特許第6029613号(P6029613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029613
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】通信端末装置及び決済システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20161114BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20161114BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G06Q20/20
   G06Q20/32
   G07G1/12 321P
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-88493(P2014-88493)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-207217(P2015-207217A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】河原 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】中原 健一
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−006029(JP,A)
【文献】 特開2006−338480(JP,A)
【文献】 特開2010−009433(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099639(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/031183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済カードをエミュレートするカードエミュレート機能を有する通信端末装置であって、
決済用端末装置との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備え、
移動体通信ネットワークを介した通信サービスの加入者識別情報が記憶されたICモジュールが装置本体に着脱可能に構成され、
前記ICモジュールは、
複数種類の決済カードそれぞれについてカードエミュレート機能を利用するためのカード情報及び個別プログラムと、該複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの所定条件下における有効及び無効の状態を管理するための状態管理情報とを記憶する記憶手段を備え、
前記装置本体は、
前記近距離無線通信手段で決済用端末装置との間で近距離無線通信を行ったとき、前記ICモジュールの記憶されている、前記決済用端末装置に対応する決済カードのカードエミュレート機能の状態管理情報を確認し、前記決済用端末装置に対応する決済カードのカードエミュレート機能が有効になっている場合は、その決済カードのカード情報及び個別プログラムに基づいて前記決済用端末装置と近距離無線通信を行って該決済カードによる決済処理を実行できるように該決済カードのカードエミュレート機能のUIアプリケーションを起動し、前記決済用端末装置に対応する決済カードのカードエミュレート機能が無効になっている場合は、その決済カードのカードエミュレート機能のUIアプリケーションを起動しないように制御することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
請求項1の通信端末装置において、
電源供給手段と、
利用者が操作可能な電源スイッチと、
前記電源スイッチがOFFにされているとき、前記決済カードによる決済処理を実行できるように前記近距離無線通信手段に対しては前記電源供給手段からの電力供給を継続するように制御する電源制御手段と、
記電源スイッチがOFFにされている条件下において、前記状態管理情報に基づいて、前記複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについてはカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについてはカードエミュレート機能を無効にすることを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2の通信端末装置において、
利用者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段の操作が規制された操作規制状態を有し、所定の利用者操作によって前記操作規制状態を解除するように制御する操作制御手段と、
記操作規制状態にある条件下において、前記状態管理情報に基づいて、前記複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについてはカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについてはカードエミュレート機能を無効にすることを特徴とする通信端末装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの通信端末装置において、
前記状態管理情報で管理される前記複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効と無効とを切り換える切り換え手段を更に備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの通信端末装置において、
