(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
バーナーで加熱された空気(燃焼排気)から主に顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器の下流に、排気の潜熱をさらに回収する潜熱回収用熱交換器を設けて熱回収効率を高めるように構成された潜熱回収型の給湯機などの熱源機がある。
【0003】
このような潜熱回収型の熱源機では、排気に含まれる水蒸気が潜熱回収時に結露して凝縮水(ドレン)が生じる。このドレンは、排気中の窒素酸化物や硫黄酸化物を吸収して酸性となる。そのため、潜熱回収型の熱源機では、ドレンを回収し、中和器で中和した後、ドレン排出口から排水するようになっている。
【0004】
通常、中和器は、水封構造を備えた容器の中に中和剤を入れて構成される。中和器にドレンが溜まって水封された状態では、排気が中和器を通ってドレン排出口から外部へ漏れ出ることはない。しかし、工場出荷時は中和器は乾燥した状態にされており、内部にドレンがなく、水封されていないので、熱源機を設置した後、そのまま最初の運転を行うと、排気が中和器を通って外部へ漏れ出てしまう。ドレン排出口から漏れた排気は、周囲の者に不快感を与えるだけでなく、結露すると酸性のドレンを発生させるので、パイプシャフトなどに熱源機が設置されて、配管やガスメータなどが近くにあると、これらを腐食させてしまう。
【0005】
そこで、設置後の運転開始前に作業者が中和器に水を入れて水封状態を確保する、といった作業を設置手順に規定することが行われる。
【0006】
また、特許文献1には、給水管から分岐させた注水配管を中和器に接続し、該注水配管の途中に設けた電磁弁を開くことで中和器へ注水できるようにした給湯機が開示されている。この給湯機では中和器の水封が確保されるまで燃焼を禁止するように制御している。
【0007】
なお、下記特許文献2には、潜熱回収用熱交換器を通る水管がドレンによって腐食されて孔が開いた場合でも、この孔から漏れた水がドレンパンに回収され中和器を通って排水されてしまうので腐食に気付かないという課題を解決するために、中和器の上流側のドレン配管の途中に、該ドレン配管を流れる水の量を検出する水量センサを設けた給湯機が開示されている。この水量センサは、底部に絞りを有する溜め空間と、溜め空間内で上下するフロートと、フロートの位置を検出するセンサとを有して構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
設置後の運転開始前に作業者が中和器に水を入れることを設置手順に規定しても、作業者のミスや懈怠によりこの作業が実施されない恐れがある。一方、特許文献1に開示されたように注水配管や電磁弁を設けると、熱源機の製造コストが嵩む。
【0010】
特許文献2に開示された水量センサは、ドレンが流れないときはフロートが下がって絞りに蓋をするので、中和器が水封されていない状態において排気が絞りから中和器を通って外部へ漏れ出ることを防ぐ役割を果たす。しかし、ドレンパンに溜まったゴミや土埃などがドレンと共にドレン配管へ流入すると、絞りが直ぐに詰まってしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、水封される前のドレン排出路を通じて排気が外部へ漏れ出ることを防止することのできる潜熱回収型の熱源機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0013】
[1]燃焼部と、
前記燃焼部の排気から顕熱および潜熱を回収する熱交換器と、
前記熱交換器で生じたドレンを回収するドレン回収部と、
前記ドレン回収部で回収されたドレンを外部へ排出するドレン排出路と、
前記ドレン排出路の途中に設けられた水封部と、
前記水封部の水封完了時の出側の水面より下流側における該水封部の容器内通路または該水封部の出口または該水封部より下流側の前記ドレン排出路を封鎖する水溶性の封鎖材と、
を有し、
工場出荷後の燃焼で生じるドレンで前記水封部における水封が完了した後に前記ドレンによって前記封鎖材が溶けて前記封鎖が解除される
ことを特徴とする潜熱回収型の熱源機。
【0014】
