(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)被計測物の周辺に四角形状に指定された4つの頂点について、前記4つの頂点間の長さとして、前記四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺の長さを得る計測部と、
(b)前記被計測物の周辺の前記4つの頂点と、前記被計測物の上に指定された複数の格子点と、が写るようにカメラで前記被計測物及びその周辺を撮影して撮影画像を得る撮影部と、
(c)得られた前記撮影画像からあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標を求める補正前画像座標取得部と、
(d)前記各頂点間の計測された長さを元にして、あおり補正後の前記4つの頂点の画像座標を求める補正後画像座標算出部と、
(e)あおり補正前の前記4つの頂点の画像座標と、あおり補正後の前記4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める射影変換係数算出部と、
(f)前記撮影画像において、前記複数の格子点の画像座標を求める補正前格子点座標算出部と、
(g)前記被計測物の上の複数の格子点について、得られた前記射影変換の係数を用いて、前記複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を求める格子点座標算出部と、
を含む、精密計測装置。
前記(a)のステップで、前記頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角1辺、又は、四角形の周囲3辺と対角2辺、の少なくとも一方を計測する、請求項2に記載の精密計測方法。
(a)被計測物の周辺に四角形状に指定された4つの頂点と、前記被計測物の上に配置された複数の格子点と、が写るように、前記被計測物及びその周辺を撮影して得られた撮影画像からあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(b)前記4つの頂点間の計測された長さ、前記四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺について計測された長さを元にして、あおり補正後の前記4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(c)前記(a)のステップで求められたあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標と、前記(b)のステップで求められたあおり補正後の前記4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求めるステップと、
(d)得られた前記射影変換の係数を用いて、前記被計測物の上に配置された前記複数の格子点の座標を射影変換することで、あおり補正後の前記被計測物の上に配置された前記複数の格子点の座標を求めるステップと、
の各ステップをコンピュータに実行させて、被計測物の複数の格子点の座標の精密計測を行うための、精密計測用コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の態様に係る精密計測装置は、
(a)被計測物の周辺に四角形状に指定された4つの頂点について、前記4つの頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺の長さを得る計測部と、
(b)前記被計測物の周辺の前記4つの頂点と、前記被計測物の上に指定された複数の格子点と、が写るように、カメラで被計測物及びその周辺を撮影して撮影画像を得る撮影部と、
(c)得られた撮影画像からあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標を求める補正前画像座標取得部と、
(d)各頂点間の長さを元にして、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める補正後画像座標算出部と、
(e)あおり補正前の4つの頂点の画像座標と、あおり補正後の前記4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める射影変換係数算出部と、
(f)撮影画像において、前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を得る補正前格子点座標算出部と、
(g)得られた射影変換の係数を用いて、前記複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の前記複数の格子点の画像座標を求める補正後格子点座標算出部と、
を含む。
【0012】
本発明の第2の態様に係る精密計測方法は、
(a)被計測物1の周辺2に4つの頂点を四角形状に指定し、4つの頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺を計測するステップと、
(b)被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3と、被計測物1の上に指定された複数の格子点4と、が写るようにカメラで被計測物及びその周辺を撮影して撮影画像を得るステップと、
(c)得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(d)各頂点間の計測された長さを元にして、あおり補正後の前記4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(e)(c)のステップで求められたあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標と、(d)のステップで求められたあおり補正後の前記4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求めるステップと、
(f)撮影画像において、前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を得るステップと、
(g)得られた射影変換の係数を用いて、前記複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の前記複数の格子点の画像座標を求めるステップと、
を含む。
【0013】
第3の態様に係るあおり補正方法は、第2の態様において、前記(a)のステップで、前記頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角1辺、又は、四角形の周囲3辺と対角2辺、の少なくとも一方を計測する。
【0014】
本発明の第4の態様に係る精密計測用コンピュータプログラムは、
