(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
商業建造物におけるエネルギー消費は、建造物の経営及び維持のためのコストの非常に費用のかかる構成要素である。例えば、商業建造物は、建造物の耐用年数にわたって最大で建造のための初期費用の二倍以上に及ぶことが多い、高価な空調及び暖房の需要を有する。エネルギー消費を低減する長年にわたる試みの結果として、短期間では回収されない、建造コストの大幅な増大が加わるようになってしまった。
【0004】
今日の米国における通常の商業建造物冷暖房システムは可変風量(VAV)システムであり、一般的に構築されるこのシステムは持続可能なエネルギー源を利用することができない。米国において建造物は使用されるエネルギーの40%を示しており、ほぼ全体が、高価であり環境を損傷する化石燃料によって賄われている。これらのHVACシステムをエネルギー非効率、不健康、不快なものにするとともに新たな技術の採用に対する障壁をなしている多数の問題がある。これらの問題は以下を含む:
・建造コストに対する圧力が、所有者が、安価な無駄の多いHVACシステムを購入することによって前支出を低く抑えるようにさせている
・必要とされる場所へと移動して後に使用するために貯蔵するのではなく、冷却機などを通じて廃棄される過剰なエネルギーを無駄にすること
・断熱が不十分であるために壁を通じて高いエネルギーが移動している−従来のシステムにおいては天井はソリューションの一部ではないが、本発明においてはエネルギー貯蔵デバイスになる可能性がある
・建造物質量を一定の温度に保持するのではなく、絶えず再加熱及び再冷却している
・建造物の建て過ぎにより、非効率なシステムがさらに小さくされている可能性がある
・局所エネルギー(例えば、太陽光、体熱など)を使用することができない
・暖房システムが最も効率が低いときに建造物を暖房しており、同様に冷房システムが最も効率が低いときに冷房している−エネルギーを貯蔵することによって、これを逆に効率を増大させるようにすることができる
・地熱システムは、一般的により建造コストがかかり、それらの機能は効率を最大化するように設計されておらず、これにより、これらのシステムの使用を縮小している
【0005】
現在開発されている、急速に変化している代替エネルギー技術は、その技術の機能を実行するためにサイロ内で作成されおり、特別のインテグレーションなしには一体となって作動しない。これらは信頼できないか又は失敗であると分かることが多い。革新的なソリューションを研究及び統合するためのリソースを有するエンジニアリング会社は少なく、結果としてそれらを顧客の建造物内に共通に設計していない。これが、Willis Carrierが鉄道車両のための標準冷却装置について特許取得した、
特許文献1に記載されているCarrier標準A/C装置以前の空調装置が建造された経緯である。規格品はコストを下げ、市場を拡大するとはいえ、特注建造プロセスは非常に高価であり、市場使用を制限する。
【0006】
局所的に利用可能なエネルギー(例えば、体熱、照明発熱、コンピュータの熱、太陽熱、太陽光発電、地熱など)が多大に存在することは分かっているが、米国は局所エネルギー採取(すなわち、代替又は再生可能エネルギー)相当量の使用を採用することに失敗している。米国エネルギー省によれば、2009年9月において、代替エネルギーが米国において使用されているエネルギーに占める割合は1%に満たない。局所エネルギー採取を使用するために、建造物は種々のタイプのエネルギーの可用性を検知するとともに、そのエネルギーを必要とされる場所に輸送することが可能なシステムを有しなければならない。
【0007】
このデバイスをコスト効率的にするためには、これが従来のHVACシステムに比肩するコストにおいて無理なく導入できるほど十分に安価に製造されなければならない。さらに、代替エネルギー設備を無理なく導入できるようにするために、これは、使用を試みる間欠的なエネルギー源(例えば、日が沈む、人々が建造物から出ていく、照明が落ちる、など)よりも長い動作範囲(すなわちエネルギー貯蔵の使用)を有しなければならない。この間欠的な可用性は、熱エネルギーを貯蔵することによって拡大されることができ、これにより、エネルギー採取設備においてなされる投資に対する収益率を増大させる。
【0008】
それゆえ、エネルギー検知、採取、貯蔵、輸送及び制御を、複数の供給源を複数の使用に接続することが可能な単一のシステムとして設計することによって、代替エネルギーを効率的に活用することが可能になり、HVAC設備に関する現行の市場コストしきい値において無理なく導入できるようにするために必要とされる設備における投資収益率が増大する。
【0009】
地熱ヒート・ポンプ/熱交換器のコスト及び問題
一般的な地熱ヒート・ポンプ熱交換器は、垂直閉ループ、水平閉ループ、「地中」ループ、貯水池ループ、熱パイルなどを含むさまざまな構成として提供されているが、一般的にシステムに適用されるとき、これらの構成は以下の特性を有する:
1.単一の流体回路が適用される(例えば、垂直ループは水平ループと組み合わされない)
2.単一の流体回路内の流体は混合されて一定の温度ですべての加熱/冷却デバイスに送達される。これは、Ross
による仮出願を優先権主張して発行された
特許文献2及び
特許文献3の事例に当たり
、流体をともに混合する両方のデバイスマニホルドすべての地熱
ボアを開示しています。この温度の混合が、流体と末端の熱伝達デバイスとの間の温度差の低減の結果として、その熱を伝達する能力を弱めてしまう。温度差が大きいほど、熱伝達も大きくなり、逆に温度差が小さいことは、熱伝達が小さいことを意味する。
【0010】
現行の地熱交換器設計は、放射冷房パネル及びチルドビームのような顕熱冷却デバイスをサポートするための冷却水を提供するのに最適化されていない。そうではなく、それらはより高い温度の水とより低い温度の水をともに混合し、これによって、これらのデバイスによる顕熱冷却を提供するための能力が低減する。加えて、現行の地熱交換器設計は、さまざまな熱交換器構成を混合/組み合わせることによって、後に使用するためにエネルギーを貯蔵する能力を最大化するようには構成されていない。
【0011】
従来技術は、効率的なときに太陽電池パネルと地熱システムとを組合せでのみ使用する、地熱システムを太陽温水パネル、並びに、センサ、回路、及びコントローラから構成されるシステムと組み合わせる、Nishmanの
特許文献4のような、複数のタイプの代替的なHVAC設備から構成される組合せを含む。Nishmanの特許請求項は、(経時的なシステム全体の効率を向上させるのではなく)2つのデバイスのリアルタイム(のみ)の効率に基づいて2つの供給源が単純にオン又はオフにされるシステムのためのものである。本発明は、システム全体を最適化するために各供給源を可変レベルにおいて使用することを可能にするために両方の供給源が個々に制御されることによって、Nishmanの上を行くものである。
【0012】
Rossの
特許文献2及び
