【文献】
JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY, 2001, vol 19, no.22 p.4189-4194
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の記載において、組換えDNAおよび免疫学で用いる多数の用語が広範に利用される。そのような用語が与えられる範囲を含めた、明細書および特許請求の範囲のより明瞭かつ一貫性のある理解を提供するために、以下の定義が提供される。
【0047】
用語「抗体」は当該分野で認められた用語法であり、公知の抗原に結合する分子または分子の活性な断片を含める意図である。公知の抗原に結合する分子の活性な断片の例はFabおよびF(ab’)
2断片を含む。これらの活性な断片は、多数の技術によって本発明の抗体から導くことができる。例えば、精製されたモノクローナル抗体は、ペプシンのような酵素で切断でき、およびHPLCゲル濾過に付すことができる。次いで、Fab断片を含有する適切な画分を収集し、および膜濾過等によって濃縮することができる。抗体の活性な断片の単離のための一般的な技術のさらなる記載については、例えば、Khaw,B.A.et al.,J.Nucl.Med.23:1011−1019(1982)を参照されたし。用語「抗体」は二特異的およびキメラ抗体も含む。
【0048】
本明細書中に記載された抗体とは、全長(すなわち、天然に生じる、または通常の免疫グロブリン遺伝子断片のレコンビナトーリアルプロセスによって形成された)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)または抗体断片のような、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分をいう。
【0049】
抗体断片は、F(ab’).sub.2、F(ab).sub.2、Fab’、Fab、Fv、sFv等のような抗体の部分である。構造にかかわらず、抗体断片は、無傷抗体によって認識される同一の抗原と結合する。例えば、3F8モノクローナル抗体断片は、3F8によって認識されたエピトープに結合する。用語「抗体断片」は、特異的抗原に結合して、複合体を形成することによって、抗体のように作用するいずれの合成または遺伝子工学により作成された蛋白質も含む。例えば、抗体断片は、重鎖または軽鎖の可変領域から成る「Fv」断片のような、可変領域から成る単離された断片、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって連結された組換え単一鎖ポリペプチド分子(「scFv蛋白質」)、および超可変領域を模倣するアミノ酸残基から成る最小認識単位を含む。
【0050】
文言「モノクローナル抗体」は当該分野で認識された用語法である。モノクローナル抗体は、同一である一特異的抗体である。なぜならば、それらは、全てがユニークな親細胞クローンである免疫細胞の1つのタイプによって作成されるからである。
【0051】
種々の方法が、モノクローナル抗体の生産のために当該分野で存在する。例えば、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されたもののような組換えDNA方法によって作成されてもよい。この関係で、用語「モノクローナル抗体」とは、単一の真核生物、ファージ、または原核生物クローンに由来する抗体をいう。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、(例えば、ネズミ抗体の重鎖および軽鎖、またはヒト、ヒト化、または他の源からのそのような鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)慣用的な手法を用いて容易に単離し、および配列決定することができる。一旦単離されたならば、DNAを発現ベクターに入れてよく、次いで、これは、そうでなければ免疫グロブリン蛋白質を生産しないNS0細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、酵母細胞、海藻細胞、卵、または骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質転換されて、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得る。DNAは、例えば、均一ヒト配列の代わりに所望の種のヒト重鎖および軽鎖定常ドメインについてのコーディング配列で置き換えることによって(米国特許第4,816,567号;Morrison et al,前掲)、または非免疫グロブリンポリペプチドについてのコーディング配列の全てまたは一部を免疫グロブリンコーディング配列に共有結合により接合させることによって修飾することもできる。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、当該発明の抗体の定常ドメインに代えて置換することができるか、または当該発明の抗体の1つの抗原組合せ部位の可変領域に代えて置換して、キメラ二価抗体を作り出すことができる。
【0052】
用語「エピトープ」は当該分野で認識されている。一般に、抗体と相互作用する抗原または複数抗原の領域をいうのは当業者に理解される。ペプチドまたは蛋白質または糖抗原のエピトープは線状または立体配座とすることができるか、または抗原の連続的なまたは非連続的なアミノ酸および/または糖配列によって形成することができる。GD2分子は、多くの炭水化物のように、多くのエピトープを含有する。本発明の抗体によって認識されるエピトープまたは糖、および抗体、GD2抗原の化学的ミメティックスのペプチドおよび抗イディオタイプ抗体によって依然として認識されるこれらの糖の保存的置換は本発明の実施形態である。これらの糖またはミメティックスのペプチド/化学物質または抗イディオタイプ抗体は、免疫アフィニティーカラム上でGD2をMoAbに、またはGD2からMoAbを溶出させるための慣用的な方法を提供する。これらのエピトープのさらなる切形も可能である。
【0053】
裸の抗体は、一般的には、治療剤にコンジュゲートされていない全抗体である。これは、抗体分子のFc部分が、補体固定およびADCC(抗体依存性細胞の細胞傷害性)のようなエフェクター機能を提供し、これは細胞溶解をもたらし得る作用にメカニズムを設定するからである。裸の抗体は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、ならびにキメラ、ヒト化またはヒト抗体のようなある種の組換え抗体の双方を含む。しかしながら、Fc部分は治療的機能に要求されず、むしろ、抗体は細胞周期の休止およびアポトーシスの誘導のような他のメカニズムを介してその治療的効果を発揮するのが可能である。この場合において、裸の抗体は、先に定義されたコンジュゲートされていない抗体断片も含む。
【0054】
キメラ抗体は、1つの種、好ましくはげっ歯類に由来する抗体の相補性決定領域(CDR)を含めた可変ドメインを含有する組換え蛋白質であり、他方、抗体分子の定常ドメインはヒト抗体のそれに由来する。動物適用では、キメラ抗体の定常ドメインは、ネコまたはイヌのような他の種のそれに由来してもよい。
【0055】
ヒト化抗体は、1つの種からの抗体;例えば、げっ歯類抗体からのCDRがげっ歯類抗体の重鎖および軽鎖可変鎖からヒト重鎖および軽鎖可変ドメインに移される組換え蛋白質である。
【0056】
ヒト抗体は、抗原攻撃に応答して、特異的なヒト抗体を生じさせるように「作成された」トランスジェニックマウスから得られた抗体である。この技術においては、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントは、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座の標的化された崩壊を含有する胚幹細胞系に由来するマウスの株に導入される。トランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、およびマウスを用いてヒト抗体分泌ハイブリドーマを生産することができる。トランスジェニックマウスからのヒト抗体を得るための方法は、Green et al.,Nature Genet.7:13(1994)、Lonberg et al.,Nature 368:856(1994)、およびTaylor et al.,Int.Immun.6:579(1994)によって記載されている。十分にヒト型の抗体は、その全てが当該分野で知られている、遺伝子または染色体トランスフェクション方法、ならびにファージ提示技術によって構築することもできる。例えば、免疫化されていないドナーからの免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからの、イン・ビトロでのヒト抗体およびその断片の生産については、McCafferty et al.,Nature 348:552−553(1990)参照。この技術においては、抗体可変ドメイン遺伝子は、フィラメント状バクテリオファージの主たるまたは従たる外皮蛋白質遺伝子いずれかにインフレームにてクローン化させ、およびファージ粒子の表面に機能的抗体断片として提示される。フィラメント状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有する故に、抗体の機能的特性に基づく選択の結果、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子が選択される。このようにして、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージ提示は、種々の様式で行われることができ、それらのレビューについては、例えば、Johnson and Chiswell,Current Opinion in Structural Biology 3:5564−571(1993)参照。
【0057】
ヒト抗体は、イン・ビトロ活性化B細胞によって生じさせることもできる。この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,567,610号明細書および第5,229,275号明細書参照。
【0058】
治療剤は、抗体部位とは別々に、同時に、または順次に投与され、または抗体部位、すなわち、抗体または抗体断片、またはサブ断片にコンジュゲートされた分子または原子であり、および病気の治療で有用である。治療剤の例は抗体、抗体断片、薬物、トキシン、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫モジュレーター、キレーター、ホウ素化合物、光活性剤、または色素および放射性同位体を含む。
【0059】
診断剤は、抗体部位、すなわち、抗体または抗体断片またはサブ断片にコンジュゲートされた、投与される分子または原子であり、および抗原を含有する細胞を突き止めることによって病気を診断し、または検出するのに有用である。有用な診断剤は、これに限定されるものではないが、放射性同位体、(ビオチン−ストレプトアビジン複合体を持つような)色素、コントラスト試薬、蛍光化合物、または分子、および磁気共鳴イメージング(MRI)のための増強剤(例えば、常磁性イオン)を含む。米国特許第6,331,175号明細書はMRI技術、およびMRI増強剤にコンジュゲートされた製剤を記載し、引用によりその全体を援用する。好ましくは、診断剤は放射性同位体、磁気共鳴イメージングで用いられる増強剤、および蛍光化合物から成る群から選択される。放射活性金属または常磁性イオンを持つ抗体成分を負荷するために、イオンを結合させるための多様なキレート化基が欠乏される長いテイルを有する試薬とそれを反応させる必要があろう。そのようなテイルはポリリシン、多糖、または例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス−チオセミカルバゾン、ポリオキシム、およびこの目的で有用であることが知られている同様な基のようなキレート化基を結合させることができるペンダント基を有する他の誘導体化されて、または誘導体化可能な鎖のようなポリマーであり得る。キレートは、標準的な化学を用いて抗体にカップリングさせる。該キレートは、通常、免疫反応性の最小の喪失および最小の凝集でもって分子への結合の形成を可能とする基によって抗体に連結されており、および/または内部架橋の他のより通常でない方法、およびキレートを抗体にコンジュゲートさせるための試薬は、この参照によりその全体が本明細書ら組み込まれる、「Antibody Conjugates」と題された、1989年4月25日に発行されたHawthorneに対する米国特許第4,824,659号明細書に開示されている。特に有用な金属−キレート組合せは、放射性イメージング用の診断同位体と共に用いられる、2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシルアナログを含む。同一のキレートは、マンガン、鉄、およびガドリニウムのような非放射性活性金属と複合体化された場合、本発明の抗体と共に用いる場合に、MRIで有用である。NOTA、DOTA、およびTETAのような大環キレートは、種々の金属および放射性金属と、最も特別には、各々、ガリウム、イットリウム、および銅の放射性核種と共に使用されるものである。そのような金属−キレート複合体は、環のサイズを注目する金属に対して仕立てることによって、非常に安定とすることができる。RAITについての
223Raのような、安定に結合する各種のための注目する大環ポリエーテルのような他の環タイプのキレートは本発明によって含まれる。
【0060】
免疫コンジュゲートは、抗体成分と治療または診断剤とのコンジュゲートである。診断剤は放射性活性または非放射性活性標識、(磁気共鳴イメージングについては、計算されたトモグラフィー、または超音波のような)コントラスト剤を含むことができ、および放射性活性レベルはガンマ−、ベータ−、アルファ−、オージェ電子−、または陽電子放出同位体であり得る。
【0061】
免疫モジュレーターは、存在する場合、典型的には免疫細胞を増殖させるか、またはマクロファージ、B細胞、および/またはT細胞のような免疫応答カスケードにおいて活性化されるように刺激する、本発明で定義された治療剤である。本明細書中に記載された免疫モジュレーターの例はサイトカインである。当業者が理解するように、ある種のインターロイキンおよびインターフェロンはT細胞または他の免疫細胞の増殖を刺激するサイトカインの例である。
【0062】
発現ベクターは、宿主細胞において発現される遺伝子を含むDNA分子である。典型的には、遺伝子の発現は、構成的または誘導性プロモーター、組織特異的調節エレメント、およびエンハンサーを含めた、ある種の調節エレメントの制御下に置かれる。そのような遺伝子は調節エレメントに「操作可能に連結している」といわれる。
【0063】
組換え宿主は、クローニングベクターまたは発現ベクターいずれかを含有するいずれの原核生物または真核生物細胞であってもよい。この用語は、宿主細胞の染色体またはゲノム、または宿主細胞の細胞においてクローン化遺伝子(類)を得るように遺伝子工学により作成された、トランスジェニック動物も含む。
【0064】
多特異的抗体は、異なる構造のものである少なくとも2つの標的、例えば、2つの異なる抗原、同一抗原上の2つの異なるエピトープ、またはハプテンおよび抗原またはエピトープに対して同時に結合することができる抗体である。1つの特異性は、例えば、B細胞、T細胞、骨髄−、血漿−、または肥満細胞抗原またはエピトープに対するものであろう。もう1つの特異性は、B細胞上の、CD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA−DR、CD74、またはCD22のような同一の細胞型上での異なる抗原に対することができよう。多特異的な多価抗体は、1を超える結合部位を有する構築体であって、および結合部位は異なる特異性のものである。例えば、1つの結合部位が1つの抗原と反応し、および他の結合部位がもう1つの抗原と反応する二特異的ダイアボディー。
【0065】
二特異的抗体は、異なる構造のものである2つの標的に同時に結合することができる抗体である。二特異的抗体(bsAb)および二特異的抗体断片(bsFab)は、例えば、GD2に特異的に結合する少なくとも1つのアーム、および治療または診断剤を担持する標的化可能なコンジュゲートに特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。種々の二特異的融合蛋白質は、分子工学を用いて生産することができる。1つの形態において、二特異的融合蛋白質は二価であり、例えば、1つの抗原のための単一の結合部位を持つscFv、および第二の抗原のための単一の結合部位を持つFab断片から成る。もう1つの形態において、二特異的融合蛋白質は四価であり、例えば、1つの抗原のための2つの結合部位を持つIgG、および第二の抗原のための2つの同一のscFvから成る。
【0066】
二特異的MoAbを生産するための最近の方法は、それらがより通常の免疫グロブリンイソタイプよりも強く架橋するように、さらなるシステイン残基を有する作成された組換えMoAbを含む。例えば、FitzGerald et al.,Protein Eng.10(10):1221−1225、1997参照。もう1つのアプローチは、2もしくはそれ以上の異なる単一鎖抗体、または必要なデュアル特性を持つ抗体断片セグメントを連結させる組換え融合蛋白質を作成することである。例えば、Coloma et al.,Nature Biotech.15:159−163,1997参照。種々の二特異的融合蛋白質は分子工学を用いて生産することができる。
【0067】
2もしくはそれ以上の異なる単一鎖抗体または抗体断片を連結する二特異的融合蛋白質は同様な手法で生産される。組換え方法を用いて、種々の融合蛋白質を生産することができる。柔軟なリンカーはscFvを、3F8抗体の重鎖の定常領域に連結させる。別法として、scFvはもう1つのヒト化抗体の軽鎖の定常領域に連結させることができる。重鎖FdのscFvへのインフレーム連結に必要な適切なリンカー配列はPCR反応を通じてV
LおよびV
kappaドメインに導入される。次いで、scFvをコードするDNA断片を、CH1ドメインをコードするDNA配列を含有するステージングベクターに連結される。得られたscFv−CH1構築体を切り出し、および3F8抗体のV
H領域をコードするDNA配列を含有するベクターに連結させる。得られたベクターを用いて、二特異的融合蛋白質の発現のために、哺乳動物細胞のような適切な宿主細胞をトランスフェクトすることができる。
【0068】
本発明の3F8抗体およびその断片を用いて、ダイアボディーとも呼ばれる機能的二特異的単一鎖抗体(bscAb)を調製することもでき、組換え方法を用いて哺乳動物細胞において生産することができる。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Mack et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,92:7021−7025、1995参照。例えば、bscAbは、2つの単一鎖Fv断片を、組換え方法を用いてグリシン−セリンリンカーを介して接合させることによって生産される。注目する2つの抗体のV軽鎖およびV重鎖ドメインは、当該分野で知られた標準的なPCR方法を用いて単離される。二特異的単一鎖抗体および二特異的融合蛋白質は本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
本明細書中に記載された二特異的ダイアボディーの最終の使用は、診断/検出または治療剤の引き続いての特異的送達用のGD2陽性細胞を予め標的化するためである。これらのダイアボディーは標的化された抗原に選択的に結合し、増大した親和性および所望の位置におけるより長い滞留時間を可能とする。さらに、非抗原結合ダイアボディーは素早く身体から除去され、および正常な組織の暴露は最小化される。診断/検出および治療剤は、同位体、薬物、トキシン、サイトカイン、ホルモン、成長因子、コンジュゲート、放射性核種、および金属を含むことができる。例えば、ガドリニウム金属は磁気共鳴イメージング(MRI)のために用いられる。放射性核種は診断および治療剤、特に、60〜4,000keVのエネルギー範囲のそれとしても入手可能である。
【0070】
標的化可能な構築体は、多様な構造のものとすることができるが、免疫応答の惹起を回避するのみならず、bsAb標的化方法内で用いる場合に迅速なイン・ビボ除去のために選択される。疎水性剤は強力な免疫応答を惹起するにおいて最良であり、他方、親水性剤は迅速なイン・ビボ除去で好ましく;かくして、疎水性と親水性間のバランスが確立される必要がある。これは、部分的には、多くの生物部位の固有の疎水性を相殺するために親水性キレート化剤の使用に依拠することによって達成される。また、標的化可能な構築体のサブユニットを選択することができ、それは反対の溶液特性を有する。例えば、そのいくつかが疎水性であるアミノ酸、およびそのいくつかが親水性であるアミノ酸を含有するペプチド。ペプチドとは別に、炭水化物を使用することもできる。
【0071】
2つ程度と少数のアミノ酸残基を有するペプチドを使用してもよく、キレート化剤のような他の部位にもカップリングされるならば、好ましくは2〜10の残基を用いてよい。リンカーは、キレート中に金属イオンを含む、好ましくは、50,000ダルトン未満の、有利には約20,000ダルトン、10,000ダルトン、または5,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量コンジュゲートとすべきである。
【0072】
リンカー部位上の親水性キレート部位の存在は、迅速なイン・ビボ除去を確実とするのを助ける。親水性に加えて、キレーターは、それらの金属結合特性について選択され、および任意に変化させる。というのは、少なくとも、そのbsAbエピトープがペプチドの一部であるか、または非キレート化学的ハプテンであるリンカーについて、金属−キレート複合体の認識はもはや論点ではないからである。
【0073】
それに対して、蛍光分子のような検出可能な標識、または重金属または放射性核種のような細胞傷害性剤をコンジュゲートさせることができる、DTPA、DOTA、TETA、またはNOTAまたは適当なペプチドのようなキレーター。例えば、治療的に有用な免疫コンジュゲートは、光活性剤または色素を抗体融合蛋白質にコンジュゲートさせることによって得ることができる。フルオロクロームのような蛍光組成物、および可視光に対して感受性があるポルフィリンのような他の色原体または色素が、適当な光を病巣に向けることによって病巣を検出し、および処理するのに用いられてきた。療法において、これは光放射、光療法、または光力学療法といわれてきた(Jori et al.(eds.),PHOTODYNAMIC THERAPY OF TUMORS AND OTHER DISEASES(Libreria Progetto 1985);van den Bergh,Chem.Britain 22:430(1986))。さらに、モノクローナル抗体は、光療法を達成するために光活性化色素とカップリングされてきた。Mew et al.,J.Immunol.130:1473(1983);idem.,Cancer Res.45:4380(1985);Oseroff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8744(1986);idem.,Photochem.Photobiol.46:83(1987);Hasan et al.,Prog.Clin.Biol.Res.288:471(1989);Tatsuta et al.,Lasers Surg.Med.9:422(1989);Pelegrin et al.,Cancer 67:2529(1991)。しかしながら、これらのより早い研究は、特に、抗体断片またはサブ断片を使用した、内視鏡療法適用の使用を含まなかった。かくして、本発明では、光活性剤または色素を含む免疫コンジュゲートの治療的使用が考えられる。
【0074】
同一のキレーターは、Mn、FeおよびGdのような非放射性金属と複合体化させた場合、本発明のbsAbと共に用いると、MRIで用いることができる。NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N’,N’’−トリ酢酸)、DOTA、およびTETA(p−ブロモアセタミド−ベンジル−テトラエチルアミンテトラ酢酸)のような大環キレーターは、種々の金属および放射性金属と共に、最も好ましくは、各々、Ga、Y、およびCuの放射性核種と共に用いられるものである。
【0075】
本明細書中で用いるように、用語「予防する」、「予防している」および「予防」とは、予防または治療剤の投与の結果としての、対象における障害の1またはそれ以上の兆候の再発または開始の予防をいう。
【0076】
本明細書中で用いるように、用語「組み合わせた」とは、1を超える予防および/または治療剤の使用をいう。用語「組み合わせた」の使用は、予防および/または治療剤を障害を持つ対象に投与する順序を制限しない。最初の予防または治療剤は、障害を持つ対象への第二の予防または治療剤の投与に先立って(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、該投与と同時に、またはそれに引き続いて(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)投与することができる。
【0077】
「エフェクター機能」とは、本明細書中で用いるように、抗体Fc領域とFc受容体またはリガンドとの相互作用から得られる生化学的事象を意味する。エフェクター機能は、これに限定されるものではないが、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞媒介貪食(ADCP)、および補体媒介細胞傷害性(CMC)を含む。エフェクター機能は、抗原の結合後に作動するもの、および抗原結合から独立して作動するものの双方を含む。
【0078】
「エフェクター細胞」は、本明細書中で用いるように、1またはそれ以上のFc受容体を発現させ、および1またはそれ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を意味する。エフェクター細胞は、これに限定されるものではないが、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、肥満細胞、血小板、大きな顆粒状リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、Tリンパ球、Bリンパ球を含み、これに限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含めたいずれの生物からのものであってもよい。
【0079】
「Fcリガンド」は、本明細書中で用いるように、抗体のFc領域に結合して、Fc−リガンド複合体を形成するいずれの生物からの分子、好ましくはポリペプチドも意味する。Fcリガンドは、これに限定されるものではないが、Fc−ガンマ−RIIA(CD32A)、Fc−ガンマ−RIIB(CD32B)、Fc−ガンマ−RIIIA(CD16A)、Fc−ガンマ−RIIIB(CD16B)、Fc−ガンマ−RI(CD64)、Fc−イプシロン−RII(CD23)、FcRn、C1q、C3、スタフィロコッカスプロテインA、ストレプトコッカスプロテインG、およびウイルスFc.ガンマ.R.を含む。FcリガンドはFcに結合する未発見の分子を含むことができる。
【0080】
好ましい特別な実施形態においては、当該発明は変種Fc領域を含む分子を含み、ここに、該変種Fc領域は、該分子がFcγRに対する改変された親和性を有するように、野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、但し、該変種Fc領域は、Sondermann et al.,2000(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Nature,406:267−273)によって開示されたもののようなFc−FcγR相互作用の結晶学的および構造的分析に基づいてFcγRとの直接的接触をなす位置に置換を有しない。FcγRとの直接的接触を行うFc領域内の位置の例はアミノ酸234〜239(ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297−299(C’/Eループ)、アミノ酸327〜332(F/G)ループである。いくつかの実施形態において、変種Fc領域を含む当該発明の分子は、構造的および結晶学的分析に基づいて、FcγRとの直接的接触をなす少なくとも1つの残基の修飾を含む。
【0081】
本発明の1つの態様は、1またはそれ以上のアミノ酸修飾を持つ変種Fc領域を有する、活性化および/または阻害性受容体に対する改変された親和性を持つ3F8抗体を含み、ここに、該1またはそれ以上のアミノ酸修飾は、位置239におけるアスパラギン酸での、位置330におけるロイシンでの、および位置332におけるグルタミン酸での置換である(実施例13参照)。
【0082】
本発明は、本発明の抗体のFc領域における1またはそれ以上のアミノ酸に対する付加、欠失、および/または置換を持つ変種Fc領域を含む分子を含んで、エフェクター機能を改変し、またはFcRに対する抗体の親和性を増強させ、または減少させる。これらの突然変異は当業者に技量内のものである。従って、本発明は、1またはそれ以上のFcγRsに対するより大きな親和性でもって結合する変種Fc領域を含む分子を含む。そのような分子は、好ましくは、後記で議論されたエフェクター機能をより効果的に媒介する。他の実施形態において、当該発明は、1またはそれ以上のFcγRsに対するより弱い親和性でもって結合する変種Fc領域を含む分子を含む。エフェクター機能の低下または排除は、ある場合には、例えば、その作用メカニズムがブロッキングまたは拮抗作用を含むが、標的抗原を担う細胞の殺傷は含まない抗体の場合に望ましい。エフェクター機能の低下または排除は、エフェクター細胞においてFcγR活性化受容体をブロックしようとする場合、自己免疫疾患の場合において望ましいであろう(機能のこのタイプは宿主細胞に存在するであろう)。一般に、増大したエフェクター機能は、腫瘍および外来性細胞に向けられるであろう。
【0083】
本発明のFc変種は、これに限定されるものではないが、エフェクター機能を改変する修飾を含めた、他のFc修飾と組み合わせてもよい。当該発明は、当該発明のFc変種を他のFc修飾と組み合わせて、抗体またはFc融合において相加的、相乗的、または新規な特性を供することを含む。好ましくは、当該発明のFc変種は、それらが組み合わされる修飾の表現型を増強させる。例えば、当該発明のFc変種が、野生型Fc領域を含む匹敵する分子よりも高い親和性でもってFcγRIIIAに結合することが知られた突然変異体と組み合わせるならば、当該発明の突然変異体との該組合せの結果、FcγRIIIA親和性におけるより大きな倍増強がもたらされる。いくつかの実施形態において、本発明のFc変種は、抗体、または1もしくはそれ以上の作成された糖型、すなわち、Fc領域を含む分子に共有結合により付着した炭水化物組成物を含むFc融合に一体化され、ここに、該炭水化物組成物は、Fc領域を含む親分子のそれとは化学的に異なる。
【0084】
当該発明は、好ましくは、抗体の機能性、例えば、結合活性GD2を改変することなく、修飾されたグリコシル化部位を持つ抗体を含む。本明細書中で用いるように、「グリコシル化部位」は、それにオリゴ糖(すなわち、一緒に連結した2またはそれ以上の単純な糖を含有する炭水化物)が特異的かつ共有結合的に付着した抗体におけるいずれの特異的アミノ酸配列も含む。オリゴ糖側鎖は、典型的には、N−またはO−連結いずれかを介して抗体の骨格に典型的には連結されている。N−結合グリコシル化とは、アスパラギン残基の側鎖へのオリゴ糖部位の付着をいう。O−連結グリコシル化とは、オリゴ糖部位のヒドロキシアミノ酸、例えば、セリン、スレオニンへの付着をいう。フコースおよび末端N−アセチルグルコサミンを含めたある種のオリゴ糖を欠如するFc糖型、hu3F8−H1L1−IgGlnは特殊なCHO細胞において生産され、および増強されたADCCエフェクター機能を増強させた。
【0085】
いくつかの実施形態において、当該発明は、グリコシル化部位を付加または欠失することによって、本発明の抗体の炭水化物含有量を修飾する方法を含む。抗体の炭水化物含有量を修飾する方法は当該分野でよく知られており、および本発明内に含まれる。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,218,149号明細書;欧州特許第0359096号B1明細書;米国公開番号US2002/0028486;国際公開第03/035835号パンフレット;米国公開番号2003/0115614;米国特許第6,218,149号明細書;米国特許第6,472,511号明細書参照。他の実施形態において、当該発明は、抗体の1またはそれ以上の内因性炭水化物部位を欠失することによって、当該発明の抗体の炭水化物含有量を修飾する方法を含む。特別な実施形態において、当該発明は、位置297をアスパラギンからアラニンに修飾することによって、抗体のFc領域のグリコシル化部位を欠失することを含む。
【0086】
作成された糖型は、これに限定されるものではないが、エフェクター機能の増強または低下を含めた、種々の目的で有用であろう。作成された糖型は、当業者に知られたいずれかの方法によって、例えば、作成されたまたは変種の発現株によって、1またはそれ以上の酵素、例えば、DI N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11)での共発現によって、種々の生物におけるFc領域を含む分子、または種々の生物からの細胞系を発現することによって、またはFc領域を含む分子が発現された後に炭水化物を修飾することによって生成させることができる。作成された糖型を生成させるための方法は当該分野で知られており、これに限定されるものではないが、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Umana et al,1999,Nat.Biotechnol 17:176−180;Davies et al.,20017 Biotechnol Bioeng 74:288−294;Shields et al,2002,J Biol Chem 277:26733−26740;Shinkawa et al.,2003,J Biol Chem 278:3466−3473)米国特許第6,602,684号明細書;米国出願第10/277,370号;米国出願第10/113,929号;PCT国際公開第00/61739A1号パンフレット;PCT国際公開第01/292246A1号パンフレット;PCT国際公開第02/311140A1号パンフレット;PCT国際公開第02/30954A1号パンフレット;Potillegent(商標)テクノロジー(Biowa,Inc.Princeton,N.J.);GlycoMAb(商標)グリコシル化エンジニアリングテクノロジー(GLYCART biotechnology AG,Zurich,スイス国)に記載されたものを含む。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第00061739号パンフレット;EA01229125;US20030115614;Okazaki et al.,2004,JMB,336:1239−49参照。