記カードエミュレート機能を無効にする決済カードは、クレジットカード又は電子マネーのカードであることを特徴とする通信端末装置
【請求項6】
求項1乃至のいずれかの通信端末装置において、
前記近距離無線通信は、NFC(Near Field Communication)の規格に準拠した通信であり、
前記状態管理情報は、グローバルプラットフォームの規格で定義されているCRS(Contactless Registry Service)アプレットに設定されたプロパティ情報であることを特徴とする通信端末装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかの通信端末装置と、該通信端末装置における前記カードエミュレート機能を管理する管理サーバとを備え、前記通信端末装置は、通信ネットワークを介して前記管理サーバと通信するネットワーク通信手段を備えることを特徴とする電子決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して通信可能な通信端末装置及びその通信端末装置を用いた決済システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の通信端末装置として、クレジットカード、電子マネーのカード、交通系のプリペイドカードなどの複数種類のプラスチックカードやICカード(以下「決済カード」という。)をエミュレートする機能(以下「カードエミュレート機能」という。)を有する携帯電話機やスマートフォン等の通信端末装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この通信端末装置では、利用者が商品を購入したりサービスを利用したりしたときに店舗等の決済端末装置にかざして近距離無線通信を行うことにより、その商品購入やサービス利用の料金について決済を済ませることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の通信端末装置では、所定条件下において、複数種類の決済カードの一部についてはカードエミュレート機能を使用できる有効にしておき、他の決済カードについてカードエミュレート機能を使用できない無効にしておきたい場合がある。
【0004】
例えば、交通系カードのカードエミュレート機能については、電源スイッチをONにしたり操作ロック状態を解除したりする操作やパスワードを入力する操作が必要になると、駅等の改札ゲートをスムーズに通過することができず、利便性に欠ける。そのため、このような交通系カードのカードエミュレート機能については、電源スイッチのOFF状態や操作ロック状態にある条件下でもカードエミュレート機能を使用できるように有効にしておくことで、駅の改札ゲートをスムーズに通過することができるようになり、利便性を高めることができる。
【0005】
一方、クレジットカードや電子マネーカードなどのセキュリティの要求度が高い決済カードのカーエミュレート機能については、電源スイッチのOFF状態や操作ロック状態にある通信端末装置を落としたり盗まれたりしたとき、その通信端末装置の通常の操作はできないにもかかわらず、クレジットカードなどのカードエミュレート機能が他人に悪用されるおそれがある。そのため、このようなクレジットカードなどのセキュリティの要求度が高い決済カードのカーエミュレート機能については、電源スイッチのOFF状態や操作ロック状態にある条件下でカードエミュレート機能を使用できないように無効にしておくことで、セキュリティを高めることができる。
【0006】
しかしながら、上記従来の通信端末装置では、電源スイッチのOFF状態や操作ロック状態にある条件下において、複数種類の決済カードのすべてのカードエミュレート機能が一律に有効になるか又は一律に無効になってしまうという課題がある。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて所定条件下における有効及び無効を個別に設定可能な通信端末装置及び決済システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る通信端末装置は、決済カードをエミュレートするカードエミュレート機能を有する通信端末装置であって、複数種類の決済カードそれぞれについてカードエミュレート機能を利用するためのカード情報及び個別プログラムと、該複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの所定条件下における有効及び無効の状態を管理するための状態管理情報とを記憶する記憶手段と、決済用端末装置との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、前記複数種類の決済カードそれぞれについて、前記カード情報及び個別プログラムに基づいて前記決済用端末装置と近距離無線通信を行うことにより、該決済カードによる決済処理を実行する決済処理手段と、を備え、前記決済処理手段は、前記状態管理情報に基づいて、前記複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについてはカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについてはカードエミュレート機能を無効にする。
【0009】
前記通信端末装置において、電源供給手段と、利用者が操作可能な電源スイッチと、前記電源スイッチがOFFにされているとき、前記近距離無線通信手段及び前記決済処理手段に対しては前記電源供給手段からの電力供給を継続するように制御する電源制御手段と、前記決済処理手段は、前記電源スイッチがOFFにされている条件下において、前記状態管理情報に基づいて、前記複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについてはカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについてはカードエミュレート機能を無効にしてもよい。
