(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特異日は、当該特異日に測定される前記負荷量の推移が、前記一週間単位で繰り返される前記推移状態から逸脱する日である、ことを特徴とする請求項1記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の前日のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の月曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日および前記予測日の前日が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第4負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更し、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記直近の土曜日の直前の日曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の一週間前のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の同一曜日かつ前記特異日が設定されていない日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日および前記予測日の一週間前が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の前日および前記予測日の一週間前が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の月曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記取得部は、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日、前記予測日の前日および前記予測日の一週間前の全てが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第4負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更し、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日の直前の日曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の負荷量予測装置。
前記特異日は、当該特異日に測定される前記負荷量の推移が、前記一週間単位で繰り返される前記推移状態から逸脱する日である、ことを特徴とする請求項10記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の前日のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の月曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日および前記予測日の前日が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第4負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更し、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記直近の土曜日の直前の日曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の一週間前のみが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の同一曜日かつ前記特異日が設定されていない日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日および前記予測日の一週間前が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日の前日および前記予測日の一週間前が休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の月曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
前記取得ステップは、前記予測日、前記予測日の前日または前記予測日の一週間前のうち、前記予測日、前記予測日の前日および前記予測日の一週間前の全てが休日になるように前記特異日が設定されている場合には、前記第4負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日に測定された前記負荷量に変更し、前記第5負荷量を、前記代替日となる、前記予測日の直近の土曜日の直前の日曜日に測定された前記負荷量に変更した、前記予測用パラメータを取得する、
ことを特徴とする請求項10または11記載の負荷量予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0012】
本実施形態では、負荷量予測装置で予測する負荷量が電力消費量である場合について説明するが、これに限定されず、予測する負荷量が、例えば、蒸気消費量や、冷水熱量、温水熱量である場合についても同様に適用することができる。
【0013】
図1を参照して、実施形態における負荷量予測装置の構成について説明する。
図1に示すように、負荷量予測装置1は、機能的には、例えば、登録部11と、取得部12と、選定部13と、予測部14とを有する。事例モデルDB3は、後述する事例モデルを蓄積するデータベースである。本実施形態では、登録部11が、後述する学習機能を実現し、取得部12、選定部13および予測部14が、後述する予測機能を実現する。