(a)被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3と、被計測物1の上に指定された複数の格子点と、が写るように、被計測物及びその周辺を撮影して得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(b)4つの頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺について計測された長さを元にして、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求めるステップと、
(c)(a)のステップで求められたあおり補正前の前記4つの頂点の画像座標と、(b)のステップで求められたあおり補正後の前記4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求めるステップと、
(d)撮影画像において、前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を得る
(e)得られた射影変換の係数を用いて、前記複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の前記複数の格子点の画像座標を求めるステップと、
の各ステップをコンピュータに実行させて、精密計測を行う。
【0015】
第5の態様に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、第4の態様の前記精密計測用コンピュータプログラムを格納している。
【0016】
第6の態様に係る変位計測方法は、第1の時間において、第2の態様の前記精密計測方法を行って、前記第1の時間における前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を求めるステップと、
前記第1の時間から後の第2の時間において、第2の態様の前記精密計測方法を行って、前記第2の時間における前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を求めるステップと、
前記第1の時間における前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標から、前記第2の時間における前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標への経時的な変位を求めるステップと、
を含む。
【0017】
第7の態様に係る変位計測方法は、第6の態様において、前記第1の時間から前記第2の時間にわたって前記カメラを固定しておき、
前記第2の時間における前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を求めるステップにおいて、請求項2に記載の前記精密計測方法におけるステップ(b)、(f)、(g)のみを行って、前記被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標を求めてもよい。
【0018】
第8の態様に係る変位計測用コンピュータプログラムは、第6の態様又は第7の態様の前記変位計測方法の各ステップをコンピュータに実行させて、第1の時間から第2の時間にわたる、被計測物の上の複数の格子点の画像座標の経時的な変位を計測する。
【0019】
第9の態様に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、第8の態様の前記変位計測用コンピュータプログラムを格納している。
【0020】
(実施の形態1)
<精密計測装置>
図1(a)は、実施の形態1に係る精密計測装置10の構成を示すブロック図である。
図1(b)は、制御部13の物理的な構成の一例を示すブロック図である。この精密計測装置10は、被計測物1の周辺2に指定された4つの頂点3(A1〜A4)間の長さを計測する計測部11と、被計測物1及びその周辺2を撮影して、撮影画像を得る撮影部12と、あおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める補正前画像座標取得部14と、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める補正後画像座標算出部15と、あおり補正の射影変換の係数を求める射影変換係数算出部16と、あおり補正前の複数の格子点4(B11〜Bnm)の画像座標を求める補正前格子点座標算出部17と、あおり補正後の複数の格子点の画像座標を求める補正後格子点座標算出部18と、を備える。なお、補正前画像座標取得部14と、補正後画像座標算出部15と、射影変換係数算出部16と、補正前格子点座標算出部17と、補正後格子点座標算出部18と、は、制御部13の機能として実現してもよい。
図1(b)に示すように、制御部13は、物理的な構成として、CPU21、メモリ22、記憶手段23、入出力手段24、表示手段25、通信手段26を備えている。
【0021】
以下に、この精密計測装置の各構成部材について説明する。
【0022】
計測部11は、被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3(A1〜A4)について、4つの頂点間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺の長さを得る。撮像部12は、被計測物1の周辺2の4つの頂点と、被計測物1上の複数の格子点(B11〜Bnm)と、が写るように、カメラで被計測物1及びその周辺2を撮影して撮影画像を得る。補正前画像座標取得部14は、得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める。補正後画像座標算出部15は、4つの頂点間の長さを元にして、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める。射影変換係数算出部16は、あおり補正前の4つの頂点の画像座標と、あおり補正後の4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める。補正前格子点座標算出部17は、撮影画像からあおり補正前の複数の格子点(B11〜Bnm)の画像座標を求める。補正後格子点座標算出部18は、得られた射影変換の係数を用いて、複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の複数の格子点(B11〜Bnm)の画像座標を求める。
【0023】
この精密計測装置10では、被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点について、あおり補正の射影変換の係数を求めることによって、ユーザ自身による補正の必要がないあおり補正を実現できる。
【0024】
<精密計測方法>
図7は、実施の形態1に係る精密計測方法のフローチャートである。この精密計測方法について以下に説明する。
