(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行方向に沿って延びる複数の縦部材(70)と、前記縦部材(70)と直交して幅方向に延びる複数の横部材(72a、72b)とで形成されたフレーム(74)と、前記フレーム(74)の前端部に設けられた牽引部(98)とを備え、前記フレーム(74)は、前部に巻き上げ部(76、78)を、後部に網体(80)をそれぞれ有し、牽引車(14)に牽引されて砂地を走行し、散在するごみを砂とともに前記巻き上げ部(76、78)で掻き上げて、これを前記網体(80)で捕集し、前記網体(80)は、少なくとも前記走行方向側が開放された開放口(80a)を形成する後壁部(152)及び側壁部(154)を有する囲い部(156)を備え、前記フレーム(74)の両側の前記縦部材(70)の上方に載置され、且つ、前記フレーム(74)の両側の前記縦部材(70)の一方に、上方向に回動可能に取り付けられたごみ分離機(10)において、
前記網体(80)が回動可能に取り付けられた前記縦部材(70)側の前記側壁部(154)の開放側の先端辺(154a)に、該先端辺(154a)を軸として回動可能な開閉板(160)を設けることで、前記開閉板(160)が、前記開放口(80a)の少なくとも一部を開閉する
ことを特徴とするごみ分離機(10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、ごみの回収時に、網体の左側を中心に、網体の右側を上方に回動させて、網体内のごみを排出するので、ごみが網体の前方からこぼれ落ちる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構造で、ごみの回収時にごみがこぼれ落ちることを防止するごみ分離機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行方向に沿って延びる複数の縦部材(70)と、前記縦部材(70)と直交して幅方向に延びる複数の横部材(72a、72b)とで形成されたフレーム(74)と、前記フレーム(74)の前端部に設けられた牽引部(98)とを備え、前記フレーム(74)は、前部に巻き上げ部(76、78)を、後部に網体(80)をそれぞれ有し、牽引車(14)に牽引されて砂地を走行し、散在するごみを砂とともに前記巻き上げ部(76、78)で掻き上げて、これを前記網体(80)で捕集し、前記網体(80)は、少なくとも前記走行方向側が開放された開放口(80a)を形成する後壁部(152)及び側壁部(154)を有する囲い部(156)を備え、前記フレーム(74)の両側の前記縦部材(70)の上方に載置され、且つ、前記フレーム(74)の両側の前記縦部材(70)の一方に、上方向に回動可能に取り付けられたごみ分離機(10)において、前記網体(80)が回動可能に取り付けられた前記縦部材(70)側の前記側壁部(154)の開放側の先端辺(154a)に、該先端辺(154a)を軸として回動可能な開閉板(160)を設けることで、前記開閉板(160)が、前記開放口(80a)の少なくとも一部を開閉することを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記ごみ分離機(10)において、前記開閉板(160)は、前記囲い部(156)にスプリング付き蝶番(162)によって取り付けられることを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記ごみ分離機(10)において、前記開閉板(160)は、前記開放口(80a)を閉じるように前記スプリング付き蝶番(162)によって付勢されて、前記側壁部(154)に対して略直角に固定され、前記開閉板(160)が走行時に前記側壁部(154)と同方向を向くように前記スプリング付き蝶番(162)の付勢力を規制するストッパー(170)を有することを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記ごみ分離機(10)において、前記開閉板(160)の高さは、前記囲い部(156)の高さと略同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、網体が回動可能に取り付けられた縦部材側の側壁部の開放側の先端辺に、該先端辺を軸として回動可能な開閉板を設けることで、開閉板が開放口の少なくとも一部を開閉するので、ごみ回収時に開閉板を閉じることで、網体内のごみが囲い部の前方からこぼれ落ちるのを防止することができる。したがって、こぼれたごみを拾い集める必要がなくなり、回収効率が一層向上し、工数が削減される。
