特許第6029648号(P6029648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029648
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】携帯型超音波診断装置及びそのバッテリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-504802(P2014-504802)
(86)(22)【出願日】2013年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2013055906
(87)【国際公開番号】WO2013137050
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-59085(P2012-59085)
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】松下 泰介
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2-82693(JP,A)
【文献】 特開平6-125187(JP,A)
【文献】 特開平6-318124(JP,A)
【文献】 特開2000-59061(JP,A)
【文献】 特開2007-122192(JP,A)
【文献】 特開2009-33547(JP,A)
【文献】 特開2010-220(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150541(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を内部に有する筺体と、
前記筺体内に設けられるバッテリ収容部に収容され前記基板に電力を供給するバッテリと、
前記バッテリ収容部に設けられ、前記バッテリ又は前記基板によって発生された熱で加熱された前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を吸気する吸気用開口部と、
前記吸気用開口部から吸気された前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を導く流路と、
前記流路を通過した前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を排気する排気用開口部と
を備えたことを特徴とする携帯型超音波診断装置。
【請求項2】
前記流路は、前記基板の平面部により構成され、前記基板の平面方向に沿って、前記吸気用開口部から吸気された前記バッテリの周囲の空気を導くことを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項3】
前記吸気用開口部は、前記筐体の前方に設けられ前記基板の下面部の周囲の空気を吸気する第1の開口部と、前記筐体の上面に設けられ前記基板の上面部の周囲の空気を吸気する第3の開口部とを具備し、
前記流路は、前記基板の下面部の平面方向に沿って、前記第1の開口部から吸気される前記基板の下面部の周囲の空気を導く第1の流路と、前記基板の上面部の平面方向に沿って、前記第3の開口部から吸気される前記基板の上面部の周囲の空気を導く第2の流路とを具備し、
前記排気用開口部は、前記筐体の後方に設けられ、前記第1の流路を通過した吸気された前記基板の下面部の周囲の空気を排気する第2の開口部と、前記第2の流路を通過した吸気された前記基板の上面部の周囲の空気を排気する第4の開口部と、を具備した
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項4】
前記バッテリは、
前記バッテリの周囲の空気を吸気するバッテリ吸気口と、
前記吸気された前記バッテリの周囲の空気を前記バッテリの排気として排気するバッテリ排気口と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項5】
前記バッテリが前記バッテリ収容部に収容された状態で、前記バッテリ吸気口は、前記筐体の前方に位置し、前記第2の開口部は、前記筐体の後方に位置することを特徴とする請求項4に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項6】
前記筐体の側方に設けられ、超音波探触子を接続する探触子接続部と、
前記探触子接続部と反対の側方に設けられる側方開口部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項7】
前記吸気用開口部に吸気された前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気に気流を生じさせるファンを備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1の開口部に吸気された前記基板の下面部の周囲の空気の気流を生じさせる第1のファンと、
