(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
理解できるとおり、当技術分野において、胴体の側面の領域における窓切り欠き間の荷重の経路を改善する最適化された形状を有する窓切り欠きが必要とされている。さらに、当技術分野において、窓切り欠きに隣接する領域の外被の厚さを最適化する構成が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
切り欠きに関する上述のニーズは、一実施形態において少なくとも1つの側面領域を備える胴部セクションを有している航空機の胴体を提供する本開示によって、具体的に対処される。胴部セクションは、互いに横並びの関係で側面領域に形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを備えることができる。胴部セクションは、胴部セクションに沿って延びる直接的な荷重経路をもたらすことができる。荷重経路を、第1の切り欠きのおおむね下方の胴部セクションの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の胴部セクションの上方部分まで実質的に連続的に延ばすことができる。
【0008】
さらに、互いに横並びの関係にて形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを備える側面領域を有する航空機の胴体も開示される。第1および第2の切り欠きの少なくとも一方は、辺セグメントを有することができる。胴体に、側面領域にせん断荷重を生じさせる曲げモーメント、および側面領域にフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わる可能性がある。辺セグメントを、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路に実質的に平行に向けることができる。
【0009】
さらなる実施形態においては、胴部セクションを有する航空機の胴体が開示される。胴部セクションは、少なくとも1つの側面パネルを備えることができる。胴部セクションは、互いに横並びの関係で側面領域に形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを備えることができる。胴部セクションは、胴部セクションに沿って延びる直接的な荷重経路をもたらすことができる。荷重経路を、第1の切り欠きのおおむね下方の側面パネルの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の側面パネルの上方部分まで実質的に連続的に延ばすことができる。
【0010】
本開示は、胴部セクションの側面領域などの航空機の胴体の側面に切り欠きを形成する方法をさらに含む。この方法は、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを胴部セクションにおいて互いに横並びの関係で形成するステップと、第1の切り欠きを第2の切り欠きから或るピッチ間隔に離すステップとを含むことができる。この方法は、直接的な荷重経路が第1の切り欠きのおおむね下方の胴部セクションの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の胴部セクションの上方部分まで実質的に連続的に胴部セクションに沿って延びるように、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップをさらに含むことができる。この方法は、胴体への曲げモーメントを割り出すステップと、曲げモーメントに応答して側面領域に生じるせん断荷重を割り出すステップと、せん断荷重の経路が側面領域に沿って第1の切り欠きの下方の下方部分から第2の切り欠きの上方の上方部分へと実質的に連続的に延びるように第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップとをさらに含むことができる。この方法は、胴体への客室の与圧の荷重を割り出すステップと、客室の与圧の荷重によって側面領域に生じるフープ引張荷重を割り出すステップと、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路を割り出すステップと、合成荷重経路が側面領域に沿って第1の切り欠きの下方の下方部分から第2の切り欠きの上方の上方部分へと実質的に連続的に延びるように第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップとをさらに含むことができる。
【0011】
さらなる実施形態においては、航空機の胴体であって、少なくとも1つの側面パネルを有している胴部セクションと、互いに横並びの関係で側面パネルに形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きと、胴部セクションに沿って延びる直接的な荷重経路とを有しており、荷重経路は、第1の切り欠きのおおむね下方の側面パネルの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の側面パネルの上方部分まで実質的に連続的に延びている航空機の胴体が開示される。航空機は、側面パネルにせん断荷重を生じさせる曲げモーメントを被る胴体と、せん断荷重の経路を含む荷重経路とをさらに備えることができる。航空機の胴体は、胴体に側面パネルにフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わること、および荷重経路がせん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路を含むことをさらに含むことができる。航空機の胴体は、側面パネルが、母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成された外被を備えること、および繊維の少なくとも一部分が、荷重経路に対して実質的に平行に向けられることをさらに含むことができる。航空機の胴体は、第1および第2の切り欠きの少なくとも一方が長軸および短軸を有するひし形の形状を有することをさらに含むことができる。航空機の胴体は、ひし形の形状が4つの辺セグメントを有し、辺セグメントのうちの少なくとも1つが荷重経路に実質的に平行に向けられていることをさらに含むことができる。航空機の胴体は、ひし形の形状が、長軸に沿って測定される高さAと短軸に沿って測定される幅Bとを有し、高さAが約1.3B〜約5Bの範囲にあることを含むことができる。航空機の胴体は、ひし形の形状が長軸に沿って測定される高さAを有し、ひし形の形状が半径r
aの丸みを帯びた端部角および半径r
bの丸みを帯びた側部角を有し、端部半径r
aの大きさが約0.05A〜約0.50Aの範囲であり、側部半径r
bの大きさが約0.05A〜約3.0Aの範囲であることをさらに含むことができる。
【0012】
航空機の胴体であって、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きが互いに横並びの関係にて形成されている胴部セクションと、胴部セクションに沿って延びる直接的な荷重経路とを備えており、荷重経路が、第1の切り欠きのおおむね下方の胴部セクションの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の胴部セクションの上方部分まで実質的に連続的に延びている航空機の胴体の実施形態。
【0013】
胴体に、胴部セクションの側面領域にせん断荷重を生じさせる曲げモーメントが加わり、荷重経路が、せん断荷重の経路を含んでいる航空機の胴体。
【0014】
胴体に、側面領域にフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わり、荷重経路が、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路を含んでいる航空機の胴体。
