特許第6029825号(P6029825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6029825ティッシュペーパーの折機及びティッシュペーパーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029825
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ティッシュペーパーの折機及びティッシュペーパーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A47K10/16 D
   A47K10/16 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-285374(P2011-285374)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-132439(P2013-132439A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】八田峰雄
(72)【発明者】
【氏名】山本近司
(72)【発明者】
【氏名】古林敏浩
(72)【発明者】
【氏名】小宮浩之
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−212255(JP,A)
【文献】 特開2007−061144(JP,A)
【文献】 特開2007−061256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシュペーパーの折機であって、
前記ティッシュペーパーの製品幅より幅広の原反ロールを支持する原反ロール支持部と、
原反ロールRが巻き戻された連続シートを、ガイドロールにて繰り出し方向を変化させて折り畳みながら積層するフォールディング部と、
前記原反ロール支持部と前記フォールディング部の前記ガイドロールよりも前段の間に配置されて、前記原反ロールに繰り出し方向を変化させずに該原反ロールの幅にて薬液を塗布する薬液塗布部と、
を備え、
前記薬液塗布部は、直径0.5〜2.0mmのオリフィスを原反ロールの幅方向に間隔1〜10mmで複数設けた備えたヘッダであり、
軸方向から見たときの、該ヘッダ外面に接する前記連続シートの最上流の位置をPとし、最下流の位置をQとすると、PからQへ至る前記ヘッダ外面で構成される円弧の中心角(ラップ角度)θが30〜90°であり、かつ前記オリフィスがθ/2よりも上流側に位置するティッシュペーパーの折機。
【請求項2】
折り板式インターフォルダ又はロータリーシリンダー式インターフォルダを構成する請求項1記載のティッシュペーパーの折機。
【請求項3】
前記薬液塗布部から塗布される薬液の粘度が10-100mPa・sである請求項1又は2記載のティッシュペーパーの折機。
【請求項4】
前記原反ロール及び前記連続シートの走行スピードが20-200m/分である請求項1〜3のいずれか記載のティッシュペーパーの折機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載のティッシュペーパーの折機を用い、ティッシュペーパーの製品幅より幅広の原反ロールに該原反ロールの幅にて薬液を塗布した後、
前記薬液が塗布された原反ロールを、その幅方向に前記ティッシュペーパーの製品幅ずつ複数の連続シートに切断し、
前記連続シートを折り畳みながら積層する、
工程を有するティッシュペーパーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパーの原反ロールから切り出した連続シートを折り畳みながら積層するティッシュペーパーの折機及びティッシュペーパーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆる折り板式インターフォルダや、ロータリーシリンダー式インターフォルダがティッシュペーパーの折機として広く用いられている。
折り板式インターフォルダは、複数プライの二次原反ロールをティッシュペーパーの製品幅に切断して連続シートを用意し、1対の連続シートを折り板で案内しながらV字状やZ字状に互いに折り畳みつつ積層することにより、ポップアップ式のティッシュペーパー積層体を製造するものである(特許文献1,2)。ここで、ポップアップ式とは、最上部のティッシュペーパーを取り出すとその下側のティッシュペーパーが引き出される折り畳み方式である。
