【実施例】
【0114】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0115】
最初に、実施例及び比較例における、樹脂粒子の体積平均粒子径の測定方法、樹脂粒子の比表面積の測定方法、樹脂粒子の細孔径及び細孔容積の測定方法、樹脂粒子中に残存する未反応のメタクリル酸メチルの量(残存メタクリル酸メチル量)の測定方法、樹脂粒子中に残存する重合開始剤及びこの重合開始剤の残渣の量(重合開始剤残渣量)の測定方法、熱分解開始温度の測定方法、ならびに樹脂粒子中に残存する金属の量(残存金属量)の測定方法を説明する。
【0116】
〔樹脂粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
樹脂粒子の体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマンコールター株式会社発行のMultisizer
TM 3ユーザーズマニュアルに規定されたサイズ(径)を有するアパチャーを用いて実施するものとする。
【0117】
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。
【0118】
また、アパチャーのサイズに適したCurrent(アパチャー電流)、Gain(ゲイン)をベックマンコールター株式会社発行のMultisizer
TM 3ユーザーズマニュアルに従って設定する。
【0119】
測定用試料としては、樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマンコールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。
【0120】
体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
【0121】
樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
【0122】
樹脂粒子の粒子径の変動係数=(樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷樹脂粒子の体積平均粒子径)×100
【0123】
〔樹脂粒子の比表面積の測定方法〕
樹脂粒子の比表面積は、ISO 9277第1版 JIS Z 8830:2001記載のBET法(窒素吸着法)により測定した。対象となる樹脂粒子について、株式会社島津製作所社製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出した。加熱ガスパージによる前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm
2の条件下で定容量法を用いて測定を行った。なお、前記前処理は、具体的には、樹脂粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、窒素パージを20分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、前記容器内の圧力が0.05mmHg以下になるまで真空脱気を行うことにより、行った。
【0124】
〔樹脂粒子の細孔径及び細孔容積の測定方法〕
樹脂粒子の孔の細孔径(平均細孔径)及び細孔容積は、BJH法により求める。測定対象となる樹脂粒子について、株式会社島津製作所製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を用いて、窒素脱着等温線を測定し、BJH法に基づいて、細孔径(平均細孔径)及び細孔容積(積算細孔容積)を算出する。なお、窒素脱着等温線の測定は、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm
2の条件下で定容法を用いて行った。
【0125】
〔残存メタクリル酸メチル量の測定方法〕
(1)試料液の調製
試験管に、測定対象となる樹脂粒子1gと、二硫化炭素25mlと、内部標準液1mlとを投入し、室温にて12時間抽出した。得られた抽出液を1.8μl採取し、注入した。なお、内部標準液は、二硫化炭素75mlにトルエン0.1mlを加えたものとした。
【0126】
(2)残存メタクリル酸メチル量の測定
上記試料液について、ガスクロマトグラフ装置(株式会社島津製作所製、商品名「GC−14A」)にて下記測定条件で測定を行い、メタクリル酸メチル量を内部標準法で定量した。
【0127】
<測定条件>
カラム充填剤:液相 PEG−20M
担体 Chromosorb W
カラムサイズ:3mmI.D.×3000mmL
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
キャリアーガス:窒素、空気、ヘリウム
キャリア―ガス流量:30ml/min(窒素)、300ml/min(空気)、35 ml/min(ヘリウム)
カラム温度:105℃
注入口温度:110℃
【0128】
〔重合開始剤残渣量の測定方法〕
重合開始剤残渣量は、測定対象となる樹脂粒子の製造に使用した重合開始剤に応じて、公知の方法により測定することができる。後述する実施例及び比較例では、重合開始剤として、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、又は、アゾビスイソブチロニトリルを使用しているため、下記に、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、及びアゾビスイソブチロニトリルの残渣量の測定方法を示す。
【0129】
−過酸化ラウロイルの残渣量の測定方法−
(1)試料液の調製