また、前記通信端末装置において、利用者が操作可能な操作手段と、前記操作手段の操作が規制された操作規制状態を有し、所定の利用者操作によって前記操作規制状態を解除するように制御する操作制御手段と、前記決済処理手段は、前記操作規制状態にある条件下において、前記状態管理情報に基づいて、前記複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについてはカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについてはカードエミュレート機能を無効にしてもよい。
また、前記通信端末装置において、前記状態管理情報で管理される前記複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効と無効とを切り換える切り換え手段を更に備えてもよい。
また、前記通信端末装置において、前記所定条件下においてカードエミュレート機能を無効にする前記一部の決済カードは、クレジットカード又は電子マネーのカードであってもよい。
また、前記通信端末装置において、通信ネットワークを介した通信サービスの加入者識別情報が記憶されたIC(Integrated Circuit)モジュールが装置本体に着脱可能に構成され、前記記憶手段は、前記ICモジュール内に設けられていてもよい。
また、前記通信端末装置において、前記近距離無線通信は、NFC(Near Field Communication)の規格に準拠した通信であり、前記状態管理情報は、グローバルプラットフォームの規格で定義されているCRS(Contactless Registry Service)アプレットに設定されたプロパティ情報であってもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る電子決済システムは、前記通信端末装置のいずれかと、該通信端末装置における前記カードエミュレート機能を管理する管理サーバとを備え、前記通信端末装置は、通信ネットワークを介して前記管理サーバと通信するネットワーク通信手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて所定条件下における有効及び無効の状態を管理するための状態管理情報を記憶し、この状態管理情報に基づいて、複数種類の決済カードのうち一部の決済カードについては所定条件下におけるカードエミュレート機能を有効にし、他の決済カードについては所定条件下におけるカードエミュレート機能を無効にすることができる。従って、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて所定条件下における有効及び無効を個別に設定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る通信端末装置を用いて電子決済することができる電子決済システムの一例を示す概略構成図。
図2】本実施形態の通信端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態の通信端末装置に装着されているUSIMの主要構成の一例を示すブロック図。
図4】本実施形態の通信端末装置に装着されたUSIMにおけるNFCの近距離無線通信を用いた非接触の電子決済サービスに関するソフトウェアの構成の一例を示すブロック図。
図5】本実施形態の通信端末装置において非接触の電子決済サービスの利用登録を行うときの処理の一例を示すシーケンス図。
図6】(a)〜(d)は、電子決済サービスの利用登録時における通信端末装置の画面遷移の一例を示す説明図。
図7】本実施形態の通信端末装置において電源スイッチOFF時におけるAカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能の有効及び無効の状態を確認する処理の一例を示すシーケンス図。
図8】本実施形態の通信端末装置において電源スイッチOFF時におけるCカード(交通系のプリペイドカード)のカードエミュレート機能を使用して非接触の電子決済サービスを利用するときの処理の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る通信端末装置を用いて電子決済することができる電子決済システムの一例を示す概略構成図である。この電子決済システムは、クレジットカードや電子マネーのICカード等の決済カードをエミュレートするカードエミュレート機能を有する携帯電話機やスマートフォン等の通信端末装置10を用いて各種の商品やサービスの料金の支払いが可能になるサービスを提供するシステムである。電子決済システムは、通信端末装置10、その通信端末装置10との間で通信可能に通信ネットワーク上に設けられた管理サーバ20、25、各種施設や店舗等に設置された電子決済サービスの決済用端末装置であるリーダ/ライタ装置(以下「R/W装置」という。)30等で構成されている。
【0014】
