(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流速低下部は、前記ミスト除去部が配置され、かつ前記第1処理部の筐体よりも容積が大きく形成された前記第3処理部の筐体であることを特徴とする請求項3に記載の洗浄ブロー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧縮空気をワークに吹き付ける方法では、特にワークの表面積が大きくなる場合、高いエネルギー量が必要になり、ランニングコストが高くなる問題が生じる。このため、ファン等を用いてエア流を形成・循環させる方法が考えられるが、圧縮空気をワークに吹き付ける方法と比較して、ワークに付着した残留液や異物の除去効果が低下するという別の課題がある。
【0007】
また、従来のブロー装置では、エア中のミストを捕捉するためにデミスタを備えているが、高速流体であるエアに含まれるミストの捕捉効果に問題があった。すなわち、ミストの捕捉効果が低い場合には、デミスタを通過したエア中にミストが残り、このミストがワークに付着するという問題が生じる。
【0008】
上記課題は、ワークの洗浄後にワークに残留付着している水滴を除去する洗浄ブロー装置についてもあてはまる。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮して、装置の大型化およびコストの増加を抑制するとともに、ワークのブロー効果を高めることができるブロー装置及び洗浄ブロー装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記事情を考慮して、装置の大型化およびコストの増加を抑制するとともに、ミストの補足効果を高めることができるブロー装置及び洗浄ブロー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、ワークを洗浄後にワークに残留付着している水滴を除去する洗浄ブロー装置であって、所定の容積を有する第1処理部と、前記第1処理部に配置され前記ワークを把持するためのワーク把持部と、所定の容積を有する第2処理部と、前記第2処理部に配置され気流を発生させる気流発生源と、前記気流発生源により発生した気流中の空気の流速を前記ワークに当たる前の位置で増加させる流速増加部と、を有することを特徴とする。
【0013】
この場合、前記流速増加部は、前記気流発生源で発生した気流中の空気が前記ワークに至るまでの部位に位置する接続流路の流路壁で構成され、前記流路壁は、前記気流発生源から前記ワークに向かって下り傾斜した傾斜壁であることが好ましい。
【0014】
この場合、前記第1処理部は、前記ワークの出し入れを可能にする搬入口と、前記搬入口を開閉する開閉扉と、を有し、前記傾斜壁は、前記開閉扉が前記搬入口を開放したときの前記開閉扉の退避部を構成することが好ましい。
【0015】
この場合、所定の容積を有する第3処理部と、前記第3処理部に配置され空気中のミストを除去するためのミスト除去部と、前記ミスト除去部に進入する空気の流速を低下させる流速低下部と、を有することが好ましい。
【0016】
この場合、前記流速低下部は、前記ミスト除去部が配置され、かつ前記第1処理部の筐体よりも容積が大きく形成された前記第3処理部の筐体であることが好ましい。
【0017】
この場合、前記ミスト除去部は、前記第3処理部の前記筐体の開口面に対して傾斜するようにして設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄ブロー装置によれば、気流発生源により発生した気流中の空気の流速が流速増加手段により増加する。このため、空気が高速流体になる。これにより、高速流体の空気で形成される気流がワークを包み込み、ワークに付着した水分を剥離する。このため、ワークに付着した水分が飛散し易くなり、ワークから水分が除去される。この結果、圧縮空気を用いることなく、ワークのブロー効果が高くなる。
【0020】
流速増加部は気流発生源で発生した気流中の空気がワークに至るまでの部位に位置する接続流路の流路壁で構成され、流路壁が気流発生源からワークに向かって下り傾斜した傾斜壁であることにより、傾斜壁によって接続流路の開口面積が絞られる。これにより、既存の構成要素を用いて空気の流速がワークへの衝突直前の位置で容易に増加する。