特許文献3は、地熱ループが互いに並列に配管されることを可能にする地熱マニホルドを提示している。この方法は、ループが異なる使用のために分離されることを可能にせず、すべての入力及びすべての出力を組み合わせて2パイプ(一方が入力、一方が出力)システムにする。本明細書に伴う本発明は、使用するのに最良のループ(複数の場合もあり)の自動選択を使用し、複数のループを異なるモードにおいて同時に使用することができ、種々のタイプのループを同時に使用するか、又はループ流体を効率のために望まれるように混合することができる。Rossとは異なり、本発明は、効率的に同時に暖房及び冷房する能力を有する。本発明は、ヒート・ポンプを介して、又は同時に専用高温熱エネルギー貯蔵部及び専用低温熱エネルギー貯蔵部から直接これを達成することができる。
【0013】
O’Connellに対して1982年11月23日に発行された
特許文献5は、別個にポンピングされる複数の地熱ループを有するシステムを教示している。このシステムは依然として、すべての地熱流体を、1つの流入口及び1つの出力のみを有する単一の流体回路(配管された)システムに組み合わせるか、又は混合している。これは、複数温度の流体が同時に使用されること、エネルギー効率を向上させる機能を可能にしない。
【0014】
Dosaniに1999年8月10日に発行された特許文献6は、熱エネルギー貯蔵装置/熱スラブに関する充填負荷及び時間を予測するための方法及びコントローラを記載している。Dosaniとは異なり、本発明は従来技術の上を行く。熱エネルギー貯蔵のこの予測及び知識は有用であるが、本明細書において本発明がカバーするような、建造物負荷予測、オンピーク/オフピーク電気料金体系、並びに供給源及びシンクの制御と組み合わされるときにのみ十分に利用される。
【0015】
1998年7月14日にDreesに発行された「熱貯蔵システム・コントローラ及びその制御方法(Thermal storage system controller and method)」と題する
特許文献7は、ピーク時料金体系を有する使用料金を教示しており、これは、本発明が行っているような、システム・サイズの低減、及び持続可能なエネルギーの可用性の増大のための熱貯蔵を伴っていない。Dreesは、使用料金体系のデータ構造を伴っており、熱貯蔵使用対熱貯蔵なしの相対的なコスト効率を求めており、熱貯蔵容量のどれだけを使用することができるかも求めている。これは、熱容量及びDosaniが行っている充填/放出率予測/測定をカバーしていない。これらの入力を組み合わせていないため、これは最も効率的なエネルギー使用ソリューションに達していない。本発明は、最も効率的なエネルギー・システムを作成するために追加の機能性を有しない。本発明は、熱貯蔵パフォーマンスを、システムが適切にサイジングされ、オーバー・サイズで効率の劣るHVACシステムにおける原価資本を無駄にしないことを可能にする、他の因数の行列とともに予測することによって効率節約を増大させるためのシステム設計機能をも含む。
【0016】
従来技術に伴う上記の問題に対する解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の第1の目的は、建造物、又は一群の建造物が建造物エネルギー需要をより効率的に満足するために、自動リアルタイム及び将来のエネルギー需要の予測を含むが、これには限定されない、建造物のHVACシステムに必要とされる方法及びデバイスを組み込む、単純に実装される、多機能の、工場生産の、自己完結の(供給源/シンク/貯蔵装置及び配管とは別個の)、完全一体型の自動冷暖房システムのためのシステム、方法及びデバイスを提供することである。このエネルギー管理能力は、建造物エネルギー・システムの設計及び構造を単純にしながら建造物冷暖房システムの効率を増大させるために、エネルギー検知、負荷予測、採取、貯蔵、管理及び輸送の自動機能性を有するデバイスを使用する。このシステムは、現在利用可能な代替形態よりも必要とされる特注のエンジニアリングがはるかに少なく、必要とされる現場での構築時間が短く、複雑度が低い。
【0019】
本発明の第2の目的は、コンピュータ技術を、シンクを使用するエネルギー源の保管に適合させ、コンピュータ技術を熱交換器、冷媒、センサ、モータ、ポンプ、バルブ、及び、複数の局所供給源からエネルギーを採取するのに必要とされるエネルギー収集デバイスの制御に適合させるためのシステム、方法及びデバイスを提供することである。
【0020】
本発明の第3の目的は、エネルギーを、それが生成される場所からそれが必要とされる場所まで、多くの複雑度を構築プロセスに導入することなく効率的に輸送するためのシステム、方法及びデバイスを提供することである。これは、実装例に対して容易にカスタマイズされることを可能にする、システムのためのスクリーンを設定することを含む。
【0021】
本発明の第4の目的は、エネルギーの輸送及び交換を制御するための方法及びデバイスを含む、機械制御式及びコンピュータ制御式の流体混合決定・温度制御システム並びに相互接続機能性のためのシステム、方法及びデバイスを提供することである。この機能性は、共通及び非共通のエネルギー源を、そのエネルギーをより効率的に使用するために、混合及び使用するために必要とされる選択、相互接続及びスイッチングを容易にする。上記機能性は、上記供給源を使用するために、及び、その供給源が混合されることを可能にしてエネルギー採取の効率を向上させるために、複数の出力に接続される複数の入力を使用するために、並びに、エネルギー相乗効果の大幅な増大を提供するために必要とされる、太陽熱収集器、地熱、エネルギー回収ユニット、燃料電池及び他のエネルギー源を含む共通及び非共通のデバイスの選択、スイッチング、及び相互接続も容易にする。
【0022】
本発明の第5の目的は、種々の種類のループを、他のループが同時に放出されている一方でそのループのいくつかに熱エネルギーを充填するために、及び、ループ内にエネルギーを貯蔵するために単一の実装例に混合する能力を採用し、インテリジェンス及びシステムの制御を、任意の形態の閉ループ地熱ヒート・ポンプ・システムに取り付けられることができる規格品に組み込む、次世代地熱交換器を提供するための完全一体型の自動システム、方法及びデバイスを提供することである。この地熱交換器は、エネルギー・シャーシ・デバイスに対する任意選択の追加(すなわち、コンピュータ、ソフトウェア、ヒート・ポンプ、循環ポンプ及び可変速度駆動部のような冷媒ベースの熱伝達デバイス、相互接続配管、センサ及び制御デバイス、それらに加えて、電気及びHVACシステムを管理及び制御するのに必要とされる電気接続、インバータ、スイッチ、ヒューズ及び配線などを含む、集中暖房、冷房、及びエネルギー管理システム全体)として、又は、均等な機能性を有する地熱システムを実装するのに必要とされる特注のエンジニアリング、消費時間及び構築複雑度を大幅に低減するためのスタンドアロン構成において使用されることができる。
【0023】
本発明の第6の目的は、新規のコンピュータ技術、センサ及び制御技術、高度な暖房及び冷房コンセプトを使用する次世代地熱交換器、並びに、システムの設置コストを維持又は低減しながら地熱システムのパフォーマンスを向上させる技術の組合せ及び一体化のために、インテリジェンス及び制御プラットフォームを規格品にパッケージする能力を提供するシステム、方法及びデバイスを提供することである。
【0024】
本発明の第7の目的は、エネルギーを消費するコンプレッサの支援なしに冷却負荷全体の約60%から80%までにわたって建造物顕熱冷却を可能性として実行することができるとともに、建造物エネルギー・システム全体の構成要素として、又は独立型デバイス/ユニットとして使用されることができる次世代地熱交換器を提供するためのシステム、方法、及びデバイスを提供することである。