(a)被計測物1の周辺2に4つの頂点を四角形状に指定し、頂点間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺(例えば、四角形の周囲3辺と対角2辺又は四角形の周囲4辺と対角1辺)を計測する(S01)。
図2は、被計測物1の周辺に四角形状に指定した4つの頂点3と、被計測物1の上に指定した複数の格子点4と、を示す平面図である。
図3は、
図2の変形例であり、4つの頂点3が長方形以外の四角形を構成する場合の平面図である。
図4は、被計測物1の周辺2の4つの頂点3から成る四角形を抽出した平面図である。なお、頂点3として被計測物1の周辺2にマーカを利用することでより正確に長さを計測することができる。そのため、
図5(a)〜(j)は、頂点として使用されるマーカの一例を示すものである。また、頂点3は、同一平面内の四角形状を構成するように指定することが好ましい。なお、頂点間の長さの計測は、通常使用される方法、例えば、メジャーによる計測、レーザ計測、あるいは2台のカメラによるステレオ撮影等によって行うことができる。
ここで、被計測物1とは、例えば、コンクリート、モルタル等である。なお、被計測物1は、上記コンクリート、モルタル等に限られない。また、被計測物1の周辺2とは、被計測物1の近傍に配置され、被計測物1に比べて経時的に変位しにくい材料からなる箇所であることが望ましい。被計測物1の周辺2とは、例えば、金属製の枠体等であってもよい。
【0025】
(b)被計測物1の周辺の4つの頂点3と、被計測物1の上の指定された複数の格子点4と、が写るように、カメラにより被計測物1及びその周辺2を撮影して撮影画像を得る(S02)。
図6は、4つの頂点を撮影した画像の一例を示す図である。なお、この場合、1台のカメラで撮影を行うことができる。撮像画像内において、4つの頂点に対応する各点は、それぞれα、β、γ、δとする。この場合に、カメラのレンズ歪み(樽形歪み、ピンクッション歪み等)を除去して撮影画像を得るようにしてもよい。
(c)得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S03)。4つの頂点の画像座標は、後述するようにピクセル単位で得ることができる。
(d)頂点間の計測された長さを元に、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める(S04)。この場合、4つの頂点の画像座標は、計測された長さ(m)に基づくので、例えば、m単位となる。
(e)上記(c)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点の画像座標と、上記(d)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S05)。
(f)撮影画像からあおり補正前の複数の格子点の画像座標を求める(S06)。
(g)得られた射影変換の係数を用いて、複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の複数の格子点の画像座標を求める(S07)。
以上によって、あおり補正後の被計測物1の上の複数の格子点の画像座標を得ることができる。
【0026】
以下に、この精密計測方法の各ステップの詳細について説明する。
<ステップ(c)について>
実空間上の4つの頂点(A、B、C、D)の各点に対応する撮影された画像上の点α、β、γ、δは、画像から得られる画像座標であって、以下の通りとする。
α=(x
1,y
1)
β=(x
2,y
2)
γ=(x
3,y
3)
δ=(x
4,y
4)
上記4つの点α、β、γ、δは、4つの頂点を撮影して得られた画像座標であって、あおり補正前の画像座標である。
【0027】
<ステップ(d)について>
・四角形の周辺3辺と対角2辺の場合
4つの頂点間の長さとして、周辺3辺と対角2辺の長さを計測した場合に、4つの頂点の各点の座標を以下のようにして求めることができる。
4つの頂点の各点(A、B、C、D)で形成される四角形ABCDのうち、周辺2辺(AB、BC)と、対角1辺(AC)とで構成される三角形ABCについて各点(A、B、C)のうち、点Cの座標(AE、CE)を求める。この時、頂点Aから頂点Bの方向をX軸、頂点Aを原点とする。
まず、三角形ABCについて、三辺の和を2sとし、三角形ABCの面積Sについて、ヘロンの公式により、下記式が得られる。
以上によって、点Cの座標(AE、CE)が得られる。
【0028】
次に、周辺2辺(AB、DA)と、対角1辺(BD)とで構成される三角形ABDについて各点(A、B、D)のうち、点Dの座標(AF、DF)を求める。前述と同様に座標系は頂点Aから頂点Bの方向をX軸、頂点Aを原点とする。
三角形ABDについて、三辺の和を2sとし、三角形ABDの面積Sについて、ヘロンの公式より、下記式が得られる。
【0029】
よってABCDの各点の座標は、点Aの座標を原点とした場合、下記のようになる。
A =(0,0) ⇒(X
1,Y
1)
B =(AB,0) ⇒(X
2,Y
2)
C =(AE,CE) ⇒(X
3,Y
3)
D =(AF,DF) ⇒(X
4,Y
4)
【0030】
・四角形の周辺4辺と対角1辺の場合
一方、4つの頂点間の長さとして、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、四角形の周辺4辺と対角1辺の場合を計測した場合について説明する。例えば、周囲4辺と対角ACとを計測した場合、原点を点Aとすると共に、対角ACをX軸とすることによって、上記と同様の取り扱いをすることができる。例えば、三角形ABCについては、点Bから対角ACに垂線を下ろして、垂線の足を点Eとする。その後、上記と同様にヘロンの公式を用いてBE及びAEを算出して、点Bの画像座標を求める。また、三角形ACDについては、点Dから対角ACに垂線を下ろして、垂線の足を点Fとする。その後、上記と同様にヘロンの公式を用いてDF、AFを算出して、点Dの画像座標を求めることができる。
【0031】
<ステップ(e)について>
あおり補正前の画像上の画像座標(x
n,y
n)から、あおり補正後の画像座標(X
n,Y
n)への座標変換(射影変換)は、以下のように示される。なお、下記式中、a、b、c、d、e、f、A、Bは、あおり補正の射影変換におけるパラメータである。
なお、上述のように、あおり補正前の画像上の画像座標(x
n,y
n)はピクセル単位で得られる。一方、あおり補正後の画像座標(X
n,Y
n)は、例えばm単位で得られる。それぞれの単位が相違するので、それぞれの単位系を対応させる任意の定数としてkを設けた。kは、任意の定数であるが、決定の方法の一つとしては、例えば、以下の方法が挙げられる。
k=αβ間の距離(pixel(画素))/AB間の距離(m)
【0032】
上記あおり補正の射影変換の式に、4つの頂点のあおり補正前後の画像座標をそれぞれ代入することによって、8組の方程式を得ることができ、これを解くことによって、あおり補正の射影変換におけるパラメータa、b、c、d、e、f、A、Bを算出することができる。
