(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の第1実施形態乃至第4実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る空気調和機の室内機は、後に詳しく説明するように、貫流ファンに対応する所定の位置にのみ、貫流ファンに対して逆予旋回の与える静翼を設けたことを主な特徴とする。以下では、室内機の全体構成について説明した後に、静翼について説明する。なお、以下の説明における前後上下の方向は、本実施形態に係る室内機を室内に通常配置した状態を示す
図1に示す前後上下の方向を基準とする(以下、第2実施形態から第4実施形態において同じ)。
【0013】
<室内機の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の室内機の側断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る室内機A1は、筐体1の内側に熱交換器20と、貫流ファン6と、を備えている。
【0014】
筐体1は、その外形が略直方体を呈しており、上下左右の面を形成する化粧枠1aと、化粧枠1aの前側に配置されるフロントパネル4aとを備えている。また、本実施形態での筐体1は、化粧枠1aの後側に配置されるリヤパネル4bを更に備えている。
【0015】
筐体1は、化粧枠1aの上面に形成される第1吸込口2と、後記するようにフロントパネル4aが回動した際に開かれる第2吸込口3とを備えている。室内の空気は、後記するように、貫流ファン6が駆動することによって、これらの第1吸込口2及び第2吸込口3を介して筐体1の内側に吸い込まれることとなる。
図1中、符号Fは、空気流である。
【0016】
第1吸込口2及び第2吸込口3のそれぞれは、筐体1の左右の幅方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に長い略矩形に開口するように形成されている。そして、これらの第1吸込口2及び第2吸込口3と熱交換器20との間には、樹脂繊維の網体からなる側断面視で略L字状のフィルタ5が配置されている。
【0017】
第2吸込口3は、空気調和機の運転停止時にはフロントパネル4aで塞がれている。そして、このフロントパネル4aは、その下端縁を軸に、その上端縁が前方に向かって回動することで第2吸込口3が開かれることとなる。これにより、空気調和機の運転停止時には、室内の空気が第2吸込口3からも筐体1の内側に吸い込まれる。そして、後記する貫流ファン6の前側に位置する熱交換器20部分(前半体20a)での熱交換が促進されることとなる。なお、フロントパネル4aの回動は、フロントパネル4aの下端縁の左右両側に設けられたパルスモータ等のアクチュエータ(図示省略)を駆動制御することによって行われる。
【0018】
また、筐体1は、化粧枠1aの下面に形成される吹出口23を更に備えている。この吹出口23は、筐体1の左右の幅方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に細長い略矩形に開口するように形成されている。熱交換器20と熱交換が行われた室内の空気は、この吹出口23を介して筐体1の外側である室内に向かって吹き出されることとなる。
【0019】
この吹出口23には、横型案内羽根12が配置されている。
本実施形態での横型案内羽根12の平面形状は、前記の吹出口23の開口形状に合わせて、長細い略矩形に形成されている。横型案内羽根12は、その後端縁が軸12aで軸支され、その前端縁が軸12a周りに上下方向に回動可能となっている。つまり、横型案内羽根12は、吹出口23から室内に吹き出される空気(風)の上下の方向を制御するようになっている。この横型案内羽根12の回動は、軸12aに設けられたパルスモータ等のアクチュエータ(図示省略)を駆動制御することによって行われる。この際、横型案内羽根12の回動角度は所定の角度となるように、又は回動角度が連続的に変化するように(揺動するように)駆動制御される。ちなみに、運転停止時の横型案内羽根12は吹出口23を閉じている。そして、室内機停止時にこの横型案内羽根12及び前記のフロントパネル4aが閉じられることによって、室内機A1の外観の意匠性が高められることとなる。
【0020】
また、吹出口23には、縦型案内羽根11が配置されている。この縦型案内羽根11は、図示しないが、吹出口23の左右の幅方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に沿って複数配置され、その各板面が相互に向き合って可動ルーバーを構成している。そして、複数の縦型案内羽根11は、一体にそれらの板面の向き(角度)が所定の角度となるように、又は板面の向き(角度)が連続的に変化するようになっている。このような縦型案内羽根11の駆動は、パルスモータ等のアクチュエータ(図示省略)と、これに連結されるリンク機構(図示省略)とによって行われる。これにより、縦型案内羽根11は、吹出口23から吹き出される空気(風)の左右の方向を制御するようになっている。
【0021】