【0011】
本発明によれば、開閉板は、囲い部にスプリング付き蝶番によって取り付けられるので、開閉板を簡易な構造で回動可能に取り付けることができる。
【0012】
本発明によれば、開閉板は、開放口を閉じるようにスプリング付き蝶番によって付勢されて、側壁部に対して略直角に固定されるので、網体内のごみが囲い部の前方からこぼれ落ちるのを確実に防止することができる。また、走行時には、開閉板が側壁部と同方向を向くようにスプリング付き蝶番の付勢力が規制されるので、ごみと砂を効率よく捕集することができる。
【0013】
本発明によれば、開閉板の高さは、囲い部の高さと略同じであるので、回収時に網体内のごみが囲い部の前方からこぼれ落ちることを防止することができる。また、開閉板を開いたときに開閉板が囲い部から上方に突出することがなく外観性が向上する。また、収納時に開閉板が邪魔にならない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る車両におけるごみ分離機について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0016】
図1は、実施の形態のごみ分離機10と、ごみ分離機10を積載するトレーラ12と、牽引車14とを示す側面図である。特に説明しない限り、前後、左右、上下は、牽引車14の運転者から見た方向に従う。本実施の形態では、鞍乗型の不整地走行車両であるATV(All-Terrain Vehicle)を牽引車14として採用している。牽引車14は、左右一対の前輪16及び後輪18を備え、車体フレーム20と、車体フレーム20の略中央部に設けられた原動機としてのエンジン22とを有する。
【0017】
エンジン22は、図示しないクランクシャフトの回転動力を図示しない変速機を介して前後のプロペラシャフト24a、24bに出力する。プロペラシャフト24a、24bに出力された回転動力は、前後の減速装置26a、26bを介して前輪16及び後輪18にそれぞれ出力される。
【0018】
前輪16は、車体フレーム20の前部に、フロントサスペンション28aを介して懸架され、後輪18は、車体フレーム20の後部に、例えば、リアサスペンション28b及びスイングアーム30を介して懸架される。スイングアーム30の後端部には、トレーラ牽引用のトレーラヒッチ32が設けられる。なお、参照符号34aは、車体フレーム20の前部に支持されるフロントキャリアを、参照符号34bは、車体フレーム20の後部に支持されるリアキャリアをそれぞれ示す。
【0019】
牽引車14は、ごみ分離機10及びごみ回収ステーション36を運搬するトレーラ12を牽引可能である。トレーラ12は、車体フレーム38の下部両側に設けられた左右一対の車輪40と、車体フレーム38の上方に設けられた上方に開放する上下に浅い箱型のキャリア42を有する。車体フレーム38には、その前部下側から前方に向けて延出する牽引アーム44が設けられている。牽引アーム44の前端部には、トレーラヒッチ32に対応するヒッチカプラ44aが設けられている。
【0020】
キャリア42の前後左右両側の上縁部には、ごみ回収ステーション36の各連結パイプ46を支持する支持部42aが設けられる。支持部42aは、上方に開放する凹部を有し、該凹部内に、上下を逆にしたごみ回収ステーション36の連結パイプ46が嵌合されて、ごみ回収ステーション36が保持される。上下を逆にしたごみ回収ステーション36上には、ごみ分離機10が搭載される。
【0021】
なお、
図1のごみ分離機10及びごみ回収ステーション36は、トレーラ12への積載状態を示し、
図2以降に示すごみ分離機10及びごみ回収ステーション36は、特に記載がない限り砂地上での使用状態を示す。また、図中の線GLは、地面(砂地上面)を、線CLは、牽引車14、これに牽引されるごみ分離機10、及びごみ回収ステーション36の左右中心を示す。矢印FRは前方を、矢印UPは上方を、矢印LHは左方を示す。
【0022】
このごみ分離機10は、牽引車14に牽引されて海岸等の砂地(砂浜)を走行して、該砂地に散在する様々なごみを回収するものである。ごみ分離機10が集めたごみは、砂地の所定箇所に設置されたごみ回収ステーション36において回収される。