上記発明では、工場出荷時に水封部の出口等を水溶性の封鎖材で封鎖しておくだけで、水封部が水封されていない状態のままで設置後に熱源機の運転が開始されても、排気がドレン排出路を通じて外部へ流出することが阻止されると共に、水封完了後は水封部から溢れ出たドレンによって封鎖材が溶けて封鎖が自動的に解除されるので、ドレン排出路を通じたドレンの排水が確保される。
【0015】
[2]前記水封部は、中和剤が入れられて、前記ドレンを中和する中和器の機能を果たす
ことを特徴とする[1]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0016】
上記発明では、水封部は中和器の機能を兼ねる。
【0017】
[3]前記封鎖材は、僅かな通気性を備えた水溶性の紙である
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0018】
上記発明では、水封完了後に水封部内の水位が上昇するとき、出口が封鎖材で封鎖されているために内圧が上昇するが、封鎖材の僅かな通気によって過度の内圧上昇が抑制され、水位の上昇を妨げない。なお、通気性を「僅か」とすることで、水封前に排気が封鎖材を通じて顕著に漏れ出ることはない。
【0019】
[4]前記封鎖材は、水溶性の紙の一方の面にガスバリア性を有する水溶性物質の膜が形成されたものであり、前記膜を前記ドレン排出路の下流側に向けて取り付けられる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0020】
[5]前記封鎖材は、ガスバリア性を有する水溶性の物質で構成される
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0021】
[6]前記水封部の最高水位時の出側の水面から前記封鎖材までの間の通路に通気用細孔を設けた
ことを特徴とする[1]、[2]、[4]または[5]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0022】
上記発明では、ガスバリア性を有する(通気性のない)封鎖材を使用した場合において、水封完了後にさらに水封部内の水位が上昇するときの過度の内圧上昇が通気用細孔によって回避され、水封完了後の水位上昇が確保される。
【0023】
[7]前記通気用細孔が当該潜熱回収型の熱源機の本体内に開放されている
ことを特徴とする[6]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0024】
上記発明では、水封前に通気用細孔から僅かに排ガスが漏れ出ても、熱源機の本体内に出るので、直接器具外へ排出する場合に比べて、周囲への影響を少なく抑えることができる。
【0025】
[8]前記通気用細孔が当該潜熱回収型の熱源機の排気経路に開放されている
ことを特徴とする[6]に記載の潜熱回収型の熱源機。
【0026】
上記発明では、通気用細孔を通じて逃がした空気や排ガスは排気経路を通じて外部へ排出される。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る潜熱回収型の熱源機によれば、水封される前のドレン排出路を通じて排気が外部へ漏れ出ることを防止することができると共に、水封完了後は自動的に封鎖が解除されてドレンの排水が確保される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱源機3の概略の構成を示している。熱源機3は、給水を加熱して出湯する給湯機能を備えている。熱源機3は、燃焼ガスを燃焼させるバーナー4と、バーナー4へ空気を送り込む燃焼ファン5と、バーナー4の上方に設置されてバーナー4で加熱された空気(燃焼排気)から主に顕熱を回収して給水を加熱する顕熱熱交換器6と、バーナー4からの空気の流れで顕熱熱交換器6の下流に配置され、主として排気の潜熱を回収して給水を加熱する潜熱熱交換器7を有する。
【0031】
熱源機3の内部にはさらに、上記のバーナー4、顕熱熱交換器6、潜熱熱交換器7を下からこの順に並べて収めた燃焼室8と、燃焼室8の上端に連通した排気筒9が設けてある。
【0032】