前記第3の開口部に吸気された前記基板の上面部の周囲の空気の気流を生じさせる第2のファンと
を備えることを特徴とする請求項3に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項9】
前記基板と略平行に複数の基板を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項10】
前記筐体の側方に設けられ、超音波探触子を接続する探触子接続部と、
前記携帯型超音波診断装置を操作する操作部と、
前記操作部に設けられ、前記操作部の周囲の空気を吸気する操作部吸気口と、前記操作部に設けられ、前記操作部吸気口から吸気された前記操作部の周囲の空気を排気する操作部排気口とを備え、
前記操作部吸気口は、前記探触子接続部側に設けられ、
前記操作部排気口は、前記探触子接続部の反対側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項11】
基板を内部に有する筺体と、
バッテリを収容するバッテリ収容部と、
前記バッテリの一部を通過したバッテリ排気を吸気するために、前記バッテリ収容部に設けられる第1の開口部と、
前記基板を冷却するために、前記第1の開口部からの吸気を導く流路と、
前記流路を通過した前記吸気を排気する第2の開口部と
を備えたことを特徴とする携帯型超音波診断装置。
【請求項12】
基板を内部に有する筺体と、
バッテリを収容するバッテリ収容部と、
前記筐体の前方に設けられる第1の開口部と、
前記基板の下面部を冷却するために、前記下面部の平面方向に沿って、前記第1の開口部からの吸気を導く第1の流路と、
前記筐体の後方に設けられ、前記第1の流路を通過した前記吸気を排気する第2の開口部と、
前記筐体の上面に設けられ、前記基板の上面部を冷却するために吸気する第3の開口部と、
前記第3の開口部からの吸気を導く第2の流路と、
前記筐体の後方に設けられ、前記第2の流路を通過した前記吸気を排気する第4の開口部と
を備えたことを特徴とする携帯型超音波診断装置。
【請求項13】
前記第1の開口部は、本体と表示部とを接続するユニバーサルジョイントの界面又はバッテリ収容部の上部又は後方の界面に設けられることを特徴とする請求項3、11又は12のいずれか一項に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項14】
前記第1の流路は、前段流路と後段流路を有し、前記前段流路は前記後段流路に比べ、空間が狭くなるように構成されることを特徴とする請求項3又12に記載の携帯型超音波診断装置。
【請求項15】
請求項1乃至12いずれか一項に記載の前記携帯型超音波診断装置における前記バッテリであって、
前記バッテリが前記バッテリ収容部に収容された状態で、前記バッテリの前方に位置する複数のバッテリ吸気口と、
前記複数のバッテリ吸気口を区画する複数の隔壁と
を備えることを特徴とするバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型超音波診断装置に関し、特に、装置の冷却システムを有する携帯型超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波診断装置としては、移動可能な台車に各種装置を搭載したワゴンタイプが主流である。また、可搬性に優れた携帯型の超音波診断装置も、超音波診断装置として市場に流通している。例えば、ノートタイプと呼ばれる携帯型超音波診断装置は、薄型の本体と表示部を備え、表示部が、蓋として本体に折り畳み可能な構造を備えている。
【0003】
医用電気機器の安全規格IEC60601-1では、被検体と接触の可能性があるME機器の接触部分における最大許容温度は、48℃(1分以上触れる場合)と定められており、超音波診断装置の冷却が要求される。
【0004】
ワゴンタイプでは、発熱の大きい電子部品(例えば、CPU)にヒートシンクを搭載し、排気ファンを搭載することで、冷却システムを有するが、携帯型超音波診断装置では、スペースの確保が困難であるため、ワゴンタイプと同様の冷却システムを有することは困難である。つまり、携帯型超音波診断装置は、ワゴンタイプに比べて、サイズの制約が大きく、発熱部品の冷却が容易にできない問題を抱えている。そのため、特許文献1のように、可撓基板を用いることで筐体内のスペースを確保して冷却効果を高める提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、可撓基板を利用する場合であっても、すべての基板を可撓とすることはできないため、空気の流路の確保が不十分であり、発熱部品の冷却が十分ではない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置において、装置の冷却効率を高めることができる携帯型超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯型超音波診断装置は、基板を内部に有する筺体と、前記筺体内に設けられるバッテリ収容部に収容され前記基板に電力を供給するバッテリと、前記バッテリ収容部に設けられ、前記バッテリ又は前記基板によって発生された熱で加熱された前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を吸気する吸気用開口部と、前記吸気用開口部から吸気された前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を導く流路と、前記流路を通過した前記バッテリ又は前記基板の周囲の空気を排気する排気用開口部とを備える。