【0021】
第1処理部は、ワークの出し入れを可能にする搬入口と、搬入口を開閉する開閉扉と、を有し、傾斜壁は、開閉扉が搬入口を開放したときの開閉扉の退避部を兼ねることにより、傾斜壁がもともと必要不可欠の構成要素であり、その必須の構成要素を用いて空気の流速を増加させることができる。これにより、装置の大型化を伴うことなく、空気の流速を速めることができる。
【0022】
ミスト除去部に進入する空気の流速を低下させる流速低下部を有していることにより、ミスト除去部に進入する空気の流速が低下する。これにより、ミスト除去部を通過する空気の流速が低下し、ミスト除去部によるミストの捕捉効果が高くなる。この結果、装置の製造及び運転に要するコストの増加を抑制して、ミストの回収効果を高めることができる。
【0023】
流速低下部はミスト除去部が配置され、かつ第1処理部の筐体よりも容積が大きく形成された第3処理部の筐体であることにより、既存の構成要素を用いて空気の流速を低下させることができ、装置の製造及び運転に要するコストの増加を抑制できる。
【0024】
ミスト除去部は、第3処理部の筐体の開口面に対して傾斜するようにして設けられていることにより、空気のミスト除去部に対する接触面積が大きくなる。これにより、ミスト除去部によるミストの回収効果を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1実施形態に係るブロー装置、洗浄ブロー装置及び自動車用部品について、図面を参照して説明する。
【0027】
[ブロー装置]
ブロー装置について説明する。
【0028】
図1乃至
図4に示すように、ブロー装置10は、ブロー室12、気流発生室14、接続流路16、ドレン排出室18、ミスト除去室20等を有し、上記各部屋及び流路が連通可能に形成されている。
【0029】
(ブロー室)
ブロー室12について説明する。
【0030】
ブロー室12は、所定の容積を備えたブロー室用筐体22を有している。ブロー室用筐体22の内部には、例えば、ワークW(
図2参照)を把持するワーク把持部24と、気流を発生させるための気流発生機構26と、が収容されている。ブロー室12では、ワークWに付着した水分等が気流環境中の空気に引っ張られ、ワークWから剥離されて除去される。気流環境においては空気が所定の流速で舞う。
【0031】
なお、本実施形態の「空気」は、圧縮空気を意味しない。すなわち、ファン等により気流が発生させられ、その気流の中で舞う空気を意味する。
【0032】
ワーク把持部24は、例えば、ワークWを固定するための治具である。治具は、所定の把持機構を有しており、ワークWを固定しあるいはワークWの固定を解除することが可能である。治具は、所定の回転軸(図示省略)の軸回りに回転可能に構成されており、ワークWを把持した状態でワークWを回転軸の軸回りに回転させることができる。
【0033】
気流発生機構26は、例えば回動式あるいは固定式のものが採用され、ブロー室用筐体22の内部に気流を発生させる。気流の中の空気は所定の流速でワークWに向かう。
【0034】
ブロー室12のブロー室用筐体22の一部には、ワークWの出し入れを可能にするための搬入口28が形成されている。また、ブロー室12は、搬入口28を開閉する開閉扉30を備えている。
【0035】
ワークWとは、一例として機械加工部品等が該当する。
【0036】
なお、ブロー室12は、本発明の「第1処理部」の一実施形態である。
【0037】
(気流発生室)
気流発生室14について説明する。
【0038】
気流発生室14は、ブロー室12を基準として空気の流れる方向における上流側の位置に形成されている。気流発生室14は、所定の容積を備えた気流発生室用筐体52を有している。気流発生室14の気流発生室用筐体52の内部には、例えば、空気の流れを発生させるための気流発生源32が収容されている。気流発生源32が駆動することにより、ブロー装置10の内部に気流が発生する。
【0039】