【0014】
ここで、負荷量予測装置1は、物理的には、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力インターフェースとを含んで構成される。メモリには、例えば、CPUで処理されるプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等の要素が含まれる。これらの要素は、互いにバスを介して接続される。CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して受信されるデータや、RAMに展開されるデータを処理することで、負荷量予測装置1の各部が有する機能を実現できる。
【0015】
登録部11は、測定データを用いて事例モデルを生成し、その後、所定間隔で継続的に得られる測定データを用いて事例モデルを更新する学習機能を有する。以下に、学習機能について説明する。
【0016】
登録部11は、履歴データを事例モデルDB3に登録する。履歴データは、例えば、ある測定時刻に測定した電力消費量(第1負荷量)およびエンタルピ、その測定日の前日における測定時刻と同時刻(測定時刻の24時間前)に測定した電力消費量(第2負荷量)、ならびにその測定日の一週間(7日)前における測定時刻と同時刻(測定時刻の168時間前)に測定した電力消費量(第3負荷量)を一組にして一つのデータを構成する。
【0017】
登録部11は、履歴データを用いて事例モデルを生成し、その生成した事例モデルを事例モデルDB3に登録する事例生成登録部を含む。事例生成登録部が生成する事例モデルについて、以下に説明する。なお、この事例モデルは、上記特許文献1に記載されている事例ベース推論モデルの理論や手法を取り込んで適用することができる。
【0018】
事例モデルは、位相(Topology)の概念を導入して作成するモデルであり、所望の出力許容誤差に応じて入力空間を量子化し、単位入力空間(以下、「メッシュ」という。)ごとに、入出力間の関係を定義したものである。
【0019】
入力空間の量子化は、以下のように行うことができる。ここでは、説明の便宜のために、入力変数をx1とx2との二つにし、出力変数をyの一つにした場合について説明する。これは、入力変数を二つにし、出力変数を一つにすることで、三次元の入出力空間を用いて説明することができ、入力空間の量子化を比較的わかりやすく説明することができるためである。これに対して、本実施形態では、履歴データのうち、測定時刻のエンタルピ、前日の電力消費量および一週間前の電力消費量の三つが、上記入力変数に該当し、測定時刻の電力消費量が上記出力変数に該当することになり、入出力空間は四次元となる。入出力空間が四次元になっても、ここで説明する三次元の場合と同様の原理に基づいて行うことができる。
【0020】
図2(A)に示すように、履歴データは、過去に測定された入力変数x1、x2と出力変数yとの組により一つのデータが構成される。この履歴データを、三次元の入出力空間x1−x2−y上に表すと、
図2(B)に示すように分布する。なお、
図2(B)は、x1−x2平面を紙面上に配置した状態で表した図であり、x1−x2平面に直交する出力軸yは、x1−x2平面の原点位置において紙面の裏側から表側に向けて配置された状態で表されている。
【0021】
入力空間x1−x2のメッシュを決める際、
図2(C)に示すように、同一メッシュ内における出力変数yの出力レンジ幅が出力誤差の許容幅εに収まるように、メッシュの大きさ(入力量子化数)を決定する。この例示では、
図2(D)に示すように、入力変数x1を10分割し、入力変数x2を6分割するサイズでメッシュの大きさが決定されている。その結果、入力空間x1−x2は、60個のメッシュで区画されている。なお、
図2(D)は、上記
図2(B)と同様に、x1−x2平面を紙面上に配置した状態で表した図である。
【0022】
出力誤差の許容幅εは、事例モデルを用いて出力される予測値と、実際の値との間の誤差をどの程度まで許容するかを示す値であり、モデリング条件として予め設定される。このような許容幅εを用いてメッシュの大きさを決定し、事例モデルを作成することで、その事例モデルに属する入力データを用いて予測する出力データの誤差を、許容幅εの範囲内に収めることが可能となる。
【0023】
図1に示す取得部12、選定部13および予測部14は、事例モデルDB3に登録された事例モデルを参照し、予測時刻における電力消費量を予測する予測機能を有する。以下に、予測機能について説明する。
【0024】
取得部12は、予測時刻における電力消費量を予測する際に用いる予測用パラメータを取得する。予測用パラメータには、原則として、予測日の前日における、予測時刻と同時刻(予測時刻の24時間前)に測定した電力消費量(第4負荷量)、予測日の一週間前における、予測時刻と同時刻(予測時刻の168時間前)に測定した電力消費量(第5負荷量)、および予測時刻に予想されるエンタルピ(以下、「予想エンタルピ」という。)が含まれる。
【0025】
図3を参照し、上記原則として取得される予測用パラメータの内容について、具体的に説明する。
図3の丸で囲んだ3月8日(木)が予測日であり、五角形で囲んだ3月7日(水)が予測日の前日であり、四角で囲んだ3月1日(木)が予測日の一週間前である。
図3に示すように、予測日が3月8日(木)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月7日(水)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月1日(木)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月8日(木)における予想エンタルピが取得される。