【0025】
本発明の第8の目的は、相変化物質/氷貯蔵部、冷水貯蔵部、相変化物質/温水貯蔵部などのような他の熱貯蔵部と組み合わされることもできる埋め込み温水循環配管を介した建造物の基礎構造(構造)内のエネルギー貯蔵部に加えて、さまざまな形態の地熱交換器構成を利用して、ハイブリッド構成における(すなわち、同じシステムにおいて複数のタイプの供給源/シンクを組み合わせる)、管理及び測定される短期間及び長期間の熱エネルギー貯蔵のためのシステム、方法、及びデバイスを提供することである。本発明は、当該技術分野において既知であるすべての熱エネルギー貯蔵、及び任意の将来のエネルギー貯蔵を組み込むことを可能にする。熱エネルギー貯蔵を使用することによって、環境から採取されるエネルギーが時間シフトされ、そのため、これは元々の供給源が利用可能でないとき(例えば、日が落ちている、排熱が生成されていない、人々が建造物を出ている、など)に使用されることができる。これは複数のエネルギー源が融合されることを可能にし、それによって、全負荷要件を満足するために実装するには1つの供給源では不十分であるか、又は費用がかかりすぎるときに、貯留層内で各供給源を利用可能にするシステム全体を建造するために必要とされる資本量を低減するために、複数の供給源が使用されることができ、それによって、これは、計画されるシステム需要及び最適化計算に従って信頼可能に使用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の実施例は、冷暖房システム内の貯蔵部を含む、複数の異なる熱エネルギー源及び
熱シンクの最適使用を決定するための方法を提供する。ステップは、システムによって抽出又は利用されるために利用可能である熱
エネルギー源のうちの1つ又は複数内に貯蔵される熱エネルギーを求めることと、システムによって利用されるために利用可能である1つ又は複数の熱シンクの熱エネルギー
貯蔵容量を求めることと、1つ又は複数の熱
エネルギー源、
熱シンク及び貯蔵部に関する熱エネルギー貯蔵及び散逸率を求めることと、
予め選択された期間にわたる熱貯蔵容量を分析することと、貯蔵期間にわたる熱エネルギー損失及び利得並びに熱保持率を予測することと、利用可能な熱
エネルギー源を目標パラメータと比較することと、熱
エネルギー源及び
熱シンクのうちの少なくとも1つを選択することと、選択された少なくとも1つの熱
エネルギー源及び
熱シンクの使用を開始することとを含む。
【0027】
第2の実施例は、複数の異なる独立地熱流体源及びシンク、並びに、複数の異なる地熱流体源及びシンクが、高温、低温、又は他の温度の流体の供給源又はシンクとして使用するために、独立供給源及びシンクとして同時に使用されることを可能にするために独立して回路構成及びグループ化される複数の地熱交換器流体回路を含む地熱交換器システムを提供する。独立地熱流体源のうちの1つ又は複数は、地熱貯蔵部としての使用専用にすることができ、地熱貯蔵部は、所定の期間にわたってエネルギーを貯蔵するように設計される。複数の独立地熱流体源のうちの1つ又は複数は、高温又は低温のループとして、パフォーマンスを最適化するために構成されることができ、複数の独立地熱流体源の各々に対する流体の流れは、使用及び混合のためにコンピュータ・コントローラによって制御されるために独立して接続される。一実施例では、地熱交換器は、事前選択される使用のために、選択される複数の独立地熱流体源のうちの1つ又は複数と接続される。
【0028】
本発明の第3の実施例は、建造物、共同体、又はキャンパスにおける空調、暖房、換気、電気、又はそれらの任意の組合せの処理及び輸送のためのプレハブ中央エネルギー・プラントを提供する。エネルギー・プラントは、熱流体及び電気エネルギーの複数の供給源及びシンクのための複数の接続と、各々が独立した流体温度を有する複数の独立流体ラインと、流体の移動及び混合を制御するための、複数の独立流体ラインのうちの少なくとも1つに接続される、コンピュータ制御式バルブ及びポンプと、温度、流量、エネルギー伝達率及び総エネルギー伝達のうちの少なくとも1つを検知するための、少なくとも1つのコンピュータ一体型センサとを含む。エネルギー・プラントは、所定の貯蔵継続時間にわたる熱貯蔵のための、高温流体、低温流体及び事前選択の温度の流体のうちの1つ又は複数に専用のハイブリッド流体シンクのうちの少なくとも1つ及びハイブリッド流体源のうちの1つ又は複数をも含むことができる。エネルギー・プラントは、複数の流体源及びシンクのうちの少なくとも1つに接続されるヒート・ポンプと、ヒート・ポンプと複数の流体源及びシンクのうちの少なくとも1つとの間に接続される制御バルブと、ヒート・ポンプと複数の流体源及びシンクのうちの少なくとも1つとの間に接続されるセンサと、複数の流体源及びシンクのうちの少なくとも1つからの流体をヒート・ポンプに圧送するように接続されるポンプとをも含むことができ、別個の供給及び戻りラインを有する二端分配多岐管であって、温流体を当該二端分配多岐管の一方の端部に向け、温流体よりも冷たい冷流体を他方の端部に向ける、二端分配多岐管を含むことができる。
【0029】
エネルギー・プラントは、組立て滑材又はモジュール輸送可能ユニットのうちの1つ又は複数を含むこともでき、プレハブ中央エネルギー・プラントは拡大縮小可能であり、プレハブ中央エネルギー・プラントは、第2のモジュール輸送可能ユニット、内部温水源、追加の加熱ユニット、追加の冷却ユニット、追加の熱エネルギー貯蔵ユニット、追加のセンサ、追加のポンプ、追加のバルブなどのうちの少なくとも1つを追加することによって拡張可能であることができる。
【0030】
コンピュータシステムに関して、エネルギー・プラントは、使用量に基づく冷暖房供給の計量及び請求書作成のためのアルゴリズムと、複数の流体源及びシンクのうちの1つ又は複数へ、及びそれらから、並びに複数の電源のうちの1つ又は複数へ、及びそれらから流体を制御可能に混合及び移動するためにコンピュータによって実行される人工知能ソフトウェアと、構成及び設定のための統合ソフトウェアと、パフォーマンス・データを追跡するとともに設計者及び建造物経営者と共有するためのソフトウェア及びインターネット又はLAN接続と、のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0031】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付の図面において概略的に示されている好ましい実施例の以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の開示されている実施例を詳細に説明する前に、本発明は他の実施例が可能であるため、本発明は示されている特定の構成の詳細へのその適用には限定されないことを理解されたい。さらに、本明細書において使用されている専門用語は説明を目的とするものであり、限定ではない。
【0034】
以下は構成要素を特定するために明細書及び図面において使用されている参照符号のリストである。
【0035】
以下は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲全体を通じて使用される専門用語に対する定義のリストである。