試験管に、測定対象となる樹脂粒子0.15gとメタノール5mlとを投入し、超音波洗浄機にて15分間混合抽出した。そして、得られた抽出液を遠心分離し、上澄み液を孔径0.25μmの非水系クロマトディスクで濾過したものを試料液とした。
【0130】
(2)過酸化ラウロイル量の測定
上記試料液について、超高速液体クロマトグラフ装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「LaChromUltra」)にて下記測定条件にて測定を行い、過酸化ラウロイル量を絶対検量線法で定量した。
【0131】
<測定条件>
カラム:LaChromUltra C18(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、粒径:2μm、カラムサイズ:2.0mmI.D.×50mmL)
カラム温度:40℃
溶媒:アセトニトリル
流速:0.6ml/min
注入量:4μl
注入温度:室温(25℃)
【0132】
−2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)の残渣量の測定方法−
(1)試料液の調製
試験管に、測定対象となる樹脂粒子0.1gとメタノール5mlとを投入し、超音波洗浄機にて15分間混合抽出した。そして、得られた抽出液を遠心分離する。内部標準液(p−ジクロロベンゼン)20μlを入れた2mlメスフラスコに前記遠心分離後の上澄み液を入れて定容する。定容した液を試料液とした。
【0133】
(2)2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)の残渣量の測定
上記試料液について、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所株式会社製、商品名「QP−5050A」、ガスクロマトグラフ:島津製作所株式会社製GC−17A)にて下記測定条件にて測定を行い、2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)量を内部標準法にて定量した。
【0134】
<測定条件>
カラム:ZB−5MS(Phenomenex社製、膜厚:0.25μm、カラムサイズ:0.25mmI.D.×30m)
カラム温度:45℃で3分間保持した後、5℃/minの昇温速度で160℃まで昇温
キャリアーガス:ヘリウム
キャリアー流量:1.3ml/min
インジェクション温度:130℃
インターフェイス温度:250℃
検出器電圧:1.25kV
測定モード:SIM(M/Z=68、69、111、150、152)
注入量:1μl
【0135】
−アゾビスイソブチロニトリルの残渣量の測定方法−
(1)試料液の調製
試験管に、測定対象となる樹脂粒子0.1gとメタノール5mlとを投入し、超音波洗浄機にて15分間混合抽出した。得られた抽出液を遠心分離する。内部標準液(トルエン)20μlを入れた2mlメスフラスコに前記遠心分離後の上澄み液を入れて定容する。定容した液を試料液とした。
【0136】
(2)アゾビスイソブチロニトリル量の測定
上記試料液について、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所株式会社製、商品名「QP−5050A」、ガスクロマトグラフ:島津製作所株式会社製GC−17A)にて下記測定条件にて測定を行い、アゾビスイソブチロニトリル量を内部標準法にて定量した。
【0137】
<測定条件>
カラム:DB−5(J&W社製、膜厚:0.25μm、カラムサイズ:0.25mmI.D.×30m)
カラム温度:40℃で3分間保持し、10℃/minの昇温速度で100℃まで昇温した後、25℃/minの速度で250℃まで昇温
キャリアーガス:ヘリウム
キャリアー流量:1.4ml/min
インジェクション温度:120℃
インターフェイス温度:250℃
検出器電圧:1.25kV
測定モード:SIM(M/Z=68、69、98、100)
注入量:2μl
【0138】
〔熱分解開始温度の測定方法〕
樹脂粒子の熱分解開始温度は、TG/DTA装置(セイコーインスツル株式会社製TG/DTA6200)を用いて、測定した。
【0139】
つまり、上記TG/DTA装置を用いて、空気雰囲気中、空気流量200ml/minにて、40〜100℃の温度範囲では20℃/minの昇温速度、100〜500℃の温度範囲では10℃/minの昇温速度の測定条件下で、40〜500℃の温度範囲での重量減少挙動を測定した。この測定により得られた重量減少曲線のベースライン(水平線部)の延長線と、質量減少部分(右下がりの斜線部)の接線(最大傾斜点での接線)との交点を樹脂粒子の熱分解開始温度とした。
【0140】
〔残存金属量の測定方法〕
樹脂粒子に含まれる残存金属元素量は、マルチタイプICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、「ICPE−9000」)を用いて、測定した。
【0141】
具体的には、樹脂粒子約1.0gを精秤し、精秤した樹脂粒子を、電気炉(株式会社いすず製のマッフル炉STR−15K)を用いて450℃で3時間加熱することにより、灰化させた。灰化した樹脂粒子を濃塩酸2mlに溶解させ、蒸留水にて50mlにメスアップして測定試料とした。そして、測定試料について、下記測定条件にて、上記マルチタイプICP発光分光分析装置による測定を実施し、各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)の波長のピーク強度を得た。次いで、得られた各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)の波長のピーク強度から、下記検量線作成方法により作成した定量用の検量線に基づき、測定試料中の各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)の濃度(μg/ml)を求めた。そして、求めた各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)の濃度の合計Tc(μg/ml)と、上記の精秤した樹脂粒子の重量W(g)とを以下の式に代入し、樹脂粒子中の残存金属量を算出した。