【0026】
ここで、工場や会社等での電力消費量は、一週間単位で類似の推移状態を繰り返す傾向がある。例えば、一般的な会社では、平日である月曜日から金曜日までが稼働日となり、この期間の勤務時間帯は電力消費量が比較的多い状態で推移する。一方、休日である土曜日および日曜日は非稼働日となり、この期間は電力消費量が比較的少ない状態で推移する。
【0027】
一般に、会社等の稼働日/非稼働日を設定するカレンダー情報には、祝日や季節休暇等が含まれる。祝日や季節休暇は、休日と同様に、電力消費量が比較的少ない状態で推移する。したがって、本来ならば平日である月曜日から金曜日までに祝日や季節休暇が設けられた場合、これらの日の電力消費量の推移を、上述した一週間単位で繰り返される推移状態にあてはめると、その推移状態から逸脱することになる。本願発明では、このような日を、「特異日」と呼ぶことにする。つまり、特異日とは、その特異日に測定される電力消費量の推移が、一週間単位で繰り返される通常時の推移状態から逸脱する日をいう。このような特異日としては、例えば、祝日や、長期休暇等の会社特有の休日、長期休暇中の土日、休日出勤日等が該当する。
【0028】
ところで、予測用パラメータの取得対象日となる、予測日、予測日の前日または予測日の一週間前のいずれかに特異日が含まれる場合に、上記原則に従って予測用パラメータを取得すると、特異日に特有の電力消費量を予測用パラメータに有効に反映させることができない場合がある。このような予測用パラメータを用いて電力消費量の予測を行うと、予測精度が低下する要因になる。
【0029】
そこで、本願発明では、予測日、予測日の前日または予測日の一週間前のうちのいずれかが、特異日に該当する場合に、取得部12が、例外処理として、予測用パラメータの取得内容を変更し、予測用パラメータに、特異日に特有の電力消費量を反映させることとした。これにより、特異日における電力消費量の推移を取り入れて、電力消費量の予測を行うことができるため、予測精度を向上させることができる。
【0030】
以下において、取得部12が行う例外処理を、特異日の設定パターンごとに説明する。
【0031】
(1)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ休日、平日および平日である場合
このパターンは、火曜日から金曜日までのいずれかに休日扱いの特異日が設定された場合に出現するパターンである。
【0032】
図4を参照し、パターン(1)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図4の丸で囲んだ3月20日(火)が予測日であり、この日は祝日であるため、特異日となる。予測日の前日は、五角形で囲んだ3月19日(月)であり、この日は平日である。予測日の一週間前は、3月13日(火)であり、この日は平日である。
【0033】
このパターンでは、予測日の前日が平日であり、予測日が休日であるため、予測日を土曜日とみなし、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の土曜日のデータを使用する。つまり、
図4の四角で囲んだ3月17日(土)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0034】
図4に示すように、予測日が3月20日(火・祝日)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月19日(月)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月17日(土)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月20日(火・祝日)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0035】
(2)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ平日、休日および平日である場合
このパターンは、月曜日から木曜日までのいずれかに休日扱いの特異日が設定され、その翌日が予測日となる場合に出現するパターンである。
【0036】
図5を参照し、パターン(2)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図5の丸で囲んだ3月21日(水)が予測日であり、この日は平日である。予測日の前日は、五角形で囲んだ3月20日(火)であり、この日は祝日であるため、特異日となる。予測日の一週間前は、3月14日(水)であり、この日は平日である。
【0037】
このパターンでは、予測日の前日が休日であり、予測日が平日であるため、予測日を月曜日とみなし、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の月曜日(特異日を除く)のデータを使用する。つまり、
図5の四角で囲んだ3月19日(月)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0038】
図5に示すように、予測日が3月21日(水)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月20日(火・祝日)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月19日(月)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月21日(水)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0039】