熱交換器20は、貫流ファン6の上流側で貫流ファン6を囲むように配置されている。具体的には、熱交換器20は、貫流ファン6の第1吸込口2側及び第2吸込口3側に位置するように、側断面視で略逆V字状に屈曲する前半体20aと後半体20bとで形成されている。このような熱交換器20は、冷媒が通流する伝熱管21と、この伝熱管21に取り付けられた複数の放熱フィン(図示省略)とで形成されている。
【0022】
送風機としての貫流ファン6は、略円筒形状のファンであって、その下方で前記の吹出口23を形成するケーシング10(10a,10b)に挟まれるように配置されている。
この貫流ファン6は、複数の略円筒形状のファンブロック(図示省略)が同心となるように仕切板(図示省略)を介して並設されたものである。ちなみに、各ファンブロックは、細長い複数の翼7が略円筒形状を形成するように周方向に並列配置されている。更に具体的には、側断面視で一方に凹面、他方に凸面となるように湾曲する翼7の当該凹面側が、
図1中の右回り(時計回り)に回転する貫流ファン6の回転方向を向くように配置されている。なお、
図1中、符号14a,14bは、貫流ファン6の回転方向と逆方向の予旋回(逆予旋回)を与える、後に詳しく説明する静翼である。
この貫流ファン6は、筐体1の吹出口23の左右の幅(
図1参照)と略同じ長さであり、貫流ファン6の周面の一部が筐体1の吹出口23に隣接するように配置されている。
【0023】
この貫流ファン6は、図示しないファンモータによって、円筒中心周りに回転することで、室内の空気を、前記のフロントパネル4aの開閉に応じて第1吸込口2のみを介して、又は第1吸込口2及び第2吸込口3を介して筐体1の内側に吸い込む。そして、貫流ファン6は、吸い込んだ空気を筐体1の吹出口23を介して筐体1の外側に吹き出すようになっている。つまり、この貫流ファン6は、室内の空気を筐体1の内側に吸い込んで熱交換器20の冷媒と熱交換を行わせ、熱交換した空気(冷暖房のいずれかに温度調整された空気)を筐体1の外側である室内に吹き出すようになっている。
【0024】
次に参照する
図2は、
図1の貫流ファン付近の部分拡大図である。
図2に示すように、本実施形態でのケーシング10(10a,10b)は、前記したように、貫流ファン6を挟み込むように配置されると共に、その下方で吹出口23を形成している。貫流ファン6の後方に配置されるケーシング10bは、貫流ファン6の後斜め上方から下方にわたって延在し、貫流ファン6に対して凹となるように湾曲している。そして、ケーシング10bは、概ね貫流ファン6の後斜め上方に対応するその上方端縁8側から吹出口23側の下端縁に向かうにしたがって、貫流ファン6との隔たりが徐々に広がっている。ちなみに、前記の後斜め上方の対応する上方端縁8近傍のケーシング10b部分をリアガイダともいう。
【0025】
また、貫流ファン6の前方に位置するケーシング10aには、貫流ファン6に近接するように舌部9が形成されている。この舌部9によって、流入した空気の循環渦13の位置が確定することとなる。そして、この舌部9は、空気流Fの吸込側と吐出側との境を形成している。
つまり、貫流ファン6においては、熱交換器20(
図1参照)と対向する側で、ケーシング10bの上方端縁8からケーシング10aの舌部9に渡って、空気流Fの吸込領域Inが規定される。この吸込領域Inは、特許請求の範囲にいう「吸込側」に相当する。
【0026】
図2の右回りに(時計回りに)貫流ファン6が回転すると、
図2に示すように、貫流ファン6には吸込領域Inから空気流Fが流れ込むが、貫流ファン6に流れ込む、本実施形態での空気流Fの進入角度γは、貫流ファン6の外周部30に進入する空気流Fの角度γで規定される。具体的には、貫流ファン6の外周部30における空気流Fの進入位置から
図2の前方を0°とし、この0°の位置から
図2の時計回りになす角度γを正値で表し、この0°の位置から
図2の反時計回りになす角度γを負値で表している。つまり、鉛直上方から貫流ファン6に進入する空気流Fの進入角度γは、90°で表され、鉛直下方から貫流ファン6に進入する空気流Fの進入角度γは、−90°で表される。
なお、
図2中、符号7は、貫流ファン6の翼であり、符号14a及び14bは、静翼であり、符号31aは、後記する天頂部の範囲であり、符号31bは、後記する前方部の範囲である。
【0027】
次に参照する
図3は、
図2に示す静翼が無いと仮定した場合における、回転する貫流ファンに流れ込む空気流と、貫流ファンの回転によって相対的に生じる気流成分と、貫流ファンの回転方向先端に流れ込む流入角αの気流成分との関係を示す模式図である。
【0028】
図3に示すように、貫流ファン6(
図2参照)の翼7は、貫流ファン6が回転すると、貫流ファン6の外周部30(
図2参照)の接線方向に、貫流ファン6の回転速度に応じた相対的な速度uの気流成分Faが生じる。そして、気流成分Faの大きさ(速度u)は、翼7の回転方向先端の周速と略同じ大きさで規定される。
【0029】
このような速度uの気流成分Faと貫流ファン6に流れ込む空気流Fとの合成によって、翼7に流入する気流成分Fbが決定される。そして、この気流成分Fbの大きさで翼7に対する気流成分Fbの速度wが決定される。また、気流成分Faの方向に対して気流成分Fbの方向がなす角度によって、気流成分Fbの翼7に対する流入角αが決定される。