【0009】
この構成によれば、バッテリの排気口から空気を内部に導くことで、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置において、装置の冷却効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置において、装置の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る携帯型超音波診断装置を前方から見た正面斜視図
図2】操作部と表示部が閉じられた状態を示した図
図3】バッテリ収容部に収容されるバッテリを前方から見た正面斜視図
図4】携帯型超音波診断装置を後方から見た背面斜視図
図5】本体を前方から見た正面斜視図
図6】バッテリ収容部に収容されるバッテリにおける空気の流れを示した図
図7】本体の前方における空気の流れを示した図
図8】本体の後方における空気の流れを示した図
図9】本体の模式的な内部構造を後方から見た背面斜視図
図10】本体の前後方向に沿った中央断面図
図11】本体が複数の基板を備えることを示した図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の携帯型超音波診断装置について、図面を用いて説明する。
本発明の携帯型超音波診断装置には、基板を内部に有する本体筺体50と、前記筺体50内に設けられるバッテリ収容部51に収容され前記基板に電力を供給するバッテリ8と、前記バッテリ収容部51に設けられ、前記バッテリ8又は前記基板によって発生された熱で加熱された前記バッテリ8又は前記基板の周囲の空気を吸気する吸気用開口部(第1の開口部15、第3の開口部11)と、前記吸気用開口部から吸気された前記バッテリ8又は前記基板の周囲の空気を導く流路(第1の流路55、第2の流路56)と、前記流路を通過した前記バッテリ8又は前記基板の周囲の空気を排気する排気用開口部(第2の開口部10、第4の開口部12)とを備える。
【0013】
図1は、本実施の形態の携帯型超音波診断装置100を前方から見た正面斜視図である。
具体的には、図1に示すように、携帯型超音波診断装置100は、基板を内部に有する本体1と、操作部2と、表示部3とを備える。操作部2は、本体1に内蔵された基板(制御基板)に各種命令を与え、携帯型超音波診断装置100を操作する。本体1の基板は、CPU、電源回路、及びバッテリコントローラなどの回路を搭載し、搭載された回路により、探触子接続部4に接続される各種超音波探触子から送信される超音波送波信号を生成し、各種超音波探触子から受信されるエコー信号を処理する。また、基板は、搭載された回路により、表示部3に超音波画像を表示する。
【0014】
操作部2及び表示部3は、本体1にユニバーサルジョイント(自在継手)又はヒンジなどの接続部により接続されており、操作部2及び表示部3は、ユニバーサルジョイント又はヒンジによりそれぞれ回転可能又は開閉可能である。操作部2は、ヒンジにより表示部3に相対して閉じることができ、携帯型超音波診断装置100をコンパクトに折り畳むことができ、携帯型超音波診断装置100の持ち運びも容易にすることができる。また、表示部3は、ユニバーサルジョイント(接続部)により角度を自在に調整することができ、操作者の見やすい角度に維持することもできる。
【0015】
図2は、操作部2と表示部3が閉じられた状態を示した図である。このように、操作部2を跳ね上げることで、設置スペースを削減することができる。
【0016】
図2に示すように、本体1は、基板を内部に有する筺体50と、バッテリ(バッテリパック)8を収容するバッテリ収容部51と、超音波探触子を接続する探触子接続部4とを備える。バッテリ8は、バッテリ吸気口9を有し、空気をバッテリ8の一部に通過させる。
【0017】
操作部2は、操作部2の内部を冷却するために吸気する操作部吸気口6と、操作部吸気口6からの吸気を排気する操作部排気口7とを備える。操作部吸気口6は、筺体50の側方に設けられた探触子接続部4側に設けられる。操作部吸気口6からの排気(熱風)が被検体に直接当たらないように、操作部排気口7は、探触子接続部4の反対側に設けられる。この構成によれば、操作部2に操作部吸気口6と操作部排気口7が設けられることで、操作部2の内部を冷却する流路を確保することができ、携帯型超音波診断装置100の冷却効果を高めることができるとともに、排気(熱風)が被検体に直接当たらないようにすることができる。また、操作部2は、操作部吸気口6からの吸気の気流を生じさせるファン5を備える。
【0018】
