(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記2測定点による発電電力の変化を用いた太陽電池の出力電圧の目標値の設定は、異なる2動作点の電圧に対する発電電力の変化量の増減によって上記目標値を設定するものである請求項1に記載の太陽電池制御装置。
上記3測定点による発電電力の変化を用いた太陽電池の出力電圧の目標値の設定は、異なる2動作点の電圧に対する発電電力の変化量と、一方の動作点に出力電圧を一定期間保持した後の日射量の変化による発電電力の変化量とを用いて上記目標値を設定するものである請求項1または請求項2に記載の太陽電池制御装置。
上記3測定点による発電電力の変化を用いた太陽電池の出力電圧の目標値の設定は、第1の動作電圧と第2の動作電圧の発電電力を求め、一定期間後に上記第1の動作電圧の発電電力を再度求め、上記第1の動作電圧での発電電力の平均値と上記第2の動作電圧の発電電力の変化量とを用いて上記目標値を設定するものである請求項1または請求項2に記載の太陽電池制御装置。
太陽電池からの直流電力を電力変換装置で電力変換して負荷に供給する場合に、上記太陽電池が最大電力点で動作するように最適動作電圧を探索して追従制御する太陽電池制御方法であって、
上記太陽電池の出力電圧と出力電流をそれぞれ検出するとともに、それらの検出値に基づいて上記太陽電池の発電電力を演算するステップと、
上記太陽電池の出力電圧と出力電流の各検出値に基づいて日射量変化を検出するステップと、
上記日射量変化の検出結果に応じて、2測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値の設定と、3測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値の設定とを切り替えるステップと、
上記切り替え設定された出力電圧の目標値となるように上記電力変換装置を介して上記太陽電池の出力電圧を制御するステップと、
を含むことを特徴とする太陽電池制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る太陽電池制御装置の構成を示すブロック図、
図2は
図1の太陽電池制御装置が備える日射量変化検出手段の構成を示すブロック図である。
【0014】
この実施の形態1における太陽電池制御装置は、太陽光電力を発生させる太陽電池1からの直流電力を変換して負荷7に供給する電力変換装置6を備えるとともに、太陽電池1の出力電圧を検出する電圧検出装置2、太陽電池1の出力電流を検出する電流検出装置3、電力変換装置6を介して太陽電池1の出力電圧を制御する電圧制御手段5、この電圧制御手段5に対して太陽電池1の出力電圧の目標値V*を設定する電圧設定手段4、および電圧検出装置2と電流検出装置3の各検出値に基づいて日射量変化を検出する日射量変化検出手段8を有する。
【0015】
上記の電力変換装置6は、スイッチングデバイスを用いたDC/DCコンバータやDC/ACインバータなどが適用され、ゲートパルスのオン/オフデューティ比を変えることで太陽電池1の出力電圧や電力変換装置6の出力電圧、出力周波数などを変えることができる。
【0016】
電圧制御手段5は、例えば、電圧設定手段4からの出力電圧の目標値V*と電圧検出装置2が検出した出力電圧との差が零となるように制御するPI制御手段と、このPI制御手段からの出力に応じてゲート駆動用のパルスを生成するパルス生成手段(いずれも図示省略)などからなる。これにより、電力変換装置6のスイッチングデバイスのオン/オフのデューティを制御して、太陽電池1の出力電圧を制御する。
【0017】
電圧設定手段4は、電圧検出装置2および電流検出装置3の各検出値に基づいて太陽電池の出力電力を算出し、太陽電池1の出力電力が最大となる出力電圧の下で動作するように出力電圧の目標値V*を設定して電圧制御手段5に出力する。
【0018】
この場合の電圧設定手段4による出力電圧の目標値V*の設定には、後に詳述するように、2測定点の発電電力の変化を用いた設定と、3測定点の発電電力の変化を用いた設定とがある。電圧設定手段4は、日射量変化検出手段8による日射量変化の検出結果に応じて、上記の2測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値V*の設定と、3測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値V*の設定とを切り替えるようにしている。
【0019】
ここで、2測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値V*の設定と、3測定点の発電電力の変化を用いた出力電圧の目標値V*の設定の仕方について、次に説明する。
【0020】
先ず、電圧設定手段4において、2測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*を設定する方式として、異なる2動作点の電圧に対する発電電力の変化量の増減(正負)によって出力電圧の目標値V*を設定する、いわゆる山登り方式がある。以下、この山登り方式をアルゴリズム0という。