ちなみに、
図3中の符号γは、前記の「吸込領域Inから貫流ファン6に流れ込む空気流Fの進入角度」(
図2参照)である。ちなみに、
図3で示される進入角度γの大きさは、
図2で示される進入角度γに合わせて示したものではなく、
図2に示す位相θが90°の位置において貫流ファン6の外周部30(
図2参照)の接線方向に対して垂直な方向から進入する空気流Fの進入角度γを想定したものである。
【0030】
次に参照する
図4は、貫流ファンの周方向の位相θ[°]と、貫流ファンに進入する空気流の速度c[m/s]との関係を示すグラフである。
図5は、貫流ファンの周方向の位相θ[°]と、貫流ファンに進入する空気流の進入角度γ[°]との関係を示すグラフである。なお、貫流ファン6の周方向の位相θ[°]は、
図2に示すように、貫流ファン6の回転軸の前方を0°とし、この0°の位置から
図2の時計回りになす角度θを正値で表し、この0°の位置から
図2の反時計回りになす角度θを負値で表している。
ちなみに、
図4及び
図5は、静翼14a,14b(
図2参照)を設けないと仮定した場合における、貫流ファン6(
図2参照)の周方向の位相θに対する空気流Fの速度c及び空気流Fの進入角度γの関係を示すグラフである。
【0031】
図4に示すように、貫流ファン6(
図2参照)に進入する空気流F(
図2参照)の速度cは、貫流ファン6の周方向の位相θ[°]に応じて変化している。
また、
図5に示すように、貫流ファン6(
図2参照)に進入する空気流F(
図2参照)の進入角度γは、貫流ファン6の周方向の位相θ[°]に応じて変化している。
また、
図5に示すように、貫流ファン6の周方向の位相θよりも貫流ファン6に進入する空気流Fの進入角度γが大きい場合(θ<γ)、つまり、
図5中の点線よりも上側にグラフ線図が位置する場合には、貫流ファン6に進入する空気流Fは、貫流ファン6の翼7に対して回転方向と逆方向の逆予旋回の成分を与えている。
【0032】
これとは逆に、貫流ファン6の周方向の位相θよりも貫流ファン6に進入する空気流Fの進入角度γが小さい場合(θ>γ)、つまり、
図5中の点線よりも下側にグラフ線図が位置する場合には、貫流ファン6に進入する空気流Fは、貫流ファン6の翼7に対して回転方向と同一方向の予旋回の成分を与えている。
【0033】
また、貫流ファン6の周方向の位相θが0°の付近(後記する前方部31b(
図6参照))、及び90°の付近(後記する天頂部31a(
図6参照))では、
図5の点線にグラフ線図が近接しており、貫流ファン6に対する予旋回(又は逆予旋回)の成分が他の位相θにおける予旋回(又は逆予旋回)の成分よりも小さくなっている。
【0034】
ところで、貫流ファン6の翼7の翼面に沿って気流成分が流れている限りにおいて(気流成分が翼面から剥離しないことを前提に)、貫流ファン6に対して逆予旋回を与えるように空気流Fが流れ込むことで、貫流ファン6の昇圧効果を高めることができる。つまり、逆予旋回が与えられることで、貫流ファン6はその送風性能を向上させることができる。
【0035】
本実施形態に係る室内機A1の発明原理は、空気流Fの所定の速度を有しながらも、貫流ファン6に対する予旋回(又は逆予旋回)の成分が比較的に小さくなっている貫流ファン6の位相θが0°の付近(後記する前方部31b(
図6参照))、及び90°の付近(後記する天頂部31a(
図6参照))にのみ、逆予旋回の成分を与える静翼14a,14bを配置することによって、流路損失を低減しつつ貫流ファン6の送風性能を向上させるところにある。
【0036】
<静翼>
次に、本実施形態に係る室内機A1(
図1参照)における静翼14a,14b(
図2参照)について説明する。
再び
図2に戻って、本実施形態での静翼14a,14bは、前記したように、貫流ファン6の回転方向と逆方向の予旋回(逆予旋回)を与えるものであり、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される範囲内に配置されている。更に具体的には、本実施形態での静翼14a,14bのそれぞれは、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される貫流ファン6の天頂部31a(位相θが90°の付近)及び前方部31b(位相θが0°の付近)のみに配置されている。
ちなみに、これらの静翼14a,14bは、筐体1(
図1参照)の内壁側の適所に、所定のブラケット(図示省略)を介して取り付けられることとなる。
【0037】
本実施形態における天頂部31a及び前方部31bのそれぞれにおける位相θの範囲は、次のように規定することができる。
参照する
図6は、貫流ファンの周方向の位相θ[°]と、貫流ファンの翼の回転方向先端における気流成分の流入角αとの関係を示すグラフである。
一般に、静翼14a,14bによって、逆予旋回を貫流ファン6に与える場合において(後記する予旋回を貫流ファン6に与える場合においても同じ)、貫流ファン6の翼7に流入する気流成分Fb(
図3参照)の流入角α(
図3参照)が適正な範囲(好適流入角)であることが重要となる。ここで貫流ファン6において翼7の翼面から剥離しないように貫流ファン6に逆予旋回を与える好適流入角を25°(理想値)に設定する場合を想定する。
