(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取鍋内の溶鋼をタンディッシュに注入する際に用いられるロングノズルを把持するロングノズル把持アームと、前記ロングノズル把持アームを支持するとともに当該ロングノズル把持アームを上下方向に回動自在に旋回させるロングノズル支持部材と、前記ロングノズル支持部材を、前記取鍋に備えられたスライドバルブの可動プレートがスライドする方向である前後方向への動作が可能なように支持するリンク部と、前記リンク部を垂直軸心周りに回動自在に旋回させる旋回装置と、を有し、
前記リンク部は、第1リンク部材と第2リンク部材と第3リンク部材とを有し、
前記第1リンク部材は、当該第1リンク部材のいずれかの部位が固定側に対して垂直軸心周りに回動自在に連結されるとともに、先端部が前記第2リンク部材の基端部に垂直軸心周りに回動自在に連結されており、前記第2リンク部材は、その先端部が前記ロングノズル支持部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されており、
前記第3リンク部材は、その基端部が前記第1リンク部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されるとともに先端部が前記ロングノズル支持部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されている
ことを特徴とするロングノズル支持装置。
前記リンク部と前記ロングノズル支持部材とは、平行リンク機構を構成しており、前記第1リンク部材のいずれかの部位が前記平行リンク機構の旋回中心となっていることを特徴とする請求項1に記載のロングノズル支持装置。
前記ロングノズル支持部材の後端部には、前記ロングノズル支持部材を回動させるとともに前後方向に動作させる操作部が備えられていて、前記操作部は平行リンク機構を回動させる力点部、及び/又は、前記旋回装置を旋回させる力点部となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロングノズル支持装置。
前記ロングノズル支持部材には、連続鋳造中において取鍋の底部に装着されたロングノズルを取鍋の底部から脱落させないようにするロングノズル脱落防止機構が備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のロングノズル支持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のロングノズル支持装置においては、同文献の
図3に示すように、第1アーム(第1リンク部材)先端がロングノズルを把持するビーム(ロングノズル支持部材)の中途部に取り付けられ、第1アームの基端がレードルカーの昇降デッキに設けられた支柱(旋回装置)に取り付けられている。この支柱が旋回中心となって、第1アームを介して、ビームを水平方向に回動させている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたようなロングノズル支持装置では、第1アームのみでリンクを構成し、ビームを回動させている。単リンクによる回動は自由度が大きいため、ロングノズル支持装置の操作性が悪くなり、ロングノズルを取鍋に装着する際の目標位置が定め難いという問題がある。即ち、ロングノズルを取鍋に装着する際の目標を定めるためにロングノズルを把持するビームをビームの長手方向に沿って前後進運動のみを与えようとしても、第1アームが支柱を中心に旋回するためビームの前後進運動に第1アームの旋回運動が加わり、更にビームの中途部の第1アームとの接合点が回動自在である
ためビームそのものが中途部を中心に回動してしまう。即ち、特許文献1のロングノズル支持装置は、ビームの「前進運動・後退運動」に第1アームの基端部を中心とする「円弧運動」が合成された複雑な動作になる。そのため、ロングノズル支持装置の操作性が悪くなるばかりか、ロングノズルの上面とスライドバルブ(取鍋ノズル)の下面とが接する密着面において、スライドバルブの動き(ロングノズルの直線運動)に伴い、これら面同士がずれる回転摺動運動が生じてしまうという問題がある。この回転摺動運動は、スライドバルブとの密着面においてのロングノズルのシール性を悪化させる虞がある。ゆえに、連続鋳造における鋳片の品質を低下させる虞がある。
【0008】
この回転摺動運動を解決するために、ロングノズル支持装置の旋回軸心をスライドバルブの直線運動と直交する位置に配置すれば、ロングノズルとスライドバルブとの密着面での回転摺動運動が軽減するようになるが、その場合、取鍋の旋回範囲外に支柱を配置せざるを得ないのでビームの中途部の支点が取鍋から離れた位置となりビームの中途部の中央を支点にすることができず、ビームの先端側が基端側より長尺となった状態で支持される構成となり、ビームのバランス性が低下する。加えて、ロングノズルを取鍋に装着する際の目標を定めるためにビームの基端側を移動して調整するが、ビーム先端側ではその調整量が増幅されるので微調整が困難になる。そのため、ロングノズル支持装置の操作性が悪くなり、ロングノズルを取鍋に装着する際の目標位置が定め難いという問題がある。
