(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029325
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】複合弁及び給湯装置
(51)【国際特許分類】
F16K 11/20 20060101AFI20161114BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20161114BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20161114BHJP
F16K 5/04 20060101ALI20161114BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20161114BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
F16K11/20 Z
F16K31/04 Z
F16K1/00 F
F16K1/00 G
F16K5/04 F
F16K51/00 C
E03C1/044
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-123552(P2012-123552)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-249860(P2013-249860A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 忠志
(72)【発明者】
【氏名】望月 健一
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−127979(JP,A)
【文献】
特開2009−2599(JP,A)
【文献】
実開昭60−22567(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/20
E03C 1/044
F16K 1/00
F16K 5/04
F16K 31/04
F16K 51/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口、複数個の流出口、及び排出口が設けられた弁本体と、
前記流入口から前記弁本体内に流入した流体を前記複数個の流出口から選択的に流出させるための第1弁体と、
該第1弁体を開閉駆動するための第1弁体駆動手段と、
前記流入口から前記弁本体内に流入した流体を前記排出口から排出させるための第2弁体と、
該第2弁体を開閉操作するための第2弁体操作手段と、を備え、
前記第1弁体として、ロータリー型のものが用いられるとともに、前記第1弁体駆動手段として、モーターが用いられていることを特徴とする複合弁。
【請求項2】
前記第2弁体として、前記排出口に接離する方向に直線的に進退せしめられるリフト型のものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の複合弁。
【請求項3】
前記第2弁体操作手段は、前記第2弁体を前記排出口に接離する方向に進退させるべく、前記接離方向に沿って回されるてこの原理を利用した手動操作レバーを含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の複合弁。
【請求項4】
前記第2弁体操作手段は、前記第2弁体を前記排出口に接離する方向に進退させるべく、前記弁本体に螺合せしめられてねじ送りされるねじ付き手動操作ハンドルを含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の複合弁。
【請求項5】
前記排出口が前記第2弁体により閉じられているとき、前記流入口から弁本体内に流入した流体は前記第2弁体部分を通って前記流出口に向かうようにされていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の複合弁。
【請求項6】
前記第2弁体として、前記弁本体に摺動回転可能に嵌挿されるロータリー型のものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の複合弁。
【請求項7】
前記第2弁体操作手段は、前記第2弁体を同一平面内で回動させるための手動操作ハンドルを含んで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の複合弁。