【0015】
側面領域が、公称外被厚さを有する外被を備えており、側面領域が、少なくとも第1および第2の切り欠きの間の領域に当て物領域を備えており、当て物領域における外被の厚さが、公称外被厚さよりも大きい航空機の胴体。
【0016】
第1および第2の切り欠きが、両者の間の最短距離に狭隘部を画定しており、当て物領域における外被の厚さが、上方部分から狭隘部へと向かう方向および下方部分から狭隘部へと向かう方向の少なくとも一方に沿っておおむね増加している航空機の胴体。
【0017】
外被が、母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成され、繊維の少なくとも一部分が、荷重経路に対して実質的に平行に向けられている航空機の胴体。
【0018】
繊維の少なくとも一部分が、航空機の長手軸に対して約50〜75度の角度に向けられている航空機の胴体。
【0019】
第1および第2の切り欠きの少なくとも一方が、長軸および短軸を有するひし形の形状を有している航空機の胴体。
【0020】
長軸が、航空機の周方向の軸の±20度の範囲内を向いている航空機の胴体。
【0021】
ひし形の形状が、4つの辺セグメントを有しており、
辺セグメントのうちの少なくとも1つが、荷重経路に実質的に平行に向けられている航空機の胴体。
【0022】
ひし形の形状が、長軸に沿って測定される高さAおよび短軸に沿って測定される幅Bを有しており、高さAが約1.3B〜約5Bの範囲にある航空機の胴体。
【0023】
ひし形の形状が長軸に沿って測定される高さAを有し、ひし形の形状が半径r
aの丸みを帯びた端部角および半径r
bの丸みを帯びた側部角を有し、端部半径r
aの大きさが約0.05A〜約0.50Aの範囲であり、側部半径r
bの大きさが約0.05A〜約3.0Aの範囲である航空機の胴体。
【0024】
航空機の胴体であって、側面領域と、互いに横並びの関係で側面領域に形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きとを含み、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きの少なくとも一方が辺セグメントを有し、胴体には、側面領域にせん断荷重を生じさせる曲げモーメントおよび側面領域にフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わり、辺セグメントが、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路に実質的に平行に向けられている航空機の胴体の別の実施形態。
【0025】
航空機の胴体であって、少なくとも1つの側面パネルを有している胴部セクションと、互いに横並びの関係で側面パネルに形成された第1の切り欠きおよび第2の切り欠きと、胴部セクションに沿って延びる直接的な荷重経路とを備えており、荷重経路は、第1の切り欠きのおおむね下方の側面パネルの下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の側面パネルの上方部分まで実質的に連続的に延びている航空機の胴体のさらに別の実施形態。
【0026】
胴体に、側面パネルにせん断荷重を生じさせる曲げモーメントが加わり、荷重経路が、せん断荷重の経路を含んでいる航空機の胴体。
【0027】
胴体に、側面パネルにフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わり、荷重経路が、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路を含んでいる航空機の胴体。
【0028】
側面パネルが、母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成された外被を備えており、繊維の少なくとも一部分が、荷重経路に対して実質的に平行に向けられている航空機の胴体。
【0029】
第1および第2の切り欠きの少なくとも一方が、長軸および短軸を有するひし形の形状を有している航空機の胴体。
【0030】
ひし形の形状が、4つの辺セグメントを有しており、辺セグメントのうちの少なくとも1つが荷重経路に実質的に平行に向けられている航空機の胴体。
【0031】
航空機の胴体の側面領域に切り欠きを形成する方法であって、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを互いに横並びの関係で側面領域に形成するステップと、直接的な荷重経路が第1の切り欠きのおおむね下方の側面領域の下方部分から第2の切り欠きのおおむね上方の側面領域の上方部分まで実質的に連続的に側面領域に沿って延びるように、第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップとを含む方法。
【0032】
胴体への曲げモーメントを割り出すステップと、曲げモーメントに応答して側面領域に生じるせん断荷重を割り出すステップと、せん断荷重の経路が側面領域に沿って第1の切り欠きの下方の下方部分から第2の切り欠きの上方の上方部分へと実質的に連続的に延びるように第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップとをさらに含む方法。
【0033】
胴体への客室の与圧の荷重を割り出すステップと、客室の与圧の荷重によって側面領域に生じるフープ引張荷重を割り出すステップと、せん断荷重とフープ引張荷重との合力の経路を割り出すステップと、合成荷重経路が側面領域に沿って第1の切り欠きの下方の下方部分から第2の切り欠きの上方の上方部分へと実質的に連続的に延びるように第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを設定するステップとをさらに含む方法。
【0034】
側面領域が、公称外被厚さを有する外被を備えており、少なくとも第1および第2の切り欠きの間の領域において側面領域に当て物領域を備えるステップと、当て物領域において外被の厚さを公称外被厚さよりも大きくするステップとをさらに含む方法。
【0035】
母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成された外被を有する側面領域をもたらすステップと、繊維の少なくとも一部分を荷重経路に実質的に平行に向けるステップとをさらに含む方法。
【0036】
第1および第2の切り欠きを長軸および短軸を有するひし形の形状に形成するステップをさらに含む方法。
【0037】
ひし形の形状が、4つの辺セグメントを有しており、辺セグメントのうちの少なくとも1つを荷重経路に実質的に平行に向けるステップをさらに含む方法。
【0038】
すでに述べた特徴、機能、および利点を、本開示の種々の実施形態において別個独立に実現することができ、またはさらに別の実施形態において組み合わせることが可能であり、さらなる詳細を以下の説明および下記の図面を参照して理解することができる。
【0039】
本開示のこれらの特徴および他の特徴が、図面を参照することによってさらに明らかになるであろう。図面の全体を通して、類似の番号は類似の部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ここで、本開示の好ましい種々の実施形態を説明する目的で示されている図面を参照すると、
図1Aに、胴体16と、胴体16から外へと延びる1対の翼32とを有する旅客機10の斜視図が示されている。胴体16は、航空機10の機首20から胴体16の後端に位置する尾部22まで延びている。尾部22は、水平尾翼28と、昇降舵30と、垂直尾翼24と、方向舵26とを備えることができる。胴体16は、胴体16の各側面に沿って延びる窓50の列を備えることができる。
【0042】
本開示は、最適化されたひし形の窓50の切り欠き52を備える1つ以上の一体物の胴部セクション34を有している