【0023】
図2は、ごみ回収ステーション36の上面図、
図3は、ごみ回収ステーション36の側面図である。なお、ごみ回収ステーション36の構造は、線CLを中心に左右対称なので、
図2においては、線CLより右側の構造の図示を省略している。
【0024】
ごみ回収ステーション36は、走行方向(前後方向)に延びる左右一対の側部構造体50と、左右一対の側部構造体50を前後で連結する左右方向に延びた連結部材52とを有する。側部構造体50は、前後方向に延びるパイプ状の接地部材54上に、側面視で前後対称の山形をなすパイプからなる案内部材56が接続される。この接地部材54と案内部材56とは一体的に形成されている。この接地部材54と連結部材52とは、連結パイプ46を介して互いに接続される。このような構造を有することで、比較的大型なごみ回収ステーション36を複数の分割体(側部構造体50及び連結部材52)に分割することができる。
【0025】
接地部材54の前後端部には、上面視で前側又は後側ほど左右外側に傾斜するフート部材60が着脱可能に取り付けられている。フート部材60は、接地部材54とともに砂地上に接地するものである。このフート部材60により、ごみ回収ステーション36が安定して設置される。
【0026】
図4は、ごみ分離機10の側面図、
図5は、ごみ分離機10の上面図である。なお、ごみ分離機10の構造は、線CLを中心に左右対称なので、
図5においては、線CLより右側の構造の図示を省略している。
【0027】
ごみ分離機10は、走行方向に沿って延びる複数(本実施の形態では3本)のパイプ状の縦部材70と、これらと直交して幅方向(左右方向)に沿って延びるパイプ状の横部材72a、72bとを主として枠型のフレーム74を形成する。このフレーム74の前部には複数のキール76及びスクレーパ78が、後部には網体80が設けられている。この網体80は、フレーム74の両側の縦部材70の上方に載置されている。
【0028】
縦部材70は、前後方向の中間部を側面視で穏やかなクランク状に屈曲させることで、前部に対して後部が上方に位置するように形成されている。そして、縦部材70の後端部は、上方に向けて湾曲している。縦部材70の前端には、上方且つ前方に延びるように傾斜した傾斜部82が設けられている。
【0029】
傾斜部82が前端に設けられた縦部材70は、側面視で重なるように左右に複数配置され、傾斜部82の前端が横部材72aに後方から突き当てられて結合されるとともに、縦部材70の後端が横部材72bに下方から突き当てられて結合される。
【0030】
左右中央の傾斜部82と、左右両側の傾斜部82とのそれぞれの間には、傾斜部82と側面視で重なるように傾斜したスクレーパフレーム84が左右に複数(本実施の形態では3本)並設される。スクレーパフレーム84は、縦部材70と同径のパイプからなり、その前端が、横部材72aに後方から突き当てられて結合される。なお、各スクレーパフレーム84と左右中央の縦部材70とは略等間隔に並ぶのに対し、左右最外側のスクレーパフレーム84と左右両側の縦部材70とは間隔を狭めて配置される。
【0031】
傾斜部82及びスクレーパフレーム84には、ごみ分離機10の牽引走行時に砂及び比較的小さなごみ(飲料容器、紙屑、たばこの吸い殻等)を掻き上げる巻き上げ部としてのキール76及びスクレーパ78が取り付けられる。
【0032】
キール76の後端部には、複数のスクレーパ支持孔96が形成され、これら各スクレーパ支持孔96にはスクレーパ78が挿入されて支持される。スクレーパ78は、例えば、左右方向に沿う断面円形の棒状のもので、各キール76の上下のスクレーパ支持孔96をそれぞれ貫通した状態で支持される。なお、スクレーパ78は、一本又は3本以上であってもよく、上下方向ではなく左右方向又は斜め方向に並べて配置されてもよい。
【0033】
キール76及びスクレーパ78は、砂中に適量沈み込むように設定される。この状態でごみ分離機10が走行することで、各キール76が砂及びごみを掻き分けるとともに、ごみをスクレーパ78が掻き上げ、掻き上げられた砂及びごみがフレーム74の後部の網体80に投入される。
【0034】
フレーム74の左右外側端から2本目のスクレーパフレーム84の前方には、ごみ分離機10を牽引車14で牽引するための牽引部98が設けられている(
図5参照)。牽引部98は、左右方向に直行する板状のもので、上下に並ぶ複数(本実施の形態では4つ)の連結孔98aが形成される(