【請求項8】
前記排出口が前記第2弁体により閉じられているとき、前記流入口から弁本体内に流入した流体は前記第2弁体部分を通ることなく前記流出口に向かうようにされていることを特徴とする請求項6又は7に記載の複合弁。
【請求項9】
前記第1弁体として、前記第1弁体と第2弁体は、有底円筒状とされ、それら両者が相互に対向するように、縦長筒状とされた前記弁本体の両端部に設けられた嵌挿部にそれぞれ摺動回転可能に嵌挿されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の複合弁。
【請求項10】
ヒートポンプ、該ヒートポンプにより加熱された湯を貯める貯湯タンク、及び前記ヒートポンプと貯湯タンクとの間で湯水を循環させるポンプを備え、前記ヒートポンプにより加熱された湯を前記貯湯タンクに送る流路に請求項1から9のいずれか一項に記載の複合弁が配備され、前記複合弁の複数の流出口が前記貯湯タンクの供給口に接続され、前記複合弁の排出口が外部の排水口に接続されていることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類の弁体を備えた複合弁並びにそれを備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に従来の給湯装置の一例の主要部を示す(下記特許文献1も参照)。この給湯装置200は、基本的には、ヒートポンプ210、このヒートポンプ210により加熱された湯を貯める貯湯タンク220、及びヒートポンプ210と貯湯タンク220との間で湯水を循環させるためのポンプ230を備えている。
【0003】
より詳細には、貯湯タンク220の底部とヒートポンプ210とを結ぶ流路260、261における貯湯タンク220とポンプ230との間には、手動操作される排水用三方弁240が配備されている。通常は、この排水用三方弁240が手動操作されて流路260と261とが接続され、これにより、貯湯タンク220内の湯水が排水用三方弁240→ポンプ230→ヒートポンプ210へと送られて、ヒートポンプ210内で加熱される。それに対し、貯湯タンク220内の水を抜く必要があるとき(非常時、メンテナンス時等)には、排水用三方弁240が手動操作されて流路260と262とが接続され、これにより、貯湯タンク220内の湯水が排水用三方弁240を介して外部の排水口に排出される。
【0004】
また、ヒートポンプ210により加熱された湯を貯湯タンク220に送る流路270、271、272には、温度センサにより検出された湯水の温度等に基づいて制御部によりその動作が制御される例えば電子制御式電動弁からなる沸き上げ三方弁250が配備されている。ヒートポンプ210により加熱された湯を貯湯タンク220の上部に送る場合(湯が高温の場合)は、沸き上げ三方弁250により流路270と271を接続し、貯湯タンク220の下部に送る場合(湯水が低温の場合)は、沸き上げ三方弁250により流路270と272を接続するようにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−158159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した如くの従来の給湯装置では、沸き上げ三方弁250と排水用三方弁240とが必要で、それらが別々に配備されているので、部品コスト、配管コストが高くなる嫌いがあり、また、大きな占有スペースが必要となるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、二種類の三方弁を一纏めにして、給湯装置等において部品コスト、配管コスト、占有スペース等を削減できるようにされた複合弁及びそれを備えた給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明に係る複合弁は、基本的には、流入口、複数個の流出口、及び排出口が設けられた弁本体と、前記流入口から前記弁本体内に流入した流体を前記複数個の流出口から選択的に流出させるための第1弁体と、該第1弁体を開閉駆動するための第1弁体駆動手段と、前記流入口から前記弁本体内に流入した流体を前記排出口から排出させるための第2弁体と、該第2弁体を開閉操作するための第2弁体操作手段と、を備え
、前記第1弁体として、ロータリー型のものが用いられるとともに、前記第1弁体駆動手段として、モーターが用いられていることを特徴とする。