一方、
図6に示すように、流入角αは、貫流ファン6の周方向の位相θに応じて2つのピークを生じさせるカーブを形成する。つまり、流入角αが25°の
図6中の点線が前記カーブのピークを横切る位置の位相θの値で、天頂部31a及び前方部31bの限定範囲が求められる。
【0038】
これにより本実施形態で規定される天頂部31aは、貫流ファン6(
図2参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、60°を超え、92°未満の範囲とすることが望ましい。
また、本実施形態で規定される前方部31bは、貫流ファン6(
図2参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、−10°を超え、20°未満が望ましい。
なお、
図6中、符号31c,31d,31eは、後記する本発明の第2実施形態で、静翼14c,14d,14eが配置される貫流ファン6の後斜め上方部、前斜め上方部、及び前斜め下方部である。
【0039】
次に参照する
図7は、
図3の貫流ファン(翼)に対して
図2に示す静翼を配置した際の、回転する貫流ファンに流れ込む空気流と、貫流ファンの回転によって相対的に生じる気流成分と、貫流ファンの翼の回転方向先端に流れ込む流入角αの気流成分との関係を示す模式図である。
【0040】
図7に示すように、貫流ファン6(
図2参照)の翼7が側断面視で回転方向側に凹となり、回転方向の逆側に凸となるように湾曲しているのに対して、静翼14a,14bは、翼7とは逆に、翼7の回転方向側に凸となり、回転方向の逆側に凹となるように湾曲している。そして、静翼14a,14bは、翼7とは反対側の端縁が空気流Fxの上流側に向き、静翼14a,14bの曲率は、翼7とは反対側の端縁で受け入れた空気流Fxを、翼7に対して逆予旋回を与えるように案内可能な曲率に設定されている。
なお、
図7中、符号Faは、貫流ファン6の回転速度に応じた相対的な速度uの気流成分であり、符号Fは、静翼14a,14bの上流側の空気流Fxを静翼14a,14bが案内した空気流の成分であり、符号Fbは、気流成分Faと空気流Fとの合成によって、翼7に流入角αで流入する気流成分である。
【0041】
次に、本実施形態に係る室内機A1の動作について
図1及び
図2を参照しながら説明する。
この室内機A1では、ファンモータ(図示省略)に通電されて貫流ファン6が
図1及び
図2の時計回りに回転すると、舌部9付近に循環渦13(
図2参照)が形成されて、貫流ファン6を通過する空気流F(
図2参照)が発生する。これにより、室内の空気は、
図1に示す第1吸込口2及び第2吸込口3から室内機A1の内部に流入する。そして、フィルタ5によって埃が除去された空気流Fは、熱交換器20を通過して貫流ファン6に向かう際に、熱交換器20の伝熱管21に通流する冷媒との熱交換によって、冷房時には冷却され、暖房時には加熱される。
【0042】
その後、熱交換された空気流Fは、貫流ファン6で昇圧されて貫流ファン6の下流側に吐出される。貫流ファン6から吐出される空気流Fは、ケーシング10(10a,10b)で囲まれる拡大通路で減速されてその静圧が上昇する。その後、空気流Fは、縦型案内羽根11及び横型案内羽根12によってその方向が制御されつつ吹出口23から室内に吹き出されることとなる。
【0043】
そして、本実施形態に係る室内機A1によれば、前記した貫流ファン6の所定の位置に静翼14a,14bを配置することにより、次のような作用効果を奏することができる。
近年の空気調和機の室内機は、省エネ性能向上のために、より大きな熱交換器を搭載する傾向にある。そのため、室内機の奥行寸法が大きくなって、室内機内では、主に貫流ファンの上方から流れ込むこととなる。更には、フロントパネルが開放されることによって筐体の前方から流れ込む空気流についても、主に上方から下方に向かう流れとなる。
【0044】
つまり、本実施形態での貫流ファン6(
図2参照)においては、
図5に示すように、貫流ファン6の周方向の位相θが60°近傍の位置で、貫流ファン6の翼7(
図2参照)が、上方から下方に向かって流れる空気流Fを迎えるように回転する。よって、貫流ファン6は、逆予旋回の流れ(
図5の破線よりも上方に分布する進入角度γの空気流F)を吸い込むことになる。
【0045】
しかしながら、前記したように、位相θが0°の付近(前方部31b(
図2参照))、及び位相θが90°の付近(天頂部31a(
図2参照))においては、逆予旋回の成分が比較的に小さい。そして、これらの前方部31b及び天頂部31aにおいては、位相θが75°の付近のピーク的な空気流Fの速度c(
図4参照)には及ばないものの、相応の流速を有した空気流Fが流れることとなる。
【0046】
本実施形態に係る室内機A1では、天頂部31a及び前方部31bにおいてのみ貫流ファン6に逆予旋回を与える静翼14a,14bを配置し、これにより前記の空気流Fを翼7に向けて案内する構成とした。そして、貫流ファン6のその他の空気流Fの吸込領域Inには、静翼を配置しない構成とした。