図4参照)。これらの連結孔98aのいずれかには、牽引車14のトレーラヒッチ32に一端が連結される牽引ロッド100の他端が連結され、牽引ロッド100を介してごみ分離機10が牽引される(
図9参照)。このとき、牽引ロッド100の他端をどの連結孔98aに連結するかによって、ごみ分離機10の地上高(地上面からの高さ)等に応じた適切な牽引位置を設定可能である。
【0035】
フレーム74における左右最外側のスクレーパフレーム84の前方には、前スキー脚102を支持する前スキー支持パイプ104が設けられる。前スキー支持パイプ104は、横部材72aを上下に貫通するように設けられる。前スキー脚102の脚部材106は、前スキー支持パイプ104に挿入される。前スキー脚102は、ごみ分離機10の前部の地上高を所定の高さに設定するとともに砂地に対する滑走性を高めるものであり、前部が前上がりに湾曲する所定幅の前スキー板108上に脚部材106が立設されることで構成される。
【0036】
横部材72bの後部両側からはエクステンションフレーム110が後方に延出し、エクステンションフレーム110の後端部には、後スキー脚112を支持する後スキー支持パイプ114が設けられている。後スキー支持パイプ114は、エクステンションフレーム110を上下に貫通するように設けられている。後スキー脚112の脚部材116は、後スキー支持パイプ114に挿入される。後スキー脚112は、前スキー脚102と同様の構成及び機能を有するものであり、後スキー板118上に脚部材116が立設されることで構成される。
【0037】
前スキー脚102の前スキー板108の外側端間の左右幅は、フレーム74の左右幅と略同一であり、後スキー脚112の後スキー板118の外側端間の左右幅は、フレーム74の左右幅よりも狭い。
【0038】
フレーム74の前後の左右外側には、その外側端から左右外方に向けて張り出すリフトアーム120a、120bがそれぞれ設けられる。リフトアーム120a、120bは、上面視で横長の方形状をなす型枠のもので、その左右中間部は略水平とされ、左右内側部及び左右外側部が斜め下側にそれぞれ屈曲して形成されている。これらリフトアーム120a、120bの外側端間の左右幅は、ごみ回収ステーション36の側部構造体50間の左右幅より広い。したがって、ごみ分離機10が側部構造体50間に進入した際には、リフトアーム120a、120bが側部構造体50に乗り上げることで、ごみ分離機10が所定量リフトアップされる。
【0039】
網体80は、フレーム74の両側の縦部材70の一方(本実施の形態では、左最外側の縦部材70)に、上方向に回動可能にヒンジ122を介して取り付けられている。詳しくは、網体80の後述する左側の側壁部154と左側の縦部材70とがヒンジ122によって接続されている。したがって、網体80の右側を上方に移動させることで、
図6及び
図7に示すように、該ヒンジ122の回転軸122aを中心にして、網体80が回動(回転)する。
【0040】
網体80は、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、前方、及び上方に開放する開放口80aを有する箱型をなし、銅管を主とする枠型のフレームに、所定サイズの網目を有する金網を取り付けてなる。この網体80は、前後方向ではフレーム74の前後中央よりもやや前方となる位置からフレーム74の後端部付近に至るまで、左右方向ではフレーム74の略同一の左右幅を有するように形成されている。網体80の前端位置は、キール76及びスクレーパ78が掻き上げた砂及びごみを良好に捕集可能とすべく、キール76の後端近傍、すなわち、スクレーパ78から後方に、100〜300mm程度離間する。より好ましくは、網体80の前端位置は、スクレーパ78から後方に250mm程度離間するのがよい。
【0041】
網体80は、上面視で、横長の長方形状をなす底壁部150と、底壁部150の後端から略垂直に立ち上がる後壁部152と、底壁部150の両側端から上側ほど左右外側に位置するようにやや傾斜して立ち上がる側壁部154とを有する。後壁部152及び側壁部154は、キール76及びスクレーパ78が掻き上げた砂及びごみを底壁部150上に収集可能とすべく、底壁部150の周囲を前方及び上方を開放して取り囲む囲い部156を形成する。この囲い部156は、開放口80aを形成する。網体80の後壁部152の高さと側壁部154との高さは略同一とされる。
