(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のベースに貫通穴が設けられ、前記複数のベースの前記貫通穴に固定部材を挿入することで、前記複数のベースが前記本体部に固定される請求項1、又は2に記載のプローブユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(検査装置)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態にプローブユニットを用いた検査装置の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態に係る検査装置の検査対象として、電力用半導体デバイスの一つであるIGBT(Integrated Gate Bipolar Transistor)を例に説明するが、検査対象となるデバイスは、特に限定されるものではない。例えば、IGBT以外の半導体デバイスを検査対象とすることもできる。また、本実施の形態に係る検査装置は、図示された構成に限られるものではない。
【0015】
図1は、検査装置の一例を示し正面部分断面図であり、
図2は、その平面図である。検査装置1は、チャックステージ2、絶縁板3、断熱板4、xyz−θステージ5、マニピュレータ6、マニピュレータ7、テスタ8、ウェハカセット9、ウェハ搬送装置10、上部ベースプレート11、フォース用導電性部材13、及び導電性ケーブル14A、14Bを備えている。
【0016】
断熱板4の上に絶縁板3が載置されて、保持されている。チャックステージ2は、絶縁板3の上に載置されて、保持されている。絶縁板3と断熱板4との間には、後述するヒータが介装されている。xyz−θステージ5は、チャックステージ2を絶縁板3、及び断熱板4と共にXYZ方向、及びθ方向に移動させる。マニピュレータ6は、表面電極用プローブを保持して、XYZ方向に微小範囲で移動させる。マニピュレータ7は、裏面電極用プローブを保持して、XYZ方向に微小範囲で移動させる。
【0017】
本実施の形態では、検査対象は半導体チップがダイシングされる前のウェハWである。従って、検査対象のウェハWにはダイシング前の複数の半導体チップが形成されている。検査装置1は、ウェハWに設けられた複数の半導体チップを順番に検査していく。ウェハWは、ウェハカセット9に収納される。ウェハ搬送装置10は、ウェハカセット9からウェハWを取り出して、チャックステージ2上のウェハ保持部に載置する。また、ウェハ搬送装置10は、検査が終了したウェハWをウェハ保持部から、外部へと搬出する。ウェハ搬送装置10がウェハWを搬送する機構については、特に制限されるものではない。例えば、ウェハ搬送装置10として、ベルヌーイ方式のウェハ搬送装置を用いることができる。
【0018】
上部ベースプレート11は、チャックステージ2の上方に配置されている。上部ベースプレート11には、長円形の穴12が設けられている。マニピュレータ6、及びマニピュレータ7は、穴12の縁部近傍に取り付けられている。マニピュレータ6、及びマニピュレータ7はそれぞれ、片持ち式に延ばした腕と、その腕の先端部から穴12を通過して下方に突出した保持部を有している。マニピュレータ6、及びマニピュレータ7は、表面電極用プローブ、及び裏面電極用プローブを上部ベースプレート11よりも下方の位置に保持する。表面電極用プローブ、及び裏面電極用プローブはそれぞれ、マニピュレータ6、及びマニピュレータ7によって、XYZ方向に移動可能である。
【0019】
表面電極用プローブは、フォース用導電性部材13及び導電性ケーブル14Aを介してテスタ8に接続されている。裏面電極用プローブは導電性ケーブル14Bを介してテスタ8に接続されている。なお、検査装置1は、上記部材以外に、アライメント用の図示しない顕微鏡や撮像装置を備えている。
【0020】
図3は、チャックステージ外の周辺部だけを取り出した示す拡大正面図である。
図3に示すように、絶縁板3と断熱板4の間には、ヒータ15が配置されている。ヒータ15には、図示しない電力源から電力が供給される。これにより、ヒータ15がチャックステージ2とチャックステージ2のウェハ保持部上に載置されたウェハWと加熱する。ウェハ保持部には、図示しない温度センサが取り付けられている。そして、温度センサからの信号に基づいて、ヒータ15に供給する電力を調整する。こうすることで、チャックステージ2と、ウェハ保持部に載置されるウェハWを予定の温度に加熱することができる。
【0021】
図4は、
図3の平面図である。
図4に示すとおり、チャックステージ2の上面には、ウェハ保持部αと、プローブコンタクト領域βとが設けられている。ウェハ保持部αとプローブコンタクト領域βとは、互いに重ならないように隣接して配置されている。ウェハ保持部αには、例えば、負圧源に接続された吸引溝等の図示しない吸引機構が設けられている。これにより、ウェハ保持部αは、その上面をウェハWの裏面と接触させた状態で、ウェハWを吸引、保持する。
