特許第6029892号(P6029892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6029892無線端末、無線基地局選択方法、および無線基地局選択プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029892
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】無線端末、無線基地局選択方法、および無線基地局選択プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20161114BHJP
【FI】
   H04W48/16 110
   H04W48/16 132
   H04W48/16 135
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-186396(P2012-186396)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-45331(P2014-45331A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義三
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−253924(JP,A)
【文献】 特開2010−130494(JP,A)
【文献】 特開2010−130253(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/017168(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を実行するために無線端末と接続可能な複数の無線基地局を特定する候補基地局特定部と、
無線端末と接続可能な各無線基地局について、プロポーショナルフェアネスに基づいて、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するリソース割当量予測部と、
接続可能な各無線基地局について、前記予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するスループット予測部と、
接続可能な複数の無線基地局のうち、前記予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択する選択部とを備えた、無線端末。
【請求項2】
前記リソース割当量予測部は、
前記無線基地局と接続しているK個の無線端末の優先度を計算し、
前記無線基地局の全無線リソース量を前記接続している無線端末と自端末の(K+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度を計算し、
前記K個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、前記無線基地局の全無線リソース量を(K+1)で除算した値を前記自端末の無線リソースの割当て量として予測する、請求項記載の無線端末。
【請求項3】
前記リソース割当量予測部は、
前記K個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が前記平衡状態の優先度以上となる無線端末に割り当てられている無線リソース量の和を計算し、前記無線基地局の全無線リソース量を前記和で減算した値を残余無線リソース量とし、
前記K個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、前記残余無線リソース量を自端末の無線リソースの割当て量として予測する、請求項記載の無線端末。
【請求項4】
前記リソース割当量予測部は、
前記K個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末がM個ある場合に、
前記無線基地局の残余無線リソース量を前記M個の無線端末と自端末との(M+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度を計算し、
前記M個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、前記無線基地局の残余無線リソース量を(M+1)で除算した値を前記自端末の無線リソースの割当て量として予測する、請求項記載の無線端末。
【請求項5】
前記リソース割当量予測部は、
前記M個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が前記平衡状態の優先度以上となる無線端末に割り当てられている無線リソース量の和を計算し、前記無線基地局の残余無線リソース量を前記和で減算した値を新たな残余無線リソース量とし、
前記M個の無線端末の優先度のうち、前記平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、前記新たな残余無線リソース量を自端末の無線リソースの割当て量として予測する、請求項記載の無線端末。
【請求項6】
前記スループット予測部は、接続可能な各無線基地局からの信号の受信電力に基づいて、前記各無線基地局に接続したときの送信信号のMCSを予測し、前記予測したMCSで定まる伝送速度と、前記予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測する、請求項1記載の無線端末。
【請求項7】
前記候補基地局特定部は、受信電力が所定値以上である信号を送信している複数の無線基地局を前記接続可能な無線基地局として特定する、請求項1〜のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項8】
無線端末による無線基地局選択方法であって、
接続可能な複数の無線基地局を特定するステップと、
接続可能な各無線基地局について、プロポーショナルフェアネスに基づいて、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するステップと、
接続可能な各無線基地局について、前記予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するステップと、