潜熱熱交換器7の下方には、排気の潜熱を回収することで生じた酸性の凝縮水(ドレン)を受け止めて回収するための受け皿11が設けてある。また、排気筒9の出口近傍の底部には、ドレン回収口12が設けてある。ドレン回収部(受け皿11およびドレン回収口12)で回収されたドレンはドレン排出管13を通じて排水される。このドレン排出管13の途中には水封機能とドレンを中和する機能とを備えた中和器20が設けてある。工場出荷時の熱源機3には、中和器20の出口を封鎖する水溶性の封鎖材30が取り付けてある。また、工場出荷時は、中和器20の内部はドレンがなく乾燥した状態にされている。
【0033】
図2は、中和器20の構成をより詳細に示している。中和器20は、水封機能を果たす水封部21(
図2のグレー部分)と、水封部21の出口22に連通した排水用の通路を成す排水路部23とから構成される。水封部21は、中空の容器を、下部が連通するように仕切り板24で2室(前室25と後室26)に区切った構造をなしている。
【0034】
前室25の上部には、中和器20より上流側のドレン排出管13aからドレンを受け入れるドレン入口27が設けてある。ドレン入口27には、ドレン排出管13aの終端が接続されている。後室26の上部には中和したドレンを排出する前述の出口22が設けてある。この出口22に連通する排水路部23は、出口22から水封部21に沿って下方へ所定長だけ延設された中空筒状の通路を成すと共に、その下端には、中和器20より下流側のドレン排出管13bの始端を接続するための接続口28が設けてある。排水路部23とドレン排出管13bは水封部21より下流側のドレン排水路を構成する。
【0035】
水封部21の出口22はドレン入口27より低い位置にされている。また排水路部23の下端の接続口28は、出口22より低い位置にされている。なお、本例では、中和器20は、ドレン入口27および接続口28の各開口を除いて、気密に構成されている。
【0036】
水封部21の前室25および後室26には、凝縮水を中和するための中和剤29が装填されている。中和剤29は、炭酸カルシウムなどであり、直径1cmほどの豆粒大の粒状を成している。ドレン入口27から流入したドレンは、水封部21の前室25および後室26に装填された多数の粒状の中和剤29の隙間を通る際に中和される。
【0037】
工場出荷時点では、中和器20の排水路部23の下端の接続口28に、該接続口28を封鎖する封鎖材30が取り付けてある。封鎖材30は、僅かな通気性を有する水溶性の紙である。
【0038】
次に、封鎖材30の作用について説明する。
【0039】
図3は、工場から出荷された熱源機3を設置して最初に運転した際の中和器20および封鎖材30の状態変化を示している。
【0040】
工場出荷時は、
図3(a)に示すように、中和器20の内部は、ドレンが空で乾燥した状態にされている。この状態で運転を開始すると、排気の一部がドレン排出管13aを通じて中和器20側へ流れ込もうとするが、中和器20の出口が封鎖材30で封鎖されているので、流れ込みはほとんどなく、かつまた、ドレン排出管13bを通じて外部へ排気が流出することも阻止される。なお、封鎖材30がなければ、排気の一部がドレン排出管13を通じて外部へ流出してしまい、背景技術の項で説明したような不具合を生じさせる。
図3(a)の破線は、封鎖材30を設けない場合の排気の流れを示している。
【0041】
熱源機3の運転を継続すると、ドレンが中和器20の水封部21に溜まりはじめる。そして、
図3(b)に示すように、中和器20の水封部21内の水位が上昇して水封部21がドレンによって水封された状態になると、以後は、この水封によって排気がドレン排出管13を通じて外部へ流出することが阻止される。
【0042】
その後さらに運転を続けてドレンが中和器20へ流入し続けると、
図3(c)に示すように、水封部21の出口22からドレンが溢れて排水路部23へ流出する。すると、出口22から流出したドレンで濡れた封鎖材30が溶け始め、しばらくすると、
図3(d)に示すように、封鎖材30が破れて封鎖が解除される。これにより、水封部21から溢れたドレンがドレン排出管13bを通じて外部へ排出される。
【0043】
このように、工場出荷時に、中和器20の出側を水溶性の封鎖材30で封鎖しておくだけで、中和器20が水封されていない状態のままで設置後に熱源機3の運転が開始されても、排気がドレン排出管13を通じて外部へ流出することが阻止される。また、水封完了後に中和器20から溢れ出たドレンによって封鎖材30が溶けて封鎖が自動的に解除されるので、ドレン排出管13を通じたドレンの排水が確保される。
【0044】
