(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記照射手段が筐体の内部に前記処理経路に沿って並置されており、前記処理経路の空気を前記筐体の外に吸引、排出する吸引ダクトが設けられており、前記照射手段どうしの間隙を覆う閉鎖部材が設けられている請求項1または2に記載の殺菌装置。
前記シャッタが、互いに前記処理経路の幅方向に間隔を空けて対向配置されることで間に空気層を形成した複数の板材によって構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の殺菌装置。
前記照射手段が、前記処理経路に面した対向位置と、前記処理経路から離間したメンテナンス用の開放位置との間で切り換え可能に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の殺菌装置。
被殺菌物に上方から殺菌用の電磁波を照射する補助照射手段と、前記補助照射手段を被殺菌物の上方の照射位置から側方に離間した退避位置へと揺動移動させる揺動操作機構とを有する請求項1から6のいずれか一項に記載の殺菌装置。
前記処理経路に沿って複数の前記照射手段が並置されており、前記シャッタは複数の前記照射手段に亘って連続的に延びた単体のシャッタによって構成されている請求項1から7のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された殺菌装置では、被殺菌物と照射手段との間にシャッタが進入する空間を設けておく必要があるために、照射手段を被殺菌物に対して十分に近接配置させることができず、被殺菌物が単位長さの照射手段から受ける殺菌作用を十分に高くできないため、結果的に、照射手段によって囲まれた処理経路を必要以上に長くする必要が生じていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術に見られる課題に鑑み、被殺菌物が単位長さの照射手段から受ける殺菌作用をより高くでき、その結果、照射手段によって囲まれた処理経路を比較的短くできる殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による殺菌装置の特徴構成は、
被殺菌物を所定の処理経路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送中の被殺菌物に少なくとも側方から殺菌用の電磁波を照射する照射手段と、
前記照射手段を、殺菌のための照射位置と、前記照射位置よりも被殺菌物から側方に離間した退避位置との間で移動させる移動操作機構と、
前記退避位置に移動した前記照射手段と被殺菌物との間に進入した作用位置と、前記作用位置から引退した非作用位置との間で位置切り換え可能なシャッタと、を有する点にある。
【0007】
上記の特徴構成を備えた殺菌装置では、搬送機構を正常に稼動している間は、照射位置に位置させた照射手段から被殺菌物に殺菌用の電磁波を照射させ、何らかの原因で搬送機構の停止を余儀なくされる場合には、電磁波照射を継続中の照射手段を退避位置に移動させ、シャッタを作用位置に切り換えることで退避位置の照射手段と被殺菌物との間に進入させることで、被殺菌物が長時間の電磁波照射によって損傷を受けることを防ぐことができ、搬送機構を稼動再開する際には、シャッタを非作用位置に戻し、照射手段を照射位置に戻すだけで、被殺菌物に対する本来の殺菌作用を迅速に復旧させることができる。
【0008】
すなわち、上記の特徴構成を備えた殺菌装置では、被殺菌物を照射手段の電磁波照射から保護する必要がある際にのみ、シャッタが進入できるように照射手段を被殺菌物から離間させて、通常の稼動時には照射手段を被殺菌物に十分に近接させることができるので、被殺菌物が単位長さの照射手段から受ける殺菌作用を十分に高くでき、その結果、照射手段によって囲まれた処理経路を比較的短く設定することができる。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、前記搬送機構を上下及び左右の側方から包囲する筐体を備えており、
前記照射手段は前記照射位置と前記退避位置とのいずれにおいても前記筐体の内部に収納されており、前記シャッタは前記作用位置と前記非作用位置とのいずれにおいても前記筐体の内部に収納されている点にある。
【0010】
例えば、搬送機構を停止する際に、照射手段が外側に倒れ込むように揺動されることで被殺菌物から離間する構成とした場合は、高温の照射手段またはシャッタが筐体の外側に突出されることで、殺菌装置の周辺が高温状態に曝される虞があった。しかし、本構成であれば、通常運転時だけでなく、照射手段が照射した状態で実施される搬送機構の停止時などでも、高温の照射手段やシャッタが殺菌装置の外側へ突出することがないので、殺菌装置の周辺がより良い環境状態に保たれる。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、複数の前記照射手段が筐体の内部に前記処理経路に沿って並置されており、前記処理経路の空気を前記筐体の外に吸引、排出する吸引ダクトが設けられており、前記照射手段どうしの間隙を覆う閉鎖部材が設けられている点にある。