【0087】
本明細書中で用いるように、ポリペプチドまたは蛋白質との関係での用語「誘導体」とは、アミノ酸残基の置換、欠失、または付加の導入によって改変されたアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは蛋白質をいう。用語「誘導体」とは、本明細書中で用いられるように、すなわち、いずれかのタイプの分子のポリペプチドまたは蛋白質への共有結合付着によって修飾されているポリペプチドまたは蛋白質もいう。例えば、これに限定されるものではないが、抗体は、公知の保護/ブロック基蛋白質分解開裂、細胞リガンドまたは他の蛋白質への連結等により、例えば、グリコシル化、アセチル化、peg化、ホスホリル化、アミド化、誘導体化によって修飾されてもよい。誘導体ポリペプチドまたは蛋白質は、これに限定されるものではないが、特異的な化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成等を含めた、当業者に知られた技術を用いて化学的修飾によって生産されてもよい。さらに、誘導体ポリペプチドまたは蛋白質誘導体は、それが由来するポリペプチドまたは蛋白質としての同様なまたは同一の機能を保有する。
【0088】
本明細書中で用いるように、用語「断片」とは、少なくとも5つの連続アミノ酸残基、少なくとも10の連続アミノ酸残基、少なくとも15の連続アミノ酸残基、少なくとも20の連続アミノ酸残基、少なくとも25の連続アミノ酸残基、少なくとも40の連続アミノ酸残基、少なくとも50の連続アミノ酸残基、少なくとも60の連続アミノ酸残基、少なくとも70の連続アミノ酸残基、少なくとも80の連続アミノ酸残基、少なくとも90の連続アミノ酸残基、少なくとも100の連続アミノ酸残基、少なくとも125の連続アミノ酸残基、少なくとも150の連続アミノ酸残基、少なくとも175の連続アミノ酸残基、少なくとも200の連続アミノ酸残基、またはもう1つのポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも連続した250アミノ酸残基を含むペプチドまたはポリペプチドをいう。特別な実施形態において、ポリペプチドの断片は、ポリペプチドの少なくとも1つの機能を保有する。
【0089】
有効量:本明細書中で用いられるように、「有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するのに必要なまたは十分な所与の化合物、コンジュゲートまたは組成物の量をいう。本発明の方法に従った所与の化合物、コンジュゲートまたは組成物の有効量はこの選択された結果を達成する量であり、そのような量は、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載されたアッセイを用い、過度な実験の必要性無くして、当業者によってルーチンの事項として決定することができる。例えば、癌の転移を治療または予防するための有効量は、イン・ビボでの基底膜を横切っての、または内皮層を横切っての腫瘍細胞の移動および侵入を予防するのに必要な量であり得るであろう。該用語は「十分な量」と同義である。いずれかの特定の適用のための有効量は、治療すべき病気、障害または疾患、投与すべき特定の組成物、投与の経路、対象のサイズ、および/または病気または疾患の重症度のような因子に依存して変化し得る。当業者であれば、過度の実験を必要とすることなく、本明細書中で提供されたガイドラインに従って、本発明の特定の化合物、コンジュゲートまたは組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0090】
測定された量との関係で本明細書中で用いるように、用語「約」とは、測定を行い、測定の対象と同様なケアのレベル、および用いる測定機器の精度を行使する当業者によって予測されるであろう測定された量における通常の変動をいう。そうでないことが示されているのでなければ、「約」とは、提供された値の+/−10%の変動をいう。
【0091】
「単離された」ポリペプチドまたはその断片、変種、または誘導体とは、その天然の環境には無いポリペプチドを意図する。精製の特別なレベルは要求されない。例えば、単離されたポリペプチドはその生来のまたは天然の環境から除去することができる。宿主細胞で発現された組換えにより生産されたポリペプチドおよび蛋白質は、いずれかの適当な技術によって分離され、分画され、または部分的にまたは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドがそうであるように、本発明の目的では単離されていると考えられる。
【0092】
また、本発明のポリペプチドとして含まれるのは、これまでのポリペプチドの断片、誘導体、アナログ、または変種、およびそのいずれかの組合せである。抗GD2抗体または抗体ポリペプチドをいう場合の用語「断片」、「変種」、「誘導体」、および「アナログ」は、対応する天然の抗体またはポリペプチド、すなわち、GD2上の1またはそれ以上のエピトープに結合する能力を保有するポリペプチドの抗原結合特性の少なくともいくらかを保持するいずれのポリペプチドも含む。本発明のポリペプチドの断片は、本明細書中の他の個所で議論された特異的抗体断片に加えて、蛋白質分解断片、ならびに欠失断片を含む。本発明による有用な抗GD2抗体および抗体ポリペプチドの変種は、先に記載された断片、およびアミノ酸の置換、欠失、または挿入のため改変されたアミノ酸配列を持つポリペプチドも含む。変種は、天然で起こり得るか、または非天然で起こり得る。非天然で起こる変種は、当該分野で知られた突然変異誘発技術、または非天然アミノ酸を用いて生産することができる。変種ポリペプチドは保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、または付加を含んでもよい。本発明に従って有用な抗GD2抗体および抗体ポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチドで見出されないさらなる特徴を呈するように改変されたポリペプチドである。その例は融合蛋白質を含む。変種ポリペプチドは、本明細書中においては、「ポリペプチドアナログ」ともいわれる。本明細書中で用いるように、抗GD2抗体または抗体ポリペプチドの「誘導体」とは、機能的側鎖基の反応によって化学的に誘導体化された1またはそれ以上の残基を有する主題のポリペプチドをいう。また、「誘導体」として含まれるのは、20の標準アミノ酸の1またはそれ以上の天然に生じるアミノ酸誘導体を含有するペプチドである。例えば、4−ヒドロキシプロリンはプロリンに代えて置換してもよく;5−ヒドロキシリシンはリシンに代えて置換してもよく;3−メチルヒスチジンはヒスチジンに代えて置換してよく;ホモセリンはセリンに代えて置換してよく;およびオルニチンはリシンに代えて置換してよい。
【0093】
治療:本明細書中で用いられるように、用語「治療」、「治療する」、「治療された」、または「治療している」とは、特に、対象が多発性硬化症の進行のような望まれない生理学的変化または障害を予防し、または遅らせる(少なくする)ことにある予防および/または治療をいう。有益なまたは所望の臨床的結果は、これに限定されるものではないが、兆候の軽減、病気の程度の低下、病気の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、病気の進行の遅延または遅れ、病気状態の緩和または寛解、および(部分的または全体的を問わず)緩解を、検出可能であるかまたは検出できないかを問わず、含む。「治療」は、治療を受けるのでなければ、予測された生存と比較して延長される生存を意味することもできる。治療を必要とする者は、疾患または障害を既に持つ者、ならびに疾患または障害を有する傾向がある者、または疾患または障害が予防されるべき者を含む。「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、診断、予後、または療法が望まれるいずれかの対象、特に哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象は、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、ウシ等のような、ヒトおよび他の霊長類、家畜動物、農場動物、および動物園、スポーツ、またはペット動物を含む。
【0094】
ヒト化抗体
1つの実施形態において、本発明によって提供される抗体は、好ましい実施形態においては、他の種に由来する同族抗GD2抗体のヒト化バージョンであるモノクローナル抗体である。ヒト化抗体は組換えDNA技術によって生産された抗体であり、そこでは、抗原結合で必要とされないヒト免疫グロブリン軽鎖または重鎖(例えば、定常領域および可変ドメインのフレームワーク領域)のアミノ酸のいくつかまたは全てを用いて、同族の非ヒト抗体の軽鎖または重鎖からの対応するアミノ酸に代えて置換する。その例として、所与の抗原に対するネズミ抗体のヒト化バージョンは、その重鎖および軽鎖の双方の上に、(1)ヒト抗体の定常領域;(2)ヒト抗体の可変ドメインからのフレームワーク領域;および(3)ネズミ抗体からのCDRを有する。必要であれば、ヒトフレームワーク領域における1またはそれ以上の残基を、ネズミ抗体における対応する位置での残基に変化させて、抗原に対するヒト化抗体の結合親和性を保持することができる。この変化は、時々、「復帰突然変異」と呼ばれる。同様に、正突然変異を行って、所望の理由、例えば、抗原に対する安定性または親和性のためにネズミ配列に戻してもよい。例えば、hu3F8−H1L1−IgG1復帰突然変異が重鎖配列における19位置、および軽鎖における17位置において、結合のイン・ビトロ親和性を維持するために必要であった。ヒト化抗体は、一般に、キメラヒト抗体と比較して、ヒトにおいて免疫応答をあまり惹起しない。なぜならば、前者はかなり少数の非ヒト成分を含有するからである。
【0095】
本発明のヒト化抗体を作成するための適当な方法は、例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Winter EP0239400;Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534−1536(1988);Queen et al.,Proc.Nat.Acad.ScL USA86:10029(1989);米国特許第6,180,370号明細書;およびOrlandi et al.,Proc.Natl.Acad.Sd.USA 86:3833(1989)に記載されている。一般に、ヒト抗体へのネズミ(または他の非ヒト)CDRの移植は以下のように達成される。重鎖および軽鎖可変ドメインをコードするcDNAをハイブリドーマから単離する。CDRを含めた可変ドメインのDNA配列は配列決定によって決定される。CDRをコードするDNAは、所望のイソタイプ(例えば、CHに代えてγ1およびC
Lに代えてK)のヒト定常領域遺伝子セグメントに付着された、ヒト抗体重鎖または軽鎖可変ドメインコーディング配列の対応する領域に挿入され、遺伝子合成される。ヒト化重鎖および軽鎖遺伝子は哺乳動物宿主細胞(例えば、CHOまたはNSO細胞)において共発現されて、可溶性ヒト化抗体を生じる。抗体の大規模な生産を促進するためには、しばしば、プロデューサーラインにおいてDHFR遺伝子またはGS遺伝子を用いて高エクスプレッサーについて選択するのが望ましい。これらのプロデューサー細胞系はバイオリアクター、または中空繊維培養システム、またはWAVE技術において培養して、可溶性抗体のバルク培養を生じさせ、または乳中で抗体を発現するトランスジェニック哺乳動物(例えば、ヤギ、ウシ、またはヒツジ)を生じさせる(例えば、米国特許第5,827,690号明細書参照)。
【0096】
前記したアプローチを用い、3F8抗体のヒト化およびキメラバージョンを生じさせた。軽鎖および重鎖のネズミ3F8可変領域をコードするcDNAを用いて、本明細書中の実施例において記載されたように、ネズミ3F8可変領域が(重鎖では)ヒトIgG1および(軽鎖では)ヒトカッパー定常領域に連結したネズミ−ヒトキメラの発現用のベクターを構築した。加えて、変種グリコシル化を持つhu3F8の新規な形態が、Fc受容体への結合を増強させ、および抗原親和性を増強させるために作り出した。
【0097】
ヒト化3F8抗体を生産するためには、ヒト・アクセプター・フレームワーク・ドメインを、ヒト生殖細胞系の配列に対する相同性マッチングによって選択した。これらの選択されたヒト・アクセプター・フレームワークを用い、軽鎖および重鎖可変ドメインを設計し、および、実施例にて後記するように、各々の多数の変種/バージョンを作り出し、および発現させた。
【0098】
本発明のMoAbの重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を本出願において記載する。当該発明は、さらに、当該発明の抗体およびその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。また、本発明は、ストリンジェントな、またはより低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドも含む。
【0099】
該ポリヌクレオチドは、今や、当該分野で知られたいずれの方法によって得てもよい。例えば、抗体のヌクレオチド配列が知られているので、抗体をコードするポリヌクレオチドを、簡単に述べれば、抗体をコードする配列の部分を含有するオリゴヌクレオチドを重ね、それらのオリゴヌクレオチドをアニールし、および連結させる合成、および次いでの、PCRによる連結されたオリゴヌクレオチドの増幅を含む、(例えば、Kutmeier et al.,BioTechniques 17:242(1994))に記載されたような)化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから組み立ててもよい。
【0100】
別法として、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適当な源からの核酸から生じさせてもよい。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能でないが、抗体分子の配列が知られていれば、免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成してもよく、または配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いるPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に対して特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いてクローン化して、例えば、抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定することによって、適当な源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または当該発明の抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞のような、抗体を発現するいずれかの組織または細胞から生じさせたcDNAライブラリー、またはそれらから単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)から得てもよい。次いで、PCRによって生じさせた増幅された核酸を、当該分野でよく知られたいずれかの方法を用いて複製可能なクローニングベクターにクローン化してもよい。
【0101】
抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されるので、抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCR等(例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.,1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.およびAusubel et al.,eds.,1998,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.に記載された技術参照)についての当該分野でよく知られた方法を用いて操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生じさせて、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を作り出してもよい。
【0102】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA、またはいずれかの他の形態のようなRNAの形態、またはこれに限定されるものではないが、クローニングによって得られるか、または合成により生産されるcDNAおよびゲノムDNA、またはそのいずれかの組合せを含めた、DNAの形態とすることができる。DNAは三本鎖、二本鎖、または一本鎖、またはそのいずれかの組合せとすることができる。DNAまたはRNAの少なくとも1つのストランドのいずれかの部分は、センスストランドとしても知られたコーディングストランドとすることができ、またはそれがアンチセンスストランドともいわれる非コーディングストランドとすることができる。
【0103】
本発明の単離された核酸分子は、選択的に、1またはそれ以上のイントロン、例えば、これに限定されるものではないが、少なくとも1つの重鎖または軽鎖のCDR1、CDR2および/またはCDR3としての、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定の部分と共に、オープン・リーディング・フレーム(ORF)を含む核酸分子;抗GD2抗体についてのコーディング配列または可変領域を含む核酸分子;前記したものとは実質的に異なるヌクレオチド配列を含むが、遺伝子暗号の縮重により、依然として、本明細書中に記載されたような、および/または当該分野で知られたように、少なくとも1つの抗GD2抗体をコードする核酸分子を含むことができる。
【0104】
本発明は、選択的なハイブリダイゼーション条件下で、本明細書中に開示されたポリヌクレオチドにハイブリダイズする単離された核酸を提供する。かくして、本実施形態のポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドを含む核酸を単離し、検出し、および/または定量するために用いることができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを用いて、寄託されたライブラリー中の部分的または全長クローンを同定し、単離し、または増幅することができる。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、単離された、またはそうでなければ、ヒトまたは哺乳動物核酸ライブラリーからのcDNAに相補的なゲノムまたはcDNA配列である。
【0105】
核酸は、便宜には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、配列を含むことができる。例えば、1またはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニング部位を核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離において助けることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離において助けることができる。例えば、ヘキサ−ヒスチジンマーカー配列は、本発明の蛋白質を精製するための便宜な手段を提供する。コーディング配列を除外した−−本発明の核酸は、選択的に、本発明のポリヌクレオチドのクローニングおよび/または発現のためのベクター、アダプター、またはリンカーである。
【0106】
さらなる配列をそのようなクローニングおよび/または発現配列に加えて、クローニングおよび/または発現におけるそれらの機能を最適化し、ポリヌクレオチドの単離において助け、またはポリヌクレオチドの細胞への導入を改良することができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプター、およびリンカーの使用は当該分野でよく知られている(例えば、Ausubel、前掲;またはSambrook、前掲)。
【0107】
前記した単離されたまたは精製された核酸分子、またはその断片のいずれかを含むベクターが本発明によってさらに提供される。前記核酸分子、またはその断片のいずれかを適当なベクターにクローン化することができ、およびそれを用いて、いずれかの適当な宿主を形質転換し、またはトランスフェクトすることができる。ベクターの選択およびそれらを構築するための方法は当業者に通常は知られており、および一般的な技術文献(一般に、「Recombinant DNA Part D,」、Methods in Enzymology,Vol.153,Wu and Grossman,eds.,Academic Press(1987)参照)に記載されている。望ましくは、ベクターは、該ベクターがDNAまたはRNAであるかを考慮し、適切であれば、該ベクターが導入されるべき宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に対して特異的な、転写および翻訳開始および停止コドンのような調節配列を含む。好ましくは、ベクターが、宿主の属に特異的な調節配列を含む。最も好ましくは、ベクターは宿主の種に対して特異的な調節配列を含む。
【0108】
複製系および挿入された核酸に加えて、構築体は、形質転換された、またはトランスフェクトされた宿主の選択を可能とする、1またはそれ以上のマーカー遺伝子を含むことができる。マーカー遺伝子は、殺生物抵抗性、例えば、抗生物質、重金属等に対する抵抗性、原栄養性等を提供するための栄養要求性宿主における補充を含む。
【0109】
適当なベクターは、増殖および拡大のために、または発現または双方のために設計されたものを含む。例えば、クローニングベクターはpUCシリーズ、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla,Calif.)、pETシリーズ(Novagen,Madison,Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Utpsala,スウェーデン国)、およびpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,Calif.)から成る群から選択される。λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149のようなバクテリオファージベクターを用いることもできる。植物発現ベクターの例はpBI110、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)を含む。動物発現ベクターの例は、pEUK−C1、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)を含む。TOPOクローニングシステム(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)もまた製造業者の推薦に従って用いることもできる。
【0110】
発現ベクターは、前記したように、単離されまたは精製された核酸分子に操作可能に連結された天然または非天然プロモーターを含むことができる。プロモーター、例えば、強、弱、誘導性、組織特異的、および発生特異的の選択は当該分野における技量内のものである。同様に、前記したような、核酸分子またはその断片とプロモーターとの組合せもまた当該分野における技量内のものである。
【0111】
適当なウイルスベクターは、例えば、レトロウイルスベクター、パルボウイルスベースのベクター、例えば、アデノ関連ウイルス(AAV)ベースのベクター、AAV−アデノウイルスキメラベクター、およびアデノウイルスベースのベクター、および単純疱疹(HSV)ベースのベクターのようなレンチウイルスベクターを含む。これらのウイルスベクターは、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing AssociatesおよびJohn Wiley & Sons,New York,N.Y.(1994)に記載された標準的な組換えDNA技術を用いて調製することができる。
【0112】
レトロウイルスベクターはレトロウイルスから由来する。レトロウイルスは、広く種々の宿主細胞を感染させることができるRNAウイルスである。感染に際して、レトロウイルスのゲノムはその宿主細胞のゲノムに組み込まれ、宿主細胞DNAと共に複製され、それにより、レトロウイルスゲノムに組み込まれたウイルスRNAおよびいずれかの核酸配列を常に生産する。それ自体、治療因子の長期発現は、レトロウイルスを用いる場合に達成可能である。遺伝子治療で用いるのが考えられるレトロウイルスは比較的非病原性であるが、病原性レトロウイルスが存在する。病原性レトロウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはヒトT細胞リンパ増殖性ウイルス(HTLV)を使用する場合、ウイルスゲノムが改変されて、宿主に対する毒性を排除することに注意を注がなければならない。レトロウイルスベクターは、加えて、操作して、ウイルス複製が不足するようにすることができる。それ自体、レトロウイルスベクターは、イン・ビボにて適当な遺伝子導入で特に有用であると考えられる。HIVベースのベクターのようなレンチウイルスベクターは遺伝子送達で用いられるレトロウイルスベクターの例である。他のレトロウイルスとは異なり、HIVベースのベクターは、それらのパッセンジャー遺伝子を非分裂細胞に組み込むことが知られており、従って、病気の執拗な形態を治療するにおいて用いることができる。
【0113】
選択的に、単離されまたは精製された核酸分子、またはその断片は、もう1つの核酸分子との連結に際して、融合蛋白質をコードすることができる。融合蛋白質の生成は当該分野における通常の技量内のものであり、制限酵素または組換えクローニング技術の使用を含むことができる(例えば、Gateway.TM.(Invitrogen)参照)。また、米国特許第5,314,995号明細書参照。
【0114】
これまでを考慮すると、本発明は、選択的に、ベクターの形態であってよい、前記単離されまたは精製された核酸分子を含む組成物も提供する。組成物は本明細書中においてさらに記載されるように他の成分を含むことができる。
【0115】
また、前記を考慮すると、本発明は、選択的に、ベクターの形態であってもよい、前記した単離または精製された核酸分子を含む宿主細胞を提供する。本発明の細胞は、オリゴヌクレオチドまたはその断片は、共に、細胞によって効果的に転写され、および翻訳されるように、ベクターを発現させるのが最も好ましい。細胞の例は、これに限定されるものではないが、ヒト細胞、ヒト細胞系、E.coli(例えば、E.coli TB−1、TG−2、DH5α、XL−Blue MRF’(Stratagene)、SA2821およびY1090)、B.subtilis、P.aerugenosa、S.cerevisiae、N.crassa、昆虫細胞(例えば、Sf9、Ea4)、および本明細書中で以下に記載された他のものを含む。宿主細胞は、哺乳動物、特にヒトのような動物であり得る宿主中に存在させることができる。
【0116】
用語「ポリペプチド」は本明細書中においては、天然蛋白質、断片、またはポリペプチド配列のアナログをいうように上位概念的用語として用いられる。よって、天然蛋白質断片、およびアナログはポリペプチド属の種である。本発明によるポリペプチドは、配列番号:1、2、4、7、8に表された重鎖免疫グロブリン分子、および配列番号:2、5、6に表された軽鎖免疫グロブリン分子、ならびにカッパ軽鎖免疫グロブリン分子のような軽鎖免疫グロブリン分子と共に重鎖免疫グロブリン分子、およびその逆、ならびにその断片およびアナログを含む組合せによって形成された抗体分子を含む。
【0117】
特定の実施形態において、ルーチン的な組換えDNA技術を用い、1またはそれ以上の本明細書中で同定されたCDRをフレームワーク領域内に挿入することができる。フレームワーク領域は天然に生じるまたはコンセンサスフレームワーク領域、および好ましくはヒトフレームワーク領域(例えば、ヒトフレームワーク領域の一覧については、Chothia et al.,J.Mol.Biol.278:457−479(1998)参照)であってよい。好ましくは、フレームワーク領域およびCDRの組合せによって生じるポリヌクレオチドは、特異的にGD2に結合する抗体をコードする。1またはそれ以上のアミノ酸置換はフレームワーク領域内に作成してもよく、および好ましくは、アミノ酸置換は抗体のその抗原への結合を改良する。加えて、そのような方法を用いて、鎖内ジスルフィド結合に参画して、1またはそれ以上の鎖内ジスルフィド結合を欠如する抗体分子を生じさせる、1またはそれ以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を作成することができる。ヌクレオチドに対する他の改変は本発明によって含まれ、かつ当該分野の技量内に含まれる。
【0118】
完全にヒト型の抗体は、ヒト患者の治療的処置で特に望ましい。ヒト型抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いて前記したファージ提示方法を含めた、当該分野で知られた種々の方法によって作成することができる。この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,444,887号明細書および第4,716,111号明細書;ならびにPCT国際公開第98/46645号パンフレット、国際公開第98/60433号パンフレット、国際公開第98/24893号パンフレット、国際公開第98/16664号パンフレット、国際公開第96/34096号パンフレット、国際公開第96/33735号パンフレット、および国際公開第91/10741号パンフレットも参照されたし。Cole et al.およびBoerder et al.の技術もまたヒトモノクローナル抗体の調製でやはり入手可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Riss,(1985);およびBoerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95、(1991))。
【0119】
他の技術を用いて生産されるが、本発明の抗GD2抗体の可変領域を保持するヒト型抗体は本発明の一部である。ヒト型抗体は、機能的内因性マウス免疫グロブリンを発現できないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて生産することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに、または相同組換えによってマウス胚幹細胞に導入することができる。別法として、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚幹細胞に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、別々に、または相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と同時に非機能的とすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は内因性抗体の生産を妨げる。修飾された胚幹細胞は拡大され、および胚盤胞に微量注入して、キメラマウスを生産する。次いで、キメラマウスを育種して、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生じさせる。トランスジェニックマウスを選択された抗原、例えば、当該発明のポリペプチドの全部または部分で通常の様式で免疫化する。抗原に対して向けられたモノクローナル抗体は、慣用的なハイブリドーマ技術を用いて免疫化したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞の分化の間に再編成され、引き続いて、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。かくして、そのような技術を用い、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を生じさせるのが可能である。ヒト型抗体を生じさせるためのこの技術の概観については、Lonberg and Huszar,Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照されたし。ヒト型抗体およびヒト型モノクローナル抗体を生産するためのこの技術、およびそのような抗体を生産するためのプロトコルの詳細な議論については、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、PCT国際公開第98/24893号パンフレット;国際公開第92/01047号パンフレット;国際公開第96/34096号パンフレット;国際公開第96/33735号パンフレット;欧州特許第0 598 877号明細書;米国特許第5,413,923号明細書;第5,625,126号明細書;第5,633,425号明細書;第5,569,825号明細書;第5,661,016号明細書;第5,545,806号明細書;第5,814,318号明細書;第5,886,793号明細書;第5,916,771号明細書;および第5,939,598号明細書参照。加えて、Abgenix,Inc.(Freemont,Calif.)、Genpharm(San Jose,Calif.)、およびMedarex,Inc.(Princeton,N.J.)のような会社は、前記したのと同様な技術を用いて選択された抗原に対して向けられたヒト型抗体を提供するのに従事できる。
【0120】
また、ヒトMoAbは、ヒト末梢血液白血球、脾臓細胞、または骨髄を移植したマウスを免疫化することによって作成できよう(例えば、XTLのTrioma技術)。選択されたエピトープを認識する完全にヒト型の抗体は、「ガイドされた選択」という技術を用いて生じさせることができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体を用いて、同一のエピトープを認識する完全にヒト型の抗体の選択をガイドする。(Jespers et al.,Bio/technology 12:899−903(1988))。
【0121】