冷涼度(Coolth):「冷たい(cool)」の名詞形、温暖度の対義語。
エネルギー需要:温度、湿度、空気質、及び電気に関する建造物設定点を変更するためのユーザによって動かされる要件。
エネルギーシンク、別称シンク:熱的に接触している物体からエネルギーを吸収することが可能な環境。シンクは熱を蓄積、又は消散させるために使用されることができる。シンクは、特定の条件下で、熱又は冷涼度エネルギーの貯蔵のための貯留層になることができ、エネルギーはその後要求に応じて使用するために抽出されることができる。
損益分岐期日:エネルギー節約、税制上の優遇措置などによって装置が償却されるまでの年数
冷涼度エネルギーは時として、熱のようなエネルギーの形態としての冷却を説明するために言語上の便宜として使用される(これは一般的に使用されているが、冷たいということは熱エネルギーを欠いているということであるため、技術的には正確でない)。
エネルギー・シャーシ・デバイス:コンピュータ、ソフトウェア、ヒート・ポンプ、循環ポンプ及び可変速度駆動部のような冷媒ベースの熱伝達デバイス、相互接続配管、センサ及び制御デバイス、それらに加えて、電気及びHVACシステムを管理及び制御するのに必要とされる電気接続、インバータ、スイッチ、ヒューズ及び配線などを含む、集中暖房、冷房及びエネルギー管理システム全体。
エネルギー交換デバイス:検知、独立したルーティング、エネルギー源及び使用の選択を管理するシステムであって、システムを管理及び操作するためのコンピュータ、ソフトウェア、循環ポンプ及び可変速度駆動部、相互接続配管、電気接続、インバータ、スイッチ、ヒューズ、配線、センサ及び制御デバイスなどを含む、システム。
エネルギー源:デバイス、又はエネルギーを抽出することができる物質。エネルギーは冷涼度、熱エネルギー、又は電気を含む任意のタイプのものであることができる。
設備仕様:応答時間、BTU又は/TON能力、精度差、効率、制御可能性、流量、エネルギー流量、電力使用量(用力)、残差生成、冷却メカニズム及び有効性など。
ハイブリッド供給源/シンク:同じシステム内の複数のタイプの供給源/シンクの組合せ、例えば、地中ループ水平地熱
ボア地帯としての同じシステム内の垂直ボア地熱地帯、又は閉ループ垂直地熱
ボア地帯と組み合わされる太陽熱パネルと組み合わされる冷却塔など。
HVAC:暖房、換気、及び空調。
インターネット/LAN:有線又は無線であることができるインターネットへのアクセス。
独立接続:システム内の各供給源からの、又は各シンクからの流体は独立して使用されるか、又は混合されることができるが、現行の技術がそうであるように混合される必要はない。
負荷:なされるべき作業(すなわち、暖房、冷房、照明、デバイスのプラグの操作)。建造物負荷は、建造物が、温度、湿度、空気質を管理するのに必要とされるエネルギーの量、又は、電気デバイス(すなわち、「プラグ負荷」)の需要を満足するために必要とされるエネルギーを指す。
モジュール式組立品:他のものと組み合わされ、ユニットを追加又は交換することによってサイズを拡大又は縮小することができ、輸送されることができる。
操業費:エネルギー・コスト、維持費、部品交換費用、サービス費用など。
最適化された:1つ又は複数の最適化特性に基づく、最も有利なもの。
最適化目標パラメータは、初期費用、操業費、ライフ・サイクル・コスト、損益分岐期日、エネルギー使用量、環境影響、熱的快適性、室内空気質などを含む。
最適システム・パフォーマンス:ユーザ加重パラメータが画定され、エネルギー・システムが実質的に、標準誤差の最小マージンでこれらのパラメータに対して操作に成功したとき。
最適選択:ユーザ加重パラメータと標準誤差の最小マージンとの一致。
パフォーマンス特性:種々のエネルギータイプの各々に関するエネルギー容量、エネルギー減衰及び利得、エネルギー散逸率、効率、環境影響など。
プレハブ:事前に完成され、輸送可能であり、設置可能なユニットとしてオフサイト設備内で製造されているということ。
システム・データ:設備識別情報及び仕様、配管仕様、放射仕様、ダクト仕様など。
熱貯蔵部:熱又は冷涼度エネルギーの貯蔵に使用するための材料、デバイス、物質、例えば、地熱、相変化、建造物基礎構造など。
ユーザ入力:1つ又は複数の暖房及び冷房ゾーンに関する、所望の温度、所望の湿度、予測される、又は計画される占有状態、設備操作スケジュール、換気などを含む。
【0036】
本発明は、完全一体型の工場組立デバイスを使用することによって、自然再生可能エネルギーの局所供給源を検知及び収集し、エネルギーを貯蔵するとともに、建造物の需要を効率的に満たすためにエネルギーを再分配するのに使用されるシステム、方法、及びデバイスに関する。このデバイスは、エネルギーを採取又は変換し、エネルギーを貯蔵するとともに、そのエネルギーを必要とするロケーションに移動する設備を使用する。このデバイスは、現行の地熱交換器よりも高いエネルギー採取効率を達成するとともにより優れた機能性を提供する次世代地熱交換器を含む最適な設備を含むこともできる。
【0037】
本発明は内部空間の暖房及び冷房に関して記載されているが、エネルギー・シャーシ・デバイスは電力を提供するために使用されることができる。例えば、エネルギー・シャーシ・デバイスは、配電網、太陽光発電機、風力発電機などのようなさまざまな電源と接続されることができる。この実例では、ソフトウェアは、電気使用量、及び、供給源の各々から電気を提供するコストを追跡及び予測し、その後、さまざまな電気負荷を最良に満足するためにいずれの電源を使用するかを判定することになる。
【0038】
図1は、商業建造物における冷暖房操作を制御するためのコンピュータ・コントローラを有するエネルギー・シャーシ・システムの好ましい実施例の概略図である。図示されるように、エネルギー・シャーシ・デバイス筐体3は、高温及び低温入力及び出力の温度を監視するとともに、コンピュータ・コントローラ14に供給される、対応する温度信号を生成するための温度センサ及び温度計6を有する、暖房負荷からの高温流体戻り1接続と、暖房負荷への高温流体供給2接続と、負荷からの低温流体戻り4と、冷房負荷への低温流体供給5とを含む。エネルギー・シャーシ・デバイス筐体は、エネルギー交換デバイスの「温」側からの供給接続12、及び、エネルギー交換デバイスの「温」側への戻り接続13も含む。同様に、冷側は、エネルギー交換デバイスの「冷」側からの供給接続15、及び、エネルギー交換デバイスの「温」側への戻り接続16も含む。
【0039】
高温流体供給ライン2及び低温流体供給ライン5の各々は、エネルギー・シャーシ・デバイスを出る流体の流れを監視するための流量計7と、冷却システムを操作することなく高温又は低温流体を負荷に直接提供するための可変容量循環ポンプ17も含み、コンピュータ・コントローラ14がエネルギー・シャーシ・デバイス筐体3を出入りする流体を監視及び制御することを可能にする。各高温流体戻り1及び低温流体戻り4は遮断弁8を含む。11.三方向制御バルブ8は、各個々の流体−流体冷却ベースのヒート・ポンプ11を出入りする流体を選択的に制御するために提供される。システムは、暖房及び冷房されている建造物に応じて異なる量及びサイズのヒート・ポンプ11を有するように構成されることができる。三方向制御バルブ8とヒート・ポンプ11との間の流体ラインは、温度センサ6、遮断弁9及び、ヒート・ポンプ11の高温側及び低温側の各々における遮断弁9間の入力ライン内の可変容量循環ポンプ10とを含む。