又、ロータリーシリンダー式インターフォルダは、2つの原反ロールから切り出した連続シートを、それぞれ向い合って回転するフォルディングロールに沿わせ、フォルディングロール上でそれぞれ製品幅のシートにカットしつつ保持し、フォルディングロールの溝に設けたバイスでシートを挟持することで、フォルディングロールの回転に伴って対向するシートが交互に2つ折りしつつ折重ねられ、上記したポップアップ式の積層体を製造するものである(特許文献3,4)。
さらに、特許文献1には、製品幅にカットされた連続シートに案内棒を沿わせ、この案内棒の塗布口から連続シートに香料等の薬液を塗布することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4317539号公報
【特許文献2】特開2011−121764号公報
【特許文献3】特開平6−48652号公報
【特許文献4】特開平7−291527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばティッシュペーパーを200組積層する場合、上記した折り板式インターフォルダでは折り畳み機構部(フォールディング部)が200個必要であり、さらに1つの折り畳み機構部当たりでは、1対(2個)の連続シートに対応して2本の案内棒が必要となる。このため、各案内棒に薬液の塗布装置を組み込むと設備コストが過大となると共に、各案内棒での薬液の塗布量をばらつきなくコントロールするのが難しいという問題がある。
一方、薬液の塗布装置をティッシュペーパーの折機の前段階でオフラインで設けると、設備スペースを要したり、薬液塗布後の原反ロールが膨潤して変形し、ティッシュペーパーの折機で巻き戻す際にスピードムラ、シワや弛みが生じて折加工の操業速度や製品歩留まりが低下するおそれがある。
従って本発明は、設備コストを低減しつつ、ティッシュペーパーにムラなく薬液を塗布することができるティッシュペーパーの折機及びティッシュペーパーの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のティッシュペーパーの折機は、前記ティッシュペーパーの製品幅より幅広の原反ロールを支持する原反ロール支持部と、原反ロールRが巻き戻された連続シートを、ガイドロールにて繰り出し方向を変化させて折り畳みながら積層するフォールディング部と、前記原反ロール支持部と前記フォールディング部の前記ガイドロールよりも前段の間に配置されて、前記原反ロールに繰り出し方向を変化させずに該原反ロールの幅にて薬液を塗布する薬液塗布部と、を備え、前記薬液塗布部は、直径0.5〜2.0mmのオリフィスを原反ロールの幅方向に間隔1〜10mmで複数設けた備えたヘッダであり、軸方向から見たときの、該ヘッダ外面に接する前記連続シートの最上流の位置をPとし、最下流の位置をQとすると、PからQへ至る前記ヘッダ外面で構成される円弧の中心角(ラップ角度)θが30〜90°であり、かつ前記オリフィスがθ/2よりも上流側に位置する。


【0006】
本発明のティッシュペーパーの折機は、折り板式インターフォルダ又はロータリーシリンダー式インターフォルダを構成することが好ましい
前記薬液塗布部から塗布される薬液の粘度が10-100mPa・sであることが好ましい。
前記原反ロール及び前記連続シートの走行スピードが20-200m/分であることが好ましい
【0007】
本発明のティッシュペーパーの製造方法は、上述のティッシュペーパーの折機を用い、ティッシュペーパーの製品幅より幅広の原反ロールに該原反ロールの幅にて薬液を塗布した後、前記薬液が塗布された原反ロールを、その幅方向に前記ティッシュペーパーの製品幅ずつ複数の連続シートに切断し、前記連続シートを折り畳みながら積層する、工程を有する。


【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、設備コストを低減しつつ、折り畳み積層されるティッシュペーパーにムラなく薬液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るティッシュペーパーの折機の構成を示す図である。
図2】第1の実施形態におけるフォールディング部の構成を示す図である。
図3】フォールディング部を構成する個々の折り畳みプレート装置を示す図である。
図4】折り畳み積層体を示す断面図である。