【0021】
また、電圧設定手段4において、3測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*を設定する方式として、ここでは2つの方式が挙げられる。
【0022】
第1は、異なる2動作点の電圧に対する発電電力の変化量と、一方の動作点に出力電圧を一定期間保持した後の日射量の変化による発電電力の変化量とを用いて出力電圧の目標値V*を設定する方式である。以下、この方式をアルゴリズム1という。
【0023】
第2は、第1の動作電圧V
Aと第2の動作電圧V
Bの発電電力を求め、それから一定期間後に第1の動作電圧V
Aの発電電力を再度求め、第1の動作電圧V
Aでの発電電力の平均値と第2の動作電圧V
Bの発電電力との間の変化量を用いて出力電圧の目標値V*を設定する方式である。以下、この方式をアルゴリズム2という。
【0024】
なお、このアルゴリズム2は、第1の動作電圧V
Aでの発電電力の平均値を用いることから、一種のローパスフィルタの役目を果たし、日射量変化が短周期で変動する場合でもその変動の影響を軽減して出力電圧の目標値V*を安定して設定できるという、アルゴリズム1に比べて有利な面がある。
【0025】
日射量変化検出手段8は、電圧検出装置2および電流検出装置3の各検出値に基づいて日射量変化値を算出することにより日射量変化を検出してその大小を判定し、その判定結果を電圧設定手段4に出力する。そして、電圧設定手段4は、この判定結果に応じて、上記のアルゴリズム0に基づく出力電圧の目標値V*の設定と、上記のアルゴリズム1またはアルゴリズム2に基づく出力電圧の目標値V*の設定とを切り替える。
【0026】
図2は、上記の日射量変化検出手段8の構成を示すブロック図である。
日射量変化検出手段8は、日射量変化値を算出する日射量変化値算出手段81と、この日射量変化値算出手段81で算出された日射量変化値を予め設定された判定値(固定値)P
TH0、P
TH1と比較して日射量変化の大小を判定する日射量変化判定手段82とからなる。
【0027】
日射量変化値算出手段81は、例えば電圧検出装置2で検出された電圧値および電流検出装置3で検出された電流値に基づいて発電電力値を求め、発電電力値の電圧微分値を電流値で正規化した値を日射量変化値dRとして求める。すなわち、日射量変化値算出手段81は、次の式(1)のようにして日射量変化値dRを求める。
【0029】
このように、電圧検出装置2および電流検出装置3により検出した太陽電池1の出力電圧、出力電流、および算出した発電電力から日射量変化値dRを算出するので、日射量変化を実時間で検出でき、日射量変化状況に見合った出力電圧の目標値V*の設定方法が選択できる。
【0030】
日射量変化判定手段82は、日射量変化値算出手段81で算出された日射量変化値dRを予め設定された2つの判定値(固定値)P
TH0、P
TH1と比較して日射量変化の大小を判定し、その判定結果を電圧設定手段4に出力する
【0031】
なお、日射量の変化に伴って太陽電池1の出力電流は大きく変化するので、日射量変化値算出手段81は、上記の式(1)を用いる代わりに、例えば電圧検出装置2で検出された電圧値と電流検出装置3で検出された電流値とに基づいて、電流値の電圧微分値を日射量変化値dRとして求めるようにすることもできる。すなわち、日射量変化値算出手段81は、次の式(2)のようにして日射量変化値dRを求めるものであってもよい。
【0033】
このように、式(2)に基づいて日射量変化値dRを算出する方法であっても、式(1)よりも簡便な方法で日射量変化を実時間で検出することができる。
【0034】
次に、電圧設定手段4において、上記のアルゴリズム0およびアルゴリズム1に基づいて出力電圧の目標値V*を決定する場合の処理動作について、
図3に示すフローチャート、
図4に示す電圧−電力特性図、および
図5に示すタイムチャートを参照して説明する。なお、ここでは説明の便宜上、時刻t0〜t2までは日射量の変化が大きく、時刻t2以降は日射量変化が少なく安定した状況の下でMPPT制御を行う場合を例示するが、この発明は必ずしもこのような場合に限られるものではない。
【0035】
太陽電池1が最大電力点で動作するように最適動作電圧を探索して追従制御するため、まず電圧設定手段4において、ある動作電圧V
0が設定される(ステップS1)。そして、この動作電圧V
0の下で、電圧検出装置2と電流検出装置3とにより太陽電池1の出力電圧V
0と出力電流I
0を検出し、検出した出力電圧V
0と出力電流I
0の積から太陽電池1の発電電力P
0を求める(ステップS2)。
【0036】
次に、現在の出力電圧V
0をV
step(例えば1V程度)だけ変化させた動作電圧V
1を設定する(ステップS3)。そして、この動作電圧V
1の下での出力電圧V
1および出力電流I
1を検出し、検出した出力電圧V
1と出力電流I