【0042】
底壁部150は、やや前下がりに傾斜する底壁部150の前部に設けられる傾斜部150aと、傾斜部150aの後方且つ水平に設けられる前水平部150bと、前水平部150bの後方且つ水平に設けられる後水平部150cとを有する。この傾斜部150a、前水平部150b、及び後水平部150cは、パイプによって互いに区画されている。傾斜部150aには、網目サイズが25mmの金網が装着され、前水平部150bには、網目サイズが12mmの金網が装着され、後水平部150cには、網目サイズが8mmの金網が装着される。
【0043】
このように、底壁部150の金網の網目サイズを前側ほど荒く(大きく)設定することで、キール76及びスクレーパ78が掻き上げる砂の内、比較的重量のある湿気を含んだ砂は、底壁部150の後側まで至らない。したがって、底壁部150の前側の傾斜部150aにおける荒目の金網によって、目詰まりを起こすことなく良好にふるい落とされる。一方、比較的軽量の乾燥した砂は、ごみとともに底壁部150の前水平部150b又は後水平部150cまで至る。したがって、前水平部150bの中目の金網又は後水平部150cの細目の金網によって、砂がふるい落とされるとともに、ごみは金網から脱落することなく良好に捕集される。
【0044】
網体80の左側は、上述したようにフレーム74の左最外側の縦部材70にヒンジ122を介して回動自在に連結されている。この網体80の右側を上方に持ち上げるようにしてヒンジ122を介して網体80を回動させ、その底壁部150を略垂直に起立させた状態にすれば、網体80内に集めたごみが左側の側壁部154に落下し、左側の側壁部154沿いにごみが網体80外に排出される。
【0045】
囲い部156の開放側の先端辺のうち、左側の縦部材70側の先端辺、つまり、左側の側壁部154の開放側の先端辺154aを軸として回動可能な開閉板160が前記囲い部156に設けられている。
図8に示すように、開閉板160は、スプリング付き蝶番162によって、左側の側壁部154の開放側の先端辺154aを軸として、左側の側壁部154に設けられ、前方に開放された開放口80aの少なくとも一部を開閉する。開閉板160は、スプリング付き蝶番162のスプリングによって開放口80aを閉じるように付勢され、側壁部154に対して略垂直に固定される。なお、開閉板160を、底壁部150の開放側の先端に当接させることで、開閉板160が、側壁部154に対して略垂直に固定されてもよい。この開閉板160の高さは、囲い部156の高さと略同一である。
【0046】
左側の側壁部154の外側面には、固定棒164をスライド可能に支持するための支持部材166が設けられている。固定棒164には、固定棒164を前後方向にスライドさせるための操作子164aが設けられ、支持部材166には、操作子164aの移動を規制する規制通路166aが設けられている。この規制通路166aにしたがって操作子164aを移動させることで、固定棒164は、固定棒164の先端が側壁部154の先端辺154aに対して前方に突出した第1の位置(
図8に示す位置)と、第1の位置より後方に位置する第2の位置とに固定することができる。また、開閉板160の外側面には、固定棒164が挿入可能な孔168aを有する固定部材168が設けられている。
【0047】
開閉板160によって開放口80aを閉じる場合は、固定棒164を第1の位置から第2の位置に移動させることで、固定棒164が固定部材168の孔168aから抜け、スプリング付き蝶番162のスプリングによって開閉板160は閉じられる。また、開閉板160によって開放口80aを開く場合は、スプリング付き蝶番162の付勢力に抗して開閉板160を開く。そして、固定棒164を第2の位置から第1の位置に移動させながら、固定棒164を固定部材168の孔168aに挿入して、固定棒164を第1の位置で固定させる。この固定棒164及び固定部材168は、開閉板160が側壁部154と同方向を向くように、つまり、開閉板160の面が側壁部154の面と略平行となるように、前記スプリングの付勢力を規制するストッパー170を構成する。
【0048】
次に、上記ごみ分離機10を用いて砂浜を清掃する際の手順の概略を説明する。まず、
図1に示すようにトレーラ12に搭載して運搬したごみ回収ステーション36を砂浜上の所定位置に載置する。
