【実施例】
【0037】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の「部」は、重量部を表す。
【0038】
尚、本発明の実施例に記載する重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムH
XL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000H
XL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000H
XL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000H
XL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000H
XL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)を使用。
【0039】
(ポリウレタンポリウレア樹脂Aの調製)
攪拌機、温度計、ジムロ−ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、分子量1,000のポリプロピレングリコール240部、分子量1,000のネオペンチルグリコールとアジピン酸との縮合物42部を仕込み、窒素ガスを流して攪拌しながら50℃に昇温した。続いて、イソホロンジイソシアネート126部を加えて、イソシアネート基の残存率であるNCO%が5.8に達するまで90℃で反応し、両末端に脂肪族イソシアネート基を有する線状ポリウレタンプレポリマーを得た。
続いて、攪拌機、温度計、ジムロ−ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、イソホロンジアミン23部、N−アミノエチル−2−エタノールアミン14部、ジノルマルブチルアミン5部、イソプロピルアルコール1,050部を混合し、40℃まで昇温した。次いで、前工程で得たポリウレタンプレポリマー408部を仕込み、40℃で4時間反応させて、固形分30重量%、重量平均分子量(Mw)52,000のポリウレタンポリウレア樹脂溶液、「樹脂A」を得た。
【0040】
(ポリウレタンポリウレア樹脂Bの調製)
攪拌機、温度計、ジムロ−ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得た数平均分子量2,000のポリエステルジオール772部およびイソホロンジイソシアネート167.1部を仕込み、窒素ガスを流してイソシアネート基の残存率であるNCO%が3.2に達するまで90℃で反応し、これに酢酸エチル1,750部を加えてウレタンプレポリマー溶液を得た。
続いて、攪拌機、温度計、ジムロ−ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、イソプロピルアルコール583部、イソホロンジアミン54部、ジノルマルブチルアミン6.9部を混合し、40℃まで昇温した。次いで、前工程で得たポリウレタンプレポリマー溶液2689.1部を仕込み、45℃で7時間反応させて、固形分30重量%、重量平均分子量(Mw)48,000のポリウレタンポリウレア樹脂溶液、「樹脂B」を得た。
【0041】
実施例1〜11、比較例1〜7について、具体的に記す。
(インキの調製法)
450mlガラス瓶に1.5mmのガラスビーズを200部仕込み、実施例1を例に上げれば、酢酸エチルを32部、IPAを20部、水5部、HPC−L(日本曹達株式会社製)を3部、カーボンブラックとしてMONARCH460(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク製)を10部仕込んだ後、ペイントコンディショナーで1時間分散を行った後、金網でガラスビーズを濾過しインキを調製した。実施例2〜11、及び比較例1〜7についても、表1及び表2に記載の配合比率にて実施例1と同様の手順にてインキを調製した。
【0042】
上記で得られた実施例1〜11のインキ、及び比較例1〜
10のインキについて、以下の評価を実施した。
【0043】
(流動性)
表1及び表2に記載のインキの粘度をB型粘度計にて6rpmと60rpmの回転数で測定した。6rpmで測定した粘度を60rpmで測定した粘度で割り、TI値を求めた。TI値が3.0未満であれば実用上使用可能である。
(評価)
○:TI値が1.5未満
△:TI値が1.5以上〜3.0未満
×:TI値が3.0以上
【0044】
(密着性)
表1及び表2に記載のインキを、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製 E5102 12μm)の処理面にバーコーター#4にて展色した。ニチバンのセロファンテープ18mm幅を展色面に密着させたのち、セロファンテープを垂直方向に勢いよく引き剥がし、セロファンテープに付着するインキ皮膜の面積比率を目視評価した。
セロファンテープに付着するインキの面積比率30%未満であれば実用可能なレベルと判断できるが、よりセロファンテープに付着しない方が望ましい。
(評価)
◎:セロファンテープに付着するインキの面積比率0%
○:セロファンテープに付着するインキの面積比率10%未満
△:セロファンテープに付着するインキの面積比率30%未満
×:セロファンテープに付着するインキの面積比率30%以上
××:セロファンテープに付着するインキの面積比率80%以上
【0045】
(版かぶり)