気流発生源32として、例えば、モータ等の駆動源(図示省略)により軸回りに回転するファン等が採用される。このように本実施形態では、コンプレッサ及びノズル等の圧縮空気供給源ではなく、ファン等の気流発生手段が単に設けられているに過ぎない。
【0040】
なお、気流発生室14は、本発明の「第2処理部」の一実施形態である。
【0041】
(接続流路)
接続流路16について説明する。
【0042】
接続流路16は、気流発生室14とブロー室12とを接続するとともに、空気が流通するための空気流路として機能する。接続流路16は、ブロー室12を基準として、空気の流れる方向の上流側に位置している。接続流路16は、所定の容積を備えた接続流路用筐体54を有している。
【0043】
なお、接続流路16の接続流路用筐体54は、例えば、独立した1つの筐体で構成されていてもよいし、ブロー室12のブロー室用筐体22の一部として一体的に構成されていてもよく、さらには気流発生室14の気流発生室用筐体52の一部として一体的に構成されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、一例として、接続流路16の接続流路用筐体54は、ブロー室12のブロー室用筐体22と一体的に構成されている態様が採用されている。
【0045】
ここで、接続流路16には、気流発生源32により発生した空気の流速を増加させる流速増加部34が設けられている。流速増加部34は、接続流路16の流路壁である。具体的には、流速増加部34は、気流発生源32によって発生した気流空間にワークWを把持したワーク把持部24が位置するようにするための傾斜壁36で構成されている。傾斜壁36は、例えば、接続流路16の上壁であり、気流発生室14からブロー室12に向かって下り傾斜している。
【0046】
また、傾斜壁36は、例えば、接続流路16の左右両側壁で構成されていてもよい。
【0047】
なお、傾斜壁36は、流路壁の一態様であり、かつ流速増加部34の一実施形態である。
【0048】
このため、空気は、傾斜壁36に当たると傾斜壁36の下り傾斜方向に沿って進み、ワークWの周囲を包み込む。加えて、接続流路16は、ブロー室12側に位置する開口部の開口面積が気流発生室14側に位置する開口部の開口面積よりも小さくなる。これにより、ベルヌーイの定理で示されるように、ブロー室12側での空気の流速が、気流発生室14側での空気の流速よりも速くなる。この流速の速くなった空気が気流になってワークWを包み込む。この結果、ワークWに付着した水分等が気流中の空気に引っ張られてワークWから剥離し、勢い良く飛散し、ブロー効果が高くなる。
【0049】
このように、接続流路16に流速増加部34としての傾斜壁36を形成するだけで、空気の流速を速めることができる。これにより、圧縮空気供給源を用いることなく、気流発生源32を大型化することなく、また気流発生源32の駆動力を高めることなく、ブロー効果を高めることができる。装置の大型化及びコスト増加を抑制した上で、ブロー効果の向上が可能になる。
【0050】
加えて、傾斜壁36の上面には、開閉扉30がブロー室12の搬入口28を開放したときに開閉扉30が退避する退避部38が形成されている。これにより、傾斜壁36は、空気の流速を増加させる流速増加部34としての機能と、開閉扉30の退避部38としての機能と、の2つの機能を兼備する。この結果、ブロー装置10の大型化及びコスト増加を防止できる。
【0051】
ここで、流速増加部34の一例として傾斜壁36を上げたが、これに限るものではない。例えば、接続流路16の内部でワークWからの距離が近い部位に、空気あるいは気流がぶつかる障害物(図示省略)を設け、障害物の近傍にて接続流路16の開口面積を小さくしてもよい。接続流路16の開口面積が小さくなれば、そこを通過する空気の流速が速くなり、ブロー効果を高めることが可能になる。
【0052】
また、接続流路16の上壁を傾斜壁36として形成する構成に限られず、例えば、接続流路16の上壁等の内側に凸凹部(図示省略)を形成し、接続流路16の一部において開口面積を小さくしてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、接続流路16に流速増加部34あるいは傾斜壁36を設けた構成を例示したが、これらに限られるものではない。例えば、流速増加部34あるいは傾斜壁36は、ブロー室12の少なくとも一部に別体あるいは一体的に設けられていてもよく、また気流発生室14の少なくとも一部に別体あるいは一体的に設けられていてもよい。