図1においては、ごみ回収ステーション36を組み立てた状態でトレーラ12に搭載しているが、側部構造体50及び連結部材52に分割した状態で搭載するようにしてもよい。なお、
図1におけるごみ回収ステーション36においては、フート部材60のみが取り外されている。
【0049】
そして、砂浜の硬さや散在するごみの状況に応じて、前スキー脚102及び後スキー脚112の取り付け高さ、牽引部98への牽引ロッド100の連結位置を決定する。次いで、トレーラ12からごみ分離機10を降ろし、
図9に示すように、ごみ分離機10を牽引車14により牽引して砂浜上を一定速度(例えば、15〜25km/h)で走行させることで、砂浜上の比較的小さなごみを捕集する。
【0050】
すなわち、ごみ分離機10を砂浜上で走行させることで、比較的小さなごみが砂とともにキール76及びスクレーパ78により掻き上げられ、これらがフレーム74の後部の網体80内に収集される。このごみ分離機10の走行時には、ストッパー170により、開閉板160が側壁部154と同方向を向くように前記スプリングの付勢力が規制され、前方に開放された開放口80aが開かれている状態に設定する。
【0051】
ごみ分離機10が砂浜上を走行し、その網体80の中に所定量のごみが収集されると、ごみ分離機10が一旦ごみ回収ステーション36に戻り、収集したごみの回収作業が行われる。このごみの回収時には、ごみ回収ステーション36の側部構造体50間を牽引車14が通過した後に、ごみ分離機10が側部構造体50間に進入すると、その前後に設けられたリフトアーム120a、120bが側部構造体50に乗り上げてごみ分離機10が所定量リフトアップされる。この状態で、牽引車14を停止させることでごみ分離機10を停止させる。
【0052】
図7に示すように、ごみ分離機10がごみ回収ステーション36によって所定量リフトアップされた状態で、ごみ回収ステーション36の左隣りにごみ回収部180を配置する。このごみ回収部180は、上方が開放した箱部182と、箱部182に設けられた車輪184と、補助輪186とを有する。箱部182の底面には、図示しない回収用のごみ回収袋が取り付け可能な開口部182aが設けられる。また、ごみの回収時には、開閉板160が閉じるように、ストッパー170による前記スプリングの付勢力の規制を解除する
【0053】
そして、網体80を右側を持ち上げるようにヒンジ122を介して網体80を回動させ、その底壁部150を略垂直に起立させた状態にすることで、網体80内に集めたごみが左隣りに配置されたごみ回収部180の箱部182内に移動する。箱部182内に移動したごみは、開口部182aを通して下に落下し、開口部182aに設けられた前記ごみ回収袋内に投入される。
【0054】
このとき、開閉板160は、開放口80aの左側を閉じているので、底壁部150を略垂直に起立させた状態となるように網体80を回動させた状態でごみを回収しても、該開閉板160によって、網体80内のごみが前方側に移動することが規制される。したがって、網体80内のごみが囲い部156の前方からこぼれ落ちることを防ぐことができる。
【0055】
このように、囲い部156のうち、左側の側壁部154の開放側の先端辺154aを軸として回動可能な開閉板160を囲い部156に設けることで、開閉板160が前方に開放された開放口80aの少なくとも一部を開閉するので、ごみ回収時に開閉板160を閉じることで、網体80内のごみが囲い部156の前方からこぼれ落ちるのを防止することができる。したがって、こぼれたごみを拾い集める必要がなくなり、回収効率が一層向上し、工数が削減される。
【0056】
この開閉板160は、囲い部156にスプリング付き蝶番162によって取り付けられるので、開閉板160を簡易な構造で回動可能に取り付けることができる。また、開閉板160は、ごみの回収時に開放口80aを閉じるように前記スプリングによって付勢され、囲い部156に対して略直角に固定されるので、網体80内のごみが囲い部156の前方からこぼれ落ちるのを確実に防止することができる。
【0057】
走行時には、開閉板160が囲い部156と同方向を向くように前記スプリングの付勢力が規制されるので、ごみと砂を効率よく捕集することができる。また、開閉板160の高さは、囲い部156の高さと略同じであるので、回収時に網体80内のごみが囲い部156の前方からこぼれ落ちることを防止することができる。また、開閉板160を閉じたときに開閉板160が囲い部156から上方に突出することがなく外観性が向上する。