表1及び表2に記載のインキを酢酸エチル/IPA=1/1で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。調整したインキを、半ベタ版を取り付けたグラビア印刷機を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製 パイレンP−2161 20μm)の処理面に印刷を行った。印刷速度を100m/分、150m/分、200m/分と変更し、半ベタ版の非画線部のインキが掻き取り切れず、漏れ出したインキが二軸延伸ポリプロピレンフィルムに転移する現象(版かぶり)の発生度合を目視評価した。印刷速度100m/分の印刷条件で版かぶり現象が発生しなければ実用可能なレベルと判断できるが、より高印刷速度でも版かぶり現象が発生しない方が望ましい。
(評価)
◎: 印刷速度200m/minで版かぶり現象が発生せず
○: 印刷速度150m/minで版かぶり現象が発生せず
△: 印刷速度100m/minで版かぶり現象が発生せず
×: 印刷速度100m/minで版かぶり現象が発生
××: 印刷速度100m/minで版かぶり現象が酷く発生
【0046】
(転移性)
表1及び表2に記載のインキを、酢酸エチル/IPA=1/1で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。それを、グラデーション版を取り付けたグラビア印刷機を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製 パイレンP−2161 20μm)の処理面に印刷を行った。印刷速度を50m/min、80m/minと変更し、グラデーション版のハイライト部(セル容積:5%、10%)でのインキの欠落(カスレ)発生の有無を目視評価した。印刷速度80m/min以上の印刷条件でセル容積10%部分にカスレ発生しなければ実用可能なレベルと判断できるが、より低印刷速度および低セル容積%部分でもカスレが発生しない方が望ましい。
(評価)
◎: 印刷速度50m/分でカスレ発生なし
○: 印刷速度80m/分でカスレ発生なし
△: 印刷速度80m/分,セル容積5%でカスレ発生するがセル容積10%
でカスレ発生なし
×: 印刷速度80m/分,セル容積10%でもカスレが顕著に確認できる
【0047】
(ボイル適性)
表1及び表2に記載のインキを、酢酸エチル/IPA=1/1で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。調整したインキを、ベタ版(ヘリオ175線)を取り付けたグラビア印刷機を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製 E5102 12μm)の処理面に印刷を行った。得られた印刷物のインキ面にディックドライLX−401を5部、SP−60を5部、酢酸エチルを20部混合したラミネート用接着剤をバーコーター#12で塗布し、精密ラミネーターを用いて片面にコロナ放電処理を施したL−LDPEのフィルム(三井化学東セロ株式会社製TUX−HC60μm)と貼り合わせてラミネートして積層体を得た。前記積層体は40℃で48時間エージングした。
エージング後の前記積層体であるラミネート物をヒートシーラーにて180℃、1秒、0.1MPaの条件で三方シールし、パウチを作る。その中にサラダ油/ミートソース/酢=1/1/1を入れる。そして上方をシールする。ボイル試験機を用いて98℃、30分間、60分間及び90分間のボイル処理を行い、外観を目視評価した。30分のボイル処理で外観に異常なければ実用可能なレベルと判断できるが、より長時間の処理に耐えられる方が望ましい。
(評価)
◎: 90分のボイル処理でも外観に異常なし
○: 60分のボイル処理で外観に異常なし
△: 30分のボイル処理で外観に異常なし
×: 部分的にラミ浮きが確認できる
××: ラミ浮きが多発、又は破袋
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
尚、表中の原料は以下の通りである。
MONARCH460(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製):カーボンブラック、粒子サイズ27nm、BET比表面積84m
2/g
HPC−L(日本曹達株式会社製):ヒドロキシプロピルセルロース 重量平均分子量(Mw)200,000、粘度6〜10(mPa・s 20℃/2%水溶液)
HPC−SL(日本曹達株式会社製):ヒドロキシプロピルセルロース 重量平均分子量(Mw)120,000、粘度3〜5.9(mPa・s 20℃/2%水溶液)
HPC−SSL(日本曹達株式会社製):ヒドロキシプロピルセルロース 重量平均分子量(Mw)50,000、粘度2〜2.9(mPa・s 20℃/2%水溶液)
NC(L1/8)(旭化成株式会社製):硝化綿
CAP−482−0.5(EASTMAN CHEMICAL製):セルロースアセテートプロピオネート
CAB−381−0.1(EASTMAN CHEMICAL製):セルロースアセテートブチロネート
エスレックB BL−1(積水化学工業株式会社製)ポリビニルブチラール樹脂:ガラス転移点68℃、水酸基36(mol%)
ソルバインTA5R (日信化学工業(株)製)塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂:数平均分子量28,000、ガラス転移点78℃、K値=41
樹脂構成;塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=88/1/11(重量比)
【0051】
以上の結果から、本発明の軟包装用ラミネートインキ組成物は、芳香族炭化水素系溶剤、肪族炭化水素系溶剤、脂環族炭化水素系溶剤を使用せずとも優れた印刷適性、ボイル耐性を維持可能であることが判る。