(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.回路接続材料及びその製造方法
2.実装体の製造方法
3.実施例
【0014】
<1.回路接続材料及びその製造方法>
本実施の形態における回路接続材料は、アナターゼ型の活性酸化チタン粒子と、重合性樹脂と、重合開始剤とを含有する。これにより、基板への密着性を向上させることができる。さらに、より低温での仮貼りが可能となる。したがって、基板への熱影響を低減し、生産性を向上させることができる。
【0015】
酸化チタン粒子として、
図1及び
図2にそれぞれ示すアナターゼ型及びルチル型の結晶構造を有するものが工業的に主に利用されている。本実施の形態では、
光触媒活性に優れるアナターゼ型の酸化チタン粒子を用いることが望ましい。
【0016】
アナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型の酸化チタンと比較して光触媒活性に優れている。理由としては、ルチル型の酸化チタンの製造時に900℃以上で焼成するため、大粒子径化してしまい、比表面積の低下から光触媒活性が低下してしまうことや、バンドギャップがアナターゼ型よりも狭いといった理由が挙げられる。
【0017】
酸化チタンは、半導体であるため、原子・分子の電子軌道が帯状になったバンド構造というエネルギー構造を有する。バンド構造は、電子が詰まった価電子帯と電子が入っていない伝導帯、さらに両者の間に禁制帯を有する。エネルギー順位は、価電子帯<禁制帯<伝導帯の順である。
【0018】
禁制帯を超える大きなエネルギーを有する光が吸収されると、価電子帯の電子が励起され、伝導帯に移り、酸化チタンが活性化される。この際、価電子帯に正孔という電子が抜けた穴が発生する。この正孔が酸化チタンの酸素に作用し、酸素欠陥となり、ここに水が吸着し、超親水性を発現するものと考えられている。
【0019】
酸化チタン粒子の平均粒子径は、20〜400nmであることが好ましい。平均粒子径が大きい場合、比表面積が小さくなるため、光吸収率が劣り、光触媒活性が低下してしまう。また、平均粒子径が小さい場合、樹脂への分散性が困難となり、同様に光触媒活性が低下してしまう。
【0020】
また、酸化チタン粒子の配合量は、1〜30wt%であることが好ましい。配合量が多い場合、樹脂の粘度が増加してしまい、回路接続材料としての機能が困難となる。また、配合量が少ない場合、超親水性の効果を発揮することができない。
【0021】
また、酸化チタンを活性化する方法としては、大きなエネルギーを与えることが可能であれば良く、簡便な方法として波長300〜400nm程度の紫外線の照射が好ましく用いられる。
【0022】
重合性樹脂と、重合開始剤とを含有する接着剤組成物(バインダー)としては、ラジカル重合型、アニオン重合型、カチオン重合型などのいずれを用いても良いが、より低温硬化が可能であり、仮圧着時に密着性が必要とされるラジカル重合型が好適である。
【0023】
ラジカル重合型の接着剤組成物は、膜形成樹脂と、ラジカル重合性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する。
【0024】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂などの種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも膜形成状態、接続信頼性などの観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。膜形成樹脂の含有量は、接着剤組成物100質量部に対して、通常30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。
【0025】
ラジカル重合性樹脂は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシアクリレートが好ましく用いられる。ラジカル重合性樹脂の含有量は、接着剤組成物100質量部に対して、通常10〜60質量部、好ましくは20〜50質量部である。
【0026】
ラジカル重合開始剤は、公知のものを使用することができ、中でも有機過酸化物を好ましく使用することができる。有機過酸化物としては、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、シリルパーオキサイド類などが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、本実施の形態では、パーオキシケタール類が好ましく用いられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル系の接着剤組成物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
【0027】
また、バインダーへの他の添加組成物として、シランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト系、スルフィド系、ウレイド系などが挙げられる。また、無機フィラーを添加させてもよい。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどを用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。また、これらバインダーの各成分を配合する際には、トルエン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶剤が好ましく用いられる。