【0142】
残存金属量=(Tc(μg/ml)/W(g))×50(ml)
<測定条件>
測定波長:Na(589.592nm)、Ca(317.933nm)、Mg(285.213nm)、Fe(238.204nm)、Cr(205.552nm)
観測方向:軸方向
高周波出力:1.20kW
キャリアー流量:0.7L/min
プラズマ流量:10.0L/min
補助流量:0.6L/min
露光時間:30秒
<検量線作成方法>
検量線用標準液(米国SPEX社製、「XSTC−13(汎用混合標準溶液)」、31元素混合(ベース5%HNO
3)−各約10mg/l)を蒸留水で段階的に希釈調製して、0ppm(ブランク)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、及び5ppmの濃度の標準液をそれそれ調製する。各濃度の標準液について、上記測定条件にて上記マルチタイプICP発光分光分析装置による測定を実施し、各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)の波長のピーク強度を得る。各金属元素(Na、Ca、Mg、Fe、Cr)について、濃度とピーク強度をプロットし、最小二乗法による近似線(直線あるいは二次曲線)を求め、求めた近似線を定量用の検量線とする。
【0143】
[実施例1]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)500g(単量体混合物100重量部に対して、125重量部)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数5000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0144】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.027MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0145】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0146】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0147】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、10μmであった。
【0148】
[実施例2]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)600g(単量体混合物100重量部に対して、150重量部)と、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数6000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0149】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.027MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0150】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0151】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0152】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、8μmであった。
【0153】
[実施例3]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル160g(単量体混合物全体に対して、40重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート240g(単量体混合物全体に対して、60重量%)と、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)700g(単量体混合物100重量部に対して、175重量部)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数6000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0154】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.020MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0155】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0156】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0157】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、8μmであった。
【0158】