【0040】
図2は、商業建造物のためのコンピュータ・コントローラ27を有するエネルギー交換ユニットシステムの概略を示す。エネルギー交換ユニットは、エネルギー・シャーシ・デバイスのシステム構成要素である。
図2に示されている実施例は、地熱ループに接続されるエネルギー交換を示している。これは1つの可能な構成であり、特許請求されているものとしての本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【0041】
図2に示されている地熱エネルギー交換ユニットの高温入力ライン2及び低温入力ライン5並びに出力ライン1、4は
図1に示されている構成と同様であり、熱交換器29からの、及び熱交換器への、並びに、熱交換器29及び垂直閉ループ地熱交換器32の間の温度センサ6及び可変循環ポンプ8と、水平「地中」閉ループ地熱交換器33とを含む。
【0042】
エネルギー交換デバイスは、複数のエネルギー源が同時に利用されることを可能にするための、エネルギー伝達、スイッチング、及び混合の能力を提供するエネルギー・シャーシ・デバイスの独立型構成要素である。好ましい実施例では、エネルギー・シャーシ・デバイスは、エネルギー交換デバイス、並びに、ヒート・ポンプ加熱及び冷却システムに垂直な、ヒート・ポンプ、ポンプ、バルブの配管などを含む。システムの相乗効果を向上させるために、エネルギー交換は、負荷需要を満足するために必要とされる供給源の最もコスト効率的なリアルタイム及び予測の組合せを判定及び利用する。その後、エネルギー交換は、おそらくは複数のデバイスによる使用のために、選択された供給源からエネルギーを混合及び送達する。このエネルギー交換デバイスは、要求されるエネルギーの獲得、又は余剰エネルギーの貯蔵の管理の両方のために使用されることができる。
【0043】
共同発明者の、今日建造されている建造物のASHRAE90.1−2007基準に対する研究は、本発明によるエネルギー・シャーシ・デバイスを建造物全体の中心的要素として使用することによって、工事費をほとんど又はまったく増大させることなく、建造物のエネルギー消費を約35%から約50%まで低減することができることを示している。このレベルのエネルギー節約を達成するには、エネルギー・シャーシが、従来の手法の代わりに、各建設計画における特有の独自に構築されるシステムを作成するよう試みる、規格品である必要がある。
【0044】
この戦略には前例がある。空調のための技術的解決策、並びに、空調の設計及び設置の複雑度の低減を具体化した規格品を作成するための類似の手法は、空調設備の最大手の製造会社であるCarrier社を設立したWillis Carrier氏の功績によるものである。大量に市場に出され得る、標準化された空調機を作成しようとする彼の努力は、一般的には、信頼性があるとともに無理なく導入できる空調を作成することとして見られている。彼は特注の設計及び現場での組立てをなくし、信頼性を増大させたため、これは部分的に達成された。この戦略によって、彼はCarrier社を築くことに成功した。本発明のエネルギー・シャーシ・デバイスは、建設現場に単独で取り入れられるソリューションと比較して、製造コストを低減するとともに品質を向上させるための技法を含むプロセスにおいて製造されるように設計される。
【0045】
エネルギー・シャーシ・デバイスは、コンクリート内に埋め込まれるPEX管から作成されるエネルギー輸送システム、若しくは類似の水上輸送デバイス、並びに/又は、放射加熱及び冷却並びに熱貯蔵と互換性があるように設計される、エネルギーを輸送するために強制換気を使用する中空コア・コンクリートに接続される、冷媒ベースの流体−流体ヒート・ポンプ又は冷却機を含むことができるいくつかの主要構成要素から構成される。さまざまな状況化での複数の異なるデバイスのパフォーマンスを予測するとともにシステム全体を最適化するために必要とされるデータを提供するソフトウェア・モデルを有する、或るものは既存であり、或るものはまだ完成又は構想されていない、複数の異なるエネルギー採取デバイスが使用されることができる。
【0046】
図3は、本発明の好ましい実施例によるエネルギー・システム管理コンピュータ・インタフェース及びデータベースの概略ブロック図である。図示されるように、エネルギー・システム管理コンピュータは、リアルタイム負荷/需要データ32、履歴負荷追跡データ33、各ゾーンについてユーザが負荷予測を入力するためのユーザ入力34(
図8)、システム、設置者、ユーザ、及び/又は所有者に出力される、履歴、リアルタイム、及び予測のデータ、障害又はアラーム通知を記憶するためのデータベース38、並びに、システム更新、パッチ、アド・オン・パッケージに関連するデータを記憶するためのメモリ39とインタフェースされる。エネルギー・システム管理コンピュータは、建造物センサ36及び制御部37とのインタフェース、並びに、気象予報のようなリアルタイム情報及び電気料金体系を受け取るためのインターネットLANインタフェース35も含む。
【0047】
エネルギー・シャーシ・デバイス・コンピュータ・コントローラは、構成要素、構成要素特性、及び、システム設計に関するユーザ決定パラメータについて最適化するサイズを決定するために実行されることができるパラメトリック最適化モデルを有するデータベースを含む。このステップは、種々の建造物及び環境状況にとって適切にシステムを構成するために必要とされる特注のエンジニアリングを低減する。エネルギー・シャーシ・デバイスは、平板熱交換器及びフレーム熱交換器、又は、
図1に示されているような冷却システム、可変周波数駆動部を有する循環ポンプ、制御バルブ及びセンサを使用しない直接の熱伝達のための類似物も含む。
【0048】
図4は、供給源及びシンクA、B及びCとインタフェースされ、流体ミキサ44及び流れ制御バルブ43によって、図示されている実例では3つの、1つ又は複数の負荷X、Y及びZに対してインタフェースされる、コンピュータベースのコントローラ42を有するエネルギー交換ユニット41を示す、インテリジェント独立流体選択システムのブロック図である。
【0049】
図5は、限定ではないが、太陽A、地熱B、屋外環境C、体熱D及び他の供給源Eなどの異なる供給源から、
図4に示されているエネルギー交換ユニット41までの、当該エネルギー交換ユニットから熱貯蔵ユニット46までの、及び熱貯蔵ユニットからエネルギー交換ユニットまでの、ハイブリッド・エネルギー採取を示すブロック図である。
【0050】
図2とともに
図1を参照すると、ヒート・ポンプ11の各々は、さまざまな制御バルブ列を介して、以下の流体流、すなわち、高温流体供給/戻り1及び2、冷却流体供給/戻り4及び5、温地熱流体供給/戻り12及び13、並びに冷地熱流体供給/戻り15及び16にアクセスするように配管されている。追加の特注の温度の流体は任意選択である。エネルギー・シャーシ・デバイスは、各ヒート・ポンプ・モジュール11が独立して動作して任意の流体から任意の他の流体へと熱を移動させることを可能にするために、制御バルブ8、9を選択的に位置決めするとともに循環ポンプ10の速度を制御するためのコンピュータ・コントローラを含む。