【0028】
また、回路接続材料に異方性を付与する場合の導電性粒子としては、例えば、金粒子、銀粒子、ニッケル粒子等の金属粒子、ベンゾグアナミン樹脂やスチレン樹脂等の樹脂粒子の表面を金、ニッケル、亜鉛等の金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を使用することができる。このような導電性粒子の平均粒径としては、1〜10μm、より好ましくは2〜6μmである。
【0029】
また、バインダーへの導電性粒子の平均粒子密度は、接続信頼性及び絶縁信頼性の観点から、好ましくは1000〜50000個/mm
2、より好ましくは3000〜30000個/mm
2である。
【0030】
このような構成からなる回路接続材料は、アナターゼ型の活性酸化チタン粒子が配合されているため、活性酸化チタンの超親水性により、ガラス基板の表面の‐OHとの濡れ性が向上し、基板との密着性を向上させることができる。さらに、通常の仮圧着の温度よりも低い50℃程度の低温での仮貼りが可能となる。したがって、基板への熱影響を低減し、生産性を向上させることができる。
【0031】
次に、前述した回路接続材料の製造方法について説明する。本実施の形態における回路接続材料の製造方法は、アナターゼ型の酸化チタン粒子に紫外線を照射し、活性酸化チタンとする活性化工程と、活性酸化チタン粒子と、重合性樹脂と、重合開始剤とを配合する配合工程とを有する。
【0032】
活性化工程では、アナターゼ型の酸化チタン粒子に紫外線を照射する。紫外線の照射条件は、特に限定されることなく、波長300〜400nm程度の紫外線を数百μW/cm
2程度の強度で1時間〜48時間照射する。このアナターゼ型の活性酸化チタン粒子は、バインダー中に分散されるため、正孔に吸着された水分を拡散させることなく、保持することができる。よって、光照射を止めた後も超親水性を長期間維持することができる。
【0033】
配合工程では、活性酸化チタン粒子を重合性樹脂と、重合開始剤とを含有するバインダーに配合する。バインダーとしては、ラジカル重合型、アニオン重合型、カチオン重合型などのいずれを用いても良い。
【0034】
ここで、回路接続材料が膜状に形成され、導電性粒子の配合により異方性を有する異方性導電フィルムの製造方法について説明する。この異方性導電フィルムの製造方法は、剥離基材上に、アナターゼ型の活性酸化チタン粒子、膜形成樹脂と、重合性樹脂と、重合開始剤と、導電性粒子とを含む組成物を塗布する塗布工程と、剥離基材上の組成物を乾燥させる乾燥工程とを有する。
【0035】
塗布工程では、剥離基材上に、前述の構成となるように組成物を調整後、バーコーター、塗布装置等を用いて塗布する。剥離基材は、例えば、シリコーンなどの剥離剤をPET(Polyethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(poly 4-methyl-1-pentene)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などに塗布した積層構造からなり、組成物の乾燥を防ぐとともに、組成物の形状を維持する。また、組成物は、前述の組成物を有機溶剤に溶解させて得られ、有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶剤、その他各種有機溶剤を用いることができる。
【0036】
次の乾燥工程では、剥離基材上の組成物を熱オーブン、加熱乾燥装置などにより乾燥させる。これにより、アナターゼ型の活性酸化チタン粒子、膜形成樹脂と、重合性樹脂と、重合開始剤とを含有する絶縁性接着樹脂に導電性粒子が分散された異方性導電フィルムを得ることができる。
【0037】
<2.実装体の実装方法>
次に、上述した回路接続材料を用いた電子部品の実装方法について説明する。本実施の形態における電子部品の実装方法は、第1の電子部品の電極上に、アナターゼ型の活性酸化チタン粒子と、重合性樹脂と、重合開始剤と、導電性粒子とを含有する異方性導電フィルムを仮貼りする仮貼工程と、異方性導電フィルム上に第2の電子部品を配置し、第2の電子部品の上面から圧着ヘッドにて押圧する押圧工程とを有する。これにより、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とを導電性粒子を介して接続するとともに、異方性導電フィルムを硬化させることができる。
【0038】
ここで、第1の電子部品としては、ガラス基板にIZO(Indium Zinc Oxide)膜がコーティングされたIZOコーティングガラス、ガラス基板にSiN
x(シリコン窒化)膜がコーティングされたSiN
xコーティングガラスなどが挙げられる。また、第2の電子部品としては、COF(Chip On Film)、IC(Integrated Circuit)などが挙げられる。
【0039】