図5】第2の実施形態に係るティッシュペーパーの折機の構成を示す図である。
図6】薬液塗布部のヘッダの軸方向から見たときの、ヘッダ外面へのウェブの接触状態を示す図である。
図7】第3の実施形態に係るティッシュペーパーの折機の構成を示す図である。
図8】第3の実施形態におけるフォールディング部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい実施形態に基づき図面と共に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
【0011】
第1の実施形態
図1図3に示すように、第1の実施形態に係るティッシュペーパーの折機100は、折り板式インターフォルダを構成する。
図1において、ティッシュペーパーの折機100は、原反ロールRを支持する原反ロール支持部2と、原反ロールRから繰り出された原反ウェブ5をその幅方向にティッシュペーパーの製品幅ずつ複数の連続シート7に切断するスリット部40と、連続シート7を折り畳みながら積層するフォールディング部50と、原反ロール支持部2とスリット部40の間に配置されて、原反ロールR(原反ウェブ5)に薬液を塗布する薬液塗布部10と、を備えている。
【0012】
原反ロールRは、プライマシンにて抄紙機で巻き取ったソフトロール(一次原反ロール)を複数枚のプライに加工したハードロール(二次原反ロール)である。原反ウェブ5としては、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等を用いることができる。原反ウェブ5の幅は、ティッシュペーパーの製品幅の複数倍を有し、望ましくは3〜12倍程度、更に望ましくは4〜10倍程度である。原反ウェブ5の幅がティッシュペーパーの製品幅の2倍以下の場合、塗工設備が小型にはなるが、フォールディング部50の数に合わせて原反ウェブ5(ひいては薬液塗布部10)を多数準備する必要があり、塗工管理が煩雑になる。原反ウェブ5の幅がティッシュペーパーの製品幅の12倍を超えると、薬液塗布部10が大型(幅広)になり、幅方向の塗工ムラが懸念される。
なお、例えば200組のティッシュペーパー積層体の場合、製品幅の連続シート7が200個必要となる。従って、原反ウェブ5の幅を製品幅の10倍に設定すると、原反ウェブ5自身もティッシュペーパーの折機100に20個並べて装入される。
又、ティッシュペーパーの製品幅は、折り畳み線と垂直な方向の長さであり、ティッシュペーパーの製品長さは、折り畳み線と平行な方向の長さである。
【0013】
スリット部40は、例えばシャーカット、スコアカット方式による。
フォールディング部50は、ガイドロール51、52と、折り板53と、連続シート7が折り畳まれた積層体9を載置して搬送するコンベア90と、を備える。
薬液塗布部10はロールコータであり、原反ウェブ5に接するコーティングロール11と、コーティングロール11に対向して原反ウェブ5の反対面に接するバックアップロール15と、薬液タンク14と、薬液タンク14の薬液をコーティングロール11に転移させるメータリングロール12,13とを備えており、メータリングロール12がコーティングロール11に対向している。又、図1の例では、原反ウェブ5の両面に薬液を塗布するため、上記したコーティングロール11〜バックアップロール15の組を2組備えている。 薬液としては、公知の湿潤剤、柔軟剤、平滑剤などが挙げられる。湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、ペンタエリスリットなどの多価アルコールが挙げられる。柔軟剤としては、第4級アンモニウム塩、アミン塩、またはアミンが挙げられる。平滑剤としては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテルシリコーンオイルなどのポリシロキサンが挙げられる。これらの薬液は、粘度等を調製した原液でも使用することができるが、水に希釈して使用することもできる。
【0014】