(3)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ休日、休日および平日である場合
このパターンは、日曜日に続けて休日扱いの特異日が設定され、その特異日が予測日となる場合に出現するパターンである。
【0040】
図6を参照し、パターン(3)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図6の丸で囲んだ10月10日(月)が予測日であり、この日は祝日であるため、特異日となる。予測日の前日は、10月9日(日)であり、この日は休日である。予測日の一週間前は、10月3日(月)であり、この日は平日である。
【0041】
このパターンでは、予測日の前日が休日であり、予測日も休日であるため、予測日を日曜日とみなし、予測日の前日のデータとして、予測日の直近の土曜日のデータを使用し、予測日の一週間前のデータとして、直近の土曜日の直前の日曜日のデータを使用する。つまり、
図6の五角形で囲んだ10月8日(土)に測定された電力消費量を、予測日の前日に測定された電力消費量として取得し、
図6の四角で囲んだ10月2日(日)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0042】
図6に示すように、予測日が10月10日(月・祝日)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として10月8日(土)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として10月2日(日)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして10月10日(月・祝日)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0043】
(4)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ平日、平日および休日である場合
このパターンは、予測日が火曜日から金曜日のいずれかであり、予測日の一週間前に休日扱いの特異日が設定された場合に出現するパターンである。
【0044】
図7を参照し、パターン(4)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図5の丸で囲んだ3月27日(火)が予測日であり、この日は平日である。予測日の前日は、五角形で囲んだ3月26日(月)であり、この日は平日である。予測日の一週間前は、3月20日(火)であり、この日は祝日であるため、特異日となる。
【0045】
このパターンでは、予測日が平日で予測日の一週間前が休日扱いの特異日となり、両日の推移状態が異なる波形を示すことになるため、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の同一曜日であって、かつ特異日が設定されていない日のデータを使用する。つまり、
図7の四角で囲んだ3月13日(火)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0046】
図7に示すように、予測日が3月27日(火)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月26日(月)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月13日(火)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月27日(火)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0047】
(5)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ休日、平日および休日である場合
このパターンは、通常の土曜日のパターンに該当し、この他に、二週続けて火曜日から金曜日までのいずれかの同一曜日に休日扱いの特異日が設定された場合にも出現するパターンである。
【0048】
図8を参照し、パターン(5)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図8の丸で囲んだ3月20日(火)が予測日であり、この日は祝日であるため、特異日となる。予測日の前日は、五角形で囲んだ3月19日(月)であり、この日は平日である。予測日の一週間前は、3月13日(火)であり、この日は会社特有の休日であり、特異日となる。
【0049】
このパターンでは、予測日の前日が平日であり、予測日が休日であるため、予測日を土曜日とみなし、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の土曜日のデータを使用する。つまり、
図8の四角で囲んだ3月17日(土)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0050】
図8に示すように、予測日が3月20日(火・祝日)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月19日(月)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月17日(土)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月20日(火・祝日)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0051】
(6)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ平日、休日および休日である場合