管理サーバ20、25、26は、例えばWEB機能を具備したサーバで構成され、移動体通信ネットワーク40を介して通信端末装置10との間で通信可能に構成されている。管理サーバ20、25、26と通信端末装置10との間の通信プロトコルとしては、例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol )が用いられる。これらの管理サーバ20、25、26のうち、移動体通信事業者20Aによって管理・運営されるMNO−TSM(Mobile Network Operator - Trusted Service Manager)サーバ20は、電子決済サービスに必要な各種データやプログラムが格納される通信端末装置10内の安全なメモリ領域へのアクセス権限を管理するサーバである。また、クレジットカードや電子マネーのICカード等の決済カードを発行しているカード決済サービス提供事業者25Aによって管理・運営されるSP−TSM(Service Provider - Trusted Service Manager)サーバ25は、MNO−TSM20を介して通信端末装置10と通信することにより、電子決済サービスの利用登録などを行うサーバである。また、カード決済サービス提供事業者25Aによって管理・運営されるサービス提供サーバであるSP(Service Provider)サーバ26は、R/W装置30と通信することにより、電子決済サービスの利用者認証や決済処理などを行うサーバである。なお、MNO−TSMサーバ20及びSP−TSMサーバ25の2つの機能を有する単一の管理サーバや、MNO−TSMサーバ20、SP−TSMサーバ25及びSPサーバ26の3つの機能を有する単一の管理サーバを設けてもよい。
【0015】
R/W装置30は、各種施設や店舗等に設置された決済用端末装置であり、通信端末装置10と通信するための通信モジュール31を備えている。このR/W装置30としては、駅の改札ゲート装置のほか、バスなどの中にある運賃収受機や乗車口カード読み取り装置、駅やイベント会場等の発券装置、金融機関等の自動現金支払装置、店舗などのレジ装置、高速道路のETCの基地局などがある。
【0016】
また、R/W装置30は、通信端末装置10との間で所定の近距離無線通信方式で無線通信することにより各種データを送受信することができる。この近距離無線通信方式としては、各種通信方式を用いることができるが、本実施形態では、TypeA、TypeB、FeliCa(登録商標)等のNFC(Near Field Communication)の通信方式を用いている(ISO14443A,ISO14443B,ISO7816,ISO15693,ISO18092,ISO21481参照)。上記近距離無線通信方式としては、ブルートゥース(登録商標)、WiFi、ワイヤレスUSB、ETC等の電波を用いた通信方式、赤外線を用いた通信方式、可視光を用いた通信方式等の他の通信方式を用いてもよい。また、R/W装置30と通信端末装置10との間のデータ転送には所定の通信プロコルが用いられ、その転送方式としては、シリアルデータ転送方式の他、多重転送方式、時分割転送方式等を採用することができる。
【0017】
また、R/W装置30は、例えば図示しないコンピュータ装置にシリアルケーブル等で接続され、そのコンピュータ装置を介して、例えば固定電話回線やインターネットなどのネットワーク50上に構築された専用通信回線を介してSPサーバ26と通信可能に構成されている。SPサーバ26とR/W装置30との間の通信プロトコルとしては、例えばHTTPの他、FTPやTELNET、又は独自の通信プロトコルが用いられる。これらプロトコルを使用して、R/W装置30は、電子決済サービス関連のデータ、決済処理要求及び決済完了通知などをSPサーバ26との間でやり取りすることができる。なお、上記ネットワーク50の代わりに、移動体通信ネットワーク40を利用するようにしてもよいし、他の通信ネットワークを利用するようにしてもよい。
【0018】
通信端末装置10は、移動体通信ネットワーク40の基地局41を介して、MNO−TSMサーバ20及びSP−TSMサーバ25と通信することができる。この通信端末装置10には、電子決済サービスを利用するためのソフトウェアであるアプリケーションプログラムが組み込まれている。また、通信端末装置10に装着されている着脱可能なICモジュールであるUSIM(Universal Subscriber Identity Module)には、移動体通信サービスを利用するための加入者識別情報等とともに、利用者が決済で使用可能なクレジットカードや電子マネーのカード等の複数種類の決済カードそれぞれのカード情報や個別プログラムであるアプレットが格納されている。
【0019】
以下、アプリケーションプログラムは適宜「アプリケーション」と略し、上記電子決済関連の情報を管理するソフトウェアであるアプリケーションプログラムは、「電子決済アプリケーション」という。本実施形態では、この電子決済アプリケーションとして、JAVA(登録商標)やC++等のオブジェクト指向プログラミングで開発された、プラットフォームに依存しないアプリケーションプログラムを用いている。これらのアプリケーションプログラムは、通信ネットワーク上のサーバから適宜ダウンロードして通信端末装置10内に登録することができ、それらの中から利用者が選択して実行することができる。利用者が選択したアプリケーションプログラムは、通信端末装置10に構築されたJAVA実行環境などのアプリケーション実行環境上で実行される。
【0020】
図2は、本実施形態の通信端末装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この通信端末装置10は、主制御部110と無線通信部111とベースバンド処理部112と音入出力部113と表示部114と操作手段としての操作部115とを備える。また、通信端末装置10は、装置本体に対して着脱可能なICモジュールとしてのUSIM15が装着されている。USIM15は、後述のようにR/W装置30との間で近距離無線通信可能な機能を有している。
【0021】
主制御部110は、MPU(Micro Processing Unit)、RAM、ROM等を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、ベースバンド処理部112等の各部を制御したり、ソフトウェア構成上のネイティブプラットフォーム環境やアプリケーション実行環境を構築したりする。