[実施例4]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル160g(単量体混合物全体に対して、40重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート240g(単量体混合物全体に対して、60重量%)と、酸化防止剤としてのペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート4gと、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)700g(単量体混合物100重量部に対して、175重量部)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数6000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0159】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.027MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0160】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0161】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0162】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、8μmであった。
【0163】
[実施例5]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル160g(単量体混合物全体に対して、40重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート240g(単量体混合物全体に対して、60重量%)と、有機溶剤としてのn−ヘキサン(沸点69℃)700g(単量体混合物100重量部に対して、175重量部)と、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数8000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら60℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を60℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0164】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.020MPaの条件下で蒸留して、n−ヘキサンを系外に除去した(蒸留工程)。
【0165】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0166】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0167】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、5μmであった。
【0168】
[実施例6]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル80g(単量体混合物全体に対して、20重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート320g(単量体混合物全体に対して、80重量%)と、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)500g(単量体混合物100重量部に対して、125重量部)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数5000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0169】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.027MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0170】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0171】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0172】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、9μmであった。
【0173】
[比較例1]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル200g(単量体混合物全体に対して、67重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート100g(単量体混合物全体に対して、33重量%)と、有機溶剤としての酢酸エチル(沸点77℃)500g(単量体混合物100重量部に対して、167重量部)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数5000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0174】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、80℃、0.027MPaの条件下で蒸留して、酢酸エチルを系外に除去した(蒸留工程)。
【0175】
この後、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、樹脂粒子をイオン交換水にて洗浄した(分解除去工程)。
【0176】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0177】