本明細書中で用いるように、「抗GD2抗体」、「抗GD2抗体部分」、または「抗GD2抗体断片」および/または「抗GD2抗体変種」等は、本発明の抗体に取り込むことができる、非ネズミ起源の、好ましくはヒト起源の、重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖定常領域、フレームワーク領域、またはそのいずれかの部分と組み合わせた、本明細書中に記載されたキメラまたはヒト化モノクローナル抗体のいずれかに由来する重鎖または軽鎖またはそのリガンド結合部分の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含有する、免疫グロブリン分子の少なくとも部分を含む分子を含有するいずれの蛋白質またはペプチドも含む。別法として、用語「抗GD2抗体」は、集合的に、または個々に、キメラ抗体ch3F8−IgG1、ch3F8−IgG4、ヒト化モノクローナル抗体hu3F8−H1L1−IgG1、hu3F8H1L2−IgG1、hu3F8H2L1−IgG1、hu3F8−H2L2−IgG1、hu3F8−H1L1−IgGln、hu3F8−H1L1−IgG4、hu3F8−H3L3、hu3F8−H1L1S、hu3F8−H3L3S、huH1−I−ガンマ−1、huH3−I−ガンマ−1、hu3F8−IgG1−DEL抗体、ならびにその断片および領域をいうべきである。そのような抗体はイン・ビトロ、イン・サイチュ、および/またはイン・ビボにて、少なくとも1つの細胞機能を変調し、減少させ、拮抗し、軽減し、緩和し、ブロックし、阻害し、無くする、および/または干渉することができ、ここに、該細胞はGD2を発現する。非限定的例として、本発明の適当な抗GD2抗体、特定の部分または変種はヒトGD2のエピトープに高い親和性を持って結合することができる。
【0122】
用語「抗体」は、さらに、抗体ミメティックスを含めた、または各々が抗GD2抗体に由来する少なくとも1つのCDRを含有する、単一鎖抗体およびその断片を含めた、抗体またはその特定の断片または部分の構造および/または機能を模倣する抗体の部分を含む、抗体、消化断片、その特定の部分および変種を含めることを意図する。機能的な断片は、哺乳動物GD2に結合する抗原結合断片を含む。例えば、これに限定されるものではないが、(例えば、パパイン消化による)Fab、(例えば、ペプシン消化および部分的還元による)Fab’、および(例えば、ペプシン消化による)F(ab’)
2、(例えば、プラスミン消化による)facb、(例えば、ペプシンまたはプラスミン消化による)pFc’、(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再凝集による)Fd、(例えば、分子生物学技術による)FvまたはscFv断片を含めた、GD2に結合することができる抗体断片またはその部分は本発明によって含まれる(例えば、Colligan,Immunology,前掲)。
【0123】
抗体断片は、当該分野で知られているように、および/または本明細書中に記載されたように、酵素開裂、合成、または組換え技術によって生産することができる。抗体は、1またはそれ以上のコドンが天然の停止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて種々の切形形態で生産することもできる。例えば、F(ab’)
2重鎖部分をコードする組合せ遺伝子を設計して、重鎖のCH
1ドメインおよび/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含ませることができる。抗体の種々の部分を、慣用的な技術によって化学的に一緒に連結することができるか、または遺伝子工学技術を用いて連続した蛋白質として調製することができる。
【0124】
本明細書中で用いるように、「キメラ」抗体または「ヒト化」抗体または「CDRグラフト化」は、本明細書中に記載された抗GD2 Ab、または非ネズミ、好ましくはヒト抗体に由来する1またはそれ以上の蛋白質またはペプチドと組み合わせたそれから由来するいずれのCDRのいずれの組合せも含む。当該発明によると、キメラまたはヒト化抗体は、CDRが本明細書中に記載された抗GD2 Abの1またはそれ以上から由来するものを含み、および抗体の少なくとも一部または残りは、1またはそれ以上のヒト抗体に由来する。かくして、抗体のヒト部分は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であるフレームワーク、C
L、C
Hドメイン(または、C
H1、C
H2、C
H3)、ヒンジ、(V
L、V
H)領域を含むことができる。ヒト抗体に由来する抗体の領域はヒト抗体に対して100%同一性を有する必要が無い。好ましい実施形態において、できる限り多くのヒトアミノ酸残基が、免疫原性が無視できるように保持されるが、ヒト残基を必要に応じて修飾して、同時に抗体のヒト化を最大化しつつ、CDRによって形成される抗原結合部位を支持することができる。そのような変化または変動は、選択的にかつ好ましくは、非修飾抗体に対してヒトまたは他の種における免疫原性を保持し、または低下させてよい。ヒト化抗体は、機能的に再編成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核生物または真核生物細胞によって生産することができることを指摘する。さらに、抗体が一本鎖抗体である場合、それは、天然ヒト抗体で見出されないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域を連結させる、2〜約20のグリシンまたは他のアミノ酸残基、好ましくは8〜15のグリシンまたは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含むことができる。そのようなリンカーペプチドはヒト起源のものであると考えられる。
【0125】
抗体のヒト化は、例えば、個々のヒトフレームワークのプールにインフレームにて融合させた非ヒト標的モノクローナル抗体の6つのCDRを含むコンビナトーリアルライブラリーを合成することによって行うことができる。全ての公知の重鎖および軽鎖のヒト生殖系遺伝子の遺伝子代表を含有するヒト・フレームワーク・ライブラリーを利用することができる。次いで、注目する抗原への結合につき、得られたコンビナトーリアルライブラリーをスクリーニングすることができる。このアプローチは、親抗体への結合活性を維持する関係で十分にヒト型フレームワークの最も好都合な組合せの選択を可能とすることができる。次いで、ヒト化抗体は、さらに、種々の技術によって最適化することができる。
【0126】
抗体ヒト化を用いて、マウスまたは他の非ヒト抗体を「十分にヒト型」抗体に発展させることができる。得られた抗体は、出発抗体と同様な結合親和性および特異性を維持しつつ、ヒト配列のみを含有し、マウスまたは非ヒト抗体配列は含有しない。
【0127】
全長抗体分子では、免疫グロブリン遺伝子は、ハイブリドーマ細胞系のゲノムDNAまたはmRNAから得ることができる。抗体の重鎖および軽鎖を哺乳動物ベクター系にクローン化する。二本鎖配列分析でのアセンブリーは記載されている。抗体構築体は他のヒトまたは哺乳動物宿主細胞系において発現させることができる。次いで、注目する発現された抗体の一過性トランスフェクションアッセイおよびウエスタンブロット分析によって確証することができる。最高の生産性を持つ安定な細胞系は、迅速なアッセイ方法を用いて単離し、およびスクリーニングすることができる。
【0128】
本発明の少なくとも1つの抗GD2抗体は、選択的に、当該分野でよく知られているように、細胞系、混合細胞系、不滅化細胞または不滅化細胞のクローン集団によって生産することができる。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1987−2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2.sup.nd Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)。Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,N.Y.,(1997−2001)参照。
【0129】
1つのアプローチにおいて、ハイブリドーマは、適当な不滅細胞系(例えば、これに限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT TV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL−60、MLA 144、NAMAIWA、NEURO 2Aのような骨髄腫細胞系)等、またはヘテロ骨髄腫その融合産物、またはそれから由来するいずれかの細胞または融合細胞、または当該分野で知られたいずれかの他の適当な細胞系(例えば、www.atcc.org,www.lifetech.com.等参照)を、これに限定されるものではないが、単離されまたはクローン化された脾臓、末梢血液、リンパ、扁桃、または他の免疫またはB細胞含有細胞、または内因性または異種核酸いずれかとしての、組換えまたは内因性、ウイルス、細菌、海藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、めん羊、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAまたはRNA、葉緑体DNAまたはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖または三本鎖のハイブリダイズされた、またはそのいずれかの組合せのような抗体生産細胞と重鎖または軽鎖定常または可変またはフレームワークまたはCDR配列を発現するいずれか他の細胞と融合させることによって生産される。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ausubel,前掲,およびColligan,Immunology,前掲,Chapter 2参照。
【0130】
いずれかの他の適当な宿主細胞を、本発明の抗体、特定の断片またはその変種をコードする異種または内因性核酸で用いることもできる。融合された細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞は、選択的培養条件または他の適当な公知の方法を用いて単離し、限界希釈法または細胞ソーティング、または他の公知の方法によってクローン化することができる。所望の特異性を持つ抗体を生産する細胞は、適当なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0131】
本発明の抗体は、少なくとも1つの抗GD2抗体をコードする核酸を用いて調製して、それらの乳中にそのような抗体を生産する、トランスジェニック動物、またはヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ等のような哺乳動物を提供することもできる。そのような動物は公知の方法を用いて提供することができる。例えば、これに限定されるものではないが、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,827,690号明細書;第5,849,992号明細書;第4,873,316号明細書;第5,849,992号明細書;第5,994,616号明細書、第5,565,362号明細書;第5,304,489号明細書参照。
【0132】
本発明の抗体は、加えて、少なくとも1つの抗GD2抗体をコードする核酸を用いて調製して、そのような抗体、特定の部分または変種を、植物の部分において、またはそれから培養した細胞において生産するトランスジェニック植物および培養された植物細胞(例えば、これに限定されるものではないが、タバコおよびトウモロコシ)を提供することができる。非限定的例として、組換え蛋白質を発現するトランスジェニックタバコの葉を首尾よく用いて、例えば、誘導性プロモーターを用い、大量の組換え蛋白質が提供されている。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95−118(1999)およびそこに引用された文献参照。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系で生産された、または天然源から生成されたものと同等な生物学的活性でもって、商業的生産レベルで哺乳動物蛋白質を発現するのに用いられてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127−147(1999)およびそこに引用された文献参照。また、抗体は、タバコの種子およびトマトの塊茎を含めた、単一鎖抗体(svFv’)のような抗体断片を含めた、トランスジェニック植物種子を大量に生産してきた。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101−109(1998)およびそこに引用された文献参照。かくして、本発明の抗体は、公知の方法に従い、トランスジェニック植物を用いて生産することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99−108(October,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522−7(1995);Ma et al.,Plant Physiol.109:341−6(1995);Whitelam et al.,Biochem Soc.Trans.22:940−944(1994);およびそこに引用された文献参照。前記文献の各々は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
抗GD2抗体は、これに限定されるものではないが、プロテインA精製、プロテインG精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈澱、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含めたよく知られた方法によって組換え細胞培養から回収し、および精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製のために使用することもできる。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Colligan,Current Protocols in Immunology,またはCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,N.Y.,(1997−2001)、例えば、chapters 1、4、6、8、9、および10参照。
【0134】
本発明の抗体は、天然で精製された産物、化学的合成手法の産物、および例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含めた真核生物宿主から組換え技術によって生産された産物を含む。組換え生産手法において使用された宿主に依存して、本発明の抗体はグリコシル化することができ、またはグリコシル化しなくてもよく、グリコシル化されたのが好ましい。そのような方法は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sambrook,前掲,Sections 17.37〜17.42;Ausubel,前掲,Chapters 10、12、13、16、18および20、Colligan,Protein Science,前掲,Chapters 12〜14のような多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0135】
精製された抗体は、例えば、ELISA、ELISPOT、フローサイトメトリー、免疫細胞学、Biacore(商標)分析、Sapidyne KinEXA(商標)動態学的排除アッセイ、SDS−PAGE、およびウエスタンブロットによって、またはHPLC分析によって、ならびに本明細書中に開示された多数の他の機能的アッセイによって特徴付けることができる。
【0136】
典型的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する少なくとも1つのプロモーターエレメント、抗体コーディング配列、および転写の停止および転写体のポリアデニル化で必要なシグナルを含有する。さらなるエレメントはエンハンサー、Kozak配列、およびRNAスプライシングのためのドナーおよびアクセプター部位によって近接挟まれた介入配列を含む。高度に有効な転写は、SV40からの前期および後期プロモーター、レトロウイルスからのロング・ターミナル・リピート(LTRS)、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のRSV、HTLVI、HIVIおよび初期プロモーターで達成することができる。しかしながら、細胞エレメントを用いることのできる(例えば、ヒト・アクチン・プロモーター)。本発明を実施するのに用いられる適当な発現ベクターは、例えば、pIRESlneo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSN、またはpLNCX(Clonetech Labs,Palo Alto,Calif.)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)またはpcDNA3.1/Hygro(+/−)(Invitrogen),PSVLおよびPMSG(Pharmacia,Uppsala,スウェーデン国)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)およびpBC12MT(ATCC 67109)のようなベクターを含む。用いることができる哺乳動物宿主細胞は、ヒトHeLa293、H9、およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCV 1、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
【0137】
別法として、遺伝子は、染色体に組み込まれた遺伝子を含有する安定な細胞系で発現させることができる。DHFR、GPT、ネオマイシン、またはヒグロマイシンのような選択マーカーでの共トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能とする。
【0138】
トランスフェクトされた遺伝子を増幅させて、大量のコードされた抗体を発現させることもできる。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、注目する遺伝子の数百または数千さえのコピーを運ぶ細胞系を開発するのに有用である。もう1つの有用な選択マーカーは酵素グルタミンシンターゼ(GS)(Murphy,et al.,Biochem.J.227:277−279(1991);Bebbington,et al.,Bio/Technology 10:169−175(1992))である。これらのマーカーを用い、哺乳動物細胞を選択的培地で成長させ、最高の抵抗性を持つ細胞が選択される。これらの細胞系は、染色体に組み込まれた増幅された遺伝子を含有する。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、しばしば、抗体の生産で用いられる。
【0139】
本発明によると、抗CD2抗体は、ch3F8−IgG1、ch3F8−IgG4、hu3F8−H1L1−IgG1、hu3F8−H1L2−IgG1、hu3F8−H2L1−IgG1、hu3F8−H2L2−IgG1、hu3F8−H1L1−IgG1n、hu3F8−H1L1−IgG4、hu3F8−H3L3、hu3F8−H1L1S、hu3F8−H3L3S、huH1I−ガンマ−1、huH3I−ガンマ−1、hu3F8−IgG1−DEL抗体、または可変領域またはCDRがch3F8−IgG1、ch3F8−IgG4、hu3F8−H1L1−IgG1、hu3F8−H1L2−IgG1、hu3F8−H2L1−IgG1、hu3F8−H2L2−IgG1、hu3F8−H1L1−IgG1n、hu3F8−H1L1−IgG4、hu3F8−H3L3、hu3F8−H1L1S、hu3F8−H3L3S、huH1T−ガンマ1、huH3I−ガンマ1、hu3F8−IgG1−DEL抗体のいずれかに由来し、かつ抗体のフレームワークおよび定常領域が1またはそれ以上のヒト抗体に由来する抗体のいずれか1つを含む。抗体から由来する可変領域またはCDRは、好ましくは、抗体がGD2に結合する能力を維持する限り、天然突然変異からの、またはヒト操作からの置換、挿入、および欠失を含めたいずれかのおよび全ての修飾が考えられるが、ch3F8−IgG1、ch3F8−IgG4、hu3F8−H1L1−IgG1、hu3F8−H1L2−IgG1、hu3F8−H2L1−IgG1、hu3F8−H2L2−IgG1、hu3F8−H1L1−IgG1n、hu3F8−H1L1−IgG4、hu3F8−H3L3、hu3F8−H1L1S、hu3F8−H3L3S、huH1I−ガンマ1、huH3I−ガンマ1、hu3F8−IgG1−DELのいずれかの可変領域またはCDRに対して約90%〜約100%同一性を有する。ヒト抗体から由来するキメラ、ヒト化またはCDRグラフト化抗体の領域は、ヒト抗体に対して100%同一性を有する必要は無い。好ましい実施形態において、できる限り多くのヒトアミノ酸残基が、免疫原性が無視できるが、ヒト残基、特にフレームワーク領域の残基が必要に応じて、および本発明に従って後に本明細書中で教示されるように置換されるように保持される。本明細書中に開示されたそのような修飾は、抗体のヒト化を同時に最大化しつつ、CDRによって形成された抗原結合部位を支持する必要がある。
【0140】
本明細書中に記載された配列と実質的に同一であるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含む配列を含む。保存的アミノ酸置換とは、最初のアミノ酸の、該最初のアミノ酸のそれと同様な化学的および/または物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第二のアミノ酸による置き換えをいう。保存的置換は、以下のグループ内での1つのアミノ酸のもう1つのアミノ酸による置き換えを含む:リシン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパルテート(D)およびグルタメート(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、およびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、およびグリシン(G);F、WおよびY;C、S、およびT。
【0141】
勿論、当業者が行うアミノ酸置換の数は、前記したものを含めた多くの因子に依存する。一般的にいえば、いずれかの所与の抗GD2抗体、断片または変種についてのアミノ酸置換、挿入、または欠失の数は、本明細書中で特定されるように、1〜30のような、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1を超えず、またはその中のいずれかの範囲または値であろう。
【0142】
機能に必須の本発明の抗GD2抗体におけるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャンニング突然変異誘発のような当該分野で知られた方法によって同定することができる(例えば、Ausubel、前掲、Chapters 8、15;Cunningham and Wells,Science 244:1081−1085(1989))。後者の手法は、分子中でのあらゆる残基において単一のアラニン突然変異を導入する。次いで、得られた突然変異体分子を、これに限定されるものではないが、少なくともGD2への結合のような生物学的活性についてテストする。抗体結合で臨界的である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴、または光親和性標識のような構造分析によって同定することもできる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:899−904(1992)およびde Vos,et al.,Science 255:306−312(1992))。
【0143】
抗GD2抗体は、さらに、選択的に、本明細書中に記載された配列の少なくとも1つに由来するCDRの連続アミノ酸の70〜100%のうちの少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。
【0144】
1つの実施形態において、免疫グロブリン鎖、またはその部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、表1〜4における少なくとも1つの配列のアミノ酸配列に対して約70〜100%同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその中のいずれかの範囲もしくは値)を有する。
【0145】
例示的な重鎖および軽鎖可変領域の配列が本明細書中で提供される。本発明の抗体、またはその特定の変種は、本発明の抗体からのいずれかの数の連続アミノ酸残基を含むことができ、ここに、その数は抗GD2抗体における連続残基の数の10〜100%よりなる整数の群から選択される。選択的に、連続アミノ酸のこの配列は、長さは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250もしくはそれ以上のアミノ酸であるか、またはその中のいずれかの範囲もしくは値である。さらに、そのようなサブ配列の数は、少なくとも2、3、4、または5のような1〜20よりなる群から選択されるいずれかの整数であり得る。
【0146】
本発明に従うと、配列番号:11〜22に記載された核酸配列および抗GD2抗体の可変領域(軽鎖および重鎖)の推定されたアミノ酸配列が配列番号:1〜10に記載されている。重鎖および軽鎖可変領域の各々は、組み合わされて抗原結合部位を形成する3つのCDRを含有する。3つのCDRは、主としてCDRを支持するように機能する4つのフレームワーク領域によって囲まれている。重鎖および軽鎖の可変領域の配列内のCDRの配列は、Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th ed.,合衆国厚生省、合衆国政府印刷局,Washington,D.C.におけるKabat et al.(1987)に従ったコンピューター援助整列によって、または例えば、Levitt(1983)J.Mol.Biol.168:595によって記載されたENCADプログラムを利用する可変領域の分子モデリングによって同定することができる。
【0147】
本発明のヒト化抗体、断片、および領域の定常(C)領域をコードするヒト遺伝子は、公知の方法によって、ヒト胎児肝臓ライブラリーに由来することができる。ヒトC領域遺伝子は、ヒト免疫グロブリンを発現し、および生産するものを含めたいずれかのヒト細胞に由来することができる。ヒトC
H領域は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、イプシロン、およびG1、G2、G3、およびG4のようなそのサブタイプを含めた、ヒトH鎖の公知のクラスまたはイソタイプのいずれかに由来することができる。H鎖イソタイプは抗体の種々のエフェクター機能を担っているので、C
H領域の選択は、補体固定、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における活性のような望まれるエフェクター機能によってガイドされるであろう。好ましくは、C
H領域はガンマ1(IgG1)またはガンマ4(IgG4)に由来する。
【0148】
ヒトC
L領域はヒトL鎖のイソタイプ、カッパまたはラムダいずれか、好ましくはカッパに由来することができる。
【0149】
ヒト免疫グロブリンC領域をコードする遺伝子は、標準的なクローニング技術(Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2.sup.nd Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)およびAusubel et al.,eds.Current Protocols in Molecular Biology(1987−1993))によってヒト細胞から得られる。ヒトC領域遺伝子は、L鎖の2つのクラス、H鎖の5つのクラスおよびそのサブクラスを表す遺伝子を含有する公知のクローンから容易に入手できる。
【0150】
抗体の可変領域の配列は、キメラ抗体がヒトGD2に結合する能力を維持する程度まで、挿入、置換、および欠失によって修飾することができる。当業者であれば、以下に記載される機能アッセイを行うことによってこの活性の維持を確認することができる。可変領域は、例えば、後に同定される可変領域に対して約50%〜約100%相同性を有することができる。好ましい実施形態において、抗体の可変領域は、後に同定される可変領域に対して約80%〜約100%相同性を有する。より好ましい実施形態において、可変領域は、後に同定される可変領域に対して約90%〜約100%相同性を有する。
【0151】
1つの特別な態様において、開示の好ましい抗GD2 Mabは本明細書中で同定された配列に対して95%、96%、97%、98%、または99%アミノ酸配列相同性を有する可変軽鎖領域を含み、さらに、本明細書中で同定された配列に対して95%、96%、97%、98%、または99%アミノ酸配列相同性を有する可変重鎖領域を含む。
【0152】
好ましくは、本発明の抗体または抗体の抗原結合断片またはその特定の部分または変種はヒトGD2に結合し、それにより、部分的にまたは実質的に1つのGD2蛋白質または断片を中和し、それにより、GD2を介して媒介される活性を阻害する。本明細書中で用いられるように、用語「中和抗体」とは、アッセイに依存して、約20〜120%だけ、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%またはそれ以上だけ、GD2依存性活性を阻害することができる抗体をいう。GD2依存性活性を阻害する抗GD2抗体の能力は、本明細書中に記載されているように、および/または当該分野で知られているように、好ましくは、少なくとも1つの適当なアッセイによって評価される。
【0153】
述べられたように、当該発明は、本明細書中に記載されたアミノ酸配列と実質的に同一である配列における、アミノ酸を含む、抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖、およびCDRにも関する。そのような抗GD2抗体は、本明細書中で特定されるように、天然突然変異またはヒト操作いずれかからの、1またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または付加を含むことができる。好ましくは、そのような抗体または抗原または結合断片およびそのような鎖またはCDRを含む抗体は、高い親和性で持って、ヒトGD2に結合することができる。当業者であれば認識するであろうように、本発明は、本発明の少なくとも1つの生物学的に活性な抗体を含む。生物学的に活性な抗体は、天然の(非合成)、内因性または関連するかつ公知の抗体のそれの少なくとも20%、30%、または40%、好ましくは少なくとも50%、60%、または70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、または95%〜100%の特異的活性を有する。酵素活性および基質特異性の指標をアッセイし、および定量する方法は当業者によく知られている。
【0154】
もう1つの態様において、本発明は、有機部位の共有結合による付着によって修飾された、本明細書中で記載されたようなヒト抗体および抗原結合断片に関する。そのような修飾は改良された薬物動態学的特性(例えば、増大したイン・ビボ血清中半減期)でもって抗体または抗原結合断片を生じさせることができる。有機部位は線状または分岐した親水性ポリマー基、脂肪酸基、または脂肪酸エステル基であり得る。特別な実施形態において、親水性ポリマー基は約800〜約120,000ダルトンの分子量を有することができ、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー、またはポリビニルピロリドンであり得るが、脂肪酸または脂肪酸エステル基は約8〜約40の炭素原子を含み得る。
【0155】
当該発明の修飾された抗体および抗原結合断片は、該抗体に直接的にまたは間接的に共有結合した1またはそれ以上の有機部位を含むことができる。当該発明の抗体または抗原結合断片に結合した各有機部位は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。本明細書中で用いるように、用語「脂肪酸」はモノ−カルボン酸およびジ−カルボン酸を含む。「親水性ポリマー基」は、該用語を本明細書中で用いるように、オクタンに水よりもより溶解する有機ポリマー、例えば、ポリリシンをいう。かくして、ポリリシンの共有結合付着によって修飾された抗体は本発明によって含まれる。本発明の抗体を修飾するのに適した親水性ポリマーは、線状または分岐状であり得るが、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ−ポリエチレングリコール(mPEG)、PPG等)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖等)、親水性アミノ酸のポリマー、(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパルテート等)、ポリアルカンオキサイド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)、およびポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、別々の分子存在として、約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、転写体がダルトンで表してポリマーの平均分子量であるPEG
5000およびPEG
20,000を用いることができる。親水性ポリマー基は1〜約6のアルキル、脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換された親水性ポリマーは、適当な方法を使用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーは脂肪酸または脂肪酸エステルのカルボキシレートにカップリングさせることができ、および脂肪酸または脂肪酸エステル上の(例えば、N,N−カルボニルジイミダゾールで活性化された)活性化されたカルボキシレートはポリマー上のヒドロキシル基にカップリングさせることができる。
【0156】
本発明の抗体を修飾するのに適当な脂肪酸および脂肪酸エステルは、飽和とすることができ、または不飽和の1もしくはそれ以上の単位を含有することができる。当該発明の抗体を修飾するのに適した脂肪酸は、例えば、n−ドデカノエート、n−テトラデカノエート、n−オクタデカノエート、n−エイコサノエート、n−ドコサノエート、n−トリアコンタノエート、n−テトラコンタノエート、シス−.デルタ.9−オクタデカノエート、全てのシス−.デルタ.5,8,11,14−エイコサテトラエノエート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸等を含む。適当な脂肪酸エステルは、線状または分岐状の低級アルキル基を含むジカルボン酸のモノ−エステルを含む。低級アルキル基は、1〜約12、好ましくは1〜約6の炭素原子を含むことができる。
【0157】