1の積から発電電力P
1を求める(ステップS4)。
【0037】
一方、日射量変化値算出手段81は、前記ステップS2またはステップS4で検出した出力電圧、出力電流および算出した発電電力から、前述の式(1)あるいは式(2)に基づいて日射量変化値dRを求める(ステップS5)。次いで、日射量変化判定手段82は、日射量変化値算出手段81で算出した日射量変化値dRと予め設定された2つの判定値P
TH0、P
TH1とを比較して、次の式(3)の関係が成り立つか否かを判定する(ステップS6)。
【0039】
式(3)が成り立つ場合、日射量変化判定手段82は、日射量変化が小さいと判定するので、これに応じて、電圧設定手段4は、アルゴリズム0に基づいて、2測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*の設定を行う。
【0040】
すなわち、ステップS2およびステップS4で検出した出力電圧および算出した発電電力から、出力電圧の変化量V
step(=V
1−V
0)に対する出力電力の電力変化量dP(=P
1−P
0)の増減を示すdPdV値を、次の式(4)のようにして求める(ステップS7)。
【0042】
次に、上記式(4)で得られたdPdV値について、dPdV<0であるかを判断し(ステップS8)、そうであれば、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=−dVとし(ステップS9)、また、dPdV≧0である場合には、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=+dVとし(ステップS10)、V
1の値をV
0へ代入し、P
1の値をP
0へ代入する(ステップS11)。したがって、V
1の値に変更されたV
0が出力電圧の新たな目標値V*として設定されたことになる。そして、ステップS3に戻り、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0043】
一方、ステップS6において、式(3)が成り立たない場合には、日射量変化判定手段82は、日射量変化が大きいと判定するので、これに応じて、電圧設定手段4は、アルゴリズム1に基づいて、3測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*の設定を行う。
【0044】
すなわち、日射量変化による電力変化を推測するため、ステップS4で設定した電圧V
1を変化させずに一定期間(例えば0.1秒〜1秒程度)が経過した後の日射量変化による出力電圧V
1および出力電流I
2を検出し、検出した出力電圧V
1と出力電流I
2の積から発電電力P
2を求める(ステップS12)。そして、この場合の日射量変化に伴う電力変化量dP(=P
2−P
1)を算出する(ステップS13)。
【0045】
次に、ステップS2で算出した発電電力P
0をdPで補正した発電電力P
0’(=P
0+dP)を求める(ステップS14)。これは、最初の出力電圧V
0の下で、日射量変化を考慮した発電電力を決定することに相当する。続いて、ステップS4で検出した出力電圧V
1および算出した発電電力P
1、およびステップS14で算出した補正した発電電力P
0’を用いて、dPdV値を前述の式(4)を用いて、dPdV=(P
1−P
0’)/(V
1−V
0)として求める(ステップS15)。
【0046】
この時点で太陽電池1の発電電力はP
0からP
2に移行しているので、次に出力電圧の目標値V*を変化させる方向を決定する上で、ステップ12で求めた発電電力P
2の値をP
1へ代入した後(ステップS16)、ステップS8へ進みステップS8以降の処理を続ける。したがって、この場合も、ステップS11において、V
1の値に変更されたV
0が出力電圧の新たな目標値V*として設定されたことになる。
【0047】
図5において、日射量が大きく変化している時刻t0〜時刻t2まではアルゴリズム1に基づいてMPPT制御を行うので、出力電圧の目標値V*を順次段階的に設定する場合の各段階での設定周期がアルゴリズム0の場合よりも長くなるが、日射量の変化が小さくなって安定した時刻t2以降は、アルゴリズム0に基づいてMPPT制御を行うので、出力電圧の目標値V*の各段階での設定周期が短縮される。
【0048】
このように、日射量の変化が大きい状態から小さく安定した状態に遷移する場合に、アルゴリズム1からアルゴリズム0に切り替えてMPPT制御を行うので、アルゴリズム0のみで出力電圧の目標値V*の設定を行う場合の日射量変化に起因した誤動作を防止しつつ、アルゴリズム1のみで出力電圧の目標値V*の設定を行う場合に比べて、MPPT制御を行う場合の追従応答性能を向上させることが可能となる。
【0049】
次に、電圧設定手段4において、上記のアルゴリズム0およびアルゴリズム2に基づいて出力電圧の目標値V*を決定する場合の処理動作について、
図6に示すフローチャート、
図7に示す電圧−電力特性図、および