【0051】
流体温度が建造物空間を冷却するために必要とされる範囲内にあるとき、デバイスは、循環ポンプ10のみを操作することによって、冷却システムを操作することなく、冷地熱流体15及び16から冷却流体を提供するために平板及びフレーム熱交換器を使用することができ、それによって、エネルギー消費が大幅に低減され、エネルギー効率が向上する。加えて、システムは、さまざまな流体経路に熱を加えるか、又は当該流体経路から熱を取り去るために、さまざまな熱エネルギー貯蔵デバイスを管理することができる。
【0052】
コンピュータベースの制御システムは、リアルタイムで、現在の暖房及び冷房現在のエネルギー需要及び計画されるエネルギー需要を決定する。リアルタイムで、インターネットを使用して、システムは現在の電気料金体系及びオンピーク/オフピーク料金体系、並びに、自発的な電気負荷削減又はスケジュール変更を含む。計画されるエネルギー需要に対する予測は、部分的には、インターネット接続、及び、蓄積されている建造物/気象パフォーマンス応答履歴を介して提供される気象予報のうちの1つ又は複数に基づく。エネルギー・シャーシ・システムは、現在の及び予測されるエネルギーのコスト及び環境影響のうちの1つ又は複数に基づいてエネルギーの使用を最適化するために、気象データ及び建造物パフォーマンス応答履歴を使用する人工知能ソフトウェアを含む。次いで、これらの負荷、及び、さまざまな流体流の温度に基づいて、制御システムは、エネルギー・コストを最適化するために、いずれの個々の流体流又は流体流の組合せから熱を抽出するか、又はそれらのいずれに熱を蓄積するかを決定する。
【0053】
コントローラはまた、現在の及び予測されるエネルギー需要並びに流体温度を考慮してその動作を最適化するために、次世代地熱交換器(後述)との通信を維持する。制御システムはまた、システム調整及び最適化、並びに、トラブルシューティングのための設備障害に関連する情報の提供を可能にするためにすべての動作パラメータをログ記録し、システム調整及び最適化、並びに、トラブルシューティングのための設備障害に関連する情報の提供を可能にするために動作パラメータをログ記録する。
図9は、基礎構造、地熱、相変化などのような種々のタイプの供給源及びシンクに関するさまざまな集合データを示す図である。
【0054】
図6は、中央プラントに接続される複数の異なる独立地熱ループを示す概略図である。この熱交換器は、システムのインテリジェンス及び制御部の、任意の形態の閉ループ地熱ポンプシステムに取り付けられることができる規格品へのインストールを利用する。これは、システムのコストを維持又は低減しながら、地熱システムのパフォーマンスを増大させるために、新たに開発されているコンピュータ、センサ、及び制御技術、最新の暖房及び冷房コンセプト、並びに、インテリジェンス及び制御プラットフォームを規格品にパッケージする能力を使用する。多くの場合、総冷房負荷の約60%から約80%に等しい建造物顕熱冷却は、可能性として、エネルギーを消費するコンプレッサの支援なしに実行されることができる。熱交換器は、建造物エネルギー・システム全体の構成要素、又はスタンドアロンとして使用されることができる。
【0055】
一般的な地熱ヒート・ポンプ熱交換器システムは、垂直閉ループ、水平閉ループ、「地中」ループ、貯水池ループなどのうちの1つのみを使用する、さまざまな一体型流体回路構成として提供されているが、一般的にシステムに適用されるとき、それらは以下の特性を有することになる。第1に、単一の流体回路構成が適用される。例えば、一般に垂直ループは水平ループと組み合わされない。第2に、単一の流体回路内の流体は一般的に混合されて或る温度ですべての加熱/冷却デバイスに送達される。この温度の混合が、流体と末端の熱伝達デバイスとの間の温度差の低減による、その熱を伝達する能力を弱めてしまう。温度差が大きいほど、熱伝達も大きくなり、逆に温度差が小さいことは、熱伝達が小さいことを意味する。
【0056】
本発明の方法、システム及びデバイスは、複数の独立して回路構成される地熱交換器、複数の独立可変速度循環ポンプ、流体流を「温」又は「冷」地熱流体多岐管(geothermal fluid header)に向けるための制御バルブ(流れが独立したままである場合の任意選択)、並びに、温度差及び質量流量に基づいて、又は各ループ内の、及び温・冷地熱流体多岐管内の単純なbtuメータから流体温度及び熱流量を測定するためのセンサを組み込むことによって、上記の一般的な地熱システムの効率を低減する特性に対処する。コンピュータベースの制御部は、流れ及び温度を最適化及び管理するように設計されるソフトウェアを含む。
図7は、リアルタイム負荷、予測負荷データ、並びに現在の及び履歴のシステム・パフォーマンス・データを含む、本発明の好ましい実施例による効率的システム負荷データの実例を示すブロック図である。
【0057】
図7に示されているように、システムは、リアルタイム負荷及び予測負荷を決定し、その負荷データをシステム・パフォーマンス・データ及び履歴システム・パフォーマンス・データと組み合わせて使用して効率的なシステム負荷を決定する。システムは、設備負荷、占有状態、湿度外部環境条件のような情報を、ユーザ入力などとともに使用してリアルタイム負荷を決定する。予測負荷を決定するために使用される情報は、履歴気象データ、履歴内部負荷、占有状態予測、気象予報、基礎構造熱質量、表面温度及びコア温度などのような情報、並びにユーザ入力及び設定点を含む。所望の温度、湿度、予測及び/又は計画される空間の占有状態、設備スケジュール、換気などのようなユーザ入力の実例は、
図8に示されている。ユーザ入力はゾーンごとであることができ、例えば、オフィス空間が占有されていないのと同時に、ホールは完全に占有されていると予測される場合がある。この実例では、異なる予測占有状態を有する2つのゾーンは異なるエネルギー要件を有することになる。
【0058】
図2に示されている構成における独立地熱交換器は、「より温かい」地熱流体を一方の端部に向けるとともに「より冷たい」地熱流体を反対の端部に向ける、別個の供給及び戻り配管を有する二端分配多岐管において構成される。この構成は、高温地熱流体を低温地熱流体に混合しないことを含む特有の動作特性を可能にし、それによって、温度が希釈されず、より大きい温度差のために熱を伝達する能力を保持する。第2に、能動及び受動チルドビーム及び放射冷却パネルのような顕熱冷却デバイスが、循環ポンプを操作することのみによって、冷媒ベースのヒート・ポンプが関与することなく、すべてではないがほとんどにおいて、寒い季節のはるかに冷たい水(通常12.78〜15.56℃(55〜60°F))によって供給されることができる。これは
図2に示されている構成によって可能であり、それは、新規の回路構成及び制御部が、「より冷たい」独立地熱交換器が冷媒ベースの排熱デバイスからの相対的に温度の高い排熱によって熱的に汚染されることを防止するためである。
【0059】