したがって、本実施形態に係る室内機A1によれば、貫流ファン6の昇圧効果が高まるので、貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る室内機A1によれば、前方部31b及び天頂部31aにのみ静翼14a,14bが設けられ、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)のように、貫流ファンの吸込領域の略全域に渡って静翼が設けられるものと異なって、流路損失が低減される。これによっても、本実施形態に係る室内機A1は、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上する。
【0048】
また、本実施形態に係る室内機A1によれば、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上するので、貫流ファン6の回転速度を低減することができる。したがって、本実施形態に係る室内機A1によれば、貫流ファン6の流体騒音を低減することができる。
【0049】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明はこの第1実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、天頂部31aに1つの静翼14aを配置し、前方部31bに1つの静翼14bを配置する構成としたが、本発明は天頂部31aに複数の静翼14aを配置することができるし、前方部31bに複数の静翼14bを配置することができる。
【0050】
また、前記実施形態では、天頂部31a及び前方部31bに静翼14a,14bを配置しているが、本発明は天頂部31aのみに静翼14aを配置する構成とすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る室内機は、貫流ファンに対応する所定の位置にのみ、貫流ファンに対して予旋回の与える静翼を設けたことを主な特徴とし、これ以外の構成は前記の第1実施形態に係る室内機A1(
図1及び
図2参照)と同様である。したがって、以下では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。参照する
図8は、本発明の第2実施形態に係る空気調和機の室内機における貫流ファン付近の部分拡大図である。なお、
図8中、
図2の定義と同じであるθ及びγの記載は省略している。
【0052】
図8に示すように、本実施形態の第2実施形態に係る室内機A2における静翼14c、静翼14d及び静翼14eは、前記したように、貫流ファン6の回転方向(
図8において時計回り(右回り))と同じ方向の予旋回を与えるものであり、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される範囲内に配置されている。更に具体的には、本実施形態での静翼14c,14d,14eのそれぞれは、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される貫流ファン6の後斜め上部31c(位相θが95°の付近)、前斜め上部31d(位相θが50°の付近)、及び前斜め下部31e(位相θが−25°の付近)のみに配置されている。
ちなみに、これらの静翼14c,14d,14eは、筐体1(
図1参照)の内壁側の適所に、所定のブラケット(図示省略)を介して取り付けられることとなる。
なお、
図8中、符号30は、貫流ファン6の外周部である。
【0053】
本実施形態に係る室内機A2の発明原理は、貫流ファン6に逆予旋回が与えられる位相θであっても、過剰な逆予旋回によって、又は空気流Fの速度が小さ過ぎることによって、翼7の翼面から気流成分Fb(
図3参照)が剥離するのを、静翼14c,14d,14eの配置によって防止するところにある。
【0054】
更に詳しく説明すると、再び
図5に戻って、位相θが50゜の付近(前斜め上部31d(
図8参照))においては、前記したとおり、
図5中の点線よりも上側にグラフ線図が位置しており、貫流ファン6(
図8参照)に対して逆予旋回を与える進入角度γで空気流F(
図8参照)が流れ込んでいる。
しかしながら、前記の第1実施形態において貫流ファン6(
図2参照)に与えた適度な逆予旋回は、貫流ファン6に対する昇圧効果を高めるが、過度の逆予旋回は翼7(
図2参照)の負圧面に大きな剥離を生じさせる。また、
図4に示すように、位相θが50°の付近の「空気流の速度c」は、位相90°付近と同程度の高い速度cとなっており、前記の剥離が生じた際の昇圧効果の損失も大きい。
【0055】
これに対して、本実施形態に係る室内機A2では、
図8に示すように、前斜め上部31dに予旋回を与える静翼14dを配置することによって逆予旋回を抑制し、貫流ファン6に対する昇圧効果を高めている。
【0056】
また、本実施形態では、貫流ファン6(
図8参照)に対して逆予旋回を与える進入角度γで空気流F(
図8参照)が流れ込んでいる吸込領域Inであっても、空気流Fの速度c(
図4参照)が小さ過ぎる領域には、貫流ファン6に対して予旋回を与える静翼14c,14eを配置している。
具体的には、