【0022】
無線通信部111は、移動体通信ネットワーク40を介して通信するネットワーク通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器,高周波増幅器などにより構成され、移動体通信ネットワーク40の基地局41との間で無線通信するための高周波信号処理を実行する。
【0023】
ベースバンド処理部112は、他の携帯電話機等の通信端末装置や各種サーバとの間で音声通信やデータ送受信の通信を行うためのデジタル処理を実行する。このベースバンド処理部112と上記無線通信部111との間はD/A変換器やA/D変換器を介して接続されている。
【0024】
音入出力部113は、マイク、スピーカ、音信号処理部等で構成されている。マイクから出力されるアナログの音声信号は、音信号処理部でデジタル信号に変換され、主制御部110やベースバンド処理部112等に送られる。スピーカは、音信号処理部でデジタル信号から変換されたアナログ信号が入力され、通話中の音声を出力したり、メールの着信音、電話の呼び出し音、音楽などを出力したりする。なお、スピーカは、通話中の音声を聞くための受話器用スピーカ(レシーバ)と、着信音や音楽などを出力する外部出力用スピーカとを別々に設けて構成してもいいし、これらの受話器用スピーカ及び外部出力用スピーカを兼用するように一つのスピーカで構成してもよい。
【0025】
表示部114は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成され、主制御部110からの指令に基づいて各種画像を表示する。
【0026】
操作部115は、表示部114に組み込まれたタッチパネルや、各種の操作キーやボタン、電源ON/OFF手段としての電源スイッチなどで構成されている。この操作部115は、利用者が、通信端末装置10の本体電源をON/OFFしたり、通話開始、終話、メニュー選択、画面切り換え等を指示したり、情報を入力したりするときに用いられる。
【0027】
また、通信端末装置10は、位置情報取得手段としてのGPS(Global Positioning System)部117、撮像手段としてのカメラ部118、センサー部119、電源供給手段としての電源供給部120、図示しない時計部等も備えている。
【0028】
GPS部117は、GPS受信モジュールやGPSアンテナ等で構成され、地球の周りに配置されている複数のGPS衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて通信端末装置10が位置する緯度、経度及び高度のデータを算出する。
【0029】
カメラ部118は、レンズや撮像デバイス等で構成され、人物や風景等を撮影する時に用いられる。撮像デバイスとしては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOSカメラを用いることができる。
【0030】
センサー部119は、加速度センサー及び/又は地磁気センサー等で構成されている。加速度センサーは、1軸の加速度センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の加速度センサーであってもよい。また、地磁気センサーも、1軸の地磁気センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の地磁気センサーであってもよい。このセンサー部119の出力に基づいて、通信端末装置10の位置、向き、姿勢及び動きを示すデータを算出することができる。また、センサー部119の出力に基づいて、所定高度における基準位置から利用者の通信端末装置10が移動したときの加速度データや地磁気データの時間変化の情報である履歴情報から、通信端末装置10が位置している高度、角度等を示すデータを算出することができる。
【0031】
電源供給部120は、充電可能なバッテリー、バッテリーから各部に所定電圧の電力を供給する電力供給回路、バッテリーを充電する充電回路などを備えている。また、電源供給部120は、通信端末装置10における主要部すなわち音入出力部113、表示部114、操作部115の一部、GPS部117、カメラ部118及びセンサー部119への電力供給については、前述の利用者が操作可能な電源スイッチによりON/OFFできるように構成されている。但し、電源スイッチのOFF時に一部の決済カードのカードエミュレート機能を動作させるために、電源供給部120は、電源スイッチのOFF時においても無線通信部111、ベースバンド処理部112及びUSIM15への電力供給を継続して行うように構成されている。
【0032】
時計部はクロック回路等で構成され、正確な日時を計数し、更新処理等のための時刻情報を生成する。
【0033】
図3は、本実施形態の通信端末装置10に装着されているUSIM15の主要構成の一例を示すブロック図である。USIM15は、例えばICモジュールで構成され、CPUなどからなる制御部150と、ROMやRAMなどからなる記憶手段としての記憶部151と、通信端末装置本体と通信するためのI/Oインターフェース部152と、前述のNFCによりR/W装置30と近距離無線通信する近距離無線通信手段としてのNFC通信部153とを備えている。
【0034】
USIM15の制御部150はNFCアプレットが実行されるとともに、対応するカードのUIアプリケーションが実行される装置本体側の主制御部110と協働することにより、決済カードによる決済処理を実行する決済処理手段として機能する。
【0035】
NFC通信部153は、例えば専用ICチップからなり、R/W装置30との間で、所定通信プロトコルによる通信を行うためのアンテナや無線通信回路を有している。
【0036】