図8に示すタイムチャートを参照して説明する。なお、ここでは説明の便宜上、時刻t0〜t2までは日射量の変化が大きく、時刻t2以降は日射量変化が少なく安定した状況の下でMPPT制御を行う場合を例示するが、この発明は必ずしもこのような場合に限られるものではない。
【0050】
太陽電池1が最大電力点で動作するように最適動作電圧を探索して追従制御するため、まず電圧設定手段4において、動作電圧V
0が第1の設定電圧V
Aに設定される(ステップS1)。そして、この動作電圧V
0(=V
A)の下で、電圧検出装置2と電流検出装置3とにより太陽電池1の出力電圧V
0と出力電流I
0を検出し、検出した出力電圧V
0と出力電流I
0の積から太陽電池1の発電電力P
0を求める(ステップS2)。
【0051】
次に、現在の出力電圧V
0をV
step(例えば1V程度)だけ変化させた動作電圧V
1を第2の動作電圧V
Bとして設定する(ステップS3)。そして、この動作電圧V
1(=V
B)下での出力電圧V
1および出力電流I
1を検出し、検出した出力電圧V
1と出力電流I
1の積から発電電力P
1を求める(ステップS4)。
【0052】
日射量変化値算出手段81は、前記ステップS2またはステップS4で検出した出力電圧、出力電流および算出した発電電力から、前述の式(1)あるいは式(2)に基づいて日射量変化値dRを求める(ステップS5)。次いで、日射量変化判定手段82は、日射量変化値算出手段81で算出した日射量変化値dRと予め設定された2つの判定値P
TH0、P
TH1とを比較して、前述の式(3)の関係が成り立つか否かを判定する(ステップS6)。
【0053】
式(3)が成り立つ場合、日射量変化判定手段82は、日射量変化が小さいと判定するので、これに応じて、電圧設定手段4は、アルゴリズム0に基づいて、2測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*の設定を行う。
【0054】
すなわち、ステップS2およびステップS4で検出した出力電圧および算出した発電電力から、出力電圧の変化量V
step(=V
1−V
0)に対する出力電力の電力変化量dP(=P
1−P
0)の増減を示すdPdV値を、前述の式(4)に基づいて求める(ステップS7)。
【0055】
次に、上記式(4)で得られたdPdV値について、dPdV<0であるかを判断し(ステップS8)、そうであれば、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=−dVとし(ステップS9)、また、dPdV≧0である場合には、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=+dVとし(ステップS10)、V
1の値をV
0へ代入し、P
1の値をP
0へ代入する(ステップS11)。
【0056】
そして、第1の設定電圧V
Aおよび第2の設定電圧V
BをV
step分だけ変化させる(ステップS20)。したがって、変更後の第1の設定電圧V
Aが出力電圧の新たな目標値V*として設定されたことになる。そして、ステップS3に戻り、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、ステップS6において、式(3)が成り立たない場合には、日射量変化判定手段82は、日射量変化が大きいと判定するので、これに応じて、電圧設定手段4は、アルゴリズム2に基づいて、3測定点による発電電力を用いた出力電圧の目標値V*の設定を行う。
【0058】
すなわち、日射量変化による電力変化を推測するため、次の動作電圧として先のステップS2で設定した第1の設定電圧V
A(=V
0)に設定し(ステップ31)、この第1の設定電圧V
A(=V
0)の下で、一定期間(例えば0.1秒〜1秒程度)が経過した後の出力電圧V
0と出力電流I
2を検出し、検出した出力電圧V
0と出力電流I
2の積から発電電力P
2を求める(ステップS32)。
【0059】
次に、第2の設定電圧V
Bの下での発電電力PBとして、先のステップ4で求めた発電電力P
1を代入する(ステップS33)。また、第1の設定電圧V
Aの下での発電電力P
Aとして、先のステップS2で求めた発電電力P
0とステップS32で求めた発電電力P
2の平均値(=(P
2+P
0)/2)を求める(ステップS34)。これは、第1の出力電圧V
Aの下で、日射量変化を考慮した発電電力P
Aを決定することに相当する。
【0060】
続いて、第1の設定電圧V
Aと第2の設定電圧V
B間の日射量変化に伴う電力変化量dP(=P
B−P
A)を算出する(ステップS35)。次に、上記のdP値について、dP>0であるかを判断し(ステップS36)、そうであれば、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=−dVとし(ステップS37)、また、dP≦0である場合には、次回の出力電圧の変化方向および変化幅をV
step=+dVとする(ステップS38)。
【0061】