【0009】
また、特許文献2には、第1アーム(第1リンク部材)に第2アーム(第2リンク部材)を加えたロングノズル支持装置が開示されているが、リンクの支持点のいずれかの回動を停止させないと、ロングノズル保持バーの位置が定めることができない。すなわち、ロングノズル保持バー、第1アーム及び第2アームが、フリーの状態(不安定で無秩序な状態)である。ゆえに、ロングノズルを取鍋に装着する際の目標位置が定め難いという問題がある。更に、ロングノズルを取鍋に装着した後も、第1アーム及び第2アームがフリーの状態(夫々個別に無秩序に運動する)であるため、ロングノズル保持バーの取鍋方向の先端部はロングノズルがスライドバルブに接合しているので位置が定まるが、ロングノズル保持バーの中途部や基端部の位置が定まらないという問題がある。即ち、第1アームと第2アームとの接合部が自在に屈曲でき第1アームと第2アームとが成す角度が定まらない。このため、ロングノズルとスライドバルブとの接合部を中心にロングノズル保持バーが自在に回動することができロングノズル保持バーの位置が定まらないという問題がある。
【0010】
また、上記したようなリンク機構に替えて、スライド機構(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)を採用することが考えられるが、スライド機構はリンク機構よりもロングノズル支持部材の抵抗が大きくなる傾向があり、ロングノズル支持装置を操作するのが困難となる場合が発生する。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、ロングノズルを取鍋に装着する際に、目標位置が定め易いといった良好の操作性を有するロングノズル支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係るロングノズル支持装置は、取鍋内の溶鋼をタンディッシュに注入する際に用いられるロングノズルを把持するロングノズル把持アームと、前記ロングノズル把持アームを支持するとともに当該ロングノズル把持アームを上下方向に回動自在に旋回させるロングノズル支持部材と、前記ロングノズル支持部材を
、前記取鍋に備えられたスライドバルブの可動プレートがスライドする方向である前後方向への動作が可能なように支持するリンク部と、前記リンク部を垂直軸心周りに回動自在に旋回させる旋回装置と、を有
し、前記リンク部は、第1リンク部材と第2リンク部材と第3リンク部材とを有し、前記第1リンク部材は、当該第1リンク部材のいずれかの部位が固定側に対して垂直軸心周りに回動自在に連結されるとともに、先端部が前記第2リンク部材の基端部に垂直軸心周りに回動自在に連結されており、前記第2リンク部材は、その先端部が前記ロングノズル支持部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されており、前記第3リンク部材は、その基端部が前記第1リンク部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されるとともに先端部が前記ロングノズル支持部材に垂直軸心周りに回動自在に連結されていることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記リンク部と前記ロングノズル支持部材とは、平行リンク機構を構成しており、前記第1リンク部材のいずれかの部位が前記平行リンク機構の旋回中心となっているとよい。
好ましくは、前記ロングノズル支持部材の後端部には、前記ロングノズル支持部材を回動させるとともに前後方向に動作させる操作部が備えられていて、前記操作部は平行リンク機構を回動させる力点部、及び/又は、前記旋回装置を旋回させる力点部となっているとよい。
【0014】
好ましくは、前記操作部は、前記ロングノズル支持部材を挟んで平行リンク機構の反対側に備えられているとよい。
好ましくは、前記ロングノズル把持アームの基端部は、
前記ロングノズル支持部材の先端に水平軸心周りに回動自在に枢支されているとよい。
好ましくは、前記ロングノズル支持部材には、取鍋の底部に対してロングノズルを付勢するロングノズル押当て機構が備えられているとよい。
【0015】
好ましくは、前記ロングノズル支持部材には、連続鋳造中において取鍋の底部に装着されたロングノズルを取鍋の底部から脱落させないようにするロングノズル脱落防止機構が備えられているとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のロングノズル支持装置によれば、ロングノズル支持部材の旋回運動と直線運動とを個別に操作することができ、ロングノズルを取鍋に装着する際に目標位置が定め易いといった良好の操作性を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
以下、本実施形態に係るロングノズル支持装置1を説明する前に、本実施形態のロングノズル支持装置1で支持されるロングノズル36が配備された連続鋳造設備30の説明を行う。