【0054】
また、流速増加部34として、以下のような変形も考えられる。例えば、ブロー室12のブロー室用筐体22の容積の大きさを接続流路16の接続流路用筐体54の容積あるいは気流発生室14の気流発生室用筐体52の容積の大きさよりも小さくなるように設定してもよい。これにより、ブロー室12の内部に進入した空気の流速を速めることが可能である。
【0055】
なお、ワークWの側面で気流が浸入し難い部位又は気流が浸入し難い凹部に対しては、圧縮空気の供給手段を部分的又は限定的に用い、前記部位又は前記凹部に対して圧縮空気を吹き付けてもよい。これにより、前記部位又は前記凹部に動きを与え、気流環境のエアでワークWから水分等の異物を飛散させることが可能になる。
【0056】
(ドレン排出室)
ドレン排出室18について説明する。
【0057】
ドレン排出室18は、主としてブロー室12でワークWから飛散した洗浄液等の水分を回収して外部へ排水する機能を有している。
【0058】
また、ドレン排出室18は、ブロー室12を基準として空気の流れる方向に沿って下流側の位置に形成されている。ドレン排出室18は、所定の容積を備えたドレン排出室用筐体56を有している。
【0059】
なお、本実施形態では、例えば、ドレン排出室18のドレン排出室用筐体56は、ブロー室12のブロー室用筐体22と一体的に構成されているが、別体で構成してもよい。
【0060】
(ミスト除去室)
ミスト除去室20について説明する。なお、本明細書では、「ミスト」とは、水分だけではなく、油分等の異物を含んだ水分を含むものとして定義する。
【0061】
ミスト除去室20は、ブロー室12あるいはドレン排出室18を基準として空気の流れる方向における下流側の位置に形成されている。ミスト除去室20は、所定の容積を備えたミスト除去室用筐体46を有している。
【0062】
ミスト除去室20は、空気が流れる方向に沿ってドレン排出室18と気流発生室14との間に設けられており、ブロー室12を通過した空気がドレン排出室18を経てミスト除去室20のミスト除去室用筐体46に進入する。そして、ミスト除去室20を通過した空気が気流発生室14の気流発生室用筐体52に進入する。その後、空気は、接続流路16を通ってブロー室12のブロー室用筐体22に進入し、ブロー装置10の内部を循環する。
【0063】
ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46には、流通する空気に含まれる液体の微粒子(ミストと定義する)を当該空気中から分離除去するミスト除去装置40が収容されている。ミスト除去装置40を設けたことにより、気流中のミストが除去されるため、ワーク把持部24に把持されているワークWにミストが付着して汚染されることを防止できる。
【0064】
なお、ミスト除去装置40は、本発明の「ミスト除去部」の一実施形態である。
【0065】
ミスト除去室20には、ミスト除去装置40に進入する空気の流速を低下させる流速低下部42が設けられている。流速低下部42は、例えば、ブロー室12又はドレン排出室18よりも容積が大きく形成されたミスト除去室20のミスト除去室用筐体46が該当する。
【0066】
なお、ドレン排出室18のドレン排出室用筐体56がブロー室12のブロー室用筐体22と一体的に構成されている態様では、ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の容積は、ブロー室12及びドレン排出室18の各筐体全体の容積よりも大きくなるように設定されている。
【0067】
このため、ミスト除去室20の所定部位における開口面積がドレン排出室18の所定部位における開口面積よりも大きくなり、ドレン排出室18のドレン排出室用筐体56からミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の内部に進入した空気の流速が低下する。そして、流速が低下した空気がミスト除去装置40に進入する。このため、空気がミスト除去装置40を通過するのに要する時間が長くなる。この結果、ミスト除去装置40におけるミスト捕捉効果が高くなり、ミスト除去装置40を通過した後の空気にはミストがほとんど含まれていない。