修飾されたヒト抗体および抗原結合断片は、1またはそれ以上の修飾剤での反応によるような、適当な方法を用いて調製することができる。「修飾剤」とは、該用語が本明細書中で用いられるように、活性化基を含む適当な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)をいう。「活性化基」は、適当な条件下で、第二の化学基と反応し、それにより、修飾剤と第二の化学基との間の共有結合を形成することができる化学部位または機能的基である。例えば、アミン反応性活性化基は、トシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)のような親電子基を含む。チオールと反応することができる活性化基は、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)等を含む。アルデヒド機能性基はアミン−またはヒドラジド含有分子にカップリングさせることができ、およびアジド基は酸化リン基と反応させて、ホスホルアミデートまたはホスホルイミド連結を形成することができる。活性化基を分子に導入するための適当な方法は当該分野で知られている(例えば、Hernanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,Calif.(1996)参照)。活性化基は直接的に有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に結合させることができ、またはリンカー部位、例えば、二価C
1−C
12基を介して結合させることができ、ここに、1またはそれ以上の炭素原子は酸素、窒素、または硫黄のようなヘテロ原子によって置き換えることができる。適当なリンカー部位は、少数の名称を挙げれば、例えば、テトラエチレングリコール、−−(CH
2)
3−−、−−NH−−。リンカー部位を含む修飾剤は、例えば、モノ−Boc−アルキルジアミン(例えば、モノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレート間にアミド結合を形成することによって生じさせることができる。Boc保護基は、トリフルオロ酢酸(TFA)での処理によって生成物から除去して、記載されたようにもう1つのカルボキシレートにカップリングさせることができる第一級アミンを露出させることができまたは無水マレイン酸と反応させることができ、および得られた生成物は環化させて脂肪酸の活性化されたマレイミド誘導体を生じさせることができる。(例えば、この参照によりこの教示全体が本明細書に組み込まれる、Thompson,et al.,国際公開第92 16221号パンフレット参照)。
【0158】
当該発明の修飾された抗体は、ヒト抗体または抗原結合断片を修飾剤と反応させることによって生じさせることができる。例えば、有機部位を、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを使用することによって、非部位特異的な様式で抗体に結合させることができる。修飾されたヒト抗体または抗原結合断片は、抗体または抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって調製することもできる。次いで、還元された抗体または抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、当該発明の修飾された抗体を生じさせることができる。本発明の抗体の特異的部位に結合する有機部位を含む修飾されたヒト抗体および抗原結合断片は、逆蛋白質分解(Fisch et al.,Bioconjugate Chem.,3:147−153(1992);Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411−417(1994);Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233−2241(1997);Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1):59−68(1996);Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456−463(1997))、およびHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,Calif.(1996)に記載された方法のような適当な方法を用いて調製することができる。
【0159】
当該発明の抗体は、以下に示すように、広い範囲の親和性(K
D)でもってヒトGD2と結合することができる。
【0160】
抗原に対する抗体の親和性または結合活性はいずれかの適当な方法を用いて実験的に決定することができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody−Antigen Interactions」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);および本明細書中で記載された方法参照)。特定の抗体−抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定するならば変化し得る。かくして、親和性および他の抗原結合パラメーターの測定は、好ましくは、抗体−抗原の標準化された溶液、および本明細書中で記載された緩衝液のような標準化された緩衝液でなされる。
【0161】
本発明の方法および組成物で有用な抗GD2抗体は、GD2への結合、好ましくは低い傷害性を有することによって特徴付けられる。特に、可変領域、定常領域、およびフレームワークのような個々の成分が個々に、および/または集合的に、選択的に、かつ好ましくは低い免疫原性を保有する、本発明の抗体、特定の断片、または変種は、本発明で有用である。本発明で用いることができる抗体は選択的に、兆候の測定可能な緩和ならびに低いおよび/または許容される傷害性でもって延長された期間の間患者を治療するそれらの能力によって特徴付けられる。低いまたは許容される免疫原性および/または親和性ならびに他の適当な特性は、達成される治療的結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書中においては、治療された患者の約75%未満、また好ましくは約50%未満において、有意なHAHA、HACAまたはHAMA応答を生起させる、および/または治療された患者において低い力価を生起させるとして定義される(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Elliott et al.,Lancet 344:1125−1127(1994))。
【0162】
少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナルのヒト化された抗体である二特異的、ヘテロ特異的、へテロコンジュゲートまたは同様な抗体を用いることもできる。本場合においては、結合特異性の1つは少なくとも1つのGD2蛋白質に対するものであり、他の1つはいずれかの他の抗原に対するものである。二特異的抗体を作成するための方法は当該分野で知られている。伝統的には、二特異的抗体の組換え生産は、免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対の共発現に基づくものであり、ここに、2つの重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダム仕分けのため、これらのハイブリドーマ(クワドローマ)は、そのうちただ1つが正しい二特異的構造を有する、10の異なる抗体分子の可能な混合物を生じる。通常はアフィニティークロマトグラフィーの工程によってなされる正しい分子の生成はむしろ面倒であり、および生成物の収率は低い。同様な手法が、例えば、この参照により各々この全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第93/08829号パンフレット、米国特許第6,210,668号明細書、第6,193,967号明細書、第6,132,992号明細書、第6,106,833号明細書、第6,060,285号明細書、第6,037,453号明細書、第6,010,902号明細書、第5,989,530号明細書、第5,959,084号明細書、第5,959,083号明細書、第5,932,448号明細書、第5,833,985号明細書、第5,821,333号明細書、第5,807,706号明細書、第5,643,759号明細書、第5,601,819号明細書、第5,582,996号明細書、第5,496,549号明細書、第4,676,980号明細書、国際公開第91/00360号パンフレット、国際公開第92/00373号パンフレット、EP03089、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986);Chan and Carter,2010,Nature Rev.10,301−316;Weiner et al.,2010,Nature Rev.10,317−327に開示されている。
【0163】
ある実施形態においては、GD2に結合する抗体はコンジュゲートしていない形態で用いることができる。他の実施形態において、GD2に結合する抗体は、例えば、検出可能な標識、薬物、プロドラッグ、または同位体にコンジュゲートさせることができる。
【0164】
腫瘍細胞の転移の可能性の尺度として、または組織におけるイン・サイチュ癌腫(例えば、DCISまたはLCIS)を同定する方法として、細胞または組織においてGD2発現を検出する方法のような、以下により詳細に記載される当該発明のある方法において、抗GD2抗体を1またはそれ以上の検出可能な標識にコンジュゲートさせる。そのような使用では、抗体は、色原体、酵素、放射性同位体、同位体、蛍光、毒性、ケミルミネセント、核磁気共鳴コントラスト剤、または他の標識の共有結合または非共有結合付着によって検出可能に標識することができる。
【0165】
適当な色原体標識の例はジアミノベンジジンおよび4−ヒドロキシアゾ−ベンゼン−2−カルボン酸を含む。
【0166】
適当な酵素標識の例はリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、Δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母−アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼを含む。
【0167】
適当な放射性標識の例は
3H、
111In、
1251、
1311、
32P、
35S、
14C、
51Cr、
57To、
58Co、
59Fe、
75Se、
152Eu、
90y、
67Cu、
217Ci、
211At、
212Pb、
47Sc、
109Pd等を含む。
111Inは好ましい同位体であり、ここに、それが肝臓による
125Iまたは
131I標識GD2結合抗体の脱ハロゲン化の問題を回避するので、イン・ビボイメージングが用いられる。加えて、この放射性ヌクレオチドはイメージングに対してより好都合なガンマ発光エネルギーを有する(Perkins et al,Eur.J.Nucl.Med.70:296−301(1985);Carasquillo et al.,J.Nucl.Med.25:281−287(1987))。例えば、1−(P−イソチオシアナトベンジル)−DPTAと共にモノクローナル抗体にカップリングした
111Inは非腫瘍性組織、特に肝臓においてほとんど摂取を示さず、従って、腫瘍の局所化の特異性を増強させる(Esteban et al.,J.Nucl.Med.28:861−870(1987))。
【0168】
適当な非放射性同位体標識の例は
157Gd、
55Mn、
162Dy、
52Tr、および
56Feを含む。
【0169】
適当な蛍光標識の例は
152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光蛋白質(GFP)標識、o−フタルデヒド標識、およびフルオレスカミン標識を含む。
【0170】
適当なトキシン標識の例はジフテリアトキシン、リシン、およびコレラトキシンを含む。
【0171】
ケミルミネセント標識の例はルミノール標識、イソルミノール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、オキサレートエステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、およびエクオリン標識を含む。
【0172】
核磁気共鳴コントラスト剤の例はGd、Mn、および鉄のような重金属核を含む。
【0173】
前記した標識を抗GD2抗体に結合させるための典型的な技術は、Kennedy et al.,Clin.CMm.Acta 70:1−31(1976)、およびSchurs et al,Clin.CMm、Acta 81:1−40(1977)によって提供される。後者で述べたカップリング技術はグルタルアルデヒド方法、過ヨウ素酸塩方法、ジマレイミド方法、m−マレイミドベンジル−n−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル方法であり、その全ての方法はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0174】
外科的処置に続いての残存腫瘍細胞の切除、または転移の予防のような当該発明のある種の治療的アプローチで用いるためには、抗GD2抗体を1またはそれ以上の薬物、プロドラッグまたは同位体にコンジュゲートすることができる。好ましいそのようなコンジュゲートは、1またはそれ以上の細胞傷害性剤にコンジュゲートされた、GD2に結合する、1またはそれ以上のリガンド、例えば、1またはそれ以上の抗体またはその断片、誘導体または変種を含み;そのようなコンジュゲートは、当該発明によって提供される腫瘍転移の治療および予防の方法で有用である。当該発明のあるそのような実施形態によると、抗GD2抗体は細胞傷害性剤にコンジュゲートされる。抗GD2抗体−細胞傷害性剤コンジュゲートの生成において有用な細胞傷害性、例えば、化学治療剤は当該分野でよく知られており、これに限定されるものではないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、メルファラン、ドキソルビシン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、エトポシド、メクロレタミン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、微小管ポイズン、およびバンレイシ科アセトゲニンを含む。当該発明のこの態様に従って用いるのに適した他の化学治療剤はよく知られており、当業者は精通しているであろう。
【0175】
1またはそれ以上の抗GD2抗体、およびカリケアミシン、マイタンシン(米国特許第5,208,020号明細書)、トリコセン、およびCC1065のような1またはそれ以上の小分子トキシンもまた本明細書中において考えられる。当該発明の1つの実施形態において、抗GD2抗体は1またはそれ以上のマイタンシン分子(例えば、抗GD2抗体当たり約1〜約10のマイタンシン分子)にコンジュゲートされる。マイタンシンは、例えば、May−SS−Meに変換することができ、これはMay−SH3に還元することができ、および修飾された抗GD2抗体と反応させて(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))、マイタンシノイド−抗GD2抗体コンジュゲートを生じさせることができる。
【0176】
別法として、抗GD2抗体は1またはそれ以上のカリケアミシン分子にコンジュゲートさせることができる。抗生物質のカリケアミシンファミリーは、ピコモル下濃度において二本鎖DNA破壊を生じさせることができる。カリケアミシンの構造的アナログを用いることができる(Hinman et al.Cancer Research 53:3336−3342(1993)およびLode et al.Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
【0177】
1またはそれ以上の抗GD2抗体とのコンジュゲートを生じさせるのに用いることができる酵素的に活性なトキシンおよびその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリアトキシンの非結合性活性断片、(Pseudomonas aeruginosaからの)エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleuritesfordii蛋白質、ジアンチン蛋白質、Phytolaca americana蛋白質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリフトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンを含む。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、1993年10月28日に英語で公開された国際公開第93/21232号パンフレット参照。マイタンシノイドもまた1またはそれ以上の抗GD2抗体にコンジュゲートすることもできる。
【0178】
本発明では、さらに、核酸分解活性を持つ化合物(例えば、リボヌクレアーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼのようなDNAエンドヌクレアーゼ;DNアーゼ)とコンジュゲートさせた抗GD2抗体が考えられる。
【0179】
当該発明の治療方法で用いられる放射性コンジュゲーテッド抗GD2抗体の生産のために、種々の放射性同位体も入手可能である。その例は
211At、
131I、
1251、
90Y、
186Re、
188Re、
153Sm、
212Bi、
32P、およびLuの放射性同位体を含む。
【0180】
抗GD2抗体および細胞傷害性剤のコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−I−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、(ジメチルアジピミレート)HClのような)イミドエステルの二官能性誘導体、(ジスクシンイミジルスベレートのような)活性なエステル、(グルタルアルデヒドのような)アルデヒド、(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンのような)his−アジド化合物、(ビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのような)ビス−ジアゾニウム誘導体、(トリレン2,6−ジイソシアネートのような)ジイソシアネート、および(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンのような)ビス−活性フッ素化合物のような種々の二官能性蛋白質カップリング剤を用いて作成することができる。例えば、リシンイミュノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。
14炭素−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗GD2抗体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート化剤である。国際公開第94/11026号パンフレット参照。リンカーは、細胞において細胞傷害性薬物の放出を促進する「開裂可能なリンカー」であってよい。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))を用いることができる。
【0181】
別法として、抗GD2抗体リガンドおよび細胞傷害性剤を含む融合蛋白質は、例えば、組換え技術またはペプチド合成によって作成することができる。
【0182】
また、本発明は、天然に生じない組成物、混合物または形態で提供される、本明細書中に記載された、および/または当該分野で知られた、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6またはそれ以上のその抗GD2抗体を含む少なくとも1つの抗GD2抗体組成物も提供する。そのような組成物は、本明細書中に記載された抗体のCDR領域、またはその特定の断片、ドメインまたは変種の連続アミノ酸の70〜100%から成る群から選択される抗GD2抗体アミノ酸配列の、少なくとも1つまたは2つの全長C−および/またはN末端欠失変種、ドメイン、断片、または特定の変種を含む天然に生じない組成物を含む。好ましい抗GD2抗体組成物は、本明細書中に記載された抗GD2抗体配列の少なくとも1つのCDRまたはLBR含有部分として、少なくとも1つまたは2つの全長の断片、ドメインまたは変種を含む。さらなる好ましい組成物は、本明細書中に記載された抗GD2 AbのCDR領域の70〜100%の少なくとも1つの40〜99%を含む。そのような組成物のパーセンテージは、当該分野で知られているように、または本明細書中で記載されるように、液体または乾燥溶液、混合物、懸濁液、エマルジョン、またはコロイドとしての重量、容量、濃度、モル濃度、または質量モル濃度による。
【0183】
本発明の抗GD2抗体組成物は、さらに、選択的に、さらに、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えば、これに限定されるものではないが、TNF抗体または断片、可溶性TNF受容体または断片、その融合蛋白質、または小分子TNFアンタゴニスト)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキセート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキノン硫酸、レフルノミド、スルファサルジン)、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症薬物(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋肉ブロッカー、抗微生物剤(例えば、アミノグルコシド、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、もう1つの抗微生物剤)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、同化性ステロイド、糖尿病関連剤、ミネラル、栄養素、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、抗下痢剤、鎮咳剤、抗嘔吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝固剤、エリスロポエチン(例えば、エペオチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポジェン)、サルグラモスチム(GM−CSF、リューキン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン代替薬物、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳剤、シクロプレジック、アルキル化剤、抗代謝産物剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬、抗鬱剤、抗躁剤、抗精神病剤、抗不安剤、低張剤、交感神経作動薬、刺激剤、ドネペジル、タクリン、喘息投薬、ベータアゴニスト、吸入されたステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたはアナログ、ドマーゼ(domase)アルファ(Pulmozyme)、サイトカイン、またはサイトカインアンタゴニスト、および細胞療法から選択される少なくとも1つを含む、変調、治療、または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、または患者に対する少なくとも1つの抗GD2抗体を含むいずれかの適切かつ有効な量の組成物または医薬組成物の少なくとも1つを含むことができる。そのようなサイトカインの非限定的例は、限定されるものではないが、IL−1〜IL−34のいずれかを含む。適当な投薬量は当該分野でよく知られている。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)参照。
【0184】
そのような抗ガン剤または抗感染剤は、本発明の少なくとも1つの抗体と会合した、結合した、共製剤化された、または共投与されるトキシン分子も含むことができる。トキシンは、選択的に、病原性細胞または組織を選択的に殺傷するように作用することができる。病原性細胞は癌または他の細胞であり得る。そのようなトキシンは、これに限定されるものではないが、例えば、リシン、ジフテリアトキシン、ヘビトキシン、または細菌トキシンの少なくとも1つから選択される、トキシンの少なくとも1つの機能的細胞傷害性ドメインを含む精製されたまたは組換えトキシンまたはトキシン断片であり得る。該用語トキシンは、いずれかの死滅の結果となり得る、トキシンショックを含めた、ヒトおよび他の哺乳動物においていずれかの病原性疾患を引き起こし得るいずれかの天然に生じる、突然変異体または組換え細菌またはウイルスによって生産されたエンドトキシンおよびエキソトキシンの双方も含む。そのようなトキシンは、これに限定されるものではないが、腸内毒素原性E.coli熱不安定エンテロトキシン(LT)、熱安定性エンテロトキシン(ST)、赤痢菌サイトトキシン、アエロモナスエンテロトキシン、トキシンショック症候群トキシン−1(TSST−1)、スタフィロコッカスエンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)、またはC(SEC)、ストレプトコッカスエンテロトキシン等を含むことができる。そのような細菌は、これに限定されるものではないが、腸内毒素原性E.coli(ETEC)、腸内出血E.coli(例えば、血清型0157:H7の株)、スタフィロコッカス種(例えば、Staphylococcus aureus、Staphylococcus pyogenes)、赤痢菌種(例えば、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella boydii、およびShigella sonnei)、Salmonella種(例えば、Salmonella typhi、Salmonella cholerasuis、Salmonella enteritidis)、Clostridium種(例えば、Clostridium perfringens、Clostridium dificile、Clostridium botulinum)、Camphlobacter種(例えば、Camphlobacter jejuni、Camphlobacter fetus)、Heliobacter種(例えば、Heliobacter pylori)、Aeromonas種(例えば、Aeromonas sobria、Aeromonas hydrophila、Aeromonas caviae)、Pleisomonas shigelloides、Yersina enterocolitica、Vibrios種(例えば、Vibrios cholerae、Vibrios parahemolyticus)、Klebsiella種、Pseudomonas aeruginosa、およびStreptococciの種の株を含む。例えば、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Stein,ed.,INTERNAL MEDICINE,3rd ed.,pp1−13,Little,Brown and Co.,Boston,(1990);Evans et al.,eds.,Bacterial Infections of Humans:Epidemiology and Control,2d.Ed.,pp239−254,Plenum Medical Book Co.,New York(1991);Mandell et al,Principles and Practice of Infectious Diseases,3d.Ed.,Churchill Livingstone,N.Y.(1990);Berkow et al,eds.,The Merck Manual,16th edition,Merck and Co.,Rahway,N.J.,1992;Wood et al,FEMS Microbiology Immunology,76:121−134(1991);Marrack et al,Science,248:705−711(1990)参照。
【0185】
本発明の抗GD2抗体化合物、組成物または組合せは、さらに、これに限定されるものではないが、希釈剤、バインダー、安定化剤、緩衝液、塩類、親油性溶媒、保存剤、補助剤等のようないずれかの適当な補助物質の少なくとも1つを含むことができる。医薬上許容される補助物質が好ましい。そのような滅菌溶液の非限定的例、またはそのような滅菌溶液を調製する方法の非限定的例は、限定されるものではないが、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18.sup.th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,Pa.)1990のように、当該分野でよく知られている。当該分野でよく知られているように、または本明細書中に記載されたように、抗GD2抗体、断片または変種組成物の投与の態様、溶解度、および/または安定性に適した医薬上許容される担体をルーチン的に選択することができる。
【0186】
本発明の組成物で有用な医薬賦形剤および添加剤は、これに限定されるものではないが、単独で、または1〜99.99重量または容量%と組み合わせた、単独で、または組み合わせて存在させることができる、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、およびオリゴ糖を含めた糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖等;および多糖または糖ポリマー)を含む。例示的な蛋白質賦形剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン等のような血清アルブミンを含む。緩衝能力においてやはり機能することができる代表的なアミノ酸/抗体成分は、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等を含む。1つの好ましいアミノ酸はグリシンである。
【0187】
本発明で用いるのに適した炭水化物賦形剤は、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等のような単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セルビオース等のような二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉等のような多糖;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトール等のようなアルジトールを含む。本発明で用いられる好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、およびラフィノースである。
【0188】
抗GD2抗体組成物は緩衝液またはpH調整剤も含むことができ;典型的には、緩衝液は有機酸または塩基から調製される塩である。代表的な緩衝液はクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の塩のような有機酸塩;Tris、トロメタミン塩酸塩、またはリン酸緩衝液を含む。本発明の組成物で用いる好ましい緩衝液はクエン酸塩のような有機酸塩である。
【0189】
加えて、本発明の抗GD2抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンのようなシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、フレーバー剤、抗微生物剤、抗甘味剤、抗酸化剤、静電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」および「TWEEN80」のようなポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、およびキレート化剤(例えば、EDTA)を含むことができる。
【0190】
本発明による抗GD2抗体、部分または変種組成物で用いるのに適したこれらおよびさらなる公知の医薬賦形剤および/または添加剤は、例えば、この参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」,19.sup.th ed.,Williams & William,(1995),において、および「Physician’s Desk Reference」,52.sup.nd.ed.,Medical Economics Montvale,N.J.(1998)にリストされているように、当該分野で公知である。好ましい担体または賦形剤物質は炭水化物(例えば、糖類およびアルジトール)および緩衝液(例えば、クエン酸塩)またはポリマー剤である。
【0191】
前記したように、本発明は、医薬上許容される製剤中に少なくとも1つの抗GD2抗体を含む、生理食塩水または選択された塩を含む好ましくはリン酸緩衝液である安定な製剤、ならびに保存剤を含有する保存された溶液および製剤、ならびに医薬または動物使用に適した多用途保存製剤を提供する。保存された製剤は少なくとも1つの公知の保存剤、または選択的に、水性希釈剤中の、少なくとも1つのフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル第二水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびチメロサール、またはその混合物から成る群から選択される保存剤を含有する。いずれの適当な濃度または混合物も、0.001〜5%、またはこれに限定されるものではないが、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、またはいずれかの範囲またはその中の値のような、いずれかの範囲またはその中の値のように当該分野で知られているように用いることができる。非限定的例は、保存剤無し、0.1〜2%のm−クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1〜3%ベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001〜0.5%チメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001〜2.0%フェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005〜1.0%アルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)等を含む。
【0192】