【0022】
ウェハ保持部αの大きさには特段の制限はなく、検査装置1で検査することを予定している最大のウェハWを保持できる大きさであればよい。また、検査対象となるウェハWが通常円形であるため、ウェハWの形状に合わせてウェハ保持部αの形状を円形としているが、ウェハWを保持することができれば、円形に限られるわけではなく、楕円形、長円形、多角形状であっても良い。
【0023】
チャックステージ2は、防錆メッキ処理された銅等の導電性材料で構成されている。チャックステージ2の上面の一部の領域がウェハ保持部αを構成しているので、ウェハ保持部αの上面も導電性である。従って、ウェハ保持部α上にウェハWを載置すると、ウェハ保持部αの導電性の上面がウェハWの裏面と接触することになり、ウェハ保持部αにおけるウェハWの裏面と接触する部分が導電性の接触部となる。
【0024】
一方、プローブコンタクト領域βは、後述する裏面電極用プローブが接触する領域である。プローブコンタクト領域βは、チャックステージ2の上面にウェハ保持部αと隣接して設けられており、チャックステージ2の上面の一部が、プローブコンタクト領域βを構成している。チャックステージ2は、防錆メッキ処理された銅等の導電性材料で構成されているので、プローブコンタクト領域βは導電性である。従って、チャックステージ2におけるウェハ保持部α及びプローブコンタクト領域β以外の部分を介して、プローブコンタクト領域βはウェハ保持部αにおける前記接触部と導通している。
【0025】
プローブコンタクト領域βの大きさは、ウェハ保持部αに保持される最大ウェハWと同形かつ同大の領域を包含する大きさに選ばれる。本例においては、ウェハ保持部αに保持されるウェハWが円形で、その径は最大でもウェハ保持部αの径を越えることが無いと想定される。よって、プローブコンタクト領域βは、ウェハ保持部αと同じ半径の円形の領域として設定されている。但し、プローブコンタクト領域βの形状は円形に限られず、想定される最大のウェハWと同形かつ同大の領域を包含する限り、楕円形、長円形、多角形等のいかなる形状であってもよい。また、プローブコンタクト領域βの大きさは、ウェハ保持部αに保持される最大のウェハWと同形かつ同大の領域を包含していればよい。極端な場合には、ウェハ保持部αに保持される最大のウェハWと同形かつ同大の領域であってもよいが、ウェハ保持部αに保持される最大のウェハWよりも大きな面積の領域をaβとして設定するのが好ましい。
【0026】
また、本例においては、チャックステージ2の導電性の上面自体が、ウェハ保持部α及びプローブコンタクト領域βの双方を構成しているが、チャックステージ2の上面に、ウェハ保持部αに保持される最大のウェハWと同大かつ同形の部分をカバーする大きさの導電性シートを載置して、その導電性シートの上面をプローブコンタクト領域βとしてもよい。このように、導電性シートをプローブコンタクト領域βとする場合には、裏面電極プローブが多数回接触すること等によってプローブコンタクト領域が損傷を受けた場合には、導電性シートだけを交換すればよく、メンテナンスの手間と費用を低減することができる。
【0027】
また、図に示すとおり、チャックステージ2は、xyz−θステージ5上にある。そして、チャックステージ2の上面のウェハ保持部α及びプローブコンタクト領域βが形成されているので、xyz−θステージ5を作動させてチャックステージ2を移動させると、ウェハ保持部αとプローブコンタクト領域βは一体となって同じ方向に移動する。
【0028】
図5は、表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとチャックステージ2との関係を示す正面図であり、
図6はその平面図である。便宜上、説明に必要な部材のみを抽出して図示してある。表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
Bは、それぞれ図示しない複数本のフォース用プローブと、複数本のセンス用プローブと、を有している。フォース用プローブの数は1本であってもよいが、電力用半導体デバイスの検査に際しては、大電流を流す必要があるため、フォース用プローブは複数本あるのが好ましい。同様に、センス用プローブの数も1本であってもよいが、複数本あると導通チェックができるので好ましい。なお、表面電極用プローブP
Aは、検査対象となる半導体デバイスの種類にもよるが、通常、前記フォース用プローブとセンス用プローブに加えて、図示しないゲート用プローブとベース用プローブを有している。
【0029】
表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
Bとは、水平方向に互いに距離Dだけ隔てて配置されている。チャックステージ2がxyz−θステージ5によって上昇した時に、表面電極用プローブP