図6に示す前記第1実施形態での天頂部31aの上限を規定した位相92°を超える領域、及び前記第1実施形態での前方部31bの下限を規定した位相−10°を下回る領域では、
図4に示すように、空気流Fの速度cが小さくなる。そのために、元々、翼7の負圧面に剥離が生じやすくなっているところ、逆予旋回が生じているとその剥離が更に生じ易くなる。
【0057】
これに対して、本実施形態に係る室内機A2では、
図8に示すように、前記の前斜め上部31dの静翼14dに加えて、後斜め上部31c及び前斜め下部31eのそれぞれに予旋回を与える静翼14c及び静翼14eを配置することによって逆予旋回を抑制し、気流成分の剥離を防止して貫流ファン6に対する昇圧効果を高めている。
【0058】
ちなみに、静翼14cが配置される後斜め上部31c、静翼14dが配置される前斜め上部31d、及び静翼14eが配置される前斜め下部31eのそれぞれにおける位相θの範囲は、前記の
図6を参照して次のように規定することができる。
【0059】
図6に示すように、貫流ファン6(
図8参照)において翼7の翼面から剥離しないように貫流ファン6に予旋回を与える好適流入角を25°(理想値)に設定する場合を想定すると、本実施形態での前斜め上部31d(
図8参照)は、前記第1実施形態での前方部31bと天頂部31aとの間に設定される。つまり、本実施形態での前斜め上部31d(
図8参照)は、
図6に示す貫流ファン6(
図8参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、20°を超え、60°未満の範囲とすることが望ましい。
ちなみに、位相θが20°の位置、及び60°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
【0060】
また、本実施形態での後斜め上部31cは、
図6に示す貫流ファン6(
図8参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、前記したように、92°を超えた範囲とすることが望ましい。
なお、後斜め上部31cの上限を103°で規定したのは、
図5の逆予旋回を与える位相θの上限が103°であることに基づくものである。
ちなみに、位相θが92°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
【0061】
また、本実施形態での前斜め下部31eは、
図6に示す貫流ファン6(
図8参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、−10°未満の範囲とすることが望ましい。
なお、後斜め上部31cの下限を−35°で規定したのは、本実施形態の舌部9の位置で規定される吸込領域Inの下限に対応させたものである。
ちなみに、位相θが−10°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
【0062】
次に参照する
図9は、静翼を配置した際の、回転する貫流ファンに流れ込む空気流と、貫流ファンの回転によって相対的に生じる気流成分と、貫流ファンの翼の回転方向先端に流れ込む流入角αの気流成分との関係を示す模式図である。
【0063】
図9に示すように、貫流ファン6(
図8参照)の翼7が側断面視で回転方向側に凹となり、回転方向の逆側に凸となるように湾曲しているのに対して、静翼14c,14d,14eは、翼7の回転方向側に凹となり、回転方向の逆側に凸となるように湾曲している。そして、静翼14c,14d,14eは、翼7とは反対側の端縁が空気流Fxの上流側に向き、静翼14c,14d,14eの曲率は、翼7とは反対側の端縁で受け入れた空気流Fxを、翼7に対して予旋回を与えるように案内可能な曲率に設定されている。
なお、
図7中、符号Faは、貫流ファン6の回転速度に応じた相対的な速度uの気流成分であり、符号Fは、静翼14c,14d,14eの上流側の空気流Fxを静翼14c,14d,14eが案内した空気流の成分であり、符号Fbは、気流成分Faと空気流Fとの合成によって、翼7に流入角αで流入する気流成分である。
【0064】
そして、本実施形態に係る室内機A2によれば、前記した貫流ファン6の所定の位置に静翼14c,14d,14eを配置することにより、次のような作用効果を奏することができる。
【0065】
本実施形態に係る室内機A2では、貫流ファン6の後斜め上部31c、前斜め上部31d、及び前斜め下部31eにおいてのみ貫流ファン6に予旋回を与える静翼14c,14d,14eを配置した。これにより、本実施形態に係る室内機A2は、逆予旋回を抑制し、翼7の負圧面での気流成分の剥離を防止することで貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る室内機A2によれば、貫流ファン6の後斜め上部31c、前斜め上部31d、及び前斜め下部31eにおいてのみ貫流ファン6に予旋回を与える静翼14c,14d,14eを配置する。したがって、本実施形態に係る室内機A2によれば、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)のように、貫流ファンの吸込領域の略全域に渡って静翼が設けられるものと異なって、流路損失が低減される。これによっても、本実施形態に係る室内機A2は、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上する。