前記したように、本発明は、包装材料、および選択的に、水性希釈剤中の、所定の緩衝液および/または保存剤を含む少なくとも1つの抗GD2抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルを含む製品を提供し、ここに、該包装材料は、そのような溶液が1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間、またはそれ以上の期間にわたって保持できることを示す標識を含む。本発明は、さらに、包装材料、凍結乾燥された少なくとも1つの抗GD2抗体を含む第一のバイアル、および所定の緩衝液または保存剤の水性希釈剤を含む第二のバイアルを含む製品を含み、ここに、該包装材料は患者に、水性希釈剤中の少なくとも1つの抗GD2抗体を復元させて、24時間またはそれ以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するように指示する標識を含む。
【0193】
本発明に従って用いる少なくとも1つの抗GD2抗体は、哺乳動物細胞またはトランスジェニック製剤を含めた組換え手段によって生成させることができ、または本明細書中に記載されたように、または当該分野で知られているように、他の生物学的源から精製することができる。
【0194】
本発明の製品における少なくとも1つの抗GD2抗体の範囲は、より低いおよびより高い濃度は操作可能であって、意図した送達ビークルに依存し、例えば、溶液製剤は経皮パッチ、肺、経粘膜、または浸透圧またはミクロポンプ方法とは異なるであろうが、湿潤/乾燥システムにおいては、復元に際して、約1.0マイクログラム/ml〜約1000mg/mlの濃度を生じる量を含む。
【0195】
好ましくは、水性希釈剤は、選択的に、さらに、医薬上許容される保存剤を含む。好ましい保存剤はフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびチメロサール、またはその混合物から成る群から選択されるものを含む。製剤で用いる保存剤の濃度は、抗微生物効果を生じさせるのに十分な濃度である。そのような濃度は選択された保存剤に依存し、かつ当業者によって容易に決定される。
【0196】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、保存増強剤を選択的にかつ好ましくは希釈剤に加えることができる。グリセリンのような等張剤は、既知の濃度で通常用いられる。生理学的に許容される緩衝液を好ましくは加えて、改良されたpH制御を提供する。製剤は約pH4〜約pH10のような広い範囲のpH、および好ましくは約pH5〜約pH9の範囲、および約6.0〜約8.0の最も好ましい範囲をカバーすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8と約7.8間のpHを有する。好ましい緩衝液はリン酸緩衝液、最も好ましくはリン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。
【0197】
Tween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、プルロニックF68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、およびPEG(ポリエチレングリコール)のような医薬上許容される可溶化剤、またはポリソルベート20または80またはポロキサマー184または188のような非イオン界面活性剤、プルロニック(Pluronic(登録商標))ポリル、他のブロックコポリマー、およびEDTAおよびEGTAのようなキレーターのような他の添加剤を、選択的に、製剤または組成物に加えて、凝集を低下させることができる。これらの添加剤は、ポンプまたはプラスチック容器を用いて、製剤を投与すれば特に有用である。医薬上許容される界面活性剤の存在は蛋白質が凝集する傾向を緩和する。
【0198】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗GD2抗体、および水性希釈剤中の、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン、(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびチメロサール、またはその混合物から成る群から選択される保存剤を混合することを含む方法によって調製することができる。水性希釈剤中での少なくとも1つの抗GD2抗体および保存剤の混合は、慣用的な溶解および混合手法を用いて行われる。適当な製剤を調製するために、例えば、緩衝化溶液中の少なくとも1つの抗GD2抗体の測定された量を、緩衝化溶液中の所望の保存剤と、所望の濃度における蛋白質および保存剤を提供する十分な量にて合わせる。この方法のバリエーションは当業者によって認識されるであろう。例えば、成分が加えられる順序、さらなる添加剤が用いられるか否か、製剤が調製される温度およびpHは、全て、濃度および用いる投与の手段に対して最適化することができる因子である。
【0199】
特許請求された製剤は、清澄な溶液として、または水性希釈剤中に水、保存剤および/または賦形剤、好ましくはリン酸緩衝液および/または生理食塩水および選択された塩を含有する第二のバイアルで復元される少なくとも1つの抗GD2抗体において凍結乾燥されたバイアルを含むデュアルバイアルとして患者に供することができる。単一溶液バイアルまたは復元を必要とするデュアルバイアルいずれかは複数回数再使用することができ、患者処置の単一または複数サイクルに十分なものとすることができ、かくして、現在入手可能なものよりもより便宜な処置計画を供することができる。
【0200】
本特許請求される製品は、直後〜24時間またはそれ以上までの期間にわたっての投与で有用である。従って、現在特許請求される製品は、有意な利点を患者に供する。本発明の処方は、選択的に、約2℃〜約40℃の温度にて安全に保存することができ、および延長された時間の間、蛋白質の生物学的活性を保持することができ、かくして、溶液を6、12、18、24、48、72、または96時間またはそれ以上の期間にわたって保持でき、および/または用いることができることを示す包装標識を可能とする。保存された希釈剤を用いるならば、そのような標識は1〜12カ月まで、半年、1年と半年、および/または2年までの使用を含むことができる。
【0201】
当該発明における少なくとも1つの抗GD2抗体の溶液は、水性希釈剤中の少なくとも1つの抗体を混合することを含む方法によって調製することができる。混合は慣用的な溶解および混合手法を用いて行われる。適当な希釈剤を調製するには、例えば、水または緩衝液中の少なくとも1つの抗体の測定された量は十分な量で合わせて、所望の濃度の蛋白質および、選択的に、保存剤または緩衝液を提供する。この方法のバリエーションは、当業者によって認識されるであろう。例えば、成分が加えられる順番、さらなる添加剤が用いられるか否か、製剤が調製される温度およびpHは、全て、濃度および用いる投与の手段について最適化することができる因子である。
【0202】
特許請求される製品は、清澄な溶液として、または水性希釈剤を含有する第二のバイアルで復元される凍結乾燥された少なくとも1つの抗GD2抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして患者に提供することができる。単一の溶液のバイアル、または復元を必要とするデュアルバイアルいずれかを、多数回再使用することができ、および患者の処置の単一または複数サイクルの間十分なものとすることができ、かくして、現在入手可能なよりもより便宜な処置計画法を提供する。
【0203】
特許請求された製品は、薬局、クリニック、または他のそのような機関および施設に、清澄な溶液、または水性希釈剤を含有する第二のバイアルで復元される凍結乾燥された少なくとも1つの抗GD2抗体のバイアルを含むデュアルバイアルを供することによって、間接的に患者に提供することができる。この場合、清澄な溶液はサイズが1リットルまで、またはそれよりも大きいまでとすることができ、少なくとも1つの抗体溶液のより小さな部分が、より小さなバイアルへの移動のために1回または複数回回収することができ、および薬局またはクリニックによってそれらの顧客および/または患者に提供することができる大きな貯蔵器を提供する。
【0204】
これらの単一バイアルシステムを含む認められたデバイスは、Becton Dickensen(Franklin Lakes,N.J.)、Disetronic (Burgdorf、スイス国;Bioject,Portlamd,Oreg.;National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK)、Medi−JectCorp(Minneapolis,Minn.)によって作成され、または開発されたように、BD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)のような溶液の送達のためのペン−インジェクターデバイスを含む。デュアルバイアルシステムを含む認められたデバイスは、HumatroPen(登録商標)のような復元溶液の送達のためのカートリッジ中で凍結乾燥された薬物を復元するためのペン−インジェクターシステムを含む。
【0205】
現在特許請求されている製品は包装材料を含む。包装材料は、取締当局によって要求される情報に加えて、製品が用いられる条件を提供する。本発明の包装材料は、患者に対し、水性希釈剤中で少なくとも1つの抗GD2抗体を復元して、溶液を形成し、および2つのバイアルの湿潤/乾燥製品について2〜24時間またはそれ以上の期間にわたって該溶液を用いるよう指令することを提供する。単一のバイアルの溶液製品では、標識は、そのような溶液が2〜24時間またはそれ以上の期間にわたって用いることができることを示す。現在特許請求される製品は、ヒトの医薬製品の使用で有用である。
【0206】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗GD2抗体および選択された緩衝液、好ましくは、生理食塩水または選択された塩を含有するリン酸緩衝液を混合することを含む方法によって調製することができる。水性希釈剤中での少なくとも1つの抗体および緩衝液の混合は、慣用的な溶解および混合手法を用いて行われる。適当な製剤を調製するには、例えば、水または緩衝液中の測定された量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度の蛋白質および緩衝液を供するのに十分な量にて、水中の所望の緩衝化剤と合わせられる。この方法のバリエーションは、当業者によって認識されるであろう。例えば、成分が加えられる順序、さらなる添加剤が用いられるか否か、製剤が調製される温度およびpHは、全て、濃度および用いる投与の手段について最適化することができる全ての因子である。
【0207】
特許請求される安定なまたは保存された製剤は、清澄な溶液として、または水性希釈剤中に保存剤または緩衝液および賦形剤を含有する第二のバイアルで復元される凍結乾燥された少なくとも1つの抗GD2抗体を含むデュアルバイアルとして患者に提供することができる。単一の溶液のバイアル、または復元を必要とするデュアルバイアルのいずれも、複数回再使用でき、患者の処置の単一または複数サイクルで十分であり得るが、かくして、現在入手可能なよりも便宜な処置計画法を提供する。
【0208】
本明細書中に記載された安定なまたは提示された製剤または溶液いずれか中の少なくとも1つの抗GD2抗体は、当該分野でよく知られているように、SCまたはIM注射;経皮、肺、経粘膜、インプラント、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、または当業者によって認識される他の手段を含めた、種々の送達方法を介して本発明に従って患者に投与することができる。
【0209】
本発明の1つの実施形態において、開示の抗GD2抗体を含む医薬組成物は、生物、特に、動物、好ましくは哺乳動物へのヒト化抗体の投与を容易とする。特別な哺乳動物はウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、およびブタ動物、非ヒト霊長類、およびヒトを含む。ヒトは特に好ましい。
【0210】
GD2に対する高親和性の中和キメラまたはヒト抗体は、GD2が発現される、例えば、GD2が>50%の黒色腫(Zhang et al.,1997,Int.J.Cancer.73,42−49)、骨肉腫の88%(Heiner et al.,1987,Cancer Res.47,5377−5388)、および脂肪肉腫、線維肉腫、悪性線維状組織球腫、平滑筋肉腫、および紡錘細胞肉腫(Chang et al.,1992,Cancer 70,633−638)、ならびに脳腫瘍(Longee et al.,1991,Acta Neuropathol.82,45−54)において発現される病気で用いるのが望ましいであろう。抗GD2抗体は黒色腫(Saleh et al.,1992,Hum.Antibodies Hybridomas 3,19−24;Cheung et al.,1987,J.Clin.Oncol.5,1430−1440;Choi et al.,2006,Cancer Immunol.Immunother.55,761−774)、肉腫(Choi et al.,2006,前掲;Yeh et al.,1992,The fifth Asia and Oceania Congress of Nuclear Medicine and Biology Proceedings,p.104)、小細胞肺癌(Grant et al.,1996,Eur.J.Nucl.Med.23,145−149)、脳腫瘍(Arbit et al.,1995,Eur.J.Nucl.Med.22,419−426)を持つ患者において、iv注射によって、ならびにオマヤ貯蔵器を用いる区画療法(Kramer et al.,2007,J.Clin.Oncol.25,5465−5470)によってテストされた。GD2は網膜芽細胞腫(Chantada et al.,2006,J.Pediatr.Hematol.Oncol.28,369−373)およびHTLV−1感染T細胞白血病細胞(Furukawa et al.,1993,PNAS USA 90,1972−1976)に対する腫瘍標的でもある。1つの好ましい態様において、開示の抗GD2抗体を用いて、神経芽細胞腫を治療することができる。抗GD2抗体またはその誘導体を、単一の剤として、または他の治療剤と組み合わせて用いることができる。加えて、これらのMabは化学増感剤として用いることができ、それにより、それらの使用は細胞傷害性剤の治療効力を増加させることができる。これらの抗体は放射性増感剤として用いることができ、それにより、それらの使用は放射線照射の効力を改良することができる。それらは、IL−2、IL−12、および/またはIFNアルファのような他の腫瘍−免疫調節剤と組み合わせて用いることもできる。加えて、抗GD2抗体は、抗TNF−アルファ、IL−12/IL−23、IL−2、GpIIb/IIIa受容体、CD52、CD20、RSV蛋白質、HER2/neu受容体等のような他のモノクローナル抗体;ならびにリツキサン、ヘルセプチン、ミロタルグ、カンパス、ゼバリン、ベキサール、エルビタックス、アバスチン、およびベクチビックスを含めた商業的に承認された抗体と組み合わせて用いることができる。
【0211】
かくして、本発明は、本発明の少なくとも1つの抗GD2抗体を用い、当該分野で知られたように、または本明細書中で記載されたように、細胞、組織、器官、動物、または患者において、少なくとも1つのGD2関連病を変調し、または治療するための方法も提供する。
【0212】
本発明は、これに限定されるものではないが:多発性骨髄腫、白血病、急性白血病、急性リンパ芽細胞白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球白血病(CLL)、毛状細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポシ肉腫、結直腸、癌腫、腎臓細胞癌腫、膵臓癌腫、前立腺癌腫、鼻咽頭癌腫、悪性組織球症、腫瘍随伴症候群/悪性の高カルシウム血症、固形腫瘍、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性病、癌関連骨再吸収、癌関連骨疼痛;癌転移の抑制;癌悪液質の緩和;および糸球体間質増殖性糸球体腎炎等のうちの少なくとも1つを含めた、細胞、組織、器官、動物、または患者において少なくとも1つの悪性病を変調または治療する方法を含む。そのような方法は、選択的に、そのようなGD2抗体の前、同時または後の投与によって、放射線療法、抗脈管形成剤、化学治療剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤等と組み合わせて用いることができる。
【0213】
本発明は、これに限定されるものではないが、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身開始若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、骨関節炎、炎症性腸病、潰瘍形成性結腸炎、全身紅斑性狼瘡、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身血管炎/ヴェグナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管再開通手法、アレルギー性/アトピー性病、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏間質性肺炎、移植、器官移植拒絶、移植片対宿主病、全身炎症応答症候群、敗血症症候群、グラム陽性敗血症、グラム陰性敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少性発熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、火傷、電離放射線暴露、急性膵臓炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール誘導肝炎、慢性炎症性病状、サルコイドーシス、クローン病状、鎌状細胞貧血症、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性病、過敏反応、アレルギー性鼻炎、枯草熱、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、喘息、蕁麻疹、全身アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血病、血小板減少症、いずれかの器官または組織の移植片拒絶、腎臓移植拒絶、心臓移植拒絶、肝臓移植拒絶、膵臓移植拒絶、肺移植拒絶、骨髄移植(BMT)拒絶、皮膚同種移植片拒絶、軟骨移植拒絶、骨移植片拒絶、小腸移植拒絶、胎児胸腺インプラント拒絶、副甲状腺移植拒絶、いずれかの器官または組織の異種移植片拒絶、同種移植片拒絶、抗受容体過敏反応、グラーベ病、レイノー病、B型インスリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介細胞傷害性、III型過敏反応、全身紅斑性狼瘡、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器肥大、内分泌障害、モノクローナル、免疫グロブリン異常症、および皮膚変化症候群)、多発性神経障害、臓器肥大、内分泌障害、モノクローナル免疫グロブリン異常症、皮膚変化症候群、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、特発性アジソン病、真性糖尿病、慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、尋常性白斑、脈管炎、MI後心臓切開症候群、IV型過敏、接触皮膚炎、過敏肺炎、同種移植片拒絶、細胞内生物による肉芽腫、薬物感受性、代謝/突発性、ウイルソン病、ヘモクロマトーシス、アルファ−1−抗トリプシン欠乏症、糖尿病性網膜障害、橋本甲状腺炎、骨粗鬆症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性繊維症、新生慢性肺病、慢性閉塞性肺病(COPD)、家族性ヘマトファゴシティクリンパ組織球増多症、皮膚科学的疾患、乾癬、脱毛症、ネフローゼ症候群、腎炎、糸玉体腎炎、急性腎臓不全、血液透析、尿毒症、毒性、妊娠高血圧腎症、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、これに限定されるものではないが、衰弱、貧血、悪液質等を含む)、慢性サリシレート中毒、睡眠時無呼吸、肥満、心不全、静脈洞炎、炎症性腸病等の少なくとも1つを含めた、細胞、組織、器官、動物または患者において、少なくとも1つのGD2媒介免疫関連病を変調し、または治療するための方法も提供する。例えば、この参照により各々その全体が本明細書に組み込まれる、the Merck Manual,12th−17th Editions,Merck and Company,Rahway,N.J.(1972,1977,1982,1987,1992,1999)、Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds,Second Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000)参照。
【0214】
本発明は、これに限定されるものではないが、細菌、ウイルスおよび真菌感染、HIV感染/HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(A、B、またはC等)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、e.coli 0157:h7、溶血性尿毒症候群/血栓溶解血小板減少性紫斑病、マラリヤ、デング出血性熱、リーシュマニア症、らい病、毒ショック症候群、ストレプトトコッカス筋炎、ガス壊疽、結核菌、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ、カリニ肺炎、骨盤炎症病、睾丸炎/精巣上体炎、レジオネラ、ライム病、インフルエンザa、エプスタイン−バールウイルス、ウイルス関連血球貪食症候群、ウイルス性脳炎/無菌髄膜炎等を含めた、急性または慢性細菌感染、急性および慢性寄生虫、または感染性プロセスの少なくとも1つをまとめた、細胞、器官、動物、または患者において少なくとも1つの感染症変調または治療する方法も提供する。
【0215】
そのような方法のいずれも、選択的に、有効量の、少なくとも1つの組成物、または少なくとも1つの抗GD2抗体を含む医薬組成物を、変調、治療、または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、または患者に投与することを含むことができる。
【0216】
本発明のいずれの方法も、有効量の、少なくとも1つの抗GD2抗体を含む組成物または医薬組成物を、変調、治療、または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、または患者に投与することを含むことができる。そのような方法は、選択的に、さらに、そのような免疫病または悪性病を治療するための共投与または組合せ療法を含むことができ、ここに、該少なくとも1つの抗GD2抗体、その特定の部分または変種、の投与は、さらに、同時前、および/または後に少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えば、これに限定されるものではないが、TNF抗体または断片、可溶性TNF受容体または断片、その融合蛋白質、または小分子TNFアンタゴニスト)、IL−18抗体または断片、小分子IL−18アンタゴニストまたはIL−18受容体結合部分、(IL−1アルファおよびIL−1ベータを含めた)IL−1抗体または断片、可溶性IL−1受容体アンタゴニスト、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキセート、アウラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、チオリンゴ酸菌ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸、レフルノマイド、スルファサラジン、放射線療法、抗脈管剤、化学療法剤、サリドマイド筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症性薬物(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋肉ブロッカー、高微生物(例えば、アミノグルコシド、抗真菌、抗寄生虫、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、もう1つの抗微生物剤)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、同化性ステロイド、糖尿病関連剤、ミネラル、栄養素、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、エリスロピエイチン(例えば、エポエチンアルファ)、フルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポゲン)、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン代替薬物、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、抗代謝産物剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬、抗鬱剤、抗躁薬、抗精神病剤、不安解消剤、低張剤、交感神経ミメティック、刺激剤、ドネペジル、タクリン、喘息投薬、ベータアゴニスト、吸入されたステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたはアナログ、ドマーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1つを投与することを含む。適当な投与量は当該分野でよく知られている。例えば、この参照により各々その全体が本明細書に組み込まれる、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)参照。
【0217】
(さらに、本発明の少なくとも1つの抗体、その特定の部分および変種を含む)本発明の組成物、組合せ療法、共投与、デバイス、および/または方法に適したTNFアンタゴニストは、これに限定されるものではないが、抗TNF抗体、その抗原結合断片、およびTNFに特異的に結合する受容体分子;サリドマイド、テニダップ、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、ペントキシフィリンおよびロシプラム)、A2bアデノシン受容体アンタゴニストおよびA2bアデノシン受容体増強剤のような、TNF合成、TNF放出または標的細胞に対するその作用を妨げ、および/または阻害する化合物;マイトジェン活性化蛋白質(MAP)キナーゼ阻害剤のような、TNF受容体シグナリングを妨げ、および/または阻害する化合物;メタロプロテイナーゼ阻害剤のような、膜TNF開裂をブロックしおよび/または阻害する化合物;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリル)のような、TNF活性をブロックし、および/または阻害する化合物;およびMAPキナーゼ阻害剤のような、TNF生産および/または合成をブロックし、および/または阻害する化合物を含む。
【0218】
本発明のいずれの方法も、有効量の、少なくとも1つの抗GD2抗体を含む組成物または医薬組成物を、変調、治療、または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、または患者に投与することを含む、GD2媒介障害、またはCD2発現によって特徴付けられる障害を治療する方法を含むことができる。そのような方法は、選択的に、さらに、そのような免疫病を治療するための共投与または組合せ療法を含むことができ、ここに、該少なくとも1つの抗GD2抗体、その特定の部分または変種を投与することは、さらに、前記した少なくとも1つの剤と同時の前および/または後にさらに投与することを含む。
【0219】
典型的には、病理学的疾患の治療は、組成物に含有された特異的活性に依存して、平均して、用量当たりの患者のキログラム当たりの少なくとも1つの抗GD2抗体の少なくとも約0.01〜500ミリグラム、好ましくは単一または多数投与当たりの少なくとも約0.1〜100ミリグラム抗体/患者のキログラムの合計範囲の少なくとも1つの抗GD2抗体組成物の有効量または用量を投与することによって行われる。別法として、有効な血清中濃度は単一または多数投与当たり0.1〜5000ug/mlの血清中濃度を含むことができる。適当な用量は医療実践者に知られており、勿論、特定の病気状態、投与すべき組成物の特異的な活性、およびいくつかの例において治療を受けている特定の患者に依存して、所望の治療量を達成し、反復された投与、すなわち、特定のモニターされたまたは計量された用量の反復された個々の投与を提供する必要があり得、ここに、個々の投与は所望の日用量または効果が達成されるまで反復される。
【0220】
好ましい用量は、選択的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9.1、2、3、4、5、6、7、8、9.10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85,86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、および/または100〜500mg/kg/投与、またはいずれかの範囲、値またはその一部を含んで、0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、1.6、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85,90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、および/または5000.mu.g/mlの単一または複数投与当たりの血清濃度、またはそのいずれかの範囲値または部分の血清中濃度を達成することができる。
【0221】
別法として、投与される用量は、特定の剤の薬力学的特徴、および投与の態様および経路;受容者の年齢、健康および体重;兆候の性質および程度、同時処置の種類、処置の頻度、および望まれる効果のような既知の因子に依存して変化し得る。通常、有効成分の用量は体重キログラム当たり約0.1〜100ミリグラムとすることができる。通常、投与当たり、または徐放形態において、キログラム当たり0.1〜50、好ましくは0.1〜10ミリグラムが、所望の結果を得るのに有効である。
【0222】
非限定的例として、ヒトまたは動物の治療は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40日の少なくとも1つにて、または別法として、または加えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、または52週のうちの少なくとも1つにて、または別法として、または加えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20年のうちの少なくとも1つにて、またはそのいずれかの組合せにて、単一の注入または反復された用量を用い、日当たり、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/kgのような、0.1〜100mg/kgの本発明の少なくとも1つの抗体の1回、または期間的用量として供することができる。
【0223】
内部投与に適した剤形(組成物)は、一般に、単位または容器当たり約0.1ミリグラム〜約500ミリグラムの有効成分を含有する。これらの医薬組成物において、有効成分は、通常、組成物の合計重量に基づいて約0.5〜99.999重量%の量で存在させることになろう。
【0224】
非経口投与では、抗体は、医薬上許容される非経口ビークルと共に、会合させて、または別々に提供される、溶液、懸濁液、エマルジョン、または凍結乾燥粉末として製剤化することができる。そのようなビークルの例は水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および1〜10%ヒト血清アルブミンである。不揮発性油のようなリポソームおよび非水性ビークルを用いることもできる。ビークルまたは凍結乾燥された粉末は、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば、緩衝液および保存剤)を維持する添加剤を含有することができる。該製剤は公知のまたは適当な技術によって滅菌される。
【0225】
適当な医薬担体は、この分野における標準的な文献テキストである、Remington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最も最近の版に記載されている。
【0226】
非経口投与のための製剤は、共通の賦形剤として、滅菌水または生理食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化ナフタレン等を含有することができる。注射用の水性または油性懸濁液は、公知の方法に従って、適当な乳化剤または加湿剤および懸濁化剤を用いることによって調製することができる。注射用の剤は、溶媒中の、水性溶液または滅菌注射溶液または懸濁液のような非毒性の非経口投与可能な希釈剤であり得る。使用できるビークルまたは溶媒として、水、リンゲル液、等張生理食塩水等が供用され;通常の溶媒または懸濁化溶媒として、滅菌不揮発性油を用いることができる。これらの目的にため、天然または合成または半合成脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成モノ−またはジ−またはトリ−グリセリドを含む任意の種類の不揮発性油および脂肪酸を用いることができる。非経口投与は当該分野で知られており、これに限定されるものではないが、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,851,198号明細書に記載された注射、ガス加圧無針注射デバイス、および米国特許第5,839,446号明細書に記載されたレーザー・パーフォレーター・デバイスの慣用的な手段を含む。
【0227】