【0068】
ここで、ミスト除去装置40の捕捉面40Aの出口側には、多少の水滴が付着している。流速を低下させたエアがミスト除去装置40の捕捉面40Aを通過することにより、出口側の水滴がエアに引っ張られて再度循環し、ワークWに付着することを抑制できる。
【0069】
なお、本実施形態において「ミスト除去室の容積」とは、ミスト除去室用筐体46の内部の空間部が占める領域を意味する。また、同様にして「ブロー室用筐体22又はドレン排出室用筐体56の容積」とは、ブロー室用筐体22又はドレン排出室用筐体56の空間部が占める領域を意味する。
【0070】
また、ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46と、ドレン排出室18のドレン排出室側筐体56の大きさが略同じでも、ドレン排出室18のドレン排出室側筐体56の内部に干渉物(図示省略)を設けることにより、ドレン排出室18のドレン排出室側筐体56の所定部位における開口部を意図的に小さくすることが可能である。この構成でも、ドレン排出室18のドレン排出室用筐体56からミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の内部に進入した空気の流速が低下する。
【0071】
ミスト除去装置40は、空気が通過するように、ミスト除去室内部の空気流路を塞ぐように設置されている。また、ミスト除去装置40のミストを捕捉する捕捉面40Aは、ミスト除去室20の入口部44における開口面44Aに対して傾斜するようにして設けられている。換言すれば、ミスト除去装置40の捕捉面40Aが、ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の入口部44における開口面44Aに対して平行ではなく、所定の傾斜角度だけ傾斜している。
【0072】
このため、空気のミスト除去装置40の捕捉面40Aに対する接触面積(あるいは接触領域)が大きくなる。これにより、ミスト除去装置40におけるミストの捕捉効果が高くなり、ミスト除去装置40を通過した後の空気にはミストがほとんど含まれない。この結果、ワークWに空気中のミストが付着して汚染されることを防止できる。特に、ミスト除去室20に設けられた流速低下部42との相乗効果により、ミスト除去装置40におけるミストの捕捉効果が格段に高くなる。
【0073】
ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の入口部44における開口面44Aとは、ミスト除去装置40の設計により決定される入口部44を空気の流れと直交する断面方向に切断したときの開口面を意味する。
【0074】
また、ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46は、ブロー室12側あるいはドレン排出室18側に向かって下り傾斜した傾斜底部48を有している。換言すれば、ブロー室12側あるいはドレン排出室18側を基準にすると、傾斜底部48は、ブロー室12側あるいはドレン排出室18側から離れていく方向に向かって上り傾斜している。このため、ブロー室12側あるいはドレン排出室18側の洗浄液等を含む水分やミストが重力の影響を受けてミスト除去室20の内部側に浸入し難くなる。これにより、ミスト除去室20及びミスト除去装置40が汚染されることを抑制できる。また、ミスト除去室20のミスト除去装置40で捕捉したミストを、傾斜底壁48を利用してドレン排出室18に導くことが可能になり、ミスト排出効果を高めることができる。
【0075】
ミスト除去室20の内壁には、当該ミスト除去室20の内壁に付着した汚れを除去するための洗浄部50が適宜設けられていてもよい。洗浄部50は、例えば、洗浄ノズルを有しており、所定のタイミングで洗浄ノズルから洗浄液が噴射する。これにより、ミスト除去室20の内壁が洗浄され、ミスト除去室20がクリーンな状態で維持される。この結果、ミスト洗浄室20を流れる空気にミストが再度付着することを防止でき、ひいては、ミストを含む空気がワークWに接触して汚染することを防止できる。また、洗浄部50から噴射した洗浄液は、ミストを含み、傾斜底壁48を伝ってドレン排出室18側に落下する。