記憶部151は、主に制御部150が制御に用いるアクセスコントロールなどの基本プログラムやデータが格納されたシステム領域151aと、USIM15の利用者が各種のアプリケーションに使用するプログラムやデータが格納されたユーザ領域151bとを有している。システム領域151aには、後述する複数種類の決済カードのカードエミュレート機能に対応するNFCアプレットそれぞれの有効及び無効などの各種状態を管理する比較的小さなサイズのプログラムであるアプレットも格納されている。この状態管理のアプレットとしては、例えば後述の「JAVA Card Runtime Environment」上に構築される「グローバルプラットフォーム」で規定されている「CRS」(Contactless Registry Service)アプレットを用いることができる。このCRSアプレットは、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの所定条件下における有効の状態(「アクティブ状態」ともいう。)及び無効の状態(「非アクティブ状態」ともいう。)を管理するための状態管理情報として利用可能なプロパティ情報が設定されている。
【0037】
なお、本実施形態では、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効及び無効の状態が管理される上記所定条件が、電源スイッチがOFFされている状態にあるという条件である場合について説明するが、この条件に限定されるものではない。例えば、上記所定条件が、電源スイッチがONされ且つ操作部の操作が規制された操作規制状態としての操作ロック状態にあるという条件であってもよい。
【0038】
ユーザ領域151bは、特定の権限を有する利用者やサーバのみアクセスできる安全な領域(「SE:Secure Element」や「SD:Secure Domain」とも呼ばれる。)になっている。本実施形態では、ユーザ領域151bに、R/W装置30と通信することによりクレジットカードや電子マネーのカードなどの決済カード(プラスチックカード、ICカード)をエミュレートするカードエミュレート機能を実現するためのプログラムであるNFCアプレットとユーザ固有情報であるカード情報とが格納されている。ここで、上記カードエミュレート機能は、通常のクレジットカードや電子マネーのカードなどの決済カード(プラスチックカード、ICカード)と同様に商品やサービスの支払いの決済に通信端末装置10を用いることができるようにした機能である。
【0039】
複数の決済カードによる決済をエミュレートする場合、ユーザ領域151bに格納されるNFCアプレット及びカード情報は、決済カード毎に互いに異なる領域に格納され、決済カードを発行している決済サービス提供事業者ごとにアクセス権限が管理されている。図3の例では、3種類の決済カード(Aカード、Bカード、Cカード)それぞれのNFCアプレット及びカード情報が互いに異なる領域に格納され、例えばAカードを発行している決済サービス提供事業者は、Aカード用に設定された領域のNFCアプレットA及びAカード情報のみにアクセスすることができる。
【0040】
表1は、前述のCRSアプレットで管理される複数種類の決済カード(Aカード、Bカード、Cカード)それぞれのNFCアプレットの状態管理情報の一例を示す一覧表である。表1中の状態管理情報の欄における「1」は、電源スイッチOFFの条件下で、NFCアプレットがアクティブであり、そのNFCアプレットによる決済カードのカードエミュレート機能が利用できる有効の状態であることを示している。一方、「0」は、電源スイッチOFFの条件下で、NFCアプレットが非アクティブであり、そのNFCアプレットによる決済カードのカードエミュレート機能が利用できない無効の状態であることを示している。
【表1】
【0041】
表1の例において、例えば、CRSアプレットで管理されているAカード及びBカードの状態管理情報が「0」であることにより、Aカード及びBカードのカードエミュレート機能は電源スイッチOFFの条件下で無効であって使用できない。一方、CRSアプレットで管理されているCカードの状態管理情報が「1」であることにより、Cカードのカードエミュレート機能は電源スイッチOFFの条件下でも有効であって使用できる。
【0042】
図4は、本実施形態の通信端末装置10に装着されたUSIM15におけるNFCの近距離無線通信を用いた非接触の電子決済サービスに関するソフトウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図4において、USIM15の物理層におけるNFCの近距離無線通信を制御するアクセスコントロール上に、ミドルウェア(例えば、決済カードのためのICカード仕様である「EMV」に準拠したミドルウェア)を介して、ICカードプラットフォーム(例えば、JAVAのAPI仕様に従った環境を提供する「JAVAカード」)が構築される。このICカードプラットフォーム上に、決済用ICカードプラットフォーム(例えば、「VISAオープンプラットフォーム」)を介して、非接触カードプラットフォーム(例えば、「グローバルプラットフォーム)が構築される。この非接触カードプラットフォーム上で、複数の決済カード(例えば、前述のAカード、Bカード、Cカード)それぞれのカード決済用のNFCアプレットなどを実行することができる。
【0043】
図5は、本実施形態の通信端末装置10において非接触の電子決済サービスの利用登録を行うときの処理の一例を示すフローチャートである。図6(a)〜(d)は電子決済サービスの利用登録時における通信端末装置の画面遷移の一例を示す説明図である。なお、図5及び図6は、駅の改札ゲートで決済可能な交通系のプリペイドカードであるCカードの電子決済サービスの利用登録を行うときの例である。
【0044】