接続可能な複数の無線基地局のうち、前記予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択するステップとを備えた、無線基地局選択方法。
【請求項9】
無線端末のコンピュータに、
接続可能な複数の無線基地局を特定するステップと、
接続可能な各無線基地局について、プロポーショナルフェアネスに基づいて、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するステップと、
接続可能な各無線基地局について、前記予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するステップと、
接続可能な複数の無線基地局のうち、前記予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択するステップとを実行させるための、無線基地局選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末、無線基地局選択方法、および無線基地局選択プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続する無線基地局を選択する方法が知られている。
たとえば、特許文献1(特開2011−4262号公報)の無線端末では、制御部(100)は、無線通信部(10)を制御して、接続可能な基地局装置について、受信電力レベルだけでなく、システム帯域幅やDL−MAP(Down Link Mapping message)を受信して、これらに基づいて運用状況が判る混雑度を求めるとともに、CQI(Channel Quality Indicator)を測定して、これらの情報に基づいて接続した場合の予測レートを求め、これらの情報をユーザに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−4262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無線端末では、混雑度のみで無線基地局を選択するので、必ずしもスループットが高くなるような無線基地局が選択されるとは限らないといいう問題がある。
【0005】
たとえば、無線基地局#1と無線端末Aと無線端末Bとが接続しており、無線端末Aが全無線リソースの10%を使用し、無線端末Bが全無線リソースの90%を使用している場合は、無線端末Aで必要な無線リソースを差し引いた残りの無線リソースを無線端末Bは利用していると考えられる。このような場合には、新規に接続する無線端末は、少なくとも無線端末Bが使用している90%の無線リソースの半分の無線リソース(したがって、全無線リソースの45%)が割り当てられると予測できる。
【0006】
一方、無線基地局#2が無線端末Cと無線端末Dと接続しており、無線端末CおよびDが、それぞれ全無線リソースの50%を使用している場合には、無線端末Cおよび無線端末Dの無線リソースの使用要求度は、同程度であると考えられる。このような場合には、新規に接続する無線端末と、無線端末Cおよび無線端末Dには均等に無線リソース量が分割され、それぞれの無線端末は、全無線リソースの1/3が割り当てられると予測できる。
【0007】
したがって、新規に通信を開始する無線端末は、無線基地局#1と接続する方が、高い送信スループットで通信することができるが、特許文献1では、混雑度のみを指標としているので、無線基地局#1を選択できるとは限らない。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、送信スループットが最大となるような無線基地局を選択することができる無線端末、無線基地局選択方法、および無線基地局選択プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信を実行するために無線端末と接続可能な複数の無線基地局を特定する候補基地局特定部と、無線端末と接続可能な各無線基地局について、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するリソース割当量予測部と、接続可能な各無線基地局について、予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するスループット予測部と、接続可能な複数の無線基地局のうち、予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択する選択部とを備える。
【0010】
好ましくは、リソース割当量予測部は、プロポーショナルフェアネスに基づいて、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測する。
【0011】
好ましくは、リソース割当量予測部は、無線基地局と接続しているK個の無線端末の優先度を計算し、無線基地局の全無線リソース量を接続している無線端末と自端末の(K+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度を計算し、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、無線基地局の全無線リソース量を(K+1)で除算した値を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0012】
好ましくは、リソース割当量予測部は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が平衡状態の優先度以上となる無線端末に割り当てられている無線リソース量の和を計算し、無線基地局の全無線リソース量を和で減算した値を残余無線リソース量とし、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末がが存在しない場合に、残余無線リソース量を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0013】