【0076】
なお、ミスト除去室20は、本発明の「第3処理部」の一実施形態である。
【0077】
次に、本実施形態のブロー装置10の作用について説明する。
【0078】
ブロー装置10に流速増加部34を設けたことにより、気流発生源32により発生した空気の流速がワークWの衝突直前の位置で速くなる。このため、空気が高速流体になり、ワークWを包み込む気流の空気の引張力が強くなる。これにより、ワークWに付着した水分が剥離され、勢い良く飛散し、ワークWから水分が効率良く除去される。この結果、圧縮空気の供給源を用いることなく、気流発生源32を大型化することなく、ブロー効果を高めることができる。
【0079】
特に、流速増加部34は気流発生源32で発生した気流中の空気がワークWに至るまでの部位に位置する接続流路16の流路壁で構成され、流路壁が気流発生源32からワークWに向かって下り傾斜した傾斜壁36であることにより、傾斜壁36によって接続流路16の開口面積が絞られる。これにより、既存の構成要素を用いて空気の流速をワークWの衝突直前の位置で容易に増加させることができる。
【0080】
また、傾斜壁36は、開閉扉30が搬入口28を開放したときの開閉扉30の退避部38を兼ねることにより、傾斜壁36がもともと必要不可欠の構成要素であり、その必須の構成要素を用いて空気の流速を増加させることができる。これにより、部品点数の増加を抑制し、ブロー装置10の大型化を伴うことなく、空気の流速を速めることができる。
【0081】
さらにまた、ミスト除去装置40に進入する空気の流速を低下させるための流速低下部42を有していることにより、ミスト除去装置40に進入する直前の位置で空気の流速が低下する。これにより、ミスト除去装置40を通過する空気の流速が低下し、ミスト除去装置40によるミストの捕捉効果が高くなる。この結果、ミストの回収効果を高めることができる。
【0082】
特に、流速低下部42は、ブロー室12又はドレン排出室18の各筐体よりも容積(あるいは開口面積)が大きく形成されたミスト除去室20のミスト除去室用筐体46であることにより、空気がミスト除去室用筐体46に進入した時点で空気の流速が低下する。これにより、既存の構成要素を用いて空気の流速を低下させることができ、部品点数の増加を防止して、ブロー装置10の大型化及び運転コスト等の増加を抑制できる。
【0083】
加えて、ミスト除去装置40がミスト除去室20の開口面44Aに対して傾斜するようにして設けられていることにより、空気のミスト除去装置40に対する接触面積が大きくなる。これにより、ミスト除去装置40によるミストの回収効果を高めることができる。
【0084】
なお、上記ブロー装置10の流速増加部34及び流速低下部42は、洗浄ブロー装置に適用することも可能である。
【0085】
[洗浄ブロー装置]
次に、洗浄ブロー装置について説明する。なお、ブロー装置10の構成と同様の機能を有する構成については同符号及び同名称を付し、その説明を適宜省略する。
【0086】
図5に示すように、洗浄ブロー装置60は、ブロー室12、気流発生室14、接続流路16、ドレン排出室18、ミスト除去室20等の複数の部屋及び流路が連通可能に形成されている。洗浄ブロー装置60のブロー室12では、ブロー機能だけではなく、ワークWを洗浄することができる洗浄機能も兼備する。
【0087】
洗浄ブロー装置60には、流速増加部34が設けられている。流速増加部34は、例えば、接続流路16の流路壁を形成する傾斜部36で構成されている。これにより、空気がワークWに付着した水分を剥離させ、水分の飛散効果が高くなる。
【0088】
ブロー室12は、ワークWの出し入れを可能にする搬入口28と、搬入口を開閉する開閉扉30と、を有し、傾斜壁36は、開閉扉30が搬入口28を開放したときの開閉扉30の退避部38を形成するように構成されている。
【0089】
なお、流速増加部34のその他の形態についても、ブロー装置10の流速増加部34の形態と同様のものが適用可能であるが、重複するため、それらの説明は省略する。