図7には、本実施形態の鋳片引抜装置が備えられる連続鋳造設備30の概略が示されている。
【0019】
図7に示される連続鋳造設備30は、多ストランド用の湾曲型の連続鋳造設備30であり、鋳型31の下端から引き抜かれた鋳片32(ブルーム、ビレット、スラブ)は、始めは垂直方向に引き抜かれるが、複数のサポートロール33で支持されつつ緩やかに曲げられ、最後は水平方向に引き抜かれるようになる。つまり、連続鋳造設備30は、鋳型31の下端を始端部として湾曲状にパスラインが終端部まで延びている。
【0020】
図7に示すように、連続鋳造設備30は、溶鋼が満たされた取鍋37と、取鍋37内の溶鋼を一時的に蓄え鋳型31へ注入するタンディッシュ34と、溶鋼を鋳造する鋳型31と、鋳型31から出たブルーム等の鋳片32を支えつつ移送する複数のサポートロール33とを有している。また、パスラインの中途部から終端部の間の複数位置に鋳片引抜装置(図示せず)が配備されている。
【0021】
このような構成の連続鋳造設備30では、取鍋37により運ばれてきた溶鋼がロングノズル支持装置1に支持されたロングノズル36を介してタンディッシュ34に注がれ、注がれた溶鋼はタンディッシュ34に設けられた浸漬ノズル35を介して鋳型31に注入される。鋳型31では注入された溶鋼が冷却(1次冷却)され、その表面部のみが凝固した状態の鋳片32となって、鋳型31下部から引き抜かれる。
【0022】
下方に引き抜かれた鋳片32は、各サポートロール33で保持されながら、鋳片引抜装置が配備された湾曲状のパスラインの始端部から終端部に向けて通過する。その時、鋳片32はパスラインを通過している間に冷却(2次冷却)されている。そして、冷却されて水平になった鋳片32は、下流側に備えられたガス切断機(図示せず)で所定の長さに切断され、鋳片32が形成される。
【0023】
なお、連続鋳造設備30では、同一鋼種の鋳造を連続的に行うことはもちろん、鋼種の異なる溶鋼を連続的に供給し、成分の異なった鋳片32が連なるように製造することもある。
図1に示すように、本発明に係るロングノズル支持装置1は、長尺の溶鋼注入ノズル、すなわちロングノズル36を溶鋼で満たされた取鍋37の底部にあるスライドバルブ38(溶鋼注入孔)に装着し、その位置で支持するためのものである。
【0024】
ロングノズル支持装置1は、取鍋37内の溶鋼をタンディッシュ34に注入する際に用いられるロングノズル36を把持するロングノズル把持アーム2と、このロングノズル把持アーム2を支持するとともに水平軸心周りに回動自在に旋回させるロングノズル支持部材3と、このロングノズル支持部材3を垂直軸心(上下軸心)周りに回動自在に動作させるリンク部4と、このリンク部4を垂直軸心周りに回動自在に旋回させる旋回装置8と、を備えている。
【0025】
図1(a)は、本発明のロングノズル支持装置1を平面から見た図(平面図)であり、
図1(b)は、
図1(a)のB−B部分だけを断面にした図(正面図)である。以降、説明において、
図1(a)における上下方向をロングノズル支持装置1の右左方向とし、
図1(a)における左右方向をロングノズル支持装置1の前後方向とする。
図1(a)の紙面貫通方向をロングノズル支持装置1の上下方向とする。
【0026】
図1(b)に示すように、ロングノズル把持アーム2は、前後方向に長尺のビーム部材であって、正面視でS字状に屈曲するように形成されている。すなわち、ロングノズル把持アーム2は、その基端側から略水平に延び、その後、下方に突出するように延び、先端部が再び略水平に延びるような構成となっている。そのため、ロングノズル把持アーム2の先端は、基端(後端)に対して下方に位置する。
【0027】
ロングノズル把持アーム2の先端は、平面視で、二股(Y字状)に分岐されている。また、正面視で、鉤状(U字状)の切り欠き部13が形成されている。切り欠き部13は、上下方向に切り欠かれていて、ロングノズル36を保持するロングノズル保持ホルダ14に設けられた突起を掛け止めすることができるようになっている。ゆえに、ロングノズル36を下方に向けて吊下することができるようになっている。切り欠き部13に掛け止めされたロングノズル36は、その突起を中心として回動自在になっている。
【0028】
ロングノズル把持アーム2の基端には、水平方向の軸孔が形成されていて、この軸孔にロングノズル把持アーム2を枢支する枢支軸15が挿入されるようになっている。ロングノズル把持アーム2の基端は、枢支軸15を介して、後述するロングノズル支持部材3の先端と連結されるようになっている。
ロングノズル支持部材3は、ロングノズル把持アーム2と略同じ長さであり、且つ内部が空洞とされた筒部材であって、先端が後端に比べて大きく開口されている。この先端には、ロングノズル把持アーム2の基端が挿入されるようになっている。ロングノズル支持部材3の先端の側面には、ロングノズル把持アーム2の軸孔の内周面と同一の内周面を有した貫通孔が形成されていて、軸孔と貫通孔とが同一軸線上となっている。これにより、枢支軸15が貫通するように内挿され、ロングノズル支持部材3とロングノズル把持アーム2とが回動自在に連結されるようになっている。