図5において、まず、利用者が通信端末装置10を操作してブラウザを起動し、カード選択のWEBサイトにアクセスすると、図6(a)に示すようなカード選択画面161が表示される。このカード選択画面161上で利用者がCカードを選択する操作を行うと、Cカードの電子決済サービスを利用するためのユーザインターフェース(UI)アプリケーションが通信端末装置10にダウンロードされ、利用者の操作により又は自動的に起動される。ダウンロードしたUIアプリケーションが起動すると、図6(b)に示すCカードの電子決済サービスの利用登録画面162が表示される。この利用登録画面162で、Cカードの電子決済サービスの利用登録を要求する所定操作を行うと、通信端末装置10からMNO−TSMサーバ20にサービス利用登録要求が送信される。
【0045】
MNO−TSMサーバ20は、所定の認証処理を行った後、Cカードの電子決済サービスを利用するときに使用されるCカード用のNFCアプレットCを、通信端末装置10に送信する。通信端末装置10が受信したCカード用のNFCアプレットCは、USIM15に送られてインストールされる。
【0046】
USIM15では、記憶部151のユーザ領域151b内にCカード用の領域が設定され、そのCカード用の領域内にNFCアプレットCが格納されるとともに、利用者のCカードのカード情報などのユーザ固有情報を格納するための領域が設定される。
【0047】
次に、通信端末装置10は、MNO−TSM20を介して、Cカードのカード決済サービス提供事業者のSP−TSMサーバ25に利用登録要求を送信する。SP−TSMサーバ25は、利用登録要求に基づいて、所定の認証処理を実行した後、通信端末装置10の利用者についてCカードの電子決済サービスの利用登録処理を実行し、当該利用者のCカードのカード情報を含む利用者固有データを通信端末装置10に送信する。
【0048】
通信端末装置10が受信したCカードのユーザ固有情報は、USIM15に送られ、記憶部151のユーザ領域151bにおけるCカード用に設定された領域に書き込まれる。その後、図6(c)に示すCカードの電子決済サービスの利用登録完了の画面163が通信端末装置10に表示される。この利用登録完了の画面で利用者が所定の確認操作を行うと、通信端末装置10の電源スイッチがOFFの場合でも使用できる決済カードとして、CRSアプレットにおけるCカードの状態管理情報を設定する処理が実行される。そして、図6(d)に示すように電源スイッチOFF時にもCカードの電子決済サービスが利用可能になったことを示す画面164が表示される。
【0049】
上記決済カードの状態管理情報の設定は、UIアプリケーションに組み込まれている所定のアプリケーション・アクティベーション設定IF(例えば、前述の「EMV」で規定されている「AAUI:Application Activation User Interface)を介して行われる。また、Cカードをアクティブ状態に設定するイベント(「EVENT_ACTIVATED」)は、前述のイベントリスナーのアプレット(例えば「CREL」アプレット)によって検知され、通信端末装置10の本体側のUIアプリケーションや、UIアプリケーションに組み込まれている所定のアプリケーション・アクティベーション設定IF(例えば「AAUI」)に通知される。
【0050】
図7は、本実施形態の通信端末装置において電源スイッチOFF後にAカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能のUIアプリケーションがバックグランドで起動されたときの処理の一例を示すシーケンス図である。なお、このAカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能は、前述の表1に示すように電源スイッチのOFF時の状態が無効(非アクティブ状態)に設定されている。
【0051】
図7において、利用者が通信端末装置10の電源スイッチをOFFにした後、通信端末装置10をR/W装置30にかざすと、通信端末装置10においてAカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能のUIアプリケーションがバックグランドで起動開始され、通信端末装置10の本体からUSIM15に状態確認要求が送信される。USIM15は、CRSアプレットに設定されている電源スイッチOFF時のAカード(クレジットカード)の状態管理情報を確認し、上記確認要求に対する応答として、無効に設定されている旨を示す確認結果を、通信端末装置10の本体に送信する。通信端末装置10の本体は、USIM15から受信した確認結果に基づいて、Aカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能のUIアプリケーションの起動を中止する。この結果、電源スイッチOFF後になんらかのイベントをトリガーとしてAカード(クレジットカード)のカードエミュレート機能のUIアプリケーションが起動しようとしても、そのカードエミュレート機能の利用を防止できる。
【0052】
図8は、本実施形態の通信端末装置10において電源スイッチOFF時におけるCカード(交通系のプリカード)のカードエミュレート機能を使用して非接触の電子決済サービスを利用するときの処理の一例を示すシーケンス図である。なお、このCカード(交通系のプリカード)のカードエミュレート機能は、前述の表1に示すように電源スイッチのOFF時の状態が有効(アクティブ状態)に設定されている。
【0053】