【0009】
前記第2弁体として、好ましくは、前記排出口に接離する方向に直線的に進退せしめられるリフト型のものが用いられる。
【0010】
前記第2弁体操作手段は、好ましくは、前記第2弁体を前記排出口に接離する方向に進退させるべく、前記接離方向に沿って回されるてこの原理を利用した手動操作レバーを含んで構成される。
【0011】
前記第2弁体操作手段は、好ましくは、前記第2弁体を前記排出口に接離する方向に進退させるべく、前記弁本体に螺合せしめられてねじ送りされるねじ付き手動操作ハンドルを含んで構成される。
【0012】
好ましい態様では、前記排出口が前記第2弁体により閉じられているとき、前記流入口から弁本体内に流入した流体は前記第2弁体部分を通って前記流出口に向かうようにされる。
【0013】
他の好ましい態様では、前記第2弁体として、前記弁本体に摺動回転可能に嵌挿されるロータリー型のものが用いられる。
【0014】
前記第2弁体操作手段は、好ましくは、前記第2弁体を同一平面内で回動させるための手動操作ハンドルを含んで構成される。
【0015】
好ましい態様では、前記排出口が前記第2弁体により閉じられているとき、前記流入口から弁本体内に流入した流体は前記第2弁体部分を通ることなく前記流出口に向かうようにされる。
【0017】
他の好ましい態様では、前記第1弁体として、ロータリー型のものが用いられるとともに、前記第1弁体駆動手段として、モーターが用いられ、前記第1弁体と第2弁体は、有底円筒状とされ、それら両者が相互に対向するように、縦長筒状とされた前記弁本体の両端部に設けられた嵌挿部にそれぞれ摺動回転可能に嵌挿される。
【0018】
本発明に係る給湯装置は、ヒートポンプ、該ヒートポンプにより加熱された湯を貯める貯湯タンク、及び前記ヒートポンプと貯湯タンクとの間で湯水を循環させるポンプを備え、前記ヒートポンプにより加熱された湯を前記貯湯タンクに送る流路に上記した複合弁が配備され、前記複合弁の複数の流出口が前記貯湯タンクの供給口に接続され、前記複合弁の排出口が外部の排水口に接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る複合弁は、主として第1弁体部分が従来の給湯装置における沸き上げ三方弁として機能し、主として第2弁体部分が排水用三方弁2として機能する。この場合、二種類の三方弁(沸き上げ三方弁と排水用三方弁)が一纏めにされているので、給湯装置等において部品コスト、配管コスト、占有スペース等を削減できる効果を奏する。
【0021】
また、本発明に係る給湯装置は、ヒートポンプにより加熱された湯を貯湯タンクに送る流路に、ヒートポンプ内の湯水を外部に排出するための排出手段が設けられているので、上述のような複合弁を採用するだけで沸き上げ三方弁と排水用三方弁の機能を達成することができ、当該給湯装置の構造が簡略されると共に、部品コスト、配管コスト、占有スペース等を削減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る複合弁の第1実施例を示す部分切欠断面図であり、(A)は第2弁体:閉時、(B)は第2弁体:開時。
【
図2】第1実施例の第2弁体操作手段を示し、(A)は
図1(A)のC矢視線に従う拡大図、(B)は斜視図。
【
図3】本発明に係る複合弁の第2実施例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のX-X矢視断面図。
【
図5】本発明に係る複合弁に使用可能な他の手動操作弁を示し、(A)は弁体操作手段として手動操作レバーが用いられているもの、(B)は弁体操作手段としてねじ付き手動操作ハンドルが用いられているもの。
【
図6】本発明に係る複合弁が用いられた給湯装置の一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る複合弁の第1実施例を示す部分切欠断面図であり、(A)は第2弁体:閉時、(B)は第2弁体:開時を示す。
図2は、第1実施例の第2弁体操作手段を示し、(A)は
図1(A)のC矢視線に従う拡大図、(B)は斜視図である。
【0024】
図示の複合弁1は、基本的には、概略円筒状の弁本体10を有し、この弁本体10の下部に流入口11が設けられるとともに、その上部には第1流出口12と第2流出口13とが180度の角度間隔をあけて対向するように設けられ、流入口11の直ぐ上には、第2流出口13と同じ向きに排出口14が設けられている。