好ましくは、リソース割当量予測部は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末がM個ある場合に、無線基地局の残余無線リソース量をM個の無線端末と自端末との(M+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度を計算し、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、無線基地局の残余無線リソース量を(M+1)で除算した値を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0014】
好ましくは、リソース割当量予測部は、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が平衡状態の優先度以上となる無線端末に割り当てられている無線リソース量の和を計算し、無線基地局の残余無線リソース量を和で減算した値を新たな残余無線リソース量とし、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、新たな残余無線リソース量を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0015】
好ましくは、スループット予測部は、接続可能な各無線基地局からの信号の受信電力に基づいて、各無線基地局に接続したときの送信信号のMCSを予測し、予測したMCSで定まる伝送速度と、予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測する。
【0016】
好ましくは、候補基地局特定部は、受信電力が所定値以上である信号を送信している複数の無線基地局を接続可能な無線基地局として特定する。
【0017】
本発明は、無線端末による無線基地局選択方法であって、接続可能な複数の無線基地局を特定するステップと、接続可能な各無線基地局について、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するステップと、接続可能な各無線基地局について、予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するステップと、接続可能な複数の無線基地局のうち、予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択するステップとを備える。
【0018】
本発明の無線基地局選択プログラムは、無線端末のコンピュータに、接続可能な複数の無線基地局を特定するステップと、接続可能な各無線基地局について、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測するステップと、接続可能な各無線基地局について、予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測するステップと、接続可能な複数の無線基地局のうち、予測した送信スループットが最大となる無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、送信スループットが最大となるような無線基地局を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の無線端末の構成を表わす図である。
図2】無線端末による無線基地局の選択手順を表わすフローチャートである。
図3図2のステップS106の詳細な手順を表わすフローチャートである。
図4】(a)は、ある基地局に接続している無線端末への無線リソースの割当の一例を説明するための図である。(b)は、(a)の状態から自端末が新たに接続された場合の、無線リソースの割当量の予測を説明するための図である。
図5】(a)は、ある基地局に接続している無線端末への無線リソースの割当の別の例を説明するための図である。(b)は、(a)の状態から自端末が新たに接続された場合の、無線リソースの割当量の予測を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
(構成)
図1は、本発明の実施形態の無線端末の構成を表わす図である。
【0022】
この無線端末1は、アンテナ2と、無線通信部3と、受信電力計測部4と、通信制御部5とを備える。通信制御部5は、候補基地局特定部6と、リソース情報取得部7と、リソース割当量予測部8と、送信スループット予測部9と、基地局選択部10とを含む。無線端末1は、コンピュータで構成され、無線端末1内の各構成要素は、コンピュータのCPUがプログラムを実行することによって実現される。当該プログラムは、コンピュータのハードディスク、あるいは外部の記録媒体(DVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)など)に記録されており、実行時にコンピュータのメモリにロードされる。
【0023】
無線端末1は、様々な通信方式に対応し、たとえば、LTE(Long Term Evolution)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、WiFi方式(wireless fidelity)などの通信方式の無線基地局との通信が可能である。
【0024】
無線通信部3は、無線基地局でプロポーショナルフェアネスに基づいて割り当てられた無線リソースを用いて、無線基地局へ信号を送信する。また、無線通信部3は、無線基地局から指示されるMCS(Modulation and Coding Scheme)にしたがって、送信信号を符号化および変調する。
【0025】
受信電力計測部4は、無線基地局からの信号の受信電力を計測する。
候補基地局特定部6は、受信電力が所定値以上である信号を送信している複数の無線基地局を候補基地局として特定する。
【0026】
リソース情報取得部7は、候補基地局の全無線リソース量V、候補基地局と通信している無線端末を特定する情報(以下の優先度の計算に必要な情報を含む)を取得する。
【0027】
リソース割当量予測部8は、無線基地局での無線リソースの割当方式であるプロポーショナルフェアネスに基づいて、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測する。
【0028】