図2は、フォールディング部50の構成を示す。フォールディング部50は、個々の折り畳みプレート装置50a〜50cを一列に並べて構成され、例えばティッシュペーパーを200組積層する場合、折り畳みプレート装置50a〜50cが一列に200個並ぶことになる。つまり、個々の折り畳みプレート装置50a〜50cは、それぞれ1対の連続シート7を互い違いに折り畳んで1組の折り畳み積層体9を製造し、折り畳みプレート装置50aで折り畳まれた1組の積層体に対し、次の折り畳みプレート装置50bの1組の積層体がかみ合い、さらにこれに対して次の折り畳みプレート装置50cの積層体がかみ合うように連続的に折り畳まれてコンベア90で次々と積層され、長手方向に裁断されることにより、最終的に200組のポップアップ式のティッシュペーパー積層体が製造される。そして、ティッシュペーパー積層体を箱詰めしてティッシュペーパーボックス製品となる。
ここで、スリット部40で製品幅ずつ切断された複数の連続シート7は、1組ずつ個々の折り畳みプレート装置50a〜50cに導入され、ガイドロール51にて繰出し方向を変化させられた後、1組の連続シート7が接触するようにガイドロール52で方向付けられ、最後に折り板53に案内されて互いに折り畳まれて長尺の折り畳み積層体を形成する(図3参照)。
【0015】
図4は、フォールディング部50で製造されるティッシュペーパーの折り畳み積層体の一例を示す。なお、図4に示す二つ折り(C折り)の他、三つ折り(Z折り)等の公知の折り構造であってもよい。
【0016】
次に、薬液塗布部10について説明する。コーティングロール11の表面はプレーン(平滑)状であっても、凸版状の模様が施されていても良い。又、コーティングロール11による塗布面積は、原反ウェブ5全面の80%以上とすることが好ましく、幅方向及び流れ方向に略均一に塗布することが好ましい。
コーティングロール11又はメータリングロール12は、薬液塗布量を調量可能な線数100〜250のアニロックスロールであることが好ましく、線数が少ないほど塗布量が多くなる。原反ウェブ5への薬液塗布量は、アニロックスロールの線数とロールパターンで決まるが、塗付量が原反ウェブ5坪量に対して10〜30質量%程度の場合、線数100〜200が望ましい。線数が100未満では塗布量が多すぎて、ウェブにシワや弛みが生じる。線数が250より多くなるとウェブへの塗布量が少なくなる。
又、コーティングロール11に対向してバックアップロール15を設けると、薬液の塗布をより確実にすることができるバックアップロール15による押圧力(線圧、ニップ圧)は0.1〜0.5kgf/cm程度が好ましく、コーティングロール11側に軽くタッチする程度で良い。押圧力が高すぎると紙厚が低くなり、ティッシュペーパーのボリューム感が損なわれることがある。
【0017】
上記したロールコータを用いる場合の薬液の塗布量は、原反ロールの坪量に対して2〜30質量%であることが好ましい。薬液の塗布量が30質量%を超えると、ウェブの伸びが著しく、ウェブのテンションコントロール(弛み・シワが入らないようにウェブに張力を与える)が難しくなることがある。
なお、複数プライのウェブでは、片面のみに塗布しても裏面への薬液の浸透・拡散が不十分となり、薬液の塗布面側と非塗布面側で紙匹の伸びが異なり、シワや弛みが生じて折り加工操業が不安定となる傾向にある。また、ウェブの表裏で風合いに差が生じる。従って、原反ロールの表裏面でほぼ同一塗布量とすることが好ましい。原反ロールの両面に塗布する場合、片面の塗布量が上記値の1/2(つまり、原反ロール(プライ後)の坪量に対して1〜15質量%)とする。
上記したロールコータを用いると、薬液の塗布量を比較的広範囲に調整でき、薬液が均一に塗布されたティッシュを得られやすい。
【0018】
なお、本発明のティッシュペーパーの折機として、図1の折り板式インターフォルダを用いる場合、原反ロール及び連続シートの走行スピード(及び塗布スピード)は、例えば20-140m/分である。
又、ティッシュペーパーの折機として、後述するロータリーシリンダー式インターフォルダを用いる場合、原反ロール及び連続シートの走行スピード(及び塗布スピード)は、例えば50-200m/分である。
【0019】
以上のように、本発明の実施形態に係るティッシュペーパーの折機は、折り畳み機構部(フォールディング部)50に入る製品幅の連続シート7に切断する前の原反ウェブ5に、薬液塗布部10にて原反ロールの幅で薬液を塗布するので、フォールディング部50を構成する多数の折り畳みプレート装置50a〜50cに薬液の塗布装置を組み込む必要がなく、設備コストを低減すると共にティッシュペーパーにムラなく薬液を塗布することができる。
又、原反ウェブ5としては、例えばプライマシンで複数プライとされたものを用い、ティッシュペーパーの折機内でオンマシンで薬液を塗布する。そのため、薬液の塗布装置をティッシュペーパーの折機の前段階でオフラインで設ける場合のように、設備スペースを要したり、薬液塗布後の原反ロールが膨潤して変形し、ティッシュペーパーの折機で巻き戻す際にスピードムラ、シワや弛みが生じることがなく、折加工の操業速度や製品歩留まりの低下を防止することができる。