得られた樹脂粒子は、多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、10μmであった。
【0178】
[比較例2]
脱イオン水1000gに、無機系分散安定剤としての第三リン酸カルシウム50gと、アニオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.05gとを加えて水相とした。一方、メタクリル酸メチル200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、(メタ)アクリル系架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート200g(単量体混合物全体に対して、50重量%)と、重合開始剤としての過酸化ラウロイル1gとの混合液を調製して油相とした。水相と油相とを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて回転数5000rpmで、前記水相中に前記油相の液滴を分散させて、分散液を得た。この分散液を、攪拌機及び温度計を備えた重合器に入れ、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで加温し、懸濁重合を開始した。そして、内温を70℃で8時間保持することにより、樹脂粒子を含む懸濁液を得た(重合工程)。
【0179】
この樹脂粒子を含む懸濁液を、20℃まで冷却し、塩酸を加えて第三リン酸カルシウムを分解した後、ブフナー漏斗にて得られた樹脂粒子を濾別し、続いて、イオン交換水にて洗浄を行った(分解除去工程)。
【0180】
洗浄した樹脂粒子を90℃、0.008M
Paの減圧下で24時間乾燥することにより樹脂粒子を得た(乾燥工程)。
【0181】
得られた樹脂粒子は、孔のない中実粒子であり、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は、6μmであった。
【0182】
実施例1〜6及び比較例1〜2の樹脂粒子について、油相の組成、単量体混合物中における各単量体(メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル系架橋性単量体)の含有率、有機溶剤の単量体混合物100重量部に対する使用量、比表面積の測定結果、細孔容積の測定結果、平均細孔径の測定結果、熱分解開始温度の測定結果、残存メタクリル酸メチル量の測定結果、重合開始剤残渣量の測定結果、残存金属量の測定結果を、以下の表1に示す。なお、表1において、実施例1、3、4、及び6並びに比較例1〜2については、重合開始剤として、過酸化ラウロイルを使用して樹脂粒子を製造したため、上述の「過酸化ラウロイルの残渣量の測定方法」により測定した過酸化ラウロイル量を重合開始剤残渣量としている。また、実施例2については、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリルを使用して樹脂粒子を製造したため、上述の「アゾビスイソブチロニトリルの残渣量の測定方法」により測定したアゾビスイソブチロニトリル量を重合開始剤残渣量としている。さらに、また、実施例5については、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)を使用して樹脂粒子を製造したため、上述の「2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)の残渣量の測定方法」により測定した2,2’−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)量を重合開始剤残渣量としている。また、比較例2の樹脂粒子は孔のない中実粒子であるため、比較例2の樹脂粒子についての細孔容積及び平均細孔径の測定は実施しなかった。
【0183】
【表1】
【0184】
表1に示す結果より、実施例1〜6の樹脂粒子は、130〜180m
2/g(より、具体的には、132〜178m
2/g)の比表面積と、0.3〜0.7ml/g(より具体的には、0.44〜0.65ml/g)の細孔容積と、13〜16nmの平均細孔径(より具体的には、14〜16nm)とを有する多孔質の樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)であることが認められた。また、比較例1の樹脂粒子は、実施例1〜6の樹脂粒子と比べて、比表面積が小さく、多孔度の低い樹脂粒子であり、比較例2の樹脂粒子は、孔を有していないことが認められた。
【0185】
また、実施例1〜6の樹脂粒子は、実施例1〜6の樹脂粒子よりも比表面積の小さい比較例1及び2の樹脂粒子と比べて、熱分解開始温度が高い樹脂粒子であり、耐熱性の高い樹脂粒子であることが認められた。
【0186】
具体的には、(メタ)アクリル系架橋性単量体の含有率が50重量%〜90重量%(より具体的には、50重量%〜80重量%)の範囲内にある単量体混合物と、有機溶剤とを使用して製造した実施例1〜6の樹脂粒子の熱分解開始温度は、260℃以上であり、実施例1〜6の樹脂粒子は、耐熱性に優れたものであることが認められた。これに対して、(メタ)アクリル系架橋性単量体の含有率が50重量%未満(より具体的には、33重量%)の単量体混合物を使用して製造した比較例1及び有機溶剤を使用せずに製造した比較例2の樹脂粒子の熱分解開始温度は、255℃以下であり、比較例1及び2の樹脂粒子は、実施例1〜6の樹脂粒子と比べて、耐熱性に劣るものであることが認められた。
【0187】
また、実施例1〜6の樹脂粒子の残存メタクリル酸メチル量は、20ppm以下であり、比較例2の樹脂粒子の残存メタクリル酸メチル量よりも少ないことが認められた。
【0188】
