(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029891
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】サイン板取付け構造
(51)【国際特許分類】
G09F 7/18 20060101AFI20161114BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
G09F7/18 Q
G09F13/18 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-181953(P2012-181953)
(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-38295(P2014-38295A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】508115299
【氏名又は名称】有限会社パラダイスグラス
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】岩内 和生
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−033378(JP,A)
【文献】
実開平04−043160(JP,U)
【文献】
実開平04−006960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/18
G09F 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイン板の複数の取付け箇所を壁面に取付けるようにしたサイン板取付け構造において、
上記サイン板(20)の取付け箇所が嵌まり込むとともに上記サイン板(20)の取付け箇所側面に対面する部位に発光器具(30)が嵌まり込むような形状をなす嵌込み凹部(11A)が形成されるとともに、上面にねじの挿通穴(11B)及び側面に雌ねじが形成され、上記挿通穴(11B)を挿通した雄ねじが壁面にねじ込まれるか又は壁面の雌ねじに螺合されることによって壁面に取付けられる取付けベース(11)と、該取付けベース(11)に被せられ、側面にねじの挿通穴が形成され、該挿通穴を挿通した雄ねじが上記取付けベース(11)の雌ねじに螺合されることによって上記取付けベース(11)に固定され、上記取付けベース(11)との間でサイン板(20)を挟持する押え片(12)とから構成される複数の取付け治具(10)と、
発光素子と該発光素子を点灯を制御する制御回路とをケース内に水密的に内蔵して構成され、上記取付けベース(11)の嵌込み凹部(11A)内に嵌め込まれて上記サイン板(12)のコーナー側面から内部に向けて光を入射させる発光器具(30)と、
を備えたことを特徴とするサイン板取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表札や看板などのサイン板取付け構造に関し、特にガラス板やプラスチック板に穴を穿設することなく壁面に取付けることができるようにした取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、装飾性の観点などから、透明なガラス板やプラスチック板の表面に名前や模様を刻設し、このガラス板やプラスチック板を門柱やドア近くの外壁に取付け、ガラス板やプラスチック板をLEDなどによって照明するようにした表札が注目されている。
【0003】
この種の表札を取付ける場合、ガラス板やプラスチック板の四隅に穴を穿設し、穴に皿ねじ(雄ねじ)やボルト(以下、雄ねじ及びボルトを単に「雄ねじ」という)を挿通し、この雄ねじを壁面にねじ込むか又は壁面の雌ねじに螺合させることによってガラス板やプラスチック板を壁面に取付けることが行われている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0004】
また、表札を照明する場合、LEDの光をガラス板やプラスチック板の側面から内部に入射させるようにした構造(特許文献4)、ガラス板やプラスチック板を取付ける雄ねじを中空状に形成して内部にLEDを挿入し、LEDの光を雄ねじの側面に形成した窓からガラス板やプラスチック板の内部に入射させるようにした構造(特許文献3)、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−224073号公報
【特許文献2】登録実用新案第3051053号公報
【特許文献3】特開2006−53202号公報
【特許文献4】登録実用新案第3106136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3記載の取付け構造ではガラス板やプラスチック板の四隅に穴を穿設するようにしているので、製造のコスト高を招来するばかりでなく、雄ねじで締め付ける際に穴の周縁に微小クラックが入りやすく、これがガラス板やプラスチック板の破損の原因になるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、ガラス板やプラスチック板に穴を穿設することなく壁面に取付けることができるようにしたサイン板取付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係るサイン板取付け構造は、サイン板の複数の箇所を壁面に取付けるようにしたサイン板取付け構造において、上記サイン板の取付け箇所が嵌まり込むとともに上記サイン板の取付け箇所の側面に対面する部位に発光器具が嵌まり込むような形状をなす嵌込み凹部が形成されるとともに、上面にねじの挿通穴及び側面に雌ねじが各々形成され、上記挿通穴を挿通した雄ねじが壁面にねじ込まれるか又は壁面の雌ねじに螺合されることによって壁面に取付けられる取付けベースと、該取付けベースに被せられ、側面にねじの挿通穴が形成され、該挿通穴に挿通した雄ねじが上記取付けベースの雌ねじに螺合されることによって上記取付けベースに固定され、上記取付けベースとの間でサイン板の取付け箇所を挟持する押え片とから構成される複数の取付け治具と、発光素子と該発光素子を点灯を制御する制御回路とをケース内に水密的に内蔵して構成され、上記取付けベースの嵌込み凹部内に嵌め込まれて上記サイン板の取付け箇所側面から内部に向けて光を入射させる発光器具と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは複数の取付け治具の取付けベースを壁面に取付け、取付けベースに押え片を被せて固定し、複数の取付け治具の取付けベースと押え片との間にサイン板の取付け箇所を挟持するようにした点にある。これにより、サイン板に穴を穿設することなく、サイン板を壁面に取付けることができ、サイン板の破損のおそれを少なくできる。