したがって、設置後の運転開始前に作業者が中和器に水を入れて水封状態を確保する、といった作業が不要になる。また、作業者に手動で水を入れさせる場合には、中和器に水位センサを設け、水封完了前の運転を禁止したり、水の入れ忘れを警告したりする等の対策を講じるべきであるが、本実施の形態の熱源機3では封鎖材30を設けることで、そのような対策も一切不要になる。あるいは、給水管から分岐させた注水配管を中和器に接続し、該注水配管の途中に設けた電磁弁を開くことで中和器へ自動的に注水する、といった構成も不要になる。
【0045】
封鎖材30は、僅かな通気性を有する水溶性の紙で形成されている。
図3(b)に示す状態(水封完了時)から
図3(c)に示す状態へと水封部21内のドレンの水位が上昇すると、出側(後室26側)のドレンの水面から封鎖材30までの空間の容積が次第に減少して内圧が上昇し、封鎖材30を構成する紙の目の間から空気が少しずつ外部へ漏れ出る。これにより、ドレン入口27および接続口28を除いて気密に構成された中和器20においても、過度の内圧上昇が抑えられて、水位の上昇が妨げられない。
【0046】
僅かな通気性は紙の繊維間の隙間によって確保されるが、微細な孔をもうけてもよく、上記のように水位の上昇を阻止しない程度に僅かの通気性があればよい。たとえば、20mmH
2O未満の気圧ではほとんど通気がなく、20mmH
2O以上、たとえば、30mmH
2Oから50mmH
2Oで、上記した水位の上昇を妨げないほどの通気性が確保されることが望ましい。
【0047】
なお、封鎖材30に到達する排気の圧力は最大で約20mmH
2O程度なので、それに室内負圧(たとえば、ドアの開け閉めによる負圧で、約−20mmH
2Oと想定される)を考慮し、100mmH
2O程度で封鎖材30が破れるなどして封鎖材30による封鎖(気密)が破壊されないようにしてある。具体的には、封鎖材30の材質や厚み、取り付け方などを上記の条件に適合するようにしてある。後に説明する他の種類の封鎖材30についても同様である。
【0048】
図4は、封鎖材30の各種の取り付け位置を示している。封鎖材30は、水封部21の出口22を封鎖するように設ける(図中の取り付け位置A)、排水路部23の任意の箇所を封鎖するように設ける(たとえば、図中の取り付け位置B)、中和器20の接続口28を封鎖するように設ける(図中の取り付け位置C)、中和器20より下流のドレン排出管13bの任意の箇所を封鎖するように設ける(たとえば、図中の取り付け位置D)ことができる。
【0049】
また、水封部21に中和剤29を投入しない場合や投入量が少ない場合には、水封完了時の出側(後室26)のドレンの水面S(水面が仕切り板24の下端に達した位置)より下流側における水封部21の容器内通路(図中の取り付け位置Eなど)に封鎖材30を設けてもよい。要するに水面Sより下流であれば任意の箇所に封鎖材30を取り付けてよい。
【0050】
次に、ガスバリア性を有する封鎖材30を使用する場合について説明する。
【0051】
ガスバリア性を有する(言い換えると、通気性のない)封鎖材30には、代表的構成として以下の2種類がある。
【0052】
(1)水溶性の紙の一方の面にガスバリア性を有する水溶性物質の膜を、貼り付ける、塗布する等により形成して封鎖材30を構成する。
この場合、封鎖材30は水溶性物質の膜(薄膜)が形成されている方の面をドレン排出経路の下流側に向けて取り付ける。この構成の封鎖材30では、紙の部分で排気圧等に耐える強度を確保する。そして、紙の部分がドレンで溶けると、ガスバリア性の膜が水圧で直ぐに破れるようにされている。なお、ガスバリア性の膜を水溶性とすることで、破れた膜が排水経路を詰まらせることが防止される。
【0053】
ガスバリア性のある水溶性物質としては、でんぷん(オブラート)、カラーギナン、寒天、プルラン、キタンサンガム、ペクチン、アラビノガラクタン、レゾール型フェノール樹脂、メチロール化ユリア(尿素)樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等がある。
【0054】
(2)ガスバリア性を有する水溶性の物質で封鎖材30を構成する。
水溶性物質(たとえば、ポリビニルアルコール)を射出成型して水封部21の出口22やドレン排出管13bなどを封鎖する。また、封鎖材30としての水溶性物質の薄膜(たとえば、フィルム状、シート状)を、前述した水面Sより下流の容器内通路や中和器20の出口(接続口28)に挟み込む。たとえば、