また、実施例1〜6の樹脂粒子の重合開始剤残渣量は、定量下限(100ppm)未満であり、比較例2の樹脂粒子の重合開始剤残渣量よりも少ないことが認められた。
【0189】
さらに、実施例1〜6の樹脂粒子の残存金属量は100ppm以下であり、実施例1〜6の樹脂粒子中には、無機系分散安定剤由来の金属がほとんど残存していないことが認められた。
【0190】
以上の通り、本発明の多孔質樹脂粒子の製造方法により製造された実施例1〜6の多孔質樹脂粒子、即ち、本発明の多孔質樹脂粒子は、光拡散性能を十分に発揮し得る十分な多孔度を有し(具体的には、130〜180m
2/gの比表面積と、0.3〜0.7ml/gの細孔容積と、13〜16nmの平均細孔径とを有し)、且つ、耐熱性に優れたものであることが認められた。
【0191】
[実施例7:外用剤(パウダーファンデーション)の製造例]
実施例2で得た樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)10重量部と、色材原料としてのタルク42重量部と、粘土鉱物類としてのセリサイト17重量部と、色材原料としての酸化チタン10重量部と 、色材原料としての赤色酸化鉄0.6重量部と、色材原料としての黄色酸化鉄1重量部と、色材原料としての黒色酸化鉄0.1重量部と、炭化水素としての流動パラフィン2重量部と、脂肪酸エステルとしてのミリスチン酸オクチルデシル3.5重量部と、界面活性剤としてのイソステアリン酸ソルビタン0.5重量部と、高級アルコールとしての2−オクチルドデカノール3.0重量部との配合処方で各種原料を用意した。そして、樹脂粒子と、タルクと、セリサイトと、酸化チタンと、赤色酸化鉄と、黄色酸化鉄と、黒色酸化鉄とをヘンシェルミキサーで混合し、これに、流動パラフィンと、ミリスチン酸オクチルデシルと、イソステアリン酸ソルビタンと、2−オクチルドデカノールとを混合溶解したものを加えて均一に混合した。これを、公知の方法により、粉砕して篩いに通して粉体を得た。この粉体を、公知の方法により、金皿に圧縮成型してパウダーファンデーションを得た。
【0192】
[実施例8:外用剤(乳化型ファンデーション)の製造例]
実施例2で得た樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)20.0重量部と、粘土鉱物類としてのセリサイト6.0重量部と、色材原料としての酸化チタン3.0重量部と、顔料(適量)とをヘンシェルミキサーで混合し、粉末部を調製した。
【0193】
そして、粉末部とは別に、精製水50.2重量部に、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール4000)5.0重量部と、pH調整剤としてのトリエタノールアミン1.0重量部と、プロピレングリコール5.0重量部と、粘土鉱物類としてのVEEGUM(登録商標、バンダービルト社製)0.5重量部とを加え加熱溶解した。これにより得られた溶液に先に調製した前記粉末部を加え、ホモミクサーで粉末を均一に分散させた後、70℃に保温し、水相成分を得た。
【0194】
次いで、前記水相成分とは別に、高級脂肪酸としてのステアリン酸2.0重量部と、高級アルコールとしてのセチルアルコール0.3重量部と、炭化水素としての流動パラフィン20.0重量部と、香料(適量)と、防腐剤(適量)とを混合して加熱溶解した後、70℃に保温し、油相成分を得た。
【0195】
得られた油相成分に前記水相成分を加えて、予備乳化を行い、ホモミクサーで均一に乳化・分散後、かきまぜながら冷却させて乳化型ファンデーションを得た。
【0196】
[実施例9:外用剤(ボディパウダー)の製造例]
実施例2で得た樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)50.0重量部と、粘土鉱物類としてのマイカ25.0重量部と、粘土鉱物類としてのセリサイト25.0重量部とをヘンシェルミキサーで混合した後、Retsch社製のロータースピードミルZM−100を用いて、1回粉砕(12本刃ローター使用、1mmスクリーン装着、回転数14000rpm)し、ボディパウダーを得た。
【0197】
[比較例3:外用剤(パウダーファンデーション)の比較製造例]
実施例2で得た樹脂粒子に代えて、比較例2で得た樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、パウダーファンデーションを得た。
【0198】
[比較例4:外用剤(乳化型ファンデーション)の比較製造例]
実施例2で得た樹脂粒子に代えて、比較例2で得た樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、パウダーファンデーションを得た。
【0199】
[比較例5:外用剤(
ボディパウダー)の比較製造例]
実施例2で得た樹脂粒子に代えて、比較例2で得た樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、ボディパウダーを得た。
【0200】
〔外用剤の官能試験〕
上記した実施例7〜9及び比較例3〜5の外用剤に対して、パネラー10名による官能試験を行った。この試験におけるパウダーファンデーションの評価項目は、「ソフトフォーカス性」、「化粧もち」、「伸展性」及び「や
わらかさ」であり、乳化型ファンデーションの評価項目は「ソフトフォーカス性」、「化粧もち」、及び「なめらかさ」についてであり、ボディパウダーの評価項目は、「ソフトフォーカス性」、「伸展性」及び「さらさら感」である。これらの評価項目について、次のような基準で4段階評価を行った。
【0201】
×・・・パネラー10名中、2名以下が効果ありと回答
△・・・パネラー10名中、3〜5名が効果ありと回答
〇・・・パネラー10名中、6〜8名が効果ありと回答