Aは、ウェハ保持部αに保持されたウェハWと接触し、裏面電極用プローブP
Bはプローブコンタクト領域βと接触する位置に配置されている。また、フォース用導電性部材13は表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
Bとを結ぶ直線に沿ってチャックステージ2の上面と平行に配置されている。本例の場合、フォース用導電性部材13は剛性のある板状の導電性部材であり、表面電極用プローブP
A側の一端は表面電極用プローブP
Aが有する複数本のフォース用プローブと電気的に接続され、他端は、導電性ケーブル14Aを介してテスタ8に接続されている。なお、裏面電極用プローブP
Bは、導電性ケーブル14Bを介してテスタ8に接続されている。
【0030】
図6に示すLは、ウェハ保持部αとプローブコンタクト領域βの中心間の距離であり、本例においては、距離Dは距離Lと略同じになるように設定されている。このように距離Dが距離Lと略同じに設定されている。また、プローブコンタクト領域βがウェハ保持部αで保持される最大のウェハWと同形かつ同大の領域を包含する大きさになっている。よって、xyz−θステージ5によってチャックステージ2が移動し、表面電極用プローブP
Aがウェハ保持部α上に保持されたウェハW内を相対的に移動すると、裏面電極用プローブP
Bはプローブコンタクト領域β内を相対的に移動する。そして、表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
Bが一定の距離Dだけ離れた状態で検査が行われる。
【0031】
ウェハW上に形成されている多数の半導体デバイスを順次検査すべくxyz−θステージ5によってチャックステージ2を移動させる場合であっても、表面電極用プローブP
Aが半導体デバイスの表面電極に接触する時には、裏面電極用プローブP
Bが半導体デバイスの裏面電極と電気的に導通するプローブコンタクト領域βに接触する。半導体デバイスに必要な電気信号を供給して、その電気的特性をウェハ状態のまま検査することが可能となる。また、表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
Bは移動させる必要が無いので、テスタ8と表面電極用プローブP
A及び裏面電極用プローブP
Bとの位置関係は不変である。このため半導体デバイスの検査をウェハ状態のまま行う場合であっても、テスタ8と表面電極用プローブP
A、及びテスタ8と裏面電極用プローブP
Bとの電気的接続経路の長さとを常に一定の最短長さに維持することができる。よって、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にすることができ、半導体デバイスの実力値に近い大電流測定や動特性試験に必要な過渡特性を得ることができるという利点が得られる。さらに、フォース用導電性部材13内を流れる電流と、チャックステージ2ないに流れる電流が逆向きで平行になる。よって、発生する磁界が相殺され、表面電極用プローブP
Aと裏面電極用プローブP
B間の電流経路における実効インダクタンスを低減することができ、より過渡特性の良い、精度の高い測定が可能になる。
【0032】
(プローブユニット)
次に、本実施の形態の特徴部分の一つであるプローブユニットの構成について、
図7、及び
図8を用いて説明する。
図7は、プローブユニットの全体構成を示す斜視図である。
図8は、プローブユニットの構成を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、プローブユニット30が、例えば、表面電極用プローブP
Aのフォース用プローブに用いられるプローブユニットであるとして説明する。もちろん、プローブユニット30が供給する電気信号や電源電圧は特に限定されるものではない。
【0033】
プローブユニット30は、本体部31と、ベース41と、プローブ33と、ボルト32とを備えている。本体部31には、ボルト32によってベース41が固定される。そして、本体部31がマニピュレータ6に取り付けられる。さらに、ベース41の下側には、プローブ33が設けられている。
【0034】
図8に示すように、ベース41は、本体部31に着脱可能に設けられている。ベース41は板状の部材であり、ここでは導電性の金属板となっている。例えば、ベース41として、Ni合金又は純Niの金属板を用いることができるが、材質は特に限定されるものではない。数十A以上の大電流を流す場合は、低抵抗の材質を用いることが好ましい。1つのベース41には、複数のプローブ33が設けられている。複数のベース41が本体部31に取り付けられる。なお、図示は省略しているが、例えば、本体部31には冷却用ガスを流すための穴が設けられており、ベース41を上方から冷却していている。
【0035】