図1Aに示したとおりの航空機10の胴体16の実施形態を含む。各々の胴部セクション34は、胴部セクション34の外周を巡って実質的に連続的に延びている外被42を備えることができる。胴体16は、胴部セクション34の各側面に側面領域40を備えることができる。側面領域40に、窓50の切り欠き52のうちの1つ以上を形成することができる。窓50の切り欠き52は、切り欠き52間の直接的な荷重の経路を促進するためのサイズおよび構成を有することができる。
【0043】
図1Bを参照すると、1つ以上の胴部セクション34を形成するように組み立てることができる複数のパネル36’、38’、40’からなる一実施形態における航空機10の胴体16が示されている。例えば、胴体16は、胴体16の上部に沿って延びている1つ以上のクラウンパネル36’と、胴体16の下部に沿って延びている1つ以上のキールパネル38’と、胴体16の側面に沿って延びている側面パネル40’とを備えることができる。パネル36’、38’、40’を、胴体16の少なくとも1つの胴部セクション34を形成するように組み立てることができる。
図1Bに示した実施形態においては、各々の側面パネル40’は、最適化されたひし形の窓50の切り欠き52のうちの1つ以上を備えることができ、切り欠き52は、切り欠き52間の直接的な荷重の経路を促進するようなサイズおよび構成を有することができる。
【0044】
本開示はまた、胴体16にひし形の切り欠き52を形成する方法(
図27)も含む。さらに、本開示は、切り欠き52に隣接する領域において胴体16の外被の厚さ(
図18)を最適化するための実施形態を含む。本開示が、
図1Aおよび
図1Bに示される固定翼の旅客機10の文脈において説明されるが、開示される実施形態は、制限なく任意の構成の航空機に適用できると考えられる。例えば、開示される実施形態は、任意の民間、商用、または軍用の航空機へと適用可能であり、固定翼および回転翼の航空機を含むことができる。さらに、実施形態は、他の航空機の構成にも適用可能であり、
図1Aおよび
図1Bに示した筒−翼の航空機10の構成に限られない。例えば、開示される実施形態は、ハイブリッド翼−胴体の航空機(図示せず)に適用可能である。
【0045】
さらに、開示される実施形態を、曲げ荷重を被り、側面には切り欠き52が形成されている任意の乗り物または構造体へと適用することもできる。ひし形の切り欠き52が、客席窓50の文脈において説明されるが、開示される実施形態は、曲げ(
図2)および客室の与圧(
図3)の組み合わせの荷重を被る乗り物または構造体に形成されてもよい扉、ハッチ、および他の開口にも適用可能である。さらに、本明細書に開示の実施形態を、これらに限られるわけではないが金属材料、繊維補強ポリマー材料などの複合材料、および金属材料と複合材料との組み合わせで作られた乗り物および構造体など、任意の種類の材料で作られた構造体に適用することができる。
【0046】
図2が、胴体16に沿って延びる複数のひし形の窓50を有している航空機10の側面図である。胴体16に、
図2に示されている方向を向いた曲げモーメントM
1が加わる可能性がある。曲げモーメントM
1は、飛行の荷重に起因して胴体16に加わる可能性がある。例えば、正の加速度荷重のもとでは、翼32によって支持された航空機10の重量が、胴体16に曲げモーメントM
1をもたらす。曲げモーメントM
1は、機動の荷重、上向きの突風、および着陸の荷重によっても生じうる。曲げモーメントM
1の大きさは、典型的には、翼の前桁(図示せず)の胴体16との交点の付近および翼の後桁(図示せず)の胴体16との交点の付近において最大であり、通常は機種20および尾部22へと向かうそれぞれの方向に沿って減少する。
【0047】
図3が、クラウン領域36と、キール領域38と、1対の側面領域40とを含む4つの外周の四分円へと分割された胴体16の断面図を示している。クラウン領域36、キール領域38、および側面領域40は、
図1Aに示したとおりの一体物の胴部セクション34の一部を形成することができる。あるいは、クラウン領域36を、別個のクラウンパネル36’(
図1B)として構成でき、キール領域38を、別個のキールパネル38’(
図1B)として構成でき、側面領域40の各々を、別個の側面パネル40’(
図1B)として構成することができ、これらを接合して、
図1Bに示したとおりの組み立て式の胴部セクション34’を形成することができる。本明細書の開示において、側面領域40に関する言及は、側面パネル40’(
図1B)も包含し、側面パネル40’にも同様に当てはまる。同様に、本明細書の開示におけるクラウン領域36およびキール領域38への言及は、クラウンパネル36’(
図1B)およびキールパネル38’(
図1B)のうちの該当するパネルも包含し、そのようなパネルにも同様に当てはまる。
【0048】
やはり
図3を参照すると、側面領域40は、客席窓50のための切り欠き52のうちの1つ以上を備えることができる。客室の与圧の荷重Pが、胴体16の内側に加えられる可能性がある。客室の与圧の荷重Pは、高所における客室の内部の加圧を表わす。連邦航空局(FAA)は、客室の圧力を、航空機の通常の巡航高度において、8,000フィート以下の気圧高度に保つことを求めている。安全率により、胴体16が耐えることができなくてはならない客室の与圧の荷重Pは最大18.2psiであるが、胴体16を、より大きい与圧の荷重に耐えるように構成することができる。
図3の航空機10に加わる客室の与圧の荷重Pは、さらに詳しく後述されるように、胴体16の外被42の周方向を向いており、
図5においてσ
hoopによって示されているフープ引張荷重(図示されていない)をもたらす。
【0049】
図4が、クラウン領域36と、キール領域38と、1対の側面領域40とを示す胴体16の胴部セクション34を示している。胴部セクション34は、周方向に間隔を空けつつ位置する複数のストリンガ46と、軸方向に間隔を空けつつ位置する複数のフレーム48とによって支持された外被42を備えることができる。ストリンガ46は、客室の与圧P(
図3)に起因する軸方向の引張荷重など、軸方向の力を保持することができる。フレーム48は、胴体16の形状を維持することができる。フレーム48は、曲げ下での胴体16の座屈強度も向上させることができる。ストリンガ46およびフレーム48が協働して、外被42の曲げ剛性を高めることができる。外被42は、窓の帯49に沿って横並びの配置にて配置された複数の切り欠き52を備えることができる。
図4は、胴体16への曲げモーメントM
1(
図2)に起因して領域36、38に生じるいくつかの主荷重を示している。例えば、クラウン領域36には、主として引張の荷重Tが加わる可能性があり、キール領域38には、主として圧縮の荷重Cが加わる可能性があり、各々の側面領域40には、
図5に示されるように主としてせん断の荷重が加わる可能性がある。クラウン領域36の引張荷重Tおよびキール領域38の圧縮荷重Cは、航空機10の長手軸12に平行に向いている。
【0050】
図4Aが、
図4の胴部セクションから取り出された側面領域の一部分を示している。
図4Aに示されている部分は、翼32−胴体16(
図1A)の交点の前方の胴体16(
図4)の位置にある側面領域40を代表することができる。側面領域40の
図4Aの部分は、互いに横並びの関係で外被42に形成された1対のひし形の切り欠き52を含んでいる。
【0051】
図5が、切り欠き52(
図4A)間の位置から得た側面領域40の代表要素41を示している。代表要素41は、側面領域40における応力の向きを説明するために用意されている。例えば、せん断応力τ
shear−1成分が、下向きの曲げモーメントM
1(
図2)の結果として側面領域40に生じる。このせん断応力τ
shear−1の大きさは、典型的には翼桁(図示せず)と胴体16との交点(
図2)の付近において最も大きく、通常は翼32から遠ざかる方向に沿って小さくなる曲げモーメントM
1(
図2)の大きさに対応する。客室の与圧の荷重P(
図3)が、側面領域40の代表要素41に生じるフープ引張応力σ
hoopをもたらす。フープ引張応力σ