【0029】
ロングノズル支持部材3には、リンク部4を回動自在に連結する第1孔及び第2孔が形
成されている。第1孔は、ロングノズル支持部材3の先端に形成され、上下方向に貫通するようになっている。第2孔は、ロングノズル支持部材3の中途部の上部に形成されている。
また、ロングノズル支持部材3の先端上部には、ロングノズル把持アーム2を上下方向に回動自在に動作させる昇降装置10が備えられている。昇降装置10は、駆動軸17が伸縮する油圧シリンダで構成されており、駆動軸17が本体部18内を摺動するようになっている。昇降装置10は、その本体部18が前側に上方傾斜するように取り付けられている。昇降装置10の本体中途部がロングノズル支持部材3の先端に立設された取付部16に回動自在に接合され、昇降装置10の駆動軸17(ロッド軸)の先端がロングノズル把持アーム2の基端に取り付けられている。駆動軸17が伸縮することで、ロングノズル把持アーム2が枢支軸15の軸心周りに上下方向に回動するようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、昇降装置10をロングノズル支持部材3に設けて説明したが、これに限定されず、昇降装置10をロングノズル把持アーム2に配備してもよい。例えば、本体部18をロングノズル把持アーム2から支持して駆動軸(ロッド軸)17の先端をロングノズル支持部材3に取り付けてもよい。また、本実施形態では、昇降装置10は油圧シリンダを用いているが、エアシリンダなどを用いてもよい。
【0031】
また、ロングノズル支持部材3には、取鍋37のスライドバルブ38に対してロングノズル36が上方に付勢されるロングノズル押当て機構11が備えられている。
ロングノズル押当て機構11は、上記したロングノズル把持アーム2を昇降させる昇降装置10によって稼働されるものであって、取鍋37のスライドバルブ38とロングノズル36の上面とを密着するように面接触させるものである。すなわち、昇降装置10の駆動軸17が伸長することで、ロングノズル把持アーム2の基端は下方向へ押し下げられ、それに伴い、ロングノズル把持アーム2は枢支軸15周りに回動して、ロングノズル36を把持するロングノズル把持アーム2の先端は、上方へと押し上げられるようになる。昇降装置10の駆動軸17が伸長することで、取鍋37のスライドバルブ38に対してロングノズル36を密着させるようになる。
【0032】
昇降装置10で構成されるロングノズル押当て機構11は、連続鋳造中において重要な機構であり、取鍋37のスライドバルブ38とロングノズル36の上面との隙間から溶鋼を流出させないようにロングノズル36を支持している。すなわち、ロングノズル押当て機構11は、ロングノズル把持アーム2に吊下されたロングノズル36の上面を取鍋37のスライドバルブ38に押し当てるようになっている。
【0033】
また、ロングノズル支持部材3には、連続鋳造中において油圧系のトラブルなどによって昇降装置10が作動不良になったとしても取鍋37のスライドバルブ38に装着されたロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38から脱落させないようにするロングノズル脱落防止機構12が備えられている。
ロングノズル脱落防止機構12は、ロングノズル支持部材3の内部に配備されており、昇降装置10が何らかのトラブルにより機能しなくなった場合、ロングノズル把持アーム2の先端が下がらないようにするものである。ロングノズル脱落防止機構12は、枢支軸15の外周面周りに嵌着されたスプロケット19と、スプロケット19の歯部に掛け止めされるチェーン20と、そのチェーン20を引っ張るスプリング21(コイルバネ)と、を有している。
【0034】
ロングノズル脱落防止機構12は、チェーン20をスプリング21で後方に引っ張るようになっており、チェーン20の引っ張りによってスプロケット19が正面視で時計回りに回動するようになり、それに伴ってロングノズル36が吊下されたロングノズル把持アーム2の先端が下がらないようになっている。
また、ロングノズル支持部材3は、後述するリンク部4を介して、上下軸心周り(垂直軸心周り)に回動自在に旋回するようになっている。
【0035】
図1に示すように、リンク部4は、第1リンク部材5と第2リンク部材6と第3リンク部材7とを有し、ロングノズル支持部材3を前後方向及び旋回方向に回動させるようになっている。
第1リンク部材5は、ロングノズル支持部材3の前後方向に略半分程度の長さで形成された短尺のビーム部材であり、その先端部には第1リンク部材孔が形成されている。なお、第1リンク部材5の前側を先端部とし、後側を基端部とする。第1リンク部材5の基端部又は中途部は、床面Fから立設された太径の心棒に、ベアリングを介して、回動自在に嵌合されている。また、第1リンク部材孔とリンク軸22によって、第1リンク部材5の先端部が第2リンク部材6の基端部に回動自在に連結されるようになっている。また、