【0067】
また、本実施形態に係る室内機A2によれば、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上するので、貫流ファン6の回転速度を低減することができる。したがって、本実施形態に係る室内機A2によれば、貫流ファン6の流体騒音を低減することができる。
【0068】
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明はこの第2実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記第2実施形態では、後方斜め上部31cに静翼14cが配置され、前方斜め上部31dに静翼14dが配置され、前方斜め下部31eに静翼14eが配置される構成となっているが、本発明は、貫流ファン6の後方斜め上部31c、前方斜め上部31d、及び前方斜め下部31eの領域のうちから選択される1つの領域のみ、又は2つの領域のみに、予旋回を与える静翼14c,14d,14eを設置することができる。
【0069】
前記第2実施形態では、貫流ファン6の後斜め上部31c、前斜め上部31d、及び前斜め下部31eのそれぞれに1つの静翼14c、静翼14d又は静翼14eを配置する構成としたが、本発明は、後斜め上部31cに複数の静翼14cを配置することができるし、前斜め上部31dに複数の静翼14dを配置することができるし、前斜め下部31eに複数の静翼14eを配置することができる。特に、前斜め上部31dのみに静翼14dを配置する構成は望ましい。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る空気調和機の室内機における貫流ファン付近の部分拡大図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態及び前記第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、
図10中、
図2の定義と同じであるθ及びγの記載は省略している。
【0071】
図10に示すように、本実施形態に係る室内機A3は、静翼14aと、静翼14bと、静翼14dとを備えている。静翼14aは、貫流ファン6に逆予旋回を与えるものであって、天頂部31aに配置されている。静翼14bは、貫流ファン6に逆予旋回を与えるものであって、前方部31bに配置されている。静翼14dは、貫流ファン6に予旋回を与えるものであって、前斜め上部31dに配置されている。
【0072】
つまり、本実施形態に係る室内機A3は、前記第1実施形態に係る室内機A1における静翼14a及び静翼14bと、前記第2実施形態に係る室内機A2における静翼14dとを組み合わせたものである。
なお、
図10中、符号30は、貫流ファン6の外周部である。
【0073】
本実施形態に係る室内機A3によれば、天頂部31aに配置される静翼14aと、前方部31bに配置される静翼14bとが貫流ファン6に与える逆予旋回によって、貫流ファン6の昇圧効果が高まるので、貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
また、本実施形態に係る室内機A3によれば、前斜め上部31dに配置される静翼14dによって、翼7の負圧面での気流成分の剥離を防止することで貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
したがって、本実施形態に係る室内機A3によれば、前記第1実施形態に係る室内機A1及び前記第2実施形態に係る室内機A2と比較して、より貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る室内機A3においては、吸込領域Inのうち、逆予旋回が大機過ぎて翼7の負圧面での気流成分の剥離が生じ易い領域(前斜め上部31d)と、逆予旋回を与えることが可能な領域(天頂部31a及び前方部31b)と領域を分けて、それぞれ予旋回を与える静翼14dと、逆予旋回を与える静翼14a,14bとを配置している。
これにより、本実施形態に係る室内機A3によれば、吸込領域Inの略全域に渡って一様に逆予旋回を与える静翼のみを設ける従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)と異なって、効率よく送風性能を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る室内機A3によれば、貫流ファン6の天頂部31a、前斜め上部31d、及び前方部31bにおいてのみ貫流ファン6に静翼14a,14b、14dを配置する。したがって、本実施形態に係る室内機A3によれば、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)のように、貫流ファンの吸込領域の略全域に渡って静翼が設けられるものと異なって、流路損失が低減される。これによっても、本実施形態に係る室内機A3は、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上する。