複数のベース41は略同じ大きさ、かつ略同じ形状の金属板であり、略同じ位置にボルト32を挿入するための穴42を有している。ベース41の側面に設けられた穴42は、ベース41を貫通する貫通穴である。従って、複数のベース41の当該側面が互いに対向するように配置された状態では、複数のベース41の穴42が重なり合う。ボルト32を複数のベース41の穴42に挿入する。そして、ボルト32を本体部31のネジ穴(不図示)に螺合すると、複数のベース41が本体部31に固定される。ベース41が本体部31に収納される。複数のベース41が重ね合わされた状態となる。複数のベース41の側面が互いに接触するため、複数のベース41が導通する。
【0036】
このように、複数のベース41の側面が互いに対向するように並設した状態で、ボルト32を複数のベース41の穴42に挿入する。こうすることで、複数のベース41を簡便に固定することができる。また、ベース41を取り外す場合は、ボルト32を本体部31から取り外す。こうすることで、複数のベース41を本体部31から簡便に取り外すことができるようになる。この構成では、それぞれのベース41を個別に交換することができるようになる。なお、
図7、
図8では、2本のボルト32でベース41を固定しているが、ボルト32の本数や配置は特に限定されるものではない。また、ボルト32以外の固定手段で、複数のベース41を固定してもよい。
【0037】
それぞれのベース41の下側には、複数のプローブ33が一列に配列されている。
図8では、5つのベース41が示され、それぞれのベース41に5つのプローブ33が設けられている。もちろん、ベース41、及びプローブ33の数は、図示した構成に限定されるものではない。そして、複数のプローブ33が等間隔に配列されている。プローブユニット30全体では、複数のプローブ33がアレイ状に配列された構成となる。また、複数のベース41のそれぞれが導電性材料によって設けられているため、複数のベース41が導通する。従って、複数のベース41に設けられた複数のプローブ33に同じ電気信号や電源電圧を供給することができる。よって、プローブユニット30は、検査対象デバイスに大電流を流す検査に好適である。
【0038】
(プローブの構成)
以下、ベース41の下方に設けられたプローブ33の構成について、
図9〜
図11を用いて説明する。
図9は、ベース41の下方に設けられたプローブ33の構成を示す分解斜視図である。
図10は、プローブ33の構成を示す正面図であり、
図11は、プローブ33の構成を示す水平断面図である。なお、
図9〜
図11では、説明の簡略化のため一部の構成を簡略化して図示している。例えば、
図9では、
図8とは、1つのベース41に対して設けられたプローブ33の数が、
図8で示した構成と異なっている。また、
図10、
図11では、ベース41の構成を省略して図示している。
【0039】
図9に示すように、プローブ33は、プランジャ40、スプリング50、及びコンタクトピン60を有している。プランジャ40は、ベース41の下面から下方に延在している。なお、ベース41の上面には、ケーブル34を取り付けるための取付部46が設けられている。取付部46に電気信号や電源電圧を供給するためのケーブル34が接続される。テスタ8からのテスト用の電気信号や電源電圧がケーブル34を介してベース41に供給される。
【0040】
プランジャ40は、受け座44と先端部45とを有している。受け座44は、先端部45よりも幅広に形成されている。受け座44は先端部45の上側に配置されている。コンタクトピン60は接触部61と保持部62と受け座63とを有している。受け座63は、保持部62よりも幅広に形成されている。接触部61は、半導体デバイスの電極パッド71と接触する部分である。接触部61の上に受け座63が設けられ、受け座63の上に保持部62が設けられている。プランジャ40とコンタクトピン60の間には、スプリング50が設けられている。スプリング50は、圧縮コイルばねである。
【0041】
先端部45と保持部62の外径は、スプリング50の内径の同程度以下となっている。従って、スプリング50の内部に先端部45と保持部62が挿入される。そして、受け座44と受け座63の外径は、スプリング50の内径よりも大きくなっている。従って、スプリング50の上端は受け座44と接触し、下端は受け座63と接触する。すなわち、スプリング50は受け座44と受け座63との間に保持される。接触部61の先端が電極パッド71と接触すると、コンタクトピン60が上側に押される。これにより、スプリング50が収縮して、コンタクトピン60を下側に付勢する。これにより、確実に接触部61を電極パッド71に接触させることができる。また、接触部61の先端は尖っているため、接触部61が電極パッド71の表面に形成された表面酸化膜を貫通して、電極パッド71に接触する。これにより、確実に接触部61を電極パッド71に導通させることができる。
【0042】
保持部62は、先端部45を挟み込むように受け座63から二本に分岐して形成されている。
図10、