【0025】
第2流出口13と排出口14とは、組立て上の便宜等を図るため弁本体10とは別体に作製されて溶着等により後付けされている。
【0026】
弁本体10における第1流出口12と第2流出口13が設けられている部分には、流入口11から弁本体10内に流入した流体を流出口12、13から選択的に流出させるためのロータリー型をとる概略球状の第1弁体20が摺動回転可能に配備されている。
【0027】
第1弁体20には、逆L形の通路22が設けられており、この通路22の横向き開口22aが第1流出口12に向き合う位置まで回転せしめられると、流入口11からの流体(湯)が第1流出口12側に流れ、通路22の横向き開口22aが第2流出口13に向き合う位置まで回転せしめられると、流入口11からの流体(湯)が第2流出口13側に流れるようになっている。
【0028】
弁本体10の最上部には、第1弁体20を開閉駆動(回動)させるための第1弁体駆動手段としてのステッピングモータ50が配備されている。
【0029】
より詳細には、弁本体10の最上部には、中央部に軸受穴16が形成された上側受座15を有し、この上側受座15上に取付具等を介してステッピングモータ
50がボルトナット類で取り付けられている。ステッピングモータ
50の回転は、前記軸受穴16に摺動回転自在に通された回転軸25により伝えられる。
【0030】
一方、弁本体10における排出口14が設けられている部分には、流入口11から弁本体10内に流入した流体を排出口14から排出させるための第2弁体30と、この第2弁体30を開閉操作するための第2弁体操作手段が設けられている。
【0031】
第2弁体30は、排出口14(の開口端縁部=弁座14a)に接離する方向(ここでは横方向)に直線的に進退せしめられるリフト型のもので、軸部31とこの軸部31の下部(先端側)に外嵌固定された硬質ゴム等からなる弁体部32とで構成されている。軸部31は、その中心軸線C1が排出口14の中心線と一致するように配在され、その上部(後端側)は弁本体10に設けられた案内孔34に摺動自在に嵌挿され、かつ、その上端部は弁本体10の外側に突出せしめられている。案内孔34の上端部34aは、弁本体10の外周面からわずかに外方に突出せしめられている。
【0032】
また、第2弁体30の弁体部32と弁本体10の内周面との間には、常時第2弁体30を閉方向に付勢する圧縮コイルばねからなる閉弁ばね38が縮装されている。
【0033】
前記第2弁体操作手段は、第2弁体30を排出口14(の開口端縁部14a)に接離する方向に進退させるべく、接離方向に沿って揺動せしめられる、てこの原理を利用した手動操作レバー35を含んで構成されている。
【0034】
より詳細には、手動操作レバー35は、板金製で、略平らな把手部35a、この把手部35aから立ち下がる立ち下がり部35b、この立ち下がり部35bから約90度折り曲がる、二股状の底辺部35c、この二股状の底辺部35cに連なる曲面部35d、この曲面部35dから前記立ち下がり部35bと平行に立ち上がる立ち上がり部35e、及び底辺部35cの両端から立ち上がる左右一対のピン支持部35fを有し、ピン支持部35fには、第2弁体30の上部に十字を呈するように挿着されたピン36が摺動回転可能に嵌挿されている。
【0035】
また、弁本体10の外周部には、左右一対の案内立上部37が設けられており、この案内立上部37には、前記ピン36の両端部が摺動自在に挿入され、該ピン36及び第2弁体を前記接離方向(横方向)に案内するための案内溝37aが形成されている。
【0036】
前記二股状の底辺部35cには軸部31の上部が通されており、また、底辺部35cは、第2弁体30が排出口14を閉じているときには、閉弁ばね38の付勢力により案内孔34の上端部34aに圧接せしめられている。また、ピン36から底辺部35cまでの距離よりピン36から立ち上がり部35eの距離の方が長くされ、かつ、ピン36から把手部35aの先端までは、ピン36から立ち上がり部35eまでの距離より長くされている(てこの原理を利用するため)。
【0037】
このような構成の第2弁体操作手段では、第2弁体30が排出口14を閉じている
図1(A)に示される状態から、第2弁体30を排出口14(の開口端縁部14a)から引き離して排出口14を開くには、手動操作レバー35の把手部35a持って、該手動操作レバー35を