図3は、バッテリ収容部51に収容されるバッテリ8を前方から見た正面斜視図である。バッテリ8は、バッテリ8へ吸気するバッテリ吸気口9と、バッテリ吸気口9からの吸気をバッテリ排気として排気するバッテリ排気口19と、蓄電部20を備える。バッテリ吸気口9は、バッテリ8がバッテリ収容部51に収容された状態で、バッテリ8の前方(前面)に位置する。バッテリ排気口19は、バッテリ8がバッテリ収容部51に収容された状態で、バッテリ8の前方上部に位置する。複数のバッテリ吸気口9及び複数のバッテリ排気口19は、複数の隔壁21によって区画される。複数の隔壁21により、バッテリ前方及び前方上部に空間が確保されるので、複数の隔壁21で囲まれた空間が、バッテリ8に対する落下などの衝撃を吸収する。
【0019】
例えば、バッテリ8の落下に対して、バッテリ8の蓄電部20や回路が保護される。この構成によれば、従来は空気の流路を塞いでいたバッテリにバッテリ吸気口9とバッテリ排気口19を設けることで、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置において、装置の冷却効率を高めることができるとともに、複数の隔壁で囲まれた空間により、バッテリに対する衝撃を吸収することができる。
【0020】
図4は、携帯型超音波診断装置100を後方から見た背面斜視図である。本体1は、基板を内部に有する筺体50と、バッテリ8を収容するバッテリ収容部51(図2)と、バッテリ収容部51に設けられる第1の開口部(後述)と、第1の開口部からの吸気を排気する第2の開口部10と、筺体50の上部(上面)に設けられる第3の開口部11と、筐体50の後方に設けられ、第3の開口部11からの吸気を排気する第4の開口部12と、探触子接続部4(図2)と反対の側方(側面)に設けられる側方開口部13とを備える。
【0021】
排気(熱風)が被検体に直接当たらないように、側方開口部13は、探触子接続部4(図2)と反対の側方(側面)に設けられる。また、本体1は、USBポート等の各種インターフェース14を備える。この構成によれば、側方開口部13から第2の開口部10への流路を確保することで、複数の流路を確保することができ、携帯型超音波診断装置100の冷却効果を高めることができるとともに、排気(熱風)が被検体に直接当たらないようにすることができる。
【0022】
図5は、本体1を前方から見た正面斜視図である。本体1には、超音波探触子を接続する探触子接続部4が、筐体50の側方(側面)に設けられる。筐体50の前方下部に設けられたバッテリ収容部51に、バッテリ(バッテリパック)8が収容される。空気を吸気するバッテリ吸気口9は、筐体50の前方下部(デッドスペース)に設けられることになる。よって、図1の状態にしたとき、バッテリ吸気口9が目立たなくなる。
【0023】
第1の開口部15は、バッテリ8の一部を通過したバッテリ排気を吸気するために、バッテリ収容部51(筐体50の前方)に設けられる。第1の開口部15は、バッテリ8がバッテリ収容部51に収容された状態で、バッテリ排気口19に対向する位置に設けられる。第1の開口部15は、本体1と表示部3とを接続するユニバーサルジョイント(接続部)30の界面に設けられる。また、第1の開口部15は、バッテリ収容部51であれば、ユニバーサルジョイント(接続部)30以外の部分(例えば、バッテリ収容部51の上部又は後方)の界面に設けられてもよい。
【0024】
次に、携帯型超音波診断装置100の空気(吸気及び排気)の流れについて説明する。
図6に示すように、空気は、バッテリ吸気口9から吸気され、バッテリ8の一部を通過して、バッテリ排気口19から排気される。空気は、バッテリ8を冷却するために、バッテリ8の一部を通過している。
【0025】
図7に示すように、バッテリ排気口19から排気された空気は、第1の開口部15から吸気され、本体1の内部(第1の流路)に導かれる。また、第3の開口部11から吸気された空気は、本体1の内部(第2の流路)に導かれた後、第4の開口部12から排気される。なお、第1の流路は、バッテリ8の表面を沿うように設けてもよい。これにより、バッテリ8の冷却の効率が良くなる。
【0026】
図8に示すように、第1の開口部15から本体1の内部(第1の流路)に導かれた空気は、筐体50の後方に設けられた第2の開口部10から排気される。空気が、側方開口部13から吸気され、本体1の内部(第1の流路)に導かれた後、筐体50の後方に設けられた第2の開口部10から排気される。
【0027】
次に、吸気及び排気される空気の流路について説明する。図9は、本体1の模式的な内部構造を後方から見た背面斜視図である。筺体50は、筺体後方部22と、筺体上部23と、筺体下部24とを備える。筺体後方部22は、第2の開口部10を備える。筺体上部23は、第3の開口部11と第4の開口部12とを備える。筺体50は、内部に基板16を備える。基板16は、下面部(第1の平面部)53と上面部(第2の平面部)54とを有する。基板16は、携帯型超音波診断装置100の機能を実現する種々の回路を搭載する。
【0028】