当該発明は、さらに、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹部内、嚢内、軟骨内、キャビティ内、腔内、小脳内、脳室内、髄腔内、オマヤ内、眼内、硝子体内、結腸内、頸部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、頬、舌下、鼻内、または経皮手段による少なくとも1つの抗GD2抗体の投与に関する。少なくとも1つの抗GD2抗体組成物は、特に液状溶液または懸濁液の形態にて、非経口(皮下、筋肉内または静脈内)またはいずれかの他の投与で用いるために;特にこれに限定されるものではないが、クリームおよび坐薬のような半固体形態での、膣または直腸投与で用いるために;これに限定されるものではないが、錠剤またはカプセルの形態のような、頬、または舌下投与のために;またはこれに限定されるものではないが、粉末、点鼻剤、またはエアロゾルまたはある種の剤の形態にて鼻内用に;またはこれに限定されるものではないが、ジメチルスルホキシドのような化学物質を含む、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液、またはパッチ送達系のような経皮用に調製して、皮膚構造を修飾し、または経皮パッチにおける薬物濃度を増加させることができ(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるJunginger,et al.In「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59−90,Marcel Dekker,Inc.New York 1994)、または蛋白質およびペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号パンフレット)、またはエレクトロポレーションのような一過的な輸送経路を作り出すための電場の印加を可能とする酸化剤と一緒に調製し、またはイオントフォレシスのような皮膚を通じての荷電した薬物の移動性、またはソノフォレシスのような超音波の適用(米国特許第4,309,989号明細書および第4,767,402号明細書)を増加させることができる(前記刊行物および特許はこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0228】
肺適用では、好ましくは、少なくとも1つの抗GD2抗体組成物を、肺または洞の低部気道に到達させるために有効な粒子サイズにて送達される。当該発明によると、少なくとも1つの抗GD2抗体は、吸入による治療剤の投与のための当該分野で知られた種々の吸入または鼻デバイスのいずれかによって送達することができる。エアロゾル化された製剤を患者の洞腔または肺胞に沈積させることができるこれらのデバイスは、計量用量吸入器、ネビュライザー、乾燥粉末ジェネレーター、スプレイヤー等を含む。抗体の肺または鼻投与を指令するのに適当な他のデバイスもまた当該分野で知られている。全てのそのようなデバイスは、エアロゾルで抗体を分注するための投与に適した製剤の使用であり得る。そのようなエアロゾルは溶液(水性および非水性双方)または固体粒子のいずれかから成ることができる。Ventolin(登録商標)計量用量吸入器のような計量用量吸入器は、典型的には、プロペラントガスを用い、かつ吸気の間に作動を必要とする(例えば、国際公開第94/16970号パンフレット、国際公開第98/35888号パンフレット参照)。少数の名称を挙げれば、Turbuhaler(商標)(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)のような乾燥粉末吸入器、Inhale Therapeuticsによって市販されるデバイスは、混合された粉末の呼吸−作動を用いる(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,668,218号明細書 Astra、EP237507 Astra、国際公開第97/25086号パンフレット Glaxo、国際公開第94/08552号パンフレット Dura、米国特許第5,458,135号明細書 Inhale、国際公開第94/06498号パンフレット Fisons)。Ultravent(登録商標)ネビュライザー(Mallinckrodt)、およびAcorn II(登録商標)ネビュライザー(Marquest Medical Products)(米国特許第5,404,871号明細書 Aradigm、国際公開第97/22376号パンフレット)のようなネビュライザー(前記文献をこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、溶液からエアロゾルを生じさせ、他方、計量用量吸入器、乾燥粉末吸入器等は小さな粒子のエアロゾルを生じさせる。商業的に入手可能な吸入デバイスのこれらの特異的例は、本発明の実施に適した特定のデバイスの代表であることが意図され、および本発明の範囲をこれに限定する意図のものではない。好ましくは、少なくとも1つの抗GD2抗体を含む組成物は乾燥粉末吸入器またはスプレイヤーによって送達される。本発明の少なくとも1つの抗体を投与するための吸入デバイスのいくつかの望ましい特徴がある。例えば、吸入デバイスによる送達は、便宜には、信頼性があり、再現性があり、および正確である。吸入デバイスは、良好な呼吸性のために、選択的に、小さな乾燥粒子、例えば、約10um未満、好ましくは約1〜5umを送達することができる。
【0229】
GD2抗体組成物蛋白質を含めたスプレーは、加圧下で、少なくとも1つの抗GD2抗体の懸濁液または溶液をノズルに通すことによって生じさせることができる。ノズルのサイズおよび立体配置、適用される圧力、および液体供給速度は、所望の出力および粒子サイズを達成するように選択することができる。例えば、毛細管またはノズル供給と連結させた電場によって、電子スプレーを生じさせることができる。有利には、スプレイヤーによって送達された少なくとも1つの抗GD2抗体組成物蛋白質の粒子は、約10um未満、好ましくは約1um〜約5umの範囲、最も好ましくは約2um〜約3umを有する。
【0230】
スプレイヤーで用いるのに適した少なくとも1つの抗GD2抗体組成物蛋白質の製剤は、典型的には、溶液のml当たりの、またはmg/gmの、少なくとも1つの抗GD2抗体組成物蛋白質の約0.1mg〜約100mgの濃度の、またはその中のいずれかの範囲または値の、例えば、これに限定されるものではないが、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/mlまたはmg/gmの、水性溶液中の抗体組成物蛋白質を含む。該製剤は、賦形剤、緩衝液、等張剤、保存剤、界面活性剤、および好ましくは亜鉛のような剤を含むことができる。該製剤は、緩衝液、還元剤、バルク蛋白質、または炭水化物のような抗体組成物蛋白質の安定化のための賦形剤または剤も含むことができる。抗体組成物蛋白質を製剤化するのに有用なバルク蛋白質はアルブミン、プロタミン等を含むことができる。抗体組成物蛋白質を製剤化するのに有用な典型的な炭水化物はスクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。抗体組成物蛋白質製剤は、エアロゾルを形成するにおける溶液の霧化によって引き起こされる抗体組成物蛋白質の表面誘導凝集を低下させ、または妨げることができる界面活性剤も含むことができる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルのような、種々の慣用的な界面活性剤を使用することができる。量は、一般に、製剤の0.001と14重量%間の範囲であろう。本発明の目的で特別に好ましい界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。GD2抗体または特定の部分または変種のような蛋白質の製剤用の当該分野で公知のさらなる剤を製剤に含めることもできる。
【0231】
抗体組成物蛋白質は、ジェットネビュライザーまたは超音波ネビュライザーのようなネビュライザーによって投与することができる。典型的には、ジェットネビュライザーにおいては、圧縮された空気源を用いて、オリフィスを通じての高速空気ジェットを引き起こす。ガスがノズルを越えて膨張するにつれ、低圧領域が作り出され、これは液体貯蔵器に連結された毛細管を通じて抗体組成物蛋白質を吸う。毛細管からの液体流は不安定なフィラメントおよび液滴に剪断される。というのは、それはチューブから出て、エアロゾルを作り出すからである。一定範囲の立体配置、流速、およびバッフルタイプを使用して、所望の性能特徴を所与のジェットネビュライザーから達成することができる。超音波ネビュライザーにおいて、高周波数電気エネルギーを用いて、典型的には圧電変換器を使用して振動、機械的エネルギーを作り出す。このエネルギーは、直接的に、またはカップリング流体を通じて抗体組成物蛋白質の処方に伝達され、抗体組成物蛋白質を含むエアロゾルを作り出す。有利には、ネビュライザーによって送達された抗体組成物蛋白質の粒子は約10um未満、好ましくは約1um〜約5umの範囲の、最も好ましくは約2um〜約3umの粒子サイズを有する。
【0232】
ジェットまたは超音波いずれかのネビュライザーと共に用いるのに適した少なくとも1つの抗GD2抗体の製剤は、典型的には、溶液のml当たり少なくとも1つの抗GD2抗体蛋白質の約0.1mg〜約100mgの濃度を含む。該製剤は賦形剤、緩衝液、等張剤、保存剤、界面活性剤、および好ましくは亜鉛のような剤を含むことができる。該製剤は、緩衝液、還元剤、バルク蛋白質、または炭水化物のような、少なくとも1つの抗GD2抗体組成物蛋白質の安定化のための賦形剤または剤を含むこともできる。少なくとも1つの抗GD2抗体組成物蛋白質を製剤化するのに有用なバルク蛋白質はアルブミン、プロタミン等を含む。少なくとも1つの抗GD2抗体を製剤化するにおいて有用な典型的な炭水化物はスクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等を含む。該少なくとも1つの抗GD2抗体処方は、エアロゾルを形成するにおいて溶液の霧化によって引き起こされた少なくとも1つの抗GD2抗体の表面誘導凝集を低下させ、または妨げることができる界面活性剤を含むこともできる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタール脂肪酸エステルのような、種々の慣用的な界面活性剤を使用することができる。量は、一般的には、製剤の0.001と4重量%間の範囲となろう。本発明の目的で特別に好ましい界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20等である。抗体蛋白質のような蛋白質の製剤化のための当該分野で公知のさらなる剤は、製剤に含めることもできる。
【0233】
計量式吸入器(MDI)において、プロペラント、少なくとも1つの抗GD2抗体、およびいずれかの賦形剤または他の添加剤が、液化圧縮ガスを含む混合物としてキャニスターに含有される。計量弁の作動は、好ましくは、約10um未満、好ましくは約1um〜約5um、最も好ましくは約2um〜約3umのサイズ範囲の粒子を含有するエアロゾルとしてダイ混合物を放出する。所望のエアロゾル粒子サイズは、ジェットミリング、スプレー乾燥、臨界点凝縮等を含めた、当業者に知られた種々の方法によって生じさせた抗体組成物蛋白質の製剤を使用することによって得ることができる。好ましい計量式吸入器は、3MまたはGlaxoによって製造され、かつヒドロフルオロカーボンプロペラントを使用するものを含む。
【0234】
計量式吸入デバイスと共に用いられる少なくとも1つの抗GD2抗体の製剤は、一般に、例えば、界面活性剤の助けを借りてプロペラントに懸濁させた、非水性媒体中の懸濁液として、少なくとも1つの抗IL−6抗体を含有する微粉砕粉末を含む。該プロペラントは、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ヒドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ヒドロフルオロアルカン−227)等を含めた、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはヒドロカーボンのような、本目的で使用されるいずれの便宜な材料とすることもできる。好ましくは、該プロペラントはヒドロフルオロカーボンである。界面活性剤はプロペラント中の懸濁液としての少なくとも1つの抗GD2抗体を安定化させるように選択して、化学的分解等に対して活性な剤を保護することができる。適当な界面活性剤はソルビタントリオレエート、大豆レシチン、オレイン酸等を含む。いくつかの場合において、エタノールのような溶媒を用いる溶液エアロゾルが好ましい。蛋白質の製剤用の当該分野で公知のさらなる剤を製剤に含めることもできる。
【0235】
当業者であれば、本発明の方法が、本明細書中に記載されていないデバイスを介する少なくとも1つの抗GD2抗体組成物の肺投与によって達成できることを認識するであろう。
【0236】
経口投与用の製剤は、腸壁の浸透性を人工的に増大させるための補助剤(例えば、レゾルシノール、およびポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルのようなノニオン性界面活性剤)の共投与、ならびに酵素分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば、膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFF)およびトラシロール)の共投与に依拠する。経口投与用の固体タイプの剤形の活性な構成化合物は、スクロース、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、澱粉、寒天、アルジネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成または半合成ポリマー、およびグリセリドを含めた少なくとも1つの添加剤と混合することができる。これらの剤形は他のタイプの添加剤、例えば、不活性な希釈剤、ステアリン酸マグネシウムのような活滑剤、パラベン、ソルビン酸、アスコルビン酸、アルファ−トコフェロールのような保存剤、システインのような抗酸化剤、崩壊剤、バインダー、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、フレーバー剤、香料剤等を含有することもできる。
【0237】
錠剤および丸剤は、腸被覆製剤にさらに加工することができる。経口投与用の液体製剤は、医療使用で許容される、エマルジョン、シロップ、エリキシル、懸濁液、および溶液製剤を含む。これらの製剤は、該分野で通常に使用される不活性な希釈剤、例えば、水を含有することができる。リポソームもまた、インスリンおよびヘパリンのための薬物送達系としても記載されてきた(米国特許第4,239,754号明細書)。より最近では、混合アミノ酸の人工ポリマーのマイクロスフィア(プロテイノイド)が、医薬を送達するのに用いられてきた(米国特許第4,925,673号明細書)。さらに、米国特許第5,879,681号明細書および米国特許第5,5,871,753号明細書に記載された担体化合物が、当該分野で知られているように、生物学的に活性な剤を経口送達するのに用いられている。
【0238】
粘膜表面を通じての吸収では、少なくとも1つの抗GD2抗体を投与する組成物および方法は、複数のサブミクロン粒子、粘膜接着性マクロ分子、生物活性ペプチド、および水性連続相を含むエマルジョンを含み、それはエマルジョン粒子の粘膜接着を達成することによって粘膜表面を通じての吸収を促進する(米国特許第5,514,670号明細書)。本発明のエマルジョンの適用に適した粘膜表面は、角膜、結膜、頬、舌下、鼻、膣、肺、胃、腸、および直腸投与経路を含むことができる。膣または直腸投与のための製剤、例えば、坐薬は、賦形剤として、例えば、ポリアルキレングリコール、ワセリン、カカオバター等を含有することができる。鼻内投与用の製剤は固体とすることができ、賦形剤として、例えば、ラクトースを含有し、または点鼻剤の水性または油性溶液とすることができる。頬投与では、賦形剤は糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、糊化澱粉等を含む(米国特許第5,849,695号明細書)。
【0239】
経皮投与では、少なくとも1つの抗GD2抗体は、リポソームまたはポリマーナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロカプセル、またはマイクロスフィア(そうでないことが述べられているのでなければ集合的にマイクロ粒子という)のような送達デバイスにカプセル化される。ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびそのコポリマーのようなポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、およびポリホスファゼンのような合成ポリマー、およびコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミン、および他の蛋白質、アルジネートおよび他の多糖、およびその組合せのような天然ポリマーで作成されたマイクロ粒子を含めた多数の適当なデバイスが知られている(米国特許第5,814,599号明細書)。
【0240】
本発明の化合物を、延長された期間にわたって、例えば、1週間〜1年またはそれ以上の期間の間、単一の投与から対象に送達するのが時々望ましくあり得る。種々のゆっくりとした放出、デポ剤、またはインプラント投与形態を利用することができる。例えば、剤形は、体液中での低い程度の溶解性を有する化合物の医薬上許容される非毒性塩、例えば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノ−またはジ−スルホン酸、ポリガラクツロン酸等のような多塩基性酸との酸付加塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム等のような多価金属カチオンとの、または例えばN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成された有機カチオンとの塩;または(c)(a)、および(b)の組合せ、例えば、タンニン酸亜鉛塩を含有することができる。加えて、本発明の化合物または、好ましくは、丁度記載されたもののような比較的不溶性の塩は、ゲル、例えば、注射に適した、例えば、ゴマ油とのアルミニウムモノステアレートゲルに製剤化することができる。特に好ましい塩は亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモ酸塩等である。注射用のもう1つのタイプの遅延放出デポ剤製剤は、例えば、米国特許第3,773,919号明細書に記載されたポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのような、ゆっくりと分解する非毒性の非抗原性ポリマーにカプセル化のために分散させた化合物または塩を含有するであろう。化合物、または好ましくは、前記したもののような比較的不溶性の塩もまた、特に、動物で用いるために、コレステロールマトリックスシリコン剤ペレットに処方することもできる。さらなる遅延放出、デポ剤、またはインプラント製剤、例えば、ガスまたは液体リポソームが文献で知られている(米国特許第5,770,222号明細書および「維持および制御放出薬物送達系」、J.R.Robinson ed.,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,1978)。
【0241】
本出願を通じて引用された(刊行物文献、発行された特許、公開された特許出願、および共−係属特許出願を含めた)全ての引用された文献の内容は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0242】
当該発明の他の特徴は、本発明の説明のために与えられ、かつそれを限定することが意図されていない例示的な実施形態の以下の記載の進行において明らかとなろう。
【0243】
以下の材料および方法は以下の実施例で用いた。
【0244】
材料および方法
細胞培養およびヒト組織
ヒト神経芽細胞腫細胞系LAN−1はRobert Seeger博士(Los Angelesの小児病院,Los Angeles,CA)によって提供され、およびNB1691はPeter Houghton博士(St.Jude小児研究病院,Memphis,TN)によって提供された。NK−92MIはAmerican Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VAから得た。全ての細胞系を37℃にて5%CO
2インキュベーターにて、F10[10%胎児ウシ血清(Hyclone,South Logan,UT)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン、および100ug/mlストレプトマイシンを補足したRPMI1640培地]中で成長させた。正常な組織ならびにMemorial Sloan−Kettering Cancer Center(MSKCC)で得られた異なる組織学的タイプの固形腫瘍試料を液体窒素中でスナップ凍結させた。書面による同意の通知は、MSKCCの治験審査委員会のガイドラインに従って患者および/またはそれらの後見人から得た。
【0245】
モノクローナル抗体
ネズミ3F8は、カッパ軽鎖を持つマウスIgG3抗体であった(Cheung et al.,1985,Cancer Res 45,2642−9)。神経芽細胞腫と反応性であるモノクローナル抗体3F8(マウスIgG3、カッパ)、5F11(マウスIgM、カッパ)、および8H9(マウスIgG1、カッパ)は従前に記載されている(Cheung et al.,1985,前掲;Cheung et al.,2004,J Nucl Med 45,867−77;Modak et al.,2001,Cancer Res 61,4048−54)。それらは腹水液として生じ、アフィニティークロマトグラフィー:3F8についてはプロテインA(GE Healthcare,Piscataway,NJ)、8H9ではプロテインG、および5F11についてはClq−セファロース(Pierce,Rockford,IL)によって精製した。これらの抗体はSDS−PAGEによると>90%純粋であった。F(ab’)2断片は、従前に報告されているようにペプシン消化によって調製した(Cheung et al.,1988,J Clin Invest 81,1122−28)。抗GD2ハイブリドーマME361およびTIB114(N.S.7)、IgG3対照抗体を分泌するハイブリドーマはATCCから得た。14.G2aはBD Biosciences,San Jose,CAから購入した。キメラ14.18は、Lexigen Pharmaceuticals,Lexington,MAのStephen Gillies博士によって親切にも提供された。MAB1027(抗−B7−H3 MoAb)はR&D System,Minneapolis,MNから購入した。GD2に対して特異的なマウスIgG3抗体S220−51はNorthstar Bioproducts,Cape Cod,MAから購入した。
【0246】
hu3F8−IgG1、hu3F8−IgG4、ch3F8−IgG1、およびch3F8−IgG4抗体プロデューサー系の構築
m3F8のヒトホモログに基づき、m3F8の重鎖および軽鎖双方のCDR配列をヒトIgG1フレームワークに合体させ、および最適化した。2つの重鎖および2つの軽鎖遺伝子から、hu3F8の4つのバージョンを設計した。これらのhu3F8遺伝子を合成し、およびCHO細胞のために最適化した(Blue Heron Biotechnology,Bothhell,WAまたはGenscript,Piscataway,NY)。bluescriptベクター(Eureka,CA)を用い、hu3F8のこれらの重鎖および軽鎖をDC44細胞にトランスフェクトし、およびG418(InVitrogen,CA)で選択した。Magel.5 CHO細胞(Eurika,CA)にトランスフェクトした場合、特殊なIgG糖型が生じる。同様にマウスVHおよびVL配列をヒトIgG1およびIgG4フレームワークに合体させて、ch3F8−IgG1およびch3F8−IgG4組換え抗体を作成した。
【0247】
hu3F8およびch3F8の精製
hu3F8およびch3F8プロデューサー系はOpticho無血清培地(InVitrogen,CA)において培養し、および成熟上清を収穫した。プロテインAアフィニティーカラムを、0.15M NaClを含む25mMクエン酸ナトリウム緩衝液、pH8.2、で予め平衡化させた。結合したHu3F8を、0.1Mクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、pH3.9で溶出させ、および25mMクエン酸ナトリウム、pH8.2中でアルカリ化した(1:10 v/v比率)。それをSartobind−Q膜を通過させ、および25mMクエン酸ナトリウム、0.15M NaCl、pH8.2中に5〜10mg/mlまで濃縮した。安定性の実験は、tween80(Sigma)の0.7mg/mlの存在下または不存在下で、25mMクエン酸ナトリウム 0.15M NaCl pH8.2対PBS pH7.4中のhu3F8−IgG1に対して行った。
【0248】
SDS−PAGE
各2ugの蛋白質を、4〜15%Tris−グリシン Ready Gel System(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて非還元または還元条件下でSDS−PAGEによって分析した。Invitrogen SeeBlue Plus2の予備染色標準を蛋白質の分子量マーカーとして用いた。電気泳動の後、PIERCE’s GleCode Blue Stain Reagentを用いてゲルを染色した。ゲルは、Bio−Rad Fluor−S MultiImager(Bio−Rad)を用いてスキャンし、およびバンドの強度をQuantity Oneソフトウェア(Bio−Rad)で定量した。
【0249】
ELISAによるhu3F8およびch3F8の定量
マイクロタイタープレートをウェル当たり20ngにてGD2で被覆した。PBS(希釈剤)中の0.5%BSAのウェル当たり150ulを、雰囲気温度にて、少なくとも30分間で各プレートに加えて、過剰な結合部位をブロックし、PBSで少なくとも3回洗浄した。hu3F8−IgG1(ストック濃度1mg/ml)の精製されたバッチを用いて、0.5ug/mlで出発して標準曲線を作成し、続いて、2倍希釈した。100ulの標準および試料(やはり2倍希釈)を各ウェルに加え、および37℃にて2.5時間インキュベートした。プレートをPBSで5回洗浄した後、希釈剤中に1:3500で希釈したヤギ抗ヒト−IgG(H+L)(Jackson Research Laboratory)の100ulを各ウェルに加え、および4℃で1時間インキュベートした。ELISA発色反応を基質過酸化水素と共に色原体OPD(Sigma)で、暗所にて、室温で30分間発色させた。反応物を5N H
2SO
4で停止し、およびODを490においてELISAプレートリーダーMRX(Dynex)で読み取った。標準曲線に基づき、hu3F8上清の定量を蛋白質のug/mlまたはug/mgで計算した。
【0250】
Biacore T−100バイオセンサー(Biacore AB of GE Healthcare,Uppsala,スウェーデン国)に対するイン・ビトロ結合動態学
CM5センサーチップ(研究グレード)および関連試薬はBiacore USA(Piscataway,NJ)から購入した。ガングリオシドGM1はALEXIS Biochemicals (AXXORA LLC,San Diego,CA)からのものであり、およびGD2はAdvanced ImmunoChemical(Long Beach,CA)からのものであった。GM1を90%エタノール、10%メタノール(v/v)に溶解させ(0.5mg/ml)、およびGD2はエタノールに溶解させた(0.5mg/ml)。ガングリオシドは、疎水性相互作用を介して、CM5センサーチップに直接的に固定化した。参照表面をGM1で固定化した。GM1は100%エタノールで1:1希釈し、次いで、HBS−E緩衝液(10mM HEPES,pH7.4,150mM NaCl,および3mM EDTA)に1/5希釈した。希釈されたGM1(50 μg/ml)を15μl/分の流速にて20分間にわたって注射した(300μl)。広範な洗浄を、安定なベースラインが得られるまで、10mM NaOH(典型的には、5μl/分の流速にて20μlの5回の洗浄)に続いて行った。活性な表面をGD2およびGM1で1:1比率にて固定化した。GD2およびGM1は100%エタノールで1:1希釈し、および1:1比率で混合した。GD2およびGM1の混合物をHBS−E緩衝液(10mM HEPES,pH7.4,150mM NaCl,および3mM EDTA)に1/5希釈した。GD2およびGM1の希釈された混合物(50μg/ml)を20分間にわたって15μl/分の流速で注射した(300μl)。広範な洗浄を、安定なベースラインが得られるまで、10mM NaOH(典型的には、5μl/分の流速にて20μlの5回の洗浄)を続けた。
【0251】
精製された抗GD2 MoAbを、分析に先立って、濃度を変化させて(50〜1600nM)、250mM NaClを含有するHBS−E緩衝液に希釈した。試料(60μl)を2分間にわたって30μl/分の流速でセンサー表面に注射した。会合相の完了に続いて、解離を、250mM NaClを含有するHBS−E緩衝液中で同一流速にて300秒間モニターした。各サイクルの最後に、50μlの20mM NaOHを用いて50μl/分の流速で1分間にわたって、および100μgの4M MgCl2を用いて50μl/分の流速にて2分間にわたって表面を再生させた。固定化されたGD2上の試料の注射に続いて得られたバイオセンサー曲線を、動態学分析に先立って固定化されたGM1上に注射された試料で得られた対照曲線で減算した。データは、二価分析物モデル、および速度定数について設定するデフォルトパラメーターによって、Biacore T−100評価ソフトウェアを用いて分析し、および速度定数に対する見掛けの会合(kon,kal)、解離速度定数(koff,kd1)および平衡解離定数(KD=kd1/kal)を計算した。
【0252】
hu3F8およびch3F8を、さらに、ラット抗3F8抗特発性抗体で特徴付けた(Cheung et al.,1993,Int J Can 54,499−505)。これらのラットIgG1抗体をFab断片に消化し、およびFab調製キット(Pierce Protein Research Products,Thermo Fisher Scientific)を用いて精製した。ch3F8およびhu3F8のそれらの反応性はELISAによって、およびBIACOREによってアッセイした。
【0253】
他のガングリオシドとの交差反応性についてのELISA
GD2、GM2、GD1a、GD1b、GT1b、ならびにGD3、GM3、CM1、GD1aを90%エタノール中でウェル当たり20ngでコーティングした。風乾に続いて、ウェルを室温にてウェル当たり150ulでPBS中の0.5%BSAで1時間ブロックし、その後、PBS中で3回洗浄した。抗体を1ug/ml(ウェル当たり100ul)にて三連で0.5%BSAに加えた。バックグラウンド減算のために、(1)抗原無しおよび(2)試料無しでのウェルを用いた。37℃における2時間のインキュベーションおよびPBS5回での洗浄に続いて、マウス抗体(例えば、3F8)についてのHRP−ヤギ抗マウスIgG(Jackson Laboratory,1:1000に希釈)またはヒト化抗体についてのHRP−ヤギ抗ヒトIgG(Jackson Laboratory,1:1000)を用いた。4℃での1時間のさらなるインキュベーションおよびさらなる洗浄に続いて、490においてELISAプレ−トリーダー(MRX(Dynex)を用いてODを読み取り、および交差反応性をGD2に対する%最大結合として表した。
【0254】
抗体のビオチニル化
ビオチン(Long Arm)−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(BNHS,Vector Laboratories,Inc.,Burlingame,CA)を50mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。ビオチニル化試薬は試薬の1/10重量比率で抗体に加えた。場合により攪拌しつつ、反応混合物を室温で2時間インキュベートした。ビオチニル化抗体を室温で4時間、または4℃で一晩PBS中で透析した。ビオチニル化抗体の免疫反応性を天然抗体と比較し、およびEC50が相互の20%内にあることを確実とした。
【0255】
免疫染色による組織交差反応性
−20℃で30分間、250ulのアセトンで固定されたクライオスタットを用い、5〜7ミクロンの厚い凍結セクションを切断した。PBSでスライドを洗浄した後、スライドを、新たに調製した0.1%過酸化水素に室温で15分間暴露した。洗浄の後、ブロッキングアビジン溶液(VECTOR アビジン−ビオチンブロッキングキット)を加えて、および室温で20分間インキュベートした。洗浄の後、ブロッキングビオチン溶液(VECTOR アビジン−ビオチンブロッキングキット)の滴を加え、室温で20分間インキュベートした。さらなる洗浄の後、>100ulのブロッキング血清(PBS中に新たに希釈した10%ウマ血清)を加え、および室温で1時間インキュベートした。この工程はより長くすることができる。注意:血清を再使用してはならない。ブロッキング血清を各スライドから吸引した後、100ulの1ug/mlビオチニル化MOPC21(陰性対照)または1%ウマ血清に希釈されたビオチニルカ抗体を加え、および室温で1時間インキュベートした。洗浄の後、PBS中の1:100希釈における100ulのアビジン−ビオチン複合体[ABC](Vectastain ABCキット、VECTOR)を加え、および室温で30分間インキュベートした。洗浄の後、200ulの色素(DABペルオキシダーゼ基質キット、ベクター)を各セクションに加え、および(染色の所望の強度が標準における発色に基づいて達成されるまで)2時間の間色を発色させた。セクションを流れる水道水で5分間洗浄し、およびMyerのストックヘマトキシリンで逆染色し、およびさらなる洗浄を流れる水道水中で5分間行った。スライドを、順次、75%、次いで95%、次いで100%エチルアルコール中で脱水した。最終の脱水工程はキシレンまたはキシレン代替物中で行った。新鮮なサイトシール(Cytoseal)の一滴を加え、次いで、セクションをカバーガラスでシールした。
【0256】
直接的な細胞傷害性
抗体を、腫瘍細胞成長に対するそれらの直接的効果、およびヒト血清またはヒトエフェクター細胞の不存在下における生存についてテストした。腫瘍標的を2mM EDTAまたはトリプシン−EDTAで解離させ、洗浄し、F10における96ウェルの平坦な底のプレートにウェル当たり1.2×10
3〜3.5×10
4で平板培養した。37℃および5%CO2のCO2インキュベーター中での24時間のインキュベーションの後、F10における増大させる濃度の抗体を各ウェルに加える。対照ウェルはF10単独を受けた。5%CO2中の37℃での72時間のインキュベーションの後、WST−8試薬を各ウェルに加え、およびCO2インキュベーター中の暗所にて37℃で2〜6時間インキュベートした。ELISAプレートリーダーMRX(Dynex)を用いてODを450nmおよび690nmで読み取った。トリパンブルー(Sigma)またはベックマン・コールター・カウンター(Beckman Coulter,Brea,CA)を用いる直接的細胞カウンティングを用いWSC−8アッセイを検証した。
【0257】
51クロム放出による抗体依存性細胞傷害性(ADCC)
標的細胞をCa2+Mg2+を含まないPBS中の2mM EDTAで脱着させ、およびRPMI1640(F10)中の10%子ウシ培地(Gibco)中で洗浄した。100μCiの
51Crを10