【0010】
また、サイン板を壁面から浮かせた状態に取付けることができるので、サイン板が雨水に濡れても直ちに乾き、水濡れに起因するサイン板の汚れを少なくでき、サイン板の見栄えを保証できる。
【0011】
発光素子と制御回路をケース内に水密的に内蔵して発光器具を構成し、この発光器具を取付けベース内に嵌め込むようにしたので、発光器具が雨水に濡れても故障が発生するおそれが少なく、発光器具の高い信頼性を確保できる。
【0012】
発光器具の電源は特に限定されず、商用電源を電源とし、直流に変圧して発光器具に供給して夜間に発光せせるようにしてもよく、又ソーラパネルを使用し、発電して蓄電器などに充電し、これを発光器具に与えて夜間に発光させるようにしてもよい。
【0013】
また、制御回路はタイマーを備え、設定時刻になると、発光素子を発光させるようにしてもよく、又光センサーを備え、周囲の明るさを検知して発光素子を発光させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るサイン板取付け構造の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
【
図3】上記実施形態における取付け治具を示す分解斜視図である。
【
図4】上記実施形態における発光器具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図4は本発明に係るサイン板取付け構造の好ましい実施形態を示す。図において、取付け治具10は取付けベース11と押え片12とから構成されている。
【0016】
取付けベース11は四角形ブロック状をなし、取付けベース11には嵌込み凹部11Aが形成され、嵌込み凹部11Aはサイン板20のコーナー(取付け箇所)が嵌まり込むとともに、サイン板20のコーナー側面に対面する部位に発光器具30が嵌まり込むような形状となっている。
【0017】
また、取付けベース11の上面には取付けねじ(雄ねじ)の挿通穴11Bが形成され、取付けベース11の側面には締結ねじ(雄ねじ)13が螺合される雌ねじ(図示せず)が形成されている。
【0018】
他方、押え片12は取付けベース11の上側から外嵌し得る形状をなし、側面には締結ねじ13の挿通穴が形成されており、締結ねじ13を挿通穴に挿通して取付けベース11の雌ねじに螺合することによって、押え片12を取付けベース11に固定できるようになっている。
【0019】
発光治具30はケース内にLED(発光素子)とLEDの点灯を制御する制御回路を内に水密的に内蔵して構成され、制御回路にはAC/DCコンバータとLEDの点灯制御回路が設けられ、商用電源を直流に変換して点灯制御回路に与えてLEDを点灯させるようになっている。また、ケース内には光センサーが内蔵され、周囲が所定の暗さになったときに点灯制御回路がLEDを点灯させるようになっている。
【0020】
本例の構造でサイン板20を取付ける場合、取付けベース11の嵌込み凹部11Aに発光器具30を嵌め込み、両面粘着テープなどによって取付ける。次に、取付けベース11を壁面にセットして手で押えながら、取付けベース11の挿通穴11Aに取付けねじを差し込み、壁面にねじ込んで取付けベース11の1つをサイン板20の1つのコーナーに対応する壁面の部位に固定する。
【0021】
雄ねじにボルトを使用する場合には壁面に雌ねじを埋設しておき、挿通穴11Aに挿通したボルトを壁面の雌ねじに螺合させることによって取付けベース11を固定する。
【0022】
同様にして、サイン板20の残りの3カ所に対応する壁面の部位にも取付けベース11に固定した後、サイン板20を取付けベース11の嵌込み凹部11Aに嵌め込み、その上から押え片12を被せ、締結ねじ13を押え片12の挿通穴に挿通して取付けベース11の雌ねじにねじ込むと、押え片12を取付けベース11に固定できる。
【0023】
残りの取付けベース11についても同様に押え片12を固定すると、取付けベース11と押え片12との間にサイン板20が挟持され、こうしてサイン板20を壁面にしっかりと固定することができる。
【0024】
以上のように、4つの取付け治具10の取付けベース11を壁面に取付け、4つの取付け治具10の取付けベース11と押え片12との間にサイン板20のコーナーを挟持するようにしたので、サイン板20に穴を穿設することなく、サイン板20を壁面に取付けることができ、サイン板20の破損のおそれを少なくできる。
【0025】
また、サイン板20を壁面から浮かせた状態に取付けるようにしたので、サイン板20が雨水に濡れても直ちに乾き、水濡れに起因するサイン板20の汚れを少なくでき、サイン板20の見栄えを保証できる。
【0026】
LEDと制御回路をケース内に水密的に内蔵して発光器具30を構成し、この発光器具30を取付けベース11内に嵌め込むようにしたので、発光器具30が雨水に濡れても故障が発生するおそれが少なく、発光器具30の高い信頼性を確保できる。
【0027】
なお、上記の例ではサイン板が四角形の場合について説明したが、四角形に限定されず、三角形、五角形、六角形などの他の多角形、円形や楕円形、さらに動物などの任意の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 取付け治具
11 取付けベース
12 押え片
13 締結ねじ
20 サイン板
30 発光器具