◎・・・パネラー10名中、9名以上が効果ありと回答
上記した実施例7〜9及び
比較例3〜5の外用剤について、官能試験の結果を以下の表2に示す。
【0202】
【表2】
【0203】
表2に示すように、実施例7のパウダーファンデーションは、比較例
3のパウダーファンデーションに比べて、化粧もちが良好であり、肌への伸展性も高く、やわらかな感触を有するものであり、また、ソフトフォーカス性が高く、素肌感のある自然な仕上がりを与えるものと認められた。
【0204】
また、実施例8の乳化型ファンデーションは、比較例4の乳化型ファンデーションと比べて、化粧もちが良好で、なめらかな感触を有しており、ソフトフォーカス性が高く、素肌感のある自然な仕上がりを与えるものであることが認められた。
【0205】
また、実施例9のボディパウダーは、比較例5のボディパウダーと比べて、肌への伸展性が高く、肌をさらさらな状態に整えることができるものであり、また、ソフトフォーカス性が高く、素肌感のある自然な仕上がりを与えるものと認められた。
【0206】
[実施例10:光学フィルムの製造例]
実施例2で得られた樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)5重量部と、バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂(商品名:メジウム VM(K)、大日精化工業株式会社製、固形分32重量%)29重量部と、トルエン41重量部とを混合し、これを遠心攪拌機により3分間攪拌して、コーティング剤を得た。この後、得られたコーティング剤を、基材としてのPETフィルム上に50μmコーターを用いて塗工した。得られたフィルムを70℃に保った乾燥機にて1時間乾燥させることにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムのヘイズ、全光線透過率およびグロスを測定した。結果を表3に示す。
【0207】
[実施例11:光学フィルムの製造例]
実施例2で得られた樹脂粒子(多孔質樹脂粒子)1重量部と、バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂(商品名:メジウム VM(K)、大日精化工業株式会社製、固形分32重量%)29重量部と、トルエン41重量部とを混合し、これを遠心攪拌機により3分間攪拌することにより得られたコーティング剤を用いた以外は実施例10と同様にして光学フィルムを得た。得られた光学フィルムのヘイズ、全光線透過率およびグロスを測定した。この結果を表4に示す。
【0208】
[比較例6:光学フィルムの比較製造例]
実施例2の樹脂粒子に代えて、比較例2の樹脂粒子を用いた以外は実施例10と同様にして光拡散フィルムを得た。得られたフィルムのヘイズ、全光線透過率およびグロスを測定した。結果を表3に示す。
【0209】
[比較例7:光学フィルムの比較製造例]
実施例2の樹脂粒子に代えて、比較例2の樹脂粒子を用いた以外は実施例11と同様にして光拡散フィルムを得た。得られたフィルムのヘイズ、全光線透過率およびグロスを測定した。結果を表4に示す。
【0210】
〔全光線透過率及びヘイズの測定方法〕
実施例10及び11、並びに比較例6及び7で得られた光学フィルムのヘイズおよび全光線透過率を、日本電色工業株式会社製のヘイズメーター「NDH−4000」を使用して測定した。全光線透過率の測定はJIS K 7361−1に、ヘイズの測定はJIS K 7136にそれぞれ従って実施した。なお、表3及び4に示すヘイズおよび全光線透過率は、2個の測定サンプルの測定値の平均値である(測定サンプル数n=2)。ヘイズの値は、光学フィルムを透過した光(透過光)の拡散性が高い程、高くなる。
【0211】
〔グロスの測定方法〕
実施例10及び11、並びに比較例6及び7で得られた光学フィルムのグロスを株式会社堀場製作所製のグロスチェッカ(光沢計)「IG−331」を使用して、測定した。具体的には、JIS Z8741に記載の方法に準拠して、上記グロスチェッカ(光沢計)「IG−331」により、光学フィルムの60°でのグロスを測定した。グロスの値は、光学フィルムの表面(具体的には、コーティング剤が塗工されて形成された塗膜表面)で反射した光の拡散性が高い程、低くなり、艶消し性がよいことを意味する。
【0212】
【表3】
【0213】
【表4】
【0214】
実施例10の光学フィルムの製造に用いたコーティング剤に含まれる樹脂粒子の含有率は、比較例
6の光学フィルムの製造に用いたコーティング剤に含まれる樹脂粒子の含有率と同じである。表3に示すように、樹脂粒子として実施例2で得られた樹脂粒子を用いて製造された実施例10の光学フィルムは、樹脂粒子として、比較例2の樹脂粒子を用いて製造された比較例6の光学フィルムと比べて、ヘイズが高く、グロスが低いものであった。つまり、実施例10の光学フィルムは、比較例6の光学フィルムと比べて、光拡散性に優れ、艶消し性に優れるものであることが認められた。
【0215】
また、実施例11の光学フィルムの製造に用いたコーティング剤に含まれる樹脂粒子の含有率は、比較例7の光学フィルムの製造に用いたコーティング剤に含まれる樹脂粒子の含有率と同じである。表4に示すように、樹脂粒子として、実施例2で得られた樹脂粒子を用いて製造された実施例11の光学フィルムは、樹脂粒子として、比較例2の樹脂粒子を用いて製造された比較例7の光学フィルムと比べて、ヘイズ及び全光線透過率が高く、グロスが低いものであった。つまり、実施例11の光学フィルムは、比較例7の光学フィルムと比べて、光拡散性に優れ、艶消し性に優れるものであることが認められた。
【0216】
以上のことから、実施例2で得られた樹脂粒子は、比較例2の樹脂粒子と比べて、光学フィルムに優れた光拡散性と艶消し性を付与することができるものであると言える。