【0012】
本構成であれば、照射手段どうしの間隙が閉鎖部材によって閉鎖されることで、処理経路に沿って連続的な空気流路が形成されるので、処理経路内のプリフォームの近傍で発生する高温空気が吸引ダクトによって効果的に吸引、排出され、プリフォームの過熱を防止できる。
【0013】
本発明の他の特徴構成は、前記閉鎖部材が、前記シャッタを前記作用位置と前記非作用位置との間で支持案内する支持ガイド部を備えている点にある。
【0014】
本構成であれば、閉鎖部材の一部にシャッタを支持案内する役目を兼ねさせることができるので、シャッタのための支持案内手段を別に設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0015】
本発明の他の特徴構成は、前記シャッタが、互いに前記処理経路の幅方向に間隔を空けて対向配置されることで間に空気層を形成した複数の板材によって構成されている点にある。
【0016】
本構成であれば、もしもシャッタの内側面が照射手段によって高温に熱されても、シャッタを構成する複数の板材の間に形成される空気層が断熱層として機能するため、プリフォームが熱によって損傷を受ける虞が抑制される。
【0017】
本発明の他の特徴構成は、前記照射手段が、前記処理経路に面した対向位置と、前記処理経路から離間したメンテナンス用の開放位置との間で切り換え可能に設けられている点にある。
【0018】
本構成であれば、必要に応じて、UVランプ本体が処理経路から離間したメンテナンス用の開放位置へと揺動させることで、UVランプ本体や搬送機構などに対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0019】
本発明の他の特徴構成は、被殺菌物に上方から殺菌用の電磁波を照射する補助照射手段と、前記補助照射手段を被殺菌物の上方の照射位置から側方に離間した退避位置へと揺動移動させる揺動操作機構とを有する点にある。
【0020】
本構成であれば、前記照射手段による側方からの電磁波照射に加えて、補助照射手段による上方からの電磁波照射を与えることで、被殺菌物に対してより十分な殺菌処理を施すことが可能となり、しかも、搬送機構の停止を余儀なくされる場合には、補助照射手段を退避位置へと揺動移動できるので、長時間の電磁波照射によって被殺菌物が損傷を受けることを防止できる。
【0021】
本発明の他の特徴構成は、前記処理経路に沿って複数の前記照射手段が並置されており、前記シャッタは複数の前記照射手段に亘って連続的に延びた単体のシャッタによって構成されている点にある。
【0022】
本構成であれば、少なくともシャッタが作用位置にあるとき、照射手段どうしの間隙が照射手段に亘って連続的に延びた単体のシャッタによって閉鎖されることで、処理経路に沿って十分に連続的な空気流路が形成されるので、特に照射手段どうしの間隙を覆う閉鎖部材を設ける必要がなく、殺菌装置をより簡易な構成にできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示す殺菌装置50は、樹脂製のプリフォーム1からボトルをブロー成形する製造ラインの一部として設けられている。プリフォーム1は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、または、ポリエチレン樹脂などによって形成されている。
【0025】
図2に例示するように、プリフォーム1は、外周に雄ネジを備えた口部1Mと、口部1Mから下方に延びた本体部1Bとを備え、口部1Mの下端部には大径のネックリング1Rが設けられている。
【0026】
特に図示しないが、一般に、殺菌装置50の下流側には、プリフォーム1を飲料用などのボトル状にブロー成形する成形装置、成形されたボトルに飲料などを充填する充填装置、ボトルの口部をキャップで密閉する密栓装置などが設けられる。
【0027】
図1に示すように、殺菌装置50は、プリフォーム1(被殺菌物の一例)を概して水平な直線状の処理経路TRに沿って搬送する搬送機構2と、搬送機構2を所定の長さに亙って包囲する横長で半密閉式のチャンバ5(筐体の一例)とを有する。チャンバ5は複数の脚部4によって床面より上方に支持されている。
【0028】
図2に示すように、搬送機構2は、上流側と下流側の端部付近に配置されたスプロケット(不図示)に巻回された左右一対の無端チェーン状のコンベア3を有し、同コンベア3は各スプロケットと連結された一対のモータ(不図示)によって回転駆動される。コンベア3を構成するチェーンの外側には、プリフォーム1のネックリング1Rを支持する横向きに延びた板状支持部3Aが設けられている。
【0029】