このパターンは、月曜日から木曜日までのいずれかに休日扱いの特異日が設定され、その翌日が予測日となり、その予測日の一週間前に休日扱いの特異日が設定された場合に出現するパターンである。
【0052】
図9を参照し、パターン(6)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図9の丸で囲んだ3月21日(水)が予測日であり、この日は平日である。予測日の前日は、五角形で囲んだ3月20日(火)であり、この日は祝日であるため、特異日となる。予測日の一週間前は、3月14日(水)であり、この日は会社特有の休日であり、特異日となる。
【0053】
このパターンでは、予測日の前日が休日であり、予測日が平日であるため、予測日を月曜日とみなし、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の月曜日(特異日を除く)のデータを使用する。つまり、
図9の四角で囲んだ3月19日(月)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0054】
図9に示すように、予測日が3月21日(水)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として3月20日(火・祝日)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として3月19日(月)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして3月21日(水)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0055】
(7)予測日、予測日の前日および予測日の一週間前が、それぞれ休日、休日および休日である場合
このパターンは、通常の日曜日のパターンに該当し、さらに、日曜日に続けて休日扱いの特異日が設定され、その特異日が予測日となり、その予測日の一週間前にも休日扱いの特異日が設定された場合にも出現するパターンである。
【0056】
図10を参照し、パターン(7)で取得される予測用パラメータの内容について説明する。
図10の丸で囲んだ10月17日(月)が予測日であり、この日は会社特有の休日であり、特異日となる。予測日の前日は、10月16日(日)であり、この日は休日である。予測日の一週間前は、10月10日(月)であり、この日は祝日であるため、特異日となる。
【0057】
このパターンでは、予測日の前日が休日であり、予測日も休日であるため、予測日を日曜日とみなし、予測日の前日のデータとして、予測日の直近の土曜日のデータを使用し、予測日の一週間前のデータとして、予測日の直近の土曜日の直前の日曜日のデータを使用する。つまり、
図10の五角形で囲んだ10月15日(土)に測定された電力消費量を、予測日の前日に測定された電力消費量として取得し、
図10の四角で囲んだ10月9日(日)に測定された電力消費量を、予測日の一週間前に測定された電力消費量として取得する。
【0058】
図10に示すように、予測日が10月17日(月・休日)である場合には、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量として10月15日(土)に測定された電力消費量が取得され、予測日の一週間前の電力消費量として10月9日(日)に測定された電力消費量が取得され、予測日の予想エンタルピとして10月17日(月・休日)の予想エンタルピが取得されることになる。
【0059】
図11に、カレンダー情報を設定する際に使用する設定画面の一例を示す。
図11に示す週間稼働設定欄G1は、一週間の各曜日が、稼働日に該当するのか、休みに該当するのか、を設定する領域である。この週間稼働設定欄G1で設定した内容が、各曜日における原則的なカレンダー情報として登録される。
【0060】
図11に示す特異日設定欄G2は、特異日の設定を行う領域である。特異日に設定する日にちをカレンダーG21上で選択し、“特異日にする”ボタンG22をクリックすると、特異日が設定される。設定された特異日は、特異日(休日)リストG23に追加表示される。特異日の設定を解除する場合には、特異日(休日)リストG23から削除対象日を選択し、“削除”ボタンG24をクリックする。
【0061】
図12に、予測用パラメータの対象日を確認する際に使用する確認画面の一例を示す。
図12に示すカレンダーG3上で予測日を選択すると、予測用パラメータのうち、予測日の前日の電力消費量を提供する測定日が、前日データ使用日欄G4に表示され、予測日の一週間前の電力消費量を提供する測定日が、一週間前データ使用日欄G5に表示される。
【0062】
図1に示す選定部13は、取得部12により取得された予測用パラメータに基づいて事例モデルDB3を参照し、事例モデルDB3に登録されている履歴データの中から、予測用パラメータに類似する一つまたは複数の履歴データを選定する。以下に具体的に説明する。
【0063】
選定部13は、予測用パラメータに含まれる、前日の電力消費量、一週間前の電力消費量および予想エンタルピを、事例モデルの入出力空間に割り当てる。予測用パラメータに含まれる三つの要素(前日の電力消費量、一週間前の電力消費量および予想エンタルピ)は、事例モデルを作成した時の三つの入力変数と合致する。したがって、選定部13は、これら三つの要素を、事例モデルの入出力空間に割り当てることで、三つの要素に対応する入力空間のメッシュを特定することができる。選定部13は、特定したメッシュに含まれる履歴データを、予測用パラメータに類似する履歴データとして選定する。
【0064】
なお、特定したメッシュに含まれる履歴データに加え、その特定したメッシュの周辺に存在するメッシュに含まれる履歴データを、予測用パラメータに類似する履歴データに取り込むこととしてもよい。