図1(a)に示すように、本実施形態では、第1リンク部材5は、先端部が基端部に比べてやや先細るように形成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、第1リンク部材5の基端部又は中途部を旋回中心として説明したが、第1リンク部材5の旋回中心は第1リンク部材5のいずれかの部位にあってもよい。例えば、第1リンク部材5の中心線(リンク軸22とリンク軸22を結ぶ線)からオフセットした位置を旋回中心にすることもできるし、第1リンク部材5の中心線(リンク軸22とリンク軸22を結ぶ線)の延長線上であってもよいし、第1リンク部材5の先端部であってもよい。
【0037】
第1リンク部材5は、ロングノズル支持部材3の一方側(左側)に所定の間隔を空けて配備されており、平面視で、第1リンク部材5の長手方向がロングノズル支持部材3と平行になるように配置されている。また、第1リンク部材5の先端部とロングノズル支持部材3先端とが、左右(水平)方向で、同一直線上に並んで配置されている。第1リンク部材孔の中心と第1リンク部材5の基端部の中心とを結ぶ直線の距離と、ロングノズル支持部材3の先端に開口された第1孔の中心と中途部に開口された第2孔の中心とを結ぶ直線の距離は同じである。
【0038】
なお、本実施形態では、第1リンク部材5をロングノズル支持部材3の前後方向に略半分程度の長さで形成された短尺のビーム部材として説明したが、第1リンク部材5の長さ及び幅は、これに限定されず、第1リンク部材5を長尺のビーム部材などを用いてもよい。例えば、第1リンク部材5をロングノズル支持部材3と平行に配置し、且つロングノズル支持部材3の前後方向にほぼ同じ長さ乃至は若干長いビーム部材としてもよい。
【0039】
第2リンク部材6は、第1リンク部材5と略同程度の長さで形成された短尺のビーム部材であり、その両端部には第2リンク部材孔がそれぞれ形成されている。なお、第1リンク部材5と第2リンク部材6とが連結されている側を基端部とし、その反対側を先端部とする。なお、先端部の第2リンク部材孔を第2リンク部材孔aとし、基端部の第2リンク部材孔を第2リンク部材孔bとする。
【0040】
この第2リンク部材孔は、第2リンク部材6を連結するためのリンク軸22が内挿されるようになっている。この第2リンク部材孔bとリンク軸22によって、第2リンク部材6の基端部が第1リンク部材5の先端部に回動自在に連結されるようになっている。また、同様に、第2リンク部材孔aとリンク軸22によって、第2リンク部材6の先端部がロングノズル支持部材3の先端に回動自在に連結されるようになっている。
【0041】
第2リンク部材6の先端部は、図示はしていないが、上下方向に二股(コ字状)に形成されており、ロングノズル支持部材3に対して上下方向から挟むように連結されている。そのため、第2リンク部材孔aは、上下に分割された状態であり、上側と下側にそれぞれリンク軸22が内挿されるようになっている。そして、第2リンク部材孔aの上側とロングノズル支持部材3の上側の第1孔とがリンク軸22で連結され、第2リンク部材孔aの下側とロングノズル支持部材3の下側の第1孔とが別のリンク軸22で連結されている。
【0042】
なお、本実施形態では、第2リンク部材6の先端部は、ロングノズル支持部材3の先端に回動自在に連結されているが、ロングノズル支持部材3の長手方向のいずれかの場所に連結されていてもよい。
第3リンク部材7は、第2リンク部材6と同じ長さであって、第1リンク部材5及び第2リンク部材6に比べて細い棒材で形成されている。第3リンク部材7の両端部には、第3リンク部材孔がそれぞれ形成されている。なお、第1リンク部材5と第3リンク部材7とが連結されている側を基端部とし、その反対側を先端部とする。なお、先端部の第3リンク部材孔を第3リンク部材孔aとし、基端部の第3リンク部材孔を第3リンク部材孔b
とする。
【0043】
この第3リンク部材孔は、第3リンク部材7を連結するためのリンク軸22が内挿されるようになっている。この第3リンク部材孔bとリンク軸22によって、第3リンク部材7の基端部が第1リンク部材5の基端部に回動自在に連結されるようになっている。また、同様に、第3リンク部材孔aとリンク軸22によって、第3リンク部材7の先端部がロングノズル支持部材3の中途部の第2孔に回動自在に連結されるようになっている。
【0044】
第3リンク部材7は、第1リンク部材5及びロングノズル支持部材3の上部に配備されている。第3リンク部材7の基端部が第1リンク部材5の上部に回動自在に連結され、第3リンク部材7の先端部がロングノズル支持部材3の上部に回動自在に連結されている。第3リンク部材孔aの中心と第3リンク部材孔bの中心とを結ぶ直線の距離と、第2リンク部材孔aの中心と第2リンク部材孔bの中心とを結ぶ直線の距離とは同じである。
【0045】
なお、本実施形態では、第3リンク部材7の先端部は、ロングノズル支持部材3の中途部に回動自在に連結されているが、第2リンク部材6の後方であって、ロングノズル支持部材3の長手方向のいずれかの場所に連結されていてもよい。また、後述するように、第3リンク部材7の基端部は、第1リンク部材5の基端部に回動自在に連結されているが、第1リンク部材5の長手方向のいずれかの場所に連結されていてもよい。