図3に示すように、チャンバ5の内部に設けられた内部空間6は便宜的に搬送方向に沿って並置された3つのセクション6A,6B,6Cに分割されている。
図1に示すように、各セクション6A,6B,6Cの側方は、概して搬送方向と平行な軸芯回りで揺動操作可能な上下2枚のカバー7A,7Bによって開閉自在に閉じられており、上下のカバー7A,7Bの境界付近の高さは搬送機構2のコンベア3の高さと略一致している。
【0030】
図2から
図4などに示すように、各セクション6A,6B,6Cには殺菌手段として、プリフォーム1に側方から殺菌用の紫外線(電磁波の一例)を照射する左右の側方UVユニット8と、プリフォーム1に上方から殺菌用の紫外線を照射する上方UVユニット15とが設けられている。
【0031】
図4などに示すように、側方UVユニット8は、搬送方向に沿って延びた側方UVランプ本体8A(照射手段の一例)と、側方UVランプ本体8Aを側方外側から支持する支持ブラケット9と、支持ブラケット9をプリフォーム1の高さに支持する支持フレーム10とを有する。
【0032】
左右の各支持ブラケット9には上下に2本のU字状の側方UVランプ本体8Aが固定されており、支持フレーム10の下部と連結された第1シリンダ機構12(移動操作機構の一例)によって、側方UVユニット8を処理経路TRの幅方向に沿って外向きに往復移動させることができる。
【0033】
上方UVユニット15は、搬送方向に沿って延びた上方UVランプ本体15A(補助照射手段の一例)と、上方UVランプ本体15Aを上方から支持する断面が逆U字状の支持ブラケット16と、支持ブラケット16をプリフォーム1の上方の適切な高さに支持する支持アーム17と有する。
【0034】
図4から
図6に示すように、支持アーム17の上端と連結された揺動操作機構19は、上方UVユニット15を、上方UVランプ本体15Aがプリフォーム1の上端付近に近接配置された照射位置(
図4にて実線で示す)と、照射位置から側方に離間した退避位置(
図6にて実線で示す)との間で、処理経路TRの幅方向に揺動移動させることができる。
【0035】
上方UVユニット15の支持ブラケット16の内面は、上方UVユニット15が照射位置にある状態で上方UVランプ本体15Aを上方と左右の側方から包囲する反射面16Aを構成している。反射面16Aは上方UVランプ本体15Aの全長に亙って延びており、上方UVユニット15が照射位置にある状態で、紫外線の照射方向を概して下向きに集中させ、紫外線が側方へ照射されることを防止している。
【0036】
側方UVユニット8の下方には、プリフォーム1を側方UVユニット8の紫外線から保護するためのシャッタユニット20が設けられている。シャッタユニット20は、搬送方向と上下方向とに沿って延びた板状のシャッタ本体21と、シャッタ本体21を上方位置(作用位置の一例)と下方位置(非作用位置の一例)との間で移動させる第2シリンダ機構23とを有する。
【0037】
通常の稼動時には、チャンバ5の各カバー7A,7Bは閉鎖状態でロックされており、多数のプリフォーム1が、側方UVユニット8の側方UVランプ本体8Aと上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aとから紫外線を照射されながら、コンベア3によって処理経路TRに沿って一定速度で搬送されてチャンバ5から排出され、引き続き、下流側の成形装置に供給される。
【0038】
本発明に係る殺菌装置では、側方UVユニット8の側方UVランプ本体8Aと上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aの双方共に、プリフォーム1に対して十分に近い位置に配置されているので、プリフォーム1には十分な殺菌作用が付与される。
【0039】
尚、
図1〜
図3などでは搬送中のプリフォーム1どうしが搬送方向で離間した状態で示されているが、実際にはプリフォーム1をネックリング1Rどうしが接触するほど互いに近接した状態で搬送することが可能である。
【0040】
何らかの原因でコンベア3の停止を余儀なくされる場合には、側方UVユニット8と上方UVユニット15とから照射される紫外線によってプリフォーム1が過熱されることを防止するために以下の措置が取られる。
【0041】
すなわち、コンベア3が停止する際には、チャンバ5の各カバー7A,7Bは閉鎖したまま、また、基本的に側方UVユニット8の側方UVランプ本体8Aと上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aとへの通電状態は維持したまま、制御盤(不図示)などに設けられたスイッチの操作により、全てのセクション6A,6B,6Cの左右の側方UVユニット8が、第1シリンダ機構12によって照射位置(
図4にて実線で示し、
図5にて二点鎖線で示す)から外側の退避位置(
図5及び