hoopは、周方向の軸14に平行な向きに示されている。フープ引張応力σ
hoopの大きさは、通常は、胴体16(
図2)の全長にわたっておおむね一定である。
【0052】
図6が、曲げモーメントM
1(
図2)の結果としてのせん断荷重経路N
shear−1の引張成分を示している側面領域40の代表要素41のさらなる図である。この点に関し、曲げモーメントM
1に起因する側面領域40のせん断荷重は、せん断荷重の引張成分の向きに対しておおむね垂直な向きであってもよい圧縮成分(図示されていない)も有する。本明細書の開示において、せん断荷重経路N
shear−1への言及は、側面領域40におけるせん断荷重の引張成分に関する。
図6において、せん断荷重経路N
shear−1が、長手軸12に対して約+45度のせん断荷重角度α
shear−1を向いて示されている。すでに示したように、せん断荷重経路N
shear−1の向きは、胴体16(
図4)に沿った位置および曲げモーメントの方向に依存する。
図2の曲げモーメントM
1を、通常の約束のもとで「負」と表現することができる。さらに
図6は、周方向の軸14に平行に向いたフープ引張荷重経路N
hoopを示している。
【0053】
図7が、せん断荷重経路N
shear−1(
図6)とフープ引張荷重経路N
hoop(
図6)との組み合わせの結果である合成荷重経路N
result−1の向きを示している側面領域40の代表要素41の図である。せん断荷重経路N
shear−1(
図6)とフープ引張荷重経路N
hoop(
図6)とは、せん断荷重とフープ引張荷重との合力(すなわち、組み合わせ)が、通常はせん断荷重またはフープ引張荷重のいずれかの単独の作用の場合よりも大きいという意味で、加法的である。せん断荷重とフープ引張荷重との合力は、側面領域40に作用する主応力(図示されていない)を含む。合成荷重経路N
result−1は、合成荷重角度α
result−1を向いている。合成荷重角度α
result−1は、側面領域40における主応力(図示されていない)の向きを表わす。
【0054】
合成荷重角度α
result−1は、+45度のせん断荷重角度α
shear−1(
図6)と周方向の軸14との間で変化する可能性がある。一実施形態においては、合成荷重経路N
result−1が、長手軸12に対して約+60度の合成荷重角度α
result−1を向くことができる。合成荷重経路N
result−1の向きは、せん断荷重、フープ引張荷重、ならびに胴体16(
図4)に作用しうる追加または他の荷重の大きさおよび方向に依存する可能性がある。そのような追加の荷重として、これに限られるわけではないが、航空機10(
図1Aおよび1B)の機動の際に方向舵26(
図1Aおよび
図2B)および/または昇降舵30(
図1Aおよび
図1B)の動きによって引き起こされる胴体16のねじり荷重を挙げることができる。
【0055】
図8が、胴体16に作用する曲げモーメントM
2を示す航空機10の側面図である。曲げモーメントM
2の方向は、
図2の曲げモーメントM
1の方向と反対である。
図8の曲げモーメントM
2を、通常の約束のもとで「正」と表現することができる。
図8の曲げモーメントM
2は、航空機10に負の加速度荷重が加わることによって生じる可能性がある。負の加速度荷重は、航空機10の機動の際に加わる可能性があり、あるいは航空機10への乱気流または下向きの突風の結果として加わる可能性がある。
【0056】
図9が、
図8に示した1対の切り欠き52の間の側面領域40の位置から得た側面領域40の代表要素41の図である。曲げモーメントM
2(
図8)の方向ゆえに、せん断応力τ
shear−2成分は、
図5のせん断応力τ
shear−1成分の向きの鏡像の向きを有している。客室の与圧の荷重P(
図3)は、フープ引張応力σ
hoopをもたらしている。フープ引張応力σ
hoopは、周方向の軸14に平行な向きである。
【0057】
図10が、胴体16(
図8)への曲げモーメントM
2(
図8)に起因するせん断荷重経路N
shear−2の向きを示している。せん断荷重経路N
shear−2は、長手軸12に対して約−45度のせん断荷重角度α
shear−2を向いている。せん断荷重経路N
shear−2の向きは、
図9に示したせん断応力τ
shear−2の向きに対応している。
図10はまた、周方向の軸14に平行なフープ引張荷重経路N
hoopの向きを示している。
【0058】
図11が、せん断荷重経路N
shear−2(
図10)とフープ引張荷重経路N
hoop(
図10)との組み合わせの結果の荷重経路N
result−2を示している側面領域40の代表要素41の図である。合成荷重経路N
result−2は、周方向の軸14とせん断荷重角度α
shear−2(
図10)との間で変化しうる合成荷重角度α
result−2を向いている。
【0059】
図12が、側面領域40の一部分の側面図である。
図12に示した側面領域40は、窓の帯49の一部分を表わしており、ひし形の形状を有する第1の切り欠き52aと、やはりひし形の形状を有する第2の切り欠き52bとを含んでいる。第1および第2の切り欠き52a、52bは、互いに横並びの関係で外被42に形成されている。第1および第2の切り欠き52a、52bのひし形の形状が、第1および第2の切り欠き52a、52bの間の直接的かつ連続的な荷重経路を可能にする。例えば、
図12は、おおむね第1の切り欠き52aの下方の側面領域40の下部76からおおむね第2の切り欠き52bの上方の側面領域40の上部74まで実質的に連続的に延びている合成荷重経路N
resultを示している。側面領域40の下部76は、第1および第2の切り欠き52a、52bの最も下方の位置よりも下方の側面領域40の部位を含んでいる。側面領域40の上部74は、第1および第2の切り欠き52a、52bの最も上方の位置よりも上方の側面領域40の部位を含んでいる。
【0060】
図12の側面領域40の外被42を、母材内に埋め込むことができる複数の補強繊維44を有している複合材料で形成することができる。外被42の繊維44が、好ましくは繊維44の少なくとも一部分が合成荷重経路N
resultに対して実質的に平行に向くように配置されている。繊維44を、他の荷重経路に実質的に平行に向けることも可能である。例えば、繊維44の一部分が、周方向の軸14に整列したフープ引張荷重経路N
hoopに実質的に平行であってよい。外被42の繊維44を荷重経路に実質的に平行に向けることによって、繊維44が、引張荷重を効率的に保持することができる。一実施形態においては、繊維44を、長手軸12に対して約+50度〜+75度の間の繊維角度α
fiber、あるいは+50度よりも小さい角度または+75度よりも大きい角度に向けることができる。繊維44を、長手軸12に対して約−50度〜−75度の間の繊維角度α
fiber、あるいは−50度よりも小さい角度または−75度よりも大きい角度に向けることができる。例えば、さらに繊維44が、長手軸12に対して±45度を向くことができるせん断荷重経路(図示されていない)に実質的に平行であってよい。繊維44の一部分が、周方向の軸14におおむね平行に向けられてもよい。
【0061】
図12の繊維44は、少なくとも第1の切り欠き52aの下端60bのおおむね下方の位置から第2の切り欠き52bの上端60aのおおむね上方の位置へと延びることができる。同様に、繊維44は、第2の切り欠き52bの下端60bのおおむね下方の位置から第1の切り欠き52aの上端60aのおおむね上方の位置へと延びることができる。外被42は、図示されていない他の方向に沿った向きを有する繊維44をさらに備えることができる。繊維44を、胴部セクション34(
図4)の外周を巡って連続的に巻き付けることができ、または繊維44が有限の長さを有し、窓の帯49の範囲内の任意の位置を含む胴部セクション34の任意の周上の位置を終端としてもよい。
【0062】
図12に示した切り欠き52のひし形は、短軸bに対して測定される辺セグメント角度θ
