入手の容易さと種類の豊富さの観点から好ましい。これらの充填剤は、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物の含有量が10ppm以下であることが好ましい。また、充填剤の形状は特に限定されず、例えば、フレーク状、鱗片状、樹枝状、球状のもの等が用いられる。また、粒径も特に限定されず、例えば、粒径が1〜100nm程度のナノスケールのものも用いられる。
【0035】
この(E)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計質量100質量部に対して、1〜300質量部が好ましい。配合量を1質量部以上とすることで、硬化物の膨張係数が過度に大きくなることを抑制し、接着の信頼性を良好にすることができる。また、300質量部以下とすることで、粘度が過度に大きくなることを抑制し、作業性を良好にすることができる。
【0036】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、硬化促進剤、ゴムやシリコーン等の低応力化剤、カップリング剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、その他の各種添加剤を、必要に応じて配合することができる。また、各種溶剤も必要に応じて適宜配合することができる。これらの各添加剤はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物は、上記した(A)〜(E)成分、および必要に応じて配合されるカップリング剤等の添加剤等を十分に混合した後、さらにディスパース、ニーダー、3本ロールミル等により混練処理を行い、次いで、脱泡することにより、調製することができる。
【0038】
本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物は、低弾性率で、かつ密着性に優れており、これを用いて、特に耐半田クラック性が従来に比べ向上した半導体装置を得ることができる。
【0039】
次に、本発明の半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、例えば、本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を介して半導体素子をリードフレームにマウントし、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を加熱硬化させた後、リードフレームのリード部と半導体素子上の電極とをワイヤボンディングにより接続し、次いで、これらを封止樹脂を用いて封止することにより製造することができる。ボンディングワイヤとしては、例えば、銅、金、アルミ、金合金、アルミ−シリコン等からなるワイヤが例示される。また、導電性ペーストを硬化させる際の温度は、通常、150〜250℃であり、0.5〜2間程度加熱することが好ましい。
【0040】
図1は、このようにして得られた本発明の半導体装置の一例を示したものであり、銅フレーム等のリードフレーム1と半導体素子2の間に、本発明の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の硬化物である接着剤層3が介在されている。また、半導体素子2上の電極4とリードフレーム1のリード部5とがボンディングワイヤ6により接続されており、さらに、これらが封止樹脂7により封止されている。なお、接着剤層3の厚さとしては、10〜30μm程度が好ましい。
【0041】
本発明の半導体装置は、低弾性率で、かつ密着性に優れた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物により半導体素子が接着固定されているので、耐半田クラック性に優れており、高い信頼性を具備している。
【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
窒素雰囲気下、300mlの三つ口フラスコに、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール 1.5g(10.0mmol)を溶解したメタノール溶液 40mlを収容し、さらに、ナトリウムメトキシド 0.54g(10.0mmol)を溶解したメタノール溶液 15mlを滴下ロートを用いて室温でゆっくり滴下した。引き続き、11−ブロモウンデシルメタクリレート3.19g(10.0mmol)のメタノール溶液15mlをゆっくり滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流させた。その後、室温まで放冷し、反応混合物に水を加えて反応を停止した。反応系からメタノールを減圧留去し、水層をエーテルで抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去したところ、淡黄色固体の2−(11−メタクリロイルオキシウンデシルチオ)−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 3.56gを得た。
【0044】
300mlの三つ口フラスコに、得られた2−(11−メタクリロイルオキシウンデシルチオ)−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.85g(7.35mmol)を溶解したメタノール溶液 150mlを収容し、31質量%濃度の過酸化水素水 1.2g(11.1mmol)を滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。滴下終了後、1時間室温で撹拌させた。その後、反応系から析出した固体を濾過した。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させたところ、式(A)で示されるチアジアゾリルジスルフィド化合物(以下、チアジアゾリルスルフィド化合物Iと称する) 1.85gを得た。
【0045】