【0020】
第2の実施形態
次に、図5図6を参照し、第2の実施形態に係るティッシュペーパーの折機101について説明する。ティッシュペーパーの折機101は折り板式インターフォルダを構成し、薬液塗布部20の構成以外の構成は第1の実施形態に係るティッシュペーパーの折機100と同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
図5において、薬液塗布部20はオリフィス吐出方式であり、原反ウェブ5に接する円筒状の上下に移動可能なヘッダ(可動式ヘッダ)21と、上下に移動可能な可動式ヘッダ21に対向して原反ウェブ5の走行を保持するガイドロール25と、を備えている。可動式ヘッダ21の長手方向に平行に、直径0.5〜2.0mmのオリフィスが間隔1〜10mmで複数設けられており、オリフィスから吐出された薬液が、オリフィスに面したウェブに塗布されるようになっている。又、可動式ヘッダ21表面(オリフィスの開口部周囲を含む)は平滑であり、可動式ヘッダが上下移動することにより、ウェブがオリフィスをラップするように接触する。なお、オリフィス間隔とは、隣接するオリフィスの縁同士の距離であり、隣接するオリフィスの中心同士の距離ではない。
なお、図5の例では、原反ウェブ5の両面に薬液を塗布するため、上記した可動式ヘッダ21及びガイドロール25の組を2組備えている。塗工された原反ウェブ5は、スリット部40により製品幅に切断され、フォールディング部50に導入される。
【0021】
図6は、可動式ヘッダ21の軸方向から見たときの、可動式ヘッダ21外面へのウェブ5の接触状態を示す図である。可動式ヘッダ21外面に接するウェブ5の最上流の位置をPとし、最下流の位置をQとすると、PからQへ至る可動式ヘッダ21外面で構成される円弧の中心角(ラップ角度)θが30〜90°であり、かつオリフィス21aがθ/2(図3の位置T)よりも上流側に位置することが好ましい。ここで、中心角θは、∠POQ(Oは可動式ヘッダ21の中心)である。
これにより、オリフィス21aから吐出される薬液とウェブ5との接触時間が増え、ウェブ5への薬液のなじみが良くなる。一方、ラップ角度が90°を超えると、可動式ヘッダ21とウェブとの接触が過度になり、紙粉が発生し易くなる。ラップ角度が30°未満であると、可動式ヘッダ21とウェブの接触時間(面積)が短くなり、走行スピードが高速(100m/分以上)で塗工ムラが生じる懸念がある。
【0022】
なお、薬液の塗布量は、オリフィスから吐出される薬液の量で決まり、可動式ヘッダ21へ薬液を供給する定量吐出ポンプによりコントロールすることができる。又、上記したラップ角度θは、可動式ヘッダ21の移動量を変更することにより調整できる。
又、オリフィス吐出方式の薬液塗布部20を用いる場合、薬液の粘度が10-100mPa・sであることが好ましい。薬液の粘度が100mPa・sを超えると、オリフィス直径が0.5mmより小さい場合に吐出量にバラツキが生じ、ウェブへの薬液の拡散・浸透度も低下し、ウェッブに塗布する際にかすれることがある。薬液の粘度が10mPa・s未満の場合、オリフィスから液ダレが生じることがある。なお、オリフィスから吐出する薬液の温度は常温(25℃)を想定しているが、薬液を加温することで薬液粘度を下げる等の調整を行ってもよい。
【0023】
上記したオリフィス吐出方式を用いる場合の薬液の塗布量は、原反ロールの坪量に対して2〜30質量%であることが好ましい。ウェブ片面のみに塗布しても裏面への薬液の浸透・拡散が不十分となり、薬液の塗布面側と非塗布面側で品質に差が生じることから、原反ロールの表裏面でほぼ同一塗布量とすることが好ましい。原反ロールの両面に塗布する場合、片面の塗布量が上記値の1/2(つまり、原反ロール(プライ後)の坪量に対して1〜15質量%)とする。なお、塗布量が原反ロールの坪量に対して10質量%を超えると、ウェブへの浸透・拡散が間に合わず液ダレが生じる。
【0024】
オリフィス吐出方式の薬液塗布部20を用いると、ウェブ表面の幅方向に略均等に1〜10mm間隔で縞模様状に薬液が塗布される。つまり、1〜10mm間隔で未塗工領域が生じるが、水溶性の薬液はウェブに速やかに拡散浸透し、数分後には縞模様が消えて全面が均一になる。また、ウェブが可動式ヘッダ21のオリフィスをラップするので、塗布量の均一さが向上する。