bに向けられた4つの辺セグメント58を含むことができる。辺セグメント58は、随意ではあるが好ましくは、1つ以上の荷重経路に実質的に平行に向けられる。例えば、辺セグメント58を、合成荷重経路N
resultに実質的に平行に向けることができ、さらには/あるいはフープ引張荷重経路N
hoopに実質的に平行に向けることができる。しかしながら、辺セグメント58を、せん断荷重経路N
shear−1、N
shear−2(
図6、10)におおむね平行な方向など、任意の方向に向けることが可能である。この点に関し、辺セグメント58を、せん断荷重経路N
shear−1、N
shear−2(
図6、10)の方向の間の任意の角度に向けることができる。例えば、辺セグメント58を、長手軸12に対して約+45度〜長手軸12に対して−45度の間の任意の辺セグメント角度θ
bに向けることができるが、この±45度の範囲の外側の角度も考えられる。
【0063】
やはり
図12を参照すると、側面領域40における切り欠き52の配置および向きを、各々の切り欠き52の長軸aおよび短軸bに関して定めることができる。一実施形態においては、各々の切り欠き52を、切り欠き52の長軸aが航空機10の周方向の軸14に実質的に平行に向くように配置することができる。側面領域40の切り欠き52を、ピッチ間隔72で互いに離すことができる。ピッチ間隔72を、或る切り欠き52の長軸aと短軸bとの交点から隣の切り欠き52の長軸aと短軸bとの交点までの距離として定めることができる。一実施形態においては、切り欠き52を、約18〜28インチのピッチ間隔72にて離すことができ、より好ましくは約22〜24インチの間のピッチ間隔72にて離すことができる。
【0064】
図13が、胴体16(
図2)に作用するせん断荷重(図示されていない)およびフープ引張荷重(図示されていない)に対する側面領域40の構造的応答を模擬および予測するために側面領域40の一部分(
図12)の有限要素モデル120(
図14)に適用することができる荷重および境界条件の線
図100である。線
図100は、第1および第2の切り欠き52a、52bを含んでおり、上側境界102、下側境界104、前側境界106、および後ろ側境界108を有している。上側境界102は、上側境界102をx軸、y軸、およびz軸に沿った平行移動ならびにx軸、y軸、およびz軸を中心とする回転に関して拘束するための複数の制約110を含んでいる。基準座標系RCSが、
図13の線
図100の左下の角に示されている。下側境界104、前側境界106、および後ろ側境界108は、拘束されていない。
【0065】
線
図100において、800ポンド/インチ(lb/in)のせん断力F
shearが、胴体16(
図1Aおよび
図1B)への曲げモーメント(図示されていない)に起因して側面領域40(
図12)に生じるせん断応力(図示されていない)を模擬するために、前側境界106および後ろ側境界108へと加えられている。
図13におけるせん断力F
shearの向きは、曲げモーメントM
1(
図2)に起因する
図5のせん断応力τ
shear−1成分の向きと同様である。
図13において、1200lb/inのフープ引張力F
hoopが、客室の与圧に起因する面内のフープ張力を模擬するために、下側境界104へと加えられている。
図13におけるフープ引張力F
hoopの向きは、
図5におけるフープ引張応力σ
hoopの向きと同様である。
【0066】
図14が、側面領域40(
図12)の要素メッシュ122を含むFEM 120の図である。要素メッシュ122は、ひし形の形状を有する第1および第2の切り欠き52a、52bを含んでいる。
図14は、せん断力F
shear(
図13)およびフープ引張力F
hoop(
図13)の印加に応答した側面領域40におけるミーゼス応力126の分布の応力コンター128を示している。応力コンター128は、応力の水準を相対の応力の大きさ124によって分類している。
図14に示されるように、最大約47ksiという比較的大きな大きさの応力集中130が、第1および第2の切り欠き52a、52bの各々の1つの辺セグメント58に沿った比較的狭い帯に生じている。しかしながら、ひし形の切り欠き52a、52bに沿った47ksiの応力集中は、同様の荷重および境界条件による同等のFEM(図示せず)において従来からの長円形の切り欠き(図示せず)に沿って生じる約70ksiという応力集中と比べ、35パーセント低いと判断された。
【0067】
さらに
図14は、第1の切り欠き52aの下部76から第2の切り欠き52bの上部74に向かって延びている中間的な程度の応力集中132も示している。軽い応力集中134が、FEM 120の線図の残りの部分に示されている。中間的な程度の応力集中132は、各々のひし形の切り欠き52a、52bの少なくとも1つの辺セグメント58と同じ方向に沿って延びている。中間的な程度の応力集中132の形状は、せん断力F
shear(
図13)およびフープ引張力F
hoop(
図13)の合成荷重経路N
Fの方向に一致している。
【0068】
図15が、
図14のFEMと同様のFEMソリューションの図であり、一体物の複合材料製の胴部セクション34(
図1A)の製造時に実装することができる積層経路90をさらに示している。積層経路90を、組み立て式の胴部セクション34’(
図1B)を形成すべくクラウンパネル36’(
図1B)およびキールパネル38’(
図1B)と組み合わせることができる側面パネル40’(
図1B)の製造時に実装することも可能である。積層経路90は、テープ配置機(図示せず)などによって1回の通過で付着させることができる比較的広い幅の複合材料テープ(図示せず)を提供する。積層経路90の比較的広い幅は、テープ積層機(図示せず)のテープ付着ヘッド(図示せず)によって必要とされる通過の総回数を減らすことにより、胴部セクション34(
図4)を作り上げるために必要な総時間を短縮することができる。さらに、積層経路90の側縁が、ひし形の切り欠き52a、52bの真っ直ぐな辺セグメント58に当接し、特別なテープ切除または切断作業を不要にする。
【0069】
図16が、おおむね側面領域40の切り欠き52間の領域に位置する当て物領域82を有している側面領域40の実施形態を示している。当て物領域82を、第1および第2の切り欠き52a、52bの下方および/または上方に延ばすことができる。当て物領域82は、側面領域40の公称外被厚さt
nom(
図18)からの側面領域40の厚さの増加を呈している。側面領域40の外被42を、金属材料または複合材料で形成することができる。適切な金属材料として、アルミニウム、チタニウム、アルミニウム−リチウム、および他の適切な金属材料または材料の組み合わせを挙げることができる。金属製の外被42における当て物領域82は、金属製の外被の全体としての厚さの増加を含むことができる。
【0070】
複合材料製の外被42については、当て物領域82を、積層の仕組み88において外被42へと積層することができる複合材料の1つ以上のパッド層84で構成することができる。
図16は、X字の形状に配置されたパッド層84を示している。パッド層84は、側面領域40の1つ以上の荷重経路におおむね平行な方向に沿うように向けることができるパッド層繊維86を含むことができる。パッド層84を、荷重経路のうちの1つ以上の向きに一致してよい切り欠き52の辺セグメント58におおむね平行に向けることも可能である。
【0071】
図17が、当て物領域82にパッド層84を重ねるための随意による積層の仕組み88を示している。側面領域40の狭隘部80を通過する互い違いのX字の形状に配置されたパッド層84が示されている。狭隘部80を、おおむね隣り合う切り欠き52のペアの間の最短距離の位置と定めることができる。各々のパッド層84を、荷重経路に対して平行に向けることができる。積層の仕組み88が、おおむね側面領域40の上部74から狭隘部80へと向かう全体的な方向に沿った側面領域40の外被42の厚さの緩やかな増加または次第の増加をもたらしている。積層の仕組み88は、おおむね側面領域40の下部76から狭隘部80へと向かう全体的な方向に沿った外被42の厚さの次第の増加ももたらしている。さらに、X字形の積層の仕組み88は、最大応力の位置に好都合に一致してもよい狭隘部80において最大となる外被42の厚さももたらすことができる。