例えば、基板16の下面部(第1の平面部)53は、バッテリ8や外部電源に接続されて各部の電源を生成する電源部や電源コントローラなどを搭載する。また、基板16の上面部(第2の平面部)54は、超音波探触子の超音波送受信信号を制御する信号制御部や、超音波受信信号を基に超音波画像を演算する演算部や、インターフェース14の入出力制御を担うI/O部などを搭載する。図9は模式図であるため、基板16に搭載されている部品は省略されているが、この他にも多くの回路部品(例えば、CPU、抵抗、コンデンサ、種々のデジタルIC、LSI、アナログICなど)が、基板16に搭載されており、高密度実装されている。図9には、発熱の大きい部品としてCPU29が示されている。図示しないが、基板16の下面部(第1の平面部)53にも、CPU29などが搭載されている。
【0029】
携帯型超音波診断装置100は、基板16を冷却するために、第1の開口部15からの吸気を導く流路(第1の流路)55を備える。流路(第1の流路)55は、基板16の下面部(第1の平面部)53により構成され、基板16の平面方向に沿って、第1の開口部15からの吸気を導く。第2の開口部10は、流路(第1の流路)55を通過した吸気を排気する。この構成によれば、基板16の下面部53により流路が構成されることで、デッドスペースであった部分を流路として活用することができる。
【0030】
携帯型超音波診断装置100は、第1の開口部15からの吸気の気流を生じさせる第1のファン18と、第3の開口部11からの吸気の気流を生じさせる第2のファン17とを備える。この構成によれば、第1のファン18が吸気の気流を生じさせることで、第1の流路55を通過する空気の流れを促すことができ、第2のファン17が吸気の気流を生じさせることで、本体1の内部を通過する空気の流れを促すことができ、携帯型超音波診断装置100の冷却効果を高めることができる。
【0031】
バッテリ8がバッテリ収容部51に収容された状態で、バッテリ吸気口9は、筐体50の前方に位置し、第2の開口部10は、筐体50の後方に位置する。この構成によれば、バッテリ吸気口9から第2の開口部10へ、直線的に空気が通過するので、空気が筐体の内部に滞留することなく、携帯型超音波診断装置100の冷却効果を高めることができる。
【0032】
図10は、本体1の前後方向に沿った中央断面図である。図10に示すように、バッテリ吸気口9から吸気された空気が、バッテリ8の一部を通過し、バッテリ排気口19から排気される。この場合、バッテリ8の一部を通過する空気が、バッテリ8を冷却してもよい。また、バッテリ吸気口9とバッテリ排気口19は、それぞれバッテリ8の前方上部と上部に設けられ、直交する位置に配置されているが、バッテリ排気口19がバッテリ8の後方に設けられ、バッテリ吸気口9からの吸気が、バッテリ8の内部を通過して、バッテリ排気口19から排気されてもよい。また、空気がバッテリ8を通過するための流路は、バッテリ8の冷却効果を高めるために、波状に形成されてもよい。
【0033】
バッテリ排気口19から排気された空気は、バッテリ収容部51に設けられた第1の開口部15から吸気される。第1の開口部15は、サイズやスペースの制約を考慮して、接続部30(図5)に設けられてもよい。また、バッテリ排気口19の位置に合わせて、第1の開口部15の位置が定められてもよい。例えば、バッテリ排気口19がバッテリ8の後方に設けられる場合、第1の開口部15は、バッテリ収容部51の後方に設けられてもよい。また、第1の開口部15は、複数設けられてもよい。
【0034】
第1の開口部15から吸気された空気は、本体1の内部に導かれ、バッテリ収容部51と基板16との間に形成される流路(第1の流路)55の前段流路55aを通過し、後段流路55bを通過する。流路(第1の流路)55を通過する空気は、主に、基板16の下面部(第1の平面部)53側を冷却する。図10に示すように、前段流路55aは、後段流路55bに比べ、空間が狭くなるように構成されている。この結果、前段流路55aを通過する空気の流速は、後段流路55bを通過する空気の流速に比べ、速くなり、基板16の冷却効果が高まる。
【0035】
流路(第1の流路)55を通過した空気は、第2の開口部10から排気される。
【0036】
筐体50の上面に設けられた第3の開口部11から吸気された空気は、本体1の内部(第2の流路56)に導かれる。つまり、筐体50の上面に設けられた第3の開口部11は、基板16の上面部(第2の平面部)54を冷却するために吸気する。流路(第2の流路)56は、流路(第2の流路)56は、基板16の上面部(第2の平面部)54により構成され、第3の開口部11からの吸気を導く。流路(第2の流路)56は、基板16の平面方向に沿って、第3の開口部11からの吸気を導く。筐体50の後方に設けられた第4の開口部12は、流路(第2の流路)56を通過した吸気を排気する。この構成によれば、バッテリ排気口19から空気を内部に導くとともに、複数の流路を確保することで、基板の両面(上下面)を同時に冷却することができ、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置100において、装置の冷却効率を高めることができる。