【0046】
このように、リンク部4とロングノズル支持部材3は、平行リンク機構を構成したものである。つまり、第1リンク部材5とロングノズル支持部材3とが平行に配置され、第2リンク部材6と第3リンク部材7とが平行に配置されている。また、第1リンク部材5の基端部は、平行リンク機構の旋回中心となっている。
また、ロングノズル支持部材3の後端には、ロングノズル支持部材3を回動させる操作部9が備えられていて、この操作部9は平行リンク機構を回動させる力点部となっている。操作部9は、ロングノズル支持部材3を挟んで平行リンク機構の反対側、すなわち旋回装置8の反対側に備えられている。このように操作部9をロングノズル支持部材3の後端からオフセットして配置することで、ロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38に装着する際のロングノズル把持アーム2の視認性を向上させている。
【0047】
旋回装置8は、第1リンク部材5の下部に配備されており、床面F上に固定されている。旋回装置8は、第1リンク部材5の基端部と連結されており、ロングノズル支持装置1を支持するものなっている。旋回装置8は、第1リンク部材5を垂直軸心周りに回動させて、ロングノズル支持部材3を旋回方向に駆動させている。第1リンク部材5の回動に伴って、第2リンク部材6及び第3リンク部材7も垂直軸心周りに回動するようになる。旋回装置8の操作は、ロングノズル支持部材3の後端に設けられた操作部9で行われる。なお、この旋回装置8は、何らかの動力源を用いて旋回させる(駆動させる)装置であってもよいし、オペレータが手動で操作部9を操作するとともに、旋回させる装置であってもよい。
【0048】
次に、上述したロングノズル支持装置1の動作について、説明する。
図2は、ロングノズル支持装置1の前後方向の直線運動を示した図である。
図2(a)には、ロングノズル36が取鍋37のスライドバルブ38に装着された際のロングノズル支持装置1が示されている。このときのロングノズル支持装置1は、ロングノズル支持装置1の前側先端(ロングノズル把持アーム2の先端)が取鍋37のスライドバルブ38の可動プレート23の中央と重なり合うように配置されている。
【0049】
このスライドバルブ38の可動プレート23の前方には、取鍋37のスライドバルブ38の可動プレートを駆動させるスライドバルブ用油圧シリンダ24が配備され、スライドバルブ38の可動プレート23とスライドバルブ用油圧シリンダ24とが互いに連結されている。
図2(a)示すように、スライドバルブ用油圧シリンダ24のピストン(斜線部分)がシリンダ中央に配置されている。この状態をスライドバルブ用油圧シリンダ24のストロークの中間位置とする。
【0050】
このとき、リンク部4は、平面視で、ほぼ長方形状をした状態であり、水平方向の軸心と第1リンク部材5とでなされる角度、水平方向の軸心とロングノズル支持部材3とでなされる角度、それぞれが90.00°である。すなわち、第3リンク部材7は、水平方向
の軸心と同一直線上にある。
図2(b)には、ロングノズル36が取鍋37のスライドバルブ38に装着された際のロングノズル支持装置1が、
図2(a)より前方に移動した状態、すなわちロングノズル把持アーム2の先端がスライドバルブ38の可動プレート23の中央よりt
1だけ前方に移動した状態が示されている。このとき、スライドバルブ用油圧シリンダ24は、そのピストンが最も前方に移動した位置(ストロークエンド)に配置されている。この状態をスライドバルブ用油圧シリンダ24のストロークの全開位置とする。
【0051】
このとき、リンク部4は、平面視で、若干前方に傾斜した状態であり、水平方向の軸心とロングノズル支持部材3とでなされる角度、水平方向の軸心と第3リンク部材7とでなされる角度、それぞれが89.98°である。ロングノズル支持部材3はわずかな旋回運動を伴いながら、前後方向の直線運動をするが、(90.00−89.98=0.02°)といった極めて小さな角度であるため、この旋回運動を無視することができる。また、ロングノズル支持部材3のわずかな旋回運動により、ロングノズル36の上面とスライドバルブ38との密着面で摺動回転運動が生じる。しかし、わずか0.02°だけ傾いているため、無視できる回転量となり、密着性を損なうことがなく維持される。
【0052】
図2(c)には、ロングノズル36が取鍋37のスライドバルブ38に装着された際のロングノズル支持装置1が、
図2(a)より後方に移動した状態、すなわちロングノズル把持アーム2の先端がスライドバルブ38の可動プレート23の中央よりt
1だけ後方に移動した状態が示されている。このとき、スライドバルブ用油圧シリンダ24は、そのピストンが最も後方に移動した位置(ストロークエンド)に配置されている。この状態をスライドバルブ用油圧シリンダ24のストロークの全閉位置とする。
【0053】