6の標的細胞と共に250μlの最終容量にてインキュベートし、および15分間隔でペレットの温和な再懸濁と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、および250ulのF10に再懸濁させ、および37℃にて30分間インキュベートした。洗浄の後、細胞をカウントし、および活力をトリパンブルー(シグマ)で設定し、96ウェルのU底プレートに素早く平板培養した。正常なボランティアからの末梢血液をヘパリン化チューブに集めた。血液を3%デキストラン/PBSと混合し、および室温にて20分間保って、赤血球を沈積させた。次いで、白血球をフィコール処理し、および、各々、PBMC−ADCCおよびPMN−ADCCのために末梢血液単核細胞(PBMC)および顆粒球(PMN)に分離した。細胞をF10中で洗浄し、カウントし、および活力を決定した。PBMC−ADCCを10U/mlのIL−2および2ng/mlのGMCSF中のPMN−ADCCの存在下で行った。ADCCの最終容量は250ul/ウェルであった。抗体をF10中で3倍または5倍希釈において1ug/mlから希釈した。プレートを、室温にて、スナップスピンのために、500rpmで遠心し、次いで、37℃の5%CO2インキュベーター中で4時間インキュベートした。ADCC上清中の放出された
51Crをガンマカウンティングのために収集した。合計放出を、10%SDSで決定し、およびバックグラウンドの自然発生放出をエフェクター無しでF10のみで決定した。50:1のE:T比率を一般的に用いた。同様に、ヒトCD16またはヒトCD32 Fc受容体で安定にトランスフェクトされたNK92−MI細胞を用いてADCCアッセイを行った。PBMCまたはPMNとは異なり、アッセイにおいてサイトカインは必要でなかった。E:T比率は一般に20:1に維持した。
【0258】
%特異的溶解=(実験−バックグラウンド)/(合計−バックグラウンド)×100%
抗体のヨウ素化
124Iおよび
131Iを用いるヨウ素化はヨードゲン方法を用いて行った(Divgi et al.,2007,Lancet Oncol.8,304−10)。ガラスバイアルを50μgのヨードゲンでコーティングし、および50mMリン酸緩衝液(pH7.4)中の100μgのIgGを1mCiの
124I(または
131I)と一緒に加えた。ヨウ素124はMSKCCにおけるサイクロトロンによって部位に生じた。0.05M NaOH中の10mCiの
124I(0.02〜0.05mL)を1mgのMoAb(〜0.5mL)、0.063mLの1M Tris塩基、および0.4mLの0.2Mリン酸ナトリウムpH7.4と反応バイアル中で混合した。反応を氷上で15分間進行させ、その後、溶液を除去し、およびP6サイズ排除カラムおよびPBS中の1%BSAの溶離剤でのサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。
【0259】
ラジオイムノアッセイ(RIA)
Lindmoの方法を用いて、免疫反応性を見積もった(Lindmo et al.,1984,J Immunol Methods 72,77−89)。放射性方式MoAbを、50μlが約15,000〜20,000cpm(ほぼ1〜1.5uCi/3ml)が含有するまで1%BSAで希釈した。50μlを、625、375、250、220、190万の腫瘍細胞を含有する500μlの0.5%BSAに加え、および雰囲気温度にて1時間混合した。1500rpmにおける5分間の遠心の後、上清を除去し、および1mlの氷冷0.5%BSAで洗浄した。1500rpmにおける5分間のもう1つの遠心に続いて細胞ペレットをガンマカウンターでカウントした。細胞またはヨウ素化抗体の不存在下におけるバックグラウンドカウントを差し引き、および免疫反応性をLindmo方法によって見積もった(Lindmo et al.,1984,前掲)。
【0260】
異種移植したマウスにおけるMoAbの生体内分布
sc LAN1神経芽細胞腫を異種移植した無胸腺ヌードマウスを用いて、薬物動態学/生体内分布および抗腫瘍特性を調べた。腫瘍をキャリパーで測定した。sc腫瘍が〜200mgに到達すると実験を開始した。マウス当たり〜100uCiの放射性ヨウ素化抗体を静脈内注射し、および動物を通常48時間において犠牲にし、およびそれらの器官を摘出し、およびガンマカウンター(Packard Instruments,Perkin Elmer)でカウントした。これらの器官は皮膚、肝臓、脾臓、腎臓、副腎、胃、小腸、大腸、膀胱、大腿骨、筋肉、腫瘍、心臓、肺、脊椎骨、および脳を含んだ。器官に蓄積されたuCiおよび器官の重量に基づき、マウスの%注射用量(ID)/gmを計算した。%ID/gmの正常な組織に対する腫瘍の比率も計算した。
【0261】
糖分析
抗体の単糖およびオリゴ糖分析は、Complex Corbohydrate Research Center,Athens,GAによって行った。単糖分析はHPAECによってアッセイした。N−グリカンプロファイリングはMALDI−MSによって行った。
【実施例1】
【0262】
キメラ−IgG1および4つのヒト化IgG1のアミノ酸配列
m3F8の重鎖および軽鎖のCDRを、各々、ヒトフレームワークIGG HV3−33およびIGKV3−15に対するそれらの相同性に基づいて、ヒトIgG1フレームワークに移植した。2つの重鎖および2つの軽鎖設計から、HU3F8の4つのバージョンを遺伝子合成し、DG44細胞に発現させた。キメラ重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を、各々、配列番号:1および2に示し、ヒト化重鎖配列huH1−ガンマ1は配列番号:4に示し、huH2−ガンマ1は配列番号:6に示し、および、ヒト化軽鎖配列huL1−カッパは配列番号:5に示しおよびhuL2−カッパは配列番号:7に示す。
【0263】
全IgGとして発現される場合、4つのhu3F8−IgG1はhu3F8−huL1−IgG1、hu3F8−H1L2−IgG1、hu3F8−H2L2−IgG1、およびhu3F8−H2L1−IgG1と命名した。さらなる構築体を作成し、m3F8およびhu3F8−H1L1−IgG1の重鎖配列を、bluescriptベクターを用いてDG44細胞にトランスフェクトされたヒトIgG4フレームワーク(キメラ重鎖ガンマ4、配列番号:4およびヒト化3F8重鎖ガンマ4、配列番号:8)で置き換えた。実験のもう1つの組において、hu3F8−H1L1−IgG1配列を、特殊なグリコシル化シグネチャー(材料および方法参照)について選択された特殊なMAGE1.5 CHO細胞系にトランスフェクトした。キメラおよびヒト化3F8双方を、標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。
【0264】
SDSゲル上で、キメラおよびヒト化抗体は適当なサイズの重鎖および軽鎖を持つIgGとして移動し;およびHPLCによると、それらは全て<10%凝集形成を伴って全IgGとして溶出した(データは図示せず)。ELISAによると、それらは全て同様な結合活性でもってGD2に結合した。FACS分析によると(LAN−1、データは図示せず)、抗体は、それを超えるとより高い抗体濃度における細胞死滅のため平均蛍光強度(MFI)が降下する、最適な抗体濃度(〜0.1〜1ug/100万細胞)を示した。M14黒色腫では、細胞の死滅は100万細胞当たり1ugを超える過剰な抗体で起こらなかった(データは図示せず)。IgG4は経口性第二の抗体とヒトIgG1との優先的な反応性のため、より低いMFIを有する傾向があった。他のhu3F8構築体と比較して、hu3F8−H1L1−IgG1は凍結および解凍の後最も安定であり、FACSによると、およびELISAによると腫瘍細胞へのその欠乏を保持した(データは図示せず)。糖分析によると、hu3F8−IgG1nは、フコースおよびN−アセチル−グルコサミンのほとんど等しいモル比率を含有したhu3F8−IgG1およびhu3F8−IgG4とは対照的には、ほとんどマンノースおよびいくらかN−アセチル−グルコサミンを有した(表1)。
【実施例2】
【0265】
SPRによる結合活性測定(BIACORE)
GD2をCM5チップ上にコーティングした状態で、抗体結合の動態学(kon、koffおよびKD)を、低いGD2密度にてBIACORE T−100を用いる表面プラズモン共鳴によって比較した(表2)。k
offおよびK
Dは高いGD2密度にて全ての抗体について比例して改良された(データは図示せず)。異なる抗体密度における代表的な抗体のセンサーグラムを、BIACORE CM5チップに関して、双方の低いGD2密度にて(データは図示せず)および高いGD2密度にて(データは図示せず)比較した。
【0266】
【表1】
【0267】
抗体をGD2陽性腫瘍細胞と反応させた場合、抗体の遅いk
offはより遅い洗脱に移った。ここに、LAN−1細胞(データは図示せず)またはM14細胞(データは図示せず)をモノクローナル抗体と反応させ、および洗浄緩衝液で複数回洗浄した。各洗浄では、細胞表面の残存する抗体を、二次FITC標識ヤギ抗マウス抗体を用いて検出した。MFIをベースラインのパーセントとして表した(すなわち、最初の洗浄後)。LAN−1細胞では、3F8および抗−B7−H3 8H9抗体は、14.G2a(〜30%保持、データは図示せず)と比較して遅い洗脱(10回の洗浄後〜80%保持)を有した。同様に、M14腫瘍細胞については、5回目の洗浄まで、腫瘍細胞への抗体の保持の実質的な差があった。3F8、3F8−(Fab’)2、およびhu3F8−IgG1(全て遅いkoffを持つ)は>80%保持を有したが、他の抗GD2抗体14.G2a(mIgG2a)、ME361(mIgG2a)、およびS220−51(mIgG3)(全て、BIACOREによる速いkoffを持つ)は、<30%まで漏洩した。Hu3F8−IgG1、hu3F8−IgG4、ch3F8−IgG1、およびch3F8−IgG4は、やはり、ラット抗3F8抗イディオタイプ抗体(Cheung et al.,1993,Inter J Cancer 54,499−505)およびELISAにおいて、およびSPRにより(方法参照)、高い結合活性を持つそれらのFab断片に特異的に反応した。
【実施例3】
【0268】
他の抗原との交差反応性
交差反応性実験において、hu3F8−H1L1−IgG1はch3F8−IgG1およびm3F8と同様なプロフィールを有した(表3)。固相GD2上のODに対するELISAによるパーセントODとして表したGD1bとの交差反応性の低いレベルがあった。ウエスタンブロット、またはSPRいずれかによる(データは図示せず)ヒトN−CAM(Patel et al.,1989,Br.J.Cancer 60,861−866)とのm3F8、hu3F8、または14.G2aの交差反応性は無かった。
【0269】
【表2】
【実施例4】
【0270】
直接的な細胞傷害性
これらの抗体をイン・ビトロにて神経芽細胞腫細胞に加えると、それらは直接的な細胞の死滅を誘導し、およびイン・ビトロ細胞成長を遅延させた。3日培養系においてWST−8によってアッセイすると、m3F8およびhu3F8は、それらのEC50を比較すると(表4参照)、〜10倍より弱かった14.G2aとは対照的に、同様な能力を有した。
【0271】
【表3】
【実施例5】
【0272】
抗体依存性細胞は細胞傷害性を媒介した
4つのhu3F8 IgG1抗体(H1L1、H1L2、H2L1、H2L2)を、エフェクターとしてボランティアPBMC(データは図示せず)およびボランティアPMN(データは図示せず)を用いてADCCアッセイにおいて比較した。H1L2以外で、全ての3つのhu3F8は匹敵するPBMC−ADCCを有した。しかしながら、最も重要なことには、それらは、全て、>10−100のファクターだけm3F8よりも優れていた。
【0273】
【表4】
【0274】
(hu3F8−IgG1と略される)hu3F8−H1L1−IgG1はイン・ビトロにて最も安定であって、さらなる特徴付けのために選択した。ch3F8−IgG1、hu3F8−IgG1、hu3F8−IgG1n、14.G2a、およびm3F8を、エフェクターとしてPBMC(データは図示せず)またはPMN(データは図示せず)を用いてLAN−1に対してADCCアッセイにおいて比較した。これらの抗体のADCC能力は比率(3F8についてのEC50)/(MoAbについてのEC50)(表5)として計算した。m3F8に対して、hu3F8−IgG1はPBMC−HDCCにおいて217倍より強くおよびPMN−ADCCにおいては19倍強かった。hu3F8−IgG1nについては、それは、各々、3901倍および5倍であった。加えて、キメラおよびヒト化3F8双方に関して達成された最大細胞傷害性は、それがPBMC−ADCCまたはPMN−ADCCであるかにかかわらず、m3F8または14.G2aのそれよりも実質的にかつ一貫してより高かった。
【0275】
(阻害性FcRの不存在下で)単離における個々のFcRについてADCCでのMoAbの能力を調べるために、我々はNK92細胞を用いてADCCをテストした。NK92細胞はそれらの細胞表面にヒトFcRを運ばない。ヒトCD16およびCD32でトランスフェクトすると、それらは有効なADCCを媒介できた。これらのエフェクター細胞を神経芽細胞腫LAN−1標的に対してテストすると、hu3F8−IgG1nはhu3F8−IgG1よりも有効であり、hu3F8−IgG1は、今度は、CD16−ADCCにおいてm3F8よりもより有効であった(12倍)(データは図示せず)。対照的に、FcRとしてのCD32に関しては、能力は、hu3F8−IgG1nのそれと比較してhu3F8−IgG1についてほとんど10倍より高かった(データは図示せず)。同様な傾向が、黒色腫M14を標的として用いた場合に観察された。hu3F8−IgG1nはhu3F8−IgG1またはch3F8−IgG1よりも〜10倍より有効であり、hu3F8−IgG1またはch3F8−IgG1は、今度は、CD16−ADCCにおいてm3F8または14.G2aよりも〜20倍より有効であった(データは図示せず)。対照的に、hu3F8−IgG1、hu3F8−IgG1n、およびch3F8−IgG1は、CD32がFcRである場合には同様であり、全てがCD32−ADCCにおいてm3F8よりも>10倍より有効であった(表6)。IgG4サブクラスの抗体は<3%のCMC活性、最小のCD16−ADCC活性を有したが、しかしながらm3F8よりも良好なC32−ADCCであった。
【実施例6】
【0276】
補体は細胞傷害性を媒介した
ヒト補体媒介溶解(CMC)において、異なるhu3F8 IgG1形態(H1L1、H1L2、H2L1、およびH2L2)は有効性において匹敵した(表6)。ch3F8およびhu3F8は40〜60%であり、他方、14G.2aおよびch14.18は、m3F8と同程度にCMCにおいて有効な4〜12%であった(表6)。
【0277】
【表5】
【実施例7】
【0278】
ヒト神経芽細胞腫異種移植片の標的化
hu3F8−IgG1、hu3F8−IgG1n、およびhu3F8−IgG4は、40〜45%程度の匹敵する免疫反応性を持つ
131Iで放射性標識した(表7)。48時間内におけるそれらの生体内分布を、sc LAN−1神経芽細胞腫異種移植片を担うマウスにおける
131I−m3F8のそれと比較した。%ID/gmによって測定された場合の腫瘍摂取はhu3F8−IgG1(29.6%)とm3F8(28.6%)間で匹敵し、双方は、hu3F8−IgG1nおよびhu3F8−IgG4のそれのほとんど2倍であった(データは図示せず)。通常の組織に対する腫瘍の比率は、NB LAN−1異種移植片に対してこれらの4つの抗体の間で匹敵した。比較において、黒色腫M14に関しては、全ての3つのhu3F8抗体の%ID/gmおよび正常な組織に対する腫瘍の比率の双方はm3F8のそれと同様であった(データは図示せず)。
【0279】
【表6】
【実施例8】
【0280】
神経芽細胞腫異種移植片の処置
樹立されたヒト神経芽細胞腫LAN−1(0.5〜1cm直径)で異種移植したマウスを、iv m3F8またはhu3F8−H1L1−IgG1で毎週2回、4週間の間処理した。腫瘍の応答およびマウスの生存をモニターした。腫瘍成長における遅延は、hu3F8−H1L1−IgG1抗体用量(200ug>100ug>20ug、データは図示せず)に依存した。100〜200ugを受けているマウスの生存は、PBS対照またはm3F8を受けているマウスよりも有意に長かった(p=0.003)(データは図示せず)。
【0281】
【表7】
【0282】
考察
抗GD2抗体はGD2陽性神経芽細胞腫についての証明された療法である(Yu et al.,N Engl J Med 363:1324−1334,2010)。ネズミ抗体14.18およびその誘導体(14.G2aおよびch14.18)は、抗GD2療法の将来の改良のための基準を提供した。我々は、14.G2aまたはch14.18と比較して、GD2結合の間におけるその10倍より遅いkoffのため、臨床開発のためにネズミIgG3抗体m3F8を選択した。骨髄における化学抵抗性転移神経芽細胞腫を持つ患者の中では、m3F8+GMCSFは80%完全な寛解を誘導した(Kushner et al.,2001,J Clin Oncol 19,4189−94)。しかしながら、ヒト抗マウス抗体(HAMA)は、その抗原に結合するその能力を中和することによって、抗体の直接的効果をブロックすることによって、および循環からの抗体の除去を加速することによって、ネズミ抗体の効果を減少させることができる。ネズミからヒトIgGフレームワークへ変化させる遺伝子工学はHAMA応答を低下させるはずである。ch14.18およびhu14.18(双方は、14.G2aのVHおよびVLに由来する)は、患者において最小免疫原性を有する。従って、我々は、潜在的次世代の抗GD2抗体としての3F8のキメラおよびヒト化形態をテストした。
【0283】
成功したキメラ化およびヒト化の1つの基準は、遺伝子工学の間における親和性の保存である。これは、ヒト化プロセスにおけるCDR移植で特に不確かである。ch3F8およびhu3F8におけるゆっくりとしたkoffの保存は心強いものであった。しかしながら、より重要なことには、イン・ビトロでのエフェクターの機能、ならびにイン・ビボでの腫瘍標的化+イン・ビボでの治療特性の保存および増強は臨界的なものであり得た。ch3F8−IgG1およびhu3F8−IgG1の双方は、m3F8よりも>200倍より有効なPBMC−ADCCを示したが、PMN−ADCCは>20倍であった。加えて、特殊な糖型hu3F8−IgG1nは>3500倍より有効なPBMC−ADCC、およびm3F8のそれよりも5倍より有効なPMN−ADCCを有した。かなり対照的に、CMCでは、ch3F8およびhu3F8は、m3F8よりも低い補体活性化能力を有した。
【0284】
ADCCにおけるこの大きな改良は、患者におけるモノクローナル抗体の抗腫瘍効果におけるその役割についての最も望ましい所与の最近の証拠である。リツキシマブで治療されたリンパ腫患者の中では、高親和性FcR2AおよびFcR3Aの双方は、良好な応答および生存の利点を有することが示された(Weng and Levy,2003,J Clin Oncol 21,3940−7)。高親和性受容体FcR3Aはイン・ビトロにてADCCの<10改良に移動したが(Niwa et al.,2004,Clin Cancer Res 10,6248−55)、総じての応答および進行までの時間は200%だけ改良された(Weng and Levy,2003,前掲)。転移性乳癌をヘルセプチンで治療した場合、高親和性FcR3Aを持つ患者は良好な総じての応答(83%対35%、p=0.03)、およびより長い無進行生存(p=0.005)(Musolino et al.,2008,J Clin Oncol 26,1789−96)を有した。セツキシマブで治療された転移性結直腸癌では、低親和性FcR2aおよびFcR3Aを持つ患者は、突然変異したKRASを持つ患者と匹敵する危険比率を有した(Bibeau et al.,2009,J Clin Oncol 27,1122−9)。ネズミ3F8では、骨髄細胞でのm3F8についての高親和性FcR3A受容体を持つ患者は、良好な生存を有することが示された(Cheung et al.,2006,J Clin Oncol 24,2885−90)。
【0285】
結合親和性およびエフェクター機能は治療的適用で臨界的であるが、交差反応性は予測できない毒性の問題を引き起こしかねない。我々は、3F8についてのこれらのキメラおよびヒト化形態が精製されたガングリオシドでのELISAアッセイ、ならびに正常なヒト組織のパネルでの免疫組織化学双方によるとネズミ3F8として匹敵する交差反応性パターンを有したことを示した(データは図示せず)。m3F8と同様に、3F8のキメラおよびヒト化形態の双方は、GD2と比較した場合にGD1bに対して低いレベルの反応性を示した。GD1bは、特別には、レチノイドによって分化した場合、神経芽細胞腫瘍内でかなり圧倒的なガングリオシドであることが示されている(Hettmer et al.,2004,Br J Cancer 91,389−97;Gong et al.,2002,Brain 125,2491−506)。これは、シスレチノイン酸は高リスクの神経芽細胞腫に対する免疫療法を受けている患者にルーチン的に与えられるので、これは妥当であろう。しかしながら、抗GD1b抗体もまた感覚失調性神経障害に関連付けられてきた(Gong et al.,2002,前掲)。それにもかかわらず、500を超える患者における永久的ではないまたは後期の感覚神経障害を伴う(GD1bに対する同様な交差反応性を持つ)m3F8の安全性プロフィールは心強かった。
【0286】
補体媒介細胞傷害性(CMC)は、CD55(Cheung et al.,1987,Proc Natl Am Assoc Cancer Res 28,387)およびCD59(Chen et al.,2000,前掲)のそれらの低い発現のため、ヒト神経芽細胞腫に対して異常に効果的である(Saarinen et al.,1985,Proc Amer Assoc Cancer Res 26,291)。全ての抗GD2抗体は有効な補体媒介細胞傷害性を媒介し、およびm3F8は特に有効であるように見える。しかしながら、リツキシマブの実験は、ADCCをダウンレギュレーションするにおいて補体活性化の負の役割を示唆した(Wang et al.,2009,Blood 114,5322−30)。臨界的実験では、補体成分C1qAのより高い活性は、リツキシマブ療法に対するより低い好都合な応答と関連付けられた(Racila et al.,2008,Clin Cancer Res 14,6697−703)。抗GD2抗体では、補体活性化は疼痛副作用の原因であると考えられ(Navid et al.,Curr Cancer Drug Targets 10:200−209,2010)、よって、Fc−CH2ドメインの突然変異したバージョン(hu14.18K322A)は現在臨床試験中である。これらの考慮に鑑みれば、CMCのオーバードライブは恐らくは望ましくない。ch3F8およびhu3F8の双方はわずかにより低い有効なCMCを有したのは心強い。
【実施例9】
【0287】
急性疼痛副作用をブロックする抗体の使用
低いkoffを持つが、ADCCまたはCMC活性が枯渇した抗体は、血管周囲の空間を囲う神経繊維上のGD2をブロックするために用いることができようと仮定した。3F8(HM3F8)の熱処理は、そのCD2結合に影響することなくそのADCCおよびCMC活性を枯渇させる(Kushner et al.2011,J Clin Oncol 29,1168−1174)。ラットを熱処理した3F8で予備的に注射すると、天然3F8の5〜10モラー過剰の引き続いての注射に対するそれらの疼痛応答は実質的に低下した。より重要なことには、抗腫瘍効果は危うくなかった。相I臨床試験(IRB−05015、NCT00450307)では、抵抗性神経芽細胞腫(NB)を持つ30の患者は、外来患者設定における3F8+顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子1〜2のサイクルを受けた。3F8用量は用量制限性毒性(DLT)の不存在下で、20mg/m
2/dで開始し、および20mg/m
2/dだけ増加した。プレ投薬は鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、および2mg/m
2 HM3F8の5分の注入を含むものであった。オピオイドの使用を、20mg/m
2/dにおける3F8で処置したが、HM3F8で処置しなかった一次的な対照群と比較した。用量の上昇は、薬物供給限界のため160mg/m
2/dで停止させ;この用量レベルを通じてさえ、鎮痛剤の要件は歴史的な対照と同様であり、およびDLTは無かった。80mg/m
2/dを通じての3F8用量レベルにおける鎮痛剤の要件は、対照と比較して有意に少なかった。抗NB活性は全ての用量で起こった。この3F8の多数倍用量の上昇は実行可能であって、HM3F8は抗NB活性を平滑とすることなく毒性を修飾することができたことを示唆した。
【0288】
hu3F8−IgG4の疼痛ブロッキング潜在能力
HM3F8の臨床結果に基づき、我々は、血管周囲の疼痛繊維が、CMCまたはADCC機能を欠如する抗体の小用量によって優先的にブロックすることができると仮定する。m3F8の加熱はそのCMCおよびADCC機能を(結合を保持しつつ)破壊するが、熱修飾されたhu3F8はほとんど十分なCMCおよびADCC機能を保有する。Lan1、NMB7、SKNLP、BE(1)N、およびSHEP1のような異なるNB細胞系においてCMCおよびADCCを活性化するhu3F8−IgG4の無能力(表8、データは図示せず)は、この抗体サブクラスを、HM3F8についての活力のある代替法とする。抗体構造および免疫原性に対する未知の効果を伴う加熱とは異なり、hu3F8−IgG4は作成された蛋白質である。CMCおよびADCC機能の不存在の他に、IgG4のサブクラスはユニークな生化学的特性を有する。慢性抗原刺激によって典型的に誘導され、それらは他の抗体のイソタイプによる免疫複合体形成に干渉することが知られており、それにより、免疫反応を弱らせる(Losen et al.,2008,Ann N Y Acad Sci 1132,174−9)。最も重要なことには、それは、それ自体を一価に還元する天然の能力を有し、それにより、血液中での数時間の期間の後にhu3F8−IgG1と競合するその能力を喪失する(van der Neut Kolfschoten et al.,2007,Science 317,1554−7)。そのような一価は、重鎖および付着した軽鎖(半分子)をもう1つのIgG4分子からの重−軽鎖対と交換することによってFabアームを交換するその既知の特性から由来し、その結果、問題とする特異的抗原に向けての一価がもたらされる(例えば、GD2)。
【0289】
【表8】
【0290】
ラット異痛症モデル
該ラットモデルを用いて、疼痛副作用をブロックするhu3F8−IgG4の能力をテストした(MSKプロトコル #09−05−010)。m3F8(ラット補体の有効なアクチベーター、Bergman et al.,2000,Cancer Immunol Immunother 49,259−66)およびhu3F8の双方を用いて異痛症を誘導した。hu3F8−IgG4(0.1、0.25、または0.5mg/kg)を、iv m3F8(5mg/kg)、またはhu3F8−IgG1(5mg/kg)、またはch14.18(5mg/kg)に30分間先立って静注として投与した。他の群は熱修飾m3F8(HM3F8)またはhu3F8−IgG4の代わりに対照抗体を受けた。Von Freyフィラメント方法を用いて、MoAb注射に先立って、およびその後に、ベースラインにおける疼痛を見積もった(Chassaing et al.,2006,Br J Clin Pharmacol 61,389−97;Benani et al.,2003,Eur J Neurosci 18,2904−14)。
【0291】
生体内分布に対するhu3F8−IgG4の効果および
131I−hu3F8−IgG1の効力
神経芽細胞腫(LAN−1)の腫瘍を、低い血清IgGを持つ雌NOD/SCID/IL2−gc
null免疫欠乏マウス(群当たりn=10)の群において皮下移植した。マウスに、実験に24時間先立って、1gm/kgのヒトIgGを注射した。hu3F8−IgG4(0.1、0.25、または0.5mg/kg)または対照huIgG4(0.1、0.25、または0.5mg/kg)、またはHM3F8(0.5mg/kg)、または生理食塩水を、
131I標識各MoAbで標識されたm3F8、またはhu3F8−IgG1、またはch14.18(5mg/kg)分量に30分間先立って、静注として投与した。血液を1、3、6、12、24、36、48、および96時間において尾から収集した。生体内分布実験において、組織カウントのため、2つの時点(
131I−MoAb注射から24時間および48時間後に)マウスを犠牲にした。主な器官を摘出し、および既知の容量の注射でガンマカウンターにてカウントし、およびデータはパーセンテージID/gm組織として表した。薬物動態学分析は、WinNonlinソフトウェアプログラム(Pharsight Corp.,Mountain View,CA)を用い、血清濃度−時間のデータの非区画分析によって行った。実験の別の組において、異種移植マウスを、同様に、しかしながら、
131I分量標識無くして処理し、およびそれらのsc腫瘍応答を2カ月間にわたって測定した。
【0292】
ラットにおいて異痛症をブロックするhu3F8−IgG4の能力を、熱処理したm3F8のそれと比較することができる。(天然m3F8、またはhu3F8−IgG1またはch14.18による挑戦を、全て5mg/kgにおけるように維持しつつ)用いたブロッキング抗体の用量応答曲線に基づき、ラットで異痛症をブロックするにおける相対的な能力を引き出すことができる。我々は、hu3F8−IgG4が、異痛症をブロックするにおける熱処理3F8と比較した場合に同等、またはより有効であると予測する。これらの実験は、hu3F8−IgG4を臨床試験に移すための前臨床根拠を提供するであろう。
【実施例10】
【0293】
増強された安定性についてのhu3F8フレームワーク配列の最適化
ネズミ抗体をヒト化するプロセスにおいて、構造的に重要な位置にあるフレームワーク残基は、しばしば、ネズミ配列に復帰突然変異させて、抗体安定性および抗原結合の双方を保存する(Honegger,A,2008,Engineering Antibodies for Stability and Efficient Folding,In:Therapeutic Antibodies.Handbook of Experimental Pharmacology,181)。
【0294】
材料および方法
m3F8可変ドメインの構造モデル
m3F8可変ドメインの相同性モデルを、Discovery Studio (Accerlys,San Diego,CA)においてMODELER(Eswar et al.,2006,Curr Prot Bioinfor,Supplement 15,5.6.1−5.6.30)を用いて作り出した。マラリヤ抗原AMA1抗体Fab(Protein Data Bank code 2Q8A)の結晶構造を、可変軽鎖のための鋳型として選択した(84%同一性)。抗体13G5 Fab(Protein Data Bank code 2GJZ)の結晶構造を、可変重鎖のための鋳型として選択した。
【0295】
m3F8 Fab断片の結晶構造
標準的なFab調製キット(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)を用い、m3F8のFab断片をパパイン消化によって生じさせた。精製されたm3F8を20mM HEPES pH6.5中で12mg/mlまで濃縮し、および0.1M Tris pH8.5、25%w/v PEG3350を含有するHampton Index試薬D9(Hampton Research,Aliso Viejo,CA)を含有する貯蔵器に対して16℃での蒸気拡散によって吊り下げた滴中で結晶化させた。該液滴は、1μlの蛋白質溶液および1μlの貯蔵器溶液を混合することによって液滴を形成した。結晶は、25%グリセロール、0.1M Tris pH8.5、25%w/v PEG3350を含有する低温保護剤によって保護した。データはArgonne Advanced Photon Source beamline 24IDCにおいて収集した。結晶は空間群C2に属し、および1.7Å分解能まで回折する。
【0296】
Fab構造は、サーチモデル(Qin et al.,2008,J Biol Chem 283,29473−84)としてのフェイザー(Phaser)(CCP4 suite)(McCoy et al.,2007,J Appl Crystallogr 40,658−674)およびPDBエントリ−2AJUを用いる分子置き換えによって解決した。最良の分子置き換えモデルは、Refmac5(Murshudov et al.,1997,Acta Crystallogr.D:Biol.Crystallogr 53,240−255)を用いて改良し、マニュアルフィッティングはOで行い(The CCP4 suite:Programs for protein crystallography.Acta Crystallogr.,D:Biol.Crystallogr.50(1994)760−763)、Arp−Warpを含む溶媒を加えた(Lamzin and Wilson,1993,Acta Crystallogr,D:Biol.Crystallogr.49,129−147)。最終のモデルはm3F8 Fabの2つのポリペプチド鎖、および585溶媒分子を含有した。
【0297】
m3F8結晶構造のコンピューターによる解析
ヒト鋳型IgHV3−33−HCおよびIGKV3−15−LCに基づき、m3F8上のフレームワークに導入されるであろう各ヒト化突然変異を、コンピューター化学方法を用いて解析した。m3F8の結晶構造は、CHARMm(Chemistry at Harvard Molecular mechanics)力場(Brooks et al,2009,J.Comp Chem 30,1545−1615)を用いてシミュレートし、および各点突然変異の効果を、突然変異した構造の折り畳み自由エネルギーと野生型蛋白質との間の鎖から計算した。一般化されたBorn近似式を用いて、溶媒の効果を説明し、および全ての静電項をクーロン相互作用および溶媒和エネルギーに対する極性寄与の合計として計算した。ファン・デル・ワールス、静電、エントロピーおよび非極性項の重み付けした和を各点の突然変異につき計算した。全ての計算は、Discovery Studio 3.0(Accelrys,San Diego,CA)を用いて行った。
【0298】
結果
hu3F8−H1L1重鎖配列では、ヒトIgG重鎖配列IgHV3−33−HCを鋳型として用い、および位置5、9、16、19、20、24、28、29、30、40、48、49、67、71、76、78、81、86、および92において復帰突然変異を行った。hu3F8−H1L1軽鎖では、ヒトIgG軽鎖配列IGKV3−15−LCを鋳型として用い、位置1、7、9、15、19、21、22、43、45、58、60、67、70、73、78、80、および87で復帰突然変異を行った。復帰突然変異はm3F8の相同性モデルに基づいて推測し、および突然変異がCDRループの折り畳みに影響するか、または骨格安定性(GlyおよびProを含む突然変異)に影響するかを決定することを含んだ。
【0299】