このチアジアゾリルスルフィド化合物I 1質量部、アクリル変性ポリブタジエンとして「MM−1000−80」(日本石油化学(株)製 商品名、数平均分子量1000)70質量部、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸として「ライトエステルHO−MS」(共栄社化学(株)製 商品名)30質量部、ジクミルパーオキサイドとして「パークミルD」(日本油脂(株)製 商品名、急速加熱試験における分解温度175℃)1質量部、アルコキシシランとして「KBM−403」(信越化学工業(株)製 商品名)0.2質量部および銀粉(粒径0.1〜30μm、平均粒径3μm、フレーク状)250質量部を十分に混合し、さらに三本ロールで混練して半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0046】
(実施例2)
銀粉に代えて、シリカ粉末(平均粒径3μm、最大粒径20μm、球状)180質量部を用いるとともに、アルコキシシラン「KBM−403」の配合量を0.5質量部とした以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0047】
(実施例3)
アクリル変性ポリブタジエンに代えて、アクリル変性水素添加型ポリブタジエン「TEAI−1000」(日本曹達(株)製 商品名、数平均分子量2250)70質量部を用いた以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0048】
(実施例4)
アクリル変性ポリブタジエンに代えて、メタクリル変性ポリイソプレン「UC−102」(クラレ(株)製 商品名、数平均分子量17000)70質量部を用いた以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0049】
(実施例5)
チアジアゾリルジスルフィド化合物Iに代えて、式(B)で示されるチアジアゾリルジスルフィド化合物(以下、チアジアゾリルジスルフィド化合物IIと称する)1質量部を用いた以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0050】
(実施例6)
チアジアゾリルジスルフィド化合物Iの配合量を5質量部とした以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0051】
(比較例1)
チアジアゾリルジスルフィド化合物を非配合とし、かつアルコキシシラン「KBM−403」の配合量を0.5質量部とした以外は実施例1と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0052】
(比較例2)
チアジアゾリルジスルフィド化合物を非配合とし、かつアルコキシシラン「KBM−403」の配合量を0.5質量部とした以外は実施例2と同様にして半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0053】
上記各実施例および各比較例で得られた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
【0054】
(1)初期粘度
調製直後の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の粘度を、東機産業(株)製のE型粘度計(3°コーン)を用い、25℃、2.5rpmの条件で測定した。
【0055】
(2)引張弾性率
得られた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を150℃で30分間加熱し硬化させて作製したフィルム状試験片(20mm×4mm×0.1mm)について、セイコーインスツルメンツ(株)製の動的粘弾性測定装置DMS6100を用い、25℃における引張弾性率を測定した。測定条件は以下の通りである。
測定温度:−100〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
【0056】
(3)ポットライフ
得られた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を25℃の恒温槽内に放置し、粘度が初期粘度の1.5倍以上に増粘するまでの日数を調べた。
【0057】
(4)熱時接着強度
得られた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を銅フレーム上に20μm厚に塗布し、その上に2mm×2mmの半導体チップ(シリコンチップ)をマウントし、200℃で60分間加熱硬化させ、接続サンプルを作製した。この接続サンプルについて、西進商事(株)製のボンドテスターSS−100KPを用いて260℃で測定した。
【0058】
(5)耐半田リフロー性
得られた半導体接着用熱硬化型樹脂組成物を銅フレーム上に20μm厚に塗布し、その上に6mm×6mmの半導体チップ(シリコンチップ、表面アルミ配線のみ)をマウントし、200℃で60分間加熱硬化させた後、京セラケミカル(株)製のエポキシ樹脂封止材(商品名:KE−G1200)を用いて封止し、半導体パッケージ(80pQFP、14mm×20mm×2mm)を作製した。封止は、まず、175℃、2分間、1MPaの条件でトランスファー成形し、その後、175℃で8時間の後硬化を行った。このパッケージに85℃、85%RH、168時間の吸湿処理を施した後、IRリフロー処理(260℃、10秒)を行い、パッケージの外部クラック(パッケージ表面のクラック)の発生の有無を顕微鏡(倍率:15倍)で観察し、その発生数を調べた。また、パッケージの内部クラック(チップクラック)の発生の有無を超音波顕微鏡で観察し、その発生数を調べた(n=5)。
【0059】
これらの結果を、半導体接着用熱硬化型樹脂組成物の組成とともに表1に示す。
【表1】
【0060】
表1からも明らかなように、実施例の半導体接着用熱硬化型樹脂組成物は、低弾性率で、かつ高い密着性を有しており、また、これを用いた半導体装置は耐半田リフロー性に優れていた。