【0072】
図18が、パッド層84の配置に起因した側面領域40の外被の厚さt
padの次第の増加を示している側面領域40の断面を示している。パッド層84が、公称の外被厚さt
nomから当て物領域82の増やされた外被厚さt
padへの側面領域40の厚さの次第の増加をもたらしている。外被の厚さt
padの次第の増加は、側面領域40の切り欠き52(
図17)間の領域を通過する荷重の効率的な伝達を可能にする。好都合には、
図18に示した外被の厚さt
padの次第の増加が、層の剥離の可能性を減らすことができる外被42内の層間の応力の軽減を可能にする。
【0073】
図19が、当て物領域82にパッド層84を重ねるための積層の仕組み88のさらなる実施形態を示している。積層の仕組み88が、周方向の軸14(
図12)に対して浅い角度に向けられたパッド層84を備えている。追加のパッド層84を、客室の与圧P(
図3)によって引き起こされるフープ引張荷重(図示されていない)に対処すべく追加することができる。この点に関し、追加のパッド層84を、フープ引張荷重経路N
hoopに近づく角度に向けることができる。追加のパッド層84を、狭隘部80へと向かう外被厚さt
pad(
図18)の次第の増加を促進するために互い違いにすることができる。
【0074】
図20が、破線にて示された丸みを帯びた矩形の切り欠き162の形状最適化モデルの変位の線
図160を示している。形状最適化モデルの制約には、切り欠き162の面積を所定の値(例えば、100平方インチ)に保つことが含まれていた。さらに、丸みを帯びた矩形の切り欠き162の形状は、所定の高さよりも小さくならず、かつ所定の幅よりも小さくならないように制約されていた。側面領域40の各部における最大応力は、材料の許容応力170の所定の範囲内になるように制約されていた。変位の線
図160は、切り欠き162の縁に沿った種々の位置における相対の応力の大きさ166の応力コンター174を示している。変位ベクトル164aが、丸みを帯びた矩形の切り欠き162の角162aについて、71ksiという比較的高い応力の大きさ168(すなわち、参照番号170によって示されている材料の許容応力よりも高い大きさ)の領域から遠ざかるように内側へと移動する傾向を示している。変位ベクトル164bが、丸みを帯びた矩形の切り欠き162の側面162bおよび上下端162cについて、比較的低い応力の大きさ172(すなわち、材料の許容応力170よりも低い大きさ)の領域に向かって外側へと移動する傾向を示している。形状最適化モデルにおいて、変位ベクトル164a、164bに沿った移動の組み合わせが、丸みを帯びた矩形の切り欠き162のひし形の切り欠き(
図22)への発展をもたらしている。
【0075】
図21が、側部54および端部60において交わる真っ直ぐな辺セグメント58を有しているひし形の切り欠き52の図である。切り欠き52のサイズおよび形状を、長軸aおよび短軸bに関して定義することができる。例えば、切り欠き52の高さAが、両端部60に位置する辺セグメント58の交点間で、長軸aに沿って測定される。幅Bが、両側部54に位置する辺セグメント58の交点間で、短軸bに沿って測定される。切り欠き52は、約1.3:1以上の高さA−幅Bのアスペクト比を有することができる。一実施形態においては、ひし形の切り欠き52が、1.3B≦A≦5Bという式によって定められる高さA−幅Bのアスペクト比を有することができる。この点に関し、高さAは、約1.3B〜約5Bの範囲であってよい。好ましい実施形態においては、切り欠き52のアスペクト比が約2:1〜5:1の間であるが、アスペクト比が5:1よりも大きくてもよい。さらなる実施形態においては、切り欠き52が、約1.8:1〜2.2:1の高さA−幅Bのアスペクト比を有することができる。各々の切り欠き52が、約100〜300平方インチの面積を有することができるが、切り欠き52を、100平方インチ未満または300平方インチ超の面積にて設けてもよい。好ましい実施形態においては、切り欠き52が、約120〜140平方インチの範囲の面積を有することができる。
【0076】
図22が、半径r
aの丸みを帯びた端部角62を有するひし形の切り欠き52の端部60と、半径r
bの丸みを帯びた側部角56を有する側部54とを示している。側部角56における側部半径r
bは、側部54における応力集中を最小限にするために、端部角62における端部半径r
aよりも大きくてもよい。端部半径r
aおよび/または側部半径r
bの大きさを、切り欠き52の高さAの関数として決定することができる。例えば、好ましい実施形態においては、端部半径r
aの大きさは、切り欠き52の高さAの約0.05倍〜高さAの約0.50倍までの範囲であってよい。側部半径r
bの大きさは、切り欠き52の高さAの約0.05倍〜切り欠き52の高さAの約3.0倍までの範囲であってよい。しかしながら、端部半径r
aおよび/または側部半径r
bを、上述のサイズよりも大きいサイズまたは小さいサイズにて設けることもできる。辺セグメント58を、短軸bに対して測定される辺セグメント角度θ
bに向けることができる。辺セグメント角度θ
bは、約50度〜80度の範囲であってもよいが、50〜80度の範囲の外側の角度も考えられる。
【0077】
図23が、湾曲した辺セグメント316を有する切り欠き52(
図1Aおよび
図1B)の湾曲辺ひし形の実施形態300の図である。図示の実施形態300は、長軸に沿って測定され、この実施形態300の各々の端部角310に位置する端部半径r
end−300および側部半径r
side−300への接線314間の直線320の交点間を延びている高さ306を有することができる。幅308は、短軸304に沿って測定可能であり、各々の側部角312に位置する端部半径r
end−300および側部半径r
side−300への接線314間の直線320の交点間を延びている。実施形態300は、約1.8:1〜2.2:1という高さ306−幅308のアスペクト比を有することができ、端部角310における端部半径r
end−300よりも大きい側部角312における側部半径r
side−300を有することができる。湾曲辺ひし形の実施形態300は、約120〜140平方インチの面積を有することができる。湾曲辺セグメント316は、各々の湾曲辺セグメント316が対応する端部半径r
end−300および側部半径r
side−300への接線である凸状の曲率を有することができる。各々の辺セグメント316の湾曲の程度を、接線314間を延びる直線320に対して定めることができる。各々の辺セグメント316の曲率318は、湾曲辺セグメント316から直線320までの最大距離が、接線314間の直線320の距離の約20%以下であるような曲率であってよい。好都合には、湾曲辺セグメント316の曲率が、異なる向きを有する複数の荷重経路(図示されていない)を受け入れることができる。
【0078】
図24が、実質的に一定の曲率の丸みを帯びた辺412を有する切り欠き52(
図1Aおよび
図1B)の標準的な丸みを帯びたひし形の実施形態400の図である。丸みを帯びた辺412が、上側および下側の端部角410の間を延びることができ、端部角410に接することができる。標準的な丸みを帯びたひし形の実施形態400は、長軸402に沿って測定され、端部角410の各側において丸みを帯びた辺412および端部角410に位置する接線414から延びている延長線の交点間を延びている高さ406を有することができる。実施形態400は、短軸404に沿って測定され、短軸404と実施形態400の丸みを帯びた辺412との交点間を延びている幅408を有することができる。実施形態400は、約16〜18インチの高さ406、約1.5:1〜1.9:1の高さ406−幅408のアスペクト比、および約125〜135平方インチの面積を有することができる。
【0079】
図25が、実質的に一定の曲率の丸みを帯びた辺512を有する切り欠き52(