図5に示すように、中和器20の出口の接続口28に、ドレン排出管13bとしてのゴムホース41を外嵌させてバンド42で固定するが、このとき、接続口28とゴムホース41との間に封鎖材30としての水溶性物質の薄膜を挟んでゴムホース41を差し込むようにすれば、簡単に封鎖材30を取り付けることができる。あるいは、前述した水面Sより下流の容器内通路や中和器20の出口(接続口28)などに封鎖材30としての水溶性物質の薄膜をヒートシール(熱溶着)させてもよい。
【0055】
ガスバリア性を有する封鎖材30で封鎖する場合、水封完了後の水封部21内の水位上昇に伴って容器内の空気を封鎖材30を通じて外部へ逃がすことができない。そこで、水封部21の後室26側の最高水位時の水面から封鎖材30までの空間を形成する容器のいずれかの箇所に通気用細孔44(
図6参照)を設ける、あるいは上記部分の容器が気密にならないように隙間を設ける。なお、最高水位より低い箇所に通気用細孔44を設けると、その部分からドレンが漏れ出たり、通気用細孔44より水位が高くなると空気を逃がすことができなくなったりする。
【0056】
図6は、水封部21の後室26側の容器の上部に通気用細孔44を設けた例を示している。この通気用細孔44は熱源機3の本体内に開口されている。水封完了前の熱源機3の運転中は、通気用細孔44を通じて、極めて僅かであるが、排ガスが外部へ漏れることになる。そこで、
図6に示すような位置に通気用細孔44を設ける場合は、熱源機3は屋外設置式であることが望ましい。また、通気用細孔44は熱源機3の本体内に開口されているので、たとえば、熱源機3がパイプシャフトに設けられた場合でも、通気用細孔44からの排ガスが直接、パイプシャフト内に流れ出ないので、パイプシャフト内のガス管等を腐食させることがない。
【0057】
一方、熱源機3が屋内設置式の場合には、通気用細孔44を通じて、排ガスが室内に僅かでも漏れないようにすることが望ましい。そこで、通気用細孔44を熱源機3の排気経路に開放する。たとえば、
図7に示すように、最高水位より高い位置の仕切り板24に前室25と後室26とを連通させる通気用細孔45を形成すると、通気用細孔45を通じた排ガスの出口が排気経路に開放されることになる。この構成では、水封完了前の熱源機3の運転中に排ガスが外部に漏れ出ることはない。また、水封完了後は、中和器20内の水位が上昇する際に後室26内の空気が通気用細孔45を通じて前室25側へ移動し、ドレン排出管13aおよび排気筒9を通じて外部へ排出される。
【0058】
なお、仕切り板24に通気用細孔45を設ける代わりに、たとえば、
図6の通気用細孔44を設け、該通気用細孔44の出口を管等でドレン入口27あるいはドレン排出管13aに連通させるようにしてもよい。
【0059】
図5では、仕切り板24に通気用細孔45が設けてあり、該通気用細孔45を通じて後室26側の空気が前室25へ入り、さらにドレン入口27、ドレン排出管13aを通じて排気筒9から排出されるまでの経路を破線の矢印で示してある。
【0060】
以上のように、本実施の形態の熱源機3では、水封部21の水封完了時の出側(後室26側)の水面より下流側における該水封部21の容器内通路または該水封部21の出口22または水封部22より下流側のドレン排出路(排水路部23やドレン排出管13b)を封鎖するように水溶性の封鎖材30を工場出荷時に取り付けておくので、水封部21が水封される前の運転でドレン排出管13を通じて排気が外部へ漏れ出ることが防止される。また、水封完了後は、水封部21から溢れ出たドレンで封鎖材30が溶けて封鎖が自動的に解除されるので、中和器20から溢れるドレンを、ドレン排出管13bを通じて円滑に排出することができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0062】
実施の形態で示した封鎖材30は例示であり、水溶性であれば、他の素材で構成されてもよい。また、膜状やシート状、フィルム状でなくてもよく、短時間で水に溶解するならば塊状の詰め物等であってもよい。
【0063】
実施の形態では水封部21に中和剤29を入れて、水封部21を中和器20として兼用するようにしたが、ドレンを中和する中和器と水封部を別々に設けてもかまわない。
【0064】
熱源機3は、給湯機に限定されず暖房機や乾燥機などでもよい。