【0037】
図10に示すように、バッテリ8がバッテリ収容部51に収容された状態で、バッテリ吸気口9及び第2の開口部10が筐体50の前後方向で対向している。また、バッテリ吸気口9は、筐体50の前方に位置し、第2の開口部10は、筐体50の後方に位置する。
【0038】
この結果、バッテリ吸気口9から第2の開口部10へ(本体1の前方から後方へ)、直線的に空気が通過するので、空気が筐体50の内部に滞留することなく、装置の冷却効果を高めることができる。
【0039】
バッテリ8の本体1への挿入を容易にするために、バッテリ8は、本体1の前方からバッテリ収容部51へ挿入される。したがって、サイズやスペースの制約を考慮すると、従来は、バッテリ8は、本体1の前方からの空気の流路を塞いでいた。また、本体1の側方には、側方開口部13を設けて吸気が行われるが、探触子接続部4や各種インターフェース14にスペースが割かれることから、充分な通気口の確保が難しくなり、側方開口部13だけでは充分な冷却を行うことができなかった。さらに、側方開口部13からの吸気が本体1の側方から後方へ(側方開口部13から第2の開口部10へ)非直線的に通過するため、空気が筐体50の内部に滞留していた。
【0040】
一方、本実施の形態では、バッテリ8にバッテリ吸気口9とバッテリ排気口19を設けることで、バッテリ8の内部に流路を確保し、本体1の前方から後方へ直線的に空気が通過する流路を確保することができる。この結果、サイズやスペースの制約を満たす携帯型超音波診断装置100の冷却機能を高めることができ、バッテリ8を冷却することもできる。また、バッテリ吸気口9は、携帯型超音波診断装置100の使用時に、操作部2の後方に隠れるため、異物の混入を防ぐことができ、安定した空気の流入を確保することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、本体1の内部に第1の流路55と第2の流路56を設け、第1の流路55を通過する空気が、基板16の第1の平面部53を冷却し、第2の流路56を通過する空気が、基板16の第2の平面部54を冷却することで、基板16の両面(上下面)を同時に冷却することができるので、携帯型超音波診断装置100の冷却機能を高めることができる。第1の流路55は、基板16の下部(基板16と筐体下部24との間)に形成されることで、デッドスペースであった部分を流路として活用することができる。特に、前段流路55aは、バッテリ収容部51と基板16との間に形成されることで、デッドスペースであった部分を流路として活用することができる。また、前段流路55aは、後段流路55bよりも狭く形成されているので、前段流路55aを通過する空気の速度を速くすることができ、携帯型超音波診断装置100の冷却機能を高めることができる。
【0042】
以上、本発明にかかる実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0043】
例えば、図11に示すように、基板16は、複数の基板16a,16bを備えてもよい。複数の基板16,16a,16bは、本体1の内部で、層状に配置されてもよい。つまり、基板16は、基板16と略平行に複数の基板16a,16bを備える。本体1が、複数の基板16,16a,16bを備える場合であっても、流路を複数確保することで、携帯型超音波診断装置100の冷却機能を高めることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、携帯型超音波診断装置100の本体1の冷却構造及び冷却機能について説明したが、本実施の形態は、バッテリ収容部を備えるその他の部品(例えば、バッテリ収容部を備える操作部2又は表示部3)にも適用可能である。
【0045】
また、上記の開口部、吸気口、排気口、及びファンの数や形状は、携帯型超音波診断装置100の形状や使用状態などに応じて、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる携帯型超音波診断装置は、サイズやスペースの制約が大きく基板密集度の高い携帯型超音波診断装置において、装置の冷却効率を高めることができるという効果を有し、冷却システムを有する携帯型超音波診断装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 本体、2 操作部、3 表示部、4 探触子接続部、5,17,18 ファン、6 操作部吸気口、7 操作部排気口、8 バッテリ、9 バッテリ吸気口、10 第2の開口部、11 第3の開口部、12 第4の開口部、13 側方開口部、14 インターフェース、15 第1の開口部、16 基板、19 バッテリ排気口、20 蓄電部、21 隔壁、22 筐体後方部、23 筐体上部、24 筐体下部、29 CPU、30 ユニバーサルジョイント(接続部)、50 筐体、51 バッテリ収容部、53 第1の平面部、54 第2の平面部、55 第1の流路、56 第2の流路、100 携帯型超音波診断装置
図1
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