【0076】
また、本実施形態に係る室内機A3によれば、従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)よりも貫流ファン6の送風性能が向上するので、貫流ファン6の回転速度を低減することができる。したがって、本実施形態に係る室内機A3によれば、貫流ファン6の流体騒音を低減することができる。
【0077】
以上、本発明の第3実施形態について説明したが、本発明はこの第3実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記第3実施形態では、前斜め上部31dのみに予旋回を与える静翼14dを配置したが、本発明はこの静翼14dに加えて、後斜め上部31c、及び前斜め下部31eのうちの少なくとも1つに静翼14c及び静翼14eのうちの少なくとも1つを配置する構成とすることができる。
また、本発明は、前斜め上部31dの静翼14dに代えて、後斜め上部31c、及び前斜め下部31eのうちの少なくとも1つに静翼14c及び静翼14eのうちの少なくとも1つを配置する構成とすることもできる。
【0078】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。
前記第1実施形態に係る室内機A1では、静翼14a,14bが貫流ファン6の長手方向(
図1の紙面に垂直な方向)の略全体に渡って配置されるものを想定しているが、静翼14a,14bは、貫流ファン6の長手方向の一部の区間に設けられる構成することもできる。
図11は、本発明の第4実施形態に係る空気調和機の室内機の貫流ファン及び静翼を上方から見下ろした様子を示す平面図である。なお、本実施形態において、前記第1実施形態から前記第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0079】
図11に示すように、第4実施形態に係る室内機A4は、前記第1実施形態での静翼14a,14bを、貫流ファン6の長手方向(回転軸17方向)の全域ではなく、貫流ファン6の両端部(両側)に相当する位置にのみ限定して設置したものである。
【0080】
貫流ファン6の両端部は、貫流ファン6の中央部付近よりも空気が流れにくく、空気流Fの速度cも低い。したがって、貫流ファン6の両端部は、貫流ファン6全体のファン効率を低下させている。特に、貫流ファン6に隣接する筐体1の内壁面16、貫流ファン6をモータ15の回転軸17に固定するためのファンボス部19等の影響によって、貫流ファン6の端部は、空気の低流量側で生じるサージングが最初に発生し得る部分でもある。
【0081】
これに対して、本実施形態に係る室内機A4では、貫流ファン6の両端部にのみ静翼14a,14bが設けられているので、貫流ファン6の中央部での静翼14a,14bによる空気抵抗は生じない。よって、この室内機A4によれば、貫流ファン6の略全幅に渡って静翼14a,14bが配置されるものと比較して、貫流ファン6の送風性能をより高めることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る室内機A4では、貫流ファン6の両端部にのみ逆予旋回を与える静翼14a,14bを設けて昇圧効果を高めている。これにより、本実施形態に係る室内機A4によれば、貫流ファン6の両端部での空気流Fの速度c(風速)が高められることで、貫流ファン6の回転軸17方向の風速分布の一様化が図られることとなる。その結果、本実施形態に係る室内機A4によれば、サージングの発生を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る室内機A4によれば、貫流ファン6の長手方向の略全域に渡って静翼14a,14bが設けられるものと比較して、静翼14a,14bの長さが短くなって、静翼14a,14bが薄くとも十分な強度を維持することができる。これにより、静翼14a,14bの空気抵抗が低減することで、貫流ファン6の昇圧効果を高めることができる。
【0084】
また、静翼14a,14bは、前記したように、筐体1(
図1参照)の内壁面の適所に所定のブラケット(図示省略)を介して取り付けられるが、静翼14a,14bの長さが短くなることで、内壁面に、より強固に取り付けられる。これにより、静翼14a,14bが空気流Fによって変形したり、又は破損したりすることが、より確実に防止されることとなる。
【0085】
また、静翼14a,14bは、前記したように、静翼14a,14bの長さが短くなることで、ブラケット等の支持部材を簡素化することができる。これによって、貫流ファン6の両端部における空気流Fの抵抗低減化を図ることができる。
【0086】
以上、本発明の第4実施形態について説明したが、本発明はこの第4実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記第4実施形態では、第1実施形態における静翼14a,14bの変形例に相当するが、本発明は第2実施形態から第3実施形態における静翼14a,14b,14c,14d,14eが、貫流ファン6の両端部にのみ設けられた構成とすることもできる。