そして、第1の設定電圧V
Aおよび第2の設定電圧V
BをV
step分だけ変化させる(ステップS39)。したがって、変更後の第1の設定電圧V
Aが出力電圧の新たな目標値V*として設定されたことになる。そして、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0062】
図8において、日射量が大きく変化している時刻t0〜時刻t2まではアルゴリズム2に基づいてMPPT制御を行うので、出力電圧の目標値V*を順次段階的に設定する場合の各段階での設定周期がアルゴリズム0の場合よりも長くなるが、日射量が小さくなって安定した時刻t2以降は、アルゴリズム0に基づいてMPPT制御を行うので、出力電圧の目標値V*の各段階での設定周期が短縮される。
【0063】
このように、日射量の変化が大きい状態から小さく安定した状態に遷移する場合に、アルゴリズム2からアルゴリズム0に切り替えてMPPT制御を行うので、アルゴリズム0のみで出力電圧の目標値V*の設定を行う場合の日射量変化に起因した誤動作を防止しつつ、アルゴリズム2のみで出力電圧の目標値V*の設定を行う場合に比べて、MPPT制御を行う場合の追従応答性能を向上させることが可能となる。
【0064】
なお、この実施の形態1における日射量変化検出手段8は、
図2に示した構成のものに限らず、例えば
図9に示すような構成のものであってもよい。
【0065】
すなわち、
図9に示す構成の日射量変化検出手段8は、
図2に示した日射量変化値算出手段81と日射量変化判定手段82とに加えて、電圧検出装置2と電流検出装置3の各検出値、およびこれらの各検出値から算出される出力電力に基づいて判定値を設定する判定値設定手段83を備えている。
【0066】
この場合の判定値設定手段83は、例えば
図10に示すように、日射量が小さい場合の太陽電池1の出力電圧−出力電力特性において、出力電圧が零ボルト近傍の2測定点間の電圧変化ΔVに伴う発電電力の変化を一方の判定値P
TH0として、また、太陽電池1の開放電圧近傍の2測定点間の電圧変化ΔVに伴う発電電力の変化を他方の判定値P
TH1として、算出するものである。
【0067】
このように、太陽電池1の特性から判定値P
TH0、P
TH1を算出して設定するようにすれば、個々の太陽電池1の特性を事前に調べて人手で各判定値を設定する場合に比べ、太陽電池1の特性に適合した判定値を自動的に設定することができるので都合が良い。
【0068】
そして、日射量変化判定手段82は、日射量変化値算出手段81で算出される日射量変化値dRと判定値設定手段83により設定された判定値P
TH0、P
TH1とを比較して前述の式(3)が成り立つか否かを判定する。
【0069】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2に係る太陽電池制御装置の構成を示すブロック図であり、
図1に示した実施の形態1と同様もしくは相当する構成部分には同じ符号を付す。
【0070】
この実施の形態2の特徴は、実施の形態1の日射量変化検出手段8に代えて、太陽電池特性テーブル9を備えていることである。
【0071】
この太陽電池特性テーブル9は、電圧検出装置2および電流検出装置3の各検出値の組み合わせに対応した日射量変化値dRの関係が予め設定されている。すなわち、電圧検出装置2と電流検出装置3でそれぞれ検出された出力電圧、出力電流、およびこれらの出力電圧と出力電流から算出される発電電力に基づいて、前述の式(1)あるいは式(2)で得られるdRの値が予め登録されている。そして、電圧検出装置2および電流検出装置3の各検出値が入力されると、太陽電池特性テーブル9からは、これらの各検出値の組み合わせに対応した日射量変化値dRが読み出されて電圧設定手段4に与えられるようになっている。
【0072】
したがって、この実施の形態2における太陽電池制御装置の処理フローは、
図3あるいは
図6に示したフローチャートと同等のものであるが、
図3あるいは
図6のステップS2およびステップS4で検出した出力電圧、出力電流およびこれらの検出値から算出される発電電力が決定されると、それらの値の組み合わせに基づいて、太陽電池特性テーブル9を用いて日射量変化値dRが求められる。
【0073】
このように、この実施の形態2によれば、太陽電池特性テーブル9を用いて日射量変化値dRが決定されるので、出力電圧および出力電流より日射量変化値dRを式(1)あるいは式(2)を用いて計算する必要がない。このため、日射量変化値dRの決定を迅速に行うことができる。
その他の構成、および作用効果は実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0074】
なお、この発明は、上記の実施の形態1、2の構成のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、各構成に変形を加えたり、構成を一部省略したり、さらに、各実施の形態1、2を組み合わせた構成とすることが可能である。