冷媒ベースの排熱デバイスからの排熱は「より温かい」独立地熱交換器に循環され、ここで、それらの熱が散逸される。「より温かい」地熱交換器は、流体と周囲の土との間のより高い温度差に起因して、暖房モードにおける熱回収においてより効率的になる。より温かい熱交換器に貯蔵されている熱は、内部の温水などを加熱している可能性がある熱抽出システムのための第1の供給源として利用可能である。建造物暖房負荷、建造物若しくはそのシステムを加熱するための土からの熱の抽出及び移動が「温」地熱交換器のみにおいて利用可能な熱よりも大きい場合、又は、そうすることがより効率的である場合、「より冷たい」地熱交換器が転用されて、熱シンクの代わりに熱源となり、それによってそれらが顕熱冷却を提供するためにより低い温度に「再充填」される。
【0060】
年間の暖房/冷房需要において暖房が優勢である場合、太陽熱収集のような追加の熱源が利用可能であり、「より温かい」地熱交換器のうちの1つ又は複数が「最高温」として指定されることができ、これは、即座には使用されない任意の太陽生成熱を受け取ることになる。この熱は、この地熱交換器を取り巻く土壌の温度を上昇させ、この熱の一部は将来の使用のために利用可能なままになる。これによって、システムが、必要とされるときにその年のうちに後に使用するために利用可能である場合に、熱を捕捉及び貯蔵し、又は冷却するために、自然な季節ごとの温度スイングを利用することが可能になる。この長期的な熱貯蔵によって、採取されたエネルギーの将来の使用のための可用性が増大し、結果として、効率が増大し、また、交換器において利用可能なエネルギー全体を管理するためのメカニズムが提供され、それによって、交換器内のエネルギーが枯渇してエネルギーが不足する可能性が低減される。
【0061】
図6に示されている構成は、さまざまな地熱交換器構成(垂直、水平、貯水池ループ、熱パイルなど)を、これらの熱交換器タイプの各々の多様な熱的特性を制御及び最適化するように、同時に使用されるために最適に混合することを可能にする。これによって、地熱を使用する機会、及び、利用可能な土地に基づいて、地熱をよりコスト効率的に増加させる(build)機会が増大する。これは、地熱交換器が、特に長期的若しくは短期的貯蔵、高温若しくは低温貯蔵、又は、開ループシステムのような貯蔵なしとも言う直接使用のために設計されることも可能にする。
【0062】
本発明は、すべての地熱交換器、熱交換器、供給源シンクを独立して接続するとともにそれらを独立して制御することが可能な、上記でカバーされる流体多岐管に対する代替形態もカバーする。これによって完全な最適化が可能になり、流体多岐管と比較してさえ効率が向上し得る。これは、上記のようなまったく同じ独立した直接の温度使用による。
【0063】
コンピュータベースの制御部は、上述のエネルギー・シャーシ・デバイス(
図1から
図2まで)及びその埋め込みエネルギー交換ユニット(
図4)と協働して、地面を出入りする熱流量を監視及び測定し、また、各独立地熱交換器、代替的な供給源/シンクの熱応答特性を決定して、実際のパフォーマンス・データが測定されると、システム操作順序が、リアルタイム及び予測で最適化されることを可能にする。
【0064】
各独立エネルギー源及び/又はシンクは、集合データとしてデータベース内に記憶される独立パフォーマンス特性を有する。実例が、エネルギー容量、エネルギー減衰及び利得、散逸率、効率などを含む、現在の及び履歴パフォーマンス特性によって
図9に示されている。
図10は、設備の選択及び建造物のための暖房/冷房システムの設計のときに使用される、種々のシステム・データ及び設備仕様の実例を示す。システム・データは、使用される設備及びその設備に関する仕様、配管仕様、放射及びダクトの仕様、並びに、システムと接続される任意の他の設備に関する仕様のトレースを含む。設備の各要素も仕様及び動作パラメータを有し、その実例は
図10に示されている。
【0065】
図11は、エネルギー管理コンピュータ・データ・タイプ及び種々の最適化目標パラメータを示す。システムを最適化するときは、初期費用、中間コスト及びライフ・サイクル・コストに留意することが重要である。他の重要なパラメータは、総コストに影響を与えるエネルギー使用量、使用量が環境に対して及ぼす影響、並びに、熱的快適性及び室内空気質の値を含む。無論、所有者及びユーザの要件及び要求も考慮されるべきである。エネルギー管理コンピュータは供給源及びシンクの集合データをシステムにとって利用可能に維持し、システム負荷データを追跡し、最適化された制御方法を決定して出力を制御する。初期システム・パフォーマンス、履歴システム・パフォーマンス及び履歴設備パフォーマンスはシステム操作中の使用のために維持される。
【0066】
図12は、建造物、並びに、いくつか実例を挙げると、ポンプ、バルブ、及びヒート・ポンプを含む可変出力を有する構成要素のためのシステム制御部を示し、設計方法、エンジニアリング及びソフトウェア・データの実例を提供する。
図13は、システム負荷信号の実例を示す概略ブロック図である。例えば、システムは設備障害信号を受信し、設備障害通知によって応答し、システム・データがユーザ、所有者、ハードウェア及び/又はソフトウェアエンジニア、並びに適切な場合にはインストール専門業者に通信される。
【0067】
図14は、目標パラメータ、システム・データ、システム供給源及びシンクに関連する集合データ、並びにシステム負荷データからの入力に基づいてシステムを制御するための最適化された方法の実例を示す概略ブロック図である。収集されたデータに基づいて、制御は流体温度の測定、及び、最適化されたパフォーマンスのための流体の混合に対して最適化される。
【0068】
図15及び
図16に示されている流れ図は、建造物の占有者の需要を満足するためにシステム・パフォーマンスを最適化するためのステップを示している。図示されるように、データが収集及び記憶され、内部空間の暖房及び冷房について決定を下し、負荷要件が満足されるか否かを判定するために使用される。
図16を参照すると、ステップはいずれの供給源及び/又はシンクを使用するか、及び、最適化パラメータを最良に満たすためにいずれの供給源及びシンクを混合するかを判定することを含む。
【0069】
図17は、独立設備データ、建材情報、建築構造データを含む、本発明の好ましい実施例に従ってエネルギー・シャーシ・デバイス及びエネルギー交換デバイスを設計するために使用されるデータの実例を示し、システム管理コンピュータ上に維持されるデータのタイプの実例を示す。図示されている実例は例示のためのものであり、限定ではない。
図18は本発明の好ましい実施例による設計最適化の実例を示すプロセス流れ図である。
【0070】
エネルギー及びコスト効率分析に関する実験結果
システム・パフォーマンス及び記載概要:
以下は、フィンドレー大学のために続いて設計されており、現在建造中である研究所建造物のシミュレーションである。本発明者らは、標準的な設計及び構造と比較してよりエネルギー効率的な、ライフ・サイクル・コストがより低い施設を提供するための、建物外面、HVAC、ドラフト制御部及び照明構成を含むシステムシミュレーションを準備した。このシステムのシミュレーションは本特許出願において記載された技法を使用する。これらの取り組みの結果が、従来の建造物及びHVACの慣例と比較したときに、フィンドレー大学に相当の利益を提供する、統合建造物エネルギー・システム設計である:
・占有者の健康及び安全を向上させるための100%の外気(再循環なし)
・最大68%のエネルギー・コスト低減及び35%の維持費低減
・最大76%のピーク時電気需要低減
・最大68%の建造物エネルギー利用(footprint)低減
・最大68%のCO2放出低減
・床面積1m