図6にて実線で示す)に引退され、上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aは揺動操作機構19によって下向きの照射位置(
図4にて実線で示し、
図5にて二点鎖線で示す)から側方の退避位置(
図6にて実線で示す)に揺動移動される。
【0042】
引き続き、同様のスイッチ操作により、下方位置(
図4及び
図5にて実線で示し、
図6にて二点鎖線で示す)にあったシャッタ本体21が第2シリンダ機構23によって上方位置(
図6及び
図7にて実線で示す)まで上昇されることで、引退した側方UVランプ本体8Aとプリフォーム1との間に形成された空間内に進入し、プリフォーム1を側方UVランプ本体8Aの紫外線から遮蔽し、長時間の紫外線照射から保護する。
【0043】
図3に示すように、第1シリンダ機構12は、搬送方向に関して側方UVユニット8の支持フレーム10の前後両端付近に配置されているが、第2シリンダ機構23は、搬送方向に関してシャッタ本体21の中央付近の1箇所のみに配置されている。
【0044】
図7に示すように、シャッタ本体21は、互いに処理経路TRの幅方向に間隔を空けて対向配置された3枚のステンレス鋼の板材21A,21B,21Cによって構成されており、各板材21A,21B,21Cどうしの間に形成された空気層はプリフォーム1を高熱から保護する断熱層の役目を果たす。
【0045】
また、少なくとも最も内側に相当する板材21Cの面、すなわち、シャッタ本体21が上方位置にあるときに、引退した側方UVランプ本体8Aと対向する面は、紫外線反射率を高める目的で鏡面仕上げされている。
【0046】
上方UVユニット15については、反射面16Aを備えた支持ブラケット16の一部が、上方UVユニット15が退避位置に揺動移動されたときの上方UVランプ本体15Aとプリフォーム1との間に介装されることで、プリフォーム1が紫外線によって照射されることを規制するシャッタの役割を果たす。
【0047】
上記の一連の操作、すなわち、側方UVランプ本体8A,15Aへの通電は維持したまま、側方UVユニット8を外側に引退させ、上方UVユニット15を側方に揺動移動させ、下方からシャッタ本体21を上昇させるという操作は、コンベア3が停止する前に実施することが最も好適であるが、コンベア3の停止から最短時間のうちに実施してもよい。
【0048】
尚、コンベア3の停止が予め決められた時間長さ(例えば1時間など)を超える際には、側方UVユニット8の側方UVランプ本体8Aや上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aへの通電が停止される。
【0049】
コンベア3の駆動再開が可能になった際は、先ず、前記スイッチの操作により、第2シリンダ機構23によってシャッタ本体21を下方位置に戻し、次に、第1シリンダ機構12によって側方UVユニット8を内側の照射位置に戻し、同時に、揺動操作機構19によって上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aを下向きの照射位置に戻し、その後、コンベア3の駆動を再開させる。
【0050】
図8に示すように、支持フレーム10は、概して水平に延びたベース部10Aと、ベース部10Aの内側端部から上方に延びた立設部10Bとを有し、側方UVユニット8の支持ブラケット9は立設部10Bの上端付近に、概して搬送方向と平行な軸芯を備えたヒンジ11を介して支持されている。
【0051】
したがって、通常の使用時には、支持ブラケット9は側方UVランプ本体8Aが上下に並び処理経路TRに面した対向位置(
図8において二点鎖線で示す)に固定されているが、必要に応じて、側方UVランプ本体8Aが処理経路TRの幅方向に並び、処理経路TRから離間した開放位置(
図8において実線で示す)へと揺動移動させることができる。開放位置では、側方UVランプ本体8Aやコンベア3などに対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0052】
支持ブラケット9の開放位置への切り換えは、チャンバ5の該当する箇所の下方のカバー7Bを開放した状態で実施可能となり、側方UVユニット8が照射位置と退避位置とのいずれにあっても実施することができる。
因みに、上方のカバー7Aを開放した場合は、上方UVユニット15及び下記の吸引ダクト30に対するメンテナンス作業が可能となる。
【0053】
図1、
図3、
図4に示すように、チャンバ5の内部の処理経路TRの上方には、処理経路TRの空気を吸引して、チャンバ5の外に排出する吸引ダクト30が設けられている。吸引ダクト30は、処理経路TRの幅方向に沿って左右に並置された2本の吸引ダクト30A,30Bからなる。
【0054】
一方の吸引ダクト30Aの吸引口31Aは搬送方向に関して吸引ダクト30Aの上流側端部に設けられているが、他方の吸引ダクト30Bの吸引口31Bは搬送方向に関して吸引ダクト30Bの下流側端部に設けられている。
【0055】