本実施の形態では、異方性導電フィルムにアナターゼ型の活性酸化チタン粒子が配合されているため、活性酸化チタンの超親水性により、ガラス基板の表面の−OHとの濡れ性が向上し、仮貼工程において、ガラス基板との密着性を向上させることができる。よって、ベースフィルムと共にACFがガラス基板から剥がれてしまうのを防止することができ、転写性を向上させることができる。また、ガラス基板との優れた密着性が得られるため、通常の仮圧着の温度よりも低い50℃程度の低温での仮貼りが可能となる。したがって、基板への熱影響を低減し、生産性を向上させることができる。
【実施例】
【0040】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、酸化チタンを合成し、これをラジカル硬化型の異方性導電フィルムに配合した。そして、異方性導電フィルムの仮貼り試験を行った。また、異方性導電接フィルムを用いて実装体を作製し、実装体の接続抵抗を測定した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
酸化チタンの合成、異方性導電フィルムの作製、実装体の作製、仮貼り試験、及び接続抵抗の測定は、次のように行った。
【0042】
[酸化チタンの合成]
特開2001−287997号公報を参考にして、四塩化チタンを気相中で酸素と接触させ、酸化させる気相法により、酸化チタン単結晶を調製した。すなわち、多重管バーナーを上部に具備した気相反応管において、約830℃にて酸化反応させ、酸化チタンを合成し、これを350〜400℃で120分間保持する加熱処理を行い、平均粒子径1.2μmのアナターゼ型の酸化チタンを得た。また、反応温度を1000℃へ変更し、平均粒子径1.0μmのルチル型酸化チタンを得た。これらの酸化チタンついて、目開きの異なるいくつかの篩(ふるい)を用いて乾式分級を行った。そして、篩の目開きを通過する割合を測定し,積算(累積)重量百分率で表した。
【0043】
表1に示すように。平均粒子径(D50)200nmのアナターゼ型の酸化チタンA、平均粒子径(D50)20nmのアナターゼ型の酸化チタンB、平均粒子径(D50)400nmのアナターゼ型の酸化チタンC、平均粒子径(D50)10nmのアナターゼ型の酸化チタンD、平均粒子径(D50)500nmのアナターゼ型の酸化チタンE、及び平均粒子径(D50)200nmのルチル型の酸化チタンFを調整した。
【0044】
【表1】
【0045】
[異方性導電フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(品名:YP−50、東都化成社製)を固形分換算で60質量部、ラジカル重合成樹脂(品名:EB−600、ダイセルサイテック社製)を35質量部、及び反応開始剤(品名:パーヘキサC、日本油脂社製)を2質量部で構成された組成物中に、平均粒子径5μmの導電性粒子(品名:AUL705、積水化学工業社製)を粒子密度10000個/mm
2になるよう分散させて調整した。この接着剤組成物をPETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、オーブンで乾燥させ、厚さ15μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0046】
[実装体の作製]
評価用ガラス基板(ITO(Indium Tin Oxide)コーティングガラス)に1.5mm幅にスリットされた異方性導電フィルムを、150μm厚の緩衝材(ポリテトラフルオロエチレン)を用い、1.5mm幅のツールの仮圧着機にて70℃−1MPa−1secの条件で仮圧着した。次いで、評価用COF(50μmP、Cu8μmt−Snメッキ、38μmt)を同圧着機にて80℃−0.5MPa−0.5secの条件で仮固定し、最後に190℃−2MPa−10secの条件にて1.5mm幅のツールを用いた本圧着機で圧着し、実装体を作製した。
【0047】
[仮貼り試験]
1.5mm幅にスリットされたベースフィルム/ACF/カバーフィルムの構成からなる回路接続材料を用いた。カバーフィルムを剥がして評価用ノンアルカリガラスに貼り付け、150μm厚の緩衝材(ポリテトラフルオロエチレン)を用い、1.5mm幅のツールの仮圧着機にて50℃−1MPa−1secの条件で仮圧着した。そして、ベースフィルムを剥がし、ベースフィルムと共にACFがガラス基板から剥がれてしまうものを「NG」とした。この仮貼り試験を10回行い、NGの回数をカウントした。
【0048】
[接続抵抗の測定]
実装体について初期の接続抵抗を測定した。測定は、デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの接続抵抗を測定した。
【0049】
<3.1 酸化チタンの効果について>
[実施例1]
酸化チタンAに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンAを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は1.09Ωであった。
【0050】
[比較例1]
酸化チタンを配合させずに異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は9であった。また、実装体の接続抵抗値は1.09Ωであった。
【0051】
[比較例2]