図1(B)に示される如くに、第2弁体接離方向(横方向)に約90度回すようにされる。これにより、把手部35aが力点、ピン36が支点となり、作用点が底辺部35c→曲面部35d→立ち上がり部35eに移行し、ピン36から底辺部35cまでの距離よりピン36から立ち上がり部35eまでの距離の方が長くされているので、それらの概略差分だけ軸部31が引き上げられ、弁体部32が排出口14(の開口端縁部14a)から離れて、
図1(B)に示される如くに、排出口14が開かれる。
【0038】
このように、本実施例の複合弁1では、主として第1弁体20部分が前述した
図7に示される従来の給湯装置200における沸き上げ三方弁250として機能し、主として第2弁体30部分が排水用三方弁240として機能する。
【0039】
したがって、
図6(
図7の従来例に対応する部分には同一の符号が付されている)に示される如くに、上記複合弁1が適用された本発明に係る給湯装置100では、ヒートポンプ210により加熱された湯を貯湯タンク220に送る流路270を複合弁1の流入口11に接続し、複合弁1の第1流出口12を流路271に接続し、第2流出口13を流路272に接続し、複合弁1の排出口14を流路280で外部の排水口に接続することにより、従来の給湯装置200と略同様な機能を持たせることができる。
【0040】
なお、
図7に示された従来の給湯装置200では、排水用三方弁240を用いて貯湯タンク220内の湯水を排出するのに対し、
図6に示された本発明の給湯装置100では、ヒートポンプ210から流出した湯水を複合弁1の排出口14より排出するようにされており、両装置ではそれぞれ湯水排出の取出し口が異なる。しかし、ヒートポンプ210及び貯湯タンク220は互いに接続され、その内部を湯水が循環するヒートポンプサイクルが構成されているから、当該ヒートポンプサイクルから(汚れた)湯水を排出するということに変わりはなく、本発明の給湯装置100においても従来の給湯装置200と同様の湯水排出効果を奏することができる。
【0041】
また、給湯装置100の場合、二種類の三方弁(沸き上げ三方弁250と排水用三方弁240)が一纏めにされているので、給湯装置等において部品コスト、配管コスト、占有スペース等を削減できる効果を奏する。
【0042】
なお、本発明実施例の給湯装置100では、貯湯タンク220内の湯水をヒートポンプ内を通した後、複合弁1及び流路280を介して外部の排水口に排出するようにされているので、省エネルギー化を図るには、排水時にはヒートポンプ210を停止させておくことが望ましい。
【0043】
次に、本発明に係る複合弁の第2実施例を説明する。
図3は、本発明に係る複合弁の第2実施例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のX-X矢視断面図である。また、
図4は、第2実施例の斜視図である。この第2実施例の複合弁2において前述した第1実施例の複合弁1の各部に対応する部分に共通の符号を付して重複説明を省略する。
【0044】
図示第2実施例の複合弁2では、概略円筒状の弁本体40を有し、この弁本体40の上部に第1流出口12と第2流出口13とが180度の角度間隔をあけて対向するように設けられるとともに、それら第1流出口12と第2流出口13との中間部分(双方からの角度間隔が90度)に流入口11が設けられ、弁本体40の下部には流入口11と180度の角度間隔をあけて排出口14が設けられている。
【0045】
弁本体40における第1流出口12、第2流出口13、及び流入口11が設けられている部分には、上部嵌挿部41が設けられ、この上部嵌挿部41に、ステッピングモータ50により回転軸25を介して回動せしめられるロータリー型をとる有底円筒状の第1弁体60が摺動自在に嵌挿されている。第1弁体60には、流入口11から弁本体40内に流入した流体を第1流出口12及び第2流出口13から選択的に流出させるための開口62が設けられている。
【0046】
また、弁本体40における排出口14が設けられている部分には、第1弁体60と同様にロータリー型をとる第2弁体70が配備されている。この第2弁体70と第1弁体60は、この例においては同径及び同長の有底円筒状とされ、それら両者が相互に対向するように、第2弁体70は、弁本体40の下部に設けられた下部嵌挿部42に摺動回転可能に嵌挿されている。
【0047】
第2弁体70には、流入口11から弁本体40内に流入した流体を排出口14に流出させるための開口72が設けられている。
【0048】