このとき、リンク部4は、平面視で、若干後方に傾斜した状態であり、水平方向の軸心とロングノズル支持部材3とでなされる角度、水平方向の軸心と第3リンク部材7とでなされる角度、それぞれが89.98°である。ロングノズル支持部材3はわずかな旋回運動を伴いながら、前後方向の直線運動をするが、(90.00−89.98=0.02°)といった極めて小さな角度であるため、この旋回運動を無視することができる。また、ロングノズル支持部材3のわずかな旋回運動により、ロングノズル36の上面とスライドバルブ38との密着面で摺動回転運動が生じる。しかし、わずか0.02°だけ傾いているため、無視できる回転量となり、密着性を損なうことがなく維持される。
【0054】
このように、3本のリンクで構成されたロングノズル支持装置1を用いることで、ロングノズル把持アーム2を取鍋37のスライドバルブ38の可動プレートがスライドする方向(前後方向)に容易に合致させることができる。これにより、ロングノズル36とスライドバルブ38との密着面においての回転摺動運動を生じることを防ぐことができる。
図2(d)及び
図2(e)には、ロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38に装着する前のロングノズル支持装置1が示されている。
【0055】
図2(d)は、ロングノズル把持アーム2及びロングノズル支持部材3が最も前方に移動した状態(前進限界)を示している。このとき、リンク部4は、平面視で、前方に大きく傾斜した状態となっている。つまり、第2リンク部材6の先端部が第2リンク部材6の基端部よりも前方に移動し、且つ第3リンク部材7先端が第3リンク部材7基端よりも前方に移動した状態である。
【0056】
図2(e)は、ロングノズル把持アーム2及びロングノズル支持部材3が最も後方に移動した状態(後退限界)を示している。このとき、リンク部4は、平面視で、後方に大きく傾斜した状態となっている。つまり、第2リンク部材6の先端部が第2リンク部材6の基端部よりも後方に移動し、且つ第3リンク部材7先端が第3リンク部材7基端よりも後方に移動した状態である。
【0057】
また、
図3及び
図4は、本発明のロングノズル支持装置1に用いられるリンク部4の変形例を示し、そのロングノズル支持装置1の前後方向の直線運動を示した図である。
図3に示されているロングノズル支持装置1は、第3リンク部材7の基端部が第1リンク部材5の中途部に回動自在に連結されるとともに、その先端がロングノズル支持部材3の中途部よりやや前方に回動自在に連結されている。つまり、第3リンク部材7が第1リ
ンク部材5の基端部よりも第2リンク部材6側に配置されているといえる。
【0058】
一方、
図4に示されているロングノズル支持装置1は、第1リンク部材5が
図2及び
図3に示されているものより長尺に形成されており、その第1リンク部材5の中途部に旋回装置8が配備されている。第1リンク部材5の基端部に第3リンク部材7の基端部が回動自在に連結されるとともに、その先端がロングノズル支持部材3の中途部よりやや後方に回動自在に連結されている。つまり、第3リンク部材7が旋回装置8よりも後方に配置されているといえる。
【0059】
なお、
図3及び
図4におけるロングノズル支持装置1のその他の構成、及び奏する作用効果は、
図2に示されているロングノズル支持装置1と略同じであるため、その説明は省略する。
図5は、ロングノズル支持装置1の水平方向の旋回運動、つまりロングノズル支持装置1の旋回範囲を示した図である。
【0060】
図5の実線で示されたロングノズル支持装置1は、
図2(d)に示されている状態とほぼ同様であり、リンク部4が前方に傾斜した状態である。また、ロングノズル把持アーム2及びロングノズル支持部材3が最も前方に移動した状態(前進限界)である。
次に、この実線で示されたロングノズル支持装置1を90°右側に旋回させると、2点鎖線で示された状態となる。このとき、ロングノズル支持装置1のリンク部4は、実線で示された状態とほぼ同様である。
【0061】
一方、実線で示されたロングノズル支持装置1を90°左側に旋回させると、1点鎖線で示された状態となり、
図2(e)に示されている状態とほぼ同様である。このときのリンク部4は、後方に傾斜した状態である。また、ロングノズル把持アーム2及びロングノズル支持部材3が最も後方に移動した状態(後退限界)である。
このように、ロングノズル支持装置1が旋回装置8の軸心周りに一周旋回すると、ロングノズル把持アーム2の先端が
図5の斜線部分の旋回範囲内を自在に移動するようになる。また、3本のリンクを有するリンク部4により、3本のリンクが夫々個別に無秩序に運動することがないのでロングノズル把持アーム2及びロングノズル支持部材3の旋回が安定するようになる。
【0062】
以下、上述したロングノズル支持装置1の作動態様、すなわち本発明のロングノズル支持装置1を用いてロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38に装着する方法について、図を参照して述べる。なお、
図6において、紙面の左右方向をロングノズル支持装置1の前後方向とし、紙面貫通方向をロングノズル支持装置1の左右方向とする。また、紙面の上下方向をロングノズル支持装置1の上下方向とする。
【0063】