紫外線を照射させていない酸化チタンA’を前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は9であった。また、実装体の接続抵抗値は1.09Ωであった。
【0052】
[比較例3]
酸化チタンFに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンFを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は6であった。また、実装体の接続抵抗値は1.08Ωであった。
【0053】
表2に、実施例1、比較例1〜3の評価結果を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示すように、比較例1では、酸化チタンを含有していないため、仮貼り試験のNG数が多かった。また、比較例2では、酸化チタンに紫外線を照射していないため、超親水性効果が発現せず、仮貼り試験のNG数が多かった。また、比較例3では、ルチル型の酸化チタンFを用いたため、紫外線照射による超親水性効果が小さく、仮貼り試験のNG数が多かった。一方、実施例1は、アナターゼ型の酸化チタンAに紫外線を照射することにより、超親水性効果が発現し、基板に対する転写性を向上させることができた。さらに、通常の仮圧着時の温度よりも低い50℃においても、良好な密着性を示した。
【0056】
<3.2 酸化チタンの粒子径について>
[実施例2]
平均粒径20nmの酸化チタンBに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンBを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は1.28Ωであった。
【0057】
[実施例3]
平均粒径400nmの酸化チタンCに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンCを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は1.12Ωであった。
【0058】
[比較例4]
平均粒径10nmの酸化チタンDに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンDを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は5.08Ωであった。
【0059】
[比較例5]
平均粒径500nmの酸化チタンDに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンEを前述の接着剤組成物に5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は4であった。また、実装体の接続抵抗値は1.09Ωであった。
【0060】
表3に、実施例1〜4、比較例4、5の評価結果を示す。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示すように、比較例4では、平均粒子径が20nmより小さいため凝集体が発生し、接続不良が発生した。また、比較例5では、平均粒子径が400nmよりも大きいため、比表面積が不足し、転写性が悪化した。一方、実施例1〜3は、平均粒子径が20nm〜400nmと適当であるため、仮貼り試験及び接続抵抗値の結果が良好であった。
【0063】
<3.3 酸化チタンの含有量について>
[実施例4]
酸化チタンAに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンAを前述の接着剤組成物に1wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は1.12Ωであった。
【0064】
[実施例5]
酸化チタンAに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンAを前述の接着剤組成物に30wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は1.18Ωであった。
【0065】
[比較例6]
酸化チタンAに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンAを前述の接着剤組成物に0.5wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は5であった。また、実装体の接続抵抗値は1.18Ωであった。
【0066】
[比較例7]
酸化チタンAに対し、波長365nmの紫外線を24時間照射した。この酸化チタンAを前述の接着剤組成物に35wt%含有させて異方性導電フィルムを作製した。異方性導電フィルムの仮貼り試験のNG数は0であった。また、実装体の接続抵抗値は3.08Ωであった。
【0067】
表4に、実施例1、4、5、比較例6、7の評価結果を示す。
【0068】
【表4】
【0069】
表4に示すように、比較例6では、酸化チタンAの含有量が少なく、超親水性効果が薄れたため、転写性が悪化した。また、比較例7では、酸化チタンAの含有量が多く、ACFの粘度が増加したため、接続不良が発生した。一方、実施例1、4、5は、酸化チタンAの含有量が1〜30wt%と適当であるため、仮貼り試験及び接続抵抗値の結果が良好であった。