図1Aおよび
図1B)の改良型の丸みを帯びたひし形の実施形態500の図である。丸みを帯びた辺512は、上側および下側の端部角510の間を延びることができ、端部角510に接することができる。実施形態500は、長軸502に沿って測定され、端部角510の各側において丸みを帯びた辺512および端部角510に位置する接線514から延びている延長線の交点間を延びている高さ506を有することができる。実施形態500は、短軸504に沿って測定され、短軸504と実施形態500の丸みを帯びた辺512との交点間を延びている幅508を有することができる。改良型の丸みを帯びたひし形の実施形態500は、約22〜26インチの高さ506、約2:1〜2.4:1のアスペクト比、および約190〜210平方インチの面積を有することができる。
【0080】
図26が、航空機10の周方向の軸14に対して斜めにされた切り欠き52の実施形態の図である。図示の実施形態においては、切り欠き52が、各々の切り欠き52の長軸aが航空機10の周方向の軸14に対して角度θ
cantを向くように配置されている。切り欠き52を、随意により、周方向の軸14に対していずれかの方向へと角度θ
cantに傾ける(例えば、前方へと傾け、あるいは後方へと傾ける)ことができる。一実施形態においては、切り欠き52を、長軸が航空機の周方向の軸14の±20度の範囲内を向くように向けることができるが、切り欠きを±20度よりも大きい角度に向けることもできる。任意の所与の切り欠き52の配向の角度θ
cantは、切り欠き52の辺セグメント58のうちの少なくとも1つが合成荷重経路N
resultに実質的に平行、フープ引張荷重経路N
hoop(
図6、
図10)に実質的に平行、あるいはせん断荷重経路N
shear−1、N
shear−2(
図6、
図10)、または任意の他の荷重経路に実質的に平行な向きとなるような角度であってよい。
【0081】
さらに、配向の角度θ
cantを、所与の切り欠き52の辺セグメント58のうちの2つ以上が合成荷重経路N
result−1、N
result−2(
図7、
図11)のうちの1つ、フープ引張荷重経路N
hoop(
図6、
図10)、せん断荷重経路N
shear−1、N
shear−2(
図6、
図10)のうちの1つ、または任意の他の荷重経路の配向に実質的に平行な向きとなるように選択することができる。例えば、切り欠き52を、切り欠き52の辺セグメント58のうちの1つが、フープ引張荷重経路N
hoop(
図6)およびせん断荷重経路N
shear−1(
図6)の引張成分の合成荷重経路N
result−1(
図7)に実質的に平行な向きとなるように向けることができる。同じ切り欠き52の別の辺セグメント58を、フープ引張荷重経路N
hoop(
図7)およびせん断荷重(図示せず)の圧縮成分(図示せず)の組み合わせの合成荷重経路(図示せず)に実質的に平行に向けることができる。
【0082】
さらにこの点に関し、外被42が、フープ引張荷重経路N
hoop(
図6)とせん断荷重経路N
result−1、N
result−2(
図7、11)の引張成分との合成荷重経路N
result(
図7)に実質的に整列するように向けられてよい繊維44を含むことができ、フープ引張荷重経路N
hoop(
図6)とせん断荷重経路(図示せず)の圧縮成分(図示せず)との組み合わせの合成荷重経路(図示せず)に実質的に平行に向けられた繊維44をさらに含むことができる。繊維44を、窓の帯49に沿って延びるトラス構造(図示せず)を呈するやり方で配向させることができる。例えば、繊維44の一部分を、長手軸12に対して約+45度〜+80度の間の角度に向けることができ、繊維44の別の一部分を、長手軸12に対して+100度〜+160度の間の角度(図示せず)に向けることができる。一実施形態においては、傾いたトラス配置(図示せず)を窓の帯49に沿って呈するよう、繊維44の一部分を長手軸12に対して約+60度に向けることができ、繊維44の別の一部分を長手軸12に対して約+150度に向けることができる。切り欠き52の配向の角度θ
cantは、胴体16の全長にわたって一定であってもよく、または角度θ
cantが、胴体16の長さに沿って変化してもよい。
【0083】
図27が、航空機10の胴体16(
図12)の側面領域40(
図12)のうちの少なくとも1つに切り欠き52(
図12)を形成するための方法600に含まれてよい1つ以上の作業を表わすフロー図を示している。この方法のステップ602が、側面領域40に切り欠き52(
図12)を互いに横並びの関係で形成することを含むことができる。切り欠き52を、所望のピッチ間隔72(
図12)で互いに離すことができる。ピッチ間隔72を、随意により、航空機10(
図1Aおよび
図1B)の客席(図示せず)間の間隔に一致させることができる。例えば、ピッチ間隔72は、約18〜28インチの範囲であってよい。
【0084】
ステップ604が、胴体16(
図12)に作用する曲げモーメントM
1(
図2)の割り出しを含むことができる。方法600を、
図2に示した負の曲げモーメントM
1の文脈において説明するが、この方法は、
図8に示した正の曲げモーメントM
2を用いても実施可能である。曲げモーメントM
1(
図2)を、コンピュータシミュレーションにおいて胴体16(
図12)への荷重を予測することによって割り出すことができる。曲げモーメントM
1(
図2)を、静的な試験中に胴体16(
図12)への荷重を測定し、または飛行試験中に胴体16への荷重を直接測定することによって割り出すこともできる。
【0085】
ステップ606が、胴体16(
図12)に作用する曲げモーメントM
1(
図2)への応答において側面領域40(
図12)に生じるせん断荷重(図示せず)の割り出しを含むことができる。せん断荷重を、コンピュータシミュレーションにもとづいて分析的に割り出すことができる。あるいは、せん断荷重を、ひずみゲージまたは他の計器を使用して静的な試験中に割り出すことができる。せん断荷重を、飛行試験中に測定することも可能である。
【0086】
この方法のステップ608は、胴体16(
図12)への客室の与圧の荷重P(
図3)の割り出しを含むことができる。客室の与圧の荷重Pを、客室の気圧高度の維持についてのFAAの要件にもとづいて割り出すことができる。例えば、安全率により、胴体16が最大18.2psiに耐えることを求められるかもしれないが、胴体16を、より大きい与圧の荷重に耐えるように構成することができる。
【0087】
この方法のステップ610は、客室の与圧の荷重P(
図3)の結果として側面領域40(
図12)に生じるフープ引張荷重(図示せず)を割り出すことを含む。フープ引張荷重を、コンピュータシミュレーションによって割り出すことができ、または実規模試験もしくは飛行試験の際に、胴体16の外被(
図12)に組み合わせることができるひずみゲージ(図示せず)を使用するなどにより、胴体16(
図12)に作用する荷重を測定することによって割り出すことができる。
【0088】
この方法のステップ612は、せん断荷重(図示せず)とフープ引張荷重(図示せず)との組み合わせの合力の合成荷重経路N
result(
図12)を割り出すことを含むことができる。例えば、合成荷重経路N
resultを、既知のせん断荷重(図示せず)および既知のフープ引張荷重(図示せず)の大きさおよび向きにもとづいて数学的に割り出すことができる。合成荷重経路N
resultを、せん断荷重とフープ引張荷重との組み合わせの合成荷重経路N
resultに限らず、荷重経路の他の組み合わせについて割り出すこともできる。例えば、合成荷重経路N
resultは、昇降舵30(
図1Aおよび
図1B)および/または方向舵26(
図1Aおよび
図1B)によって胴体16(
図12)に引き起こされるねじり荷重にもとづくことができる。
【0089】
ステップ614は、切り欠き52(
図12)を、荷重経路が第1の切り欠き52aの下方の側面領域40の下方部分76(
図12)から第2の切り欠き52bの上方の側面領域40の上方部分74(