相同性モデルの正確性を実証し、およびヒト化戦略をさらに高めるために、m3F8の結晶構造を1.7Åにおいて解析した(データは図示せず)。m3F8可変領域の相同性モデルに、解析された結晶構造を重ねた(データは図示せず)。CDRの外側のフレームワーク領域の大部分についての相同性モデルは実験的に誘導された結晶構造に密接にマッチした。しかしながら、注目すべき差がCDR領域に、特に、ループH3、H2、およびL3に観察された。相同性モデルは、Fv構造の安定性に対して非常に重要であるVH−VL界面における相互作用のいずれかを正確に予測できなかった。VH−VL界面において水素結合するアミノ酸の6つの対、およびπ相互作用に参画するアミノ酸の2つの対がある(表10)。m3F8の結晶構造を解析した後、コンピューター解析を適用して、IgHV3−33−HCおよびIGKV3−15−LC鋳型に基づいた各ヒト化突然変異のエネルギー的効果を決定した。折り畳み自由エネルギーの差を各突然変異について計算した。この解析に基づき、ヒト化突然変異のうち5つは、m3F8の総じての折り畳みに対して脱安定性であることが判明した(表9)。これらは、重鎖の位置11および21、および軽鎖の位置1、10、12、40、および97を含んだ。また、各々、位置40および97において軽鎖におけるProおよびGlyに関連するヒト化突然変異は骨格柔軟性に有意に影響することも決定された。2つのGly/Pro突然変異に加えてこれらの5つの脱安定化突然変異は復帰突然変異についての候補と考えられ、hu3F8−H3L3の配列に含まれる(配列番号:9および10)。m3F8結晶構造のコンピューター解析は、抗体の安定性に対して中性の影響を有するであろう5つのヒト化突然変異も同定した(データは図示せず)。これらの突然変異は軽鎖の位置24および56、および重鎖の位置20、58、および92である。これらの突然変異は、相同性モデルに基づくが、hu3F8−H3L3についての設計に含まれる、hu3F8−H1L1の配列に含まれなかった(配列番号:4および5)。
【0300】
m3F8の結晶構造のVH−VL界面の解析を行って、hu3F8における水素結合およびπ相互作用の各々を保存した(表10)。界面の相互作用に関与する15のアミノ酸のうち、14はhu3F8−H1L1およびhu3F8−H3L3に保存された。1つの失われた相互作用は軽鎖におけるSer43を含む。この突然変異はhu3F8−L1およびhu3F8−L3の設計に加えて、Hu3F8−L1SおよびHu3F8−L3Sを生じさせた。
【0301】
これらの安定性増強フレームワークは、安定なヒト化フレームワークを設計するための相同性モデリングの使用を含む、当該分野の現在の水準では可能性を有しなかったであろう。力場方法を用いてコンピューター解析と組み合わせたm3F8の実験的に導かれた結晶構造の使用は、増強された安定性プロフィールを持つ新規な抗体を設計するために必要であった。
【0302】
【表9】
【0303】
【表10】
【実施例11】
【0304】
3F8:GD2相互作用のコンピューター解析に基づくより高い親和性3F8抗体
m3F8の結晶構造をコンピューター実験のための鋳型として用いて、抗原認識の分子の詳細を決定した。GD2抗原は、セラミド脂質テイルに連結された五糖頭部から成る。実験的に導かれた3F8:GD2共複合体の不存在下では、コンピュータードッキングはGD2五糖頭部のみで試みられ、ここに、セラミド部位はメチル基によって置き換えた。GD2五糖分子は、コンピュータードッキングにおける場の状態を考えるとドッキング実験のための主な挑戦を表した。最初に、大きな柔軟性リガンドのドッキングは、正確に予測するのは困難である。GD2頭部は30を超える回転可能な結合を有する。そのような高度な柔軟性を持つリガンドについて正確であると報告された、確立されたドッキングプロトコルは無い。第二に、GD2頭部は炭水化物分子であり、力場方法を炭水化物分子に適用した場合に、ドッキング実験の精度に関する少数の報告しか無い。第三に、GD2頭部は炭水化物の特殊なクラスである。というのは、それはそのシアル酸部位で見出された2つの荷電基を含有するからである。そのような大きくて、柔軟であって荷電された炭水化物の結合立体配座を正確に予測することが示された、確立されたドッキング方法は無い。
【0305】
(荷電シアル酸残基を含有しないが)オリゴ糖の結合立体配座を予測するのに信頼性があると報告された1つのドッキングアルゴリズムはGLIDEである(Agostino et al.,2009,J Chem Inf Model 49,2749−60)。該報告は、GLIDEが、実験的に導かれた共結晶構造と比較して、抗体に対するオリゴ糖の結合立体配座を予測するにおいてAutoDock、GOLD、およびFlexXよりも優れたことを示した。テストされた抗原のいずれもより大きな四糖ではなかったことに注意すべきである。文献中のもう1つの有望なドッキングアルゴリズムはCDOCKER(Wu at al.,2003,J.Comp Chem 24,1549)、8またはそれ以上の回転可能な結合のドッキング立体配座を正確に予測するにおいてDOCK,FlexX、およびGOLDよりも優れていることが示されたCHARMmベースのドッキングアルゴリズムであった(Erickson et al.,2004,J Med Chem 47,45−55)。オリゴ糖は実験において分析せず、およびテストされたリガンドはGD2頭部よりもかなり小さくかつ低い柔軟性のものであった(>30回転可能結合)。
【0306】
GLIDEとCDOCKER間のヘッドトゥーヘッド比較を、蛋白質データバンクからの3つの入手可能なテストケース(PDBコード2HRL:GT1bとの複合体であるSiglec−7;PDBコード3BWR:GM1との複合体であるシミアンウイルスVP1;およびPDBコード3HMY:GT2との複合体である破傷風トキシンHCR/T)を用いてGD2と同様なドッキングリガンド(オリゴ糖を含有するシアル酸)にて行った。3つのテストケースのうち全ての2つにおいて、CDOCKERは、各オリゴ糖の正しい結合態様を正確に予測できた(2オングストロームの根平均二乗偏差内)。
【0307】
GLIDEは2つを3つのテストケースに不正確にドッキングさせ(>2オングストローム根平均二乗偏差)、および第三のテストケースにおいてはドッキングされた姿勢を見出すことができなかった(表11参照)。この分析によって、CDOCKERは、荷電オリゴ糖をドッキングさせるにおいてGLIDEよりも優れていた。
【0308】
GLIDEはケースの各1つにおいて失敗した(表11参照)。次いで、CDOCKERを用いて、GD2五糖の頭部をm3F8の結晶構造の抗原結合ポケットにドッキングさせた。次いで、頂部をドッキングさせた構造は、CHARMm力場を用いてエネルギーを最小とした。該分析は、GD2の頭部と直接的に相互作用する14のアミノ酸を示した(表12)。次いで、これらの位置の各々、イン・シリコにて、可能なアミノ酸の全てに突然変異させ、およびCHARMmベースの相互作用エネルギーを計算した。最高の相互作用突然変異体を表13にリストする。このアプローチに基づいて、1つの突然変異(重鎖Gly54Ile)は相互作用エネルギーを有意に増加させると予測された。コンピューターモデリングは、重鎖のCDR3における位置54のGlyのIleへの置換が、結合ポケットの形を変化させ、およびGD2リガンドとの接触を増加させたであろう。この分析を用いて、重鎖突然変異Gly54IleをhuH1−ガンマ1およびhuH3−ガンマ1の配列のCDR領域に加えて、各々、huH1T−ガンマ1およびhuH3I−ガンマを作り出した。
【0309】
ドッキング方法
GLIDEドッキングは、Shrodinger Suite2009(Schrodinger,New York,NY)を用いて行った。OPLS力場を用いて、蛋白質およびリガンドをパラメーター化した。頂部リガンドの姿勢は2.0Åの根平均二乗偏差内でクラスター化し、およびGlideScoreによってスコア取りした。
【0310】
CDOCKERドッキングおよび相互作用エネルギー測定は、Discovery Studio3.0(Accelrys,San Diego,CA)を用いて行った。CHARMm力場を用いて、蛋白質およびリガンドをパラメーター化した。頂部リガンド姿勢は、2.0オングストロ−ム根平均二乗偏差内でクラスター化し、およびCDOCKER相互作用エネルギーによってスコア取りした。
【0311】
【表11】
【実施例12】
【0312】
抗原およびFc受容体(FcR)に対する親和性を増強させることによるエフェクター機能の改良
抗GD2 MoAbは化学抵抗性転移性神経芽細胞腫(NB)に対する証明された療法であり、ch14.18は次世代のMoAbについての基準を提供する。抗GD2 MoAbマウス3F8(m3F8)および顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の組合せは、原発性難治性NBを持つ患者の80%において完全な骨髄寛解を一貫して誘導した。第一の完全な/非常に良好な部分的緩解(CR/VGPR)で処置された患者の中では、この組合せは13−シス−表12をプラスする。CDOCKERおよびCHARMmエネルギー最小化レチノイン酸に基づいてGD2と直接的に相互作用する3F8アミノ酸残基は、PFSを51%±7%まで、およびOSを80%±5%まで、過去5年間で改良した。治療効果の分析は、NBおよび他の固形腫瘍のMoAb療法における遺伝子多形に基づくFcR親和性の重要性を反復して示した。抗原に対する、および犠牲にする特異性無しのFcRに対する親和性の改良は、イン・ビトロおよびイン・ビボでのMoAb効力を改良するはずである。
【0313】
【表12】
【0314】
【表13】
【0315】
方法:
huIgG1サブクラスのキメラ3F8(ch3F8)およびヒト化3F8(hu3F8)は遺伝子工学によって構築し、CHO細胞において発現させ、およびプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。フコースおよびN−アセチルグルコサミンを欠如するhu3F8のFc糖型(hu3F8nまたはhu3F8−MAGE1.5)を特殊なMAGE1.5 CHO細胞において生じさせた。GD2に対する、およびFcRに対するこれらのMoAb形態の親和性は、BIACORE T−100を用いて比較した。エフェクター機能を、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)および補体媒介細胞傷害性(CMC)アッセイを用いてテストし、およびそれらの能力はMoAbのEC50に由来した。これらの戦略を、臨床的潜在能力を持つ他の腫瘍抗原系(B7−H3、HER−2、CSPG4、LI CAM)に対するMoAbに適用した。
【0316】
結果:
ch3F8およびhu3F8はm3F8のそれと同様なKdを維持し、14G.2aまたch14.18と比較した場合、全ては10倍遅いkoffを共有し、その結果、より好都合なKDおよびより長い滞留時間をもたらした。m3F8、ch3F8またはhu3F8はイン・ビトロにてNB細胞系の増殖を阻害し、他方,他の抗GD2抗体は有効でなかった。末梢血液単核細胞(PBMC)−ADCC、顆粒球(PMN)−ADCCまたはCMCにおいて、ch3F8およびhu3F8はch14.18よりも10倍を超えてより強かった。hu3F8nによるPBMC−ADCCはhu3F8よりも10倍効果的であり、およびm3F8よりも>100倍より優れていた。他方、生体内分布実験における
131I−hu3F8は、
131I−m3F8のそれと匹敵する腫瘍〜通常の組織の比率を示し、hu3F8はNB異種移植片に対して優れた抗腫瘍効果を示した。同様な結論が他の腫瘍抗原系に特異的なキメラおよびヒト化抗体で導くことができたが、腫瘍エピトープ/抗原の性質は腫瘍殺傷の有効性を決定するにおいて臨界的であった。
【0317】
結論:
抗原またはFcRについてのkoff(またはK
D)はエフェクターの機能を個々に改良し、一緒にそれらの効果は、抗GD2 MoAb 3F8について増殖性に見えた。双方の親和性の改良に向けられた将来の戦略は、さらに、これまでに観察されたMoAbの臨床的有効性を拡大するはずである。
【実施例13】
【0318】
FcR結合を改良するためのさらなるFcの修飾:
重鎖における三重突然変異DEL(S239D/A330L/I332E)を持つhu3F8−IgG1−DEL(Lazar et al.,2006,PNAS USA 103,4005−10)は、FcR3AおよびFcR2Aに対する、のみならずFcR2Bに対する親和性の実質的な増加を伴って作成された(表14中のBIACOREデータ参照)。しかしながら、hu3F8−IgGnに対する活性化対阻害性シグナルについてのA/I比率は、臨床的な利点(Nimmerjahn and Ravetch,Immunol Rev,236:265−275,2010)を有することが仮定されている、hu3F8−IgG1−DELに対する30と比較して、CD16−158Vに対して196である。
【0319】
【表14】
【0320】
神経芽細胞腫LAN−1に関するCD16媒介ADCC
NK92−CD16エフェクター細胞を、4時間の
51Cr放出アッセイにおいて異なる抗体濃度での5:1のエフェクター:標識比率でLAN1神経芽細胞腫の腫瘍標的に加えた。
【0321】
FcRに対する親和性の増加は、CD16またはCD32によって媒介されるADCC能力の増加に移った。CD16によって媒介されるADCCでは(データは図示せず)、hu3F8−IgG1−DELおよびhu3F8−IgG1nは同等であった。
【0322】
神経芽細胞腫LAN−1の補体媒介溶解
ヒト補体を、4時間の
51Cr放出アッセイにおいて、増大させる抗体濃度にて、1:100の最終の血清補体希釈で神経芽細胞腫LAN−1腫瘍標的に加えた。補体媒介溶解(CMC、データは図示せず)において、hu3F8−IgG1−DELはhu3F8−IgG1またはhu3F8−IgG1nよりも悪くはなかった。IgG重鎖における三重突然変異をhu3F8−IgG1nと組み合わせると、ADCCにおいてさらなる改良はなかった。
【実施例14】
【0323】
イン・ビボでのT細胞およびエフェクターの装備
T細胞またはTリンパ球は、細胞−媒介免疫において立役者であるWBCである。それらはT細胞受容体(TCR)と呼ばれるそれらの細胞表面での特殊な受容体の存在によってB細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞のような他のリンパ球タイプから区別することができる、また、それらは、CD3と呼ばれるユニークな表面マーカーを運ぶ。Tは、T細胞の成熟を担う主たる器官である胸腺を表す。T細胞の数個のサブセットが存在し、各々が区別される機能を備えている。Tヘルパー細胞(TH細胞)は、抗体を分泌するためのB細胞の成熟、および細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化を含めた、免疫学的プロセスにおいて他のWBCを援助する。それらはCD4+T細胞と呼ばれるようになった。なぜならば、それらはCD4蛋白質を運ぶからである。活性化された場合、ヘルパーT細胞は、迅速に分裂し、およびサイトカインを分泌して、免疫応答を調節し、または援助する。これらの細胞は、異なるサイトカインを分泌して、免疫応答を変調する数個のサブタイプ(例えば、TH1、TH2、TH3、TH17、またはTFH)に分化することができる。いくつかの腫瘍モデルにおいて、CD4+T細胞もまた、癌の成長を抑制するにおいて十分である。規則的な活性化シグナルは抗原提示細胞(APC)から来るが、それらの表面CD3が抗体によって架橋された場合に、CD4+T細胞は活性化されたようになることができる。細胞傷害性T細胞(CTL)はウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞を破壊し、また、移植または移植片拒絶の原因でもある。それらはCD8+T細胞と呼ばれる。なぜならば、それらは表面CD8糖蛋白質を発現するからである。それらは、多くのヒト腫瘍では存在しないか、または少ない、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子に関連する抗原を認識することによって標的を係合させる。記憶T細胞は、ウイルスまたは腫瘍細胞が殺傷された後、長時間執拗に存在する抗原特異的T細胞である。それらは、腫瘍抗原で攻撃された場合に素早く多数に拡大でき、かくして、免疫系に癌に対する「記憶」を与える。ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)は、二次免疫系と先天性免疫系とを橋渡しするT細胞の特殊な種類である。MHC上のペプチド抗原を認識する慣用的なT細胞とは異なり、NKT細胞はCD1dと呼ばれる分子によって提示された糖脂質抗原を認識する。一旦活性化されると、これらの細胞はThおよびTc細胞双方と同様な機能(例えば、サイトカインの生産および細胞溶解性/細胞殺傷性分子の放出)を行うことができる。それらは腫瘍細胞を認識し、排除することが知られている。γδT細胞(ガンマデルタT細胞)は、それらの表面にTCRを運ぶT細胞の小さなサブセットを表す。T細胞の大部分は、α−およびβ−TCR鎖と呼ばれる2つの糖蛋白質鎖から成るTCRを有する。しかしながら、γδT細胞においては、TCRは1つのγ−鎖および1つのδ−鎖から成る。それらは合計T細胞の5%のみを表すが、腸粘膜で最も豊富であり(上皮内リンパ球、IELと命名される)。γδT細胞を活性化する抗原は知られておらす;しかしながら、γδT細胞がMHC制限されておらず、恐らくは、MHC上のペプチドよりはむしろ全蛋白質を認識する。
【0324】
リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる1986年の養子免疫療法試験は、患者における偶発的腫瘍応答を報告した。ドナーリンパ球注入は、同種異系幹細胞移植に続いての慢性骨髄性白血病を持つ患者において、または移植後EBV関連リンパ球増殖性の病気(PTLD)を持つ患者においてより多くの成功さえ示してきた。固形腫瘍においては、CTLは、高用量化学療法によって作り出されたリンパ球減少相の間に悪性黒色腫を治療するにおいて成功した。二特異的抗体は、2つのハイブリドーマを融合させて、2つの結合部位を持つハイブリッド免疫グロブリンを作り出すことによって作成される。該抗体は腫瘍をT細胞に拘束するのみならず;それらはT細胞上のCD3を架橋し、および活性化カスケードを開始させる。このように、TCRベースの細胞傷害性は、MHC制限を迂回する所望の腫瘍標的に再度向けられる。ポリクローナル的に活性化されたT細胞(ATC)の抗CD3×抗TAA(
BsAbまたはBiTE抗体)での装備は、MoAbの標的化特異性(例えば、TAAがGD2であるhu3F8)をT細胞の非MHC制限ペルフォリン/グランザイム媒介細胞傷害性と組み合わせる。BsAbまたはBiTEは、患者への注入前に、エクス・ビボでの拡大された活性化T細胞を装備させることができる。この戦略はあらゆるATCを特異的CTLに変換する(Thakur and Lum,2010,Curr Opin Mol Ther 12,340−349;Grabert et al.,2006,Clin Cancer Res 12,569−576)。
【0325】
腫瘍は多数のメカニズム:(例えば、NBにおける)MHCの低い発現、または発現無し、T細胞シグナルのズレ、MHC上への腫瘍ペプチドの減少した提示、共刺激分子の不存在、およびCTLおよび液性応答を阻害する調節T細胞の誘導によってT細胞から逃れる。BsAbまたはBiTEを備えたATCによって行われる殺傷は非MHC制限的であるので、この戦略は、これらの腫瘍逃避メカニズムを克服するはずである。腫瘍はTh2型に対するT細胞免疫応答をシフトさせるTGF−βを分泌し、インターロイキン2(IL−2)およびIFN−γ分泌をダウンレギュレートし、他方、IL−10およびIL−6をアップレギュレートし、全ては免疫抑制に至る。BsAbまたはBiTEによって再度向けられたT細胞は調節サイトカインのこれらの負の効果を迂回することができる。というのは、装備されたATCはIL−2独立的に腫瘍標的を溶解するからである。それらの腫瘍に向けられたBsAbまたはBiTE装備T細胞で処置された患者は、増大したレベルのTNF−α、IFN−γを有し、これはT細胞をTh1応答に向けてシフトさせるはずである。加えて、細胞傷害性T細胞は、それらのFasを通じて、腫瘍細胞上のFas受容体(CD95)を係合させるリガンド(FasL)を殺傷する。あいにく、腫瘍細胞上のFasLもまたT細胞のアポトーシスを誘導することもできる。CD3カスケードを通じてのTCR刺激はCD95媒介自殺からCD8+細胞を保護する。装備されたATCは、TCRのBsAbまたはBiTEでの架橋を通じてCD95−誘導細胞死滅に抵抗する。系列的に殺傷する、すなわち、1つのT細胞が連続した腫瘍標的を殺傷し、プロセスの間に増殖し、およびリンパ管および柔軟組織に移動するT細胞の能力は、それらが骨髄空間から外へ転移して、腫瘍塊を形成しつつ、NB細胞を捕獲するチャンスを増大させた。BsAbまたはBiTE標的化ヒト癌を用いる最近の研究は有望性を示した。
【0326】
特に、同種異系造血系細胞移植片を受けた患者の分析から、増加する証拠があり、リンパ腫およびある種の形態の白血病を抑制し、または根絶するT細胞の潜在能力を裏付ける(O’reilly et al.,2010,Semin Immunol 22,162−172)。しかしながら、子供における固形腫瘍の制御でのT細胞に対する役割を裏付ける確実なデータは無い。これは、これらの腫瘍の切断は遺伝されたクラスIまたはII HLA対立遺伝子(例えば、神経芽細胞腫)(Raffaghello et al.,2005,Oncogene 24,4634−4644;Wolfl et al.,2005,Cancer Immunol Immunother 54,400−406)またはクラスI対立遺伝子のみを、かつ低いレベルで発現する(例えば、横紋筋芽細胞腫(Prados et al.,2006,Neoplasma 53,226−231)事実と合致する。さらに、B7.1およびICAM−1のような臨界的な共刺激性分子の発現は、しばしば、低いかまたは検出できない。その結果、T細胞応答を惹起するこれらの腫瘍の能力は貧弱であって、HLA対立遺伝子によって提示される腫瘍抗原を結合させることによってT細胞受容体を通じて腫瘍を係合させるエフェクターT細胞の潜在能力は制限されている。さらに、神経芽細胞腫、横紋筋芽細胞腫、ユーイング肉腫、および線維形成性の小さな細胞腫瘍について現在利用できる最も効果的な療法は、重度のTリンパ球減少症を誘導する用量にて免疫抑制アルキル化剤、特にシクロホスファミドを使用する。二機能性抗体は、T細胞の標的化係合、およびそれらの抗原特異的HLA制限TCRよりはむしろHLA非制限CD3媒介活性化を通じてのそれらのエフェクター機能の開発を可能とする。CD3、およびCD−19、HER−2 NEU、またはCEAのような腫瘍抗原に対して特異的なある種の二機能的モノクローナル抗体の実験は、細胞傷害性T細胞を、他の標的化抗原を発現する腫瘍細胞に連結させるこれらの抗体の能力を示した(Bargou et al.,2008,Science 321,974−977;Topp et al.,2009,Blood(ASH Annual Meeting Abstructs)114,840;Kiewe et al.,2006,Clin Cancer Res 12,3085−3091;Lutterbuese et al.,2009,J Immnother 32,341−352)。一旦双方の抗体受容体が係合したならば細胞傷害性T細胞の応答は腫瘍細胞に対して開始される。T細胞応答は、T細胞受容体と腫瘍細胞間の細胞傷害性シナプスの形成、ならびに腫瘍細胞アポトーシスのぺルフォリンおよびグランザイム媒介誘導を含む(Offner et al.,2006,Mol Immunol 43,763−771;Brischwein et al.,2006,Mol Immunol 43,1129−1143)。CD3の係合もまたT細胞を活性化させ、抗腫瘍効果を増強させるエフェクターサイトカインの増殖および生成を誘導する(Brischwein et al.,2006,前掲;Brischwein et al.,2007,J Immunother 30,798−807)。顕著には、活性化されたT細胞は、T細胞活性化の間に生じたTNFおよびFasリガンドの細胞傷害性効果からそれらを保護する抗アポトーシス蛋白質c−FLIPをアップレギュレートする(Dreir et al.,2002,Int J Cancer 100,690−697)。その結果、T細胞応答は大きくなる。結果として、ピコグラムレベルの二機能性抗体は、前臨床動物モデルにおいて、特に、B細胞リンパ腫およびALL(Topp et al.,2009,前掲;Kiewe et al.,2006,前掲)の処置において二特異的なCD3/CD19の最初の臨床試験の結果において示されるように、イン・ビトロにて(Ltterbuese et al.,2009,前掲;Brandl et al.,2007,Cancer Immunol Immunother 56,1551−1563)およびイン・ビボにて、有意な抗腫瘍効果を発揮することができる。誘導されたT細胞応答はナイーブなT細胞を動員させることもでき、および腫瘍部位における腫瘍特異的T細胞の生成を刺激すると仮定されてきた(Koehne et al.,2002,Blood 99,1730−1740)。二特異的抗体を用いて、Tリンパ球とは別に他のエフェクター細胞を再度標的化することもできる。これらのエフェクター細胞は、GD2を発現する細胞、組織または器官に対する、NK細胞、Bリンパ球、樹状細胞、単球、マクロファージ、好中球、間葉幹細胞、神経幹細胞、および他の幹細胞を含む。組織が腫瘍である場合、これらのエフェクター細胞は、蛋白質(例えば、サイトカイン、抗体、酵素、またはトキシン)、診断用の、または療法用の放射性同位体を殺傷し、または沈積させるように開発させることができる。組織が正常な器官である場合、エフェクター細胞は、同様に、診断用、または療法用の蛋白質または同位体を送達するように開発することができる。
【0327】
二特異的MoAbは、1つのドメインが抗3F8可変ドメインを有し、他のドメインが腫瘍細胞傷害性のためのT細胞を再度標的化するための抗OKT3、または多工程予備標的化のためのDOTA金属、C8.2.5、またはアゴニストとしての抗41BB−scFvを備えた、またはCD137を備えたADCCのための、アゴニストとしての41BBLを備えたADC用の41BBLから成る群から選択される、デュアル可変ドメインから成ることができる。CH2ドメインにおけるN297A突然変異の結果、アグリコシル化(aglycosylation)がもたらされ、これはFcRまたはC1q結合に至らない。huOKT3−scFvがジスルフィド安定化された(hu3F8−LC)−(huOKT3−scFv)のアミノ酸配列は配列番号:23に示される。(Orcutt et al.,2010,Protein Eng Design and Selection 23,221に基づいた)、c8.2.5−scFvがジスルフィド安定化されたhu3F8−LC)−(C8.2.5−scFv)のアミノ酸配列は配列番号:24に示される。
【0328】
二特異的抗体(抗GD2および抗DOTA)は多工程予備標的化の第一の工程で用いることができ、続いて、除去剤としてのDOTA(金属)−デキストランを用いて血液除去を行い、第三の工程はDOTA(金属)−放射性金属、DOTA(金属)−ナノ粒子、DOTA(金属)−リポソーム、DOTA(金属)−薬物、DOTA(金属)−DNA,DOTA(金属)−RNAおよびDOTA(金属)−トキシンのようなDOTA(金属)−コンジュゲーテッド治療剤を導入する。
【0329】
C8.2.5は、DOTA−金属複合体の各タイプに対して異なる親和性を有するので、除去剤およびDOTAリガンドに対する予め標的化されたC8.2.5の親和性は正確に制御することができる。
【0330】
3F8、hu3F8およびその変種のアミノ酸配列を用いて、他の抗GD2抗体について既に示されたように(Krause et al.,1998,J Exp Med 188,619−626)、キメラ抗原受容体(CAR)を構築することができる。再標的化免疫エフェクター細胞のCAR戦略は、MHC−ペプチド−TCR相互作用から独立しており、および細胞を、非常に種々の細胞表面抗原に対して反応させる(Davies and Maher,2010,Achivum immunologiae et therapiae experimentalis 58,165−178)。数種の方法がCARの設計で用いられてきており、それらのうちほとんどは、抗原認識のための単一鎖可変断片(scFv)の形態であるモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを使用する。最初のT細胞活性化受容体は、研究者がCD3ζ鎖の役割を解明するのを可能とする実験に由来するものであった(Irving and Weiss,1991,Cell 64,891−901;Romeo et al.,1992,Cell 68,889−897)。引き続いての実験において、注目するscFvをCD3ζ鎖(Eshhar et al.,1993,PNAS USA 90,720−724)またはFcεRIγ(Weijtens et al.,1996,J Immunol 157,836−843)に融合させ、および双方はT細胞活性化で十分なことが判明した。これがCAR構築のための計画を準備する間に、共刺激分子の取り込みが、第一世代のCARが、ただ2〜3回の細胞分裂までT細胞増殖を誘導でき、続いて、迅速に細胞の死滅が起こることが判明した後に、起こった(Gong et al.,1999,Neoplasia 1,123−127)。標的腫瘍細胞上にCD80を発現させることによって、研究者らはCAR発現細胞が再度を刺激することができ、T細胞の数のさらなる増加につながることを示すことができた。CD3ζ鎖と共にCD28共刺激性分子を取り込んだ最初のCARは、CD3ζ鎖を単独で発現させたものよりもかなりの改良を示した(Krause et al.,1998,前掲;Haynes et al.,2002,Blood 100,3155−3163;Maher et al.,2002,Nature Biotech 20,70−75);これはT細胞の数の絶対的な増加ならびにIL−2の生産の増加を含むものであった。それ以来、他の数グループは、CD3ζ単独と、またはCD3ζおよびCD28双方と組み合わせて、他の共刺激分子を用い始めた。これらのさらなるシグナリング分子は4−1BB(Wang et al.,2007,Human Gene Ther 18,712−725;Brentjens et al.,2007,Clin Cncer Res 13,5426−5432;Imai et al.,2004,Leukemia 18,676−684;Finney et al.,2004,J Immunol 172,104−113)、DAP10(Brentjens et al.,2007,前掲)、OX40(Brentjens et al.,2007,前掲;Finney et al.,2000,前掲;Wilkie et al.,2008,J Immunol 180,4901−4909;Nguyen and Geiger,2003,Gene Therapy 10,594−604;Pule et al.,2005,Mol Ther 12,933−941)およびICOS(Finney et al.,2004,前掲)を含み、およびT細胞ならびにNK細胞との関係で適用されてきた(Daldrup−Link et al.,2005,Eropean radiology 15,4−13;Imai and Campana,2004,J Biol Reg Homeostatic Ag 18,62−71;Roberts et al.,1998,J Immunol 375−384;Kruschinski et al.,2008,PANS USA 105,17481−17486;Pegram et al.,2008,J Immunol 181,3449−3455)。第一世代のCARは、この時点まで診療所でテストされてきた唯一のものであり、イン・ビトロおよびイン・ビボの双方の比較は、第二および第三世代のCARに関する明らかな優位性を示した(Haynes et al.,2002,前掲;Brentjens et al.,2007,前掲;Teng et al.,2004,Human Gene Ther 15,699−708;Haynes et al.,2002,J Immunol 169,5780−5786;Kowolik et al.,2006,Cancer Res 66,10995−11004;Loskog et al.,2006,Leukemia 20,1819−1928;Moeller et al.,2004,Cancer Gene Therapy 11,371−379;Vera et al.,2006,Blood 108,3890−3897)。
【0331】
現在、ほとんどの研究者らは大量のヒト末梢T細胞を用いているが、他の研究者らは、最近、EBV−特異的T細胞(Rossig et al.,2002,Blood 99,2009−2016)、リンパ系先祖細胞(Zakrzewski et al.,2006,Nature Med 12,1039−1047;Zakrzewski et al.,2008,Nature Biotech 26,453−61)、および未分画骨髄細胞(Papapetrou et al.,2009,J Clin Invest 119,157−168;Wang et al.,1998,Nature Med 4,168−172)を使用し始めた。細胞溶解性であって培養が容易なキラー白血細胞系(NK92、NK92MI、KHYG−1)もまた前臨床および臨床試験のためのエフェクター細胞を発現するCARの連続的な供給を供することができる。NK92MIは非ホジキンリンパ腫に由来するヒトNK細胞系であってヒトIL−2cDNAで形質導入され;従前の研究はマウスモデルにおけるその強い細胞傷害性能力を示した(Tam et al.,1999,J Hematol 8,281−290;Korbelik and Sun,2001,Inter J Cancer 93,269−274)。加えて、NK92細胞もまた臨床設定において用いられており、および腎臓細胞癌腫および黒色腫を持つ患者において多数の相I研究後に安全であることが証明された(Arai et al.,2008,Cytotherapy 10,625−632)。イン・ビトロでの維持のそれらの容易性および比較的短い倍加時間のため、これらの細胞は、種々の標的化アプローチをテストするための種々の細胞傷害性アッセイのための理想的なエフェクターである。元来のIL−2−依存性NK92細胞系を用いる研究はマウスおよびヒト双方において最小の傷害性を示したが、IL−2−形質導入NK92MI細胞はより大きな白血病誘発性潜在能力を有し得る。研究者らがNK92細胞を用いてSCIDマウスにおける白血病誘発を試み、かつそれを回避する1つの方法は、接種前にエフェクターに3000cGyを照射することによるものである。相I臨床試験において、これは、NK92MI細胞を、免疫無防備状態患者の内部で制御できずに増殖するのを妨げるにおいて十分である。代替安全性メカニズムは、自殺遺伝子の使用を含むことである。1つの共通の例は、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子の使用である。これは、アシクロビルまたはガンシクロビルの投与によって遺伝子を発現する細胞を殺傷することによって働く(Helene et al.,1997,J Immunol 5079−5082)。