【0033】
<ステップ(f)>
撮影画像上において、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を得る。
【0034】
<ステップ(g)>
得られたあおり補正の射影変換におけるパラメータa、b、c、d、e、f、A、Bを用いて、被計測物1の上に配置された複数の格子点4の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の被計測物1の複数の格子点の画像座標を求めることができる。
【0035】
なお、上記ステップ(a)〜(g)を複数回行って、それぞれで求められる被計測物1の複数の格子点4の画像座標の平均として、被計測物1の複数の格子点4の画像座標を求めてもよい。
【0036】
<精密計測用コンピュータプログラム>
図8は、実施の形態1に係る精密計測用コンピュータプログラムのフローチャートである。
(a)被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3と、被計測物1の上に指定された複数の格子点4と、が写るように、被計測物1及びその周辺2を撮影して得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S11)。
(b)4つの頂点3間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺について計測された長さを元にして、4つの頂点3のあおり補正後の画像座標を求める(S12)。
(c)(a)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点3の画像座標と、(b)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点3の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S13)。
(d)撮影された画像上において、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を得る(S14)。
(e)得られた射影変換の係数を用いて、被計測物1の複数の格子点4の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S15)。
以上の各ステップをコンピュータに実行させることによって、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を精密計測することができる。
【0037】
さらに、上記精密計測用コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。
【0038】
(実施の形態2)
<変位計測方法>
図9は、実施の形態2に係る第1の時間から第2の時間にわたる、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標の経時的な変位を計測する変位計測方法のフローチャートである。以下に、この変位計測方法について説明する。
(1)第1の時間において、以下の精密計測方法を行って、第1の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S21)。
(1−a)被計測物1の周辺2に4つの頂点を四角形状に指定し、頂点間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺(例えば、四角形の周囲3辺と対角2辺又は四角形の周囲4辺と対角1辺)を計測する(S31)。
(1−b)被計測物1の周辺2の4つの頂点3と、被計測物1の上の指定された複数の格子点4と、が写るように、カメラにより被計測物1及びその周辺2を撮影して撮影画像を得る(S32)。
(1−c)得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S33)。
(1−d)頂点間の計測された長さを元に、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める(S34)。
(1−e)上記(1−c)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点の画像座標と、上記(1−d)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S35)。
(1−f)撮影画像からあおり補正前の複数の格子点の画像座標を求める(S36)。
(1−g)得られた射影変換の係数を用いて、複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の複数の格子点の画像座標を求める(S37)。
【0039】
(2)第1の時間から後の第2の時間において、以下の精密計測方法を行って、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S22)。
(2−a)被計測物1の周辺2に4つの頂点を四角形状に指定し、頂点間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺(例えば、四角形の周囲3辺と対角2辺又は四角形の周囲4辺と対角1辺)を計測する(S41)。
(2−b)被計測物1の周辺2の4つの頂点3と、被計測物1の上の指定された複数の格子点4と、が写るように、カメラにより被計測物1及びその周辺2を撮影して撮影画像を得る(S42)。
(2−c)得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S43)。
(2−d)頂点間の計測された長さを元に、あおり補正後の4つの頂点の画像座標を求める(S44)。
(2−e)上記(2−c)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点の画像座標と、上記(2−d)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S45)。
(2−f)撮影画像からあおり補正前の複数の格子点の画像座標を求める(S46)。
(2−g)得られた射影変換の係数を用いて、複数の格子点の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の複数の格子点の画像座標を求める(S47)。
(3)第1の時間における被計測物の上の前記複数の格子点の画像座標から、第2の時間における被計測物の上の複数の格子点の画像座標への経時的な変位を求める(S23)。
以上によって、第1の時間から第2の時間にわたる、被計測物の上の複数の格子点の画像座標の経時的な変位を計測できる。
この変位計測方法によって、被計測物1の上に複数の格子点を指定することによって、例えば、コンクリート上のクラック発生による変位を平面にわたって計測できる。
【0040】
なお、