図11に示すように、二本の保持部62が先端部45を挟み込むことで、プランジャ40がコンタクトピン60を保持する。さらに、先端部45を挟み込んだ保持部62の外周にはスプリング50が配置されており、スプリング50が外周から保持部62を押さえている。これにより、二本の保持部62の間に先端部45が保持されるため、コンタクトピン60がプランジャ40から脱落するのを防ぐことができる。
【0043】
プランジャ40はベース41と一体的に形成されている。従って、プランジャ40は、金属材料によって形成される。また、スプリング50とコンタクトピン60も、金属材料によって形成される。プランジャ40とコンタクトピン60とスプリング50とは、互いに接触する。これにより、プランジャ40がコンタクトピン60と導通する。一つのベース41からは複数のプランジャ40が下方に延在している。また、スプリング50が保持部62を先端部45に押し付けているため、プランジャ40とコンタクトピン60を確実に導通させることができる。
【0044】
上記したように、隣接するベース41は側面同士が当接して、導通している。よって、複数のベース41に設けられたプローブ33の全てが導通する。例えば、
図8に示す構成では、5×5個のプローブ33がベース41を介して導通する。よって、複数のプローブ33に同じ電気信号や電源電圧を供給することができる。さらに、複数のベース41のうち少なくとも一つに取付部46を設けて、ケーブル34を接続すれば、全てのプローブ33に同じ電気信号や電源電圧を供給することができる。よって、複数のベース41を容易に本体部31に取り付けることができる。もちろん、2つ以上のベース41に取付部46を設けて、ケーブル34を接続することも可能である。
【0045】
本実施の形態に係るプローブユニット30によれば、一部のベース41のみを交換することができるようになるため、メンテナンス性を向上することができる。例えば、故障したプローブ33を有するベース41を個別に交換すればよい。さらに、隣接するベース41が接触して導通しているため、一部のベース41を交換する場合でも、ケーブル34の取り付けなどを省略することができる。これにより、故障したプローブ33を簡便に交換することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、プランジャ40が、ベース41から下方に延在した構成となっている。そして、ベース41とプランジャ40が一体的に形成されている。例えば、一つの金属板を加工することにより、プランジャ40とベース41が一体的に形成される。このように、ベース41とプランジャ40を一体的に形成することで、抵抗の劣化を防ぐことができる。これにより、良好な電気的特性を得ることができる。さらに、接触点を減らすことができるため、接触荷重によって部材が破損しづらくなる。これにより、プローブユニット30の長寿命化が可能になる。
【0047】
図12に示すよう、プローブ33が電極パッド71と接触した状態では、接触部61と電極パッド71の間が接触点となる。プランジャ40とコンタクトピン60との間も接触点となる。また、隣接するベース41は、側面全体で接触可能であるため、良好な電気的特性を得ることができる。
【0048】
一方、
図13の比較例に示すように、ベース41からプランジャ40を延在させずに、ベース41とプローブ33とを別々に形成した場合、ベース41とプローブ33との間も接触点となる(
図13の箇所A)。従って、接触点の増加に応じて、抵抗が劣化するおそれがある。さらに、接触荷重によって、部材が破損してしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態に係るプローブでは、
図13の比較例に比べて接触点が少ないため、良好な電気的特性を得ることができる。さらに、接触点における破損を防ぐことができるため、プローブユニット30の寿命を長くすることができる。なお、
図12、
図13では、説明の簡略化のため、1つのベース41に1つのプローブ33が設けられた構成を図示している。
【0049】
(変形例1)
また、上記の説明では、複数のベース41の全てを導通させたが、一部のベース41を他のベース41から絶縁させることも可能である。このようにすることで、複数のプローブ33に異なる電気信号や電源電圧を供給することができる。よって、複数の電極パッド71に異なる電気信号や電源電圧を供給することが可能になる。例えば、
図14に示すように、ベース41の間に絶縁体47を配置することで、隣接するベース41を絶縁することができる。絶縁体47は絶縁シートや絶縁板などである。
【0050】
図14は、ベース41を絶縁した場合の構成を模式的に示す平面図である。
図14では、ベース41aとベース41bの間に絶縁体47を介在させることで、2つの導電経路を形成している。すなわち、ベース41aとベース41bの間に絶縁体47を配置して、ベース41と絶縁体47を並設する。この構成では、絶縁体47に穴42と同様の貫通穴を設けて、ボルト32を挿入する。こうすることで、ボルト32が複数のベース41を絶縁体47とともに、本体部31に固定する。絶縁体47で離間されたベース41aとベース41bにそれぞれケーブル34を取り付けることで、異なる電気信号や電源電圧を供給することが可能になる