各吸引ダクト30A,30Bの内部空間は、チャンバ5の屋根に設けられた逆漏斗状のフード5Hに連通接続されており、フード5Hの上端には、チャンバ5の上流側と下流側の端部に設けられた空気取り入れ口5A,5Bから処理経路TRに入り、吸引ダクト30A,30Bを経て、設備の建屋外に至る空気の流れを作り出すための延長ダクト33とブロワ34とが配置されている。
【0056】
図3から理解されるように、チャンバ5内で処理経路TRに沿って並置された3つの支持ブラケット9(側方UVユニット8)どうしの間などには比較的大きな間隙が形成されており、これらの間隙はブロワ34が処理経路TRに沿って十分に連続的な空気流路を形成することを阻害し、その結果、処理経路TR内のプリフォーム1の近傍に高温空気が滞留する傾向を惹起する。
【0057】
そこで、
図3に示すように、処理経路TRに沿って十分に連続的な空気流路を形成させて、プリフォーム1の近傍に高温空気が滞留する傾向を抑制するための手段とし、チャンバ5内には前述の各間隙を可及的に閉鎖する板状の閉鎖部材40が設けられている。
【0058】
チャンバ5内の前述した間隙は、チャンバ5の上流側端部と上流側の支持ブラケット9の間と、上流側の支持ブラケット9と中央の支持ブラケット9との間と、中央の支持ブラケット9と下流側の支持ブラケット9との間と、下流側の支持ブラケット9とチャンバ5の下流側端部との間とに位置するので、閉鎖部材40はこれらの各間隙を閉鎖する4枚の閉鎖部材41,42,43,44で構成され、処理経路TRを挟んで左右の全体としては合計8枚で構成されている。
【0059】
個々の閉鎖部材41,42,43,44は、各支持ブラケット9どうしの間の間隙を閉鎖するための上方部位41A,42A,43A,44Aと、下方位置にあるシャッタ本体21どうしの間の間隙を閉鎖するための下方部位41B,42B,43B,44Bが上下に一体形成された形態を有する。
【0060】
特に、側方UVユニット8の側方UVランプ本体8Aと上方UVユニット15の上方UVランプ本体15Aとへの通電状態が維持されたまま、シャッタ本体21が上方位置に切り換えられた状態では、これら上方位置のシャッタ本体21と、各閉鎖部材41,42,43,44の上方部位41A,42A,43A,44Aとが協働して、処理経路TRに沿って十分に連続的な空気流路を形成するため、処理経路TR内で停止中のプリフォーム1の近傍で発生する高温空気がブロワ34によって効果的に吸引、排出される。
【0061】
図7に例示するように、閉鎖部材41,42,43,44は、閉鎖部材41,42,43,44をチャンバ5の底面に支持固定するための、上下に延びた概してピラー状の支持部46を有しており、これらの支持部46の上流側と下流側に面した端面には、シャッタ本体21を上方位置と下方位置との間で支持案内する溝状の支持ガイド部46Aが形成されている。
【0062】
〔別実施形態〕
〈1〉シャッタ本体21の進入を可能にするために側方UVユニット8をプリフォーム1から側方に離間した退避位置に移動させる移動操作機構として、上記の実施形態では側方UVユニット8を平行移動させる形態を記載しているが、このような形態に限らず、例えば、側方UVユニット8が、支持フレーム1の下端付近などに設置された概して処理経路TRと平行な軸芯回りでの揺動によって、プリフォーム1から側方に離間する形態で実施してもよい。
【0063】
〈2〉照射手段や補助照射手段が、紫外線以外の殺菌用の電磁波、例えば赤外線を照射する形態で実施してもよい。
【0064】
〈3〉本発明はプリフォーム1以外の被殺菌物、例えばガラス製の容器などを殺菌処理する殺菌装置にも適用可能である。
【0065】
〈4〉メンテナンスなどを目的とした、側方UVユニット8の姿勢切り換え形態を、揺動式ではなく、支持フレーム10から上方或いは側方に抜き取るように分離される着脱式として設けてもよい。
【0066】
〈5〉シャッタ本体21を、処理経路TRに沿って複数の側方UVユニット8の全長に亘って連続的に延びた単体の板状シャッタによって構成することも可能であり、この場合は、閉鎖部材41,42,43,44を省略することが可能となる。
【0067】
〈6〉コンベア3の停止または停止予定を示す信号の受信に基づいて、側方UVユニット8を照射位置から退避位置に引退させるべく第1シリンダ機構12を駆動させ、上方UVランプ本体15Aを照射位置から側方の退避位置に揺動移動させるべく揺動操作機構19を駆動させ、引き続き、シャッタ本体21を上方位置まで上昇させるべく第2シリンダ機構23を駆動させ、他方、コンベア3の駆動再開または駆動再開予定を示す信号の受信に基づいて、シャッタ本体21を下方位置に戻すべく第2シリンダ機構23を駆動させ、側方UVユニット8を内側の照射位置に戻すべく第1シリンダ機構12を駆動させ、上方UVランプ本体15Aを下向きの照射位置に戻すべく揺動操作機構19を駆動させる制御装置を設けた形態で実施することも可能である。