図9では、第1の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップ(S21)と、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップ(S22)と、第1の時間から第2の時間にわたる被計測物の上の複数の格子点の画像座標の経時的な変位を求めるステップ(S23)と、が記載されているのみである。上記ステップ(1−a)(S31)〜(1−g)(S37)、(2−a)(S41)〜(2−g)(S47)については、それぞれ
図7の各ステップ(a)(S01)〜(g)(S07)と実質的に同一であるのでその記載を省略している。
【0041】
また、上記の場合において、第1の時間から第2の時間にわたってカメラを固定しておいてもよい。これによって、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップにおいて、上記精密計測方法におけるステップ(b)(S42)、(f)(S46)、(g)(S47)のみを行って、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めることができる。つまり、第1の時間から第2の時間にわたって、カメラを固定しているので、第1の時間と第2の時間における、あおり補正の射影変換の係数が実質的に同じと考えることができるため、2回目の精密計測時のあおり補正のステップ(a)(S41)、(c)(S43)〜(e)(S45)を省くことができる。
【0042】
<変位計測用コンピュータプログラム>
図10は、実施の形態1に係る精密計測用コンピュータプログラムのフローチャートである。
(1)第1の時間において、以下の精密計測方法を行って、第1の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S51)。
(1−a)被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3と、被計測物1の上に指定された複数の格子点4と、が写るように、被計測物1及びその周辺2を撮影して得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S61)。
(1−b)4つの頂点3間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺について計測された長さを元にして、4つの頂点3のあおり補正後の画像座標を求める(S62)。
(1−c)(1−a)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点3の画像座標と、(1−b)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点3の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S63)。
(1−d)撮影された画像上において、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を得る(S64)。
(1−e)得られた射影変換の係数を用いて、被計測物1の複数の格子点4の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S65)。
【0043】
(2)第1の時間から後の第2の時間において、以下の精密計測方法を行って、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S52)。
(2−a)被計測物1の周辺2に四角形状に指定された4つの頂点3と、被計測物1の上に指定された複数の格子点4と、が写るように、被計測物1及びその周辺2を撮影して得られた撮影画像からあおり補正前の4つの頂点の画像座標を求める(S71)。
(2−b)4つの頂点3間の長さ、四角形の周囲4辺と対角2辺のうち、少なくとも5辺について計測された長さを元にして、4つの頂点3のあおり補正後の画像座標を求める(S72)。
(2−c)(2−a)のステップで求められたあおり補正前の4つの頂点3の画像座標と、(2−b)のステップで求められたあおり補正後の4つの頂点3の画像座標との間の関係式に基づいて、あおり補正の射影変換の係数を求める(S73)。
(2−d)撮影された画像上において、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を得る(S74)。
(2−e)得られた射影変換の係数を用いて、被計測物1の複数の格子点4の画像座標を射影変換することで、あおり補正後の被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求める(S75)。
(3)第1の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標から、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標への経時的な変位を求める(S53)。
以上の各ステップをコンピュータに実行させることによって、第1の時間から第2の時間にわたる、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標の経時的な変位を計測できる。
【0044】
なお、
図10では、第1の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップ(S51)と、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップ(S52)と、第1の時間から第2の時間にわたる被計測物の上の複数の格子点の画像座標の経時的な変位を求めるステップ(S53)と、が記載されているのみである。上記ステップ(1−a)(S61)〜(1−e)(S65)、(2−a)(S71)〜(2−e)(S75)については、それぞれ
図8の各ステップ(a)(S11)〜(e)(S15)と実質的に同一であるのでその記載を省略している。
【0045】
また、上記の場合において、第1の時間から第2の時間にわたってカメラを固定しておいてもよい。これによって、第2の時間における被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めるステップにおいて、上記精密計測方法におけるステップ(2−d)(S74)及び(2−e)(S75)のみを行って、被計測物1の上の複数の格子点4の画像座標を求めることができる。つまり、第1の時間から第2の時間にわたって、カメラを固定しているので、第1の時間と第2の時間における、あおり補正の射影変換の係数が実質的に同じと考えることができるため、2回目の精密計測時のあおり補正のステップ(a)(S71)〜(c)(S73)を省くことができる。
【0046】
さらに、上記変位計測用コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。