【0025】
第3の実施形態
次に、図7図8を参照し、第3の実施形態に係るティッシュペーパーの折機102について説明する。ティッシュペーパーの折機102はロータリーシリンダー式インターフォルダを構成し、フォールディング部60、及びプライボンディング70以外の構成は第2の実施形態に係るティッシュペーパーの折機101と同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。又、ティッシュペーパーの折機102は左右2系統の原反ロール支持部2を有し、これら原反ロール支持部2にそれぞれ支持された原反ロールRに薬液を塗布する薬液塗布部20をそれぞれの系統毎に有している。
図7において、フォールディング部60は、対向配置された1対のフォールディング(折り)ロール61と、各フォールディングロール61に接して連続シート7を製品幅(折り畳み線と垂直な方向の長さ)に切断するカッタ62と、フォールディングロール61下方に落下しつつ折り畳み積層されるティッシュペーパー積層体9を取り出す積層体取出し装置91と、を備える。なお、フォールディング部60により製造されるティッシュペーパー積層体9は、原反ロールRの幅に対してカッタ62で製品幅にカットされた後、最終的な組数(例えば200組)の積層体になり、このティッシュペーパー積層体9を、図示しないカッターでティッシュペーパーの製品長さ(折り畳み線と平行な方向の長さ)にカットした後、箱詰めしてティッシュペーパーボックス製品となる。従って、カッタ62がスリット部40に対応する。
【0026】
図8に示すように、フォールディングロール61は、周方向に3等分した位置に溝61aを有し、この溝61aを吸引することで、製品シート7a、7bを吸引保持できるようになっている。又、フォールディングロール61の周方向に沿って各溝61aの中央部にも溝61cがそれぞれ形成され、溝61c内には製品シート7a、7bの折り部を掴む鉤爪状のバイス61bが配置されている。バイス61bは溝61c内で周方向に回動し、溝61cの側壁に接した際に側壁との間に製品シート7a、7bの折り部を挟持するようになっている。さらに、各フォールディングロール61の下方には、バイス61bによって折り畳まれた積層体を各フォールディングロール61から剥離する左右一対のパッカーフィンガー61dが配置されている。
そして、フォールディング部60に導入された連続シート7は、カッタ62で製品長さの製品シート7a、7bに切断され、溝61aで吸引保持されつつ左右のフォールディングロール61の間に移動する。そして、例えば左側のフォールディングロール61に保持された製品シート7aに、右側のフォールディングロール61のバイス61bが対向したとき、右側のフォールディングロール61に保持された製品シート7bの端部と、製品シート7aの折り返し部とを同時に挟持する。さらに各フォールディングロール61が回転してパッカーフィンガー61dに差し掛かると、パッカーフィンガー61dが溝61cに入ってバイス61bを開放しつつ、製品シート7a、7bの折り部を下方に押出し、折り畳み積層体9を順次形成する。
折り畳み積層体9が所定の組数になると、積層体取出し装置91によって取り出される。
【0027】
ティッシュペーパーの折機102がロータリーシリンダー式インターフォルダであっても、オンマシンで原反ロールRに薬液塗布部にて原反ロールの幅で薬液を塗布するので、別工程で塗布する設備を設ける必要がなく、設備コストを低減すると共にティッシュペーパーにムラなく薬液を塗布することができる。
又、薬液の塗布装置をティッシュペーパーの折機の前段階で設ける場合のように、設備スペースを要したり、薬液塗布後の原反ロールが膨潤して変形し、ティッシュペーパーの折機で巻き戻す際にスピードムラ、シワや弛みが生じることがなく、折加工の操業速度や製品歩留まりの低下を防止することができる。
【0028】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
2 原反ロール支持部
5 原反ウェブ
7 連続シート
10、20 薬液塗布部
21 ヘッダ(可動式ヘッダ)
40 スリット部
50、60 フォールディング部
100、101、102 ティッシュペーパーの折機
R 原反ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8