図6に示すように、耐火物で形成されたロングノズル36は、その上部をロングノズル保持ホルダ14に装着され、そのロングノズル保持ホルダ14がロングノズル支持装置1の先端にセットされる。つまり、ロングノズル把持アーム2の先端に形成された二股に分岐された鉤状(U字状)の切り欠き部13に、ロングノズル保持ホルダ14の突起が掛け止めされ、ロングノズル36が吊下される。
【0064】
そして、ロングノズル36を把持したロングノズル支持装置1は、リンク部4とロングノズル支持部材3とを有する平行リンク機構を回動させながら、溶鋼が装入された取鍋37の下方にロングノズル36を移動させる。その後、昇降装置10の駆動により、ロングノズル把持アーム2を上方に揺動し、ロングノズル36の上面が取鍋37の底部のスライドバルブ38(溶鋼注ぎ口)に密着するように、ロングノズル36を取鍋37に装着する(2点鎖線で図示)。このとき、ロングノズル支持装置1は、第1リンク部材5の基端部の軸心(旋回装置8の軸心)を中心として水平方向に旋回するとともに、前後方向に進退もしている。つまり、平行リンク機構により「前進・後退の動作」と「旋回の動作」が合成されていない(同時に動作しない)ため、ロングノズル36をスライドバルブ38に合わせる(目標位置に合わせる)ことが容易である。また、ロングノズル支持装置1を前進及び後退させるときに生じる旋回運動(供回り)を防ぐには、旋回装置8を前進及び後退の抵抗よりも旋回抵抗を若干大きくなるように制御するとよい。
【0065】
続いて、レードルターレット40により取鍋37が下方に移動されると、それに伴って
、ロングノズル把持アーム2の先端が下方へ揺動し、スライドバルブ38に装着されたロングノズル36も下方に移動するようになる。つまり、ロングノズル把持アーム2はタンディシュ34側へ押し下げられるようになる(実線で図示)。このとき、ロングノズル支持装置1は、ロングノズル押当て機構11により、取鍋37のスライドバルブ38に対して常にロングノズル36を押し当てるようになっている。このロングノズル押当て機構11は、油圧系のトラブルなどによって昇降装置10が作動不良になったとしても取鍋37のスライドバルブ38に装着されたロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38から脱落させないようにするものである。また、ロングノズル押当て機構11は、ロングノズル押当て機構11に備えられたコイルバネによって、ロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38から脱落させない程度の弱い押し当て力を付勢している。
【0066】
下方に移動したロングノズル36の下端は、タンディシュ内に挿入される。このとき、ロングノズル支持部材3は極めて微小な旋回運動を伴いながら、前後方向の直線運動をする。つまり、ロングノズル把持アーム2の先端が、スライドバルブ38の可動プレート23の移動に合わせるように前後方向に追従している(
図2(a)〜
図2(c)参照)。このような動作により、ロングノズル36とスライドバルブ38との密着面において生じる回転摺動運動を防ぐことができる。
【0067】
そして、取鍋37内の溶鋼が全てタンディシュ34内に注入されると、レードルターレット40により取鍋37が上方へ移動され、それに伴って、ロングノズル把持アーム2の先端を上方へ揺動させる。その後、昇降装置10を操作して取鍋37のスライドバルブ38からロングノズル36を離脱し、リンク部4、旋回装置8を操作することで、ロングノズル36を取鍋37の直下外へと取り出すようにする。
【0068】
その後、レードルターレット40によって、溶鋼が空になった取鍋37から溶鋼が満たされている取鍋37に交換される。取鍋37が交換されると、交換された取鍋37のスライドバルブ38にロングノズル36を装着する。そして、取鍋37内の溶鋼がロングノズル36を介してタンディシュ内に注入される。
このように、本発明のロングノズル支持装置1を用いることにより、ロングノズル36を取鍋37のスライドバルブ38に装着する際のロングノズル36の上面と取鍋37のスライドバルブ38との位置決めが容易にできるとともに、連続的にロングノズル36を取鍋37の底部のスライドバルブ38に装着したり、離脱させたりすることができる。また、本発明のロングノズル支持装置1を用いることにより、鋳造を連続的にすることができ、且つ品質及び生産性も向上させることができる。また、第1リンク部材5の基端部とロングノズル支持部材3との間隔が小さいので、ロングノズル支持装置1の旋回半径が小さくなる。そのため、本発明のロングノズル支持装置1は、連続鋳造設備30内の狭小スペースに配備することができる。
【0069】
なお、本発明のロングノズル支持装置1の前進・後退の動作及び旋回の動作は、オペレータによる手動操作であってもよいし、アクチュエータを用いて駆動させてもよい。
また、本実施形態では、ロングノズル脱落防止機構12にコイルばねを用いて説明したが、例えば皿バネ、エアシリンダ、油圧シリンダ、錘式などを用いてもよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。