図12)へと実質的に連続的に側面領域40(
図12)に沿って延びるように設定することを含むことができる。切り欠き52を、合成荷重経路N
resultが第2の切り欠き52bの下方の側面領域40の下方部分76から第1の切り欠き52aの上方の側面領域40の上方部分74へと実質的に連続的に延びるように設定することもできる。
【0090】
ステップ616は、合成荷重経路N
result(
図12)などの荷重経路におおむね平行に向けられた辺セグメント58(
図12)を有するひし形の形状にて切り欠き52(
図12)を設けることを含むことができる。代案として、辺セグメント58を、せん断荷重経路N
resultに沿って向けることができる。辺セグメント58を、せん断荷重(図示せず)、フープ引張荷重(図示せず)、および胴体16(
図12)に加わる可能性がある他の荷重の組み合わせの合成荷重経路N
resultにおおむね平行に向けることもできる。
【0091】
ステップ618が、外被42(
図12)の繊維44(
図12)の少なくとも一部分を、合成荷重経路N
result(
図12)などの荷重経路に実質的に平行になるように向けることを含むことができる。外被42の繊維44を、第1の切り欠き52aの下端60bのおおむね下方の位置から第2の切り欠き52bの上端60aのおおむね上方の位置へと延ばすことができる。外被42の繊維44を、航空機10(
図12)の長手軸12(
図12)に対して約50度〜75度の間の角度に向けることができる。しかしながら、繊維44を、50度未満または75度超の角度に向けることもできる。
【0092】
ステップ620が、側面領域40(
図16)の当て物領域82(
図16)において外被42(
図16)を覆って複合パッド層84(
図16)を積層することを含むことができる。各々のパッド層84が、荷重経路に実質的に平行に向けられてよい複数のパッド層繊維86(
図16)を含むことができる。当て物領域82は、公称の外被厚さt
nom(
図18)に対する当て物領域82における外被42の厚さの次第の増加をもたらすことができる。
【0093】
航空機10(
図1Aおよび
図1B)への客席窓50(
図1Aおよび
図1B)の追加は、通常は応力集中に対処するために必要な構造的補強(すなわち、外被の厚さの増加)に起因して航空機10の全体としての重量を増加させるが、ひし形の切り欠き52(
図4)によってもたらされる改善された荷重経路は、側面領域40(
図4)における応力集中を、ほぼ同じ面積の従来からの長円形の窓切り欠き(図示せず)と比べて推定で35〜45パーセントも減少させる。応力集中の軽減により、切り欠き52の縁の周囲および窓の帯49(
図4)において外被の厚さを減らすことができ、これが重量の軽減になる。重量の軽減を、航空機10の積載能力の向上または燃料経済性の改善へと適用することができる。あるいは、ひし形の切り欠き52(
図4)によって実現される重量の軽減を、窓50の面積の拡大へと適用することができる。大きな窓50は、窓の帯49(
図4)において外被の厚さを増やすことを必要とするが、ひし形の窓50における外被42の最大厚さは、同じ面積の従来からの長円形の窓における外被の最大厚さよりも小さい。
【0094】
以上の説明および関連の図面に提示した教示の恩恵により、本開示に係る当業者であれば、本開示の多数の改変および他の実施形態に想到できるであろう。本明細書に記載の実施形態は、例示的であり、本開示を限定しようとするものでも、すべてを述べ尽くそうとするものでもない。本明細書において具体的な用語が使用されているが、それらは総称的な説明の意味で用いられているにすぎず、限定を目的として用いられているのではない。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
第1の切り欠き52aおよび第2の切り欠き52bが互いに横並びの関係にて形成されている胴部セクション34と、
前記胴部セクション34に沿って延びる直接的な荷重経路と
を備えており、
前記荷重経路が、前記第1の切り欠きのおおむね下方の前記胴部セクションの下方部分76から前記第2の切り欠きのおおむね上方の前記胴部セクションの上方部分74まで実質的に連続的に延びている航空機の胴体。
(態様2)
当該胴体16に、前記胴部セクション34の側面領域にせん断荷重を生じさせる曲げモーメントが加わり、
前記荷重経路が、前記せん断荷重の経路を含んでいる態様1に記載の航空機の胴体。
(態様3)
当該胴体に、前記側面領域にフープ引張荷重を生じさせる客室の与圧の荷重が加わり、
前記荷重経路が、前記せん断荷重と前記フープ引張荷重との合力の経路を含んでいる態様2に記載の航空機の胴体。
(態様4)
前記側面領域が、公称外被厚さを有する外被を備えており、
前記側面領域が、少なくとも前記第1および第2の切り欠きの間の領域に当て物領域を備えており、
前記当て物領域における前記外被の厚さが、前記公称外被厚さよりも大きい態様3に記載の航空機の胴体。
(態様5)
前記第1および第2の切り欠きが、両者の間の最短距離に狭隘部を定めており、
前記当て物領域における前記外被の厚さが、前記上方部分から前記狭隘部へと向かう方向および前記下方部分から前記狭隘部へと向かう方向の少なくとも一方に沿っておおむね増加している態様4に記載の航空機の胴体。
(態様6)
前記外被が、母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成され、
前記繊維の少なくとも一部分が、前記荷重経路に対して実質的に平行に向けられ、前記繊維の少なくとも一部分が、前記航空機の長手軸に対して約50〜75度の角度に向けられている態様4に記載の航空機の胴体。
(態様7)
前記第1および第2の切り欠きの少なくとも一方が、長軸および短軸を有するひし形の形状を有しており、前記長軸が、前記航空機の周方向の軸の±20度の範囲内を向いている態様1に記載の航空機の胴体。
(態様8)
前記ひし形の形状が、4つの辺セグメントを有しており、
前記辺セグメントのうちの少なくとも1つが、前記荷重経路に実質的に平行に向けられている態様7に記載の航空機の胴体。
(態様9)
前記胴部セクション34が、少なくとも1つの側面パネル40を有しており、
第1の切り欠き52aおよび第2の切り欠き52bが、互いに横並びの関係で前記側面パネルに形成され、
直接的な荷重経路が、前記胴部セクションに沿って延びており、
前記荷重経路が、前記第1の切り欠きのおおむね下方の前記側面パネルの下方部分から前記第2の切り欠きのおおむね上方の前記側面パネルの上方部分まで実質的に連続的に延びている態様1に記載の航空機の胴体。
(態様10)
航空機の胴体の側面領域に切り欠きを形成する方法であって、
第1の切り欠きおよび第2の切り欠きを互いに横並びの関係で前記側面領域に形成するステップと、
直接的な荷重経路が前記第1の切り欠きのおおむね下方の前記側面領域の下方部分から前記第2の切り欠きのおおむね上方の前記側面領域の上方部分まで実質的に連続的に前記側面領域に沿って延びるように、前記第1の切り欠きおよび前記第2の切り欠きを設定するステップと
を含む方法。
(態様11)
前記側面領域が、公称外被厚さを有する外被を備えており、前記方法が、
当て物領域を少なくとも前記第1および第2の切り欠きの間の領域において前記側面領域に含めるステップと、
前記当て物領域において前記外被の厚さを前記公称外被厚さよりも大きくするステップと
をさらに含む態様10に記載の方法。
(態様12)
母材に埋め込まれた複数の補強繊維を有する複合材料で形成された外被を有する前記側面領域を用意するステップと、
前記繊維の少なくとも一部分を前記荷重経路に実質的に平行に向けるステップと
をさらに含む態様10に記載の方法。
(態様13)
前記第1および第2の切り欠きを長軸および短軸を有するひし形の形状に形成するステップ
をさらに含む態様10に記載の方法。
(態様14)
前記ひし形の形状が、4つの辺セグメントを有しており、前記方法が、
前記辺セグメントのうちの少なくとも1つを前記荷重経路に実質的に平行に向けるステップ
をさらに含む態様13に記載の方法。