プロポーショナルフェアネスによる無線リソースの配分では、通信品質が高く、かつ過去の平均通信速度が低い無線端末ほど高い優先度が与えられ、多くの無線リソースが割り当てられる。
【0029】
具体的には、時刻tにおける無線端末iの瞬時的なスループットの推定値をR(i)、時刻tにおける無線端末iの過去の平均スループットをT(i)とすると、時刻tにおける優先度P(i)は、以下の式で表わされる。
【0030】
P(i)=R(i)/T(i)・・・(1)
ここで、R(i)は、変調方式によって決まる量である。
【0031】
優先度P(i)が高いと、より多くの無線リソースが割当てられる。その結果、平均スループットT(i)が増加し、それによって、優先度P(i)が減少する。一方、優先度P(i)が低いと、より少ない無線リソースが割当てられる。その結果、平均スループットT(i)が減少し、それによって、優先度P(i)が増加する。 したがって、無線リソースが割り当てられて所定時間経過した平衡状態では、1つの無線基地局と通信しているすべての無線端末の優先度が等しくなる。
【0032】
自端末が、基地局に新たに接続した場合の無線リソース量を予測するために、無線リソース量を平等に共有するときの優先度は以下の式によって計算される。
【0033】
Ps=R(i)/TT(i)・・・(2)
TT(i)は、無線基地局に接続されているすべての無線端末が均等に無線リソースを使用した場合の、無線端末iの過去の平均スループットである。
【0034】
リソース割当量予測部8は、無線基地局と接続している無線端末の総数がK個のときには、リソース割当量予測部8は、式(1)に従って、無線基地局と接続しているK個の無線端末の優先度を計算する。また、リソース割当量予測部8は、無線基地局の全無線リソース量を接続している無線端末と自端末の(K+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度Psを式(2)に従って計算する。リソース割当量予測部8は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、無線基地局の全無線リソース量を(K+1)で除算した値を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0035】
リソース割当量予測部8は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が平衡状態の優先度Ps以上となる1以上の無線端末に割り当てられている無線リソース量の和Sを計算し、無線基地局の全無線リソース量を上記和Sで減算した値(残余無線リソース量)を割当可能無線リソース量として算出する。リソース割当量予測部8は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps未満となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、割当可能無線リソース量(残余無線リソース量)を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0036】
リソース割当量予測部8は、K個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps未満となる優先度を有する無線端末がM個ある場合に、割当可能無線リソース量をM個の無線端末と自端末との(M+1)個の無線端末で共有したときの平衡状態の優先度Psを式(2)に従って計算する。リソース割当量予測部8は、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps以上となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、無線基地局の割当可能無線リソース量を(M+1)で除算した値を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0037】
リソース割当量予測部8は、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度Ps以上となる優先度を有する無線端末が存在する場合に、優先度が平衡状態の優先度Ps以上となる1以上の無線端末に割り当てられている無線リソース量の和Sを計算し、無線基地局の割当可能無線リソース量を上記和Sで減算した値を新たな割当可能無線リソース量(新たな残余無線リソース量)とする。リソース割当量予測部8は、M個の無線端末の優先度のうち、平衡状態の優先度未満となる優先度を有する無線端末が存在しない場合に、新たな割当可能無線リソース量を自端末の無線リソースの割当て量として予測する。
【0038】
送信スループット予測部9は、無線端末1と接続可能な各無線基地局からの信号の受信電力に基づいて、各無線基地局に接続したときの送信信号のMCSを予測し、予測したMCSで定まる伝送速度と、予測した無線リソースの割当て量に基づいて、自端末の平衡状態での送信スループットを予測する。
【0039】
基地局選択部10は、無線端末1と接続可能な複数の無線基地局のうち、予測した送信スループットが最大となるような無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択する。
【0040】
(動作)
図2は、無線端末による無線基地局の選択手順を表わすフローチャートである。
【0041】
まず、候補基地局特定部6は、受信電力が所定値以上である信号を送信している複数の無線基地局を特定する。特定した無線基地局を無線基地局#1〜#Nとする(ステップS101)。
【0042】
次に、選択変数nが1に設定される(ステップS102)。
無線基地局#nが選択される(ステップS103)。
【0043】
リソース情報取得部7は、無線基地局#nの全無線リソース量V、無線基地局#nと通信している無線端末を特定する情報(優先度の計算に必要な情報を含む)を取得する。特定した無線端末を無線端末#1〜#Kとする(ステップS104)。
【0044】
次に、リソース割当量予測部8は、自端末が無線基地局#nに接続した場合に、自端末への平衡状態での無線リソースの割当て量を予測する(ステップS106)。
【0045】
次に、送信スループット予測部9は、自端末が無線基地局#nへ接続した場合の、送信スループットを予測する(ステップS107)。