そして、本実施例では、第2弁体70を同一平面内で回動させるための手動操作ハンドル80を含んで構成される第2弁体操作手段が設けられている。すなわち、弁本体40の下端部には下側受座45が設けられ、この下側受座45の中央部に回転軸75が摺動回転自在に嵌挿される軸受穴46が形成されている。この下側受座45には、回転軸75の回転は許容するが、その上下方向の移動は阻止するための平板状のストッパ48がねじ止めされている。回転軸45の下部には、一方向に突出した部分を有する手動操作ハンドル80が固定されている。
【0049】
したがって、手動操作ハンドル80を回せば、その回転が回転軸75を介して第2弁体70に伝えられ、第2弁体70の開口部72が排出口14に対面する位置まで回されると、流入口11から弁本体40内に流入した流体は開口部72を介して排出口14に流出する。
【0050】
なお、前記第1実施例の複合弁1では、排出口14が第2弁体30により閉じられているとき、流入口11から弁本体10内に流入した流体は第2弁体30部分を通って流出口12、13に向かうようにされているが、本第2実施例の複合弁2では、排出口14が第2弁体70により閉じられているとき、流入口11から弁本体40内に流入した流体は第2弁体70部分を通ることなく流出口12、13に向かうようにされている。
【0051】
このような構成とされた第2実施例の複合弁2においても、第1実施例の複合弁1と同様に、給湯装置100に適用でき、給湯装置等において部品コスト、配管コスト、占有スペース等を削減できる効果を奏する。また、本第2実施例の複合弁2では、第1弁体60と第2弁体70や回転軸25、75等が同一ないし類似形状に製作されるので、製造コストを削減できるといった効果もある。
【0052】
次に、他の手動操作弁(三方弁)を
図5を参照しながら簡単に説明する。
図5(A)に示される手動操作弁110の弁本体120には、流入口11、流出口12、及び排出口14が設けられており、軸部131と弁体部132からなる弁体130を、てこの原理を利用した手動操作レバー140により上下方向に摺動させて、弁体部132を流入口11と排出口14との間に設けられた弁座151と流入口11と流出口12との間に設けられた弁座152とに選択的に着座させて流路の切換えを行うようにしたものである。
【0053】
なお、手動操作レバー140は前述した第1実施例のもの(手動操作レバー35)と類似した構造であり、弁体130は圧縮コイルばね135により常時上側の弁座151に着座する方向に付勢されている。すなわち、
図5(A)に示された弁体部132が弁座151に着座された状態から、手動操作レバー140の把手部140aを矢印P方向に回動し直立させれば、弁体130がコイルバネ135の弾発力に抗して押圧され、弁体部132が弁座152に着座する。
【0054】
図5(B)に示される手動操作弁150は、
図5(A)の手動操作レバー140に代えて、弁体132を上下方向に摺動させるべく、弁本体120に上部に設けられた雌ねじ部125に螺合せしめられてねじ送りされる雄ねじ部161付き手動操作ハンドル160を用いたものである。
【0055】
このような構成とされた手動操作弁(三方弁)110、150は、例えば
図7の符号240で示される排水用三方弁としても使用できる。また、これら操作弁110、150は、
図1に示された複合弁1の第2弁体30の駆動部分と置き換えることも可能である。
いずれの場合においても、従来のものに比べてシール材等を削減でき、コストを低減できる効果がある。
【0056】
さて、前述の説明においては、第1弁体20、60は、それぞれ2つの流出口(第1流出口12及び第2流出口13)に湯水の流れを切り換えるものとしたが、本発明は特にこれのみに限定されることはなく、3つ以上の流出口に湯水を切り換えるものであっても良いことは当然である。
【0057】
また、
図3に関する説明においては、第1弁体60及び第2弁体70は同径及び同長に形成されるものとしたが、本発明は特にこれのみに限定されることはなく、それぞれの外径や長さは異ならせても良い。外形を異ならせる場合には、弁本体40の内径を、第1弁体60の収容部と第2弁体70の収容部とで異ならせれば良い。
【符号の説明】
【0058】
1、2 複合弁
10 弁本体
11 流入口
12 流出口
13 流出口
14 排出口
20、60 第1弁体
30、70 第2弁体
35 手動操作レバー
50 ステッピングモータ(第1弁体駆動手段)
80 手動操作ハンドル
100 給湯装置
210 ヒートポンプ
220 貯湯タンク
230 ポンプ