図8において、利用者が通信端末装置10の電源スイッチをOFFにした後、通信端末装置10をR/W装置30にかざすと、通信端末装置10においてCカード(交通系のプリペイドカード)のカードエミュレート機能のUIアプリケーションがバックグランドで起動開始され、通信端末装置10の本体からUSIM15に状態確認要求が送信される。USIM15は、CRSアプレットに設定されている電源スイッチOFF時のCカードの状態管理情報を確認し、上記確認要求に対する応答として、有効に設定されている旨を示す確認結果を、通信端末装置10の本体に送信する。通信端末装置10の本体は、USIM15から受信した確認結果に基づいて、Cカードのカードエミュレート機能のUIアプリケーションの起動を継続する。
【0054】
次に、R/W装置30から通信端末装置10に装着されているUSIM15に、Cカードの電子決済サービスの利用を要求するサービス利用要求が送信される。
【0055】
USIM15は、R/W装置30からのサービス利用要求に基づいて、Cカードの電子決済サービスの利用に問題がないか否かについて判断し、問題がない場合は、当該電子決済サービスの利用に問題がない旨を示すサービス利用応答を、R/W装置30に送信する。
【0056】
R/W装置30は、USIM15からのサービス利用応答に基づいて、Cカードのカード決済サービス提供事業者のSPサーバ26に決済処理要求を送信する。
【0057】
SPサーバ26は、R/W装置30から受信した決済処理要求に基づいて決済処理を実行するとともに、決済完了通知をR/W装置30に送信する。
【0058】
R/W装置30は、SPサーバ26から受信した決済完了通知に基づいて決済完了表示を行うとともに、決済完了通知を通信端末装置10のUSIM15に送信する。
【0059】
USIM15は、R/W装置30から受信した決済完了通知を通信端末装置10の本体に送信するとともに、その決済完了通知に基づいて、USIM15内に格納されているCカードのユーザ固有データを更新する。通信端末装置10は、USIM15から受信した決済完了通知に基づいて、決済完了表示を行う。
【0060】
以上、本実施形態によれば、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて電源スイッチOFF時における有効及び無効の状態を管理するための状態管理情報を記憶している。そして、この状態管理情報に基づいて、複数種類の決済カードのうち、利用者の利便性を優先する交通系のプリペイドなどの決済カードについては電源スイッチOFF時におけるカードエミュレート機能を有効にすることにより、利便性の低下を抑制することができる。一方、クレジットカードや電子マネーなどの高いセキュリティが要求される他の決済カードについては電源スイッチOFF時におけるカードエミュレート機能を無効にすることにより、セキュリティを確保し、カードエミュレート機能の悪用を防止できる。以上のように、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて電源スイッチOFF時における有効及び無効を個別に設定することができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、R/W装置30と近距離無線通信する近距離無線通信手段がUSIM15内に設けられている場合について説明したが、本発明は、R/W装置30と近距離無線通信する近距離無線通信手段が通信端末装置10の本体側に設けられている場合にも同様に適用することができる。
また、上記実施形態では、電源スイッチがOFFされている条件下における複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効及び無効の状態を管理しているが、他の条件下における複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効及び無効の状態を管理してもよい。
例えば、電源スイッチがONされ且つ操作部の操作が規制された操作規制状態としての操作ロック状態(ロック画面表示状態)にある条件における複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれの有効及び無効の状態を管理してもよい。この操作ロック状態(ロック画面表示状態)は、利用者が所定のロック解除操作(例えば所定のパスワード入力操作)を行うことで通常の操作可能な状態に戻すように解除することができる。この場合、複数種類の決済カードのうち、利用者の利便性を優先する交通系のプリペイドなどの決済カードについては操作ロック状態におけるカードエミュレート機能を有効にすることにより、利便性の低下を抑制することができる。一方、クレジットカードや電子マネーなどの高いセキュリティが要求される他の決済カードについては操作ロック状態におけるカードエミュレート機能を無効にすることにより、セキュリティを確保し、カードエミュレート機能の悪用を防止できる。以上のように、複数種類の決済カードのカードエミュレート機能それぞれについて操作ロック状態における有効及び無効を個別に設定することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 通信端末装置
15 USIM
20 MNO−TSMサーバ
25 SP−TSMサーバ
26 SPサーバ
30 リーダ/ライタ装置(R/W装置)
40 移動体通信ネットワーク
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0063】
【非特許文献1】「ソフトバンクモバイル、クレディセゾン、アメリカン・エキスプレス、AndroidTM 搭載スマートフォンを利用したNFCサービスの実証実験を日本で開始」、[online]、平成11年11月15日、[平成26年3月18日検索]、インターネット〈URL:http://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2011/20111115_01/〉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8