【0065】
予測部14は、選定部13により選定された履歴データを用い、代表となる履歴データを算出する。予測部14は、代表となる履歴データに含まれる、測定時刻の電力消費量に対応する電力消費量を、予測時刻における電力消費量とする。
図13を参照して、具体的に説明する。
図13は、上記
図2と同様に、入力変数をx1とx2との二つにし、出力変数をyの一つにした場合における例示である。
【0066】
図13(A)に示すように、選定部13により三つの履歴データが選定された場合、予測部14は、これら三つの履歴データに含まれる各要素(x1、x2、y)の平均値をそれぞれ算出する。予測部14は、
図13(B)に示すように、算出したそれぞれの平均値を各要素の値とする履歴データを、代表となる履歴データとする。予測部14は、代表となる履歴データに含まれる、測定時刻の電力消費量(y)の平均値(81.9)を、予測時刻における電力消費量とする。なお、代表となる履歴データを求める方法は、平均値を算出して求めることには限定されない。
【0067】
予測部14により予測された電力消費量は、例えば、グラフ化してディスプレイ5上に表示することができる。
図14に、ディスプレイ5上に表示する電力消費量の推移グラフを例示する。
図14には、電力消費量の推移グラフPとエンタルピの推移グラフEとが表示されている。図中に示す現在時刻よりも右側が24時間先までの予測値の推移であり、現在時刻よりも左側が一週間前までの実績値の推移となる。p1が予測日の一週間前の電力消費量であり、p2が予測日の前日(現在時刻)の電力消費量であり、p3が予測時刻の電力消費量である。また、e1が予測日の前日(現在時刻)のエンタルピであり、e2が予測時刻のエンタルピである。
【0068】
ここで、履歴データや予測用パラメータの中にエンタルピを含めるか否かは、任意に設定することができる。エンタルピを含めることで、電力消費量の予測性能を向上させることが可能となる。その理由を以下に説明する。ある施設における電力量は、設備の運用に関わる電力量と、外気温に影響を受ける電力量と、それ以外の電力量との総和になると考えられる。外気温に影響を受ける電力量は、いわゆる負荷熱量であり、この負荷熱量は、外気温や外気湿度に影響を受ける。そのため、電力消費量を予測する際の入力変数として、外気温や外気湿度を利用することで、予測精度を向上させることが可能となる。しかしながら、外気温や外気湿度を入力変数に加えると変数が増加し、入出力空間の次元が増加するため、事例モデルを用いる予測手法では、精度が低下するおそれがある。
【0069】
一方、外気温と外気湿度とから求まる不快指数を入力変数として用いることも考えられる。しかしながら、本願発明者が、不快指数と同様に外気温と外気湿度とから求まるエンタルピについて、不快指数と比較しながら、実験を重ねたところ、エンタルピの方が、不快指数よりも、空調の熱負荷量に対するレンジ幅を大きく設定できることが判明した。つまり、入力変数としてエンタルピを用いることで、不快指数を用いる場合よりも、電力消費量の予測性能を向上させることが可能となる。
【0070】
上述してきたように、本実施形態における負荷量予測装置1によれば、定期的に測定される電力消費量と、その測定日の前日に測定された電力消費量と、その測定日の一週間前に測定された電力消費量とを含む履歴データを蓄積し、予測日の前日に測定された電力消費量と、予測日の一週間前に測定された電力消費量とを含む予測用パラメータを取得して、履歴データの中から当該予測用パラメータに類似する履歴データを選定し、選定した履歴データに含まれる電力消費量に基づいて、予測日における電力消費量を算定することができる。
【0071】
これにより、一週間単位で同じような推移状態を繰り返す傾向にある電力消費量を予測する際に、予測日の前日の電力消費量および予測日の一週間前の電力消費量の組み合わせに類似する過去の履歴データに基づいて、予測日における電力消費量を算定することができるため、予測精度を向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態における負荷量予測装置1によれば、予測日、予測日の前日または予測日の一週間前のうちのいずれかが特異日に該当する場合には、予測用パラメータに含まれる電力消費量のうちの少なくともいずれか一方を、特異日の設定パターンに応じて定まる代替日に測定された電力消費量に変更した、予測用パラメータを取得することができる。
【0073】
これにより、特異日における電力消費量の推移を取り入れて、電力消費量の予測を行うことができるため、予測精度を向上させることが可能となる。
【0075】
なお、予測時刻における電力消費量を予測する手法は、上述した実施形態に記載した手法には限定されない。定期的に測定される電力消費量と、その測定日の前日に測定された電力消費量と、その測定日の一週間前に測定された電力消費量とを含む履歴データを蓄積し、予測日の前日に測定された電力消費量と、予測日の一週間前に測定された電力消費量とを含む予測用パラメータに類似する履歴データに基づいて、予測時刻における電力消費量を予測する手順を含む手法であれば、他のどのような手法にも本発明を適用することができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、予測日、予測日の前日または予測日の一週間前のうちのいずれかが、休日扱いの特異日に該当する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、特異日が、休日出勤日である場合のように、予測日、予測日の前日または予測日の一週間前のうちのいずれかが、平日扱いの特異日に該当する場合にも、上述した実施形態と同様に適用することができる。