【0090】
洗浄ブロー装置60においても、ブロー装置10と同様にして、ワークWへの衝突直前の位置において空気の流速を容易に増加させることができる。これにより、高速流体の空気でワークWを包み込むことができ、ワークWに付着した水分の飛散効果を高めることができる。
【0091】
また、流速増加部34は気流発生源32で発生した空気がワークWに至るまでの部位に位置する接続流路16の流路壁で構成され、流路壁が気流発生源32からワークWに向かって下り傾斜した傾斜壁36であることにより、傾斜壁36によって接続流路16の開口部の開口面積が絞られる。これにより、既存の構成要素を用いて空気の流速をワークWの衝突直前の位置で容易に増加させることができる。
【0092】
さらに、接続流路16の傾斜壁36は、開閉扉30が搬入口28を開放したときの開閉扉の退避部38を兼ねることにより、傾斜壁36がもともと必要不可欠の構成要素であり、その必須の構成要素を用いて空気の流速を増加させることができる。これにより、装置の大型化を伴うことなく、空気の流速を速めることができる。
【0093】
また、洗浄ブロー装置60には、流速低下部42が設けられている。流速低下部42は、例えば、ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46で構成されている。ミスト除去室20のミスト除去室用筐体46の容積は、ブロー室12又は/及びドレン排出室18の各筐体の容積よりも大きくなるように設定されている。
【0094】
これにより、空気がドレン排出室18からミスト除去室20に進入した時点で空気の流速が低下する。そして、空気の流速が低下した状態で、空気がミスト除去装置40に進入し、空気がミスト除去装置40を通過するのに要する時間が長くなるため、ミストが効率良く捕捉される。
【0095】
また、ミスト除去装置40のミストを捕捉する捕捉面40Aは、ミスト除去室20の入口部44における開口面44Aに対して傾斜するようにして設けられている。換言すれば、ミスト除去装置40の捕捉面40Aが、ミスト除去室20の入口部44における開口面44Aに対して平行ではなく、所定の傾斜角度だけ傾斜している。
【0096】
このため、空気のミスト除去装置40に対する接触面積(あるいは接触領域)が大きくなる。これにより、ミスト除去装置40におけるミストの捕捉効果が高くなり、ミスト除去装置40を通過した後の空気にはミストがほとんど含まれない。この結果、ワークWに空気中のミストが付着して汚染されることを防止できる。特に、ミスト除去室20に設けられた流速低下部42との相乗効果により、ミスト除去装置40におけるミストの捕捉効果が格段に高くなる。
【0097】
[自動車用部品]
次に、自動車用部品について説明する。
【0098】
図6に示されるように、ブロー装置10あるいは洗浄ブロー装置60によりブロー処理あるいは洗浄ブロー処理が実行されたワークWは、例えば、自動車用部品70であり、具体的には自動車用シリンダーヘッド、シリンダーブロック、トランスミッション等の機械加工物が該当する。
【0099】
なお、本明細書において「洗浄ブロー処理」は、ワークWに対して洗浄処理の後にブロー処理が実行されることを意味する。
【0100】
ブロー装置10あるいは洗浄ブロー装置60によりブロー処理あるいは洗浄ブロー処理が実行された自動車用部品70は、高い水準のブロー効果あるいは洗浄ブロー効果を備えている。このため、自動車用部品70に異物が残留付着しておらず、また汚染もされておらず、綺麗な表面状態に仕上げられている。
【0101】
なお、以上で説明した各実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることが可能である。
【解決手段】気流中の空気によってワークWに付着した水分を除去する洗浄ブロー装置60であって、所定の容積を有する第1処理部12と、第1処理部12に配置されワークWを把持するためのワーク把持部24と、所定の容積を有する第2処理部14と、第2処理部14に配置され気流を発生させる気流発生源32と、気流発生源32により発生した気流中の空気の流速をワークWに当たる前の位置で増加させる流速増加部34と、を有する。