2当たり約1031円(約12.92ドル)(1平方フィート当たり約1.20ドル)の年間エネルギー及び維持管理節約
・15,960,000円(200,000ドル)の初期追加投資に対して4.3年の単純回収期間
【0071】
システムは、建造物構造内に埋め込まれ、能動チルドビームと結合される放射加熱/冷却技術に基づく。システム全体が、地熱地面熱交換器を用いて中央地熱ヒート・ポンプエネルギー・プラントから加熱及び冷却流体を供給される。この設計は、熱的質量の大きい建造物の短期エネルギー貯蔵と、地熱交換器の季節ごとのエネルギー貯蔵の両方を使用する。
【0072】
従来のHVACシステムと比較すると、本発明者のシステムは、従来のHVACシステムに対する約95,760,000円(1,200,000ドル)に対して、本発明のシステムに対する111,720,000円(1,400,000ドル)の初期費用に基づく約15,960,000円(約200,000ドル)の初期費用の割引を有する。これらの推定値は、一切の可能性のある奨励金を含んでおらず、コスト比較には含まれていない、代替的なエネルギー・システムに対する現在の産業奨励策による初期費用差を低減するための機会がある。
【0073】
標準HVACシステムとの比較:
本発明者らは、この用途において一般的であるが、研究所のドラフトの重大な追加要件に対処するようにサイジングされた標準HVACシステムに関するコスト推定値及びエネルギー・シミュレーションを準備した。HVAC構成は、可変風量空気処理ユニットを含んでいる(屋上はこのより大きなユニットに適応するためにサイズが74.32m
2(800SF)増大した)。空気処理システムには、新規のボイラからの温水、及び、新規の空冷式冷却機からの冷水が供給された。同じく温水システムに接続されている可変風量再加熱ボックスへの配管を介して調整空気が供給された。なお、この従来のシステムは部屋から部屋へと空気を再循環させる一方で、本発明者のシステムはそうしない。コンピュータベースの建造物オートメーションシステムが推定に含まれている。
【0074】
本発明者のシステムに関する推定エネルギー節約は、1,476,300円(18,500ドル)/年の本発明の年間エネルギー・コストに対する4,588,500円(57,500ドル)/年の標準HVACエネルギー・コスト推定値に基づき、約3,112,200円(約39,000ドル)/年であり、推定維持管理節約は、1,117,200円(14,000ドル)/年の本発明の年間維持管理コストに対する1,715,700円(21,500ドル)/年の標準HVAC維持管理コスト推定値に基づき、598,500円(約7,500ドル)/年である。これによって、約4.3年の単純回収期間がもたらされる。
【0075】
建造物の説明:
このプロジェクトは、オハイオ州フィンドレー所在のフィンドレー大学キャンパスにあるDavis Street Facilityに対する、約3,716m
2(約40,000平方フィート)の2階層の追加を含む。計画される建造物使用は、ドラフトを有する複数のラボ、教室、教員事務室及びさまざまなサポート・スペースを含む。
【0076】
設計プロセス:
本発明者らは、壁式構造、窓、屋根断熱、照明などを含む建造物内のさまざまな構成要素を考慮して複数のエネルギー・シミュレーションを完了し、本発明のさまざまな構成を試験し、エネルギー使用全体に対していずれの領域が最良の肯定的影響を提供していたかを決定した。建造物運営スケジュール及び計画されるドラフト使用が大学職員によって提供された。使用料金体系は、平均5.985円(0.075ドル)/kWH及び798.0円(10.00ドル)/百万BTU天然ガスであると仮定された。
【0077】
本発明の設計と対照するためのベンチマークを得るために基礎建造物構造も準備された。この実例では、本発明者らは、LEED認証のための米国グリーンビルディング協会のガイドラインに従い、それらの方法論のためのベースラインとしてASHRAE90.1−2007省エネルギー基準を使用した。基本事例の建造物モデルは、この基準に完全に準拠しているものと仮定された。シミュレーション結果は非常に顕著のものであった。標準設計に関する結果と比較した本発明に関する結果を示している、ASHRAE及びLEED基準を使用した、提案される建造物を示す表1を参照されたい。
【0079】
表1内の結果は、提案される地熱システム及び制御オプションを有するシステム全体に基づいている。これらの計算は、本発明者らが下した決定に基づいたものであった−これらの決定が変化すると、エネルギーモデルも同様に更新される必要がある。
【0080】
エネルギー・システム構成:
建造物エネルギー・システムは、本発明、すなわち、
図5に示されているようなエネルギー交換ユニットを含むエネルギー・シャーシ・デバイスを含む。このシステムは各システム構成要素のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、次に、温水又は冷水を最も効率的な供給源から建造物に提供する。
【0081】
エネルギー交換ユニットは、地熱地面熱交換器の組合せ(これは、本発明に特有の構成であり、単一の混合流地熱交換器の代わりに、本発明はいくつかの別個のそれらを特定の熱的用途に使用する)と、冷却塔及びボイラのような他の熱源及びシンクとを両方とも監視及び制御する。
【0082】
この構成による特有のエネルギー節約機会が、その年の相当部分にわたってヒート・ポンプを起動することなく放射床及び能動チルドビームシステムのための冷却水を提供する、その能力である。このモードにあるとき、システムは、10から15の従来の冷却機のエネルギー効率比(EER)に対して、約75から100であるEERにおいて冷却を伝達することができる。これによって、標準的なHVACシステムの約七分の一(1/7)であるエネルギー消費率において冷却の相当部分を提供することが可能となる。
【0083】
冷水又は温水は、配管を介して放射冷却/加熱(コンクリート構造内に埋め込まれるPEX管)の両方、能動チルドビーム、及び再加熱コイルに分配される。これらのデバイスは協働して空間温度制御を提供する。換気が、屋上機械室内に位置する専用外気システム(DOAS)によって提供される。このユニットは、通常は廃棄されるエネルギーを建造物排気管から回収し、それを換気のために使用される外気の予備調整に使用する。このシステムは各部屋に対して100%の外気を提供し、空気は空間から空間へと再循環されない。これによって、空気汚染及び臭気が拡散する可能性が低減される。
【0084】
上記のシステムのすべては、
図15に示されているコンピュータベースの直接デジタル制御システムによって制御及び最適化される。このシステムは、建造物パフォーマンスに対する進行中のフィードバックを提供するために公共区域内に位置することができるエネルギーパフォーマンス「ダッシュボード」も提供することができる。
【0085】
本発明が、実際に想定した特定の実施例又は変更形態のさまざまな用語において説明、開示、例示及び図示されてきたが、本発明の範囲はそれらによって限定されることを意図されておらず、そのようにみなされるべきでもなく、このような他の変更形態及び実施例は、本明細書における教示によって示唆され得るものとして、特にここに添付される特許請求項の全幅及び範囲内に入るものとして、特に権利を保有される。