【0046】
n=Nでない場合には(ステップS108でNO)、nが1だけインクリメントされて(ステップS109)、ステップS103に戻る。
【0047】
n=Nになった場合には(ステップS108でYES)、基地局選択部10は、予測した送信スループットが最大となるような無線基地局を、無線通信を実行するために接続する無線基地局として選択し、無線通信部3に選択した無線基地局と接続するための通信処理を行なわせる(ステップS110)。
【0048】
図3は、図2のステップS106の詳細な手順を表わすフローチャートである。
まず、リソース割当量予測部8は、全無線リソース量Vを割当可能リソース量Qに設定すし、検討対象の無線端末#1〜#Uを無線端末#1〜#Kに設定する(ステップS201)。
【0049】
次に、リソース割当量予測部8は、式(1)に従って、無線基地局#iと通信している無線端末#1〜#Uの優先度P(1)〜P(U)を計算する(ステップS202)。
【0050】
次に、リソース割当量予測部8は、式(2)に従って、割当可能リソース量Qを(U+1)人で平等に共有したときの優先度Psを計算する(ステップS203)。
【0051】
リソース割当量予測部8は、P(i)≧Psとなるようなiが存在しない場合には(ステップS204でNO)、Q/(U+1)を自端末への無線リソースの割当て量として予測する(ステップS205)。
【0052】
リソース割当量予測部8は、P(i)≧Psとなるようなiが存在する場合には(ステップS204でYES)、P(i)≧Psとなる無線端末#iの無線リソースの割当て量の和Sを計算する(ステップS206)。
【0053】
リソース割当量予測部8は、割当可能リソース量QをSだけ減少させる(ステップS207)。
【0054】
次に、リソース割当量予測部8は、P(i)<Psとなるようなiが存在しない場合には(ステップS208でNO)、割当可能リソース量Qを自端末への無線リソース割当て量として予測する(ステップS209)。
【0055】
次に、リソース割当量予測部8は、P(i)<Psとなるようなiが存在する場合には(ステップS208でYES)、P(i)<Psとなる無線端末を検討対象の無線端末#1〜#Uに再設定して(ステップS210)、ステップS203に戻る。
【0056】
(無線リソースの割当量の予測の例)
次に、本実施の形態による無線リソースの割当量の予測の例を説明する。
【0057】
図4(a)は、ある基地局に接続している無線端末への無線リソースの割当の一例を説明するための図である。図4(b)は、図4(a)の状態から自端末が新たに接続された場合の、無線リソースの割当量の予測を説明するための図である。
【0058】
無線端末#1〜無線端末#4は、動画ストリームを受信するアプリケーションを実行している。平衡状態では、無線端末#1〜無線端末#4の優先度は同じで、できるだけ多くの無線リソースが必要なことから、無線リソースが均等に25%ずつ割り当てられている。
【0059】
自端末も、同様に動画ストリームを受信するアプリケーションを実行する。新規に接続を開始した当初は、自端末には、無線リソースの多くを割り当てられるが、平衡状態では、無線端末#1〜#4の優先度は同じで、できるだけ多くの無線リソースが必要なことから、無線リソースが均等に20%ずつ割り当てられている。つまり、図4のフローチャートのステップS204において、P(i)≧Psとなる無線端末が存在しないので、NOが選択されて、全無線リソース量Vを5等分した無線リソースが、無線端末#1〜#4と自端末に割り当てられる。
【0060】
図5(a)は、ある基地局に接続している無線端末への無線リソースの割当の別の例を説明するための図である。図5(b)は、図5(a)の状態から自端末が新たに接続された場合の、無線リソースの割当量の予測を説明するための図である。
【0061】
無線端末#1〜#3は、VoIP(Voice over Internet Protocol)で音声データを受信するアプリケーションを実行している。無線端末#1〜#3の優先度は、無線端末#4よりも高いが、送信されるデータ量が少ないので、結果として平衡状態の無線リソースの割当量は少ない(それぞれ10%)。無線端末#4は、FTP(File Transfer Protocol)でファイルを受信するアプリケーションを実行している。無線端末#4の優先度は無線端末#1〜#3よりも低いが、使用可能な無線リソースが余っているため、結果として、平衡状態において多量の無線リソース(70%)が割り当てられている。
【0062】
自端末も、無線端末#4と同様に、FTPでファイルを受信するアプリケーションを実行する。新規に接続を開始した当初は、自端末には、多くの無線リソース(無線端末#4に割り当てられている70%のうちの大部分)が、平衡状態では、図5(b)に示すように、無線端末#4と自端末の無線リソースの割当て量は、それぞれ35%ずつとなる。
【0063】
つまり、図4のフローチャートのステップS204において、P(i)≧Psとなる無線端末があり(無線端末#1〜#3)、YESが選択される。また、ステップS208において、P(i)<Psとなる無線端末が存在し(無線端末#4)、YESが選択される。2回目のステップS204において、P(i)≧Psとなる無線端末が存在しないので、NOが選択されて、割当可能リソース量(70%)を2等分した無線リソースが、無線端末#4と自端末に割り当てられる。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、無線端末は、無線基地局の無線リソースの割当方式であるプロポーショナルフェアネスに基づいて、候補となるすべての無線基地局に接続した場合の、自端末への無線リソースの割当量を予測する。さらに、無線端末は、この予測量に基づいて、送信スループットを予測することによって、送信スループットが最大となるような無線基地局を選択することができる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 無線端末、2 アンテナ、3 無線通信部、4 受信電力計測部、5 通信制御部、6 候補基地局特定部、7 リソース情報取得部、8 リソース割当量予測部、9 送信スループット予測部、10 基地局選択部。
図1
図2
図3
図4
図5