【0051】
なお、上記の説明では絶縁体47を2つのベース41a、41bの間に配置する構成としたが、ベース41の側面を絶縁被覆することで、絶縁体47を設けてもよい。また、絶縁体47を複数配置して、3以上の導電経路を設けることも可能である。絶縁体47を設ける位置や数は、検査対象となるデバイスの電極パッド71の大きさ、形状、数、配置に応じて決定すればよい。
【0052】
(変形例2)
また、電極パッド71の形状や配置に応じて、プローブ33の配置や数を適宜変更することができる。例えば、電極パッド71の形状が矩形となっていない場合、電極パッド71の形状に応じて、プローブ33を不規則に配置する。この構成例について、
図15を用いて説明する。
図15は、電極パッド71とプローブ33の配置を模式的に示す平面図である。
【0053】
図15では、電極パッド71の外形が矩形となっておらず、凹形状になっている。従って、電極パッド71が存在しない箇所では、プローブ33を間引く。すなわち、ベース41cに2つのプローブ33を設けるようにして、その他のベース41は3つのプローブ33を設ける構成としている。こうすることで、電極パッド71の外側に、プローブ33が接触するのを防ぐことができる。
【0054】
このように、ベース41cにおけるプローブ33の数が、他のベース41におけるプローブ33の数と異なっている、さらに、ベース41cでは、プローブ33のピッチが他のベース41におけるプローブ33のピッチと異なっている。このように、複数のベース41におけるプローブ33の配置及び数は適宜変更することが可能である。こうすることで、様々な形状の電極パッド71に対応することができる。もちろん、凹形状や矩形状以外の電極パッド71に対応することが可能である。すなわち、電極パッド71の形状に応じて、様々なベース41を用意しておくことで、異なる形状の電極パッド71に対応することが可能になる。
【0055】
(変形例3)
トランジスタのソースとゲートにそれぞれ電気信号や電源電圧を供給するための構成例について、
図16を用いて説明する。
図16は、電極パッド71とベース41の配置を模式的に示す平面図である。
図16において、ゲート用の電極パッド71を電極パッド71gとし、ソース用の電極パッド71を電極パッド71sとして示している。ソース用の電極パッド71sの外形は、
図15と同様に凹形状になっており、その凹み部分にゲート用の電極パッド71gが配置されている。
【0056】
電極パッド71gと接触するプローブ33gは、ベース41gに設けられている。電極パッド71sと接触するプローブ33sは、ベース41sに設けられている。
図16では4つのベース41sと1つのベース41gが設けられている。そして、ベース41sとベース41gの間には、絶縁体47が介在している。こうすることで、ベース41gのプローブ33gとベース41sのプローブ33sとが絶縁される。そして、ベース41sとベース41gにそれぞれケーブル34を取り付ける。こうすることで、電極パッド71sと電極パッド71gに異なる電気信号や電源電圧を供給して、検査することができる。
【0057】
さらに、ベース41gには1つのプローブ33gが設けられている。また、ベース41sのそれぞれには、3つのプローブ33sが設けられている。大電流を供給するソース電極用の電極パッド71sには、多数のプローブ33sを等設させることができる。
【0058】
このように、電極パッド71の数、形状、大きさ、配置に応じて、プローブ33の配置や数を調整することができる。また、絶縁体47の位置や数を変更することができる。もちろん、ソース、ゲート以外の電極パッド71に電気信号や電源電圧を供給することも可能である。このように、検査対象となるデバイスの電極パッド71に応じて、適宜プローブ33の配置を変更することが可能となる。
【0059】
それぞれのベース41に設けるプローブ33の数は特に限定されるものではない。また、1つのベース41において、2列以上でプローブ33を配置しても良い。さらに、異なる厚さのベース41を用いてもよい。また、電極パッド71の形状や大きさに応じて、様々なベース41を用意しておくことが好ましい。このようにすることで、検査対象のデバイスの仕様が変更した場合でも、容易に対応することが可能になる。例えば、プローブ33のピッチや数を変更したり、ベース41の厚さ等を変更したりすることができる。もちろん、図示したベース41及びプローブ33の配置や数は一例であり、図示した構成に限定されるものではない。なお、プローブ33を介して電極パッド71に大電流を供給する場合、本体部31に冷却フィンを設けたり、冷却ガスや冷却水によって本体部31を冷却したりしてもよい。